JP5037364B2 - 電気泳動方法 - Google Patents
電気泳動方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5037364B2 JP5037364B2 JP2008000930A JP2008000930A JP5037364B2 JP 5037364 B2 JP5037364 B2 JP 5037364B2 JP 2008000930 A JP2008000930 A JP 2008000930A JP 2008000930 A JP2008000930 A JP 2008000930A JP 5037364 B2 JP5037364 B2 JP 5037364B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- filter paper
- electrophoresis
- electrode
- gel
- containing filter
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
- Electrostatic Separation (AREA)
Description
さらに、これらの方法では、高分子量タンパク質のゲルへの導入が困難であり、かつ冷凍保存後のサンプルを使用すると十分な再現性が得られないという欠点もあった。
本発明は、さらに、該界面活性剤含有ろ紙上に透析膜又はろ過膜を配置し、かつ該透析膜又は該ろ過膜上に水含有ろ紙を配置する工程を含む方法を提供する。この場合、該電極は、該水含有ろ紙の上に配置される。該透析膜又は該ろ過膜、及び水含有ろ紙を用いることにより、泳動サンプル中の不純物を除去することができ、かつ該泳動サンプル中の塩基性成分(例えば、塩基性タンパク質など)の導入量を増加させることができる。
さらなる実施態様において、該電極は、全体又は部分的に平行で且つ電気的に連続した複数のサブ電極からなる構造を含むことができる。一定方向に複数の平行線を有するように加工した電極を使用することにより、ろ紙との接触面を増やし、かつ電気泳動ゲルへの泳動サンプルの導入量を増加させることができる。
本明細書中において、「泳動サンプル」とは、電気泳動により分離することができる分子又は分子群のことをいい、タンパク質、DNA、RNA、及び/又は多糖などを含む。
本明細書中において、「泳動サンプル含有ろ紙」とは、泳動サンプル溶液を浸透させたろ紙のことをいう。
本明細書中において、「界面活性剤含有ろ紙」とは、界面活性剤を含む溶液を浸透させたろ紙のことをいう。
本明細書中において、「水含有ろ紙」とは、水を浸透させたろ紙のことをいう。
本明細書中において、「サブ電極」とは、電極の一部分又は全体を意味する。幾つかの場合において、「サブ電極」は、電極全体において、本発明の方法に使用されるろ紙と接触する部位を意味する。
電気泳動ゲル、泳動サンプル含有ろ紙、界面活性剤含有ろ紙、蒸留水含有ろ紙、及び電極は、上記に示したものと同じものを使用することができる。
本実施例では、二次元電気泳動を行った。図1aに示す本発明の電気泳動方法に従って等電点電気泳動を行い、泳動後のゲルをSDS-PAGEで分離した。本発明の方法を、従来の方法1(Tosifusa Toda and Narimichi Kimura, Jpn. J. Electroph., 1997, 41, 13)と比較した。
ラット肝臓を任意の小片に切り、抽出液(7 M 尿素、2 M チオ尿素、2%CHAPS、0.1 M DTT、2.5%Pharmalyte pH 3-10)を、該小片の湿重量の2倍量加え、かつ破砕し(Ultrasonic disruptor(TOMY SEIKO., LTD Tokyo Japan))、その後、遠心分離した(sentrifuge Model3500(KUBOTA, Tokyo Japan)、遠心力20630 g、20 分、4℃)。その上清を分取し、それを泳動サンプル溶液とした。該泳動サンプル溶液を、使用するまで−80℃で冷凍保存した。
ろ紙(クロマトグラフィー用ろ紙No.590(ADVANTEC社))を7〜9mm×3〜5mmのサイズに切り取り、該ろ紙に、該泳動サンプル溶液28μlを浸透させ、それを泳動サンプル含有ろ紙とした。ろ紙(クロマトグラフィー用ろ紙No.590)を9〜10mm×4〜6mmのサイズに切り取り、該ろ紙にCHAPS(20%)溶液を浸透させ、それを界面活性剤含有ろ紙とした。以下、該ろ紙をCHAPS含有ろ紙と記載する。ろ紙(クロマトグラフィー用ろ紙No.590)を9〜10mm×4〜6mmのサイズに切り取り、該ろ紙に蒸留水を浸透させ、それを水含有ろ紙とした。以下、該ろ紙を蒸留水含有ろ紙と記載する。
