JP2005274405A - マイクロ流体デバイス及び微量試料の導入方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 マイクロ流体デバイスの微小な流路に極微量の試料を小さなスポットとして導入すると同時に、試料を濃縮して導入することが出来る試料導入方法、及びそれに用いるマイクロ流体デバイスを提供すること。特に、マイクロ・クロマトグラフィーやマイクロ・電気泳動分析用マイクロ流体デバイスに、濃縮された試料を微小なスポットとして導入する方法を提供すること。
【解決手段】 少なくとも2本の流路が交差又は接触した流路共有部に試料吸着性物質が固定化されてなり、前記流路のうちの一つが試料を移送して前記試料吸着性物質に試料を吸着させる流路であり、且つ該流路と交差又は接触する他の流路が前記試料吸着性物質から脱離した試料を移送する流路であることを特徴とするマイクロ流体素子。
【選択図】 図1
【解決手段】 少なくとも2本の流路が交差又は接触した流路共有部に試料吸着性物質が固定化されてなり、前記流路のうちの一つが試料を移送して前記試料吸着性物質に試料を吸着させる流路であり、且つ該流路と交差又は接触する他の流路が前記試料吸着性物質から脱離した試料を移送する流路であることを特徴とするマイクロ流体素子。
【選択図】 図1
Description
本発明は、液体クロマトグラフィーの微小な吸着カラムなどに微少量試料を導入することができるマイクロ流体デバイス、及び微少量試料の導入方法に関する。
マイクロ流体デバイスは、内部に有する微細な毛細管状の流路中で反応や分析を行うデバイスであり、マイクロ流体デバイスを使用することにより、反応や分析の迅速化、必要試料量の減少、さらには廃棄物の減少が可能となる。このようなマイクロ流体デバイスを使用して、例えば、マイクロ電気泳動分析、マイクロクロマトグラフィー分析、マススペクトル分析の試料の前処理など、医療診断、生化学分析、化学分析の方面で微量の試料を分析する試みが盛んに成されている。
しかしながら、マイクロ流体デバイスのスケールは、従来のポンプ、切り替えバルブ、シリンジ、ピペットなどの試料取り扱い手段や装置に比べて桁違いに小さいため、マイクロ流体デバイスの流路中に極微量の試料を注入することは相当困難であった。例えば、クロマトグラフィー分析においては、短い展開距離で迅速に高分解能の分析を行うためには、試料を小さなスポットとして分離カラムに導入する必要があるが、マイクロシリンジやバルブによる流路切り替え法などの従来法による試料導入手段では導入試料の体積が過大になりがちである。そのため、クロマトグラムのピークが広がり、テーリングも大きく成りがちであり、良好に分離するためにはカラム長を長くする必要が生じ、分析時間が長くなる問題があった。
微量試料の導入方法として、電気泳動分析に於いては、次の方法が試みられている(非特許文献1)。即ち、流路共有部に於いて互いに交差する2本の流路の一方の流入部に、流路容積に比して多量の試料を導入し、該流路の両端に電圧を印加して電気泳動又は電気浸透流にて試料を移送し、試料が前記共有部を通過している時点で該移送を停止し、次いで、他方の流路の両端に電圧を印加することによって、流路共有部内の試料のみを他方の流路へ導入する方法である。
この方法では、流路共有部の容積だけの極微量の試料を他方の流路に導入することが可能であるが、試料溶液の濃度が希薄な場合などには、試料の導入量が微量になり、定量性や信頼性に欠ける結果を招きがちであった。これは、特にクロマトグラフィー分析に本方法を適用しようとする場合に、大きな問題であった。
ウーレイ(A. T. Wooley)、マシース(R. A. Mathies)、米国国立科学アカデミー会報(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、第91巻、11348頁、1994年。
マイクロ流体デバイスの微小な流路に極微量の試料を小さなスポットとして導入すると同時に、試料を濃縮して導入することが出来る試料導入方法、及びそれに用いるマイクロ流体デバイスを提供すること。特に、マイクロ・クロマトグラフィーやマイクロ・電気泳動分析用マイクロ流体デバイスに、濃縮された試料を微小なスポットとして導入する方法を提供すること。
本発明は、少なくとも2本の流路が交差又は接触した流路共有部に試料吸着性物質が固定化されてなり、前記流路のうちの一つが試料を移送して前記試料吸着性物質に試料を吸着させる流路であり、且つ該流路と交差又は接触する他の流路が前記試料吸着性物質から脱離した試料を移送する流路であるマイクロ流体素子を提供する。
さらに本発明は、微量試料の導入方法であって、
(イ)少なくとも第一流路(1)と第二流路(2)の2本の毛細管状の流路を有し、且つこれら流路が流路共有部(3)で交差又は接触しており、該流路共有部(3)に、試料吸着性物質が固定化されたマイクロ流体デバイスを使用し、
(ロ)第一流路(1)中を、流路共有部(3)を通過させて試料を移送し、前記流路共有部(3)において、前記試料を前記試料吸着性物質に吸着させ、
(ハ)次いで、流路共有部(3)を通過する第一流路(1)中の試料の移送を中止し、前記流路共有部(3)内に吸着された前記試料を脱着させて前記第二流路(2)へ導入する微量試料の導入方法を提供する。
(イ)少なくとも第一流路(1)と第二流路(2)の2本の毛細管状の流路を有し、且つこれら流路が流路共有部(3)で交差又は接触しており、該流路共有部(3)に、試料吸着性物質が固定化されたマイクロ流体デバイスを使用し、
(ロ)第一流路(1)中を、流路共有部(3)を通過させて試料を移送し、前記流路共有部(3)において、前記試料を前記試料吸着性物質に吸着させ、
(ハ)次いで、流路共有部(3)を通過する第一流路(1)中の試料の移送を中止し、前記流路共有部(3)内に吸着された前記試料を脱着させて前記第二流路(2)へ導入する微量試料の導入方法を提供する。
本発明のマイクロ流体デバイス及びそれを用いた試料導入方法は、極微量の試料を小さなスポットとして導入すると同時に、試料を濃縮して導入することが出来る。
また、本発明のマイクロ流体デバイスや試料導入方法をマイクロ・クロマトグラフィーや電気泳動分析の試料導入に適用すると、試料を微小な吸着バンドとして分離カラムに導入することができるため、短い展開距離で分離可能となって、従来と比較して分析時間を短縮することが可能である上、試料を濃縮しながら導入できるため、高感度で定量性の高い分析が可能である。
かかるマイクロ流体デバイスは、試料導入のための外部装置が不要であるため、マイクロ流体デバイス中の他の機構や、他のマイクロ流体デバイスへ接続することも可能であり、マイクロ・トータル・アナリシス・システム(μ−TAS)に組み込んで使用することが容易である。
以下、本発明について、詳細に説明する。
[流路]
本発明のマイクロ流体デバイスは、部材内部に毛細管状の流路を有するデバイスである。マイクロ流体デバイスは、マイクロ流体デバイス、マイクロ・フルイディック・デバイス、マイクロ・ファブリケイテッド・デバイス、マイクロ流路、ラボ・オン・チップ、又はマイクロ・トータル・アナリシス・システム(μ−TAS)などとも呼ばれるものを指し、該流路内で、化学反応、生化学反応(以下、「化学」と「生化学」を総称して(生)化学と記載する。)、流体の温度変化、濃度調整、分離、測定などを行うデバイスである。
[流路]
本発明のマイクロ流体デバイスは、部材内部に毛細管状の流路を有するデバイスである。マイクロ流体デバイスは、マイクロ流体デバイス、マイクロ・フルイディック・デバイス、マイクロ・ファブリケイテッド・デバイス、マイクロ流路、ラボ・オン・チップ、又はマイクロ・トータル・アナリシス・システム(μ−TAS)などとも呼ばれるものを指し、該流路内で、化学反応、生化学反応(以下、「化学」と「生化学」を総称して(生)化学と記載する。)、流体の温度変化、濃度調整、分離、測定などを行うデバイスである。
本発明のマイクロ流体デバイスの外形は、板状、棒状、塊状、または複雑な成型物などの任意の形状であってよく、公知のマイクロ流体デバイスの形状であって良い。また、チューブ状の毛細管であってもよい。なかでも形状が板状のものは、製造が容易であり、流路などの構造に高い寸法精度や位置精度を持たせることができ、マイクロ流体デバイスの他の構造と一体化することが容易である上、使用時の温度調節や流路の観測が容易であるため好ましい。
本発明のマイクロ流体デバイスを構成する材料は特に限定する必要がなく、例えば、ガラス、水晶等の結晶、シリコンなどの半導体、金属、セラミック、炭素、有機重合体(ポリジメチルシロキサンのように、無機元素を含有するものも含む。)、あるいはこれらの発泡体などを使用できる。また、例えば有機重合体などの上に金属やその他の物質を蒸着した複合材料なども使用できる。
