JP2005022006A - 自動ねじ締め装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】通し孔とねじ孔の中心にずれがあってもねじを確実に螺挿することができる自動ねじ締め装置を提供する。
【解決手段】複数の部材に形成された通し孔とねじ孔を互いに一致させた状態で、通し孔よりねじ孔に螺挿したねじ7を締め付けることにより部材同士を締結する電動ドライバ3の後端を、支点手段10により回動自在に支承すると共に、先端側が支点手段10の支点部10iを中心に揺動自在となるよう電動ドライバ3を弾性支持手段9により弾性支持したことから、部材に穿設された通し孔とねじ孔の中心にずれがあっても、支点手段10の支点部10iを中心に電動ドライバ3の先端部が揺動して、ねじ7の中心がねじ孔の中心と一致するよう調心されるため、ねじ孔にねじ7を確実に螺挿することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】複数の部材に形成された通し孔とねじ孔を互いに一致させた状態で、通し孔よりねじ孔に螺挿したねじ7を締め付けることにより部材同士を締結する電動ドライバ3の後端を、支点手段10により回動自在に支承すると共に、先端側が支点手段10の支点部10iを中心に揺動自在となるよう電動ドライバ3を弾性支持手段9により弾性支持したことから、部材に穿設された通し孔とねじ孔の中心にずれがあっても、支点手段10の支点部10iを中心に電動ドライバ3の先端部が揺動して、ねじ7の中心がねじ孔の中心と一致するよう調心されるため、ねじ孔にねじ7を確実に螺挿することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はビス等のねじにより部材を締結する際に使用する自動ねじ締め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来ビス等のねじにより複数の部材を締結する場合、電動ドライバを使用することが多い。
【0003】
前記電動ドライバは、電動機により回転駆動されるチャックに、ビットと称する工具を取り付けたもので、ビットの先端をねじの頭部に形成された+溝や−溝よりなる工具溝に嵌合した状態で、電動機によりビットを回転駆動することにより、ねじにより複数の部材が短時間で締結できるようになっている。
【0004】
また部材に穿設された多数のねじ孔にねじを螺挿して部材を締結する場合、部材のねじ孔の位置を撮影手段により検出して、電動ドライバのビット先端に保持させたねじをねじ孔に位置決めし、電動ドライバによりねじをねじ孔に自動的に螺挿するようにした自動ねじ締め装置が、例えば特許文献1で提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平05−237729号公報(段落0009,0010)
【0006】
前記従来のねじ締め装置は、移動体に設けた撮影手段により部材の通り孔とねじ孔を撮影し、撮影した画像により通し孔とねじ孔との重なり部分のずれ量を検出して、ずれ量に応じて移動体に設けたねじ締め手段の移動量を補正するようにしたもので、ねじ締め手段を部材の通し孔に正しく位置決めできるという効果を有している。
【0007】
一方直交型ロボットを使用してねじの締め付けを行う自動ねじ締め装置としては、例えば図9ないし図12に示すものが公知である。
【0008】
前記自動ねじ締め装置は、基台a上にX軸方向へ移動自在なコラムbを有していて、このコラムbにZ軸方向へ昇降自在な支持アームcが支承されている。
【0009】
支持アームcには、X軸及びZ軸と直交するY軸方向に移動自在なスライダdが支承されていて、スライダdに固着されたブラケットeに、軸線がY軸と一致するように電動ドライバfが取り付けられている。
【0010】
電動ドライバfの先端には筒状のガイド筒gが設けられいて、このガイド筒g内に、電動ドライバfにより回転駆動されるビットhが収容されている。
【0011】
前記構成された自動ねじ締め装置を使用して、例えば2部材i,jをねじkにより締結する場合、一方の部材iに穿設された通し孔mと、他方の部材jに穿設されたねじ孔nを図10に示すように一致させた状態で、コラムbをX軸方向に、そして支持アームcをZ軸方向に移動させて電動ドライバfのビットhに保持させたねじkの中心と通し孔mの中心が一致するようにねじkの位置決めを行う。
【0012】
ねじkの位置決めが完了したら、電動ドライバfをY軸方向へ前進させて、ねじkの先端を通し孔mよりねじ孔nへ挿入し、電動ドライバfによりねじkを回転させてねじkをねじ孔nに螺挿することにより、部材i,jを締結するようになっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし前記特許文献1に記載された従来の自動ねじ締め装置は、通し孔やねじ孔を検出するのに撮影手段を採用しているため、構造が複雑な上、装置が高価となる問題がある。
【0014】
一方図9ないし図12に記載した自動ねじ締め装置は、撮影手段等を必要としないため、前記特許文献1に記載の自動ねじ締め装置に比べて構成が簡単で、かつ価格も安い等の利点がある。
【0015】
しかし通し孔mにねじkを位置合せしたら、電動ドライバfをY軸方向に直線的に移動させてねじ締めを行うため、通し孔mの中心とねじ孔nの中心に図11に示すように位置ずれがあった場合、ねじkの中心とねじ孔nの中心にずれαが生じるため、電動ドライバfをY軸方向へ移動させても、ねじ孔nにねじkを螺挿することができず、部材i,jを締結できない問題がある。
【0016】
またねじkを無理にねじ孔nに螺挿しようとすると、ねじkやねじ孔nのねじ部が破損したり、ねじkの頭部に形成された工具溝が破損するため、破損した部材jやねじkを新しいものに交換しなければならず、交換に時間や手間を要して生産性が低下する原因となると共に、破損した部材jやねじkが無駄になる等の問題もある。
