JP4424668B2 - 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ Download PDFInfo
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Description
例えば、特許文献1には硝酸セルロース系樹脂中間層が、特許文献2にはナイロン系樹脂中間層が、特許文献3にはマレイン酸系樹脂中間層が、特許文献4にはポリビニルアルコール樹脂中間層がそれぞれ開示されている。しかしながら、これらの単層かつ樹脂単独の中間層は電気抵抗が高いため、残留電位の上昇を引き起こし、ネガ・ポジ現像においては画像濃度低下を生じる。また、不純物等に起因するイオン伝導性を示すことから、低温低湿下では中間層の電気抵抗が特に高くなるため、残留電位が著しく上昇し、高温高湿下では中間層の電気抵抗が低下し、地汚れが発生しやすくなる傾向が見られていた。このため、残留電位を低減させるために、中間層を薄膜化する必要があり、十分な地汚れの抑制が実現されていないのが実情であった。
このように、複数の下引き層を積層させ機能分離させた構成は、モアレ防止や地汚れ抑制、さらに残留電位低減を両立させる上で高い有効性を示すものの、樹脂層を薄膜化させて用いる必要があり、それに用いられる樹脂によっては、地汚れや残留電位の湿度依存性が大きかったり、膜厚依存性が大きくなる傾向が見られ、必ずしも高い安定性を有していなかった。
(1)導電性支持体上に、少なくとも無機顔料が含有されておらずN−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層が直接形成され、その上に無機顔料が含有されている下引き層が形成されている複数の下引き層、感光層及び架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体において、該感光層にCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有する結晶型で、一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含み、前記チタニルフタロシアニン結晶が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均粒子サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを、水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行い、結晶変換後の一次粒子の平均粒子サイズが0.25μmより大きく成長する前に、結晶変換後のチタニルフタロシアニンを有機溶媒より分別、濾過したものを用いて得られたものであり、かつ該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成されることを特徴とする電子写真感光体。
無機顔料が含有されていない下引き層と無機顔料が含有されている下引き層の少なくとも二層を積層させることによって、下引き層に要求される機能を分離することが可能となり、残留電位や帯電性、モアレ、接着性等への副作用なしに、地汚れ耐久性を大幅に高めることが可能となる。
前記無機顔料が含有されていない下引き層が、N−メトキシメチル化ナイロンを含有することが、残留電位の上昇や環境依存性を低減し、かつ地汚れ抑制効果を高める上で非常に有効である。
無機顔料が含有されていない下引き層上に無機顔料が含有されている下引き層が積層されていることにより、地汚れ抑制効果が高く、初期及び繰り返し使用による残留電位の上昇を抑制することが可能となり、地汚れ向上と残留電位低減の両立が可能となる。さらに、疲労による暗減衰の抑制、感光層の接着性、導電性支持体の欠陥や汚れの隠蔽性において更なる効果が得られる。
このチタニルフタロシアニンを結晶を得る方法により、結晶成長過程において含有される粗大粒子を排除することができ、一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下のチタニルフタロシアニンを含む感光層を形成することが可能となり、地汚れの抑制に有効となる。
これにより、高速機に使用することができる上に、従来課題とされた帯電低下や環境依存性の影響を低減することが可能となり、高速化、高安定化、高耐久化を同時に実現可能な電子写真感光体を提供することができる。
感光層を積層構成とすることにより、導電性支持体から注入された電荷の表面への移動を抑制する上で効果があり、また電荷発生物質の分散安定性を維持しやすく、地汚れ抑制に更なる効果が得られる。
この方法により、チタニルフタロシアニンの凝集物を排除し、一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下のチタニルフタロシアニンを含む感光層あるいは電荷発生層を形成することが可能となり、地汚れの抑制に有効となる。
この方法により、感光体の静電特性において、光感度の低下や帯電性の低下の影響を低
減することが可能となり、地汚れ抑制の上でも有効である。
この方法により、硫酸の残存量を感光体特性に影響しないレベルに低減することが可能となり、帯電低下や感度劣化を抑制する上で有効であり、結果として地汚れの抑制に対しても有効となる。
この方法により、短時間での結晶変換を確実に行うことができ、不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニン中に含まれる不純物を取り除くことが可能となり、その結果感度劣化や帯電低下が抑制され、地汚れ耐久性を向上させる上でも有効である。
これにより、高い硬度が得られ、耐摩耗性の向上に寄与するとともに、残留電位の影響が少なく、画質安定化に高い効果を有する。
これにより、高い硬度が得られ、耐摩耗性並びに耐傷性の向上に寄与し、高耐久化に対し非常に有効である。
これにより、耐摩耗性と電荷輸送性を両立することができ、高耐久化並びに静電安定化に対し非常に有効である。
これにより、電荷の移動度が向上し感光体の高感度化や残留電位の低減に更なる効果が得られる。
これにより、感光体の高感度化並びに残留電位の低減に更なる効果を得ることができ、
高画質画像の高安定出力を実現する。
これにより、感光体の高感度化並びに残留電位の低減に更なる効果を得ることができ、
高画質画像の高安定出力を実現する。
これにより、感光体の耐摩耗性と残留電位や感度との両立が可能となり、高速機に用いる上で非常に有効である。
これにより、感光体の耐摩耗性と残留電位や感度との両立が可能となり、高速機に用いる上で非常に有効である。
これにより、硬化反応が十分に進行し、高い耐摩耗性を長期に渡って維持でき、高耐久化及び高安定化に有効となる。
これにより、感光層(積層型の場合は電荷輸送層)上に架橋型電荷輸送層を形成する際に、感光層あるいは電荷輸送層に含有される電荷輸送物質が、架橋型電荷輸送層に浸み込むことによって起こる架橋阻害を皆無にすることが可能となり、高耐久化及び画質安定化に対し有効である。
この層の上にさらに下引き層あるいは電荷発生層などを塗工するとき塗膜が溶出することなく、安定した膜形成が可能となり、それによって地汚れ抑制効果が十分に発揮される。
これにより、繰り返し使用における残留電位上昇の副作用を軽減させることが可能となり、画質安定性の向上に有効となる。
これにより、残留電位上昇や疲労による帯電劣化の影響が少なくなり、モアレを抑制する上でも高い効果を得ることができる。
これにより、残留電位に与える影響を最小限に、地汚れ抑制効果を高める上で有効である。
これにより、モアレ防止効果を維持しつつ、地汚れ抑制効果を顕著に高めることが可能となる。また、同時に残留電位低減効果を得ることができる。
これにより、地汚れ抑制効果をさらに高めることが可能となる。
これにより、モアレ防止効果を維持しつつ、地汚れ抑制効果を顕著に高めることが可能となる。また、同時に残留電位低減効果を得ることができる。
これにより、上層を積層する場合に樹脂の溶け出しがなくなり、塗工液の安定性を高めることが可能となり、画質安定性の高い感光体を安定に製造することができる。
これにより、残留電位上昇に与える影響が少なく、環境依存性も低減され、高安定化が実現される。
これにより、残留電位上昇を抑制できるとともに、塗膜欠陥の発生も低減でき、地汚れ抑制にも有効である。
これにより、地汚れ抑制と残留電位低減の両立が可能となる。
これにより、疲労による帯電劣化の影響を軽減し、かつ無機顔料及びバインダー樹脂を含む下引き層の塗膜品質や膜厚均一性が高まり、モアレ防止効果も十分に得ることが可能となり、画質安定性に対し有効となる。
これにより、感光体に起因する地汚れの発生をほぼ完全に抑制し、超高耐久化が可能な画像形成方法が提供される。
これにより、露光部電位上昇や環境依存性などの副作用を低減しつつ、地汚れ耐久性の飛躍的な向上を実現し、長期に渡って安定した高画質を提供することができる画像形成装置が得られる。
少なくとも4色のトナー画像を重ね合わせるタンデム方式の画像形成装置において、高感度、高安定性、高耐久性を有する本発明の感光体を用いることにより、装置の小型化、印刷速度の面で特に大きなメリットが得られる。
これにより、帯電ムラを軽減することが可能となり、地汚れの低減に有効となる。
高感度を有し、同時に長期繰り返し使用においても地汚れの抑制が実現され、高耐久化並びに画質安定化が可能となったことから、高速の画像形成装置に用いても感光体の交換頻度が大幅に低減し、特に大きなメリットが得られる。
高耐久性を有する感光体を用いているため、画像形成装置用プロセスカートリッジについても長寿命化することが可能となり省資源化に対応できる。また、画像形成装置の長期使用において最も不具合が発生しやすい感光体廻りをプロセスカートリッジ化することにより、その部分だけを容易に交換することが可能であるため、画像形成装置全体としても省資源化に対応できると同時に、長寿命化が可能となる。
高耐久性を有する感光体を用いても、感光体廻りの各種部材の寿命が低ければ画質安定性の向上は実現できない。プロセスカートリッジ化することによりそれらの交換やメンテナンスが容易となり、画像形成装置として更なる長寿命化が実現される。
初めにチタニルフタロシアニン結晶の合成粗品の合成法について述べる。フタロシアニン類の合成方法は古くから知られており、Moser等による「Phthalocyanine Compounds」(1963年)、「The Phthalocyanines」(1983年)、特開平6−293769号公報等に記載されている。
具体的な方法としては、上記の合成粗品を10〜50倍量の濃硫酸に溶解し、必要に応じて不溶物を濾過等により除去し、これを硫酸の10〜50倍量の充分に冷却した水もしくは氷水にゆっくりと投入し、チタニルフタロシアニンを再析出させる。析出したチタニルフタロシアニンを濾過した後、イオン交換水で洗浄・濾過を行い、濾液が中性になるまで充分にこの操作を繰り返す。最終的に、綺麗なイオン交換水で洗浄した後、濾過を行い、固形分濃度で5〜15wt%程度の水ペーストを得る。
先ず、1回目の結晶変換方法について述べる。1回目の結晶変換は、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶に変換する工程である。
この際、使用される有機溶媒は、所望の結晶型を得られるものであれば、いかなる有機溶媒も使用できるが、特にテトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる1種を選択すると、良好な結果が得られる。これら有機溶媒は単独で用いることが好ましいが、これらの有機溶媒を2種以上混合する、あるいは他の溶媒と混合して用いることも可能である。結晶変換に使用される前記有機溶媒の量は、不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)の重量の10倍以上、好ましくは30倍以上の重量であることが望ましい。これは、結晶変換を素早く十分に起こさせると共に、不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)に含まれる不純物を十分に取り除く効果が発現されるからである。尚、ここで使用する不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)は、アシッド・ペースト法により作製するものであるが、上述のように硫酸を十分に洗浄したものを使用することが望ましい。硫酸が残存するような条件で結晶変換を行うと、結晶粒子中に硫酸イオンが残存し、出来上がった結晶を水洗処理のような操作をしても完全には取り除くことが出来ない。硫酸イオンが残存した場合には、感光体の感度低下、帯電性低下を引き起こすなど、好ましい結果を得られない。例えば、特開平8−110649号公報(比較例)には、硫酸に溶解したチタニルフタロシアニンをイオン交換水と共に有機溶媒に投入し結晶変換を行う方法が記載されている。この際、本発明で得られるチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルに類似した結晶を得ることが出来るが、チタニルフタロシアニン中の硫酸イオン濃度が高く、光減衰特性(光感度)が悪いものであるため、本発明のチタニルフタロシアニンの製造方法としては良好なものではない。以上の結晶変換方法は特開2001−19871号公報に準じた結晶変換方法である。
感光層に含有されるチタニルフタロシアニン結晶の粒子サイズをコントロールするための方法は、大きく2つの方法が挙げられる。1つはチタニルフタロシアン結晶粒子を合成する際に、0.25μmより大きい粒子を含まない結晶を合成する方法であり、いま1つはチタニルフタロシアニン結晶を分散した後、0.25μmより大きい粗大粒子を取り除いてしまう方法である。勿論、両者を併用して用いることはより大きな効果を併せ持つものである。
チタニルフタロシアニン結晶の粒子サイズをより細かくするために、本発明者らが観察したところによれば、前述の不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)は、一次粒径が0.1μm以下(そのほとんどが0.01〜0.05μm程度)であるが(図3参照、スケール・バーは0.2μmである)、結晶変換に際しては、結晶成長と共に結晶が変換されることが分かった。通常、この種の結晶変換においては、原料の残存をおそれて充分な結晶変換時間を確保し、結晶変換が十二分に行われた後に、濾過を行い、所望の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を得るものである。このため、原料として充分に小さな一次粒子を有する原料を用いているにもかかわらず、結晶変換後の結晶としては一次粒子の大きな結晶(概ね0.3〜0.5μm)を得ているものである(図4参照、スケール・バーは0.2μmである)。
1つは、先に作製したチタニルフタロシアニン結晶を有機溶媒中で処理する方法である。使用される有機溶媒としては、27.2゜に最大回折ピークを有し、26.3°にピークを有さない結晶型を、26.3゜にピークを有する結晶型に変換できる溶媒であればいかなるものも使用できるが、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類が良好に用いられる。有機溶媒の処理に関しては、前記チタニルフタロシアニン結晶を有機溶媒中にそのまま浸漬させておくだけでも構わないが、撹拌、超音波印加などの補助手段を併用することにより、処理時間を短縮することができ、有効である。有機溶媒による処理を行った後、濾過分別して、再び乾燥を行うことにより、目的とするチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
使用するチタニルフタロシアニン結晶を粉末状態で、一般的なX線回折装置にて、X線回折スペクトルを測定する。得られたスペクトルに対して、ベースライン補正を行った後、26.3±0.2゜のピーク強度、および27.2±0.2゜のピーク強度を求める。その値を用いて、26.3±0.2゜のピーク強度を27.2±0.2゜のピーク強度で割った値が、本発明で言うところのピーク強度比である。
ピーク強度比(%)=
(26.3±0.2゜のピーク強度/27.2±0.2゜のピーク強度)×100
なお、ピーク強度比が1%以下になるような場合には、広い範囲での測定ではベースラインの補正が難しい場合がある。その場合には、測定範囲を狭めて(例えば、25〜30゜の範囲で測定する等)、再測定を行うことにより、より正確に強度比を求めることができる。
図9は、本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を示す断面図であり、導電性支持体上に、複数の下引き層、特定の結晶型を有し、一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光層が順に積層され、さらに架橋型電荷輸送層が積層された構成をとっている。
図10は、本発明に用いられる電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体上に、複数の下引き層、特定の結晶型を有し、一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層、さらに架橋型電荷輸送層が順に積層された構成をとっている。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
下引き層の役割は、感光体の帯電時に導電性支持体に誘起される逆極性の電荷の注入を抑制したり、モアレを防止したり、素管の欠陥を隠蔽したり、感光層の接着性を維持するなど多くの役割を有している。通常の下引き層が一層の場合には、導電性支持体からの電荷注入を抑制すると残留電位が上昇する傾向を示し、逆に残留電位を低減させようとすると地汚れは悪化する。このようなトレード・オフの関係を複数の下引き層を形成することによって機能分離した結果、残留電位に大きな影響を与えずに地汚れ抑制効果が顕著に向上できる。本発明においては、複数の下引き層を積層することによって効果が発揮されるものであるが、特に無機顔料が含有されない下引き層と無機顔料が含有される下引き層の少なくとも二層が積層されることで、残留電位への影響が少なく、地汚れ抑制効果を大幅に高めることが可能となり、モアレや接着性に対する副作用もなく、感光体の高耐久化に対して非常に大きな効果を得ることが可能となる。
上記無機顔料が含有されない下引き層の膜厚は、0.1μm以上、2.0μm未満、好ましくは0.3μm以上、1.0μm以下が適当である。この下引き層の膜厚がそれ以上に厚くなると、帯電と露光の繰返しによって、残留電位の上昇が発生しやすくなり、また、膜厚が薄すぎると地汚れ抑制効果が乏しくなる。
無機顔料を含有する下引き層は、前述のとおり含有される無機顔料によってモアレが抑制され、疲労による残留電位や暗減衰の低減が可能となり、さらに感光層との接着性を高める機能をも有する。
前者の無機顔料を含む下引き層が、導電性支持体上に形成された無機顔料を含まない下引き層と感光層との間に形成される層構成では、高い地汚れ抑制効果を発揮しつつ、残留電位上昇や疲労による帯電劣化の影響が非常に少なく、静電安定性に優れている。また、感光層との接着性も向上し、感光体の高耐久化において有効性が高い。この場合、特に導電性の金属酸化物を用いなくても残留電位に与える影響が少なく、無機顔料としては前述の金属酸化物の中でも酸化チタンが有効に使用できる。これにより、残留電位に与える影響を軽減しつつ、高い地汚れ抑制効果を得ることが可能となる。
感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層でも構わないが、前述のように電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型の方が感度、耐久性、地汚れ抑制において優れた特性を示し、本発明においては良好に使用される。
本発明における電荷発生層には、電荷発生物質として、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶が用いられる。さらに、この特定の結晶型を有するチタニルフタロシアンを結晶合成時あるいは分散濾過処理により、一次粒子の平均粒子サイズを0.25μm以下にすることによって達成される。上記のとおり、下引き層を複数化したり、N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層を積層させることにより地汚れの抑制効果は顕著に高まるが、これらの効果は導電性支持体からの電荷の注入を抑制したことによるものであり、その上に形成される電荷発生層の凝集や純度の低下によって引き起こされる地汚れに対しては別な対策が必要である。本発明は、下引き層と電荷発生層における双方の地汚れ要因を抑制できたことにより、飛躍的な高耐久化が実現されたものである。更に、感光体の帯電低下は地汚れ発生を助長させるが、本発明においては、電荷発生層に用いられるチタニルフタロシアニンの結晶型及び平均粒子サイズを特定化することにより、帯電低下を軽減させることができ、更に地汚れ抑制効果を高めることが可能となった。また、同時に湿度依存性を低減することが可能となったことにより、画質の使用環境依存性が低減され、画質安定化を更に高めることが可能となり、高耐久化と高安定化の飛躍的な向上が実現された。
電荷発生層は、前記チタニルフタロシアニンを必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
また、電荷発生層には他の電荷発生物質や増感剤、分散剤、シリコーンオイル等の添加剤を混合させることも可能である。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。中でも、環境への負荷低減等の意図から、非ハロゲン系溶媒の使用は望ましく、具体的にはテトラヒドロフランやジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、及びそれらの誘導体が地汚れ抑制効果の面でも良好に用いられる。
感光体表面に形成される傷や表面に付着する異物(トナー、トナーの外添剤、キャリア、紙粉等)は、感光体のクリーニング性を低下させ、画質安定性を顕著に低下させる。したがって、感光体の高耐久化を実現させるためには、耐摩耗性を高めるだけでなく、感光体表面の傷やフィルミングの影響を最小限にすることが重要であり、そのためには高硬度、高弾性でかつ平滑な表面層を形成させることが好ましい。
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
CH2=CH−X1− ・・・・式10
(ただし、式10中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。)
これらの官能基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
CH2=C(Y)−X2− ・・・・式11
(ただし、式11中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR12R13(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、X2は上記式10のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y、X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
なお、これらX1、X2、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
前記一般式(1)、(2)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
R1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR2)であり、R2は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar1、Ar2で表わされるアリーレン基としては、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基から誘導される2価基である。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン2価変性基が挙げられる。
但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋型電荷輸送層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下であればより好ましい。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパンなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
UV照射の場合、メタルハライドランプ等を用いるが、照度は50mW/cm2以上、1000mW/cm2以下、時間としては5秒から5分程度が好ましく、ドラム温度は50℃を越えないように制御する。
熱硬化の場合、加熱温度は100〜170℃が好ましく、例えば加熱手段として送風型オーブンを用い、加熱温度を150℃に設定した場合、加熱時間は20分〜3時間である。
硬化終了後は、さらに残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の感光体を得る。
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、架橋型電荷輸送層、電荷輸送層、電荷発生層、下引き層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
(フェノール系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3'−ビス(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(有機硫黄化合物類)
ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3'−チオジプロピオネートなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
図11は、本発明の画像形成方法および画像形成装置を説明するための概略図であり、下記に示すような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図11において、感光体1は導電性支持体上に少なくとも複数の下引き層、感光層、及び架橋型電荷輸送層を有し、かつ感光層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有する平均一次粒子サイズが0.25μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含有し、該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成されてなる。感光体1はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電ローラ2、転写前チャージャ13、転写チャージャ11、分離チャージャ14、クリーニング前チャージャ16には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラ、転写ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
除電ランプ19等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザーは照射エネルギーが高く、また600〜800nmの長波長光を有するため、前述の電荷発生材料であるフタロシアニン顔料が高感度を示すことから良好に使用される。かかる光源等は、図11に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
次に、感光体上で可視化されたトナー像を転写体7上に転写するために転写チャージャ11が用いられる。また、転写をより良好に行うために転写前チャージャ13を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写体7を感光体1より分離する手段として分離チャージャ14、分離爪15が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ14としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ19、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
図14において、符号1C、1M、1Y、1Kはドラム状の感光体であり、感光体は導電性支持体上に少なくとも複数の下引き層、感光層、及び架橋型電荷輸送層が形成され、感光層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有する平均一次粒子サイズが0.25μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含有し、該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成されてなる。
まず、本発明に用いた電荷発生物質の比較合成例及び本発明の合成例について述べる。
(比較合成例1)
特開2001―187794号公報に準じて、チタニルフタロシアニンを作製した。すなわち、1,3−ジイミノイソインドリン292部とスルホラン2000部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8であった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。得られたこのウェットケーキ(水ペースト)400部をテトラヒドロフラン2000部に投入し、4時間攪拌を行った後、濾過を行い、乾燥して、チタニルフタロシアニン粉末を得た。
更に、このチタニルフタロシアニン結晶30部をテトラヒドロフラン300部に浸漬し、2回目の結晶変換を行った。12時間浸漬放置した後、濾過分別し、上記と同じ条件で減圧乾燥を行い、本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料1とする。
上記ウェットケーキの固形分濃度は、15wt%であった。結晶変換溶媒のウェットケーキに対する重量比は33倍である。尚、比較合成例1の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。
比較合成例1の方法に従って、チタニルフタロシアニン顔料の水ペーストを合成し、次のように結晶変換を行い、比較合成例1よりも一次粒子の小さなフタロシアニン結晶を得た。
比較合成例1で得られた結晶変換前の水ペースト600部にテトラヒドロフラン4000部を加え、室温下でホモミキサー(ケニス、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行った。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶88部を得た。
更に、このチタニルフタロシアニン結晶30部をテトラヒドロフラン300部に浸漬し、2回目の結晶変換を行った。12時間浸漬放置した後、濾過分別し、上記と同じ条件で減圧乾燥を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料2とする。
合成例1の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。上記ウェットケーキの固形分濃度は、15wt%であった。結晶変換溶媒のウェットケーキに対する重量比は44倍である。
合成例1における2回目の結晶変換操作を下記の通りの条件に変更した以外は、合成例1と同様に処理を行い、本発明のチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料3とする。
(2回目の結晶変換処理)
1回目の結晶変換処理を行ったチタニルフタロシアニン結晶30部を、市販のミキサーにより機械的剪断力を5分間与えた後、粉末を取り出した。
合成例1における2回目の結晶変換操作を下記の通りの条件に変更した以外は、合成例1と同様に処理を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料4とする。
(2回目の結晶変換処理)
1回目の結晶変換処理を行ったチタニルフタロシアニン結晶30部を、2000部のφ6mmのジルコニアボールと共に、φ90mmのガラスポットに投入し、乾式ミリングを10分間行った後、粉末を取り出した。
比較合成例1における2回目の結晶変換溶媒をテトラヒドロフランからメタノールに変更した以外は、比較合成例1と同様に処理を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料5とする。
比較合成例1において、1回目の結晶変換溶媒として、テトラヒドロフランの代わりに2−ブタノンを用い、2回目の結晶変換を行わない以外は、比較合成例1と同様に処理を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料6とする。
上述のように得られた水ペーストの乾燥粉末と、合成例1〜3および比較合成例1〜3で得られたチタニルフタロシアニン結晶についてのX線回折スペクトルを以下に示す条件で測定した。
X線管球:Cu
電圧:40kV
電流:20mA
走査速度:1°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
水ペーストの乾燥粉末のX線回折スペクトルを図16に示す。
比較合成例2で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを図17に示すが、26.3°にピークを示さないものであった。
比較合成例3で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを図18に示すが、最低角が7.5°に存在するものであった。
特開平1―299874号(特許第2512081号)公報の実施例1に記載の方法に準じて、チタニルフタロシアニンを作製した。すなわち、先の比較合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1部をポリエチレングリコール50部に加え、100部のガラスビーズと共に、サンドミルを行った。結晶転移後、希硫酸、水酸化アンモニウム水溶液で順次洗浄し、乾燥してチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料7とする。
特開平3―269064号(特許第2584682号)公報の製造例1に記載の方法に準じて、チタニルフタロシアニンを作製した。すなわち、先の比較合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1部をイオン交換水10部とモノクロルベンゼン1部の混合溶媒中で1時間撹拌(50℃)した後、メタノールとイオン交換水で洗浄し、乾燥してチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料8とする。
特開平2―8256号(特公平7―91486号)公報の製造例に記載の方法に準じて、チタニルフタロシアニンを作製した。すなわち、フタロジニトリル9.8部と1−クロロナフタレン75部を撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2部を滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時濾過し、次いで1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、次にメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後、乾燥しチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料9とする。
特開昭64―17066号(特公平7―97221号)公報の合成例1に記載の方法に準じて、チタニルフタロシアニンを作製した。すなわち、α型TiOPc5部を食塩10部およびアセトフェノン5部と共にサンドグラインダーにて100℃にて10時間結晶変換処理を行った。これをイオン交換水及びメタノールで洗浄し、希硫酸水溶液で精製し、イオン交換水で酸分がなくなるまで洗浄した後、乾燥してチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料10とする。
特開平11―5919号(特許第3003664号)公報の実施例1に記載の方法に準じて、チタニルフタロシアニンを作製した。すなわち、O−フタロジニトリル20.4部、四塩化チタン7.6部をキノリン50部中で200℃にて2時間加熱反応後、水蒸気蒸留で溶媒を除き、2%塩酸、続いて2%水酸化ナトリウム水溶液で精製し、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミドで洗浄後、乾燥し、チタニルフタロシアニンを得た。このチタニルフタロシアニン2部を5℃の98%硫酸40部の中に少しずつ溶解し、その混合物を約1時間、5℃以下の温度を保ちながら攪拌する。続いて硫酸溶液を高速攪拌した400部の氷水中に、ゆっくりと注入し、析出した結晶を濾過する。結晶を酸が残量しなくなるまで蒸留水で洗浄し、ウェットケーキを得る。そのケーキをTHF100部中で約5時間攪拌を行い、濾過、THFによる洗浄を行い乾燥後、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料11とする。
特開平3―255456号(特許第3005052号)公報の合成例2に記載の方法に準じて、チタニルフタロシアニンを作製した。すなわち、先の比較合成例1で作製したウェットケーキ10部を塩化ナトリウム15部とジエチレングリコール7部に混合し、80℃の加熱下で自動乳鉢により60時間ミリング処理を行った。次に、この処理品に含まれる塩化ナトリウムとジエチレングリコールを完全に除去するために充分な水洗を行った。これを減圧乾燥した後にシクロヘキサノン200部と直径1mmのガラスビーズを加えて、30分間サンドミルにより処理を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料12とする。
特開平11―5919号(特許第3003664号)公報の実施例4に記載の方法に準じて、チタニルフタロシアニンを作製した。すなわち、先の比較合成例7で得られたウェットケーキを5%の塩酸で洗浄し、中性になるまで水洗・濾過を行い、乾燥した。更にこれをTHFと共にボールミルで10時間分散し、濾過・乾燥してチタニルフタロシアニン粉末を得た。これを顔料13とする。
特開平5―134437号(特許第3196260号)公報の製造例1及び製造例2に記載の方法に準じて、チタニルフタロシアニンを作製した。
すなわち、フタロジニトリル97.5部をα−クロロナフタレン750部中に加え、次に窒素雰囲気下で四塩化チタン22部を滴下する。滴下後昇温し、撹拌しながら200〜220℃で3時間反応させた後、放冷し、100〜130℃で熱時濾過し、100℃に加熱したα−クロロナフタレン200部で洗浄した。更に200部のN−メチルピロリドンで熱懸洗処理(100℃、1時間)を3回行った。続いてメタノール300部で室温にて懸洗しさらにメタノール500部で1時間熱懸洗を3回行った。これをフタロシアニン1とする。
次いで、フタロシアニン1をサンドグラインドミルにて20時間磨砕処理しを行い、続いて水400部、o−ジクロロベンゼン40部の懸濁液中に入れ、60℃で1時間加熱処理を行った。これをフタロシアニン2とする。
更に、特開平5―134437号(特許第3196260号)公報の実施例1に準じて、フタロシアニン1およびフタロシアニン2をそれぞれ6部および4部混合し、n−プロパノール200部を加え、サンドグラインドミルで10時間粉砕、微粒化分散処理を行った。これを乾燥して、フタロシアニン粉末を得た。これを顔料14とする。
特開平8―110649号公報のチタニルフタロシアニン結晶体の製造方法に準じて、チタニルフタロシアニンを作製した。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン58部、テトラブトキシチタン51部をα−クロロナフタレン300部中で210℃にて5時間反応後、α−クロロナフタレン、ジメチルホルムアミド(DMF)の順で洗浄した。その後、熱DMF、熱水、メタノールで洗浄、乾燥して50部のチタニルフタロシアニンを得た。チタニルフタロシアニン4部を0℃に冷却した濃硫酸400部中に加え、引き続き0℃、1時間撹拌した。フタロシアニンが完全に溶解したことを確認した後、0℃に冷却した水800部/トルエン800部混合液中に添加した。室温で2時間撹拌後、析出したフタロシアニン結晶体を混合液より濾別し、メタノール、水の順で洗浄した。洗浄水の中性を確認した後、洗浄水よりフタロシアニン結晶体を濾別し、乾燥して、2.9部のチタニルフタロシアニン結晶体を得た。これを顔料15とする。
以上の方法により求められた比較合成例1における水ペースト中の平均粒子サイズは、0.06μmであった。
また、比較合成例1及び合成例1における濾過直前の結晶変換後チタニルフタロシアニン結晶を、テトラヒドロフランでおよそ1重量%になるように希釈し、上の方法と同様に観察を行った。上記のようにして求めた平均粒子サイズを表1に示す。なお、比較合成例1及び合成例1で作製されたチタニルフタロシアニン結晶は、必ずしも全ての結晶の形が同一ではなかった(三角形に近い形、四角形に近い形など)。このため、結晶の最も大きな対角線の長さを長径として、計算を行った。
なお、表2中の26.3°のピーク強度比とは、前述の通り、26.3°のピーク強度の27.2°のピーク強度の比である。この計算に際して、図18のように26.3°のピークが明確に観測されない場合には、ピーク強度=0として計算を行った。
(1官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成例)
本発明における1官能の電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。また、下記にこの一例を示す。
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A)113.85部(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138部(0.92mol)にスルホラン240部を加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99部(0.91mol)を1時間かけて滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。
この反応液にトルエン約1500部を加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。
その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。
得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。
この様にして下記構造式Bの白色結晶88.1部(収率=80.4%)を得た。
融点:64.0〜66.0℃
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B)82.9部(0.227mol)をテトラヒドロフラン400部に溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4部,水:100部)を滴下した。
この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2部(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。
この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。
この様にして例示化合物No.54の白色結晶80.73部(収率=84.8%)を得た。
融点:117.5〜119.0℃
(分散液作製例1)
比較合成例1で作製した顔料1を下記組成の処方にて、下記に示す条件にて分散を行い電荷発生層用塗工液として、分散液を作製した。
チタニルフタロシアニン顔料(顔料1) 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 10部
2−ブタノン 280部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノンおよび顔料を全て投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、分散液を作製した(分散液1とする)。
分散液作製例1で使用した顔料1に変えて、それぞれ合成例1〜3及び比較合成例2〜12で作製した顔料2〜15を使用して、分散液作製例1と同じ条件にて分散液を作製した(顔料番号に対応して、それぞれ分散液2〜15とする)。
分散液作製例1で作製した分散液1を、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−1−CS(有効孔径1μm)を用いて、濾過を行った。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行った(分散液16とする)。
分散液作製例16で使用したフィルターを、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−3−CS(有効孔径3μm)に変えた以外は、分散液作製例16と同様に加圧濾過を行い分散液を作製した(分散液17とする)。
分散液作製例16で使用したフィルターを、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−5−CS(有効孔径5μm)に変えた以外は、分散液作製例16と同様に加圧濾過を行い分散液を作製した(分散液18とする)。
分散液作製例1における分散条件を下記の通り変更して、分散を行った(分散液19とする)。
ローター回転数:1000r.p.m.にて20分間分散を行った。
分散液作製例19で作製した分散液をアドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−1−CS(有効孔径1μm)を用いて、濾過を行った。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行った(分散液20とする)。
なお、分散液20は、濾過の途中でフィルターが目詰まりを起こして、全ての分散液を濾過することが出来なかった。このため評価は実施できなかった。
比較例1
直径100mmのアルミニウムシリンダー(JIS1050)に、下記組成の下引き層1用塗工液、下引き層2用塗工液、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液及び架橋型電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、膜厚0.6μmの下引き層1、3.5μmの下引き層2、電荷発生層、19μmの電荷輸送層、及び5μmの架橋型電荷輸送層を積層し、電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体1とする。架橋型電荷輸送層は、スプレー塗工してから20分間自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射強度:500mW/cm2、照射時間:60秒の条件で光照射を行うことによって塗布膜を硬化させた。なお、各層の塗工後に指触乾燥を行った後、下引き層1は130℃、下引き層2は135℃、電荷発生層は90℃、電荷輸送層は135℃、架橋型電荷輸送層は130℃で20分間加熱乾燥を行った。また、電荷発生層の膜厚は、780nmにおける電荷発生層の透過率が20%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、下記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミシリンダーに感光体作製と同じ条件で塗工を行い、電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムを比較対照とし、市販の分光光度計(島津:UV−3100)にて、780nmの透過率を評価した。
N−メトキシメチル化ナイロン(FR101:鉛市製) 5部
メタノール 70部
n−ブタノール 30部
◎下引き層2用塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径0.25μm)70部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 14部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 8部
2−ブタノン 80部
無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、約2/1である。アルキッド樹脂とメラミン樹脂の重量比は、約1.5/1である。
前述の分散液1を用いた。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液(KF−50(100cs):
信越化学工業製) 0.2部
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
{トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99}
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.54)
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
比較例1で使用した電荷発生層塗工液である分散液1をそれぞれ、表6に記載したように分散液2〜19に変更した以外は、すべて比較例1と同様にして電子写真感光体2〜19を作製した。
実施例1において、下引き層1を設けない以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体20を作製した。
実施例1において、下引き層2を設けない以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体21を作製した。
実施例1において、下引き層1の膜厚を1.3μmとした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体22を作製した。
実施例1において、下引き層1の膜厚を2.0μmとした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体23を作製した。
実施例1において、下引き層2を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体24を作製した。
◎下引き層2用塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径0.25μm) 90部
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製) 14部
メラミン樹脂(スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製) 10部
2−ブタノン 100部
無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、約2.3/1である。アルキッド樹脂とメラミン樹脂の重量比は、約1.2/1である。
実施例1において、下引き層2の塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体25を作製した。
◎下引き層2用塗工液
酸化錫(S−1、三菱金属工業製、平均一次粒径0.02μm) 60部
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製) 14部
メラミン樹脂(スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製) 10部
2−ブタノン 80部
無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、約1.5/1である。アルキッド樹脂とメラミン樹脂の重量比は、約1.2/1である。
実施例9において、導電性支持体上に下引き層2を形成し、その上に下引き層1を積層し、下引き層1の膜厚を0.4μmにした以外はすべて実施例9と同様にして電子写真感光体26を作製した。
参考例3において、下引き層2用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、参考例3と同様に電子写真感光体27を作製した。
◎下引き層2用塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径0.25μm)100部
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製) 12部
メラミン樹脂(スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製) 8部
2−ブタノン 130部
無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、約3.1/1である。アルキッド樹脂とメラミン樹脂の重量比は、約1.3/1である。
実施例1において、下引き層2の塗工液を下記組成に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体28を作製した。
◎下引き層2用塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)50部
酸化チタン(PT−401M:石原産業社製、平均一次粒径:約0.07μm)
30部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 16部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−145−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 9部
2−ブタノン 80部
無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、約2/1である。また、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の重量比は、約1.5/1である。D2/D1は0.28、無機顔料の混合比は約0.38である。
実施例1において、下引き層2の塗工液を下記組成に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体29を作製した。
◎下引き層2用塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm) 40部
酸化チタン(TTO−F1:石原産業社製、平均一次粒径:約0.04μm)40部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 16部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−145−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 9部
2−ブタノン 80部
無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、約2/1である。また、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の重量比は、約1.5/1である。D2/D1は0.16、無機顔料の混合比は約0.5である。
実施例1において、下引き層1用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体30を作製した。
◎下引き層1用塗工液
N−メトキシメチル化ナイロン(FR101:鉛市製) 5部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 8部
酒石酸のメタノール溶液(固形分10%) 2部
メタノール 120部
n−ブタノール 50部
実施例1において、下引き層1用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体31を作製した。
◎下引き層1用塗工液
共重合ナイロン(アミランCM8000:東レ製) 5部
メタノール 70部
n−ブタノール 30部
参考例5において、下引き層1の膜厚を1.0μmに変更した以外はすべて参考例5と同様にして電子写真感光体32を作製した。
実施例1において、下引き層1用塗工液を下記組成のものに変更し、膜厚を0.5μmにした以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体33を作製した。
◎下引き層1用塗工液
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 14部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 10部
2−ブタノン 100部
参考例6において、下引き層2用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、すべて参考例6と同様にして電子写真感光体34を作製した。
◎下引き層2用塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)90部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 14部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 10部
2−ブタノン 100部
無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、約2.3/1である。また、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の重量比は、約1.2/1である。
参考例5において、導電性支持体上に下記組成の下引き層2を10μm形成し、その上に下引き層1を0.5μm積層した以外はすべて参考例5と同様にして電子写真感光体35を作製した。
◎下引き層2用塗工液
酸化錫(S−1、三菱金属工業製、平均一次粒径0.02μm) 80部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 18部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 6部
2−ブタノン 80部
無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、約2.1/1である。また、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の重量比は、約2.5/1である。
実施例1における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体36を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
下記組成の高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:約135000) 10部
実施例1において、架橋型電荷輸送層を形成させずに、電荷輸送層の膜厚を24μmに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体37を作製した。
実施例1における電荷輸送層の膜厚を20μmとし、電荷輸送層上に下記組成の無機顔料含有電荷輸送層塗工液をスプレー塗工法によって塗布並びに乾燥し、4μmの無機顔料含有電荷輸送層を設けた以外はすべて実施例1と同様にして電子写真感光体38を作製した。
◎無機顔料含有電荷輸送層塗工液
アルミナ
(平均一次粒径:0.4μm、スミコランダムAA−03:住友化学工業製)
2部
湿潤分散剤(固形分50%、BYK−P104:BYKケミー製) 0.025部
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製、粘度平均分子量:5万)
10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
テトラヒドロフラン 150部
実施例1において、電荷発生層用塗工液を下記組成の塗工液に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体39を作製した。
◎電荷発生層用塗工液
下記構造のフルオレノン系ビスアゾ顔料 12部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを下記のラジカル重合性モノマーに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体40を作製した。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
(ペンタエリスリトールテトラアクリレート(SR−295、化薬サートマー製)
分子量:352、官能基数:4官能、分子量/官能基数=88)
実施例1の架橋型電荷輸送層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを下記の電荷輸送性構造を有さない2官能のラジカル重合性モノマー10部に換え、架橋型電荷輸送層の膜厚を5.5μmにした以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体41を作製した。
電荷輸送性構造を有さない2官能のラジカル重合性モノマー 10部
(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(和光純薬製)
分子量:226、官能基数:2官能、分子量/官能基数=113)
実施例1において、架橋型電荷輸送層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを下記のラジカル重合性モノマーに換え、架橋型電荷輸送層の膜厚を6.0μmにした以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体42を作製した。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
(カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製)
分子量:1947、官能基数:6官能、分子量/官能基数=325)
実施例1の架橋型電荷輸送層用塗工液に含有される1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を下記構造式に示される2官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物10部に換え、架橋型電荷輸送層の膜厚を6.0μmにした以外は実施例1と同様に電子写真感光体43を作製した。
実施例1において、架橋型電荷輸送層用塗工液の組成物である1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有させず、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー量を20部に換え、架橋型電荷輸送層の膜厚を4.5μmにした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体44を作製した。
実施例1の架橋型電荷輸送層用塗工液の組成物である電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを含有させず、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物量を20部に換え、架橋型電荷輸送層の膜厚を5.5μmにした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体45を作製した。
実施例1において、架橋型電荷輸送層用塗工液の組成物である1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有させず、この換わりに電荷輸送層用塗工液に用いられている低分子電荷輸送物質10部を含有させ、架橋型電荷輸送層の膜厚を4.5μmにした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体46を作製した。
実施例1において、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、5μmの保護層を設けた以外は実施例1と同様に電子写真感光体47を作製した。
◎保護層塗工液
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記構造の電荷輸送性化合物 35部
実施例1において、架橋型電荷輸送層用塗工液を下記保護層塗工液に変更し、膜厚を6.0μmにした以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体48を作製した。
◎保護層塗工液
下記組成の高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:約135000) 10部
その結果を表6に示す。
(測定例1)
比較合成例2で得られた顔料(最低角7.3°)に特開昭61―239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3重量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例1のX線回折スペクトルを図19に示す。
(測定例2)
比較合成例3で得られた顔料(最低角7.5°)に特開昭61―239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3重量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例2のX線回折スペクトルを図20に示す。
以上のことから、本願発明のチタニルフタロシアニン結晶における最低角ピークである7.3°は、公知のチタニルフタロシアニン結晶における7.5°のピークとは異なるものであることが判る。
1C、1M、1Y、1K 感光体
2C、2M、2Y、2K 帯電部材
3C、3M、3Y、3K レーザー光
4C、4M、4Y、4K 現像部材
5C、5M、5Y、5K クリーニング部材
6C、6M、6Y、6K 画像形成要素
7 転写紙(転写体)
10 転写搬送ベルト
11C、11M、11Y、11K 転写ブラシ
12 定着装置
21 ギャップ形成部材
22 金属シャフト
23 画像形成領域
24 非画像形成領域
101 感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 クリーニング手段
107 転写体
110 転写手段
Claims (36)
- 導電性支持体上に、少なくとも無機顔料が含有されておらずN−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層が直接形成され、その上に無機顔料が含有されている下引き層が形成されている複数の下引き層、感光層及び架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体において、該感光層にCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有する結晶型で、一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含み、前記チタニルフタロシアニン結晶が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均粒子サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを、水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行い、結晶変換後の一次粒子の平均粒子サイズが0.25μmより大きく成長する前に、結晶変換後のチタニルフタロシアニンを有機溶媒より分別、濾過したものを用いて得られたものであり、かつ該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成されることを特徴とする電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニン結晶において、26.3°のピーク強度が最大回折ピーク27.2°のピーク強度に対して0.1〜5%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記感光層が、電荷発生層と電荷輸送層とを順次積層した積層構成からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記結晶型のチタニルフタロシアニンを、平均粒子サイズが0.3μm以下で、その標準偏差が0.2μm以下になるまで分散を行い、その後有効孔径が3μm以下のフィルターにて濾過を行い、一次粒子の平均粒子サイズを0.25μm以下とした分散液を使用し、感光層あるいは電荷発生層を塗工したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニン結晶が、ハロゲン化物を含まない原材料を使用して合成されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニン結晶が不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを、水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ったものを用いて得られたものであり、前記チタニルフタロシアニン結晶の結晶変換に際して、使用される不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンがアシッド・ペースト法により作製され、十分にイオン交換水で洗浄され、洗浄後のイオン交換水のpHが6〜8の間及び/又はイオン交換水の比伝導度が8以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニン結晶が不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを、水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ったものを用いて得られたものであり、前記チタニルフタロシアニン結晶の結晶変換に際して、使用される有機溶媒量が不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンの30倍(重量比)以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおける官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)が、250以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の電荷輸送性構造が、トリアリールアミン構造であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)又は(2)の少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(3)の少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合が、架橋型電荷輸送層全量に対し30〜70重量%であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の成分割合が、架橋型電荷輸送層全量に対し30〜70重量%であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層の硬化手段が加熱又は光エネルギー照射手段であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記感光層あるいは電荷輸送層に、高分子電荷輸送物質が含有されていることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記N−メトキシメチル化ナイロンが加熱により架橋されていることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記無機顔料が含有されていない下引き層の膜厚が、2.0μm未満であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記無機顔料が含有されている下引き層には、無機顔料として金属酸化物が含有されていることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物が、酸化チタンであることを特徴とする請求項20に記載の電子写真感光体。
- 前記無機顔料が、平均一次粒径の異なる2種以上の無機顔料の混合物であり、最も大きな平均一次粒径を有する無機顔料の平均一次粒径をD1、最も小さな平均一次粒径を有する無機顔料の平均一次粒径をD2としたとき、0.2<(D2/D1)≦0.5の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記D2が、0.2μm未満であることを特徴とする請求項22に記載の電子写真感光体。
- 前記平均一次粒径の異なる2種以上の無機顔料の混合比が、最も大きな平均一次粒径を有する無機顔料の含有量をT1、最も小さな平均一次粒径を有する無機顔料の含有量をT2としたとき、重量比で0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8の関係を満たすことを特徴とする請求項22又は23に記載の電子写真感光体。
- 前記無機顔料が含有されている下引き層には、バインダー樹脂として熱硬化型樹脂が含まれていることを特徴とする請求項1乃至24のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記熱硬化型樹脂が、アルキッド樹脂及びメラミン樹脂からなることを特徴とする請求項25に記載の電子写真感光体。
- 前記アルキッド樹脂とメラミン樹脂との重量比が、1/1乃至4/1の範囲内であることを特徴とする請求項26に記載の電子写真感光体。
- 前記無機顔料が含有されている下引き層に含まれる無機顔料とバインダー樹脂との容積比が、1/1乃至3/1の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至27のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記無機顔料が含有されている下引き層の膜厚が、無機顔料が含有されていない下引き層の膜厚よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至28のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 請求項1乃至29のいずれかに記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行うことを特徴とする画像形成方法。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項1乃至29のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成要素を複数配列したことを特徴とする請求項31に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成装置に用いられる帯電手段に、交流重畳電圧を印加することを特徴とする請求項31又は32に記載の画像形成装置。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置において、画像形成時における感光体の線速が300mm/sec以上であることを特徴とする請求項31乃至33のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記画像形成装置が、少なくとも電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段から選ばれる少なくとも1つの手段とが一体となった画像形成装置用プロセスカートリッジを搭載し、該画像形成装置用プロセスカートリッジが装置本体と着脱自在であることを特徴とする請求項31乃至34のいずれかに記載の画像形成装置。
- 少なくとも電子写真感光体を備えた画像形成装置用プロセスカートリッジにおいて、該電子写真感光体が請求項1乃至29のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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