本発明のマイクロ流体デバイスは、少なくとも2本の流路が交差又は接触した流路共有部(以下、流路共有部(3)と略記する。)に試料吸着性物質が固定化されたものである。交差又は接触する流路の一つは試料を移送して、該試料を試料吸着性物質に吸着させる流路(以下、第一流路(1)と略記する。)であり、該流路と交差又は接触する他の流路は、試料吸着性物質から脱離した試料を移送する流路(以下、第二流路(2)と略記する。)である。第一流路(1)と交差又は接触する第二流路(2)は複数本、即ち一本の第一流路(1)中に複数の流路共有部(3)を有していてもよい。第二流路を複数本有する本発明のマイクロ流体デバイスは、並行して複数の導入を行うことができる。
これら流路の横断面、即ち、流体の流動方向に直角な断面(以下、該断面を単に「流路断面」と略記する。)形状は、特に限定されないが、矩形、台形、半円形であることが、製造や内部の観察が容易であり好ましい。なお、以下、説明の煩雑さを避けるため、流路の流動方向が水平になるようにマイクロ流体デバイスを置いた姿勢で説明する。
流路断面の寸法は任意であるが、幅、深さ(高さ)共に1〜500μmであることが好ましい。但し、後述のように、第二流路(2)をキャピラリー・液体クロマトグラフィー用、或いは、キャピラリー・アフィニティー電気泳動分析用の分離カラムとして使用する場合には、該流路の幅、深さの少なくとも一方は1〜50μmであことが好ましい。さらに、後述のように、これらの分離カラムが、流路内面の少なくとも一つの面に多孔質層を有するものである場合には、該断面中の任意の点をx、該任意の点と直線距離で最も近い多孔質層の部分をy、xy間の直線距離をrとし、rが該断面内でとり得る最大距離をrmaxとした際に、該rmaxが1〜50μmの範囲となるように設計することが好ましい。このような寸法とすることにより、流路内を流動する流体に含まれる分離対象物質が流路壁面や多孔質層と十分に相互作用を生じることができるため、高い分離能を実現することが出来る。もちろん、流路の断面形状や断面寸法は流路の流れ方向で変化していて良い。
流路の長さは任意であり、用途目的に応じて好適な長さをとり得る。例えば第二流路(2)の少なくとも一部をキャピラリー・液体クロマトグラフィー用、或いはキャピラリー・アフィニティー電気泳動分析用の分離カラムとして使用する場合には、1mm〜500mmが好ましく、5mm〜200mmが更に好ましい。上記下限以上とすることで、十分な分離能を得ることができ、上記上限以下とすることによって、マイクロ流体デバイスの小形であることによるメリットを保持できる。
第一流路(1)と第二流路(2)は、互いに交差又は接触しておれば、流体の流動方向の形態も任意であり、直線であっても、曲線であってもよい。流路の端はマイクロ流体デバイス外に連絡する開口部となっていてもよいし、マイクロ流体デバイス外の装置と接続するための配管が接続されていても良く、マイクロ流体デバイス内の他の機構に接続されていても良い。
[第一流路]
第一流路(1)は、流路共有部(3)へ試料を導くための流路である。第一流路(1)の一端は流体を流入する端部(以下、該端部を流入部と略記する。)であり、試料を導入することが出来れば任意であり、例えば、マイクロ流体デバイス外に開口した開口部や、マイクロ流体デバイス外と連絡する配管が接続された配管接続部であって良いし、マイクロ流体デバイス中の他の機構、例えば貯液層、内部ポンプ、濾過機構、などに接続されていても良い。また、試料を電気泳動や電気浸透流によって移送する場合には電極を設置することができる。
第一流路(1)は、流路共有部(3)へ試料を導くための流路である。第一流路(1)の一端は流体を流入する端部(以下、該端部を流入部と略記する。)であり、試料を導入することが出来れば任意であり、例えば、マイクロ流体デバイス外に開口した開口部や、マイクロ流体デバイス外と連絡する配管が接続された配管接続部であって良いし、マイクロ流体デバイス中の他の機構、例えば貯液層、内部ポンプ、濾過機構、などに接続されていても良い。また、試料を電気泳動や電気浸透流によって移送する場合には電極を設置することができる。
第一流路(1)の他端は流体を流出する端部(以下、該端部を流出部と略記する。)であり、前記流入部と同様の機構の他、試料溶液を吸引するための真空チャンバー、繊維充填型や多孔質型などの液体吸収部でありうる。即ち、前記流入部から第一流路(1)に流入した試料溶液は、流路共有部(3)を経て、流出部から流出するように使用することが出来る。
第一流路(1)の流入部と流路共有部(3)の間には、流路を閉じることの出来る機構(31)を設けることが好ましい。該機構(31)は、第二流路(2)に液体を流す際に、該液体が流路共有部(3)から第一流路(1)の上記流入部方向へ流れることを阻止出来るものであればよい。従って、前記流路を開閉することの出来る機構(31)は、例えば、開閉バルブ、逆止弁、常態では閉じていて一定以上の圧力差が掛かると流路が流通するバルブ、稼働時以外は流路を閉じているポンプ機構等であり得る。なお、本発明の試料導入方法においては、このような流路を閉じることの出来る機構(31)を設ける代わりに、第一流路(1)の流入部に、非圧縮性の流体が充填されたシリンジやポンプを接続することも可能である。
第一流路(1)の流出部と流路共有部(3)の間に関しても、上記第一流路(1)の流入部と流路共有部(3)の間の場合と同様である。第一流路(1)の流出部と流路共有部(3)の間に、流路を開閉することの出来る機構(32)を設けることが好ましい。
[第二流路]
第二流路(2)は、流路共有部(3)に吸着された試料を移送する流路であり、反応や分析などを行うための流路として用いることが出来る。第二流路(2)の流入部は、流路共有部(3)に吸着された試料を溶出する液体を導入する構造、及び/又は、試料を電気泳動や電気浸透流によって移送する場合には電極設置部とすることができる。これらの構造については、上記第一流路(1)の流入部の場合と同様である。また、第二流路(2)の流出部に関しては、前記第一流路(1)の流出部と同様である。
第二流路(2)は、流路共有部(3)に吸着された試料を移送する流路であり、反応や分析などを行うための流路として用いることが出来る。第二流路(2)の流入部は、流路共有部(3)に吸着された試料を溶出する液体を導入する構造、及び/又は、試料を電気泳動や電気浸透流によって移送する場合には電極設置部とすることができる。これらの構造については、上記第一流路(1)の流入部の場合と同様である。また、第二流路(2)の流出部に関しては、前記第一流路(1)の流出部と同様である。
第二流路(2)における流路共有部(3)から流出部の間は、液体クロマトグラフィー用や電気泳動用の分離カラムとすることが好ましい。液体クロマトグラフィー用分離カラムは、充填カラムであっても良いが、キャピラリー・カラムであることが、微小化が容易であり好ましく、流路内壁に多孔質層が形成されたキャピラリー・カラムであることが、分離能の向上などの面から好ましい。
第二流路(2)の流路共有部(3)と流入部の間、及び/又は、流路共有部(3)と他端の間には、流路を開閉することの出来る機構(33)、(34)を設けることが好ましい。該機構は、第一流路(1)に液体を流す際に、該液体が流路共有部(3)から第二流路(2)へ入り込むことを防ぐことの出来るものであればよく、第一流路の場合と同様の機構を使用できる。
[流路共有部]
流路共有部(3)は、少なくとも2本の流路、第一流路(1)と第二流路(2)が互いに連絡する部分であり、いわゆる交差の他、該2本の流路が、流体の流動方向に於いて互いに近づいてくる側と同じ側に離れる接触により2本の流路が共有された部分をいう。流路共有部(3)において、第一流路(1)と第二流路(2)が交差又は接触する角度は任意であるが、第二流路(2)をクロマトグラフィー・カラムや電気泳動分離カラムとして使用する場合には、直角であることが、分離能が高くなるため好ましい。該流路共有部(3)から、更にその他の流路が分岐していても良い。
流路共有部(3)は、少なくとも2本の流路、第一流路(1)と第二流路(2)が互いに連絡する部分であり、いわゆる交差の他、該2本の流路が、流体の流動方向に於いて互いに近づいてくる側と同じ側に離れる接触により2本の流路が共有された部分をいう。流路共有部(3)において、第一流路(1)と第二流路(2)が交差又は接触する角度は任意であるが、第二流路(2)をクロマトグラフィー・カラムや電気泳動分離カラムとして使用する場合には、直角であることが、分離能が高くなるため好ましい。該流路共有部(3)から、更にその他の流路が分岐していても良い。