【0017】
さらにねじ孔nに対してねじkの中心が図12に示すように、角度θ傾斜した状態でねじkがねじ孔nに螺挿された場合、締め付けが十分にできないため、部材i,jの締結が不完全になる上、電動ドライバfに偏荷重が加わるため、繰り返しねじ締めを行った場合、電動ドライバfの寿命を早期に低下させると共に、ビットhの中心に対してねじkの中心が角度θ傾いた状態でねじkを回転させると、ねじkがビットhより外れて周囲に飛散する問題もある。
【0018】
本発明はかかる従来の問題を改善するためになされたもので、部材に形成された通し孔とねじ孔の中心にずれがあってもねじを確実に螺挿することができる自動ねじ締め装置を提供することを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明の自動ねじ締め装置は、複数の部材に形成された通し孔とねじ孔を互いに一致させた状態で、電動ドライバに保持させたねじを通し孔よりねじ孔に螺挿することにより、ねじにより部材同士を締結する自動ねじ締め装置であって、電動ドライバの後端を回動自在に支承する支点手段と、電動ドライバの先端側が、支点手段の支点部を中心に揺動自在となるよう電動ドライバを弾性支持する弾性支持手段とから構成したものである。
【0020】
前記構成により、部材に穿設された通し孔とねじ孔の中心にずれがあっても、支点手段の支点部を中心に電動ドライバの先端部が揺動して、ねじの中心がねじ孔の中心と一致するよう調心されるため、通し孔やねじ孔の加工誤差、各部材間の組み立て誤差、またこれら誤差が集積された集積誤差等により通し孔とねじ孔の中心にずれが生じても、ねじ孔にねじを確実に螺挿することができる。
【0021】
これによってねじの締め付け中に、ねじやねじ孔のねじ山、ねじ頭部の工具溝が破損することがほとんどないため、ねじ締め作業を中断して破損したねじや部材を交換する作業が不要になることから、生産性が向上する上、ねじや部材が無駄になることがないと共に、ねじの締め付けが不完全となることがないため、ねじにより部材同士を確実に締結することができる。
【0022】
またねじの締め付け中に電動ドライバに偏荷重が加わることが少なくなるため、繰り返しねじ締めを行っても、電動ドライバの寿命を早期に低下させることがないと共に、ビットに対してねじが大きく傾斜した状態で電動ドライバによりねじが高速で回転されることがなくなるため、ねじがビットより外れて周辺に飛散することもない。
【0023】
前記目的を達成するため本発明の自動ねじ締め装置は、複数の部材に形成された通し孔とねじ孔を互いに一致させた状態で、電動ドライバに保持させたねじを通し孔よりねじ孔に螺挿することにより、ねじにより部材を締結する自動ねじ締め装置であって、基台上にX軸方向へ移動自在に設けられたコラムと、コラムにZ軸方向へ移動自在に支承された支持アームと、支持アームにY軸方向へ移動自在に支承された電動ドライバと、電動ドライバの後端を回動自在に支承する支点手段と、電動ドライバの先端側が、支点手段の支点部を中心に揺動自在となるよう電動ドライバを弾性支持する弾性支持手段とから構成したものである。
【0024】
前記構成により、部材に穿設された通し孔とねじ孔に精度よくねじを位置合わせして、電動ドライバによりねじをねじ孔に自動的に螺挿することができるため、部材にねじ締めするねじ孔が多数あっても、短時間で能率よくねじ締めが行えると共に、部材に穿設された通し孔とねじ孔の中心にずれがあっても、支点手段の支点部を中心に電動ドライバの先端部が揺動して、ねじの中心がねじ孔の中心と一致するよう調心されるため、通し孔やねじ孔の加工誤差、各部材間の組み立て誤差、またこれら誤差が集積された集積誤差等により通し孔とねじ孔の中心にずれが生じても、ねじ孔にねじを確実に螺挿することができる。
【0025】
前記目的を達成するため本発明の自動ねじ締め装置は、弾性支持手段を、電動ドライバを支持する弾性体と、弾性体を収容するホルダとから構成し、かつ弾性支持手段により電動ドライバの中間部付近を弾性支持したものである。
【0026】
前記構成により、ビットに保持されたねじが通し孔の範囲内で自在に移動可能になるため、ねじ孔にねじを確実に螺挿することができると共に、弾性支持手段が簡単な構成で安価に得られるようになる。
【0027】
前記目的を達成するため本発明の自動ねじ締め装置は、支点手段の支点部を中心に揺動自在な電動ドライバの先端部の揺動範囲を、ねじの直径を半径とする円内としたものである。
【0028】
前記構成により、電動ドライバの先端部が大きく振れることがないので、安定したねじ締め作業が行えるようになる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
【0030】
図1は直交型ロボットよりなる自動ねじ締め装置の斜視図、図2は電動ドライバ付近の一部切欠平面図、図3は図2のA−A線に沿う断面図、図4ないし図7は作用説明図である。
【0031】
図1に示す自動ねじ締め装置の本体1は、X軸方向に長い基台1aを有していて、基台1a上にX軸方向へ移動自在にコラム1bが立設されている。
【0032】
コラム1bには、Z軸方向へ昇降自在な支持アーム1cが支承されており、コラム1bはX軸モータ(図示せず)によりX軸方向に、そして支持アーム1cはZ軸モータ(図示せず)によりZ軸方向へ移動されるようになっている。
【0033】
直立するコラム1bに対し支持アーム1cは、Z軸と直交するY軸に平行するよう水平に設けられていて、支持アーム1cの側面には、Y軸モータ(図示せず)によりY軸方向に移動自在なスライダ1dが支承されており、前記X軸モータ、Z軸モータ及びY軸モータは、ケーブル2を介して図示しない制御手段に接続されている。
【0034】
スライダ1dの側面には、ほぼコ字状に形成されたブラケット1eが固着具15により固着されていて、このブラケット1eに軸心がY軸と平行するように電動ドライバ3と組み立てユニット4が取り付けられている。