ゲルストリップ(固定化pH勾配ゲルImmobiline DryStrip;pH4-7(GE Healthcare社))を、膨潤液(7M 尿素、2M チオ尿素、2% TritonX-100、13mM ジチオスレイトール(DTT)、1% Pharmalyte(pH3-10)、0.025M 酢酸、0.0025% ブロモフェノールブルー(BPB))に浸し、20℃で8時間膨潤させた。
等電点電気泳動用装置(クールホレスターIPG-IEF Type-P(ANATECH社, Tokyo Japan))の温度を20℃に設定した。該装置のトレイに膨潤したゲルストリップをゲル面が上になるように置いた。ゲルストリップのマイナス極側に、該泳動サンプル含有ろ紙を2枚重ねて載せ、その上に、CHAPS含有ろ紙を置いた。一方、プラス極側には蒸留水含有ろ紙を置いた。その後、該CHAPS含有ろ紙の上にクールホレスターIPG-IEF Type-P用電極、又は図2bの電極を置いた。該蒸留水含有ろ紙の上にクールホレスターIPG-IEF Type-P用電極を置いた。パワーホレスターPro3800(ANATECH社)とクールホレスターIPG-IEF Type-Pとを接続し、プログラム1{(ステップ1) 500ボルト(1時間);(ステップ2) 700ボルト(0.5時間);(ステップ3) 1000ボルト(0.5時間);(ステップ4) 1500ボルト(0.5時間);(ステップ5) 2000ボルト(0.5時間);(ステップ6) 2500ボルト(0.5時間);(ステップ7) 3000ボルト(0.5時間);(ステップ8) 3500ボルト(18〜20時間)}で電気泳動を行った。
等電点電気泳動の終了したゲルストリップを装置から取り出し、蒸留水で軽くすすいだ。その後、SDS平衡化バッファー(6M 尿素、33mM DTT、25%グリセロール、2.5mM トリス/HCl(pH 6.8)、0.0025%BPB、2%SDS)に浸して、40分間振とうした。その後、該ゲルを10%ポリアクリルアミドゲルの上に載せ、クールホレスターSDS-PAGE Dual-200(ANATECH社)にて、プログラム2{(ステップ1)20ボルト(0.5時間);(ステップ2)30ボルト(3〜4時間)で電気泳動を行った。
SDS-PAGE後のポリアクリルアミドゲルをSYPRO Rubyで蛍光染色した。フルオロホレスター3000(ANATECH社)を用いて、電気泳動後のゲルの画像を取り込み、Progenesis PG220
(SHIMADZU 社)にて自動スポット検出後にスポットボリュームを計算した。
従来の方法1(Tosifusa Toda and Narimichi Kimura, Jpn. J. Electroph., 1997, 41, 13)を元に等電点電気泳動を行い、泳動後のゲルをSDS-PAGEで分離した。
ラット肝臓を任意の小片に切り、抽出液(7 M 尿素、2 M チオ尿素、2%CHAPS、0.1 M DTT、2.5%Pharmalyte pH 3-10)を、該小片の湿重量の2倍量加え、かつ破砕し(Ultrasonic disruptor(TOMY SEIKO., LTD Tokyo Japan))、その後、遠心分離した(sentrifuge Model3500(KUBOTA, Tokyo Japan)、遠心力20630 g、20 分、4℃)。それを泳動サンプル溶液とした。該泳動サンプル溶液を、使用するまで−80℃で冷凍保存した。
ろ紙(クロマトグラフィー用ろ紙 3MM CHR(Whatman))を5mm×10mmのサイズに切り取り、該ろ紙に、該泳動サンプル溶液28μlを浸透させ、それを泳動サンプル含有ろ紙とした。ろ紙(クロマトグラフィー用ろ紙 3MM CHR(Whatman))を7mm×89mmのサイズに切り取り、該ろ紙に蒸留水を浸透させ、それを蒸留水含有ろ紙とした。
ゲルストリップ(Immobiline DryStrip;pH4-7(GE Healthcare社))を、膨潤液(7M 尿素、2M チオ尿素、2% TritonX-100、13mM ジチオスレイトール(DTT)、1% Pharmalyte(pH3-10)、0.025M 酢酸、0.0025% ブロモフェノールブルー(BPB))に浸し、20℃で8時間膨潤させた。
等電点電気泳動用装置(クールホレスターIPG-IEF Type-P(ANATECH社, Tokyo Japan))の温度を20℃に設定した。該装置のトレイに膨潤したゲルストリップをゲル面が上になるように置いた。ゲルストリップの両端に蒸留水含有ろ紙を、該ゲルの長手方向に対して垂直に置いた。マイナス極側の蒸留水含有ろ紙の左隣に泳動サンプル含有ろ紙を2枚重ねて置いた。その後、両端に置いた電極ろ紙の上にクールホレスターIPG-IEF Type-P用電極を置いた。パワーホレスターPro3800(ANATECH)とクールホレスターIPG-IEF Type-Pとを接続し、実施例1と同じプログラム1で電気泳動を行った。