流路共有部(3)の形状や容積、即ち、第一流路(1)と第二流路(2)の共通部分の形状や容積は任意であり、例えば、第一流路(1)と第二流路(2)の断面が同一寸法の正方形であって、これらが中心線を合わせて直交している場合には、立方体となる。流路共有部(3)が第一流路(1)と第二流路(2)の交差によるものである場合には、第一流路(1)の幅を狭くするほど、第二流路(2)へ導入される試料溶液のスポットを短くすることが出来る。このため、第一流路(1)の幅は第二流路(2)の幅以下であることが好ましい。流路共有部(3)が第一流路(1)と第二流路(2)の接触によるものである場合には、流路共有部の長さが短く幅が狭いほど、試料スポットを短くすることが出来る。流路共有部(3)は、第二流路(2)へ導入される試料溶液のスポットをより短くすることが容易であるため交差により共有したものが好ましい。
流路共有部(3)が流路の交差からなる場合には、交差の角度は、第二流路(2)へ導入される試料溶液のスポットを短くすることが出来、かつ、第二流論幅方向で均一に導入出来るため、第一流路(1)と第二流路(2)の交差する角度は90度であることが好ましい。
また、流路共有部が接触からなる場合には、互いに接触する角度は任意であり、例えば、円周状の曲線が互いに接した場合のように0度であっても良いし、90度以上であっても良いが、第二流論幅方向で均一に導入出来る点から、30度〜90度が好ましい。
流路共有部(3)に於いて、第一流路(1)、第二流路(2)共に、それぞれ該流路の他の部分と流路断面形状や寸法が異なっていてもよい。即ち、流路共有部(3)の各流路に直交する方向の断面形状は流路断面より大きくても小さくてもよい。しかしながら、第一流路(1)、第二流路(2)共に、流路共有部(3)に於いて流体が滞留する死容積や死角が無いことが好ましく、流路共有部(3)の各流路に直交する方向の断面形状は流路断面と同一の形状。寸法であることが好ましい。
前記試料吸着性物質が固定される固定床の種類や位置については特に制約はなく、流路共有部(3)の内壁であり得るし、流路共有部(3)に固着して、又は非固着ではあるが流出しない状態で設置された固体、例えばビーズ、フィルム、繊維、多孔質体、ゲル等であり得る。しかしながら、流路共有部(3)の内壁に固着して形成された多孔質層であることが、濃縮率を高くすることが出来、吸脱着速度が高く、かつ、濃縮された試料を短いスポットとして第二流路へ導入することが容易であり、また製造も容易であるため好ましい。前記試料吸着性物質が固定される固定床の位置や形状は、流路共有部(3)内の任意の一部又は全部であってよいが、第二流路(2)の幅方向で均等な形状とすることが、試料を第二流路(2)の 幅方向に均等に導入できるため好ましい。
[多孔質層]
ここでいう多孔質層とは、層内に、表面まで連通し、表面に開口している多数の細孔、即ち、連通細孔を有するものをいう。細孔の形状は任意であり、例えば気泡状の空洞が互いにつながった構造(スポンジ状)、凝集粒子間の空隙状、井戸状、不織布や編織布の繊維間隙状等であり得る。
ここでいう多孔質層とは、層内に、表面まで連通し、表面に開口している多数の細孔、即ち、連通細孔を有するものをいう。細孔の形状は任意であり、例えば気泡状の空洞が互いにつながった構造(スポンジ状)、凝集粒子間の空隙状、井戸状、不織布や編織布の繊維間隙状等であり得る。
上記多孔質層は、流路共有部(3)の内壁面の少なくとも一部に形成することが出来、流路共有部(3)の底面又は天井面の全体に形成されることが好ましい。第二流路(2)の流路共有部(3)から流出部の間に、液体クロマトグラフィー用分離カラムや電気泳動用分離カラムが設けられており、該カラムが底面又は天井面に多孔質層が形成されたキャピラリー・カラムである場合には、該多孔質層は、前記流路共有部(3)の固定床と同じ構造の多孔質層が、流路共有部(3)から連続して形成されていることが好ましい。
上記多孔質層の厚みは、0.5μm〜30μmが好ましく、1μm〜20μmが更に好ましく、2μm〜10μmが最も好ましい。この下限以上とすることで、試料の吸着量が十分大きく成る。一方、この上限以下とすることで、吸着された試料が短いスポットとして脱離させることが出来る。
上記多孔質層の厚みは、0.5μm〜30μmが好ましく、1μm〜20μmが更に好ましく、2μm〜10μmが最も好ましい。この下限以上とすることで、試料の吸着量が十分大きく成る。一方、この上限以下とすることで、吸着された試料が短いスポットとして脱離させることが出来る。
多孔質層の形成方法は任意であり、公知の方法を採用できる。例えば、本発明者らの出願になる特開2000−2705号公報に開示されているように、(i)エネルギー線硬化性樹脂と貧溶剤の混合物を塗布し、エネルギー線照射により重合させると同時に相分離させて多孔質層を形成する方法。(ii)重合体で形成された基材を、該重合体を溶解させる溶剤と接触させ、該基材の表面を溶解させ、次いで、該溶剤と相溶するが該重合体は溶解させない非溶剤と接触させて多孔質相を形成する方法、(iii)重合体の溶液を基材に塗布し、該溶剤と相溶するが該重合体は溶解させない非溶剤と接触させて多孔質層を形成する方法、等を例示できる。これらの中で、(i)のエネルギー線硬化性樹脂による方法が、任意の位置に多孔質層を形成することが容易であり、又、官能基の導入も容易であるため好ましい。
[試料吸着性物質]
流路共有部(3)の内部の固定床には、試料吸着性物質が固定化されている。試料吸着性物質は、試料の吸着と脱着が可能なものであれば任意であり、吸着の機構は任意である。例えば、ファンデルワールス力による吸着、イオン的吸着、疎水的吸着、生化学的な特異的吸着などであり得る。従って、試料吸着性物質は導入する試料に応じて好適なものを選択することが出来る。試料吸着性物質は、化学官能基を持つ物質であり得る。化学官能基としては、親水性の官能基として、例えば水酸基、ポリエチレングリコール基、アミド基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、(亜)硝酸エステル基、(亜)リン酸エステル基などのノニオン性の官能基、カルボキシル基、スルホン基、硝酸基、亜硝酸基、リン酸基、亜リン酸基、(置換)ヒドロキシフェニル基、シラノール基などのアニオン性の官能基、(N置換)アミノ基、4級アンモニウム塩基、ホスホニウム塩基などのカチオン性官能基などを挙げることが出来る。疎水性官能基としては、例えばフッ素、塩素、ポリジメチルシロキサン構造、アルキル基、フェニル基、エーテル基などを挙げることが出来る。両性官能基としてはアミノ酸残基を挙げることが出来る。その他に、アルキルポリエチレングリコール基などの両親媒性基などを挙げることが出来る。
流路共有部(3)の内部の固定床には、試料吸着性物質が固定化されている。試料吸着性物質は、試料の吸着と脱着が可能なものであれば任意であり、吸着の機構は任意である。例えば、ファンデルワールス力による吸着、イオン的吸着、疎水的吸着、生化学的な特異的吸着などであり得る。従って、試料吸着性物質は導入する試料に応じて好適なものを選択することが出来る。試料吸着性物質は、化学官能基を持つ物質であり得る。化学官能基としては、親水性の官能基として、例えば水酸基、ポリエチレングリコール基、アミド基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、(亜)硝酸エステル基、(亜)リン酸エステル基などのノニオン性の官能基、カルボキシル基、スルホン基、硝酸基、亜硝酸基、リン酸基、亜リン酸基、(置換)ヒドロキシフェニル基、シラノール基などのアニオン性の官能基、(N置換)アミノ基、4級アンモニウム塩基、ホスホニウム塩基などのカチオン性官能基などを挙げることが出来る。疎水性官能基としては、例えばフッ素、塩素、ポリジメチルシロキサン構造、アルキル基、フェニル基、エーテル基などを挙げることが出来る。両性官能基としてはアミノ酸残基を挙げることが出来る。その他に、アルキルポリエチレングリコール基などの両親媒性基などを挙げることが出来る。
試料吸着性物質は、(生)化学物質とアフィニティー(選択的な親和力)を有する物質であることも好ましい。(生)化学物質とアフィニティーを持つ物質としては、例えば、触媒、酵素・抗体・抗原その他の蛋白、DNA・RNAなどのオリゴヌクレオチド、糖鎖、糖脂質、細胞などの生体組織、モレキュラー・インプリンティング法などで調製された人工酵素などが挙げられる。もちろん、これらは化学修飾体であっても良い。試料吸着性物質としてアフィニティーを持つ物質を使用する場合には、本発明のマイクロ流体デバイスや試料導入方法の目的に応じて、前記流路共有部(3)において、選択的に吸着させても、低い選択率で又は非選択的に吸着させても良い。これらは吸着条件を選ぶことにより調節できる。
試料吸着性物質にオリゴヌクレオチドを使用する場合、オリゴヌクレオチドの長さは、塩基数にして5〜30が好ましく、5〜20がさらに好ましく、5〜10が最も好ましい。オリゴヌクレオチドの長さをこの範囲とすることによって、室温〜60℃という実施が容易な温度で、十分な信頼性と高い分離速度を、得ることが出来る。また、同じ目的で、試料吸着性物質のオリゴヌクレオチドは、分析対象のポリヌクレオチドやオリゴヌクレオチドに対して意図的にミスマッチを有する塩基配列のオリゴヌクレオチドを用いることも好ましい。