【0035】
電動ドライバ3は図2に示すように、電動機3aと、電動機3aの回転軸に取り付けられたチャック(ともに図示せず)とからなり、チャックにビット5が着脱自在に取り付けられていると共に、電動ドライバ3の先端部には、ねじ供給手段6が設けられている。
【0036】
ねじ供給手段6は、ビット5の周囲を囲むように設けられた筒状のガイド筒6aを有していて、ビット5が後退した状態のときに、ねじ供給管6bよりガイド筒6a内に順次ねじ7が供給されるようになっており、ガイド筒6aに供給されたねじ7は、ビット5の前進とともにビット5の先端にねじ7の頭部7aに形成されている工具溝(図示せず)が嵌合されて、ビット5の先端とガイド筒6aの内周面との間でねじ7が保持されるようになっている。
【0037】
電動ドライバ3の後部は軸状部3bとなっていて、この軸状部3bのほぼ中間部と後端部が組み立てユニット4に支持されている。
【0038】
組み立てユニット4は、電動ドライバ3の軸状部3bを弾性的に支持する弾性支持手段9と、軸状部3bの後端を支持する支点手段10とからなる。
【0039】
弾性支持手段9は、電動ドライバ3の軸状部3bに緩く嵌合された筒状のホルダ9aと、ホルダ9a内に収容された複数本の弾性体9bよりなる。
【0040】
ホルダ9aは図3に示すように2つ割り構造となっていて、外周部に設けられた固着具11により筒状に組み合わされた状態で固定されており、内周面には半円筒状の凹溝9cが軸線方向に複数本形成されている。
【0041】
これら凹溝9cは円周方向に等間隔に設けられていて、それぞれの凹溝9cにウレタンゴム等の弾性材料により円柱状に成形された複数の弾性体9bが軸状部3bを囲むように収容されており、各弾性体9bの外周面は軸状部3の外周面に当接されていて、軸状部3bを弾性的に支持しており、これによって軸状部3bの外周面とホルダ9aの内周面との間に隙間9dが生じるようになっていて、支点手段10の支点部10iを中心に揺動自在な電動ドライバ3の先端部の揺動範囲が、ねじ7の直径を半径とする円内となるように、弾性体9bの弾性変形量が予め設定されている。
【0042】
ホルダ9aは、弾性体9bが抜け出すのを防止する端板9eが一方の端面に取り付けられ、他方の端面がブラケット1eの一端側に当接された状態で固着具12によりブラケット1eに取り付けられている。
【0043】
また支点手段10は、筒体10aを有していて、この筒体10aの一端側内部に軸状部3bの後端に形成された軸状部3bよりやや大径な大径部3cが嵌挿されている。
【0044】
大径部3cの外周は、端面側へ順次小径となるテーパ状となっており、電動ドライバ3へ電力を供給するコード13が端面より延出されている。
【0045】
筒体10aの内部には仕切壁10bが設けられていて、この仕切壁10bと、筒体10aの一端側に固着具14により固着された端板10cの間で軸状部3bの後端と筒体10aが一体となるよう挟着されている。
【0046】
筒体10aの他端面は端壁10dにより閉鎖されていて、この端壁10dの中心部より外側へ突設されたねじ軸10eに支点部材10fの袋ナット10gが螺合され、緩まないようロックナット10hにより締め付け固定されている。
【0047】
支点部材10fは、袋ナット10gと一体となった球状の支点部10iを有していて、この支点部10iがブラケット1eの他端側に固着された支点受け10jに回動自在に支承されている。
【0048】
次に前記構成された自動ねじ締め装置の作用を説明する。
【0049】
互いに締結すべき部材20,21の一方20には、通し孔20aが複数個所に亘って穿設され、他方の部材21には、通し孔20aと合致する位置にねじ孔21aが穿設されている。
【0050】
これら通し孔20a及びねじ孔21aの穿設された部材20,21は、組み立て状態でねじ締め位置に搬送され、図示しない固定手段により所定位置に固定される。
【0051】
自動ねじ締め装置を制御する制御手段には、予め部材20,21のねじ締め位置データが入力されていて、部材20,21の固定が完了すると、制御手段によりX軸モータ及びZ軸モータへ制御信号が送られるため、コラム1bがX軸方向へ、そして支持アーム1cがZ軸方向へ移動されて、電動ドライバ3のビット5に保持されたねじ7がはじめにねじ締めするねじ孔21aと合致する通し孔20aに位置決めされる。
【0052】
このとき通し孔20aとねじ孔21aの中心が一致していれば、電動ドライバ3によりねじ7を締め付け方向へ回転させながら、Y軸モータによりスライダ1dを前進させることにより、通し孔20aを経てねじ孔21aへねじ7を螺挿することができるが、通常は通し孔20aとねじ孔21aの加工誤差や、複数の部材20,21を組み立てる際の組み立て誤差、またこれら誤差が集積された集積誤差により通し孔20aとねじ孔21aの中心には、図4に示すようにずれが生じていることが多い。
【0053】
このような状態で通し孔20aの位置を検出して、通し孔20aの中心にねじ7の中心を位置合せしても、ねじ7の中心とねじ孔21aの中心が一致していないため、このままの状態で電動ドライバ3をY軸方向へ前進させて、ねじ7の先端をねじ孔21aに螺挿しようとしても、従来の自動ねじ締め装置では、ねじ7やねじ孔21aのねじ山が破損して、ねじ7を正常に締め付けることができない。
【0054】
しかし前記実施の形態になる自動ねじ締め装置では、電動ドライバ3の軸状部3bが図2に示すように弾性支持手段9の弾性体9bにより弾性的に支持されている上、軸状部3bの後端が支点手段10により支持されていて、支点手段10に支点部10iを中心に電動ドライバ3の先端側が上下左右方向へ揺動自在となっている。
【0055】
