JP5039489B2 - 現像装置及びそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に使用される現像装置に関し、特に現像装置内における現像剤の搬送制御に関するものである。
従来、画像形成装置に使用される2成分現像装置は、感光体ドラムに対向するように配置され、現像剤を担持する現像ローラと、この現像ローラのスラスト方向に一方の端部から他端部へと現像剤を攪拌搬送する第1攪拌搬送部材と、第1攪拌搬送部材と平行に配置され、第1攪拌搬送部材とは逆方向に現像剤を攪拌搬送する第2攪拌搬送部材とを有している。
また、第1攪拌搬送部材と第2攪拌搬送部材との間には仕切板が設けられ、第1貯留室と第2貯留室に区画されている。そして、現像装置の長手方向両端部において、第1貯留室と第2貯留室の間を現像剤が移動することができるよう仕切板のない領域が設けられており、現像剤は第1及び第2攪拌搬送部材、の回転によって第1貯留室と第2貯留室とを循環するように構成されている。
このような従来の現像装置においては、現像剤の劣化や使用環境等により現像剤の流動性が低下した場合、第1及び第2攪拌搬送部材の搬送力が伝達されにくい現像装置の長手方向端部に現像剤が嵩高く滞留することがある。その結果、現像剤が第1貯留室から第2貯留室への受け渡し部で滞留し、現像剤の搬送速度の低下及び攪拌の不良により、現像剤の循環が悪くなって現像ローラ上に形成される現像剤薄層に乱れが生じ、濃度むら等の不具合が発生するおそれがあった。
そこで、現像装置内部の現像剤の循環を円滑にして濃度むらの発生を抑制する方法が種々提案されている。例えば特許文献1には、現像剤の搬送を補助する現像剤補助部材を、複数の攪拌搬送手段(攪拌搬送部材)間の通路を形成する開口部に望んで設けることにより、開口部において現像剤が滞留し、現像剤の搬送不良が生じることを解消可能とした現像装置が開示されている。
特開2001−92254号公報
しかし、特許文献1の方法では、攪拌補助部材の現像剤搬送方向(循環方向)上流側直近で現像剤が滞留したり、かかる攪拌補助部材により現像剤を搬送することにより第1貯留室と第2貯留室との現像剤のバランスが崩れ、現像剤を安定して供給することが困難となり、画像形成に不具合を生じる可能性がある。
本発明は、上記問題点に鑑み、簡易な構成で現像剤の搬送不良を防止して搬送時間の遅れを解消することができる現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、内部を第1貯留室と第2貯留室とに区画された筐体と、前記第1貯留室に像担持体と対向するように配設された現像剤担持体と、前記第1貯留室に前記現像剤担持体と並設され、前記現像剤担持体のスラスト方向に現像剤を攪拌搬送する第1攪拌搬送部材と、前記第2貯留室に前記第1攪拌搬送部材と並設され、前記第1攪拌搬送部材と反対方向に現像剤を攪拌搬送する第2攪拌搬送部材と、を有し、前記第1及び第2攪拌搬送部材によって現像剤が前記第1貯留室と前記第2貯留室とを循環するように構成された現像装置において、前記第1及び第2貯留室の各底面部には、現像剤が前記循環する循環方向上流端部から下流端部に向かって、上り勾配となる上昇傾斜部がそれぞれ設けられ、且つ第1及び第2貯留室の各前記循環方向下流端部からそれぞれ前記第2及び第1貯留室の前記循環方向上流端部に向かって、下り勾配となる下降傾斜部が設けられたことを特徴とする現像装置。
また本発明は、前記第1及び第2貯留室の前記循環方向下流端部を通る平面と、前記第1及び第2貯留室の前記循環方向上流端部を通る平面とは略水平であり、且つ、前記第1及び第2貯留室の前記各上昇傾斜部の角度は2°以下であることを特徴としている。
また本発明は、前記第1及び第2攪拌搬送部材の各両端部に弾性部材が設けられ、前記第1及び第2攪拌搬送部材が、前記弾性部材を介して前記第1及び第2貯留室にそれぞれ軸支され、且つ該第1及び第2貯留室の前記上昇傾斜部と略平行にそれぞれ配設されたことを特徴としている。
また本発明は、前記現像装置が搭載されたことを特徴とする画像形成装置である。
本発明の第1の構成によれば、第1及び第2貯留室における現像剤の循環方向上流端部から下流端部に向かって上昇傾斜部を設け、第1及び第2貯留室の上記循環方向下流端部からそれぞれ第2及び第1貯留室の上記循環方向上流端部に向かって下降傾斜部を設けることにより、現像剤は、上昇傾斜部では第1攪拌搬送部材及び第2攪拌搬送部材により攪拌搬送され、それぞれ第1及び第2貯留室の循環方向下流端部に到達した後、第1及び第2貯留室の間の下降傾斜部では、後から搬送された現像剤により押圧されると共に現像剤の自重による下方への力も加わり下降傾斜部に沿って移動する。