等電点電気泳動の終了したゲルストリップを装置から取り出し、蒸留水で軽くすすいだ。その後、SDS平衡化バッファー(6M urea、33mM DTT、25%グリセロール、2.5mM トリス/HCl(pH 6.8)、0.0025%BPB、2%SDS)に浸して、40分間振とうした。その後、該ゲルを10%ポリアクリルアミドゲルの上に載せ、クールホレスターSDS-PAGE Dual-200(ANATECH社)にて、プログラム2{(ステップ1)20ボルト(0.5時間);(ステップ2)30ボルト(3〜4時間)で電気泳動を行った。
SDS-PAGE後のポリアクリルアミドゲルをSYPRO Rubyで蛍光染色した。フルオロホレスター3000(ANATECH社)を用いて、電気泳動後のゲルの画像を取り込み、Progenesis PG220
(SHIMADZU 社)にて自動スポット検出後にスポットボリュームを計算した。
結果を図3に示す。図3のパネルa及びbが本発明の方法を用いた電気泳動後のゲルの画像であり、パネルcが従来の方法を用いた電気泳動後のゲルの画像である。各ゲル画像中の各スポットは、タンパク質スポットを表す。スポットが濃く且つ大きいほど、そのタンパク質量が多いことを示している。
さらに、本発明の方法と従来の方法1及び2(特開2005-345334号公報)とを比較した。泳動サンプル調製において、抽出液を、該小片の湿重量の2倍量の代わりに4倍量加えたこと、ろ紙への浸透において、該泳動サンプル溶液を28μlの代わりに35μl浸透させたこと、及び等電点電気泳動において、図2bの電極のみを使用したこと以外は、実施例1と同じ操作を行った。
ろ紙への浸透において、実施例1と同じ泳動サンプル溶液28μlを浸透させる代わりに、実施例2と同じ泳動サンプル溶液を35μl浸透させたこと以外は、比較例1と同じ操作を行った。
従来の方法2(特開2005-345334号公報)を元に等電点電気泳動を行い、泳動後のゲルをSDS-PAGEで分離した。
(泳動サンプル調製)
実施例2と同じ泳動サンプル溶液を使用した。
(ゲルストリップの膨潤、及びサンプルの浸透)
等電点電気泳動用装置(クールホレスターIPG-IEF Type-P(ANATECH, Tokyo Japan))を温度設定20℃にした。膨潤トレイに白金線を、ゲルストリップの両端にかかるように配置した。その後、該泳動サンプル溶液70μlを含む膨潤液(7M 尿素、2M チオ尿素、2% TritonX-100、13mM ジチオスレイトール(DTT)、1% Pharmalyte(pH3-10)、0.025M 酢酸、0.0025% ブロモフェノールブルー(BPB))350μlを入れ、その上に載るようにゲルストリップをゲル面が下になるように置いた。白金線を電源に繋げ、50V一定で通電しながら膨潤を行った。
(等電点電気泳動)
膨潤後、該ゲルを、該装置のトレイの上にゲル面が上になるように置いた。ゲルストリップの両端に、比較例1−1の蒸留水含有ろ紙を、該ゲルの長手方向に対して垂直に置いた。その後、両端に置いた電極ろ紙の上にクールホレスターIPG-IEF Type-P用電極を置いた。パワーホレスターPro3800(ANATECH)とクールホレスターIPG-IEF Type-Pとを接続し、実施例1と同じプログラム1で電気泳動を行った。
SDS-PAGE、及び画像解析は、実施例2と同じ方法で行った。
結果を図4に示す。図4aが電気泳動後のゲルの画像であり、かつ図4aの各ゲル画像内の線で囲われた部分(高分子領域(分子量50000〜250000の領域))の拡大図を図4bに示す。図4aにおいて、パネルaが、本発明の方法を用いた実施例2の電気泳動後のゲル画像であり、パネルbが、従来の方法1を用いた電気泳動後のゲル画像であり、かつパネルcが従来の方法2を用いた電気泳動後のゲル画像である。パネルaは、パネルb及びcの画像に比べ明らかにスポット数、及びスポットボリュームが増加していることがわかる。また、任意のスポット番号1、2及び3について、スポットボリュームを計算し、下記表に示した。下記表を比べると、スポット番号1、2及び3のボリュームは、パネルb及びcよりもパネルaで増加していることが分かる。これらの結果から、本発明の方法を用いることにより、電気泳動用ゲルへの泳動サンプルの導入量が増加することは明らかである。
透析膜、及びろ過膜を用いた本発明の方法
(泳動サンプル調製)
ラット肝臓を任意の小片に切り、抽出液(7 M 尿素、2 M チオ尿素、2%CHAPS、0.1 M DTT、2.5%Pharmalyte pH 3-10)を、該小片の湿重量の2倍量加え、かつ破砕し(Ultrasonic disruptor(TOMY SEIKO., LTD Tokyo Japan))、その後、遠心分離した(sentrifuge Model3500(KUBOTA, Tokyo Japan)、遠心力20630 g、20 分、4℃)。その上清を分取し、それを泳動サンプル溶液とした。該泳動サンプル溶液を、使用するまで−80℃で冷凍保存した。