これによって部材20に穿設された通し孔20aの中心と、部材21に穿設されたねじ孔21aの中心が図4に示すようにずれていても、電動ドライバ3をY軸方向へ前進させてビット5の先端に保持されたねじ7の先端を通し孔21aへ挿入すると、ねじ7の先端がねじ孔21aに螺挿された直後にねじ7に偏心荷重Fが作用して、この偏心荷重Fにより弾性支持手段9の弾性体9bの一部が図6に示すように弾性変形して、支点手段10の支点部10iを中心に電動ドライバ3の先端がねじ孔21a方向へ揺動し、ねじ孔21aの中心にねじ7の中心が一致するように調心作用がねじ7に働く。
【0056】
これによってねじ孔21aの中心に対するねじ7の傾斜角θ1は、従来の傾斜角θに比べて十分小さくなるため、この状態でさらに電動ドライバ3をY軸方向へ前進させることにより、図7に示すようにねじ7の中心をねじ孔21aの中心に合致させた状態で、ねじ孔21aにねじ7を螺挿することができる。
【0057】
ねじ7の締め付け力が予め設定された締め付けトルクに達すると、電動ドライバ3より制御手段へトルクアップ信号が出力されるため、制御手段はトルクアップ信号の入力とともに、スライダ1dを後退させて、ねじ7の締め付け作業を完了する。
【0058】
また部材21に複数のねじ孔21aがある場合は、前記動作を繰り返して全てのねじ孔21aにねじ7を螺挿するもので、ねじ7の締め付け中にねじ7やねじ孔21aのねじ山が破損することがほとんどないため、ねじ締め作業を中断して破損したねじや部材を交換する作業が不要になることから、、作業能率も向上する。
【0059】
さらにねじ7の締め付け中は、電動ドライバ3に偏荷重が加わることが少ないため、繰り返しねじ締め作業を行っても、電動ドライバ3の寿命が早期に低下することもない。
【0060】
なお前記実施の形態では、ホルダ9a内に複数の円柱状弾性体9bを収容することにより弾性支持手段9を形成したが、図8に示す変形例のように、ウレタンゴム等の弾性材料により円筒状に形成した弾性体9bを座板9fの間で挟着して、固着具12でブラケット1eに取り付けても、同様な機能が得られるものである。
【0061】
【発明の効果】
本発明は以上詳述したように、複数の部材に形成された通し孔とねじ孔を互いに一致させた状態で、通し孔よりねじ孔に螺挿したねじを締め付けることにより部材同士を締結する電動ドライバの後端を、支点手段により回動自在に支承すると共に、先端側が支点手段の支点部を中心に揺動自在となるよう電動ドライバを弾性支持手段により弾性支持したことから、部材に穿設された通し孔とねじ孔の中心にずれがあっても、支点手段の支点部を中心に電動ドライバの先端部が揺動して、ねじの中心がねじ孔の中心と一致するよう調心されるため、通し孔やねじ孔の加工誤差、各部材間の組み立て誤差、またこれら誤差が集積された集積誤差等により通し孔とねじ孔の中心にずれが生じても、ねじ孔にねじを確実に螺挿することができる。
【0062】
これによってねじの締め付け中に、ねじやねじ孔のねじ山、ねじ頭部の工具溝が破損することがほとんどないため、ねじ締め作業を中断して破損したねじや部材を交換する作業が不要になることから、生産性が向上する上、ねじや部材が無駄になることがないと共に、ねじの締め付けが不完全となることがないため、ねじにより部材同士を確実に締結することができる。
【0063】
またねじの締め付け中に電動ドライバに偏荷重が加わることが少なくなるため、繰り返しねじ締めを行っても、電動ドライバの寿命を早期に低下させることがないと共に、ビットに対してねじが大きく傾斜した状態で電動ドライバによりねじが高速で回転されることがなくなるため、ねじがビットより外れて周辺に飛散することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態になる自動ねじ締め装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態になる自動ねじ締め装置に設けられた電動ドライバ付近の一部切欠平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】本発明の実施の形態になる自動ねじ締め装置の作用説明図である。
【図5】本発明の実施の形態になる自動ねじ締め装置の作用説明図である。
【図6】本発明の実施の形態になる自動ねじ締め装置の作用説明図である。
【図7】本発明の実施の形態になる自動ねじ締め装置の作用説明図である。
【図8】本発明の実施の形態になる自動ねじ締め装置に設けられた弾性支持手段の変形例を示す断面図である。
【図9】従来の自動ねじ締め装置の作用説明図である。
【図10】従来の自動ねじ締め装置の斜視図である。
【図11】従来の自動ねじ締め装置の作用説明図である。
【図12】従来の自動ねじ締め装置の作用説明図である。
【符号の説明】
1a 基台
1b コラム
1c 支持アーム
3 電動ドライバ
7 ねじ
9 弾性支持手段
9a ホルダ
9b 弾性体
10 支点手段
10i 支点部
20 部材
20a 通し孔
21 部材
21a ねじ孔
【発明の属する技術分野】
本発明はビス等のねじにより部材を締結する際に使用する自動ねじ締め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来ビス等のねじにより複数の部材を締結する場合、電動ドライバを使用することが多い。
【0003】
前記電動ドライバは、電動機により回転駆動されるチャックに、ビットと称する工具を取り付けたもので、ビットの先端をねじの頭部に形成された+溝や−溝よりなる工具溝に嵌合した状態で、電動機によりビットを回転駆動することにより、ねじにより複数の部材が短時間で締結できるようになっている。
【0004】
また部材に穿設された多数のねじ孔にねじを螺挿して部材を締結する場合、部材のねじ孔の位置を撮影手段により検出して、電動ドライバのビット先端に保持させたねじをねじ孔に位置決めし、電動ドライバによりねじをねじ孔に自動的に螺挿するようにした自動ねじ締め装置が、例えば特許文献1で提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平05−237729号公報(段落0009,0010)
