JP5038815B2 - 電子写真感光体、これを用いた画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
なお、電子写真感光体に関して、以下、「静電潜像担持体」、「感光体」、「光導電性絶縁体」と称することがある。
前者(静電疲労)は、帯電・露光などの画像形成プロセスの繰り返しによる感光体の表面電位(帯電電位と露光部電位)の変化であり、概ね有機系材料を用いた場合には帯電電位の低下、もしくは露光部電位の上昇(残留電位と呼ぶ場合がある)が問題となる。
後者(表面層の摩耗)は、感光体を構成する最表面に位置する層がクリーニング部材などの摺察により機械的に摩耗を生ずる現象である。この摩耗により感光体表面層の膜厚が減少すると、表面に生じる傷、感光層膜厚減少による電界強度の上昇、静電疲労の促進などを生じることになり、感光体の寿命を著しく低減する要因となる。従って、感光体の寿命を向上するためには、上記2つの課題を同時に解消しなくてはならない。
例えば、静電特性の改良に関しては、光キャリア発生効率の大きな電荷発生物質の開発及び移動度の大きな電荷輸送物質の開発が挙げられる。これらを組み合わせることによって、光減衰における大きなゲインとレスポンスを得ることができ、システム全体として、帯電電位の低減化、書き込み光量の低減化、現像バイアスの低減化、転写バイアスの低減化、除電プロセスの不要性などを生み出し、システム設計に余裕度を生み出すことになる。これらは全て感光体に付加されるハザードの低減化につながり、感光体自身にも余裕度が生まれることになる。
異常画像の発生は様々なケースがあるが、大きく2つに大別できる。1つは感光体表面に発生する傷などに起因した異常画像であり、いま1つは感光体の静電疲労により発生する異常画像である。前者に関しては、感光体表面層の改良(例えば保護層の使用)や感光体当接部材の改良によりかなりの場合対応が可能である。後者に関しては、感光体そのものの劣化に起因するものであるが、現在最も大きな課題となっているものは反転現像(ネガ・ポジ現像)における地汚れである。
しかしながら、これらの技術を用いても、長期間の繰り返し使用に対しては、十分なものではなかった。
また、炭素−炭素二重結合を有するモノマーと、炭素−炭素二重結合を有する電荷輸送材及びバインダー樹脂からなる塗工液を用いて形成した電荷輸送層を設けることが知られている(例えば、特許文献10参照)。更に、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を硬化した化合物を含有する感光層も知られている(例えば、特許文献11参照)。
しかしながら、保護層固有の問題も新たに発生した。例えば、摩耗量が小さくなったため、感光体の繰り返し使用時に表面に堆積する物質が増加し、その結果、画像ボケ等の異常画像が発生するようになった。この点に関しては、保護層の改良や感光体の使用方法、例えば、ドラムヒーターの採用等により解決される。
上記状況から、繰り返し使用、特に、反転現像(ネガ・ポジ現像)しても地汚れなどの異常画像を発生することがない耐摩耗性と静電特性が優れた感光体及びそれを用いた画像形成装置が望まれていた。
また、上記感光体を用いることにより、繰り返し画像形成(出力)を行っても異常画像発生の少ない画像形成装置を提供することにある。具体的には、反転現像(ネガ・ポジ現像)での使用時における最大の課題である地汚れや濃度低下などを解決した高耐久で、安定動作が可能な画像形成装置を提供することにある。
更には、上記感光体を用い、高耐久で取扱いが良好な画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することにある。
そこで本発明者らは、特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を用いることにより良好な静電特性を確保し、この技術を基盤に本発明を達成するための検討を加えた。すなわち、本発明者らは、ネガ・ポジ現像を用いた画像形成装置用感光体において、高耐久でかつ高信頼性である感光体技術に関して鋭意検討を行い、以下の〔1〕〜〔17〕に記載する発明によって上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。
前記感光層が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも26.2゜に最大回析ピークを有し、9.3°、10.5°、13.2°、15.1°、15.6°、16.1°、20.7°、23.2°、27.1°、28.3°にもピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含み、かつ前記保護層が、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物とを硬化させた樹脂硬化物からなり、
前記感光層に含まれるチタニルフタロシアニン結晶が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶を結晶変換処理して得られたものであることを特徴とする電子写真感光体により解決される。
すなわち、本発明の電子写真感光体によれば、繰り返し使用における地汚れ発生の低減、残留電位の防止、接触帯電部材あるいは近接配置した帯電部材による帯電に際して絶縁破壊発生を低減することが可能で静電特性と高耐久性が発揮され安定な画像を形成することができる。
本発明の画像形成装置によれば、反転現像(ネガ・ポジ現像)により繰り返し画像形成(出力)を行っても地汚れや濃度低下など異常画像発生がなく、高耐久かつ信頼性のある動作によっていつでも高画質画像を安定に出力可能である。特に、本発明のタンデム方式の画像形成装置によれば、フルカラーで高精細の画像が出力でき、感光体の経時変化(劣化)が少ないため、繰り返し使用しても安定した画像を形成することができる。
本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジによれば、高耐久かつ高安定な画像出力が可能で、しかも取扱いが良好でありメンテナンス性が向上する。
前記感光層が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも26.2゜に最大回析ピークを有し、9.3°、10.5°、13.2°、15.1°、15.6°、16.1°、20.7°、23.2°、27.1°、28.3°にもピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含み、かつ前記保護層が、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物とを硬化させた樹脂硬化物からなることを特徴とするものである。
先ず、本発明の電子写真感光体について説明する。
以下に、前駆体としての特定結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶の合成法を述べ、次いで、これを本発明の結晶型に転移させる方法について順に述べる。
前記チタニルフタロシアニン結晶の合成方法としては、例えば、特開平6−293769号公報に記載されているようなハロゲン化チタンを原料に用いない方法が良好に用いられる。すなわち、この合成方法の最大の利点(メリット)は、合成されたチタニルフタロシアニン結晶がハロゲン化フリーであることである。チタニルフタロシアニン結晶中に、不純物であるハロゲン化チタニルフタロシアニン結晶を含むと、これを用いた感光体の静電特性において光感度の低下や帯電性の低下などの悪影響を及ぼす場合が多い(Japan Hardcopy ’89論文集 p.103 1989年参照)。
本発明においても、限定されるものではないが特開2001−19871号公報に記載されているようなハロゲン化フリーのチタニルフタロシアニン結晶を主な対象として捉えており、これらの材料が有効に使用される。つまり、前記ハロゲン化フリーのチタニルフタロシアニンを合成するためには、チタニルフタロシアニン合成の際の原材料に、ハロゲン化された材料を使用しないことである。具体的には、以下の方法が用いられる。
〔チタニルフタロシアニン結晶の合成粗品の合成法〕
初めにチタニルフタロシアニン結晶の合成粗品の合成法について述べる。
フタロシアニン類の合成方法は古くから知られており、例えば、特開平6−293769号公報、Moser等による「Phthalocyanine Compounds」(1963年)、「The Phthalocyanines」(1983年)、等に記載されている。以下に、その例を挙げる。
第1の方法は、無水フタル酸類、金属あるいはハロゲン化金属及び尿素の混合物を高沸点溶媒の存在下あるいは不存在下において加熱する方法である。この場合、必要に応じてモリブデン酸アンモニウム等の触媒が併用される。
