JP5040811B2 - 渦電流減速装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の車両に設置されている主ブレーキを補助する渦電流減速装置に関し、特に、機関の回転軸に連結した制動ディスクに磁界を作用させるタイプの渦電流減速装置に関するものである。
トラックやバス等の大型車両の補助ブレーキとして使用される渦電流減速装置には、制動時の磁気効率が優れ、小型、軽量化が可能であると共に、長期間に亘る使用の際にも、安定した制動力と耐久性を確保できることが求められている。
この渦電流減速装置には、いくつかのタイプがある。機関の回転軸に連結したローターの形状に着目すると、ディスク状の制動部材を採用するタイプ(ディスク式)と、ドラム状の制動部材を採用するタイプ(ドラム式)に大別される。
このうち、ディスク式の渦電流減速装置には、例えば永久磁石の磁極面をディスクに対向させて接近させ、ディスク自体に制動トルクを発生させるものが開発されている。このディスク式渦電流減速装置は、短い磁路長さで永久磁石の磁力線を制動ディスクに付加できるので、磁気回路内の磁気抵抗が小さくなって磁気効率が向上し、制動トルクを増大させることができる。
このディスク式の渦電流減速装置では、制動時、磁石が発する磁力を強磁性材の制動ディスクに作用させると、磁石と制動ディスク間に高い吸引力が発生し、この吸引力が制動ディスクを取付けた回転軸の軸受部に対して過大なスラスト荷重として作用する場合がある。従って、軸受部の寿命を長くするには、磁石と制動ディスク間の吸引力を低減することが必要である。
前記軸受部に生じるスラスト荷重を低減する手段として、出願人は、制動ディスクの磁力が作用する部分を主に非磁性材または弱磁性材からなるものとして、磁石との吸引力を低減する技術を開示している(特許文献1)。
特開2006−340428号公報
非磁性材は磁石に吸引されず、また弱磁性材は磁石に吸引されるがその力は弱いので、特許文献1で開示した技術の場合、磁石に強く吸引される強磁性材を制動ディスクに用いるよりも、磁石とディスク間の吸引力を低減でき、軸受部のスラスト荷重を抑制できる。
また、特許文献1には、非磁性材または弱磁性材からなる第1層と強磁性材からなる第2層を組み合わせた制動ディスクとすることも開示されている。このような構成では、磁束が非磁性材または弱磁性材を貫通するように磁気回路を形成でき、スラスト荷重の低減に加えて、非磁性材または弱磁性材で発生する制動力を高めることができる。
ディスク式の渦電流減速装置の、制動ディスクに磁力を作用させると、制動ディスクには渦電流が発生する。この渦電流と磁力の相互作用によって、制動ディスクには、回転方向と逆方向に働く制動力が生じる。従って、制動ディスクの磁力が作用する部分に、電気伝導度の高い材料を設置すると、発生する渦電流が多くなって制動効率が高まる。
しかしながら、渦電流が発生すると制動ディスクはジュール熱によって加熱されるので、制動ディスクには耐熱性も要求される。
このように、ディスク式の渦電流減速装置に要求される、軸受部へのスラスト荷重の低減と高い制動力の確保を両立させるためには、強磁性材からなる制動ディスクの磁力が作用する部分に、電気伝導度が高く、耐熱性に優れた非磁性材や弱磁性材を備えるとよい。好適な素材として、銅および銅合金を挙げることができる。
これら非磁性材である例えば銅または銅合金と強磁性材である鋼を組み合わせる手段の一つとして、めっき法が挙げられる。
例えば特許文献2には渦電流減速装置の円筒形状のローターの内面に銅または銅合金層をめっきしたものが開示されている。この特許文献2には、銅または銅合金からなる層の上にニッケル系合金からなる中間保護膜、さらにその上にニッケルからなる上層保護膜を設けることにより、耐久性を向上させることも記載されている。
特開平10−155266号公報