【0006】
前記従来のねじ締め装置は、移動体に設けた撮影手段により部材の通り孔とねじ孔を撮影し、撮影した画像により通し孔とねじ孔との重なり部分のずれ量を検出して、ずれ量に応じて移動体に設けたねじ締め手段の移動量を補正するようにしたもので、ねじ締め手段を部材の通し孔に正しく位置決めできるという効果を有している。
【0007】
一方直交型ロボットを使用してねじの締め付けを行う自動ねじ締め装置としては、例えば図9ないし図12に示すものが公知である。
【0008】
前記自動ねじ締め装置は、基台a上にX軸方向へ移動自在なコラムbを有していて、このコラムbにZ軸方向へ昇降自在な支持アームcが支承されている。
【0009】
支持アームcには、X軸及びZ軸と直交するY軸方向に移動自在なスライダdが支承されていて、スライダdに固着されたブラケットeに、軸線がY軸と一致するように電動ドライバfが取り付けられている。
【0010】
電動ドライバfの先端には筒状のガイド筒gが設けられいて、このガイド筒g内に、電動ドライバfにより回転駆動されるビットhが収容されている。
【0011】
前記構成された自動ねじ締め装置を使用して、例えば2部材i,jをねじkにより締結する場合、一方の部材iに穿設された通し孔mと、他方の部材jに穿設されたねじ孔nを図10に示すように一致させた状態で、コラムbをX軸方向に、そして支持アームcをZ軸方向に移動させて電動ドライバfのビットhに保持させたねじkの中心と通し孔mの中心が一致するようにねじkの位置決めを行う。
【0012】
ねじkの位置決めが完了したら、電動ドライバfをY軸方向へ前進させて、ねじkの先端を通し孔mよりねじ孔nへ挿入し、電動ドライバfによりねじkを回転させてねじkをねじ孔nに螺挿することにより、部材i,jを締結するようになっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし前記特許文献1に記載された従来の自動ねじ締め装置は、通し孔やねじ孔を検出するのに撮影手段を採用しているため、構造が複雑な上、装置が高価となる問題がある。
【0014】
一方図9ないし図12に記載した自動ねじ締め装置は、撮影手段等を必要としないため、前記特許文献1に記載の自動ねじ締め装置に比べて構成が簡単で、かつ価格も安い等の利点がある。
【0015】
しかし通し孔mにねじkを位置合せしたら、電動ドライバfをY軸方向に直線的に移動させてねじ締めを行うため、通し孔mの中心とねじ孔nの中心に図11に示すように位置ずれがあった場合、ねじkの中心とねじ孔nの中心にずれαが生じるため、電動ドライバfをY軸方向へ移動させても、ねじ孔nにねじkを螺挿することができず、部材i,jを締結できない問題がある。
【0016】
またねじkを無理にねじ孔nに螺挿しようとすると、ねじkやねじ孔nのねじ部が破損したり、ねじkの頭部に形成された工具溝が破損するため、破損した部材jやねじkを新しいものに交換しなければならず、交換に時間や手間を要して生産性が低下する原因となると共に、破損した部材jやねじkが無駄になる等の問題もある。
【0017】
さらにねじ孔nに対してねじkの中心が図12に示すように、角度θ傾斜した状態でねじkがねじ孔nに螺挿された場合、締め付けが十分にできないため、部材i,jの締結が不完全になる上、電動ドライバfに偏荷重が加わるため、繰り返しねじ締めを行った場合、電動ドライバfの寿命を早期に低下させると共に、ビットhの中心に対してねじkの中心が角度θ傾いた状態でねじkを回転させると、ねじkがビットhより外れて周囲に飛散する問題もある。
【0018】
本発明はかかる従来の問題を改善するためになされたもので、部材に形成された通し孔とねじ孔の中心にずれがあってもねじを確実に螺挿することができる自動ねじ締め装置を提供することを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明の自動ねじ締め装置は、複数の部材に形成された通し孔とねじ孔を互いに一致させた状態で、電動ドライバに保持させたねじを通し孔よりねじ孔に螺挿することにより、ねじにより部材同士を締結する自動ねじ締め装置であって、電動ドライバの後端を回動自在に支承する支点手段と、電動ドライバの先端側が、支点手段の支点部を中心に揺動自在となるよう電動ドライバを弾性支持する弾性支持手段とから構成したものである。
【0020】
前記構成により、部材に穿設された通し孔とねじ孔の中心にずれがあっても、支点手段の支点部を中心に電動ドライバの先端部が揺動して、ねじの中心がねじ孔の中心と一致するよう調心されるため、通し孔やねじ孔の加工誤差、各部材間の組み立て誤差、またこれら誤差が集積された集積誤差等により通し孔とねじ孔の中心にずれが生じても、ねじ孔にねじを確実に螺挿することができる。
【0021】
これによってねじの締め付け中に、ねじやねじ孔のねじ山、ねじ頭部の工具溝が破損することがほとんどないため、ねじ締め作業を中断して破損したねじや部材を交換する作業が不要になることから、生産性が向上する上、ねじや部材が無駄になることがないと共に、ねじの締め付けが不完全となることがないため、ねじにより部材同士を確実に締結することができる。
【0022】
またねじの締め付け中に電動ドライバに偏荷重が加わることが少なくなるため、繰り返しねじ締めを行っても、電動ドライバの寿命を早期に低下させることがないと共に、ビットに対してねじが大きく傾斜した状態で電動ドライバによりねじが高速で回転されることがなくなるため、ねじがビットより外れて周辺に飛散することもない。
【0023】
前記目的を達成するため本発明の自動ねじ締め装置は、複数の部材に形成された通し孔とねじ孔を互いに一致させた状態で、電動ドライバに保持させたねじを通し孔よりねじ孔に螺挿することにより、ねじにより部材を締結する自動ねじ締め装置であって、基台上にX軸方向へ移動自在に設けられたコラムと、コラムにZ軸方向へ移動自在に支承された支持アームと、支持アームにY軸方向へ移動自在に支承された電動ドライバと、電動ドライバの後端を回動自在に支承する支点手段と、電動ドライバの先端側が、支点手段の支点部を中心に揺動自在となるよう電動ドライバを弾性支持する弾性支持手段とから構成したものである。
【0024】
前記構成により、部材に穿設された通し孔とねじ孔に精度よくねじを位置合わせして、電動ドライバによりねじをねじ孔に自動的に螺挿することができるため、部材にねじ締めするねじ孔が多数あっても、短時間で能率よくねじ締めが行えると共に、部材に穿設された通し孔とねじ孔の中心にずれがあっても、支点手段の支点部を中心に電動ドライバの先端部が揺動して、ねじの中心がねじ孔の中心と一致するよう調心されるため、通し孔やねじ孔の加工誤差、各部材間の組み立て誤差、またこれら誤差が集積された集積誤差等により通し孔とねじ孔の中心にずれが生じても、ねじ孔にねじを確実に螺挿することができる。
【0025】
前記目的を達成するため本発明の自動ねじ締め装置は、弾性支持手段を、電動ドライバを支持する弾性体と、弾性体を収容するホルダとから構成し、かつ弾性支持手段により電動ドライバの中間部付近を弾性支持したものである。
【0026】
前記構成により、ビットに保持されたねじが通し孔の範囲内で自在に移動可能になるため、ねじ孔にねじを確実に螺挿することができると共に、弾性支持手段が簡単な構成で安価に得られるようになる。
【0027】
前記目的を達成するため本発明の自動ねじ締め装置は、支点手段の支点部を中心に揺動自在な電動ドライバの先端部の揺動範囲を、ねじの直径を半径とする円内としたものである。
【0028】
前記構成により、電動ドライバの先端部が大きく振れることがないので、安定したねじ締め作業が行えるようになる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
【0030】
図1は直交型ロボットよりなる自動ねじ締め装置の斜視図、図2は電動ドライバ付近の一部切欠平面図、図3は図2のA−A線に沿う断面図、図4ないし図7は作用説明図である。
【0031】
図1に示す自動ねじ締め装置の本体1は、X軸方向に長い基台1aを有していて、基台1a上にX軸方向へ移動自在にコラム1bが立設されている。
【0032】
コラム1bには、Z軸方向へ昇降自在な支持アーム1cが支承されており、コラム1bはX軸モータ(図示せず)によりX軸方向に、そして支持アーム1cはZ軸モータ(図示せず)によりZ軸方向へ移動されるようになっている。
【0033】
直立するコラム1bに対し支持アーム1cは、Z軸と直交するY軸に平行するよう水平に設けられていて、支持アーム1cの側面には、Y軸モータ(図示せず)によりY軸方向に移動自在なスライダ1dが支承されており、前記X軸モータ、Z軸モータ及びY軸モータは、ケーブル2を介して図示しない制御手段に接続されている。
【0034】
スライダ1dの側面には、ほぼコ字状に形成されたブラケット1eが固着具15により固着されていて、このブラケット1eに軸心がY軸と平行するように電動ドライバ3と組み立てユニット4が取り付けられている。
【0035】
電動ドライバ3は図2に示すように、電動機3aと、電動機3aの回転軸に取り付けられたチャック(ともに図示せず)とからなり、チャックにビット5が着脱自在に取り付けられていると共に、電動ドライバ3の先端部には、ねじ供給手段6が設けられている。
【0036】
ねじ供給手段6は、ビット5の周囲を囲むように設けられた筒状のガイド筒6aを有していて、ビット5が後退した状態のときに、ねじ供給管6bよりガイド筒6a内に順次ねじ7が供給されるようになっており、ガイド筒6aに供給されたねじ7は、ビット5の前進とともにビット5の先端にねじ7の頭部7aに形成されている工具溝(図示せず)が嵌合されて、ビット5の先端とガイド筒6aの内周面との間でねじ7が保持されるようになっている。
【0037】
電動ドライバ3の後部は軸状部3bとなっていて、この軸状部3bのほぼ中間部と後端部が組み立てユニット4に支持されている。
【0038】
組み立てユニット4は、電動ドライバ3の軸状部3bを弾性的に支持する弾性支持手段9と、軸状部3bの後端を支持する支点手段10とからなる。
【0039】
弾性支持手段9は、電動ドライバ3の軸状部3bに緩く嵌合された筒状のホルダ9aと、ホルダ9a内に収容された複数本の弾性体9bよりなる。
【0040】
ホルダ9aは図3に示すように2つ割り構造となっていて、外周部に設けられた固着具11により筒状に組み合わされた状態で固定されており、内周面には半円筒状の凹溝9cが軸線方向に複数本形成されている。
【0041】
これら凹溝9cは円周方向に等間隔に設けられていて、それぞれの凹溝9cにウレタンゴム等の弾性材料により円柱状に成形された複数の弾性体9bが軸状部3bを囲むように収容されており、各弾性体9bの外周面は軸状部3の外周面に当接されていて、軸状部3bを弾性的に支持しており、これによって軸状部3bの外周面とホルダ9aの内周面との間に隙間9dが生じるようになっていて、支点手段10の支点部10iを中心に揺動自在な電動ドライバ3の先端部の揺動範囲が、ねじ7の直径を半径とする円内となるように、弾性体9bの弾性変形量が予め設定されている。
【0042】
ホルダ9aは、弾性体9bが抜け出すのを防止する端板9eが一方の端面に取り付けられ、他方の端面がブラケット1eの一端側に当接された状態で固着具12によりブラケット1eに取り付けられている。
【0043】
また支点手段10は、筒体10aを有していて、この筒体10aの一端側内部に軸状部3bの後端に形成された軸状部3bよりやや大径な大径部3cが嵌挿されている。
【0044】