第2の方法は、フタロニトリル類とハロゲン化金属を高沸点溶媒の存在下あるいは不存在下において加熱する方法である。この方法は、第1の方法で製造できないフタロシアニン類、例えば、アルミニウムフタロシアニン類、インジウムフタロシアニン類、オキソバナジウムフタロシアニン類、オキソチタニウムフタロシアニン類、ジルコニウムフタロシアニン類等に用いられる。
第3の方法は、無水フタル酸あるいはフタロニトリル類とアンモニアとを先ず反応させて、例えば1,3−ジイミノイソインドリン類等の中間体を製造し、次いでハロゲン化金属と高沸点溶媒中で反応させる方法である。
第4の方法は、尿素等存在下で、フタロニトリル類と金属アルコキシドを反応させる方法である。
上記方法の中でも、第4の方法はベンゼン環への塩素化(ハロゲン化)が起こらず、電子写真用材料の合成法としては、極めて有用な方法であり、本発明においては極めて有効に使用される。
次に、不定形チタニルフタロシアニン(以降、低結晶性チタニルフタロシアニンと称することがある。)の調製法について述べる。この方法は、フタロシアニン類を硫酸に溶解した後、水で希釈し、再析出させる方法であり、アシッドペースト法あるいはアシッドスラリー法と呼ばれるものが使用できる。
結晶変換は、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、かつ、26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶(前駆体)に変換する工程である。
上記具体的な方法としては、前記不定形チタニルフタロシアニンを乾燥せずに、水の存在下で有機溶媒と共に混合及び撹拌することにより、前記結晶型を得るものである。
硫酸が残存するような条件で結晶変換を行うと、結晶粒子中に硫酸イオンが残存し、出来上がった結晶を水洗処理のような操作をしても完全には取り除くことができない。
上述のように合成した特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶(前駆体)を、適当な方法により結晶転移させることにより、本発明のチタニルフタロシアニン結晶を合成するものである。
ここで言う本発明のチタニルフタロシアニン結晶とは、前述のように、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも26.2゜に最大回析ピークを有し、9.3°、10.5°、13.2°、15.1°、15.6°、16.1°、20.7°、23.2°、27.1°、28.3°にもピークを有するものである。
熱的エネルギー付与の方法としては、前駆体を100℃以上の高温下で、熱処理する方法が挙げられる。例えば、前駆体の粉末を電気炉などの加熱手段により、200℃以上の高温下で数時間加熱処理することで所望の結晶型へ転移することができる。この際、あまりにも高温であるとチタニルフタロシアニン結晶そのものが分解してしまうような現象を生じるため、400℃程度を加熱温度の上限とするものである。また、加熱処理は暗所で行うことが望ましく、遮光した状態で加熱処理を行う。更に、加熱処理は大気下で行ってもよいが、減圧下(例えば、10mmHg以下)で行ってもよい。
他方は湿式法によるものであり、前駆体を有機溶媒によって処理するものである。具体的には前駆体を有機溶媒に浸漬して、1日以上の期間放置しておくものである。これにより所望の結晶型に転移するものである。
この際、有機溶媒としては前駆体を所望の結晶型に結晶転移できるものであれば有効に使用できるが、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒から選ばれる1種が有効に使用できる。エーテル系溶媒としては、炭素数が1〜5の分岐もしくは直鎖状エーテル、及び環状エーテルが有効に用いられ、中でもテトラヒドロフランが特に好ましく用いられる。ケトン系溶媒としては、炭素数が1〜5の分岐もしくは直鎖状ケトンが用いられるが、中でも2−ブタノンが特に好ましく用いられる。
また、使用する有機溶媒中には、水やその他の成分を極力含まないことが重要である。有機溶媒中に水を多く含んでいると、結晶転移速度が低下するので好ましくない。
図1は、本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(以降、支持体と略称することがある)31上に、前記少なくとも特定の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光層34と、感光層上に、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物とを硬化させた樹脂硬化物からなる保護層39を積層した構成をとっている。
陽極酸化皮膜は、各種金属あるいは各種合金を電解質溶液中において陽極酸化処理したものであるが、中でもアルミニウムもしくはアルミニウム合金を電解質溶液中で陽極酸化処理を行ったアルマイトと呼ばれる被膜が本発明に用いる感光体として最も適している。特に、反転現像(ネガ・ポジ現像)に用いた際に発生する点欠陥(黒ポチ、地汚れ)を防止する点で優れている。
封孔処理には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。このうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最も好ましい。封孔処理に引き続き、陽極酸化皮膜の洗浄処理が行われる。これは、封孔処理により付着した金属塩等の過剰なものを除去することが主な目的である。
以上のようにして形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、5−15μm程度が望ましい。これより薄すぎる場合には陽極酸化皮膜としてのバリア性の効果が十分でなく、これより厚すぎる場合には電極としての時定数が大きくなりすぎて、残留電位の発生や感光体のレスポンスが低下する場合がある。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。
このような導電性層は、上記導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
電荷ブロッキング層は、感光体の帯電時に電極(導電性支持体)に誘起される逆極性の電荷が、支持体から感光層に注入するのを防止する機能を有する層である。負帯電の場合には正孔注入防止の機能を、また正帯電の場合には電子注入防止の機能を有する。
電荷ブロッキング層としては、酸化アルミ層に代表される陽極酸化被膜、SiOに代表される無機系の絶縁層、金属酸化物のガラス質ネットワークから形成される層(例えば、特開平3―191361号公報に記載)、ポリフォスファゼンからなる層(例えば、特開平3―141363号公報に記載)、アミノシラン反応生成物からなる層(例えば、特開平3―101737号公報に記載)が挙げられ、この他にも絶縁性の結着剤樹脂からなる層、硬化性の結着剤樹脂からなる層等が挙げられる。
中でも湿式塗工法で形成可能な絶縁性の結着樹脂あるいは硬化性の結着樹脂から構成される層が良好に使用できる。電荷ブロッキング層は、その上にモアレ防止層や感光層を積層するものであるから、これらを湿式塗工法で設ける場合には、これらの塗工溶媒により塗膜が侵されない材料あるいは構成からなることが肝要である。
この場合、活性水素を複数個含有する化合物としては、例えば、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ヒドロキシエチルメタアクリレート基等の活性水素を含有するアクリル系樹脂等が挙げられる。また、イソシアネート基を複数個含有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等とこれらのプレポリマー等が挙げられる。エポキシ基を複数有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、成膜性、環境安定性、溶剤耐性の点などから、ポリアミドが最も良好に用いられる。
また、電荷ブロッキング層には、必要に応じて硬化(架橋)に必要な薬剤、溶剤、添加剤、硬化促進材等を加えて、常法により、ブレード塗工、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート法などにより支持体上に形成される。塗布後は乾燥や加熱、光等の硬化処理により、乾燥あるいは硬化させる。
モアレ防止層は、レーザー光のようなコヒーレント光による書き込みを行う際に、感光層内部での光干渉によるモアレ像の発生を防止する機能を有する層である。基本的には、前記書き込み光の光散乱を起こす機能を有する。このような機能を発現するために、モアレ防止層は屈折率の大きな材料を有することが有効である。一般には、無機顔料とバインダー樹脂を含有し、無機顔料がバインダー樹脂に分散された構成からなる。特に、無機顔料の中でも白色の顔料が有効に使用され、例えば、酸化チタン、フッ化カルシウム、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどが良好に用いられる。中でも、隠蔽力の大きな酸化チタンが最も有効に使用できる。
