JP5037907B2 - レゾルシンジエステル系化合物の製造方法 - Google Patents

レゾルシンジエステル系化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、空気入りタイヤや工業用ベルト等のゴム物品に用いられるスチールコード等の金属補強材との接着耐久性を向上させる目的で使用されるレゾルシンジエステル系化合物の製造方法に関する。
自動車用タイヤ、コンベアベルト、ホース等、特に強度が要求されるゴム製品には、ゴムを補強し強度、耐久性を向上させる目的で、スチールコード等の金属補強材をゴム組成物で被覆した複合材料が用いられている。該ゴム−金属複合材料が高い補強効果を発揮し信頼性を得るためにはゴム−金属補強材間に混合、配合、貯蔵等の条件に左右されない安定した接着が必要である。かかる複合体を得るには、亜鉛、黄銅、真鍮等でメッキされたスチールコード等の金属補強材を、硫黄を配合したゴム組成物に埋設し加熱加硫時に、ゴムの加硫と同時に接着させるいわゆる直接加硫接着が広く用いられており、これまで該直接加硫接着におけるゴム−金属補強材間の接着性、特に耐湿熱接着性向上のため様々な検討が行われている。
例えば、レゾルシン又は、レゾルシンとホルマリンを縮合して得られる、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂(以下、「RF樹脂」と略記する。)を耐湿熱接着性向上の目的で配合したゴム組成物が報告されている(特許文献1)。
また、重量平均分子量が3000〜45000のレゾルシン骨格を有する混合ポリエステルからなる、接着材料が報告されている(特許文献2)。
一方、我々は上記技術よりもさらに耐湿熱接着性を向上したものとしてレゾルシンジエステル系化合物および組成物を報告している(特許文献3)。しかしながら、該レゾルシンジエステル系化合物は通常、塩基の存在下でレゾルシンと2価カルボン酸ハライドとを反応させて製造するが、粗収率およびその組成(ジエステル体/オリゴエステル体比)に再現性が得られなかった。即ち、ジエステル体/オリゴエステル体比により、得られるケーキの物性が異なり、粗収率がばらつくという問題があった。特にオリゴエステル体がリッチな場合には、ケーキのべたつきが激しく固体として得られない場合もあった。また、その組成(ジエステル体/オリゴエステル体比)の違いは、耐湿熱接着性には大きくは影響しないものの、ハンドリングや、融点等の基礎物性に差が現れるため、品質管理上の問題があった。
特開2001−234140号公報 特開平7−118621号公報 WO2005−087704号公報
本発明は、レゾルシンと2価カルボン酸ハライドとを反応させてレゾルシンジエステル系化合物を製造する際に、その組成(ジエステル体/オリゴエステル体比)を安定に再現し、それにより高い粗収率を維持できる製造方法を提供する事を目的とする。
本発明者らは再現性確保のために鋭意検討した結果、レゾルシンと2価カルボン酸ハラ
イドとを比較的低温で反応させただけでは、その組成はオリゴエステル体リッチであり、その後の単離過程における熱履歴により、オリゴエステル体が残存するレゾルシンと反応
しジエステル体へと変化している事を見出した。また、2価カルボン酸ハライドは熱安定
性に乏しく、高温での反応には耐えられない事も確認できた。そこで、レゾルシンと2価カルボン酸ハライドとを比較的低温で反応させてカルボン酸ハライド骨格をジエステル体あるいはオリゴエステル体に完全に転化させた後に、高温で過剰のレゾルシンとのエステル交換反応によりジエステル体に変換する2段階の反応を行なう事で、その組成および粗収率に再現が得られる事を見出し本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、塩基性化合物の存在下、一般式(1)で表される化合物
(式中Rは炭素数2〜10のアルキレン基、又はフェニレン基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
および一般式(2)で表される化合物
とを−20℃〜80℃で反応させるエステル化工程、およびエステル化工程に引き続き110℃〜140℃で熱処理するオリゴマー分解工程の2段階の反応工程からなることを特徴とする一般式(3)で表される化合物の製造方法
(式中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基、又はフェニレン基を表す。)
に関するものである。
本発明によれば、空気入りタイヤや工業用ベルト等のゴム物品に用いられるスチールコード等の金属補強材との接着耐久性を向上させる目的で使用されるレゾルシンジエステル系化合物が再現良く得られる製造法を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される一般式(1)で表されるカルボン酸ハライドにおいて、Rは、入手の容易さ等を考慮炭素数2〜10のアルキレン基、又はフェニレン基であり、特にエチレン基、ブチレン基又はオクチレン基が好ましい。
本発明に使用される一般式(1)で表されるカルボン酸ハライドにおいて、Xで示されるハロゲン原子としては、塩素、臭素が好ましい。