大径部3cの外周は、端面側へ順次小径となるテーパ状となっており、電動ドライバ3へ電力を供給するコード13が端面より延出されている。
【0045】
筒体10aの内部には仕切壁10bが設けられていて、この仕切壁10bと、筒体10aの一端側に固着具14により固着された端板10cの間で軸状部3bの後端と筒体10aが一体となるよう挟着されている。
【0046】
筒体10aの他端面は端壁10dにより閉鎖されていて、この端壁10dの中心部より外側へ突設されたねじ軸10eに支点部材10fの袋ナット10gが螺合され、緩まないようロックナット10hにより締め付け固定されている。
【0047】
支点部材10fは、袋ナット10gと一体となった球状の支点部10iを有していて、この支点部10iがブラケット1eの他端側に固着された支点受け10jに回動自在に支承されている。
【0048】
次に前記構成された自動ねじ締め装置の作用を説明する。
【0049】
互いに締結すべき部材20,21の一方20には、通し孔20aが複数個所に亘って穿設され、他方の部材21には、通し孔20aと合致する位置にねじ孔21aが穿設されている。
【0050】
これら通し孔20a及びねじ孔21aの穿設された部材20,21は、組み立て状態でねじ締め位置に搬送され、図示しない固定手段により所定位置に固定される。
【0051】
自動ねじ締め装置を制御する制御手段には、予め部材20,21のねじ締め位置データが入力されていて、部材20,21の固定が完了すると、制御手段によりX軸モータ及びZ軸モータへ制御信号が送られるため、コラム1bがX軸方向へ、そして支持アーム1cがZ軸方向へ移動されて、電動ドライバ3のビット5に保持されたねじ7がはじめにねじ締めするねじ孔21aと合致する通し孔20aに位置決めされる。
【0052】
このとき通し孔20aとねじ孔21aの中心が一致していれば、電動ドライバ3によりねじ7を締め付け方向へ回転させながら、Y軸モータによりスライダ1dを前進させることにより、通し孔20aを経てねじ孔21aへねじ7を螺挿することができるが、通常は通し孔20aとねじ孔21aの加工誤差や、複数の部材20,21を組み立てる際の組み立て誤差、またこれら誤差が集積された集積誤差により通し孔20aとねじ孔21aの中心には、図4に示すようにずれが生じていることが多い。
【0053】
このような状態で通し孔20aの位置を検出して、通し孔20aの中心にねじ7の中心を位置合せしても、ねじ7の中心とねじ孔21aの中心が一致していないため、このままの状態で電動ドライバ3をY軸方向へ前進させて、ねじ7の先端をねじ孔21aに螺挿しようとしても、従来の自動ねじ締め装置では、ねじ7やねじ孔21aのねじ山が破損して、ねじ7を正常に締め付けることができない。
【0054】
しかし前記実施の形態になる自動ねじ締め装置では、電動ドライバ3の軸状部3bが図2に示すように弾性支持手段9の弾性体9bにより弾性的に支持されている上、軸状部3bの後端が支点手段10により支持されていて、支点手段10に支点部10iを中心に電動ドライバ3の先端側が上下左右方向へ揺動自在となっている。
【0055】
これによって部材20に穿設された通し孔20aの中心と、部材21に穿設されたねじ孔21aの中心が図4に示すようにずれていても、電動ドライバ3をY軸方向へ前進させてビット5の先端に保持されたねじ7の先端を通し孔21aへ挿入すると、ねじ7の先端がねじ孔21aに螺挿された直後にねじ7に偏心荷重Fが作用して、この偏心荷重Fにより弾性支持手段9の弾性体9bの一部が図6に示すように弾性変形して、支点手段10の支点部10iを中心に電動ドライバ3の先端がねじ孔21a方向へ揺動し、ねじ孔21aの中心にねじ7の中心が一致するように調心作用がねじ7に働く。
【0056】
これによってねじ孔21aの中心に対するねじ7の傾斜角θ1は、従来の傾斜角θに比べて十分小さくなるため、この状態でさらに電動ドライバ3をY軸方向へ前進させることにより、図7に示すようにねじ7の中心をねじ孔21aの中心に合致させた状態で、ねじ孔21aにねじ7を螺挿することができる。
【0057】
ねじ7の締め付け力が予め設定された締め付けトルクに達すると、電動ドライバ3より制御手段へトルクアップ信号が出力されるため、制御手段はトルクアップ信号の入力とともに、スライダ1dを後退させて、ねじ7の締め付け作業を完了する。
【0058】
また部材21に複数のねじ孔21aがある場合は、前記動作を繰り返して全てのねじ孔21aにねじ7を螺挿するもので、ねじ7の締め付け中にねじ7やねじ孔21aのねじ山が破損することがほとんどないため、ねじ締め作業を中断して破損したねじや部材を交換する作業が不要になることから、、作業能率も向上する。
【0059】
さらにねじ7の締め付け中は、電動ドライバ3に偏荷重が加わることが少ないため、繰り返しねじ締め作業を行っても、電動ドライバ3の寿命が早期に低下することもない。
【0060】
なお前記実施の形態では、ホルダ9a内に複数の円柱状弾性体9bを収容することにより弾性支持手段9を形成したが、図8に示す変形例のように、ウレタンゴム等の弾性材料により円筒状に形成した弾性体9bを座板9fの間で挟着して、固着具12でブラケット1eに取り付けても、同様な機能が得られるものである。
【0061】
【発明の効果】
本発明は以上詳述したように、複数の部材に形成された通し孔とねじ孔を互いに一致させた状態で、通し孔よりねじ孔に螺挿したねじを締め付けることにより部材同士を締結する電動ドライバの後端を、支点手段により回動自在に支承すると共に、先端側が支点手段の支点部を中心に揺動自在となるよう電動ドライバを弾性支持手段により弾性支持したことから、部材に穿設された通し孔とねじ孔の中心にずれがあっても、支点手段の支点部を中心に電動ドライバの先端部が揺動して、ねじの中心がねじ孔の中心と一致するよう調心されるため、通し孔やねじ孔の加工誤差、各部材間の組み立て誤差、またこれら誤差が集積された集積誤差等により通し孔とねじ孔の中心にずれが生じても、ねじ孔にねじを確実に螺挿することができる。