バインダー樹脂としては、熱硬化型樹脂が良好に使用される。特に、アルキッド/メラミン樹脂の混合物が最も良好に使用される。この際、アルキッド/メラミン樹脂の混合比は、モアレ防止層の構造及び特性を決定する重要な因子である。両者(アルキッド/メラミン)の比(重量比)が5/5〜8/2の範囲が良好な混合比の範囲として挙げることができるる。5/5よりもメラミン樹脂がリッチであると、熱硬化の際に体積収縮が大きくなり塗膜欠陥を生じやすくなったり、感光体の残留電位を大きくする方向にあり望ましくない。また、8/2よりもアルキッド樹脂がリッチであると、感光体の残留電位低減には効果があるものの、バルク抵抗が低くなりすぎて地汚れが悪くなる方向になり望ましくない。
本発明で規定する上記範囲外の粒径比の場合、すなわち一方の酸化チタン(T1)の平均粒径に対する他方の酸化チタン(T2)の平均粒径の比が小さすぎる場合(0.2>D2/D1)は、酸化チタン表面での活性が増加し電子写真感光体としたときの静電的安定性が著しく損なわれるようになる。また、一方の酸化チタン(T1)の平均粒径に対する他方の酸化チタン(T2)の平均粒径の比が大きすぎる場合(D2/D1>0.5)は、導電性基体に対する隠蔽力が低下し、モアレや異常画像に対する抑制力が低下する。ここで言う平均粒径は、水系で強分散を行なったときに得られる粒度分布測定から得られる。
電荷発生層は、上記顔料(チタニルフタロシアニン結晶)を必要に応じてバインダー樹脂(結着樹脂)とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
電荷輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
上記電荷輸送物質及び結着樹脂を溶解ないし分散する適当な溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。
これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。このような高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、下記一般式(I)〜(X)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適当である。
結着樹脂としては、先に電荷輸送層で挙げた結着樹脂をそのまま用いられるほかに、電荷発生層で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は、5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、更に好ましくは50〜150重量部である。
単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を、必要ならば電荷輸送物質と共に、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等により分散した塗工液を用いて、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成することができる。単層感光層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
本発明の電子写真感光体には、感光層保護の目的で保護層が感光層の上に設けられる。近年、日常的にコンピュータの使用が行なわれるようになり、プリンタによる高速出力と共に装置の小型も望まれている。すなわち、本発明の構成からなる保護層を設けて耐久性を向上させた高感度で異常欠陥のない感光体は、前記要請に応えるものとして有用に用いることができる。
架橋構造の形成に関しては、1分子内に複数個の架橋性官能基を有する反応性モノマーを使用し、光や熱エネルギーを用いて架橋反応を起こさせ、3次元の網目構造を形成するものである。この網目構造がバインダー樹脂として機能し、高い耐摩耗性を発現するものである。
本発明における保護層は、3官能以上のラジカル重合性モノマーを硬化した架橋構造を有するため、3次元の網目構造が発達して架橋密度が非常に高く、高硬度、かつ高弾性な特性を有する表面層であり、しかも均一で平滑性も高く、高い耐摩耗性、耐傷性が達成される。この様に感光体表面においては、架橋密度、即ち、単位体積あたりの架橋結合数を増加させることが重要であるが、硬化反応により樹脂硬化物(保護層を構成)を形成する際に、瞬時に多数の結合を形成させると体積収縮による内部応力が発生する。
この内部応力は架橋型保護層の膜厚が厚くなるほど増加し、厚膜状態で保護層全層を硬化させると、クラックや膜剥がれが発生しやすくなる。この現象は初期状態では現れなくても、電子写真プロセス上で繰り返し使用され、帯電、現像、転写、クリーニングのハザード及び熱変動の影響を受けることにより、経時で発生しやすくなることもある。
さらに、保護層全層にわたる厚膜を光エネルギー照射により硬化する場合、電荷輸送性構造による光吸収によって内部への光透過が制限され、硬化反応が十分に進行しない現象が起こることがある。
本発明の架橋型保護層においては、好ましくは10μm以下の薄膜とすることにより内部まで均一に硬化反応が進行し、保護層表面と同様に保護層内部でも高い耐摩耗性が維持される。
2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起こりやすい。これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字細り等の画像として現れる。更に、本発明の感光体においては、下層の電荷輸送層として従来感光体の電荷トラップの少ない高移動度な設計が適応可能で、架橋型保護層の電気的副作用を最小限に抑えることができる。
このような架橋型保護層は、硬化物間の結合力は弱く有機溶剤に対し溶解性を示し、かつ電子写真プロセス中で繰り返し使用される中で、局部的な摩耗や微小な硬化物単位での脱離が発生しやすくなる。本発明のように架橋型保護層を有機溶剤に対し不溶性にせしめることにより、本来の3次元の網目構造が発達し高い架橋度を有することに加え、連鎖反応が広い範囲で進行し硬化物が高分子量化するため、飛躍的な耐摩耗性の向上が達成される。
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、かつラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
なお、これらX1、X2、Yについての置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
前記一般式(1)、(2)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていてもよい。R1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
上記複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
〔1〕ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
〔2〕アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、更に好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基には更にフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
〔3〕アルコキシ基(−OR2)であり、R2は〔2〕で定義したアルキル基を表す。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
〔4〕アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
〔5〕アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
〔6〕下記一般式(9):
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
〔8〕置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等が挙げられる。
具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン2価変性基が挙げられる。
このように、1官能性の電荷輸送構造を持つラジカル重合性化合物が、主鎖中に存在する場合であっても、また架橋鎖中に存在する場合であっても、主鎖または架橋鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、主鎖または架橋鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能である。そのため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を下記、No.1〜No.161に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
かかる塗工液は、用いるラジカル重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。
熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。
加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましく、100℃未満では反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しない傾向がある。170℃を超える高温では硬化反応が不均一に進行し架橋型保護層中に大きな歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生する。硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。
光のエネルギーとしては主に紫外光領域に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。
照射光量は50mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が好ましく、50mW/cm2未満では硬化反応に時間を要する。1000mW/cm2より強いと反応の進行が不均一となり、架橋型保護層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生ずる。また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる。放射線のエネルギーとしては電子線を用いるものが挙げられる。これらのエネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから熱及び光のエネルギーを用いたものが有用である。
一方、ラジカル重合反応は酸素阻害を受けやすく、すなわち大気に接した表面では酸素によるラジカルトラップの影響で架橋が進まなかったり、不均一になりやすい。この影響が顕著に現れるのは表層1μm未満の場合で、この膜厚以下の架橋型保護層は耐摩耗性の低下や不均一な摩耗が起こりやすい。また、架橋型保護層塗工時において下層の電荷輸送層成分の混入が生じ、特に、架橋型保護層の塗布膜厚が薄いと層全体に混入物が拡がり、硬化反応の阻害や架橋密度の低下をもたらす。これらの理由から、本発明の架橋型保護層は1μm以上の膜厚で良好な耐摩耗性、耐傷性を有するが、繰り返しの使用において局部的に下層の電荷輸送層まで削れた部分ができるとその部分の摩耗が増加し、帯電性や感度変動から中間調画像の濃度むらが発生しやすい。従って、より長寿命、高画質化のためには架橋型保護層の膜厚を2μm以上にすることが望ましい。
この有機溶剤に対する溶解性を試験する方法としては、感光体表面層上に高分子物質に対する溶解性の高い有機溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等を1滴滴下し、自然乾燥後に感光体表面形状の変化を実体顕微鏡で観察することで判定できる。
溶解性が高い感光体は液滴の中心部分が凹状になり周囲が逆に盛り上がる現象、電荷輸送物質が析出し結晶化による白濁やくもり生ずる現象、表面が膨潤しその後収縮することで皺が発生する現象などの変化がみられる。それに対し、不溶性の感光体は上記のような現象がみられず、滴下前と全く変化が現れない。
具体的には塗工液の総固形分に対して上記総含有量を20重量%以下に抑えることが重要である。また、架橋密度を希薄にさせないために、1官能または2官能のラジカル重合性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーにおいても、総含有量を3官能ラジカル重合性モノマーに対し20重量%以下とすることが望ましい。更に、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を多量に含有させると、嵩高い構造体が複数の結合により架橋構造中に固定されるため歪みを生じやすく、微小な硬化物の集合体となりやすい。このことが原因で有機溶剤に対して可溶性となることがある。化合物構造によって異なるが、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の含有量は1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物に対し10重量%以下にすることが好ましい。
具体的には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとメタノール混合溶媒、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルセロソルブなどが有用であるが、塗工法と併せて選択される。
具体的には、10〜50重量%の範囲で用いることが望ましい。架橋型保護層の塗工方法としては、同様な理由で塗工膜形成時の溶媒含有量、溶媒との接触時間を少なくする方法が好ましく、具体的にはスプレーコート法、塗工液量を規制したリングコート法が好ましい。また、下層成分の混入量を抑えるためには、電荷輸送層として高分子電荷輸送物質を用いること、感光層(もしくは電荷輸送層)と架橋型保護層の間に、架橋型保護層の塗工溶媒に対し不溶性の中間層を設けることも有効である。
例えば、塗工液として、3個のアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、一個のアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物を使用する場合、これらの使用割合は7:3〜3:7であり、また、重合開始剤をこれらアクリレート化合物全量に対し3〜20重量%添加し、更に溶媒を加えて塗工液を調製する。
UV照射の場合、メタルハライドランプ等を用いるが、照度は50mW/cm2以上、1000mW/cm2以下、時間としては5秒から5分程度が好ましく、ドラム温度は50℃を越えないように制御する。
熱硬化の場合、加熱温度は100〜170℃が好ましく、例えば加熱手段として送風型オーブンを用い、加熱温度を150℃に設定した場合、加熱時間は20分〜3時間である。
硬化終了後は、更に残留溶媒低減のため、100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の感光体を得る。
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3'−ビス(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3'−チオジプロピオネートなど。
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
フルカラーの画像の場合、様々な形態の画像が入力されるが、逆に定型的な画像も入力される場合がある。例えば、日本語の文書等における検印の存在などである。検印のようなものは通常、画像領域の端のほうに位置され、また使用される色も限定される。
ランダムな画像が常に書き込まれているような状態においては、画像形成要素中の感光体には、平均的に画像書き込み、現像、転写が行なわれることになるが、上述のように特定の部分に数多くの画像形成が繰り返されたり、特定の画像形成要素ばかり使用された場合には、その耐久性のバランスを欠くことにつながる。このような状態で表面の耐久性(物理的・化学的・機械的)の小さな感光体が使用された場合には、この差が顕著になり、画像上の問題になりやすい。一方、感光体を高耐久化した場合には、このような局所的な変化量が小さく、結果的に画像上の欠陥として現われにくくなるため、高耐久化を実現すると共に、出力画像の安定性をも増すことになり、非常に有効である。
本発明の画像形成装置は、少なくとも導電性支持体上に、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも26.2゜に最大回析ピークを有し、9.3°、10.5°、13.2°、15.1°、15.6°、16.1°、20.7°、23.2°、27.1°、28.3°にもピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含む感光層と、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物とを硬化させた樹脂硬化物からなる保護層を有する電子写真感光体(静電潜像担持体)と、帯電手段と、書き込み手段(露光手段)と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光(書き込み)することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器(感光体表面と帯電器との間に100μm以下の空隙を有する近接方式の非接触帯電器を含む)などが挙げられる。
なお、前記電界強度は、下記数式(1)で表される。
電界強度(V/μm)=SV/G …(1)
ただし、上記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
前記書き込みは、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。前記露光器の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記現像は前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成することにより行うことができる。前記トナーは、感光体の帯電極性と同極性のトナーが用いられ、反転現像(ネガ・ポジ現像)によって静電潜像が現像される。また、トナーのみで現像を行う1成分方式と、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を使用した2成分方式の2通りの方法があるが、いずれの場合にも良好に使用できる。
前記転写手段は、前記可視像を記録媒体に転写する手段であるが、感光体表面から記録媒体に可視像を直接転写する方法と、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を第一次転写手段によって一次転写した後に、該可視像を第二次転写手段によって前記記録媒体上に二次転写する方法がある。いずれの態様も良好に使用することができるが、高画質化に際して転写による悪影響が大きいような場合には、転写回数が少ない前者(直接転写)の方法が好ましい。
以上のような制御を加えることは、本発明における効果を顕著なものとして、有効に使用できるものである。
前記定着は、記録媒体に転写された可視像を、定着装置を用いて定着され、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電手段としては、前記静電潜像担持体に対して除電を行うことができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができる。例えば、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真用のトナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。
また、前述のように転写電流を制御することで、転写後の感光体表面電位(書き込み光の未露光部)を低下させておくことは、画像形成1サイクルあたりの感光体通過電荷量を低減することが出来、本発明においては有効に使用される。
また、現像ユニット(6)により感光体(1)上に現像されたトナーは、転写紙(9)に転写されるが、感光体(1)上に残存するトナーが生じた場合、クリーニング手段であるファーブラシ(14)及びブレード(15)により、感光体から除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行われることもあり、このようなクリーニングブラシとしてはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
図6において、符号(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)はドラム状の感光体であり、感光体は少なくとも導電性支持体上に、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも26.2゜に最大回析ピークを有し、9.3°、10.5°、13.2°、15.1°、15.6°、16.1°、20.7°、23.2°、27.1°、28.3°にもピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含む感光層と、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物とを硬化させた樹脂硬化物からなる保護層が設けられてなる。
そして、このような感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)を中心とした4つの画像形成要素(25Y)、(25M)、(25C)、(25K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(22)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(22)は各画像形成ユニット(25Y)、(25M)、(25C)、(25K)の現像手段(19Y)、(19M)、(19C)、(19K)とクリーニング部材(20Y)、(20M)、(20C)、(20K)の間で感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)に当接しており、転写搬送ベルト(22)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(21Y)、(21M)、(21C)、(21K)が配置されている。各画像形成要素(25Y)、(25M)、(25C)、(25K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
続いて、除電部材(27Y)、(27M)、(27C)、(27K)により、感光体上の余分な残留電荷が除去される。この後再び、帯電器で均一に帯電が施されて、次の画像形成が行われる。
プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に静電潜像形成手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図7に示すものが挙げられる。
感光体(101)は、導電性支持体上に、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも26.2゜に最大回析ピークを有し、9.3°、10.5°、13.2°、15.1°、15.6°、16.1°、20.7°、23.2°、27.1°、28.3°にもピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含む感光層と、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物とを硬化させた樹脂硬化物からなる保護層が設けられてなる。
[チタニルフタロシアニン結晶前駆体の合成]
特開2001−19871号公報に記載の合成方法に準じて顔料を作製した。
すなわち、、1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。
粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過し、次いで、洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)により水洗いを繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。なお、前記洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった。
この不定形チタニルフタロシアニンのCu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピークとして、7.0°〜7.5゜の回折ピークの半値巾が1゜以上であった。
前記ウェットケーキの固形分濃度は、15質量%であった。結晶変換溶媒は、前記ウェットケーキに対する質量比で33倍の量を用いた。なお、合成例1の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。
得られたチタニルフタロシアニン粉末を、市販のX線回折装置(理学電機:RINT1100)により、下記の測定条件によりX線回折スペクトル(XDスペクトル)を測定したところ、Cu−Kα線(CuKαの特性X線)(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2゜に最大ピークと最低角7.3±0.2゜にピークを有し、かつ7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないものであった。その結果X線回折スペクトル(XDスペクトル)を図8に示す。
また、得られた水ペーストの一部を80℃の減圧下(5mmHg)で、2日間乾燥して、低結晶性チタニルフタロシアニン粉末を得た。水ペーストの乾燥粉末のX線回折スペクトル(XDスペクトル)を図9に示す。
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
次いで、上記で得た前駆体の有機溶媒処理を行った。上記により合成した前駆体40gを、400gのテトラヒドロフラン中に、暗所にて1週間浸漬・放置した。1週間後、チタニルフタロシアニン結晶を濾過分別して、100℃にて1日間真空乾燥を行い、本発明に用いるチタニルフタロシアニン結晶を得た(結晶1とする)。
得られた結晶1を先の条件と同様にして測定したX線回折スペクトルを図10に示す。
この図10のX線回折スペクトルは、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも26.2゜に最大回析ピークを有し、9.3°、10.5°、13.2°、15.1°、15.6°、16.1°、20.7°、23.2°、27.1°、及び28.3°にもピークを有することが分かった。
合成例1における前駆体合成において、テトラヒドロフランの代わりに下記表1に記載の有機溶媒をそれぞれ用いた以外は、合成例1と同様にしてチタニルフタロシアニン結晶を合成した。合成例2〜合成例7に対応して、それぞれ結晶2〜結晶7とする。
また、得られた結晶2〜7を先の条件にてX線回折スペクトルの測定を行い、何れの結晶も図10に示すX線回折スペクトルとほぼ同様のスペクトルを得た。
合成例1と同様にして得られた前駆体を、以下のように有機溶媒処理を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た。
合成例1で合成した前駆体40gを2−ブタノン400gと共に、直径150mmのボールミルポットに投入した。この中に、直径2mmのジルコニアボール3.5kgを投入して、24時間ミリング処理を行った。
有機溶媒処理後、チタニルフタロシアニン結晶を濾過分別して、100℃にて1日間真空乾燥を行い、本発明のチタニルフタロシアニン結晶を得た(結晶8とする)。
得られた結晶8を先と同じ条件にてX線回折スペクトルの測定を行い、図10に示すX線回折スペクトルと同様のスペクトルを得た。
合成例1と同様にして得られた前駆体を、以下のような結晶変換処理を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た。
得られた前駆体40gを、直径150mmのボールミルポットに投入した。この中に、直径2mmのジルコニアボール3.5kgを投入して、48時間ミリング処理を行った。
結晶変換処理後、チタニルフタロシアニン結晶をボールから分別して、本発明のチタニルフタロシアニン結晶を得た(結晶9とする)。
得られた結晶9を先と同じ条件にてX線回折スペクトルの測定を行い、図10に示すX線回折スペクトルと同様のスペクトルを得た。
合成例1における前駆体合成において、テトラヒドロフランの代わりに2−ブタノンを用いた以外は、合成例1と同様にチタニルフタロシアニン結晶を合成した(結晶10とする)。
得られた前駆体を先と同じ条件にて測定したX線回折スペクトルを図11に示す。また、得られたチタニルフタロシアニン結晶を先と同じ条件にて測定したX線回折スペクトルを図12に示す。
図12に示すX線回折スペクトルは、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも26.2゜に最大回析ピークを有し、9.3°、10.5°、13.2°、15.1°、15.6°、16.1°、20.7°、23.2°、27.1°、及び28.3°にもピークを有し、図10に示すX線回折スペクトルと同様のスペクトルである。
特公平5−31137号公報に記載の製造例1に準じてチタニルフタロシアニン結晶を合成した。
即ち、フタロジニトリル97.5gをα−クロロナフタレン750ml中に加え、次に窒素雰囲気下で四塩化チタン22mlを滴下する。滴下後昇温し、撹拌しながら200〜220℃で3時間反応させた後、放冷し、100〜130℃で熱時濾過し、100℃に加熱したα−クロロナフタレン200mlで洗浄した。
得られた粗ケーキを。α−クロロナフタレン300ml、次にメタノール300mlで室温にて懸洗し、更にメタノール800mlで1時間熱懸洗を3回行い、得られたケーキを水700mlに懸濁させ、2時間熱懸洗を行った。熱懸洗濾液のpHがおよそ7になるまで熱懸洗を繰り返した。この後、140〜145℃のN−メチルピロリドン700ml中で、2時間熱懸洗を行う操作を4回実施した。次いで、メタノール800mlで2回熱懸洗を行い、濾過し、1日間80℃真空乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶を得た(結晶11とする)。
得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルは、特公平5−31137号公報の図−1と同様のものであり、本発明における合成例1の図10に示すX線回折スペクトルと同様のスペクトルが得られた。
特公平5−31137号公報に記載の製造例4に準じてチタニルフタロシアニン結晶を合成した。
即ち、フタロジニトリル46gをα−クロロナフタレン250ml中に仕込み、加熱溶解した後、四塩化チタンを10ml滴下し、150℃で30分間撹拌を行い、次いで徐々に昇温し、220℃で2時間加熱撹拌を行った。その後、撹拌しながら放冷し、反応系の温度が100℃に下がった時点で熱濾過し、次いでメタノール600mlで熱懸濁、熱水煮沸懸濁をそれぞれ1回ずつ行った後、600mlのN−メチルピロリドンにより、120℃で1時間熱懸濁を行い、熱濾過後、800mlのメタノールで熱懸濁し、濾過後、1日間80℃真空乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶を得た(結晶12とする)。
得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルは、特公平5−31137号公報の図−7と同様のものであり、本発明における合成例1の図10に示すX線回折スペクトルと同様のスペクトルが得られた。
特開昭61−239248号公報の実施例に記載の合成方法に準じて、α型チタニルフタロシアニン結晶を合成した。
即ち、フタロジニトリル40gと4塩化チタン18g及びα−クロロナフタレン500mの混合物を窒素気流下240〜250℃で3時間加熱撹拌して反応を完結させた。その後濾過し、生成物であるジクロロチタニウムフタロシアニンを得た。得られたジクロロチタニウムフタロシアニンを濃アンモニア水300m及びピリジン300mと共に1時間加熱還流し、目的物であるα型チタニルフタロシアニン18gを得た。生成物はアセトンにより、ソックスレー抽出器で充分洗浄を行った。洗浄後、60℃で1日間真空乾燥を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た(結晶13とする)。
図12は、合成例10で得られた前駆体のX線回折スペクトルの一例を示した図である。図12から明らかなように、合成例10で得られた前駆体は、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θ(±0.2°)の回折ピークとして、27.2°に最大回折ピークを有するが、最も低角側の回折ピークとして7.5°に回折ピークを有している。
合成例1の前駆体を含む粉末のX線回折スペクトルを図13に、合成例10の前駆体を含む粉末のX線回折スペクトルを図14に示す。図13のスペクトルにおいては、低角側に7.3°と7.5°の2つにピークが存在し、少なくとも7.3°と7.5°のピークは異なるものであることが分かる。一方、図14のスペクトルにおいては、低角側のピークは7.5°のみに存在し、図13のスペクトルとは明らかに異なっている。
[分散液1の作製]
次に、本発明で合成したチタニルフタロシアニン結晶の分散液を作製した。下記組成の分散液を下に示す条件のビーズミリングにより作製した。
・顔料作製例1で作製したチタニルフタロシアニン結晶(結晶1)・・・48質量部
・ポリビニルブチラール(積水化学株式会社製、BX−1)・・・32質量部
・2−ブタノン・・・720質量部
先ずポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン溶液を循環タンクに投入し、循環を行い、樹脂液が循環系に満たされ、循環タンクに戻ってくるのを確認した。次いで、顔料を循環タンクに全て投入し、循環タンクで撹拌を行った後、ローター回転数3000r.p.m.にて300分間循環分散を行った。
作製した分散液1の一部をドライアップして粉末とした。これを用いて前記と同じ条件でX線回折スペクトルを測定した。得られたスペクトルは「結晶1」と同様であり、分散を行っても結晶が安定であることが分かった。
[分散液2〜12の作製]
製造例1において、使用したチタニルフタロシアニン結晶を「結晶1」から「結晶2」〜「結晶12」に変更した以外は、製造例1と同様にして分散液2〜12を作製した。なお、作製した分散液は、使用した結晶番号2〜12に応じて、それぞれ分散液2〜12とした。
[分散液13の作製]
製造例1において、使用したチタニルフタロシアニン結晶を「結晶1」から、合成例10の前駆体に変更した以外は、製造例1と同様にして分散液13を作製した。
[分散液14の作製]
製造例1において、使用したチタニルフタロシアニン結晶を「結晶1」から、「結晶13」に変更した以外は、製造例1と同様にして分散液14を作製した。
(1官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成例)
以下により、1官能の電荷輸送性構造を有する化合物を合成した、(なお、本発明における1官能の電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば、特許第3164426号公報記載の方法にて合成することができる。)
下記構造式(A)で表されるメトキシ基置換トリアリールアミン化合物113.85部(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138部(0.92mol)にスルホラン240部を加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99部(0.91mol)を1時間かけて滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。
上記により下記構造式(B)の白色結晶88.1部(収率=80.4%)を得た。
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物[構造式(B)]82.9部(0.227mol)をテトラヒドロフラン400部に溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4部,水:100部)を滴下した。
この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2部(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。
この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。
上記により下記構造式(54)で示される1官能の電荷輸送性構造を有するトリアリールアミノ基置換アクリレート化合物(前記例示化合物No.54に相当する化合物)の白色結晶80.73部(収率=84.8%)を得た。
(実施例1)
直径30mmのアルミドラム(JIS1050)に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液、及び保護層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層、5μmの保護層を形成して積層感光体を作製した(これを感光体1とする)。
下引き層、電荷発生層、電荷輸送層はいずれも浸漬塗工法により形成したが、保護層は下記のように形成した。
保護層塗工液を電荷輸送層上にスプレー塗工し、20分間自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射強度:500mW/cm2、照射時間:60秒の条件で光照射を行なうことによって塗布膜を硬化させた。さらに、130℃で20分間の乾燥工程を加え5μmの保護層を形成した。
なお、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、及び保護層の塗工にはそれぞれ下記組成の塗工液を用いた。
酸化チタン(CR−EL;石原産業社製): 70部
アルキッド樹脂〔ベッコライトM6401−50−S
(固形分50%)、大日本インキ化学工業製〕: 15部
メラミン樹脂〔スーパーベッカミンL−121−60
(固形分60%)、大日本インキ化学工業製〕: 10部
2−ブタノン: 100部
前記の分散液1を用いた。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー〔
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD;
TMPTA、日本化薬製)、分子量;296、官能基数;3官能、
分子量/官能基数=99〕: 10部
前記構造式(54)で示される1官能の電荷輸送性構造を有する
ラジカル重合性化合物(例示化合物No.54): 10部
光重合開始剤〔1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)〕: 1部
テトラヒドロフラン: 100部
実施例1において、電荷発生層の形成に使用した分散液1の代わりに、分散液2〜12を用いた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を形成した(分散液番号に応じて、感光体2〜12とする)。
実施例1において、電荷発生層の形成に使用した分散液1の代わりに、分散液13〜14を用いた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を形成した(分散液番号に応じて、感光体13〜14とする)。
以上のように作製した感光体1を図5に示すような画像形成装置に搭載し、以下の条件で評価した。なお、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)とし、帯電部材としてスコロトロン帯電器、転写部材として転写ベルトを用い、除電光源として660nmLEDを用いた。
試験前のプロセス条件が下記になるように設定し、書き込み率6%のチャート(A4全面に対して、画像面積として6%相当の文字が平均的に書かれている)を用い、連続2万枚印刷を行った。試験環境は、23℃、55%RHである。
現像バイアス:−650V(ネガ・ポジ現像)
露光部表面電位:−120V
初期は、上記の帯電電位、露光後表面電位になるように、帯電条件、書き込み条件(露光量)を感光体ごとに決定した。2万枚印刷後においては、初期状態で決定した帯電条件と書き込み条件の値に固定して電位測定を実施した。
測定方法としては、図5に示す現像部位置に、表面電位計を搭載し、感光体を帯電した後、上記半導体レーザーでベタ書込みを行い、現像部位における未露光部表面電位及び露光部電位を測定した。結果を下記表4に示す。
実施例13で使用した感光体1の代わりに、感光体2〜14を用いた以外は実施例1と同様に評価を行った。結果を下記表4に示す。
実施例25〜36、比較例5〜6の試験を、10℃、15%RHの環境下で行った以外は、実施例13〜24、比較例3〜4と同様に評価を行った。結果を下記表5に示す。
実施例37〜48、比較例7〜8の試験を、30℃、90%RHの環境下で行った以外は、実施例13〜24、比較例3〜4と同様に評価を行った。結果を下記表6に示す。
感光体10〜12を用いた場合には、繰り返し使用、環境変動において、感光体1〜9を用いた場合と比較すると、実機内電位の変動がやや大きい。
一方、比較例の感光体13を用いた場合には、本発明の感光体1〜12を用いた場合よりも、更に繰り返し使用、環境変動において、実機内電位の変動が大きい。
同様に比較例の感光体14を用いた場合には、本発明の感光体1〜12を用いた場合よりも、更に繰り返し使用、環境変動において、実機内電位の変動が大きい。
上記評価により、本発明の感光体を用いた場合には、耐久性を有すると共に静電特性も安定しており、繰り返し使用しても安定な画像を形成できることが分かった。
実施例8における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例8と同様に感光体を作製した(感光体15とする)。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー〔
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(SR−295;
化薬サートマー製)、分子量;352、官能基数;4官能、
分子量/官能基数=88〕: 10部
前記構造式(54)で示される1官能の電荷輸送性構造を有する
ラジカル重合性化合物(例示化合物No.54): 10部
光重合開始剤〔1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)〕: 1部
テトラヒドロフラン: 100部
実施例8における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例8と同様に感光体を作製した(感光体16とする)。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー〔