これにより、現像装置の長手方向とは垂直方向において、第1貯留室と第2貯留室との間の現像剤の搬送時間の遅延を防ぐと共に、第1貯留室及び第2貯留室における循環方向下流端部での現像剤の滞留を防止することができる。従って、現像剤が第1貯留室と第2貯留室との受け渡し部での滞留、現像剤の搬送速度の低下及び攪拌の不良により、現像剤の循環が悪くなって現像ローラ上に形成される現像剤薄層に乱れが生じ、濃度むら等の不具合が生じることを防止することができる。
また、本発明の第2の構成によれば、第1の構成の現像装置において、第1及び第2貯留室の前記循環方向下流端部を含む平面と、第1及び第2貯留室の前記循環方向上流端部を含む平面とを略水平とし、且つ、各上昇傾斜部の傾斜角度を2°以下とすることにより、第1及び第2貯留室の長手方向における各攪拌搬送時間の遅延をより防ぐことができる。これにより、筐体全体の現像剤の総搬送時間をより短縮することができる。また、かかる総搬送時間に占める攪拌搬送時間の割合が大きくなるため、単位時間当たりの現像剤の帯電能力を向上させることができる。
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1または第2の構成の現像装置において、第1及び第2攪拌搬送部材の両端部に弾性部材を設け、該弾性部材を介して、第1及び第2攪拌搬送部材を第1及び第2貯留室の上昇傾斜部と略平行となるようそれぞれ配設することによって、第1及び第2攪拌搬送部材と現像装置の底面部との間において、現像剤が攪拌搬送されないデッドスペースを減らすことができ、より良好に現像剤を攪拌搬送することができる。
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1〜第3のいずれかの構成の現像装置を画像形成装置に搭載することにより、現像剤の滞留が防止され、搬送バランスが一定に保持されて現像剤担持体上に形成される現像剤薄層が安定化された画像形成を行うことができるため、濃度むら等の不具合の発生を抑制することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る現像装置を備えた画像形成装置の全体構成を示す概略構成図であり、右側を画像形成装置の前方側として図示している。図1に示すように、画像形成装置100は、本体下部に積載された用紙を収容する給紙カセット2が備えられている。この給紙カセット2の上方には、本体前方から本体後方へ略水平に延び、更に上方へ延びて本体上面に形成された排紙部3に至る用紙搬送路4が形成されており、この用紙搬送路に沿って上流側から順に、ピックアップローラ5、フィードローラ6、中間搬送ローラ7、レジストローラ対8、画像形成部9、定着部10及び排出ローラ対11が配置されている。更に、画像形成装置100内には、上記の各ローラ、画像形成部9、定着部10等の動作を制御する制御部(CPU)30が配置されている。
給紙カセット2には、用紙搬送方向後端部に設けられた回動支点12aによって、給紙カセット2に対して回動自在に支持された用紙積載板12が備えられており、用紙積載板12上に積載された用紙がピックアップローラ5に押圧されるようになっている。また、給紙カセット2の前方側には、フィードローラ6に圧接するようにリタードローラ13が配設されており、ピックアップローラ5によって複数枚の用紙が同時に給装された場合には、これらフィードローラ6とリタードローラ13とによって用紙が捌かれ、最上位の1枚のみが搬送されるよう構成されている。
そして、フィードローラ6とリタードローラ13とによって捌かれた用紙は、中間搬送ローラ7によって搬送方向を装置後方へと変えられてレジストローラ対8へと搬送され、レジストローラ対8によってタイミングを調整されて画像形成部9へと供給される。
画像形成部9は、電子写真プロセスによって用紙に所定のトナー像を形成するものであり、図1において時計方向に回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム14と、この感光体ドラム14の周囲に配置される帯電装置15、現像装置16、クリーニング装置17、用紙搬送路4を挟んで感光体ドラム14に対向するように配置される転写ローラ18及び感光体ドラム14の上方に配置される露光ユニット(LSU)19から構成されており、現像装置16の上方には、現像装置16へトナーを補給するトナーコンテナ20が配置されている。