ろ紙(クロマトグラフィー用ろ紙No.590(ADVANTEC社))を7〜9mm×3〜5mmのサイズに切り取り、該ろ紙に、該泳動サンプル溶液10μlを浸透させ、それを泳動サンプル含有ろ紙とした。ろ紙(クロマトグラフィー用ろ紙No.590)を9〜10mm×4〜6mmのサイズに切り取り、該ろ紙にCHAPS溶液(55%)を浸透させ、それを界面活性剤含有ろ紙とした。以下、該ろ紙をCHAPS含有ろ紙と記載する。ろ紙(クロマトグラフィー用ろ紙No.590)を9〜10mm×4〜6mmのサイズに切り取り、該ろ紙に蒸留水を浸透させ、それを蒸留水含有ろ紙とした。
ゲルストリップ(Immobiline DryStrip;pH3-10(GE Healthcare社))を、膨潤液(7M 尿素、2M チオ尿素、2% TritonX-100、13mM ジチオスレイトール(DTT)、1% Pharmalyte(pH3-10)、0.025M 酢酸、0.0025% ブロモフェノールブルー(BPB))に浸し、20℃で8時間膨潤させた。
等電点電気泳動用装置(クールホレスターIPG-IEF Type-P(ANATECH社, Tokyo Japan))の温度を20℃に設定した。該装置のトレイに膨潤したゲルストリップをゲル面が上になるように置いた。ゲルストリップのマイナス極側に、該泳動サンプル含有ろ紙を2枚重ねて載せ、その上に、CHAPS含有ろ紙を置いた。該CHAPS含有ろ紙の上に透析膜(Sanko Junyaku Co, Ltd)又はろ過膜(限外ろ過フィルター(日本ミリポア社))を置き、該透析膜又はろ過膜の上に蒸留水含有ろ紙を置き、かつ該蒸留水含有ろ紙の上に図2bの電極を置いた。一方、プラス極側には蒸留水含有ろ紙を置き、かつ該蒸留水含有ろ紙の上にクールホレスターIPG-IEF Type-P用電極を置いた。パワーホレスターPro3800(ANATECH社)とクールホレスターIPG-IEF Type-Pとを接続し、プログラム1{(ステップ1) 500ボルト(1時間);(ステップ2) 700ボルト(0.5時間);(ステップ3) 1000ボルト(0.5時間);(ステップ4) 1500ボルト(0.5時間);(ステップ5) 2000ボルト(0.5時間);(ステップ6) 2500ボルト(0.5時間);(ステップ7) 3000ボルト(0.5時間);(ステップ8) 3500ボルト(18〜20時間)}で電気泳動を行った。
等電点電気泳動の終了したゲルストリップを装置から取り出し、蒸留水で軽くすすいだ。その後、SDS平衡化バッファー(6M 尿素、33mM DTT、25%グリセロール、2.5mM トリス/HCl(pH 6.8)、0.0025%BPB、2%SDS)に浸して、40分間振とうした。その後、該ゲルを10%ポリアクリルアミドゲルの上に載せ、クールホレスターSDS-PAGE Dual-200(ANATECH)にて、プログラム2{(ステップ1)20ボルト(0.5時間);(ステップ2)30ボルト(3〜4時間)で電気泳動を行った。
(画像解析)
SDS-PAGE後のポリアクリルアミドゲルをSYPRO Rubyで蛍光染色した。フルオロホレスター3000(ANATECH社)を用いて、電気泳動後のゲルの画像を取り込み、Progenesis PG220
(SHIMADZU 社)にて自動スポット検出後にスポットボリュームを計算した。
実施例3と同じ泳動サンプル含有ろ紙を使用した以外は、比較例1と同じ操作を行った。
結果を図5に示す。パネルaが、透析膜を用いた電気泳動後のゲル画像であり、パネルbが、透析膜を用いた電気泳動後のゲル画像であり、かつパネルcが、従来の方法1を用いた電気泳動後のゲル画像である。パネルa及びbは、パネルcの画像に比べ明らかにスポット数、及びスポットボリュームが増加していることがわかる。任意のスポット番号1及び2のボリュームを示した下記表を比べると、パネルcよりもパネルa及びbで増加していることが分かる。これらの結果から、本発明の方法を用いることにより、電気泳動用ゲルへの泳動サンプルの導入量が増加することは明らかである。また、実施例1の結果の図3パネルaでは、塩基性部分のスポットが少なかったが、透析膜又はろ過膜を用いることにより改善されることがわかった。
次に、電極の形状の違いによる本発明の方法について評価した。
泳動サンプル調製において、ラット肝臓の代わりにマウス肝臓又はラット血清を使用したこと、ろ紙への浸透において、泳動サンプル溶液10μlを浸透させる代わりに泳動サンプル溶液10μl(ラット肝臓)又は27μl(ラット血清)を使用したこと、及び等電点電気泳動において、図2bの電極の代わりに、図2c又は図2dの電極を使用したこと以外は、実施例3と同じ操作を行った。
実施例4と同じ泳動サンプル含有ろ紙を使用した以外は、比較例1と同じ操作を行った。