【0062】
これによってねじの締め付け中に、ねじやねじ孔のねじ山、ねじ頭部の工具溝が破損することがほとんどないため、ねじ締め作業を中断して破損したねじや部材を交換する作業が不要になることから、生産性が向上する上、ねじや部材が無駄になることがないと共に、ねじの締め付けが不完全となることがないため、ねじにより部材同士を確実に締結することができる。
【0063】
またねじの締め付け中に電動ドライバに偏荷重が加わることが少なくなるため、繰り返しねじ締めを行っても、電動ドライバの寿命を早期に低下させることがないと共に、ビットに対してねじが大きく傾斜した状態で電動ドライバによりねじが高速で回転されることがなくなるため、ねじがビットより外れて周辺に飛散することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態になる自動ねじ締め装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態になる自動ねじ締め装置に設けられた電動ドライバ付近の一部切欠平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】本発明の実施の形態になる自動ねじ締め装置の作用説明図である。
【図5】本発明の実施の形態になる自動ねじ締め装置の作用説明図である。
【図6】本発明の実施の形態になる自動ねじ締め装置の作用説明図である。
【図7】本発明の実施の形態になる自動ねじ締め装置の作用説明図である。
【図8】本発明の実施の形態になる自動ねじ締め装置に設けられた弾性支持手段の変形例を示す断面図である。
【図9】従来の自動ねじ締め装置の作用説明図である。
【図10】従来の自動ねじ締め装置の斜視図である。
【図11】従来の自動ねじ締め装置の作用説明図である。
【図12】従来の自動ねじ締め装置の作用説明図である。
【符号の説明】
1a 基台
1b コラム
1c 支持アーム
3 電動ドライバ
7 ねじ
9 弾性支持手段
9a ホルダ
9b 弾性体
10 支点手段
10i 支点部
20 部材
20a 通し孔
21 部材
21a ねじ孔
Claims (4)
- 複数の部材に形成された通し孔とねじ孔を互いに一致させた状態で、電動ドライバに保持させたねじを前記通し孔より前記ねじ孔に螺挿することにより、前記ねじにより前記部材同士を締結する自動ねじ締め装置であって、前記電動ドライバの後端を回動自在に支承する支点手段と、前記電動ドライバの先端側が、前記支点手段の支点部を中心に揺動自在となるよう前記電動ドライバを弾性支持する弾性支持手段とを具備したことを特徴とする自動ねじ締め装置。
- 複数の部材に形成された通し孔とねじ孔を互いに一致させた状態で、電動ドライバに保持させたねじを前記通し孔より前記ねじ孔に螺挿することにより、前記ねじにより前記部材同士を締結する自動ねじ締め装置であって、基台上にX軸方向へ移動自在に設けられたコラムと、前記コラムにZ軸方向へ移動自在に支承された支持アームと、前記支持アームにY軸方向へ移動自在に支承された電動ドライバと、前記電動ドライバの後端を回動自在に支承する支点手段と、前記電動ドライバの先端側が、前記支点手段の支点部を中心に揺動自在となるよう前記電動ドライバを弾性支持する弾性支持手段とを具備したことを特徴とする自動ねじ締め装置。
- 前記弾性支持手段を、前記電動ドライバを支持する弾性体と、前記弾性体を収容するホルダとから構成し、かつ前記弾性支持手段により前記電動ドライバの中間部付近を弾性支持してなる請求項1または2に記載の自動ねじ締め装置。
- 前記支点手段の支点部を中心に揺動自在な前記電動ドライバの先端部の揺動範囲を、前記ねじの直径を半径とする円内としてなる請求項1ないし3の何れかに記載の自動ねじ締め装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003187502A JP2005022006A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 自動ねじ締め装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003187502A JP2005022006A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 自動ねじ締め装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005022006A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102601611A (zh) * | 2012-03-31 | 2012-07-25 | 天津博信汽车零部件有限公司 | 一种电动螺栓紧固工具的支承装置 |
JP5088372B2 (ja) * | 2007-08-16 | 2012-12-05 | 富士通株式会社 | ネジ締め装置 |
CN112024931A (zh) * | 2020-09-01 | 2020-12-04 | 于凤霞 | 一种爬梯护栏生成设备 |
CN113369835A (zh) * | 2021-04-30 | 2021-09-10 | 深圳市迪尔泰设备有限公司 | 一种吊扇吊头安装系统及安装工艺 |
WO2024009587A1 (ja) * | 2022-07-05 | 2024-01-11 | 三菱重工航空エンジン株式会社 | 組立方法及び組立装置 |
-
2003
- 2003-06-30 JP JP2003187502A patent/JP2005022006A/ja active Pending
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