帯電装置15には、図示しない電源が接続された導電性ゴムローラ15aが備えられており、この導電性ゴムローラ15aが感光体ドラム14に当接するよう配置されている。そして、感光体ドラム14が回転すると、導電性ゴムローラ15aが感光体ドラム14の表面に接触して従動回転し、この時、導電性ゴムローラ15aに所定の電圧を印加することにより、感光体ドラム14の表面が一様に帯電させられることとなる。
次いで、露光ユニット(LSU)19からのレーザビームにより感光体ドラム14上に入力された画像データに基づく静電潜像が形成され、現像装置16により静電潜像にトナーが付着されて感光体ドラム14の表面にトナー像が形成され、転写ローラ18により感光体ドラム14の表面のトナー像が、感光体ドラム14と転写ローラ18とのニップ部に形成された転写位置に供給された用紙へと転写される。
トナー像が転写された用紙は、感光体ドラム14から分離されて定着部10に向けて搬送される。この定着部10は、画像形成部9の用紙搬送方向の下流側に配置されており、画像形成部9においてトナー像が転写された用紙は、定着部10に備えられた加熱ローラ21、及びこの加熱ローラ21に圧接される加圧ローラ22によって加熱、加圧され、用紙に転写されたトナー像が定着される。
そして、画像形成部9及び定着部10において画像形成がなされた用紙は、排出ローラ対11によって排紙部3に排出される。一方、転写後に感光体ドラム14の表面に残留しているトナーはクリーニング装置17により除去される。そして、感光体ドラム14は帯電装置15によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われる。
続いて、図2及び図3を参照して本発明に係る現像装置16について詳述する。図2は本発明の第1実施形態に係る現像装置の側面断面図であり、図3は第1実施形態の現像装置を上方から見た平面図である。なお、図2は図3におけるXX′矢視断面図に相当し、図3においては説明の便宜上、カバー31bを外した状態を示している。
図2に示すように、現像装置16は、現像ローラ35が感光体ドラム14に対向するように配置されている(図1参照)。また、図2及び図3に示すように、現像装置16は、非磁性トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤が収容されるケーシング31aと、ケーシング31aに収容された現像剤が外部に漏れないように封止するカバー31bとから構成される筐体31内に、第1攪拌搬送部材32、第2攪拌搬送部材33、現像ローラ35、規制ブレード36が備えられている。
ケーシング31aの内部は、第1攪拌搬送部材32と第2攪拌搬送部材33との間に設けられ、ケーシング31aの長手方向に延在する仕切板37によって第1貯留室38と第2貯留室39とに区画されており、第1貯留室38には第1攪拌搬送部材32が、第2貯留室39には第2攪拌搬送部材33がそれぞれ配設されている。また、仕切板37は、図3に示すようにケーシング31aの左右両端部には設けられておらず、この部分が第1貯留室38と第2貯留室39の間を現像剤が移動する通路40となっている。
第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材33は、それぞれ回転軸32a、33aと、その外周面に一体形成された螺旋羽32b、33bから構成され、ケーシング31a内に回転可能に軸支されており、通常は第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材33が所定方向に回転することによって第1貯留室38内の現像剤を矢印A方向(現像ローラ35のスラスト方向)に搬送し、第2貯留室39内の現像剤を矢印B方向(現像ローラ35のスラスト方向)に搬送するよう構成されている。また、トナー濃度センサ(図示せず)の検出結果に応じてケーシング31a内にトナーを補給できるように、カバー31bにはトナーコンテナ20(図1参照)からトナーが供給されるトナー補給口34が設けられている。かかる第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材33の詳細については後述する。
現像ローラ35は、第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材33と並んで第1貯留室38内に回転可能に軸支され、モータ42とは別個の駆動手段(図示せず)が接続されている。この現像ローラ35には、内面に永久磁石から成る磁界発生部材(図示せず)が固定されたマグネットローラが使用されており、感光体ドラム14の回転に応じて現像ローラ35が回転すると、この磁界発生部材の磁力により現像ローラ35の表面に現像剤が付着(担持)されて現像剤層が形成される。そして、所定の現像域において現像ローラ35に付着した現像剤中のトナーが、感光体ドラム14の表面電位と現像ローラ35に印加される現像バイアスとの電位差により感光体ドラム14へと飛翔して感光層に付着し、感光体ドラム14表面にトナー像が形成される。