結果を図6に示す。パネルa及びbが、それぞれ、図2cの電極を用いた実施例4の電気泳動後のゲル画像(マウス肝臓)、及び比較例4の電気泳動後のゲル画像(マウス肝臓)である。パネルc及びdが、それぞれ、図2dの電極を用いた実施例4の電気泳動後のゲル画像(ラット血清)、及び比較例4の電気泳動後のゲル画像(ラット血清)である。パネルa及びbを比較すると、パネルbよりもパネルaの方が明らかにスポット数、及びスポットボリュームが増加していることがわかる。パネルc及びdについても同様であり、パ
ネルdよりもパネルcの方が、明らかにスポット数、及びスポットボリュームが増加して
いることがわかる。
界面活性剤の濃度の検討
ラット肝臓の代わりにマウス肝臓を用いたこと、及びCHAPS溶液の濃度を2、5、10、55、又は100%にしたこと以外は、実施例3と同じ操作を行った。
(比較例5)
ラット肝臓の代わりにマウス肝臓を用いたこと以外は、比較例3と同じ操作を行った。
結果を図7に示す。パネルa〜eは、それぞれ、該ろ紙にCHAPS濃度2、5、10、55、又は100%の溶液を浸透させ、本発明の方法に従って電気泳動を行った後のゲル画像である。パネルfは、従来の方法に従って電気泳動を行った後のゲル画像である。パネルa〜eとパネルfとを比較すると、パネルa〜eの方が、全体的にスポットが濃いことがわかる。パネルa〜eを比較すると、CHAPS濃度を増やすことにより、塩基性側(特に○で囲った部分)のスポット化がよくなる。これは、泳動サンプル中の塩基性タンパク質の導入が増加することを示している。パネルdとeとを比較すると、前者の方が、スポット数、及びボリュームが大きく、かつ塩基性タンパク質の導入がよくなることから、本発明の方法においてCHAPS濃度55%を使用することが最適であると考えられる。
再現性実験
(泳動サンプル調製)
ラット肝臓を任意の小片に切り、抽出液(7 M 尿素、2 M チオ尿素、2%CHAPS、0.1 M DTT、2.5%Pharmalyte pH 3-10)を、該小片の湿重量の2倍量加え、かつ破砕し(Ultrasonic disruptor(TOMY SEIKO., LTD Tokyo Japan)、その後、遠心分離した(sentrifuge Model3500(KUBOTA, Tokyo Japan)、遠心力20630 g、20 分、4℃)。その上清を分取し、それを泳動サンプル溶液とした。該泳動サンプル溶液の一部を、冷凍保存せずに直ぐに使用した。残りを14日間冷凍保存後に使用した。
実施例6と同じ泳動サンプル含有ろ紙を使用したこと以外は、比較例1と同じ操作を行った。
結果を図8に示す。パネルa及びbが、本発明の方法に従って電気泳動を行った後のゲル画像である。パネルc及びdが、従来の方法に従って電気泳動を行った後のゲル画像である。パネルa及びcが、泳動サンプル溶液を冷凍保存せずに、直ぐに使用した場合のゲル画像であり、パネルb及びdが、泳動サンプル溶液を14日冷凍保存後に使用した場合のゲル画像である。パネルcとdとを比較すると、パネルdでスポット数の減少、及び泳動パターンの変化が見られた。このスポット数の減少、及び泳動パターンの変化は、14日間の冷凍保存により、タンパク質が凝集したためと考えられる:通常、タンパク質が凝集すると、電気泳動用ゲルへの導入が困難になり、該タンパク質が時間差で徐々に導入されることになるので、泳動パターンに変化が生じる。一方、パネルaとbとを比較すると、泳動パターンはほとんど変わらなかった。この結果は、本発明の方法を使用することにより、泳動サンプル溶液を長期冷凍保存しても、高い再現性が得られることを示している。
2:電気泳動用ゲル
3:泳動サンプル含有ろ紙
4:界面活性剤含有ろ紙
5:マイナス極側の電極
6:水含有ろ紙
7:プラス極側の電極
8:透析膜
9:ろ過膜
10:水含有ろ紙
Claims (16)
- 電気泳動用ゲル上に泳動サンプル含有ろ紙を配置し、該泳動サンプル含有ろ紙上に界面活性剤含有ろ紙を配置し、かつ該界面活性剤含有ろ紙上に電極を配置する工程を含む、電気泳動方法。
- さらに、該界面活性剤含有ろ紙上に透析膜又はろ過膜を配置し、かつ該透析膜又は該ろ過膜上に水含有ろ紙を配置する工程を含む、請求項1記載の方法。
- 前記界面活性剤が、CHAPSである、請求項1又は2のいずれか1項記載の方法。
- 前記電極が、板状である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
- 前記電極が、全体又は部分的に平行で且つ電気的に連続した複数のサブ電極からなる構造を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
- 前記サブ電極が、三角形、四角形、多角形、円、又は楕円の断面を有する、請求項5記載の方法。