本発明に使用される一般式(1)で表されるカルボン酸ハライドとしては、コハク酸ジクロライド、グルタル酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、スベリン酸ジクロライド、アゼライン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライド、1.10−デカンジカルボン酸ジクロライド等の脂肪族カルボン酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド等の芳香族ジカルボン酸クロライド、コハク酸ジブロマイド、グルタル酸ジブロマイド、アジピン酸ジブロマイド、スベリン酸ジブロマイド、アゼライン酸ジブロマイド、セバシン酸ジブロマイド、1.10−デカンジカルボン酸ジブロマイド等の脂肪族カルボン酸ジブロマイド、イソフタル酸ジブロマイド、テレフタル酸ジブロマイド等の芳香族ジカルボン酸ブロマイドが挙げられる。これらの中でも、コハク酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、アゼライン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、コハク酸ジブロマイド、アジピン酸ジブロマイド、アゼライン酸ジブロマイド、セバシン酸ジブロマイド、テレフタル酸ジブロマイド、イソフタル酸ジブロマイド等が好ましい。
本発明に使用される一般式(2)で表される化合物としては、カテコール、レゾルシンおよびハイドロキノンが挙げられる。これらの中ではレゾルシンが好ましい。
本発明の一般式(3)で表される化合物としては、例えば、一般式(4)で表される化合物が挙げられる。一般式(4)中のRは一般式(1)および一般式(3)中のRと同義である。
一般式(3)で表される化合物の具体例としては、コハク酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、アジピン酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、アゼライン酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、セバシン酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、テレフタル酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、イソフタル酸ビス(2−ヒドロキシフェニル)エステル、コハク酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、アジピン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、アゼライン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、セバシン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、テレフタル酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、イソフタル酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、コハク酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、アジピン酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、アゼライン酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、セバシン酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、テレフタル酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、イソフタル酸ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル等が挙げられる。
これらの中でも、コハク酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、アジピン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、アゼライン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、セバシン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステルが好ましく、特にコハク酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、アジピン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、セバシン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステルは好ましい。
本発明の製造法は「エステル化工程」および「オリゴマー分解工程」からなる。「エステル化工程」では、一般式(1)で表されるジカルボン酸ハライドと一般式(2)で表される化合物とを塩基の存在下で反応させる。この段階では目的の一般式(3)、特に一般式(4)で表される化合物の他に、一般式(5)で表されるオリゴエステル体も相当量存在する。
(式中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基、又はフェニレン基を表す。nは2〜6の整数を示す。)
一方、「オリゴマー分解工程」では、エステル化工程後に過剰に残存している一般式(2)で表される化合物(例えばレゾルシン)にて、上記一般式(5)で表されるオリゴエステル体をエステル交換反応により一般式(3)特に一般式(4)で表される化合物へと変換する。
本発明の製造法において、エステル化工程で使用される塩基としては、ピリジン、β−ピコリン、N−メチルモルホリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属塩が用いられる。これらの中でも、溶媒としての作用も有する有機塩基が好ましく、塩基性等を考慮すれば、特にピリジン、β―ピコリン、N−メチルモルホリン、ジメチルアニリン等が好ましい。
本発明の製造法において使用される塩基の量は特に限定されず、エステル化工程の反応温度において一般式(2)で表される化合物が溶解可能で、攪拌できる程度の流動性を確
保可能であれば良い。通常は使用する一般式(2)の化合物の1/2重量〜3倍重量が使用される。
本発明の製造法において、エステル化工程で使用される一般式(1)で表されるカルボン酸ハライドと一般式(2)で表される化合物とが1:4〜1:30、好ましくは1:5〜1:25、より好ましくは1:8〜1:20のモル比となるように反応させる。一般式(2)で表される化合物のモル比が上記範囲より低い場合は、オリゴエステルが主生成物となる。また、一般式(2)で表される化合物が上記範囲より高い場合、反応選択率に差が観られないばかりか、容積効率を悪化させる。
本発明の製造方法において、原料および生成物を溶解させること等を目的として溶媒を用いる事ができる。溶媒としては、上述の有機塩基をそのまま溶媒として使用しても良いし、反応を阻害しない他の有機溶媒を用いても構わない。このような溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。
本発明のにおいてエステル化工程の仕込み方法はとくに限定されないが、通常は一般式(2)で表される化合物の溶液に一般式(1)で表されるカルボン酸ハライドを滴下装入する方法が採用される。カルボン酸ハライドの滴下速度は特に限定されず、エステル化工程の所望の温度が保持できる範囲で適宜決定すれば良い。概ね2hr〜20hr程度となる。カルボン酸ハライド滴下終了後、適宜、熟成時間を導入しても良く、通常1hr〜10hr程度が採用される。
本発明の製造方法においてエステル化工程は、−20℃〜80℃、好ましくは−10℃〜60℃、より好ましくは0℃〜50℃で行なわれる。これより低い温度では反応速度が低下し時間を要する。これより高い温度では、オリゴマー分解工程終了時点での反応選択率が低下する傾向にある。
本発明の製造方法において、オリゴマー分解工程は、110℃〜140℃、好ましくは115℃〜130℃で行なわれる。これより低い温度ではオリゴマー分解速度が遅く時間を要する。これより高い温度では、ジエステル体の種類にもよるが、その骨格バランスが崩れる傾向がある。
本発明の製造方法において、オリゴマー分解工程に要する時間は、一般式(1)で表されるカルボン酸ハライドと一般式(2)で表される化合物とのモル比により異なるが、2hr〜20hr程度が目安となる。これより短い時間ではオリゴマー分解が不十分で、ジエステル体/オリゴエステル体比が悪化する傾向にある。一方、これより長時間熟成を行なった場合、熱履歴による副生物、分解物の生成が懸念される。
本発明の製造方法において、塩基あるいは有機溶媒を使用した場合、その種類によってはオリゴマー分解時の所望の温度に達しない場合がある。その場合、使用した塩基あるいは溶媒を留去した後あるいは留去しながら所望のオリゴマー分解温度まで昇温すれば良い。ここで、塩基性化合物の留去中に所望の温度に達すればオリゴマー分解反応は起こるが、一般式(2)で表される化合物の濃度が高い方がオリゴマー分解の効率は良いので、塩基性化合物を留去した後にオリゴマー分解を行う方が好ましい。
本発明の製造方法により得られる一般式(3)で表される化合物は、公知の方法により反応混合物から単離することができる。即ち、減圧蒸留等の操作により、反応に用いた有機塩基および一般式(2)で表される化合物、反応に有機溶媒を使用した場合にはこの有機溶媒を留去し乾固させる方法、反応混合物に一般式(3)で表される化合物の貧溶媒を添加して再沈殿させる方法、反応混合液に水および水と混和しない有機溶媒を添加して有
機層に抽出する方法等が挙げられる。また、場合によっては再結晶により精製しても良い。ここで前記一般式(3)で表される化合物の貧溶媒としては通常、水が用いられる。また、上記水と混和しない有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類が用いられる。
本発明の製造方法において、一般式(2)で表される化合物としてレゾルシンを用いた場合には、一般式(4)で表される化合物が得られるが、一般式(5)で表されるオリゴエステル体も含まれる事がある。通常、一般式(4)で表される化合物が60〜100重量%、一般式(5)におけるn=2の化合物が0〜20重量%、一般式(5)におけるn=3の化合物が0〜10重量%、一般式(5)におけるn=4〜6の化合物の総和が10重量%程度である量を含有する。これらの比率は一般式(1)で表されるカルボン酸ハライドとレゾルシンのモル比を変化させる事でコントロール可能である。これらオリゴエステル体を含んでいても、前記一般式(3)で表される化合物の単離方法と同様の方法により、これらを含む反応混合物から単離することができる。
本発明の好適な実施形態は以下の通りである。
使用するカルボン酸ジハライドに対して10倍モルのレゾルシンをレゾルシンと同重量の有機塩基に溶解させて15℃に保持する。同温度を維持しながらカルボン酸ジハライドを滴下装入しエステル化反応を行う。この段階では目的の一般式(4)で表される化合物の反応収率は30〜40%程度であり、一般式(5)で表されるオリゴエステル体が大部分を占めている。その後、塩基性化合物を留去する。この過程において内温は徐々に上昇するがオリゴマー分解温度までは上がっても良い。その後115℃〜130℃/2hrオリゴマー分解を行う。この工程で一般式(5)で表されるオリゴエステル体が過剰のレゾルシンと反応(エステル交換反応)して目的の一般式(4)で表されるジエステル体組成がリッチとなる。その後は、オリゴマー分解マスを水中に排出して再沈殿を行う。生成物の加水分解が懸念されるため、通常は5℃〜30℃程度に冷却した水中にオリゴマー分解マスを滴下装入する処方で行う事が多い。得られた沈殿を濾取し、水洗した後に40〜80℃程度で減圧下あるいフッ活性ガス気流下で乾燥する。
[実施例]
以下に、実施例、参考例、比較例を上げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
レゾルシン330.6g(3.0mol)をピリジン600.0gに溶解した溶液を氷浴上で15℃以下に保ちながら、これに塩化アジポイル54.9g(0.30mol)を徐々に滴下し
た。滴下終了後、得られた反応混合物を室温まで上昇した後、反応混合物からピリジンを減圧下で留去した。最終的に内温は72℃程度になった。その後120℃に昇温し同温度で2時間熟成させた。得られた反応混合物を、15℃を保持した水1200g中に排出し3〜5℃まで氷冷すると沈殿が析出した。析出した沈殿をろ過、水洗し、得られた湿体を減圧乾燥して、白色〜淡黄色の粉体89.8g(粗収率90.6%/塩化アジポイル)を
得た。得られた粉体をHPLCにて分析した結果、この粉体中のアジピン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステルは89.3重量%であった。粉体中には、他に一般式(5)で表される化合物中のn=2の化合物に相当する化合物(以下オリゴマー1)が7.3重量%、一般式(5)で表される化合物中のn=3の化合物に相当する化合物(以下オリゴマー2)が2.0重量%、原料レゾルシンが2.5重量%含まれていた。
レゾルシン330.6g(3.0mol)をピリジン600.0gに溶解した溶液を氷浴上で15℃以下に保ちながら、これに塩化アジポイル54.9g(0.30mol)を徐々に滴下し
た。滴下終了後、得られた反応混合物を徐々に昇温し116℃で2時間熟成した。その後、80℃を保持しつつピリジンを減圧下で留去した。得られた反応混合物を15℃を保持した水1200gに排出して氷冷すると沈殿が析出した。析出した沈殿をろ過、水洗し、得られた湿体を減圧乾燥して、白色〜淡黄色の粉体88.9g(粗収率89.7%/塩化ア
ジポイル)を得た。得られた粉体をHPLCにて分析した結果、この粉体中のアジピン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステルは88.9重量%であった。粉体中には、他にオリゴマー1が7.2重量%、オリゴマー2が2.2重量%、原料レゾルシンが2.2重量%含まれていた。
レゾルシン330.6g(3.0mol)をピリジン600.0gに溶解した溶液を氷浴上で15℃以下に保ちながら、これにセバシン酸クロライド71.7g(0.30mol)を徐々に
滴下した。滴下終了後、得られた反応混合物を室温まで上昇した後、反応混合物からピリジンを減圧下で留去した。最終的に内温は80℃程度になった。その後120℃に昇温し同温度で2時間熟成させた。得られた反応混合物を、15℃を保持した水1200g中に排出し3〜5℃まで氷冷すると沈殿が析出した。析出した沈殿をろ過、水洗し、得られた湿体を減圧乾燥して、白色〜淡黄色の粉体105.3g(粗収率90.8%/セバシン酸
クロライド)を得た。得られた粉体をHPLCにて分析した結果、この粉体中のセバシン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステルは99.1重量%であった。その他、原料レゾルシンが0.25重量%含まれていた。
[比較例1]
レゾルシン330.6g(3.0mol)をピリジン600.0gに溶解した溶液を氷浴上で15℃以下に保ちながら、これに塩化アジポイル54.9g(0.30mol)を徐々に滴下し
た。滴下終了後、得られた反応混合物を室温まで上昇し、1昼夜放置し反応を完結させた。反応混合物から、ピリジンを減圧下で留去し、最終的に内温は80℃程度になった。得られた反応液を15℃に保持した水1200gに排出すると沈殿が析出し、析出した沈殿をろ過、水洗し、得られた湿体を減圧乾燥して、白色〜淡黄色の粉体75g(粗収率75
.7%/塩化アジポイル)を得た。得られた粉体をHPLCにて分析した結果、この粉体中のアジピン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステルは72重量%であった。粉体中には、他に、オリゴマー1が10重量%、オリゴマー2が5重量%、原料レゾルシンが2.5重量%含まれていた。
[比較例2]
比較例1と同様の仕込みおよび同様の操作で反応を行ない、1昼夜放置し反応を完結させた。反応混合物から、ピリジンを減圧下で留去し、最終的に内温は70℃程度になった。得られた反応液を15℃に保持した水1200gに排出すると沈殿が析出し、析出した沈殿をろ過、水洗し、得られた湿体を減圧乾燥して、白色〜淡黄色のべたつきのある固体68g(粗収率68.6%/塩化アジポイル)を得た。得られた固体をHPLCにて分析
した結果、この粉体中のアジピン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステルは65重量%であった。粉体中には、他にオリゴマー1が15重量%、オリゴマー2が7重量%、一般式(5)におけるn=4の化合物に相当する化合物(オリゴマー3)が2重量%、原料レゾルシンが2.4重量%含まれていた。
[比較例3]
レゾルシン330.6g(3.0mol)をピリジン600.0gに溶解した溶液を氷浴上で15℃以下に保ちながら、これにセバシン酸クロライド71.7g(0.30mol)を徐々に
滴下した。滴下終了後、得られた反応混合物を室温まで上昇した後、反応混合物からピリジンを減圧下で留去した。最終的に内温は80℃程度になった。得られた反応混合物を、15℃を保持した水1200g中に排出し3〜5℃まで氷冷すると沈殿が析出した。析出
した沈殿をろ過、水洗し、得られた湿体を減圧乾燥して、白色〜淡黄色の粉体86.9g
(粗収率75.0%/セバシン酸クロライド)を得た。得られた粉体をHPLCにて分析した結果、この粉体中のセバシン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステルは79.1重量%であった。その他、2量体と思われる成分が15area%、原料レゾルシンが0.4重量%含まれていた。
[比較例4]
レゾルシン330.6g(3.0mol)をピリジン600.0gに溶解した溶液を120℃まで加熱した。同温度に保ちながら、塩化アジポイル54.9g(0.30mol)を徐々に滴
下した。滴下終了後、反応液を分析した結果、アジピン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステルの反応収率は54%しかなく、不明ピークが複数本観られた。
また、HPLCの分析条件は下記の通り。
1.アジピン酸ビス(3−ヒドロキシフェニル)エステル、レゾルシンの分析
カラム : YMC社 A−312 ODS
カラム温度: 40℃
溶離液 : メタノール/水=7/3(リン酸でpH=3に調整)
検出 : UV(254nm)
2.オリゴマーの分析
カラム : YMC社 A−312 ODS
カラム温度: 40℃
溶離液 : アセトニトリル/水=8/2(酢酸でpH=3.5に調整)
検出 : UV(254nm)
比較例1および比較例2では同一の反応を行ないながら、単離工程であるピリジン留去時の操作ブレにより、ジエステル/オリゴエステル体比が大きく異なる上、収率にも差が現れている。
一方、実施例1および実施例2では120℃熟成(オリゴマー分解)という操作を導入する事で、ピリジン留去時の差に関係なくほぼ一定の収率およびジエステル/オリゴエステル体比が保持されている。
また、比較例3で明らかな様に、エステル化反応そのものをオリゴマー分解工程の温度で実施すれば、酸クロライドの熱分解などにより選択率が著しく低下する。

Claims (4)

  1. 塩基性化合物の存在下、一般式(1)で表されるカルボン酸ハライド
    (式中Rは炭素数2〜10のアルキレン基、又はフェニレン基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
    および一般式(2)で表される化合物
    とを−20℃〜80℃で反応させるエステル化工程、およびエステル化工程に引き続き110℃〜140℃で熱処理するオリゴマー分解工程の2段階の反応工程からなることを特徴とする一般式(3)で表される化合物の製造方法。
    (式中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基、又はフェニレン基を表す。)
  2. 上記一般式(1)で表されるカルボン酸ハライドに対して、上記一般式(2)で表される化合物を4〜30倍のモル比で反応させることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 塩基性化合物が有機塩基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 一般式(3)で表される化合物が、下記一般式(4)
    (式中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基、又はフェニレン基を表す。)
    で表される化合物である請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
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