しかしながら、このような円筒形状のローターを有する渦電流減速装置では、ローターの内表面と対向する位置に磁石が配置される。従って、制動時にローターに磁力が作用すると、ローターは内径側、すなわちローターが取付けられた回転軸の軸方向と垂直方向に吸引され、回転軸の軸方向には荷重が負荷されない。
また、磁石は円周方向に等間隔で配置されるため、ローターは周方向で均等に吸引され、磁石の吸引力によってローターの回転バランスが崩れることはない。
つまり、スラスト荷重の低減はディスク式渦電流減速装置に特有の技術的課題である。
加えて、特許文献2では、このような円筒形状のローター内面に設ける銅または銅合金層の厚さは500μm以下にすることが望ましいと記載されている。
しかしながら、後述のように、ディスク式の渦電流減速装置において、回転軸の軸受部のスラスト荷重を低減するためには、ある程度以上の厚みを有することが必要であり、銅または銅合金の場合、1mm以上の厚みとすることが望ましい。
このような1mm以上の厚みの銅または銅合金層を、特許文献2と同様にめっき法で形成しようとすると、膜厚が均一な層を得ることが困難である。仮に形成できた場合でも多大な時間を要する。
さらに、めっきによって鋼の上に電気的に析出した銅または銅合金の接合強度は、後述する銅と鉄の原子の拡散による接合強度に比べて極めて低い。
このため、磁力が作用する部分に、鋼と比較して耐高温酸化性に劣る銅または銅合金をめっきした制動ディスクを仮に製造できたとしても、高い制動力を必要とする機種や、長期間使用される機種に適用した場合は、制動ディスクの耐久性能が不足する。なお、特許文献1にも、制動ディスクの耐久性能を確保する技術に関する記載はない。
本発明が解決しようとする問題点は、回転軸の軸受部のスラスト荷重を低減可能な従来のディスク式の渦電流減速装置では、高い制動力を必要とする機種や、長期間使用される機種に適用した場合は、制動ディスクの耐久性能が不足するという点である。
本発明の渦電流減速装置は、
制動ディスクが取付けられた回転軸の軸受部に生じるスラスト荷重を低減しつつ、高い制動力で長期間繰返し使用した場合の制動ディスクの耐久性を確保するために、
回転軸に連結され、ディスク状の制動部材を備えたローターと、
非回転部に固定した保持部材に保持され、前記制動部材に磁極面が対向すると共に隣り合う磁極が逆向きになるように配置された複数の磁石を備え、
制動時には、前記磁石の磁力を前記制動部材に作用させて渦電流を利用した制動力を発生させ、非制動時には、前記磁石の磁力を前記制動部材に作用させないようにする渦電流減速装置であって、
前記制動部材の、前記磁石の磁力が作用する部分に銅または銅合金からなる1mm以上の厚みを有する非磁性材を、この非磁性材の前記磁石と対向する表面側に保護材を、前記非磁性材の前記磁石と反対側の裏面側に強磁性材をそれぞれ備えさせ、
かつ前記非磁性材と前記強磁性材を加熱し、互いの原子の拡散により直接接合したものであることを最も主要な特徴としている。
本発明の渦電流減速装置では、耐久性向上のためには、前記非磁性材と前記保護材も、互いの原子の拡散により直接接合したものであることが望ましい
本発明において、「直接接合」とは、複数の部材が互いの原子の拡散により直接接合したもので、接合する両部材の間にろう材などの第3の部材を介在させない構造をいう。
本発明により、ローターが取付けられた回転軸の軸受部に生じるスラスト荷重を低減し、さらに、高い制動力で長期間繰返し使用した場合においてもローターの耐久性を確保することができる。
以下、本発明の新しい着想から課題解決に至るまでの経過と共に、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
前述のように、強磁性材からなる制動ディスクの磁力が作用する部分に非磁性材を備えさせると、回転軸の軸受部に生じるスラスト荷重を低減することができる。このうち、非磁性材には高い電気伝導度と耐熱性が要求されることと、安定調達性及びコスト面を考慮すると、銅または銅合金が望ましい。また、強磁性材は、安定調達性やコスト面を考慮すると、鋼が最適である。
ところで、渦電流減速装置が制動と非制動を繰り返すと、制動ディスクは発熱と冷却を繰り返すことになる。このとき、銅または銅合金と鋼の熱膨張率差に起因して、両者の接合界面には歪みが生じる。この歪みが繰り返し与えられた場合でも、前記接合部にはく離などの損傷が生じ難くするためには、銅または銅合金と鋼を強固に接合する必要がある。
また、制動時には電気伝導度の高い銅または銅合金に多くの渦電流が流れるので、主に銅または銅合金の部分が発熱する。しかしながら、銅または銅合金は鋼に比べて融点が低く、耐熱性に劣る。
銅または銅合金と鋼を強固に接合する手段として、銅または銅合金と鋼の間にろうなどの接合材を挟むと、熱伝達時の大きな障壁となる界面が銅または銅合金と接合材の間、接合材と鋼の間に2箇所できることになって、熱伝達の効率が大きく低下してしまう。
そこで、本発明では、両者を強固に接合して銅または銅合金の耐久性を高めるために、発生した熱を鋼に効率的に伝達して温度の上昇を抑制するべく、銅または銅合金と鋼を、ろう材などの第3の部材を介在させずに原子の拡散を利用して直接接合することとした。
このように、制動ディスクの磁力が作用する部分に備えさせた非磁性材である銅または銅合金と強磁性材である鋼を原子の拡散によって直接接合した構造とすると、高温での繰返し使用に対する耐久性に優れた渦電流減速装置を得ることができる。
図1は本発明の渦電流減速装置の制動状態における縦断面の上半分のみを示した図である。
1はディスク状の制動部材を備えたローターであり、例えば支持部材2を介してプロペラシャフトなどの回転軸3に連結されている。このローター1の制動部材は、強磁性材1aと非磁性材1b、および非磁性材1bを高温酸化から保護するための保護材1cで構成され、このうちの非磁性材1bは後述する磁石が発する磁力が及ぶ範囲に設ける。このとき、非磁性材1bの磁石と反対側には強磁性材1aが、磁石側には保護材1cが存在するようにし、銅または銅合金からなる非磁性体1bがローター1の外部に露出しない構造とするのが好ましい。
4は永久磁石で、隣接する永久磁石4の極性が互いに逆向きになるよう、強磁性材からなるリング状の保持リング5に、複数個を周方向に等間隔で配置している。
前記保持リング5は、エアシリンダ6のピストンロッド6aに連結され、エアシリンダ6の作動により永久磁石4群が前記回転軸3の軸方向に往復運動するように構成する。このエアシリンダ6は永久磁石4群の往復運動に必要な数だけ設ける。
前記永久磁石4群は、車体の非回転部分(例えばトランスミッションのリアカバー)に、ローター1と空隙8を設けて固定された案内筒7に納められる。この案内筒7は非磁性体または磁性体の単一材質で構成しても良い。また、非磁性体で構成し、ローター1と対向する面に強磁性体からなるポールピース(図示せず)を円周配設し、ローター1に作用する磁力の減衰を抑制するようにしても良い。なお、前記空隙8の大きさは渦電流減速装置の必要性能に応じて適宜決定する。
ところで、本発明では、前記ローター1を構成する非磁性材1bには、銅または銅合金を使用することが望ましい。電気伝導度が高い非磁性材としては、アルミニウムやアルミニウム合金も考えられるが、高温まで使用できる高性能なローター1を得るためには、アルミニウムやアルミニウム合金より融点が高く耐熱性に優れる銅または銅合金が適しているからである。
前記ローター1に使用する非磁性材1bの厚さは、スラスト荷重を低減するためには、ある程度以上の厚さを有することが必要で、銅または銅合金の場合、1mm以上の厚さとすることが望ましい。一方、非磁性材1bの厚さが厚くなればスラスト荷重の低減効果は向上するが、厚くなりすぎると制動力が低下するので、4mm以下とするのがさらに望ましい。
図2に非磁性体1bとして使用した銅合金の厚さを変化させた場合の、回転数と磁石吸引・反発力比の関係を整理して示す。ここで、磁石吸引・反発力比とは、磁石の吸引力が1500Nの場合を1としたときの比率である。
図2より、永久磁石4と対向する面に銅合金を施すことで、磁石吸引力をも大幅に低減することが可能であり、銅合金の厚さを厚くすることで、反磁界にともなう反発力が増大して吸引反発を零にバランスさせることが可能となることが分かる。
また、前記ローター1を構成する強磁性材1aは、経済性を考慮して鋼を採用することが望ましい。制動時に加熱されるローター1は耐熱性が要求されるため、強磁性材1aとして、例えばクロム−モリブデン鋼などの低合金鋼を採用するのが好ましい。
以上のような構成の本発明の渦電流減速装置の場合、制動時は、図1に示すように永久磁石4をローター1側に移動させて、永久磁石4が発する磁力を回転するローター1に作用させる。
このとき、ローター1は磁界内を運動するため、ローター1には渦電流が発生し、この渦電流と磁界の相互作用によってローター1に制動力が発生する。このとき、発生した渦電流によって磁界も発生し、この磁力線方向は永久磁石4による磁力線方向と反対になる。従って、渦電流が発生したローター1と永久磁石4の間には、互いに反発する方向への力も働く。
ローター1を強磁性材のみで形成した場合は、渦電流によって発生する反発力より永久磁石4とローター1の吸引力のほうが圧倒的に大きいため、制動時もローター1は磁石方向に吸引される。一方、ローター1を非磁性材のみで形成した場合は、制動時の渦電流による反発力のみが生じる。
これに対して、非磁性材1bと強磁性材1aの両方を使用したローター1では、非磁性材1bと強磁性材1aの材質および厚さのバランスを取ることで、吸引力と反発力を相殺してローター1の回転軸方向に負荷される荷重を極めて小さくすることが可能である。
しかしながら、前記渦電流は電気伝導度の高い銅または銅合金からなる非磁性材1bに多く発生する。電流が流れることでジュール熱が発生し、非磁性材1bの温度が上昇する。
そこで、本発明では、非磁性材1bの温度上昇を抑制するために、非磁性材1bと強磁性材1aを直接接合して、非磁性材1bに発生した熱を強磁性材1a側に多く熱伝達できるようにする。
銅または銅合金からなる非磁性材1bと鋼からなる強磁性材1aを直接接合する方法としては、めっき法も考えられるが、前述のように、めっき法では薄い銅または銅合金層しか得られない。仮に厚い銅または銅合金層が得られた場合でも、接合強度が低いために適用することができない。
このため、本発明では、銅と鉄の原子の拡散により、銅または銅合金と鋼を強固に接合することとした。原子の拡散により銅または銅合金と鋼を接合する方法としては、例えば銅または銅合金と鋼の接合面を機械的に直接加圧し、または雰囲気の気体を媒体として接合面を加圧した状態で、加熱保持する方法がある。あるいは、鋼より融点が低い銅または銅合金のみを鋼の上で溶融させて接合する方法がある。
一方、非制動時は、図1に矢印で示す方向、すなわちローター1から離れる方向に永久磁石4を移動させる。これにより、永久磁石4が発する磁力がローター1にほとんど作用しなくなり、制動トルクがほとんど生じなくなる。
図3は本発明の渦電流減速装置のローター1の構造を示す例であり、永久磁石4と対向する部分のローター1の断面を示したものである。
先に説明したように、ローター1の制動部材における永久磁石4の磁界が及ぶ範囲に設けた銅または銅合金からなる非磁性材1bを、鋼からなる強磁性材1aに直接接合し、さらに前記非磁性材1bを高温酸化から保護するための保護材1cを設ける。
ローター1を永久磁石4側から見た場合(図3では紙面左側から見た場合)に、図3(a)は非磁性材1bと保護材1cの大きさを同じにしたもの、図3(b)は非磁性材1bより保護材1cのほうが大きくしたものである。また、図3(c)はローター1の片側表面のすべてを保護材1cで覆って、永久磁石4側からローター1を見た時に非磁性材1bの背面に位置する強磁性材1aが見えないようにしたものである。
保護材1cは、非磁性材1bとして使用する銅または銅合金よりも耐高温酸化性が優れた材質のものを使用する。例えばフェライト系やオーステナイト系のステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金などである。
但し、保護材1cに強磁性材を使用する場合は、永久磁石4との吸引力を抑制する必要があるため、保護材1cとしてフェライト系ステンレス鋼やニッケルを使用する場合は、0.05mm〜0.5mm程度の厚さにするのが好ましい。
また、保護材1cとして非磁性材や弱磁性材を使用する場合は、永久磁石4との吸引力はほとんど発生しないが、過度に厚みを厚くすると、永久磁石4と非磁性材1bとの距離が大きくなりすぎて非磁性材1bに作用する磁力が低下し過ぎてしまう。このため、保護材1cとしてオーステナイト系ステンレス鋼を使用する場合は、厚さは2mm以下にするのが好ましい。
非磁性材1bとして使用する銅または銅合金を強磁性材1aとして使用する鋼に接合する方法によっては、銅または銅合金と同時に保護材1cも同時に接合することができる。例えば、前述の銅または銅合金と鋼の接合面を機械的に加圧したり、雰囲気の気体を媒体として接合面を加圧した状態で加熱保持する方法では、保護材1cも同時に加圧することで接合できる。なお、保護材1c、非磁性材1bと強磁性材1aとの接合は、個々に行っても良い。
図4は、図1とは異なる形状のローター1を備えた本発明の渦電流減速装置を示した例である。図4のローター1は、強磁性材1aと非磁性材部分1b及び保護材1cからなる制動部材と、支持板1dから構成されたものである。
制動部材は永久磁石4が発する磁力が作用する部分であり、支持板1dは制動部材を回転軸に連結するために制動部材を支持する部分である。この図4の例は、図1の渦電流減速装置のローター1を、磁力が作用する部分と支持する部分に分け、個々に製造して結合した構造である。
図1や図4で示したローター1の制動部材は、円周方向で複数に分割した構造としても良い。図5は図4に示した構造の渦電流減速装置において、断面形状が図3(a)に示したものの場合の制動部材を円周方向で8分割したローター1の例で、永久磁石4と対向する側の正面から見た図である。
図5に示した構成の制動部材を以下のように作製した。
試験体1〜4に用いた強磁性材1aはクロム−モリブデン鋼(JIS SCM415相当)であり、非磁性材1bは純銅である。保護材1cは、試験体1〜3はオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS SUS304)、試験体4はニッケルである。
(試験体1)
厚さ17mmの強磁性材に設けた凹部に厚さ2mmの純銅板と厚さ1mmのSUS304ステンレス鋼板をはめ込み、真空中で互いを機械的に加圧した状態で加熱保持して接合した。接合の際の条件は、圧力15MPa、温度950℃、保持時間6時間とした。
(試験体2)
厚さ17mmの強磁性材に設けた凹部に厚さ2mmの純銅板と厚さ1mmのSUS304ステンレス鋼板をはめ込んだ後、真空中で強磁性材とSUS304ステンレス鋼板を溶接した。その後、アルゴンを媒体として試験体に外圧を加えた状態で加熱保持して接合した。接合の際の条件は、圧力98MPa、温度800℃、保持時間2時間とした。
(試験体3)
厚さ17mmの強磁性材に設けた凹部に厚さ2mmの純銅板と厚さ1mmのSUS304ステンレス鋼板を、互いに銅とすずからなるろう材を挟んではめ込んだ後、真空中で加熱保持してろう付けした。ろう付による接合は温度1050℃、保持時間0.5時間とした。
(試験体4)
厚さ17mmの強磁性体の表面に大気中で純銅をアーク溶射して厚さ2mmの銅層を形成した。その後、ニッケルめっきにより厚さ0.05mmの保護材を設けた。
なお、試験体1と試験体2は、非磁性材の銅と強磁性体の鋼を原子の拡散により直接接合した発明例で、試験体3と試験体4は、原子の拡散を伴わない接合の比較例である。試験体3と試験体4も高温での接合であるため、原子レベルで見た場合、被接合材同士の原子の拡散が皆無ではないが、原子の拡散を積極的に活用して直接接合した試験体1、2とは異なり、原子レベルでの極わずかな拡散のみが結果として生じる程度のものである。
試験体1〜4に渦電流減速装置の制動と非制動を繰り返した時の状態を模擬した熱サイクルを与える試験を実施した。試験は、各試験体の保護材側から高周波誘導加熱し、保護材の中央部表面の温度が最低100℃、最高670℃になる熱サイクルを1500回与えた。
試験後、各試験体の中央部を切断して、熱サイクルを与えた後の強磁性材(鋼)と非磁性材(銅)の接合界面の状態を観察した。下記表1は、観察断面において、銅が鋼からはく離した部分の長さと接合界面長さの比として定義したはく離割合の評価結果である。
Figure 0005040811
表1より、銅と鋼を原子の拡散により直接接合した発明例である試験体1と2は、比較例の試験体3と4より接合界面の損傷が小さいことが確認された。また、試験体4は試験体中央部でのはく離割合は0.65であるが、ほぼ片側半分の領域で銅が完全にはく離した。
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良い。
例えば図1と図4の例では、磁力発生手段として永久磁石4を用いたものを示したが、電磁石を用いても良い。永久磁石4の場合は制動と非制動の切り替えは、ローター1に近づく方向と離れる方向に往復させて行うが、電磁石の場合は電流の入切の切り替えによって行う。
また、上記の例では説明を省略したが、冷却性能を高めてローター1の温度上昇を抑制するために、ローター1には冷却フィンを設けることが好ましい。冷却フィンはどの部分に設けても良いが、ローター1の内周側より外周側に設けるほうが、周速が速くなるので、冷却効率が高くなる。
以上の本発明は、トラックやバスの自動車用の渦電流減速装置に限らず、鉄道車両用の渦電流減速装置にも適用できる。
本発明の渦電流減速装置の制動状態における縦断面の上半分のみを示した図である。 非磁性体として使用した銅合金の厚さを変化させた場合の、回転数と磁石吸引・反発力比の関係を整理して示した図である。 (a)〜(c)は本発明の渦電流減速装置のローターの構造を示す例であり、永久磁石と対向する部分のローターの断面を示した図である。 異なる構成のローターを備えた図1と同様の図である。 本発明の渦電流減速装置のローターを正面から見た図であり、制動部材を周方向に分割した構造の例である。
符号の説明
1 ローター
1a 強磁性材
1b 非磁性材
1c 保護材
1d 支持板
2 支持部材
3 回転軸
4 永久磁石
5 保持リング
6 エアシリンダ
6a ピストンロッド
7 案内筒
8 空隙

Claims (3)

  1. 回転軸に連結され、ディスク状の制動部材を備えたローターと、
    非回転部に固定した保持部材に保持され、前記制動部材に磁極面が対向すると共に隣り合う磁極が逆向きになるように配置された複数の磁石を備え、
    制動時には、前記磁石の磁力を前記制動部材に作用させて渦電流を利用した制動力を発生させ、非制動時には、前記磁石の磁力を前記制動部材に作用させないようにする渦電流減速装置であって、
    前記制動部材の、前記磁石の磁力が作用する部分に銅または銅合金からなる1mm以上の厚みを有する非磁性材を、この非磁性材の前記磁石と対向する表面側に保護材を、前記非磁性材の前記磁石と反対側の裏面側に強磁性材をそれぞれ備えさせ、
    かつ前記非磁性材と前記強磁性材を加熱し、互いの原子の拡散により直接接合したものであることを特徴とする渦電流減速装置。
  2. 前記非磁性材と前記保護材も、互いの原子の拡散により直接接合したものであることを特徴とする請求項1に記載の渦電流減速装置。
  3. 前記磁石が永久磁石であり、当該永久磁石を前記制動部材に近づく方向と離れる方向に移動させることにより制動、非制動を切替えるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の渦電流減速装置。
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