- 前記全体又は部分的に平行で且つ電気的に連続した複数のサブ電極からなる構造が、渦巻線構造である、請求項5又は6記載の方法。
- 前記渦巻線構造が、長方角渦巻線構造である、請求項7記載の方法。
- 前記長方角渦巻線構造が、長辺方向において一定の間隔を空けて平行に配置された複数のサブ電極からなる、請求項8記載の方法。
- 前記サブ電極が2〜6本である、請求項5〜9のいずれか1項記載の方法。
- 前記サブ電極が4本である、請求項10記載の方法。
- 前記電極が白金を含む、請求項4〜11のいずれか1項記載の方法。
- 請求項1〜12のいずれか1項の方法を含む、二次元電気泳動方法。
- 電気泳動用ゲル上に泳動サンプル含有ろ紙が配置され、該泳動サンプル含有ろ紙上に界面活性剤含有ろ紙が配置され、かつ該界面活性剤含有ろ紙上に電極が配置された構成を含む、電気泳動装置。
- さらに、該界面活性剤含有ろ紙上に透析膜又はろ過膜が配置され、かつ該透析膜又は該ろ過膜上に水含有ろ紙が配置された、請求項14記載の電気泳動装置。
- 前記電極が、全体又は部分的に平行で且つ電気的に連続した複数のサブ電極からなる構造を含む、請求項14又は15記載の電気泳動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008000930A JP5037364B2 (ja) | 2008-01-08 | 2008-01-08 | 電気泳動方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008000930A JP5037364B2 (ja) | 2008-01-08 | 2008-01-08 | 電気泳動方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009162631A JP2009162631A (ja) | 2009-07-23 |
JP5037364B2 true JP5037364B2 (ja) | 2012-09-26 |
Family
ID=40965414
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008000930A Expired - Fee Related JP5037364B2 (ja) | 2008-01-08 | 2008-01-08 | 電気泳動方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5037364B2 (ja) |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63304148A (ja) * | 1987-06-04 | 1988-12-12 | Fujitsu Ltd | 電気泳動パタ−ンの保存方法 |
JPH03248056A (ja) * | 1990-02-27 | 1991-11-06 | Shimadzu Corp | 電気泳動用分離装置 |
JPH05223778A (ja) * | 1992-02-13 | 1993-08-31 | Hitachi Ltd | 電気泳動装置 |
JP2005172491A (ja) * | 2003-12-09 | 2005-06-30 | Tokyo Metropolitan Institute Of Gerontology | 電気泳動方法及びそれに用いられる処理剤含有部材 |
JP2005274405A (ja) * | 2004-03-25 | 2005-10-06 | Kawamura Inst Of Chem Res | マイクロ流体デバイス及び微量試料の導入方法 |
JP4501537B2 (ja) * | 2004-06-04 | 2010-07-14 | 株式会社島津製作所 | 電気泳動方法 |
JP2006292680A (ja) * | 2005-04-14 | 2006-10-26 | Toyo Kohan Co Ltd | 固体支持体上において相互作用した生体分子を分析する方法およびそのための固体支持体 |
-
2008
- 2008-01-08 JP JP2008000930A patent/JP5037364B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009162631A (ja) | 2009-07-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1056758B1 (en) | Electrophoretic nucleic acid purification method | |
Rogacs et al. | Purification of nucleic acids using isotachophoresis | |
JP5221529B2 (ja) | 電気泳動を利用してある種のタンパク質および粒子を分離して枯渇させる方法および装置 | |