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPCA−60;日本化薬製)、
分子量;1263、官能基数;6官能、分子量/官能基数=211〕: 10部
光重合開始剤〔2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン
(イルガキュア651;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
前記構造式(54)で示される1官能の電荷輸送性構造を有する
ラジカル重合性化合物(例示化合物No.54): 10部
テトラヒドロフラン: 100部
実施例8における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例8と同様に感光体を作製した(感光体17とする)。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー〔
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD
TMPTA;日本化薬製)、分子量;296、官能基数;3官能、
分子量/官能基数=99〕: 10部
下記構造式(161)で示される1官能の電荷輸送性構造を有する
ラジカル重合性化合物(前記例示化合物No.161に相当の化合物):10部
光重合開始剤〔1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)〕: 1部
テトラヒドロフラン: 100部
実施例8における電荷輸送層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例8と同様に電子写真感光体を作製した(感光体18とする)。
実施例8における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例8と同様に感光体を作製した(感光体19とする)。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー〔
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD
TMPTA;日本化薬製)、分子量;296、官能基数;3官能、
分子量/官能基数=99〕: 10部
下記構造式(14)で示される2官能の電荷輸送性構造を有する
ラジカル重合性化合物: 10部
光重合開始剤〔1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)〕: 1部
テトラヒドロフラン: 100部
実施例8において、電荷輸送層の膜厚を25μmとし、保護層を設けない以外は、実施例8と同様に感光体を作製した(感光体20とする)。
前記のように作製した感光体8を図5に示すような画像形成装置に搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)、帯電部材としてスコロトロン帯電器、転写部材として転写ベルトを用い、除電光源として660nmLEDを用いた。試験前のプロセス条件が下記になるように設定し、書き込み率6%のチャート(A4全面に対して、画像面積として6%相当の文字が平均的に書かれている)を用い、連続10万枚印刷を行った。試験環境は、23℃、55%RHである。
帯電条件:
DCバイアス:−6.5kV
グリッド電圧:−930V
なお、地汚れ画像評価は4段階にて行ない、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表した。以上の結果を下記表7に示す。
また、10万枚前後にて、感光体の膜厚測定を実施した。長手方向1cm間隔で測定し、その平均値を感光体の膜厚とした。10万枚試験前膜厚と10万枚試験後の膜厚の差から、摩耗量を求めた。結果を下記表7に示す。
実施例53において使用した感光体8を、感光体15〜20に変更した以外は、実施例53と同様に試験を行った。結果を下記表7に示す。
前記のように作製した感光体8を図7に示すようなプロセスカートリッジに装着し、図6に示すような画像形成装置に搭載して評価した。なお、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)とし、帯電部材として帯電ローラの両端部に厚さ50μmの絶縁テープを巻き付けた近接配置用の帯電部材(感光体と帯電部材表面間の空隙が50μm)を用い、下記の帯電条件にて、帯電を行った。また、転写部材として転写ベルトを用い、除電光源として660nmLED(日亜化学製)を用いた。
試験前のプロセス条件が下記になるように設定し、書き込み率6%のチャート(A4全面に対して、画像面積として6%相当の文字が平均的に書かれている)を用い、連続10万枚印刷を行った。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.0kV(Peak to peak)、周波数:2.0kHz
また、10万枚の印刷前後において、ISO/JIS−SCID画像N1(ポートレート)を出力して、カラー色の再現性について評価した。以上の結果を下記表8に示す。
実施例58において使用した感光体8を、感光体15〜20に変更した以外は、実施例58と同様に試験を行った。結果を下記表8に示す。
31 導電性支持体
32 中間層
34 感光層
35 電荷ブロッキング層
36 モアレ防止層
37 電荷発生層
38 電荷輸送層
39 保護層
(図5)
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電部材
5 画像露光部
6 現像ユニット
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
(図6)
16K、16C、16M、16Y 感光体
17K、17C、17M、17Y 帯電部材
18K、18C、18M、18Y 画像露光部材
19K、19C、19M、19Y 現像部材
20K、20C、20M、20Y クリーニング部材
21K、21C、21M、21Y 転写部材
22 転写ベルト
23 レジストローラ
24 定着部材
25K、25C、25M、25Y 画像形成要素
26 転写紙
27K、27C、27M、27Y 除電部材
(図7)
101 感光体
102 帯電部材
103 画像露光部材
104 現像部材
105 転写紙
106 転写部材
107 クリーニング部材
108 除電部材
Claims (5)
- 導電性支持体上に、少なくとも感光層及び保護層を順に積層してなる電子写真感光体において、
前記感光層が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも26.2゜に最大回析ピークを有し、9.3°、10.5°、13.2°、15.1°、15.6°、16.1°、20.7°、23.2°、27.1°、28.3°にもピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含み、かつ前記保護層が、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物とを硬化させた樹脂硬化物からなり、
前記チタニルフタロシアニン結晶が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶を結晶変換処理して得られたものであることを特徴とする電子写真感光体。 - 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項1に記載の感光体であることを特徴とする画像形成装置。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段及び電子写真感光体からなる画像形成要素が複数配列されてなる画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項1に記載の感光体であることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1に記載の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段及びクリーニング手段から選ばれる少なくとも1つの手段とが一体となったカートリッジを搭載し、かつ該カートリッジが装置本体に対し着脱自在であることを特徴とする画像形成装置。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段及びクリーニング手段から選ばれる1つの手段と、電子写真感光体とが一体となった画像形成装置用プロセスカートリッジにおいて、該電子写真感光体が請求項1に記載の感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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