規制ブレード36は、感光体ドラム14に供給するトナー量、すなわち現像ローラ35への現像剤付着量を規制するものであり、例えばSUS303等の非磁性体のSUS(ステンレス)が用いられる。そして、規制ブレード36は、その先端と現像ローラ35との間に所定の隙間が形成されるように配設されており、この規制ブレード36と現像ローラ35との隙間によって現像ローラ35への現像剤付着量が規制され、現像ローラ35の表面には数百ミクロンの現像剤薄層が形成される。
また、図4及び図5は、図3において特にケーシングの底面部の状態を示す模式的な図であり、図4は上面図であり、図5は上面図及び各側面方向から見た側面断面図である。また、図6は、第2攪拌搬送部材の配設状態を示す部分側面図である。なお、本実施形態では、第1攪拌搬送部材32と第2攪拌搬送部材33の底面部38a及び底面部39aに対する配設状態は同様のため、第2攪拌搬送部材を代表として示した。
図4及び図5に示すように、第1貯留室38の底面部38aには、ケーシング31aの長手方向に沿ってA方向上流端部38aa(破線領域)から下流端部38ab(破線領域)に向かって、A方向上流端部38aaよりA方向下流端部38abの方がカバー31(図2参照)に近づくよう上り勾配となる上昇傾斜部Uが設けられており、現像剤は、第1攪拌搬送部材32により底面部38aaから38に向かって底面部38aを上昇するように搬送される。
同様に、第2貯留室39の底面部39aには、ケーシング31aの長手方向に沿ってB方向上流端部39aa(破線領域)から下流端部39ab(破線領域)に向かって、B方向上流端部39aaよりB方向下流端部39abの方がカバー31(図2参照)に近づくよう上り勾配となる傾斜する上昇傾斜部Uが設けられており、現像剤は、第2攪拌搬送部材により底面部39aaから39abに向かって底面部39aを上昇するように搬送される。
また、第1貯留室38のA方向上流端部38aaと第2貯留室39のB方向上流端部39aaとを含む平面S1と、第1貯留室38のA方向下流端部38abと第2貯留室39のB方向下流端部39abとを含む平面S2とは、略水平に配設されている。すなわち、第1貯留室38の最下部であるA方向上流端部38aaと、第2貯留室の最下部であるB方向上流端部39aaと、を含む平面S1に対し、A方向下流端部38ab及びB方向下流端部39abは略同じ高さとなるよう配設されている。
また、ケーシング31aの長手方向と垂直方向には、第1貯留室38のA方向下流端部38abから第2貯留室39のB方向上流端部39aaに向かって、A方向下流端部38abよりB方向上流端部39aaの方がカバー31(図2参照)から離れるよう下り勾配となる下降傾斜部Dが設けられており、現像剤は、通路40を介してA方向下流端部38abからB方向上流端部39aaに向かって、後から搬送された現像剤により押圧されると共に現像剤の自重による下方への力も加わり下降傾斜部Dに沿って移動することができる。
同様に、ケーシング31aの長手方向と垂直方向には、第2貯留室39のB方向下流端部39abから第1貯留室38のB方向上流端部38aaに向かって、B方向下流端部39abよりA方向上流端部38aaの方がカバー31(図2参照)から離れるよう下り勾配となる下降傾斜部Dが設けられており、現像剤は、通路40を介してB方向下流端部39abからA方向上流端部38aaに向かって、後から搬送された現像剤により押圧されると共に現像剤の自重による下方への力も加わり下降傾斜部Dに沿って移動することができる。
そして、第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材33の回転軸32a、33aの一端には駆動入力ギヤ41a、41bが連結されており、駆動入力ギヤ41a、41bは駆動力の伝達方向を切り換え可能なクラッチ42を介してモータ43が接続されている。このクラッチ42及びモータ43により第1及び第2攪拌搬送部材32、33を所定方向に回転駆動することによって、現像剤が第1貯留室38及び第2貯留室39内を搬送され、また、ケーシング31aの左右両端部に設けられた通路40を通過して、第1貯留室38と第2貯留室39とを循環するようになっている。
ここで、第1攪拌搬送部材32の回転軸32aの両端部には、それぞれ円柱形状のゴム部材(弾性部材)44が設けられており、図6に示すように、かかるゴム部材44を介して、第1攪拌搬送部材32の回転軸32aの一端部は、駆動入力ギア41aと連結され、他端部は、第1貯留室38における駆動入力ギア41aとは反対側の側面部38bにおいて駆動入力ギア41aより上方に、第1攪拌総部材32が第1貯留室の底面部38aの上昇傾斜部Uと略平行になるよう回転可能に配設されている。
同様に、第2攪拌搬送部材33の回転軸33aの両端部には、それぞれゴム部材44が設けられており、図6に示すように、かかるゴム部材44を介して、第2攪拌搬送部材33の回転軸33aの一端部は、駆動入力ギア41bと連結され、他端部は、第2貯留室39における駆動入力ギア41bとは反対側の側面部39bにおいて駆動入力ギア41bより下方に、第2攪拌総部材33が第1貯留室の底面部39aの上昇傾斜部Uと略平行になるよう回転可能に配設されている。
なお、ここでは、第2攪拌部材33の駆動入力ギア41b側端部が第1攪拌搬送部材32の側面部38b側端部と略同じ高さとなるよう、駆動入力ギア41aを、駆動入力ギア41bより下方に配設することとしたが、駆動入力ギア41a、41bの配設は現像装置16の内部構成等に応じて適宜設計可能であり、特に限定されるものではない。
このように、ゴム部材44を用いることにより、第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材33を、第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材33を、それぞれ第1貯留室38の底面部38a及び第2貯留室39の底面部39bと略平行に配設しても、これらに駆動入力ギア41a及び41bからの駆動力をそれぞれ無理なく入力することができる。
従って、第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材33を、ゴム部材44を介して底面部38a及び底面部39aの上昇傾斜部Uにそれぞれ略平行に配設することができ、これにより、第1攪拌搬送部材32と底面部38aとの間及び第2攪拌搬送部材33と底面部39aとの間において、現像剤が攪拌搬送されないデッドスペースを減らすことができるため、より良好に現像剤を攪拌搬送することができる。
次に、本実施形態に用いる現像装置16の動作について説明する。画像形成動作が開始されると、モータ43からクラッチ42、駆動入力ギヤ41a、41bを介して第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材33に駆動力が入力され、現像剤は第1貯留室38内を矢印A方向に、第2貯留室39内を矢印B方向に循環する。
このとき、現像剤は第1貯留室38内を、第1攪拌搬送部材32により底面部38aのA方向上流端部38aaから下流端部38abまで上昇傾斜部Uを上昇しながら搬送される。第1貯留室38のA方向下流端部38abまで搬送された現像剤は、かかるA方向下流端部38abから第2貯留室39の底面部39aのB方向上流端部39aaに向かって設けられた下降傾斜部Dに沿って速やかに移動する(滑り落ちる)。
そして、B方向上流端部39aaに到達した現像剤は、引き続き、第2貯留室内を、第2攪拌搬送部材33により底面部39aのB方向上流端部39aaから下流端部39abまで上昇傾斜部Uを上昇しながら搬送される。第2貯留室39のB方向下流端部39abまで搬送された現像剤は、かかるB方向下流端部39abから第1貯留室38のA方向上流端部38aaに向かって設けられた下降傾斜部Dに沿って速やかに移動する。
従来では、装置外部の温湿度変化や現像装置16の長時間の駆動により現像剤の流動性が低下すると、現像剤の循環方向が直角に曲がる通路40(図2参照)の直前付近における現像剤の受け渡し部、即ち第2貯留室39のB方向下流端部39ab及び第1貯留室38のA方向下流端部に38abおいて現像剤の滞留が発生していた。しかし、本実施形態によれば、B方向下流部39ab及びA方向下流端部38abに到達した現像剤は、かかる受け渡し部から下降傾斜部Dを滑り落ちて移動するため、滞留部分が解消すると共に、ケーシング31aの長手方向とは垂直方向の現像剤搬送時間が短くなる。
ここで、図5に示すように、ケーシング31a内面の長手方向の長さをL1、長手方向と垂直方向の長さをL2とし、第1貯留室38の底面部38aにおけるA方向上流端部38aaから下流端部38abに向かう傾斜角度、及び第2貯留室39の底面部39aにおけるB方向上流端部39aaから下流端部39abに向かう傾斜角度をθ1(図6参照)とする。また、上記A方向下流端部38abからB方向上流端部39aaに向かう傾斜角度、及び上記B方向下流端部39abからA方向上流端部38aaに向かう傾斜角度をθ2とする。
さらに、図6に示すように、平面S1に対する平面S2の高さをHとすると、tanθ1=H/L1、tanθ2=H/L2であるため、L1×tanθ1=L2×tanθ2の関係が成り立つ。従って、L1を長手方向とする場合、すなわちL1がL2より大きい(L1>L2)場合、tanθ1<tanθ2となることから、θ1<θ2となる。従って、A方向下流端部38abとB方向下流端部39abの平面S1に対する高さHが略一定(平面S1と平面S2が略平行)であれば、長手方向の傾斜角度θ1は、長手方向と垂直方向の傾斜角度θ2より小さくすることができる。すなわち、長手方向の傾斜を緩くすることができる。
かかる状態を図7に示す。図7は、傾斜高さとケーシングの長手方向の傾斜角度及び長手方向と垂直方向の傾斜角度との関係を示す図である。図7において、L1=350mm、L2=50mmとし、高さHを変化させたときのtanθ1、tanθ2、θ1、θ2の変化を示した。図7に示すように、高さHが大きくなると、傾斜角度θ1の増加に比べ、傾斜角度θ2の増加の方が大きくなっている。
また、図8は、第2貯留室の傾斜角度θ1に対する長手方向の現像剤搬送時間の変化と搬送時間変化率Pとの関係を示すグラフである。図8では、第2貯留室の傾斜角度θ1のときの長手方向の現像剤の搬送時間T1の、θ1=0(傾斜が全く設けられていない)のときの搬送時間T0に対する変化を、T0に対するT1の百分率により搬送時間変化率P(%)として示した。また、図9は、第2貯留室の底面部の傾斜状態を示す図である。
なお、図8において、横軸は傾斜角度θ1を示し、図9に示すように、θ1が正の値(θ1>0)のとき、第2貯留室39の底面部39aにはB方向上流端部39aaから下流端部39abまで下降傾斜が設けられていることを、一方、θ1が負の値(θ1<0)のとき、同上昇傾斜が設けられていることを示す。また、縦軸は搬送時間変化率Pを示し、搬送時間変化率Pが正の値(P>0)のとき、搬送時間T1が短くなったことを示し、搬送時間変化率Pが負の値(P<0)を示すとき、搬送時間T1が長くなったことを示す。
なお、第1貯留室38と第2貯留室39とで、傾斜角度θ1と搬送時間変化率Pとの関係は同様の傾向を示すため、以下、第2貯留室39についてのみ説明する。また、搬送時間は、ここでは例えば以下のように測定することとする。まず、第2貯留室39における第1貯留室38とは反対側の側面部において、B方向上流端部39aaと下流端部39abとにそれぞれ第1及び第2のトナー濃度センサ(図示せず)を配設する。次に所定量の第1の現像剤を、第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材33を作動させて循環させる。
そして、かかる第1の現像剤の循環中に、第2貯留室39のB方向上流端39aa側であって第1のトナー濃度センサのさらに上流側から、第1の現像剤とは色の異なる第2の現像剤を所定量投入し、第2の現像剤が第1のトナー濃度センサを通過してから第2のトナー濃度センサを通過するまでの時間を検知することによって、搬送時間T1を測定する。なお、搬送時間T1の測定方法はこれに限定されるものではなく、その他の方法も適宜用いることができる。
図8に示すように、傾斜角度θ1=0のときと比べ、傾斜角度θ1が大きくなる(θ1>0)、すなわちB方向上流端部39aaから下流端部39abに向かって下降傾斜が大きくなると、第2攪拌搬送部材33による攪拌搬送に加え、現像剤の自重も加わるため、長手方向の搬送時間T1は短くなる傾向にある。
しかし、B長手方向下流端部39abから第1貯留室38の底面部38aのA方向上流端部38aaまでの現像剤の搬送経路が上昇傾斜(上昇傾斜部U)となり、かかる搬送経路では後から搬送される現像剤によって先に到着した現像剤が上昇傾斜に沿って押圧されないと搬送されない。従って、B方向下流端部39abに現像剤は滞留し、長手方向と垂直方向の搬送時間T2は長くなる。このため、ケーシング31a全体の総搬送時間Tは長くなる。
これに対し、傾斜角度θ1が小さくなる(θ<0)、すなわち上昇傾斜が大きくなると、搬送時間T1は長くなる傾向にある。ところが、B長手方向下流端部39abから第1貯留室38の底面部38aのA方向上流端部38aaまでの現像剤の搬送経路が下降傾斜(下降傾斜部D)となり、かかる搬送経路では現像剤が自重により該経路に沿って落下するため、長手方向と垂直方向の現像剤の搬送時間T2は短くなる。
また、特に傾斜角度θ1が−2°以上0未満(−2≦θ1<0)では、搬送時間変化率Pにほとんど変化がない、すなわち、底面部39aの上昇傾斜部Uの傾斜角度θ1が2°以下の場合、傾斜が全く設けられていない場合と比べ、搬送時間はほとんど変化しない。加えて、例えば、上昇傾斜部Uの傾斜角度θ1が2°のとき、図7に示すように、傾斜角度θ2は13°以上と大きくなり、現像剤の自重落下をより促進することができるため、下降傾斜部Uの搬送時間T2はより短くなる。
従って、ケーシング31aの長手方向の搬送時間T1が長くならず、且つ長手方向とは垂直方向の搬送時間T2を短くすることができるため、ケーシング31a全体の総搬送時間Tを、より短くすることができる。なお、上述のように、かかる傾向は第1貯留室38においても同様に生じる。
ここで、現像剤と第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材33の螺旋羽32b、33bとの接触時間が長いほど、現像剤を十分に帯電させることができる。また、第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材33の螺旋羽32b及び33bの羽の数が一定であれば、現像剤と螺旋羽32b及び33bとの接触面積は略一定である。さらに、上記の通り、上昇傾斜部Uの接触角度が2°以下の場合には、長手方向の搬送時間T1は傾斜が全く設けられていない場合と略同じであり、長手方向と垂直方向の搬送時間T2のみが短くなることによってケーシング31a全体の総搬送時間Tが短くなっている。
従って、第1貯留室38の底面部38a及び第2貯留室39の底面部39aに傾斜が全く設けられていない場合と比べ、総搬送時間Tに対する長手方向の搬送時間T1の占める割合が大きく、総搬送時間Tに対する現像剤が螺旋羽32b及び33bと接触する時間の占める割合が大きくなるため、単位時間当たりの現像剤の帯電能力を向上させることができる。これらを考慮すると、上昇傾斜部Uの傾斜角度θ1は、2°以下であることが好ましい。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、ケーシング31aのL1=350mm、L2=50mmとしたが、その他の寸法とすることもできる。また、上記実施形態では、弾性部材としてゴム部材44を用いたが、これに限定されるものではなく、その他、樹脂部材等を用いることもできる。
また、現像剤が第1及び第2貯留室38、39を循環する構成であれば、図3及び図4〜図6に示した構成に限定されるものではなく、例えば第1攪拌搬送部材32と現像ローラ35との間に攪拌パドルを備えた現像装置であっても良いし、第1攪拌搬送部材32と現像ローラ35との間に供給ローラ(磁気ローラ)を備えたタッチダウン方式の現像装置であっても良い。
また、上記実施形態では、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いる現像装置を例に挙げて説明したが、トナーのみから成る1成分現像剤を用いる現像装置にも同様に適用可能である。さらに、本発明の現像装置が搭載される画像形成装置としては、図1に示したようなモノクロプリンタに限らず、モノクロ及びカラー複写機、カラープリンタ、ファクシミリ等の他の画像形成装置であっても良い。
本発明は、内部を第1貯留室と第2貯留室とに区画された筐体と、前記第1貯留室に像担持体と対向するように配設された現像剤担持体と、前記第1貯留室に前記現像剤担持体と並設され、前記現像剤担持体のスラスト方向に現像剤を攪拌搬送する第1攪拌搬送部材と、前記第2貯留室に前記第1攪拌搬送部材と並設され、前記第1攪拌搬送部材と反対方向に現像剤を攪拌搬送する第2攪拌搬送部材と、を有し、前記第1及び第2攪拌搬送部材によって現像剤が前記第1貯留室と前記第2貯留室とを循環するように構成された現像装置において、前記第1及び第2貯留室の各底面部には、現像剤が前記循環する循環方向上流端部から下流端部に向かって、上り勾配となる上昇傾斜部がそれぞれ設けられ、且つ第1及び第2貯留室の各前記循環方向下流端部からそれぞれ前記第2及び第1貯留室の前記循環方向上流端部に向かって、下り勾配となる下降傾斜部が設けられたものである。
これにより、現像剤が第1貯留室から第2貯留室への受け渡し部での滞留、現像剤の搬送速度の低下及び攪拌の不良により、現像剤の循環が悪くなって現像ローラ上に形成される現像剤薄層に乱れが生じ、濃度むら等の不具合が生じることを防止することができる。
また、第1及び第2貯留室の前記循環方向下流端部を通る平面と、第1及び第2貯留室の前記循環方向上流端部を通る平面とを略水平とし、且つ、各上昇傾斜部の傾斜角度を2°以下とすることにより、第1及び第2貯留室の長手方向における各攪拌搬送時間の遅延をより防ぐことができるため、筐体全体の現像剤の総搬送時間をより短縮することができる。加えて、かかる総搬送時間に占める攪拌搬送時間の割合が大きくなるため、単位時間当たりの現像剤の帯電能力を向上させることができる。
また、第1及び第2攪拌搬送部材の両端部に弾性部材を設け、該弾性部材を介して、第1及び第2攪拌搬送部材を第1及び第2貯留室の上昇傾斜部と略平行となるようそれぞれ配設することによって、第1及び第2攪拌搬送部材と現像装置の底面部との間において、現像剤が攪拌搬送されないデッドスペースを減らすことができ、より良好に現像剤を攪拌搬送することができる。
また、上記現像装置を画像形成装置に搭載することにより、現像剤の滞留が防止され、搬送バランスが一定に保持されて現像剤担持体上に形成される現像剤薄層が安定化された画像形成を行うことができるため、濃度むら等の不具合の発生を抑制することができる。
は、本発明の一実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の全体構成を示す概略構成図である。 は、本実施形態に係る現像装置の側面断面図である。 は、本実施形態に係る現像装置を上方から見た平面図である。 は、図3において特にケーシング31aの底面部の状態を示す模式的な上面図である。 は、図3において特にケーシング31aの底面部の状態を示す模式的な上面図及び各側面方向から見た側面断面図である。 は、本実施形態に係る現像装置における第2攪拌搬送部材の配設状態を示す部分側面図である。 は、傾斜高さとケーシングの長手方向の傾斜角度及び長手方向と垂直方向の傾斜角度との関係を示す図である。 は、第2貯留室の長手方向の傾斜角度θ1に対する長手方向の現像剤搬送時間の変化と搬送時間変化率Pとの関係を示すグラフである。 は、第2貯留室の底面部の傾斜状態を示す図である。
符号の説明
1 画像形成装置
14 感光体ドラム(像担持体)
16 現像装置
31 筐体
31a ケーシング
31b カバー
32 第1攪拌搬送部材
33 第2攪拌搬送部材
35 現像ローラ(現像剤担持体)
36 規制ブレード
37 仕切板
38 第1貯留室
38a 底面部
38aa A方向上流端部
38ab A方向下流端部
38b 側面部
39 第2貯留室
39a 底面部
39aa B方向上流端部
39ab B方向下流端部
39b 側面部
40 通路
42 クラッチ
43 モータ
44 ゴム部材(弾性部材)
U 上昇傾斜部
D 下降傾斜部
S1、S2 平面

Claims (4)

  1. 内部を第1貯留室と第2貯留室とに区画された筐体と、
    前記第1貯留室に像担持体と対向するように配設された現像剤担持体と、
    前記第1貯留室に前記現像剤担持体と並設され、前記現像剤担持体のスラスト方向に現像剤を攪拌搬送する第1攪拌搬送部材と、
    前記第2貯留室に前記第1攪拌搬送部材と並設され、前記第1攪拌搬送部材と反対方向に現像剤を攪拌搬送する第2攪拌搬送部材と、
    を有し、前記第1及び第2攪拌搬送部材によって現像剤が前記第1貯留室と前記第2貯留室とを循環するように構成された現像装置において、
    前記第1及び第2貯留室の各底面部には、現像剤が前記循環する循環方向上流端部から下流端部に向かって、上り勾配となる上昇傾斜部がそれぞれ設けられ、
    且つ第1及び第2貯留室の各前記循環方向下流端部からそれぞれ前記第2及び第1貯留室の前記循環方向上流端部に向かって、下り勾配となる下降傾斜部が設けられたことを特徴とする現像装置。
  2. 前記第1及び第2貯留室の前記循環方向下流端部を通る平面と、前記第1及び第2貯留室の前記循環方向上流端部を通る平面とは略水平であり、且つ、前記第1及び第2貯留室の前記各上昇傾斜部の角度は2°以下であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
  3. 前記第1及び第2攪拌搬送部材の各両端部に弾性部材が設けられ、前記第1及び第2攪拌搬送部材が、それぞれ前記弾性部材を介して前記第1及び第2貯留室に軸支され、且つ該第1及び第2貯留室の前記上昇傾斜部と略平行に配設されたことを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の現像装置が搭載された画像形成装置。
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