JP5214979B2 (ja) | エレクトロブロッティング装置、システム及びキット、並びにそれらの使用方法 | |
JP5475358B2 (ja) | 2次元電気泳動方法 | |
JP5433341B2 (ja) | 等電点電気泳動方法及び粗雑物除去の判定方法 | |
AU2001247861A1 (en) | Method and device for separation of charged molecules by solution isoelectric focusing | |
Xu et al. | Polymer solutions and entropic‐based systems for double‐stranded DNA capillary electrophoresis and microchip electrophoresis | |
JP2011033544A (ja) | 等電点電気泳動用ゲル及び等電点電気泳動方法 | |
US20160258903A1 (en) | Electrophoresis and electroblotting systems and methods | |
AU2017340500A1 (en) | Apparatuses, methods and systems for automated processing of nucleic acids and electrophoretic sample preparation | |
JP5037364B2 (ja) | 電気泳動方法 | |
US11313829B2 (en) | Rapid blotting device and applications thereof | |
US20040256233A1 (en) | Two dimensional electrophoresis cassette | |
KR20140026400A (ko) | 핵산 전기 영동 방법, 핵산 농축 정제 방법, 핵산 전기 영동용 카트리지 및 핵산 전기 영동용 카트리지의 제조 방법 | |
JP5190422B2 (ja) | 等電点電気泳動用膨潤ゲルの作成方法 | |
JP2013178140A (ja) | 核酸−タンパク質複合体の単離装置 | |
JP2004132952A (ja) | 分析方法の向上 | |
CN110904095A (zh) | 一种提高小片段核酸纯化得率的方法 | |
US7964075B2 (en) | Electrodic bridge | |
US10401323B2 (en) | Method and apparatus for performing electrophoresis | |
Kalidas et al. | Gel Electrophoresis and its Applications to Biochemical Analysis | |
AU2007266711A2 (en) | Multi-dimensional analysis of molecules | |
JPWO2004077042A1 (ja) | 電気泳動用ゲル及びその製造法 | |
JP2009036719A (ja) | 電気泳動装置及び電気泳動を用いた生体関連物質検出方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110106 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120209 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120327 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20120511 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120517 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120521 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120619 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120704 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150713 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5037364 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |