JP5040708B2 - 窒化物半導体結晶の製造方法 - Google Patents

窒化物半導体結晶の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、窒化物半導体結晶の製造方法に関する。特に、目的とする窒化物半導体結晶を効率よく成長をさせて、結晶割れなく取り出すことができる結晶の製造方法に関する。
窒化ガリウムに代表される窒化物半導体は、大きなバンドギャップを有し、またバンド間遷移が直接遷移型であることから、紫外、青色又は緑色等の発光ダイオード、半導体レーザー等の比較的短波長側の発光素子や、電子デバイス等の半導体デバイスの基板として有望な材料である。
窒化物半導体は、高融点であり、しかも融点付近の窒素の解離圧が高いことから、融液からのバルク成長が困難である。一方、ハイドライド気相成長法(HVPE法)や有機金属化学気相成長法(MOCVD法)等の気相成長法を用いることによって、窒化物半導体基板を製造できることが知られている。このとき、種結晶を支持体上に設置したうえで原料ガスを供給することにより、種結晶表面に窒化物半導体結晶を成長させることができる(例えば特許文献1参照)。種結晶上に成長させた窒化物半導体結晶は、種結晶とともに支持体から分離し、必要に応じて種結晶を研磨等の方法により除去することにより取り出すことができる。
特開2006−240988号公報
しかしながら、窒化物半導体結晶を支持体から分離して取り出そうとすると、支持体と種結晶の間に形成された多結晶のために困難が伴う。特に厚みがある窒化物半導体を製造すると、広範囲に多結晶が形成されるため、窒化物半導体の取り出しは一段と困難になる。このような状況下で無理に窒化物半導体結晶を取り出そうとすると、窒化物半導体に割れが生じてしまう。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、多結晶の成長を抑えて、目的とする窒化物半導体を効率よく成長させることができるとともに、成長させた窒化物半導体結晶に割れを生じさせることなく容易に取り出すことができるような窒化物半導体結晶の製造方法を提供することを本発明の目的として検討を進めた。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、支持体上への種結晶の設置状態を工夫することにより課題を解決しうることを見出した。すなわち、課題を解決する手段として、以下の本発明を提供するに至った。
[1] 主面とその裏面を備える種結晶を支持体の上に裏面が接するように設置し、主面に原料ガスを供給することにより窒化物半導体結晶を成長させる工程を含む窒化物半導体結晶の製造方法であって、
前記種結晶の裏面外縁の少なくとも一部が原料ガスに触れる状態で露出していることを特徴とする窒化物半導体結晶の製造方法。
[2] 前記種結晶の裏面の少なくとも一部が原料ガスに触れる状態で露出していることを特徴とする[1]に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[3] 前記種結晶の裏面外縁の全長の50%以上が原料ガスに触れる状態で露出していることを特徴とする[1]または[2]に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[4] 前記種結晶の裏面外縁の全長の70%以上が原料ガスに触れる状態で露出していることを特徴とする[1]または[2]に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[5] 前記種結晶の裏面外縁のすべてが原料ガスに触れる状態で露出していることを特徴とする[1]または[2]に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[6] 前記種結晶の裏面の面積の3%以上が原料ガスに触れる状態で露出していることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[7] 前記種結晶の裏面と前記支持体とが面接触していることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[8] 前記支持体が平坦な上面部を有しており、該上面部と前記種結晶の裏面とが接触していることを特徴とする[7]に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[9] 前記種結晶の裏面と前記支持体とが線接触していることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[10] 前記支持体が2本以上の線状体を有しており、該2本以上の線状体と前記種結晶の裏面とが接触していることを特徴とする[9]に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[11] 前記種結晶の裏面と前記支持体とが点接触していることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[12] 前記支持体が表面に2つ以上の突起を有しており、該2つ以上の突起と前記種結晶の裏面とが接触していることを特徴とする[11]に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[13] 前記種結晶が+C面を主面とする六方晶であり、窒化物半導体結晶が+c軸方向へ成長することを特徴とする[1]〜[12]のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[14] 前記種結晶の+C面から窒化物半導体結晶が+c軸方向へ成長することを特徴とする[13]に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[15] 前記種結晶のM面から窒化物半導体結晶が+c軸方向へ成長することを特徴とする[13]に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[16] 前記種結晶のA面から窒化物半導体結晶が+c軸方向へ成長することを特徴とする[13]に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[17] 前記種結晶が−C面を主面とする六方晶であり、窒化物半導体結晶が−c軸方向へ成長することを特徴とする[1]〜[12]のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[18] 前記種結晶の−C面から窒化物半導体結晶が−c軸方向へ成長することを特徴とする[17]に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[19] 前記種結晶が、サファイア、SiC、ZnO、及びIII族窒化物半導体からなる群より選択されることを特徴とする[1]〜[18]のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[20] 前記窒化物半導体がIII族窒化物半導体であることを特徴とする[1]〜[19]のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
[21] 前記窒化物半導体がGaN半導体であることを特徴とする[1]〜[19]のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
本発明の窒化物半導体結晶の製造方法によれば、多結晶の成長を抑えて、目的とする窒化物半導体結晶を効率よく成長させることができる。また、成長させた窒化物半導体結晶を容易に取り出すことができるため、割れを生じさせることなく窒化物半導体結晶を得ることができる。特に、側面から主面の法線方向に成長させる場合は、結晶が傾斜せずに成長するうえ、多結晶体と結晶を分離しやすいという利点がある。
以下において、本発明の結晶製造方法について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(種結晶)
本発明の窒化物半導体結晶の製造方法では、主面とその裏面を備える種結晶を用いる。種結晶の種類は、製造しようとしている窒化物半導体結晶を裏面以外の面から成長することができるものの中から選択する。例えば、サファイア、SiC、ZnO、III族窒化物半導体を挙げることができる。好ましくは、製造しようとしている窒化物半導体と同じかまたは異なる種類の窒化物半導体の種結晶を用いる場合であり、より好ましくは、製造しようとしている窒化物半導体を構成するIII族元素と同じ種類のIII族元素を少なくとも含む窒化物半導体の種結晶を用いる場合であり、さらに好ましくは、製造しようとしている窒化物半導体と同一種の窒化物半導体の種結晶を用いる場合である。別の観点から言うと、製造しようとしている窒化物半導体結晶と格子定数が近くて、熱膨張係数の差が小さい種結晶を選択することが好ましい。
ここでいう種結晶の主面とは、種結晶を構成する面の中で最も面積が広い面である。また、種結晶の裏面とは主面の裏側の面をいう。最も面積が広い面が複数存在する場合は、そのうちの1つを主面とし、その裏側の面を裏面とする。主面は、本発明の製造方法において、窒化物半導体結晶を成長させるための原料ガスの供給元に面するように配置され、原料ガスの供給を受ける面となる。裏面は原料ガスの供給元に面しないが、裏面の一部がリアクター内に露出していれば、リアクター内を対流ないし拡散する原料ガスに触れることが可能である。
種結晶の主面は、窒化物半導体結晶を種結晶のいずれの面からどの方向へ成長させるかに応じて決定することができる。
主面から当該主面の法線方向に窒化物半導体結晶を成長させることを意図する場合には、六方晶の種結晶であれば−C面、M面、A面、半極性面等を主面として選択することができ、例えば主面として−C面を選択することができる。このとき、主面を上面とする高さが低い円柱状の種結晶を採用することにより、主面に効率よく結晶を成長させることができる。なお、結晶性が良好な窒化物半導体結晶を得たい場合には、+C面以外の面を選択する。特に、Sなどのドーパントを用いて窒化物半導体を成長させる場合は、主面として好ましくは+C面以外の面、より好ましくは−C面、M面、A面、さらに好ましくは−C面を選択する。
一方、主面と裏面以外に側面を有する種結晶を用いて、側面から主面の法線方向に窒化物半導体結晶を成長させることを意図する場合には、六方晶の種結晶であれば例えば+C面、−C面、半極性面を主面として選択することができ、好ましくは+C面、−C面を選択することができ、より好ましくは+C面を選択することができる。このとき、側面(すなわち主面と裏面の間に存在する面)は少なくとも一部に平面を含むことが好ましい。平面の長手方向の長さは特に制限されないが、25mm以上であることが好ましい。好ましい種結晶の具体例として、主面が+C面で裏面が−C面であるか、主面が−C面で裏面が+C面であって、側面としてM面またはA面が含まれているものを挙げることができる。より好ましくは、側面がA面とM面のみからなる長方体の種結晶である。このとき、A面とM面の面積比は、A面から窒化物半導体結晶を成長させたい場合は通常1:1〜10:1、好ましくは2:1〜10:1、より好ましくは3:1〜5:1とし、逆にM面から窒化物半導体結晶を成長させたい場合は通常1:1〜1:10、好ましくは1:2〜1:10、より好ましくは1:3〜1:5とする。また、窒化物半導体結晶を成長させる面の面積は、1cm2以上であることが好ましく、2cm2以上であることがより好ましく、5cm2以上であることがさらに好ましい。このような面を有する種結晶は、C面を有するIII族窒化物半導体基板を形成し、その後にM面又はA面が現れるように切り出すことによって得ることができる。切り出し方法としては、鑢、研削盤、内周刃スライサー、ワイヤーソー等で加工(研削、切断)する方法、研磨によって磨く方法、劈開によって分割する方法などがあるが、劈開によりM面又はA面を形成することが好ましい。劈開の方法については、ダイヤモンドスクライバーによって切り欠きを入れて割ってもよいし、レーザースクライバー装置を使用してもよい。そのまま手で割ってもよいし、他の土台に乗せてのブレーキング装置で行ってもよい。
本願において+C面とは六方晶での(0001)面をいい、−C面とは(000−1)面をいう。また、本願においてM面とは、六方晶での(1−100)面およびそれと等価な面をいい、非極性面であり、通常へき開面である。具体的には、(1−100)面、(−1100)面、(01−10面)、(0−110)面、(10−10)面、(−1010)面があるが、いずれでもよい。本願においてA面とは、六方晶での(11−20)面およびそれと等価な面をいう。また、+C面、−C面、M面、A面の法線方向を+c軸、−c軸、m軸、a軸方向という。半極性面としては、具体的に(10−1−3)面、(10−1−1)面、(11−22)面などを挙げることができる。
本発明で用いる種結晶を構成する+C面、−C面、M面、A面などの面は、それぞれオフ角度を有していてもよい。オフ角度は±0.2°以内であることが好ましく、±0.1°以内であることがより好ましい。また、本発明において特定される結晶成長方向は、傾斜していてもよい。傾斜角度は±25°以内であることが好ましく、±10°以内であることがより好ましく、±5°以内であることがさらに好ましい。
本発明の窒化物半導体結晶の製造方法で用いる種結晶の厚み(主面と裏面の間の距離)は、通常100〜1000μmであり、200〜700μmであることが好ましく、300〜500μmであることがより好ましい。
本発明の窒化物半導体結晶の製造方法では、支持体上に1つの種結晶を設置してもよいし、複数の種結晶を設置してもよい。複数の種結晶を設置する場合は、互いにサイズや形状は異なっていてもよいが、サイズや形状は揃っている方が好ましい。また、複数の種結晶を設置する場合は、互いに窒化物半導体結晶の妨げにならないように、距離を離して設置することが好ましい。通常は、隣り合う種結晶の間を3mm以上空けることが好ましく、5mm以上空けることがより好ましい。
(支持体上への種結晶の設置)
本発明の窒化物半導体結晶の製造方法では、支持体の上に種結晶を設置して種結晶から窒化物半導体結晶を成長させる。このとき、種結晶の裏面が支持体表面に接し、なおかつ、種結晶の裏面外縁の少なくとも一部が原料ガスに触れる状態で露出するように設置する。本発明の窒化物半導体結晶の製造方法において原料ガスは種結晶の主面に供給されるが、供給された原料ガスはリアクター中の空間を移動して種結晶の他の露出面にも接触する。本発明では、このとき裏面外縁の少なくとも一部が露出していて、移動してくる原料ガスに接触しうる状態になっていることを特徴とする。露出している長さは、裏面外縁の全長の50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることがさらにより好ましく、すべて(100%)であることが特に好ましい。裏面外縁のすべてが露出しているとは、例えば図2に示すように、種結晶110の中央部でのみ支持体(石英下敷き109)と接するように設置されていて、種結晶110の周縁部がすべて露出している状態をいう。また、円柱状の種結晶110をそれよりも径が小さい円形天面を有するサセプター107上に円の中心が同軸となるように重ねて設置されている図6のような状態もこれに該当する。
種結晶の裏面外縁の一部が露出している場合、露出部分と非露出部分の具体的な形成箇所は特に制限されない。したがって、複数の露出部分と複数の非露出部分が交互に繰り返して現れるものであってもよいし、1つの露出部分と1つの非露出部分のみからなるものであってもよい。好ましいのは、各非露出部分の長さが比較的短い態様である。各非露出部分の長さは、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。各非露出部分の長さが短ければ、成長させた結晶の取り出し時に結晶の割れが一段と生じにくくなる。
本発明の窒化物半導体結晶の製造方法では、種結晶の裏面の少なくとも一部が原料ガスに触れる状態で露出していることが好ましい。露出している面積は、裏面の面積の3%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましく、30%以上であることがさらにより好ましく、50%以上であることが特に好ましい。裏面の露出割合を高くすることによって、窒化物半導体結晶成長中に望ましくない多結晶が成長するのを一段と抑えることができる。
支持体の面のうち種結晶を支持する面(搭載面という)の面積は、種結晶の裏面の面積よりも小さいことが好ましい。また、支持体の搭載面のすべてが種結晶の裏面に接触していて、搭載面が原料ガスに触れる状態でまったく露出していないことが好ましい。
種結晶の側面から主面の法線方向に窒化物半導体結晶を成長させることを意図する場合には、種結晶の側面に原料ガスが触れるように設置する。このとき、結晶を成長させる側面はすべて露出していることが好ましい。また、側面は主面に対して垂直であることが好ましく、またガス供給方向に平行であることが好ましい。
種結晶を設置するために用いる支持体は、窒化物半導体結晶の成長中に種結晶を固定しておくことができるものであれば、その種類は特に制限されない。例えば、搭載面を有するものであってもよいし、ワイヤーのような線状物であってもよい。搭載面を有する支持体として、例えばリアクター内のサセプターや、サセプターと種結晶の間に設置する下敷きを挙げることができる。このとき、下敷きの高さは3mm以上であることが好ましい。サセプターの材質は、通常の気相成長装置に採用されている材料で構わない。例えば、SiCコーティングされたカーボン製のサセプターを挙げることができる。また、下敷きの材質としては、例えば石英、SiCコーティングされたカーボンなどを挙げることができ、石英が好ましい。線状物の材質としては、例えば、貴金属、石英、SiCコーティングされたカーボンなどを挙げることができ、耐熱性、耐アンモニア性、耐塩化水素性に優れた貴金属が好ましい。
図5に支持体上に設置した種結晶の具体例を示す。
図5(a)〜(c)は、搭載面を有する支持体の上に種結晶を設置したものである。ここでは、支持体として石英下敷きを採用している。図5(a)では、1つの石英下敷き109上に1つの種結晶110を設置し、種結晶110同士を一定の間隔をあけて並べている。石英下敷き109の長手方向の長さは種結晶110の長手方向の長さと一致しているが、幅方向の長さは半分となっている。ここでは、種結晶の裏面の面積の50%と裏面外縁の全長の90%が、原料ガスに触れる状態で露出している。図5(b)では、1つの石英下敷き109上に3つの種結晶110を設置している。石英下敷き109の長手方向と3つの種結晶110の長手方向は直交している。各種結晶110の裏面は、中央部が石英下敷き109の上面に接していて、両端部が露出している。ここでは、種結晶の裏面の面積の60%と裏面外縁の全長の76%が、原料ガスに触れる状態で露出している。図5(c)では、2つの石英下敷き109の上に3つの種結晶110を設置している。2つの石英下敷き109の長手方向と3つの種結晶110の長手方向は直交している。各種結晶110の裏面は、2箇所で石英下敷き109の上面に接していて、両端部と中央が露出している。ここでは、種結晶の裏面の面積の85%と裏面外縁の全長の88%が、原料ガスに触れる状態で露出している。
図5(d)〜(f)は、線状の支持体の上に種結晶を設置したものである。ここでは、支持体としてワイヤーを採用している。図5(d)では、2つのワイヤー固定具112の間に張られた2本のワイヤー111の上に3つの種結晶110を設置している。2本のワイヤー111と3つの種結晶110の長手方向は直交している。各種結晶110の裏面は、2箇所でワイヤー111の上に線接触していて、両端部と中央が露出している。ここでは、種結晶の裏面の面積の98%と裏面外縁の全長の98%が、原料ガスに触れる状態で露出している。図5(e)では、2つのワイヤー固定具112の間に張られた2本のワイヤー111の上に1つの種結晶110を設置している。2本のワイヤー111と種結晶110の長手方向は平行である。種結晶110の裏面は、2箇所でワイヤー111の上に線接触していて、両端部と中央が露出している。ここでは、種結晶の裏面の面積の92%と裏面外縁の全長の98%が、原料ガスに触れる状態で露出している。図5(f)では、上方から吊り下げられた2本のワイヤー111の上に1つの種結晶110を設置している。種結晶110の裏面は、それぞれ2箇所でワイヤー111の上に線接触していて、両端部と中央が露出している。ここでは、種結晶の裏面の面積の98%と裏面外縁の全長の98%が、原料ガスに触れる状態で露出している。
図5(g)は、表面に複数の突起を有する支持体上に種結晶を設置するものである。図中の矢印の方向に種結晶を設置することにより、種結晶の裏面に支持体表面の突起の頂部が点接触する。ここでは、種結晶の裏面の面積の99%と裏面外縁の全長のすべて(100%)が、原料ガスに触れる状態で露出している。
なお、ここにおいて種結晶と支持体との接触とは、種結晶と支持体とが触れている状態を意味し、種結晶と支持体が接着剤などにより固定されている場合のみならず、支持体上に種結晶が載っている状態も含まれる。図5では、厚みが薄い長方体の種結晶が描かれているが、種結晶の形状は適宜変更することができる。また、石英下敷き109の幅や上面の面積、ワイヤーの幅や太さも、適宜変更することができる。
(窒化物半導体結晶の成長工程)
次に、窒化物半導体結晶の成長工程について説明する。
成長させる窒化物半導体結晶は、III族元素を含む窒化物半導体結晶であることが好ましく、ガリウム含有窒化物半導体結晶であることがより好ましく、Al1-xGaxN(0≦x≦1)である窒化物半導体結晶であることがさらに好ましく、窒化ガリウム半導体結晶であることが特に好ましい。
ここで用いることができる結晶成長法として、HVPE法、MOCVD法、MBE法、昇華法等を挙げることができる。好ましいのはHVPE法、MOCVD法であり、最も好ましいのはHVPE法である。
結晶成長に用いる装置の詳細は特に制限されない。例えば、図1に示すようなHVPE装置を用いることができる。図1のHVPE装置は、リアクター100内に、種結晶110や、種結晶110を搭載した石英下敷き109を載置するためのサセプター107と、成長させる窒化物半導体の原料を入れるリザーバー113とを備えている。また、リアクター100内にガスを導入するための導入管101〜105と、排気するための排気管108が設置されている。さらに、リアクター100を側面から加熱するためのヒーター106が設置されている。
リアクター100の材質としては、石英、多結晶BN、ステンレス等が用いられる。好ましい材質は石英である。リアクター100内には、反応開始前にあらかじめ雰囲気ガスを充填しておく。雰囲気ガスとしては、例えばH2ガス、N2ガス、He、Ne、Arのような不活性ガス等を挙げることができる。これらのガスは混合して用いてもよい。
サセプター107の材質としてはカーボンが好ましく、SiCで表面がコーティングされているものがより好ましい。サセプター107の形状は、本発明で用いる種結晶や種結晶を搭載した支持体(石英下敷きなど)を設置することができる形状であれば特に制限されないが、結晶成長する際に成長している結晶の上流側に構造物が存在しないものであることが好ましい。上流側に結晶が成長する可能性のある構造物が存在すると、そこに多結晶体が付着して原料ガスの流れが変化してしまうため、結晶成長させようとしている結晶に悪影響が及んでしまう。
種結晶110をサセプター107に載置するとき、結晶成長させる種結晶110の主面はガス流れの上流側(図1ではリアクターの上方)を向くように設置する。すなわち、ガスが主面に向かって流れるように載置し、ガスが主面に垂直な方向から主面に向かって流れるようにすることがより好ましい。
リザーバー113には、成長させる窒化物半導体の原料を入れる。例えば、III−V族の窒化物半導体結晶を成長させる場合は、III族源となる原料を入れる。そのようなIII族源となる原料として、Ga、Al、Inなどを挙げることができる。
リザーバー113にガスを導入するための導入管103からは、リザーバー113に入れた原料と反応するガスを供給する。例えば、リザーバー113にIII族源となる原料を入れた場合は、導入管103からHClガスを供給することができる。このとき、HClガスとともに、導入管103からキャリアガスを供給してもよい。キャリアガスとしては、例えばH2ガス、N2ガス、He、Ne、Arのような不活性ガス等を挙げることができる。これらのガスは混合して用いてもよい。キャリアガスは雰囲気ガスと同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
導入管101および102からは、キャリアガスを供給する。このとき、導入管102からは、例えばシリコン原子や硫黄原子のようなドーパントを含む原料を供給してもよい。導入管101および102から供給するキャリアガスとしては、導入管103から供給するキャリアガスと同じものを例示することができる。例えば、導入管101からN2ガスを供給し、導入管102からH2ガスを供給することができる。導入管101または102から供給するキャリアガスと導入管103から供給するキャリアガスは同じものであることが好ましい。
導入管104からは、窒素源となる原料ガスを供給する。通常はNH3ガスを供給する。
導入管105からは、必要に応じてエッチングガスを供給することができる。エッチングガスとしては、塩素系のガスを挙げることができ、HClガスを用いることが好ましい。エッチングガスの供給は、断続的(パルス的)に行うことが好ましい。ここでいう断続的とは、エッチングガスを供給するステップ(供給ステップ)とエッチングガスを供給しないステップ(非供給ステップ)が交互に繰り返されることをいう。エッチングガスの供給を断続的に行うことによって、N原子の空孔が形成されやすくなり、S原子などのドーパントが取り込まれやすくなる。このため、高濃度でSドープした窒化物半導体結晶等をより容易に製造することができる。また、結晶性がより良好な窒化物半導体結晶を製造することができる。
供給ステップにおけるエッチングガスの流量は、総流量に対して0.1%〜3%程度とすることが好ましく、0.5〜1.5%とすることがより好ましい。ガスの流量はマスフローコントロラー(MFC)等で制御することができ、個別のガスの流量は常にMFCで監視することが好ましい。供給ステップにかける時間と非供給ステップにかける時間の比は特に制限されないが、窒化物半導体の結晶成長を行う総時間の10〜80%を供給ステップとすることが好ましく、10〜60%を供給ステップとすることがより好ましく、10〜50%を供給ステップとすることがさらに好ましい。また、1回の供給ステップと1回の非供給ステップからなる1サイクルの長さは、通常は0.1〜10分であり、0.1〜5分が好ましく、1〜3分がより好ましい。1サイクルの長さは、徐々に短くしたり長くしたりしてもよく、まったく変えなくてもよい。好ましいのは、1サイクルの長さを常に一定とする態様である。
導入管101〜105から供給する上記ガスは、それぞれ互いに入れ替えて別の導入管から供給しても構わない。また、窒素源となる原料ガスとキャリアガスは、同じ導入管から混合して供給してもよい。さらに他の導入管からキャリアガスを混合してもよい。これらの供給態様は、リアクター100の大きさや形状、原料の反応性、目的とする結晶成長速度などに応じて、適宜決定することができる。
ガス排出管108は、ガス導入のための導入管101〜105とは反対側のリアクター内壁から排出することができるように設置するのが一般的である。図1では、ガス導入のための導入管101〜105が設置されているリアクター上面とは反対に位置するリアクター底面にガス排出管108が設置されている。ガス導入のための導入管がリアクター右側面に設置されている場合は、ガス排出管はリアクター左側面に設置されていることが好ましい。このような態様を採用することによって、一定方向に向けて安定にガスの流れを形成することができる。
HVPE法によって例えばAl1-xGaxN(0≦x≦1)を成長させる場合は、結晶成長を通常は900℃〜1070℃で行い、925℃〜1050℃で行うことが好ましく、950℃〜1030℃で行うことがより好ましく、975℃〜1000℃で行うことがさらに好ましい。リアクター内の圧力は10kPa〜400kPaであるのが好ましく、30kPa〜150kPaであるのがより好ましく、50kPa〜120kPaであるのがさらに好ましい。例えば、GaClとNH3を用いる場合は、GaClの分圧は0.03〜30kPaとし、NH3の分圧は1〜300kPaとすることが好ましい。
HVPE法によって例えばAlNを成長させる場合は、AlCl3および/またはAlClと、NH3とを含む雰囲気中で実施することができる。結晶成長温度は1050℃〜1250℃であることが好ましく、AlCl3および/またはAlClの分圧は3×101〜3×104Paであることが好ましく、NH3の分圧は1〜300kPaであることが好ましい。AlCl3および/またはAlClは、AlとHClとを反応させて形成するが、温度が600℃程度の比較的低温ではAlCl3の生成が主となり、温度が800℃程度の比較的高温ではAlClの生成が主となる。
本発明の製造方法によれば、窒化物半導体の結晶成長を一定の速度で行うことができ、従来法のように速度が低下するのを防ぐことができる。また、本発明の製造方法によれば、窒化物半導体の結晶成長を従来よりも速い速度で行うことができる。具体的には、種結晶の裏面のすべてを支持体に接触させて窒化物半導体結晶を成長させる従来法に比べて、本発明の方法は10%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、さらにより好ましくは40%以上、結晶成長速度を速くすることができる。また、結晶成長速度が一定であるために、本発明の製造方法によって得られる結晶は一様であり、より高品質であるという特徴がある。
結晶成長を行った後に得られる窒化物半導体結晶のうち、特にSドープしながら形成した窒化物半導体結晶に対しては、還元雰囲気で熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、窒化物半導体結晶を通常600〜1070℃、好ましくは700〜1000℃、より好ましくは750〜950℃の環境下におくことにより行う。熱処理の時間は温度にもよるが、通常1〜30分、好ましくは1〜10分、より好ましくは1〜5分である。熱処理は還元雰囲気で行う必要があるが、ここでいう還元雰囲気とは水素などの還元性ガスの分圧が50%以上である雰囲気をいう。例えば、アニール炉内のH2雰囲気などを挙げることができる。結晶成長後に還元雰囲気で熱処理を行うことによって熱伝導率が高くなる。
本発明の製造方法によって得られる窒化物半導体の結晶系は、六方晶系であることが好ましい。また、得られる窒化物半導体結晶は、単結晶であることが好ましい。
種結晶の主面から窒化物半導体結晶を主面の法線方向に成長させる場合、窒化物半導体結晶は厚さが2mm〜10cmになるまで成長させることが好ましい。結晶成長後に研削、研磨、レーザ照射等を行う場合は、ある程度の大きさの結晶が必要になるため、種結晶の上に成長させる窒化物半導体結晶の厚さは5mm〜10cmが好ましく、1cm〜10cmがより好ましい。
一方、種結晶の側面から主面の法線方向に窒化物半導体結晶を成長させる場合、主面の法線方向に長く結晶を成長させることができる。成長させる窒化物半導体結晶の結晶成長方向の長さは、5〜100mmであることが好ましく、20〜50.8mmであることがより好ましい。厚みは、0.5〜2mmであることが好ましく、1〜2mmであることがより好ましい。従来法にしたがって種結晶の裏面を完全に支持体上面に接触させて窒化物半導体を成長させると、結晶成長方向が主面の法線方向から種結晶の内側に傾く傾向があるが、本発明の製造方法によればこのような結晶成長方向の傾きを抑え、主面の法線方向により近い方向へ結晶を成長させることができる。なお、結晶成長は主面の法線方向だけでなく、それ以外の方向にも起こっていても構わない。ただし、主たる結晶成長方向は主面の法線方向であることが好ましい。
本発明の製造方法にしたがって結晶成長を行った後に得られる窒化物半導体結晶は、多結晶の成長が著しく抑えられている。従来法にしたがって、種結晶の裏面を完全に支持体上面に接触させて窒化物半導体を成長させると、結晶面の境界に多結晶体が形成される。ここでいう多結晶体とは、ある結晶系(例えば六方晶系)の結晶格子を形成することができず、しかるべき位置に原子がいない状態の結晶を意味する。すなわち結晶方位が無秩序な微小な結晶の集合体をいい、非常に小さな単結晶粒の集まりを意味する。このような多結晶体が形成された場合は、多結晶体を除去する工程を行った後に、得られた結晶を取り出さなければならないため、煩雑で時間とコストがかかる。また、厚い窒化物半導体結晶を製造したい場合には、ある程度の窒化物半導体結晶の成長を行った後にいったん成長工程を中断し、形成した多結晶体を除去する作業を行った後に成長工程を再開するようにしなければ、大量に成長する多結晶で目的とする窒化物半導体結晶を割らずに取り出すことができなくなってしまう。本発明の製造方法によれば、多結晶の形成を抑えることができるため、このような煩雑な工程を簡略化して、より簡便に窒化物半導体結晶を割らずに得ることができる。
(窒化物半導体結晶)
本発明の製造方法によって得られた窒化物半導体結晶は、そのまま用いてもよいが、通常は研削やスライス加工などの処理を行って窒化物半導体結晶のみを取り出して使用する。ここでスライス加工とは、(1)成長した結晶を下地基板として使用できるように主面表面の品質を均一にする加工や、(2)成長初期部分には内在する転位から発生するストレスがあり得ることを考慮してその部分を切り捨てるために行う加工をいう。(2)の場合は、例えば種結晶の表面近傍に成長した結晶を切り捨てることなどを含む。スライス加工は、具体的には内周刃スライサー、ワイヤーソースライサー等を用いて行うことができる。スライス加工を行うことによって、形状がほぼ同じで、転位密度がより低く、かつ、表面欠陥が少ない結晶を製造することができる。
本発明の製造方法にしたがってSドープしながら窒化物半導体を形成した場合は、S濃度が1×1018〜1×1020cm-3であり、かつ(0002)面X線ロッキングカーブの半値全幅が100秒以下である窒化物半導体結晶を提供することができる。特に、そのような特徴を有する窒化物半導体結晶のみからなる材料(すなわち、他材料の基板部分を持たない材料)を提供することができる。(0002)面X線ロッキングカーブの半値全幅は、100秒以下であることがより好ましく、50秒以下であることが特に好ましい。
本発明の製造方法にしたがってSドープしながら窒化物半導体を形成した場合は、O濃度が1×1017cm-3以下であるSドープ窒化物半導体を提供することができる。また、Si濃度が1×1017cm-3以下であるSドープ窒化物半導体を提供することもできる。
本発明の製造方法により得られた窒化物半導体結晶は、さまざまな用途に用いることができる。特に、紫外、青色又は緑色等の発光ダイオード、半導体レーザー等の比較的短波長側の発光素子や、電子デバイス等の半導体デバイスの基板として有用である。また、本発明の製造方法により製造した窒化物半導体結晶を下地基板として用いて、さらに大きな窒化物半導体結晶を得ることも可能である。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
種結晶110として、図2に模式的に示す4個のバー状のGaN自立基板を準備した。周縁部を直線で構成されたGaN種結晶110は、C面を主面とし、−C面を裏面とし、M面を長辺の端面とし、A面を短辺の端面とする直方体で、長辺の端面は劈開で面だしした。サイズは、長辺が約40mm、短辺が約10mm、厚さが約400μmである。
図1に示すHVPE装置のサセプター107として、直径が80mm、厚さが20mmのSiCコーティングされたカーボン製の円柱状サセプターを採用した。さらにサセプター107上に石英下敷き109を敷き、図2に例示的に示すように、各石英下敷き109上にGaN種結晶を1本ずつ配置し、4個のGaN種結晶110をそれぞれ約5mmの間隔を空けて配列した。石英下敷きのサイズは、長辺が30mm、短辺が7mm、厚さが7mmであり、石英下敷きの長手方向と種結晶110の長手方向が平行になり、かつ、石英下敷きの上面中心点と種結晶110の裏面中心点が一致するように設置した。これによって、種結晶の裏面の面積の52.5%が石英下敷きと接触しており、残りの47.5%が原料ガスに触れる状態で露出しており、かつ、種結晶110の裏面外縁のすべて(100%)が原料ガスに触れる状態で露出した状態が形成された。ガスの流れの上流側から見て石英下敷きは種結晶110によって隠された状態になっている。このような配置で、以下のGaN結晶の成長工程を実施した。
HVPE装置のリアクター100を1040℃まで昇温した後、H2キャリアガスG1、N2キャリアガスG2、GaとHClとの反応生成物であるGaClガスG3、及び、NH3ガスG4をGaN単結晶である種結晶110に供給しながら、種結晶110からGaN結晶を35時間にわたって気相中で成長させた。この成長工程において、成長圧力を1.01×105Paとし、GaClガスG3の分圧を3.07×102Paとし、NH3ガスG4の分圧を1.27×104Paとした。GaN結晶は、M面から+c軸方向へ成長した。成長工程中の成長速度は減少することなく、約900μm/hで一定であった。この成長工程の終了後にリアクター100を室温まで降温した。周囲に多結晶が存在しないため、結晶の取り出しは極めて容易であり、取り出し時の結晶割れも無かった。
この成長工程によって得られたGaN結晶は、図3に模式的に示すように、種結晶110のM面から+c軸方向に延びた壁状部分を有していた。壁状部分からの切り出しにより、M面を主面とする直方体形状のバルク結晶が得られた。このバルク結晶のサイズは、長辺方向が約40mm、短辺方向が32mm、厚さが約2.5mmであった。このバルク結晶をカッティング、スライス、研磨することにより、20mm×30mm×400μmの複数枚のM面自立基板が得られた。
(実施例2)
実施例1の種結晶の配置を図5の(a)〜(g)のように変更して、それぞれ実施例1と同じ条件で窒化物半導体結晶を成長させる。結晶成長速度は一定であり、後述する比較例1よりも速い速度で結晶が成長する。実施例1と同様に優れた自立基板が得られる。
(比較例1)
実施例1と同様に、種結晶110として4個のバー状のGaN種結晶を準備し、直径が80mm、厚さが20mmのSiCコーティングされたカーボン製の円柱状サセプター107の上に直接設置した。このとき、種結晶110の裏面の全部がサセプター107の上面に接触して、種結晶110の裏面は完全に隠れた。
実施例1と同じ条件で35時間にわたってGaN結晶の成長工程を実施したところ、種結晶のM面から+c軸方向に単結晶が成長するとともに、サセプター上面から種結晶110の側面にかけて多結晶が成長した。また、GaN結晶の成長速度は徐々に遅くなり、成長工程開始時から終了時までの平均成長速度は約630μm/hであった。成長工程の終了後にリアクター100を室温まで降温して結晶の取り出しを行ったところ、種結晶110の側面からサセプター107上面にかけて多結晶が形成されていたため、取り出し時に部分的に結晶割れが生じた。
(比較例2)
比較例1の成長時間を35時間から60時間へ延長したところ、種結晶110のM面から成長したGaN結晶が図4に示すように内側に傾斜して成長した。c軸方向からの内側への傾斜角は約30°であった。また、種結晶110の側面に成長した多結晶が種結晶の側面よりも高い位置まで到達した(図4では多結晶は図示していない)。成長工程後の結晶の取り出しは、比較例1の場合よりも困難であり、多数の結晶割れが生じた。
(比較例3)
比較例1の成長時間を35時間から70時間へさらに延長したところ、種結晶110のM面から成長したGaN単結晶のかなりの部分を多結晶が覆い尽くしてしまい、結晶の取り出しは極めて困難であった。
(実施例3)
種結晶110として、直径2インチの円柱状をしており、厚さが3μmであって、−C面を主面とするノンドープのGaNを準備して、図6に示すHVPE装置のリアクター100内のサセプター107上に配置した。サセプター107は、直径が45mmのSiCコーティングされたカーボン製のサセプターである。このとき、種結晶の裏面(主面から見た裏面)の面積の約78%がサセプター107と接触しており、残りの約22%が原料ガスに触れる状態で露出しており、かつ、種結晶110の裏面外縁のすべて(100%)が原料ガスに触れる状態で露出した状態が形成された。ガスの流れの上流側から見てサセプター107は種結晶110によって隠された状態になっている。
このような配置で、リアクター100内の温度を1040℃まで昇温し、H2キャリアガスG1、0.5質量%のH2Sを含有するN2キャリアガスG2、GaとHClとの反応生成物であるGaClガスG3、及び、NH3ガスG4を種結晶110に供給しながら、種結晶110の主面から−c軸方向へSドープGaN結晶を6時間にわたって成長させた。このとき、成長圧力を1.01×105Paとし、GaClガスG3の分圧を2.69×102Paとし、NH3ガスG4の分圧を6.73×103Paとし、0.5質量%のH2Sを含有するH2SおよびH2の混合ガスG2の分圧を3.59×102Paとした。成長工程中の成長速度は減少することなく、約50μm/hで一定であった。この成長工程の終了後にリアクター100を室温まで降温した。周囲に多結晶が存在しないため、結晶の取り出しは極めて容易であり、取り出し時の結晶割れも無かった。これにより、厚さが約300μmの均一な厚みを有する割れのないGaN結晶の構造体が得られた。
得られたSドープGaN自立基板について、Hall効果測定を行ったところ、電子キャリア濃度は3×1018cm-3であった。また、(0002)面X線ロッキングカーブの半値全幅は、93秒であった。
(実施例4)
GaN結晶成長中に、高純度のHClガスを断続的に基板表面に供給した点を除いて、実施例3と同じ方法により単結晶を製造した。HClガスは、他のガスや固体等と混合・反応させずに、HClガス単体で断続的に種結晶表面に供給した。ここでいう「断続的に」とは、1分間の供給と1分間の供給停止を交互に繰り返したことを意味する。供給時のHClガスG5の分圧は3.12×102Paとした。
得られたSドープGaN自立基板について、Hall効果測定を行ったところ、電子キャリア濃度は1×1019cm-3であった。また、(0002)面X線ロッキングカーブの半値全幅は、81秒であった。
(実施例5)
ノンドープ領域を除去した後に、さらにSドープGaN自立基板を、アニール炉内に配置して、H2ガス圧力1.01×105Pa、基板温度850℃で、1分間熱処理を行った点を除いて、実施例3と同じ方法により単結晶を製造した。
得られたSドープGaN自立基板について、Hall効果測定を行ったところ、電子キャリア濃度は5×1018cm-3であった。また、熱処理前の単結晶の熱伝導率は239W/mkであり、熱処理後の単結晶の熱伝導率は294W/mkであった。また、(0002)面X線ロッキングカーブの半値全幅は、93秒であった。
(実施例6)
実施例3の種結晶の配置を図5の(a)〜(g)のように変更して、それぞれ実施例3と同じ条件で窒化物半導体結晶を成長させる。結晶成長速度は一定であり、速い速度で結晶が成長する。実施例3と同様に優れたGaN結晶が得られる。
本発明の結晶製造方法によれば、多結晶の成長を抑えながら、目的とする結晶を効率よく成長をさせることができる。また、成長させた結晶を取り出す際に結晶割れなどの危険性を大幅に減ずることができる。したがって、本発明は産業上の利用可能性が高い。
本発明の結晶成長に好適に用いられるHVPE装置の概略断面図である。 実施例1における種結晶と石英下敷きの関係を示す斜視図である。 実施例1の成長工程により得られた結晶を模式的に示す斜視図である。 比較例2の成長工程により得られた結晶を模式的に示す斜視図である。 支持体上に設置された種結晶の具体例を例示する斜視図である。 実施例3〜5で用いた種結晶を設置したHVPE装置の概略断面図である。
符号の説明
100 リアクター
101 H2キャリアガス用配管
102 N2キャリアガス用配管
103 III族原料用配管
104 窒素原料用配管
105 エッチングガス用配管
106 ヒーター
107 サセプター
108 排気管
109 石英下敷き
110 種結晶
111 ワイヤー
112 ワイヤー固定具
113 III族原料用リザーバー
G1 H2キャリアガス
G2 N2キャリアガス
G3 III族原料ガス
G4 窒素原料ガス
G5 エッチングガス

Claims (16)

  1. 主面とその裏面を備える種結晶を支持体の上に裏面が接するように設置し、主面に原料ガスを供給することにより窒化物半導体結晶を成長させる工程を含む窒化物半導体結晶の製造方法であって、
    前記種結晶の裏面外縁の全長の50%以上が原料ガスに触れる状態で露出していることを特徴とする窒化物半導体結晶の製造方法。
  2. 前記種結晶の裏面の少なくとも一部が原料ガスに触れる状態で露出していることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  3. 前記種結晶の裏面外縁の全長の70%以上が原料ガスに触れる状態で露出していることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  4. 前記種結晶の裏面外縁のすべてが原料ガスに触れる状態で露出していることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  5. 前記種結晶の裏面の面積の3%以上が原料ガスに触れる状態で露出していることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  6. 前記種結晶の裏面と前記支持体とが面接触していることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  7. 前記支持体が平坦な上面部を有しており、該上面部と前記種結晶の裏面とが接触していることを特徴とする請求項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  8. 前記種結晶が+C面を主面とする六方晶であり、前記窒化物半導体結晶がIII族元素を含む窒化物半導体であり、該窒化物半導体結晶が+c軸方向へ成長することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  9. 前記種結晶の+C面から窒化物半導体結晶が+c軸方向へ成長することを特徴とする請求項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  10. 前記種結晶のM面から窒化物半導体結晶が+c軸方向へ成長することを特徴とする請求項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  11. 前記種結晶のA面から窒化物半導体結晶が+c軸方向へ成長することを特徴とする請求項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  12. 前記種結晶が−C面を主面とする六方晶であり、前記窒化物半導体結晶がIII族元素を含む窒化物半導体であり、該窒化物半導体結晶が−c軸方向へ成長することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  13. 前記種結晶の−C面から窒化物半導体結晶が−c軸方向へ成長することを特徴とする請求項12に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  14. 前記種結晶が、サファイア、SiC、ZnO、及びIII族窒化物半導体からなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  15. 前記窒化物半導体がIII族窒化物半導体であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  16. 前記窒化物半導体がGaN半導体であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
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