試料吸着性物質の前記固定床への導入方法は任意であり、官能基やアフィニティーを有する物質で前記固定床を形成する方法、これらを前記固定床表面にコートする方法、表面にグラフト重合する方法、反応により表面に化学結合させる方法、物理的或いは科学的表面処理する方法、試料吸着性物質への試料の吸着力より強い吸着力で固定床に吸着させる方法、などを例示できる。例えば、表面コート法としては、重合性化合物を前記固定床に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させる方法、物理的表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、科学的表面処理としては、酸又はアルカリ処理、スルホン化処理、フッ素化処理、シランカップリング剤等によるプライマー処理、表面グラフト重合法としては、エネルギー硬化性樹脂を用いて固定床を半硬化状態で形成し、これを水溶性のエネルギー線重合性化合物の水溶液中でエネルギー照射する方法、などが挙げられる。また、これらの方法によって導入された反応性官能基にアフィニティーを有する物質を結合させる方法が挙げられる。
マイクロ流体デバイスの作製方法は任意であり、それぞれの素材に応じて公知の方法で作製できる。例えば、ガラスやシリコンを素材とする場合には、フォトリソグラフィー法で形成した溝の上に蓋となる部材を、融着や陽極接合などで固着する方法を採ることが出来る。金属を素材とする場合には、ガラスと同様にして形成した溝の上に、蓋となる部材をねじ止め、かしめ、溶接などで固定又は固着する方法をとることが出来る。熱可塑性樹脂を素材とする場合には、射出成形、溶融キャスト法、溶液キャスト法なでで形成した溝の上に、他の部材を、超音波融着や熱融着等の融着、または、接着剤や、溶剤による部材の一部溶解による接着により固着する方法を採用出来る。熱硬化性樹脂やエネルギー硬化性樹脂を素材とする場合には、溝を形成した樹脂層に蓋となる樹脂層を積層して固着する方法を採用できる。このとき、溝の形成方法は、未架橋状態において溶融キャスト法や溶液キャスト法を用いて形成した後架橋する方法を採ることも出来るし、エネルギー硬化性樹脂の場合にはパターン露光法を採用することも出来る。また、固着方法は、接着剤による接着でも良いが、溝を有する部材及び/又は蓋となる部材を流動しないが接着性は残存しているような半硬化状態にしておき、積層後に完全硬化させて固着する方法を好ましく用いることが出来る。光硬化性樹脂を用いる場合には、マイクロ光造形法を用いることもできる。これらの中で、エネルギー線硬化性樹脂を用いる方法が、流路共有部(3)へ試料吸着性物質を固定化するための官能基の導入や多孔質層の形成が容易であるため好ましく、溝を有する部材と蓋となる部材を固着させる方法が生産性が高く好ましい。
上記した本発明のマイクロ流体デバイスを使用することにより、マイクロ・クロマトグラフィーの微細なカラム等に微量な試料を容易に導入することができる。微量試料を導入する方法としては、(イ)少なくとも第一流路(1)と第二流路(2)の2本の毛細管状の流路を有し、且つこれら流路が流路共有部(3)で交差又は接触しており、該流路共有部(3)に、試料吸着性物質が固定化されたマイクロ流体デバイスを使用し、
(ロ)第一流路(1)中を、流路共有部(3)を通過させて試料を移送し、前記流路共有部(3)において、前記試料を前記試料吸着性物質に吸着させ、
(ハ)次いで、流路共有部(3)を通過する第一流路(1)中の試料の移送を中止し、前記流路共有部(3)内に吸着された前記試料を脱離させて前記第二流路(2)へ導入する方法を好ましく使用できる。
(ロ)第一流路(1)中を、流路共有部(3)を通過させて試料を移送し、前記流路共有部(3)において、前記試料を前記試料吸着性物質に吸着させ、
(ハ)次いで、流路共有部(3)を通過する第一流路(1)中の試料の移送を中止し、前記流路共有部(3)内に吸着された前記試料を脱離させて前記第二流路(2)へ導入する方法を好ましく使用できる。
上記(イ)の工程において使用するマイクロ流体デバイスは、上記した本発明のマイクロ流体デバイスを好適に使用できる。上記(ロ)の工程においては、本発明のマイクロ流体デバイスにおける第一流路(1)中を、流路共有部(3)を通過させて試料を移送し、前記流路共有部(3)において、前記試料を前記試料吸着性物質に吸着させる工程である。該工程においては、第一流路(1)へ導入する試料は、試料導入の目的に応じて任意の化学物質、生化学物質、生体組織、微生物などであって良く、また、分析や検出を目的とする試料、合成の材料となる試料、希釈、濃縮、抽出などの化学工学的処理を施すための試料であって良い。例えば、クロマトグラフィー分析にかけるための(生)化学合成生成物、医療診断を行うためのDNAや血液などの生体試料、などが挙げられる。試料吸着性物質は、これら試料に応じて適宜選択すればよい。
導入する試料は、気体(蒸気を含む)、ミスト、溶液(分散液を含む)などであり得るが、溶液状態で導入することが好ましく、例えば試料がDNAやRNAなどのポリヌクレオチド(「ポリヌクレオチド」は「オリゴヌクレオチド」を含むものとする)である場合には、これらを水溶液として導入すればよい。
第一流路(1)へ試料溶液を導入する際には、交差又は接触した第二流路(2)内への試料溶液の流入を防ぐために、第二流路(2)の流入部及び流出部を閉鎖しておくか、あるいは第二流路(2)の流路途中に流路開閉機構が設けられている場合には、該流路開閉機構を閉じた状態にしておくことが好ましい。但し、第一流路(1)の流入部への導入流量(又は導入圧力)と、同流出部から流出させる流出流量(又は減圧度)を好適に調節することによって、第二流路(2)を閉鎖せずとも、第二流路(2)への試料の流入させないで流路共有部(3)に試料を流すことも可能である。また、第一流路(1)の試料移送手段として電気泳動や電気浸透流を使用する場合には、第二流路(2)の閉鎖機構は不要である。これらに関しては、本発明になるマイクロ流体デバイスの第二流路(2)の項における記述と同様である。
試料を第一流路(1)へ導入する際の流速や流路の温度、あるいは流量などは使用する試料により適宜選択すればよい。一般的には、試料の濃縮率を高くする場合ほど、温度を低くし、流路共有部(3)に流す試料溶液の量を増し、又吸着させる時間も長くすることが好ましい。また、試料吸着性物質が抗原と抗体、ポリヌクレオチドの対立鎖のように、分子認識機能を有する化合物であって、吸着の選択性を高くする場合ほど、吸着の解離温度を超えない範囲でなるべく高い温度で、流路共有部(3)に流す試料溶液の量を増し、又吸着させる時間を長くすることが好ましい。例えば、試料吸着性物質としてDNA等のポリヌクレオチドを固定化し、ポリヌクレオチドを試料として使用する場合であって、試料中のポリヌクレオチドを非選択的に吸着させる場合には、固定化ポリヌクレオチドと試料ポリヌクレオチドの融解温度未満の温度、0.5〜5分間の条件下であれば好適に試料吸着性物質に試料を吸着させることができる。・
上記(ハ)の工程では、流路共有部(3)を通過する第一流路(1)中の試料の移送を中止し、前記流路共有部(3)の試料吸着性物質に吸着された前記試料を脱離させて前記第二流路(2)へ導入する工程である。このとき、第二流路(2)へ試料を脱離(脱着)させる液体を流す際には、交差又は接触した第一流路(1)内への試料溶液の流入を防ぐために、第一流路(1)の流入部及び流出部を閉鎖しておくか、あるいは第一流路(1)の流路途中に流路開閉機構が設けられている場合には、該流路開閉機構を閉じた状態にしておくことが好ましい。但し、第二流路(2)の流入部への導入流量(又は導入圧力)と、同流出部から流出させる流出流量(又は減圧度)を好適に調節することによって、第一流路(1)を閉鎖せずとも、第一流路(1)への試料の流入をさせないで流路共有部(3)に試料を脱離させる液体を流すことも可能である。また、第二流路(2)の試料移送手段として電気泳動や電気浸透流を使用する場合には、第一流路(1)の閉鎖機構は不要である。これらに関しては、本発明になるマイクロ流体デバイスの第一流路(2)の項における記述と同様である。
流路共有部(3)の試料吸着性物質から試料を脱離させる方法としては、吸着した試料により適宜選択すればよく、試料を溶解する溶媒、あるいは、吸着された物質が細胞などの分散質である場合にはこれらを脱離させる分散媒を第二流路(2)へ流入させる方法により実施できる。なお、本発明に於いては、説明の簡略化のために、これら両者を含めて「溶解する溶媒」と称する。試料を溶解させる溶媒としては、例えば、第一流路(1)に流す試料溶液の溶媒と同じ溶媒を使用できる。このとき、試料の濃縮度を特に上げて第二流路(2)へ導入する場合には、第一流路(1)に流した試料溶液の溶媒より、試料に対して高い溶解度を持つ溶媒を使用することや、流路共有部の温度を、吸着させた温度より高温にする方法が好ましい。例えば、使用する試料が、DNAやRNAなどのポリヌクレオチドである場合には、第一流路(1)に流す試料溶液より塩濃度の低い緩衝溶液を使用する方法により好適に試料を脱離させることができる。脱離した試料は、溶液状態あるいは分散液状態で第二流路(2)の流路共有部(3)より流出部側へ導入することができる。試料を第二流路(2)へ導入する際の流速や流路の温度、あるいは流量などは使用する試料により適宜選択すればよい。
また、脱離した試料を溶液状態で第二流路(2)の流出部側へ導入するときの試料の導入量が、流路共有部(3)の容積に相当する前記試料原溶液中に含有される試料の量より大であることが好ましい。本発明の試料導入方法に於いては、流路共有部(3)内にある試料溶液に加えて、吸着された試料が第二流路(2)へ導入されるため、通常、試料の導入量が、流路共有部(3)の容積に相当する前記試料原溶液中に含有される試料の量より大となるが、吸着された量が多いほど、第二流路へ導入される量は多くなる。本発明に於いては、第二流路へ導入される量が、流路共有部(3)の容積に相当する前記試料原溶液中に含有される試料の量の、1.5〜1000倍であることが好ましく、2〜50倍がさらに好ましい。
また、第二流路(2)の流出部側へ導入される試料溶液の濃度が、第一流路(1)に流される試料溶液の濃度より大であることが好ましい。本発明の試料導入方法に於いては、第二流路(2)に流す溶媒を、第一流路に流される試料溶液より溶解度の高い溶媒を使用したり、吸着時より高い温度で脱離させることよって、吸着された試料が第一流路に流される試料溶液の濃度より高い濃度で第二流路(2)へ導入することが出来る。本発明に於いては、第二流路へ導入される試料溶液の濃度は、第一流路に流される試料溶液の濃度の、1.1〜100倍であることが好ましく、1.5〜10倍がさらに好ましい。
上記方法において、第二流路(2)の流路共有部(3)より下流側がクロマトグラフィー用分離カラムである場合には、第一流路(1)における試料の移送を、試料原溶液の送液によるものとし、試料の第二流路(2)への導入を、試料を溶解させる液体の第二流路(2)内の送液によるものとすることで、クロマトグラフィー用分離カラムへの試料導入、及び試料の分析を容易に行うことができる。
また、第二流路(2)の流路共有部(3)より下流側が電気泳動用分離カラムである場合には、第一流路(1)中の試料の移動を電気泳動及び/又は電気浸透流によるものとし、試料の第二流路(2)への導入を、第二流路(2)中の電気泳動及び/又は電気浸透流によるものとすることで、電気泳動分析への試料導入、及び試料の分析を容易に行うことができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例の範囲に限定されるものではない。本実施例における紫外線照射、および蛍光特性測定の方法を以下に示す。
(紫外線ランプ1による照射)
3000Wメタルハライドランプを光源とするアイグラフィックス株式会社製のUE031−353CHC型UV照射装置を用い、365nmにおける紫外線強度が40mW/cm2の紫外線を特に指定が無い限り室温、窒素雰囲気中で照射した。
3000Wメタルハライドランプを光源とするアイグラフィックス株式会社製のUE031−353CHC型UV照射装置を用い、365nmにおける紫外線強度が40mW/cm2の紫外線を特に指定が無い限り室温、窒素雰囲気中で照射した。
(紫外線ランプ2による照射)
250W高圧水銀ランプを光源とするウシオ電機株式会社製のマルチライト250Wシリーズ露光装置用光源ユニットを用い、365nmにおける紫外線強度が50mW/cm2の紫外線を、特に指定が無い限り室温、窒素雰囲気中で照射した。
250W高圧水銀ランプを光源とするウシオ電機株式会社製のマルチライト250Wシリーズ露光装置用光源ユニットを用い、365nmにおける紫外線強度が50mW/cm2の紫外線を、特に指定が無い限り室温、窒素雰囲気中で照射した。
(実施例1)
[多孔質層形成用製膜液(Y1)の調製]
エネルギー線重合性化合物として平均分子量2000の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー「ユニディックV−4263」(大日本インキ化学工業株式会社製)72質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート「R−684」(日本化薬株式会社製)18質量部、メタクリル酸グリシジル(和光純薬工業株式会社製)10質量部、貧溶剤としてデカン酸メチル(和光純薬工業株式会社製)を180質量部、揮発性の良溶剤としてアセトンを10質量部、紫外線重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュアー184」(チバガイギー社製)3質量部を、均一に混合して製膜液(Y1)を調製した。
[多孔質層形成用製膜液(Y1)の調製]
エネルギー線重合性化合物として平均分子量2000の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー「ユニディックV−4263」(大日本インキ化学工業株式会社製)72質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート「R−684」(日本化薬株式会社製)18質量部、メタクリル酸グリシジル(和光純薬工業株式会社製)10質量部、貧溶剤としてデカン酸メチル(和光純薬工業株式会社製)を180質量部、揮発性の良溶剤としてアセトンを10質量部、紫外線重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュアー184」(チバガイギー社製)3質量部を、均一に混合して製膜液(Y1)を調製した。
〔エネルギー線硬化性組成物[e1]の調製〕
「ユニディックV4263」(大日本インキ化学工業株式会社製の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー)40部、「サートマーC2000」(ソマール社製のω−テトラデカンジオールジアクリレート及びω−ペンタデカンジオールジアクリレートを主成分とするジアクリレート混合物)60部、「イルガキュアー184」(チバガイギー社製の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンからなる紫外線重合開始剤)5部、及び2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学社製の重合禁止剤)0.1部を混合して、エネルギー線硬化性組成物[e1]を調製した。
「ユニディックV4263」(大日本インキ化学工業株式会社製の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー)40部、「サートマーC2000」(ソマール社製のω−テトラデカンジオールジアクリレート及びω−ペンタデカンジオールジアクリレートを主成分とするジアクリレート混合物)60部、「イルガキュアー184」(チバガイギー社製の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンからなる紫外線重合開始剤)5部、及び2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学社製の重合禁止剤)0.1部を混合して、エネルギー線硬化性組成物[e1]を調製した。
〔エネルギー線硬化性組成物[e2]の調製〕
「ユニディックV4263」20部、「サートマーC2000」80部、「イルガキュアー184」5部、及び2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.1部を混合して、エネルギー線硬化性組成物[e2]を調製した。
「ユニディックV4263」20部、「サートマーC2000」80部、「イルガキュアー184」5部、及び2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.1部を混合して、エネルギー線硬化性組成物[e2]を調製した。
[組成物(X1)の調製]
エネルギー線重合性化合物として平均分子量2000の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー「ユニディックV−4263」(大日本インキ化学工業株式会社製)40部、ω−テトラデカンジオールジアクリレート及びω−ペンタデカンジオールジアクリレートを主成分とするジアクリレート混合物「サートマーC2000」(ソマール社製)60部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュアー184」(チバガイギー社製)3部、及び重合遅延剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学株式会社製)0.5部を混合して、組成物(X1)を調製した。
エネルギー線重合性化合物として平均分子量2000の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー「ユニディックV−4263」(大日本インキ化学工業株式会社製)40部、ω−テトラデカンジオールジアクリレート及びω−ペンタデカンジオールジアクリレートを主成分とするジアクリレート混合物「サートマーC2000」(ソマール社製)60部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュアー184」(チバガイギー社製)3部、及び重合遅延剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学株式会社製)0.5部を混合して、組成物(X1)を調製した。
[蓋用組成物の調製]
「イルガキュアー184」の添加量が2部であること、および、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを混合しなかったこと以外は組成物[X1]と同様の組成の蓋用組成物を調製した。
「イルガキュアー184」の添加量が2部であること、および、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを混合しなかったこと以外は組成物[X1]と同様の組成の蓋用組成物を調製した。
[工程1:多孔質層の形成]
厚さ1mmのアクリル板を支持体(11)として使用し、該支持体上にスピンコーターを用いて、800rpmの回転で製膜液(Y1)を塗工し、該製膜液(Y1)に紫外線ランプ1により紫外線を40秒照射して製膜液(Y1)の塗膜(12)を硬化させ、n−ヘキサンで貧溶剤(R)を洗浄除去して多孔質層(12)を形成した。
この多孔質層(12)の上に組成物(X1)を流延して該組成物(X1)を多孔質層(12)の細孔に充填し、直径6mmのガラス棒で多孔質層(12)の表面に付着している組成物(X1)を掻き取った後、フォトマスクを通して、多孔質領域(12a)とする部分以外の領域(12b)に紫外線ランプ2による紫外線照射を120秒行って、前記細孔に充填された前記組成物(X1)を半硬化させ、非照射部分の未硬化の組成物(X1)をエタノールで除去して、多孔質層(12)を、領域(12a)を多孔質状態に残し、領域(12b)は組成物(X1)の硬化物で細孔が充填された(即ち、多孔質が目止めされた)状態に形成した。
厚さ1mmのアクリル板を支持体(11)として使用し、該支持体上にスピンコーターを用いて、800rpmの回転で製膜液(Y1)を塗工し、該製膜液(Y1)に紫外線ランプ1により紫外線を40秒照射して製膜液(Y1)の塗膜(12)を硬化させ、n−ヘキサンで貧溶剤(R)を洗浄除去して多孔質層(12)を形成した。
この多孔質層(12)の上に組成物(X1)を流延して該組成物(X1)を多孔質層(12)の細孔に充填し、直径6mmのガラス棒で多孔質層(12)の表面に付着している組成物(X1)を掻き取った後、フォトマスクを通して、多孔質領域(12a)とする部分以外の領域(12b)に紫外線ランプ2による紫外線照射を120秒行って、前記細孔に充填された前記組成物(X1)を半硬化させ、非照射部分の未硬化の組成物(X1)をエタノールで除去して、多孔質層(12)を、領域(12a)を多孔質状態に残し、領域(12b)は組成物(X1)の硬化物で細孔が充填された(即ち、多孔質が目止めされた)状態に形成した。
[工程2:流路となる溝の形成]
上記多孔質層(12)の上に、スピンコーターを用いて1000rpmの回転数で組成物(X1)を塗工し、多孔質層(12)の領域(12a)の細孔を組成物(X1)で充填した状態に組成物(X1)の未硬化塗膜(13)を形成し、第一流路(1)及び第二流路(2)と成すべき部分以外の該未硬化塗膜にフォトマスクを通して紫外線ランプ2による紫外線照射を120秒行って組成物(X1)の半硬化塗膜(13)を形成し、非照射部分の未硬化の前記組成物(X1)をエタノールで除去して、第一流路(1)、第二流路(2)および流路共有部(3)となる溝を形成した。このとき、第二流路(2)と流路共有部(3)は領域(12a)に形成し、第一流路(1)は領域(12b)に形成した。即ち、第二流路(2)と流路共有部(3)は、底面に多孔質層(12)の多孔質体が露出しており、第一流路(1)の底面は平滑な非多孔質であった。
上記多孔質層(12)の上に、スピンコーターを用いて1000rpmの回転数で組成物(X1)を塗工し、多孔質層(12)の領域(12a)の細孔を組成物(X1)で充填した状態に組成物(X1)の未硬化塗膜(13)を形成し、第一流路(1)及び第二流路(2)と成すべき部分以外の該未硬化塗膜にフォトマスクを通して紫外線ランプ2による紫外線照射を120秒行って組成物(X1)の半硬化塗膜(13)を形成し、非照射部分の未硬化の前記組成物(X1)をエタノールで除去して、第一流路(1)、第二流路(2)および流路共有部(3)となる溝を形成した。このとき、第二流路(2)と流路共有部(3)は領域(12a)に形成し、第一流路(1)は領域(12b)に形成した。即ち、第二流路(2)と流路共有部(3)は、底面に多孔質層(12)の多孔質体が露出しており、第一流路(1)の底面は平滑な非多孔質であった。
[工程3:プローブDNAの固定]
(アミノ基の導入)
上記工程2で作製した溝に5質量%ポリアリルアミン(分子量15000、日東紡株式会社製)水溶液を接触させ、60℃、1時間反応させた(ポリアリルアミン中の一部のアミノ基を多孔質層中のエポキシ基と反応させた)後、流水で15分洗浄して、多孔質層へのアミノ基の導入を行った。
(アミノ基の導入)
上記工程2で作製した溝に5質量%ポリアリルアミン(分子量15000、日東紡株式会社製)水溶液を接触させ、60℃、1時間反応させた(ポリアリルアミン中の一部のアミノ基を多孔質層中のエポキシ基と反応させた)後、流水で15分洗浄して、多孔質層へのアミノ基の導入を行った。
(アルデヒド基の導入)
上記アミノ基を導入した後、支持体ごと5質量%のグルタルアルデヒド(和光純薬工業株式会社製)水溶液中に浸漬し、50℃に2時間保つことによって、ポリアリルアミンのほぼ全てのアミノ基をグルタルアルデヒドの一方のアルデヒド基と反応させた。その後、流水で10分洗浄して、多孔質層へのアルデヒド基を導入した。
上記アミノ基を導入した後、支持体ごと5質量%のグルタルアルデヒド(和光純薬工業株式会社製)水溶液中に浸漬し、50℃に2時間保つことによって、ポリアリルアミンのほぼ全てのアミノ基をグルタルアルデヒドの一方のアルデヒド基と反応させた。その後、流水で10分洗浄して、多孔質層へのアルデヒド基を導入した。
(DNAの固定)
上記アルデヒド基を導入した溝に、5’末端にアミノ修飾したDNA(N0と称する)(長さ20塩基、エスペックオリゴサービス株式会社製)水溶液(濃度50μM)を2μL滴下して、湿度100%、50℃にて15時間保つことにより、DNA(N0)の末端アミノ基を多孔質層のアルデヒド基と反応させた後、0.2質量%のテトラヒドロ硼酸ナトリウム水溶液中に入れ、5分間還元反応させ、次いで、0.2×SSC/0.1%SDS溶液でリンスし、次に、0.2×SSCと蒸留水でリンスして、自然乾燥して、第二流路(2)及び流路共有部(3)となる溝の底面の多孔質層(12)にプローブDNAとしてDNA(N0)を固定した。(ここで、0.2×SSCは0.03M NaCl,3mMクエン酸ナトリウム水溶液であり、0.1%SDSは0.1質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液である。)
上記アルデヒド基を導入した溝に、5’末端にアミノ修飾したDNA(N0と称する)(長さ20塩基、エスペックオリゴサービス株式会社製)水溶液(濃度50μM)を2μL滴下して、湿度100%、50℃にて15時間保つことにより、DNA(N0)の末端アミノ基を多孔質層のアルデヒド基と反応させた後、0.2質量%のテトラヒドロ硼酸ナトリウム水溶液中に入れ、5分間還元反応させ、次いで、0.2×SSC/0.1%SDS溶液でリンスし、次に、0.2×SSCと蒸留水でリンスして、自然乾燥して、第二流路(2)及び流路共有部(3)となる溝の底面の多孔質層(12)にプローブDNAとしてDNA(N0)を固定した。(ここで、0.2×SSCは0.03M NaCl,3mMクエン酸ナトリウム水溶液であり、0.1%SDSは0.1質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液である。)
[工程4:蓋(14)の固着]
前記蓋用組成物を、片面がコロナ放電処理された厚さ30μmの2軸延伸ポリプロピレンシート(二村化学株式会社製)の上に、塗布厚150μmのバーコーターを用いて塗工した。該未硬化塗膜に、紫外線ランプ1により紫外線を2秒照射し、前記組成物の半硬化塗膜(14)を形成し、上記工程3で作製した部材の溝形成面に張り合わせ、紫外線ランプ1により紫外線を40秒照射して完全に硬化させて蓋(14)を固着し、その後、前記2軸延伸ポリプロピレンシートを剥離除去して、第一流路(1)、第二流路(2)および流路共有部(3)を形成した。
前記蓋用組成物を、片面がコロナ放電処理された厚さ30μmの2軸延伸ポリプロピレンシート(二村化学株式会社製)の上に、塗布厚150μmのバーコーターを用いて塗工した。該未硬化塗膜に、紫外線ランプ1により紫外線を2秒照射し、前記組成物の半硬化塗膜(14)を形成し、上記工程3で作製した部材の溝形成面に張り合わせ、紫外線ランプ1により紫外線を40秒照射して完全に硬化させて蓋(14)を固着し、その後、前記2軸延伸ポリプロピレンシートを剥離除去して、第一流路(1)、第二流路(2)および流路共有部(3)を形成した。
[工程5:その他の構造の形成]
この後、上記蓋(14)を通過し第一流路(1)及び第二流路(2)の各両端部に通じる直径0.7mmの孔(21)(22)(23)(24)を、ドリルを使用して形成し、各孔にルアーフィッティング(25)(26)(27)(28)を接着して接続部(25)(26)(27)(28)と成した。
この後、上記蓋(14)を通過し第一流路(1)及び第二流路(2)の各両端部に通じる直径0.7mmの孔(21)(22)(23)(24)を、ドリルを使用して形成し、各孔にルアーフィッティング(25)(26)(27)(28)を接着して接続部(25)(26)(27)(28)と成した。
また、接続部(25)と流路共有部(3)との間の第一流路(1)、接続部(26)と流路共有部(3)との間の第一流路(1)、接続部(27)と流路共有部(3)との間の第二流路(2)、及び接続部(28)と流路共有部(3)との間の第二流路(2)に、直径0.5mmの鋼球(40)を、各流路の中心に上記組成物(X1)を使用し、紫外線硬化により接着した。また、外形6mm、内径5.1mm、長さ10mmのポリスチレン(大日本インキ化学工業株式会社製「ディックスチレンXC−520」)製パイプを枠状の案内部(41)とした。厚み1mmのポリスチレン製の板から切り出した、長さ12mm、幅3mmの部材を先端部2mmの長さに亘って加熱加工により直角に曲げて、図3及び図4に示したような、鈎部(42)を有するストッパ(43)を作製した。これを鈎部(42)が案内部(41)の上端より高さ方向に1mm離れた位置になるよう、ストッパ(43)の反対側の端約3mm長さの接着部(44)に於いて案内部(41)の外周面にエポキシ系接着剤を用いて接着した。これをマイクロ流体デバイス本体の蓋(14)側に、鋼球(40)が中心に来る位置にエポキシ接着剤にて接着した。前記案内部(41)に取り付ける摺動子(45)として、素材がポリスチレン、直径5.0mm、長さが11mmの略円柱形状をなしていて、その先端(下端)部が直径3mmの円形である円錐台状に切削した摺動子本体(46)を作成し、該摺動子本体(46)先端部に直径3mm、厚さ1mmのポリウレタン(日本エラストラン社製「エラストランF564」)製の円盤(47)が接着された摺動子(45)を作製し、開閉バルブ(31)(32)(33)(34)を有するマイクロ流体デバイスを作製した。
本開閉バルブ(31)(32)(33)(34)は、該摺動子(45)を、図4に示すように、予め摺動子(45)を案内部(41)に挿入した状態では、摺動子(45)は弾性を有するストッパー(43)の鈎部(42)の先端部によって案内部(41)の反対側の内壁方向に付勢され、流路を圧迫することなく任意の位置に保持している。摺動子(45)を流路方向へ押し込むと、流路壁を圧迫して変形させることによって流路を遮断し、その状態でロックできる。流路を遮断した状態でロックされた本開閉バルブ(31)(32)(33)(34)は、ストッパー(43)を操作することによってロックを解除し、再び流路を流通させることが出来る。
[流路の構造観察]
流路の断面を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、流路は全て深さ約30μmであり、第一流路(1)の幅は約50μm、第二流路(2)の幅は約300μmであった。また、第二流路(2)の底面の多孔質層(12)は厚み約5μmであった。
流路の断面を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、流路は全て深さ約30μmであり、第一流路(1)の幅は約50μm、第二流路(2)の幅は約300μmであった。また、第二流路(2)の底面の多孔質層(12)は厚み約5μmであった。
[試料の調製]
(プローブDNAと相補的なDNA試料)
5’末端を蛍光色素FITCにて修飾し、プローブDNA(N0)に相補的な塩基配列を持つ長さ20塩基のDNA(F0と称する)(エスペックオリゴサービス株式会社製、濃度500μM)を0.2×SSC溶液で希釈して、濃度0.3μMのクロマトグラフィー測定用試料F0とした。
(プローブDNAと相補的なDNA試料)
5’末端を蛍光色素FITCにて修飾し、プローブDNA(N0)に相補的な塩基配列を持つ長さ20塩基のDNA(F0と称する)(エスペックオリゴサービス株式会社製、濃度500μM)を0.2×SSC溶液で希釈して、濃度0.3μMのクロマトグラフィー測定用試料F0とした。
[プローブDNAと一塩基ミスマッチを有するDNA試料]
DNAが、プローブDNA(N0)と1塩基ミスマッチとなる塩基配列を有するDNA(F1と称する)であること以外は、試料F0と同様にして試料F1を調製した。
DNAが、プローブDNA(N0)と1塩基ミスマッチとなる塩基配列を有するDNA(F1と称する)であること以外は、試料F0と同様にして試料F1を調製した。
[試料導入試験]
〔試料F0のクロマトグラフィー〕
マイクロ流体デバイスを40℃に温度調節されたヒートブロック上に固定し、開閉バルブ(31)(32)(33)(34)を全て開き、接続口(25)にマイクロシリンジポンプNo.1(図示略)を、また、接続口(27)にマイクロシリンジポンプNo.2(図示略)を接続し、あらかじめシリンジポンプNo.2(図示略)から緩衝溶液(0.2×SSC)を送出し、第一流路(1)及び第二流路(2)に該緩衝溶液を充満させた。その後、シリンジポンプNo.2(図示略)からの緩衝溶液を2μL/分で送液したままヒートブロックを80℃に昇温し、20分保持した後、40℃に下げることによって分離カラムを洗浄した。
次いで、摺動子(45)を操作して開閉バルブ(33)(34)を閉じ、流路を蛍光観察しつつ、マイクロシリンジポンプNo.1(図示略)から試料F0を2μL/分で送液し、該試料の先端が流路共有部を通過してから1分後にポンプを停止し、開閉バルブ(31)(32)を閉じるとともに開閉バルブ(33)(34)を開き、シリンジポンプNo.2(図示略)から、緩衝溶液を2μL/分で送液した。
ニコン製蛍光実体顕微鏡を用い、第二流路(2)の、流路分岐部(3)から40mmの位置を測定部(5)とし、該部分における蛍光強度変化を測定した。その結果、約65秒にピークを持つクロマトグラムが得られた。このピーク面積は、比較例1で測定された試料F0のピーク面積の約14倍であり、試料は約14倍に濃縮されていた。
〔試料F0のクロマトグラフィー〕
マイクロ流体デバイスを40℃に温度調節されたヒートブロック上に固定し、開閉バルブ(31)(32)(33)(34)を全て開き、接続口(25)にマイクロシリンジポンプNo.1(図示略)を、また、接続口(27)にマイクロシリンジポンプNo.2(図示略)を接続し、あらかじめシリンジポンプNo.2(図示略)から緩衝溶液(0.2×SSC)を送出し、第一流路(1)及び第二流路(2)に該緩衝溶液を充満させた。その後、シリンジポンプNo.2(図示略)からの緩衝溶液を2μL/分で送液したままヒートブロックを80℃に昇温し、20分保持した後、40℃に下げることによって分離カラムを洗浄した。
次いで、摺動子(45)を操作して開閉バルブ(33)(34)を閉じ、流路を蛍光観察しつつ、マイクロシリンジポンプNo.1(図示略)から試料F0を2μL/分で送液し、該試料の先端が流路共有部を通過してから1分後にポンプを停止し、開閉バルブ(31)(32)を閉じるとともに開閉バルブ(33)(34)を開き、シリンジポンプNo.2(図示略)から、緩衝溶液を2μL/分で送液した。
ニコン製蛍光実体顕微鏡を用い、第二流路(2)の、流路分岐部(3)から40mmの位置を測定部(5)とし、該部分における蛍光強度変化を測定した。その結果、約65秒にピークを持つクロマトグラムが得られた。このピーク面積は、比較例1で測定された試料F0のピーク面積の約14倍であり、試料は約14倍に濃縮されていた。
〔試料F1のクロマトグラフィー〕
試料として試料F1を用いたこと以外は上記試料F0の場合と同様なクロマトグラフィー測定を行ったところ、約51秒にピークを持つクロマトグラムが得られ、F0とF1は良好に分離できた。このピーク面積は、比較例1で測定された試料F0のピーク面積の約13倍であり、試料は約13倍に濃縮されていた。
試料として試料F1を用いたこと以外は上記試料F0の場合と同様なクロマトグラフィー測定を行ったところ、約51秒にピークを持つクロマトグラムが得られ、F0とF1は良好に分離できた。このピーク面積は、比較例1で測定された試料F0のピーク面積の約13倍であり、試料は約13倍に濃縮されていた。
(実施例2)
試料F0及びF1の濃度を実施例1の20%としたこと以外は実施例1と同様の試験を行ったところ、溶出ピークの蛍光強度が約17%になったこと以外は同様に測定できた。
試料F0及びF1の濃度を実施例1の20%としたこと以外は実施例1と同様の試験を行ったところ、溶出ピークの蛍光強度が約17%になったこと以外は同様に測定できた。
(比較例1)
[マイクロ流体デバイスの作製]
前記工程1において、フォトマスクを図中やや右方にずらして露光して、多孔質として残す領域(12a)を約200μm右方にずらして形成することにより、流路共有部(3)を多孔質が目止めされた領域(12b)に形成したこと以外は実施例1と同様にして、流路共有部(3)にはプローブDNAが固定化されていないこと以外はマイクロ流体デバイス(D1)と同様のマイクロ流体デバイス(C1)を作製した。
[マイクロ流体デバイスの作製]
前記工程1において、フォトマスクを図中やや右方にずらして露光して、多孔質として残す領域(12a)を約200μm右方にずらして形成することにより、流路共有部(3)を多孔質が目止めされた領域(12b)に形成したこと以外は実施例1と同様にして、流路共有部(3)にはプローブDNAが固定化されていないこと以外はマイクロ流体デバイス(D1)と同様のマイクロ流体デバイス(C1)を作製した。
[試料導入試験]
マイクロ流体デバイス(C1)を使用したこと、マイクロシリンジポンプNo.1(図示略)からの試料溶液の送液を、試料溶液の先端が流路共有部(3)を通過した直後に停止し、直ちに開閉バルブ(31)(32)を閉じるとともに開閉バルブ(33)(34)を開き、シリンジポンプNo.2(図示略)からの送液を開始することによって、流路共有部(3)内の試料を第二流路(2)へ導入したこと以外は、実施例1と同様の試験を行った。
その結果、試料F0とF1はほぼ実施例1と同様の溶出時間で分離できたが、測定される溶出ピークの蛍光強度は実施例1の約7%しかなく、S/N比も悪いものであった。
マイクロ流体デバイス(C1)を使用したこと、マイクロシリンジポンプNo.1(図示略)からの試料溶液の送液を、試料溶液の先端が流路共有部(3)を通過した直後に停止し、直ちに開閉バルブ(31)(32)を閉じるとともに開閉バルブ(33)(34)を開き、シリンジポンプNo.2(図示略)からの送液を開始することによって、流路共有部(3)内の試料を第二流路(2)へ導入したこと以外は、実施例1と同様の試験を行った。
その結果、試料F0とF1はほぼ実施例1と同様の溶出時間で分離できたが、測定される溶出ピークの蛍光強度は実施例1の約7%しかなく、S/N比も悪いものであった。
(比較例2)
試料F0及びF1の濃度を比較例1の20%としたこと以外は、比較例1と同様の試験を行ったところ、溶出ピークはS/N比が悪く、信頼できる結果は得られなかった。
試料F0及びF1の濃度を比較例1の20%としたこと以外は、比較例1と同様の試験を行ったところ、溶出ピークはS/N比が悪く、信頼できる結果は得られなかった。
(比較例3)
ルアーフィッティング(25)の側面にドリルで直径2mmの孔をあけ、該孔にポリジメチルシリコン樹脂を埋めて試料注入部(図示略)を形成したこと以外は、実施例1で作製したと同様のマイクロ流体デバイス(D2)を作製した。
ルアーフィッティング(25)の側面にドリルで直径2mmの孔をあけ、該孔にポリジメチルシリコン樹脂を埋めて試料注入部(図示略)を形成したこと以外は、実施例1で作製したと同様のマイクロ流体デバイス(D2)を作製した。
マイクロ流体デバイス(C2)を用い、実施例1と同様にして各流路に緩衝液を充填した後、開閉バルブ(31)(32)を閉じ、開閉バルブ(33)(34)を開いて、シリンジポンプNo.2(図示略)より緩衝溶液を2μL/分で送液しつつ、マイクロシリンジ(図示略)を用いて試料注入部(図示略)より試料溶液0.5μLを注入した。
測定部において蛍光の時間変化を測定したところ、約32秒後から、半値幅が80秒にわたる幅広のピークが出現した。このピークは試料F0と試料F1で全く差が無く、これらの試料は分離できなかった。
測定部において蛍光の時間変化を測定したところ、約32秒後から、半値幅が80秒にわたる幅広のピークが出現した。このピークは試料F0と試料F1で全く差が無く、これらの試料は分離できなかった。
1 第一流路
2 第二流路
3 流路共有部
5 測定部
11 支持体
12 塗膜、多孔質層
12a 多孔質層の多孔質領域
12b 多孔質層の目止め領域
13 塗膜、溝が形成された樹脂層
14 蓋
21、22、23、24 孔
25、26、27、28 ルアーフィッティング、接続部
31、32、33、34 開閉バルブ
40 鋼球
41 案内部
42 鈎部
43 ストッパ
45 摺動子
2 第二流路
3 流路共有部
5 測定部
11 支持体
12 塗膜、多孔質層
12a 多孔質層の多孔質領域
12b 多孔質層の目止め領域
13 塗膜、溝が形成された樹脂層
14 蓋
21、22、23、24 孔
25、26、27、28 ルアーフィッティング、接続部
31、32、33、34 開閉バルブ
40 鋼球
41 案内部
42 鈎部
43 ストッパ
45 摺動子
Claims (13)
- 少なくとも2本の流路が交差又は接触した流路共有部に試料吸着性物質が固定化されてなり、前記流路のうちの一つが試料を移送して前記試料吸着性物質に試料を吸着させる流路であり、且つ該流路と交差又は接触する他の流路が前記試料吸着性物質から脱離した試料を移送する流路であることを特徴とするマイクロ流体素子。
- 前記試料吸着性物質が、(生)化学物質とアフィニティーを持つ物質である請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
- 前記試料吸着性物質が、ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドである請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
- 前記試料吸着性物質が固定化された部分が、前記流路共有部の流路内壁に形成された多孔質層である請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロ流体デバイス。
- 前記多孔質層が活性エネルギー線硬化性樹脂からなるものである請求項4に記載のマイクロ流体デバイス。
- 前記流路共有部以外の流路途中に流路を開閉する機構を有する請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロ流体デバイス。
- 前記脱離した試料を移送する流路がクロマトグラフィー用分離カラムであるマイクロ流体デバイス
- 微量試料の導入方法であって、
(イ)少なくとも第一流路(1)と第二流路(2)の2本の毛細管状の流路を有し、且つこれら流路が流路共有部(3)で交差又は接触しており、該流路共有部(3)に、試料吸着性物質が固定化されたマイクロ流体デバイスを使用し、
(ロ)第一流路(1)中を、流路共有部(3)を通過させて試料を移送し、前記流路共有部(3)において、前記試料を前記試料吸着性物質に吸着させ、
(ハ)次いで、流路共有部(3)を通過する第一流路(1)中の試料の移送を中止し、前記流路共有部(3)内に吸着された前記試料を脱着させて前記第二流路(2)へ導入することを特徴とする微量試料の導入方法。 - 前記第二流路(2)への試料の導入量が、流路共有部(3)の容積に相当する前記試料原溶液中に含有される試料の量より大である請求項8に記載の微量試料の導入方法。
- 前記第二流路(2)がクロマトグラフィー用分離カラムであり、前記第一流路(1)における試料の移送が、試料原溶液の送液によるものであり、前記試料の第二流路(2)への導入が、前記試料を溶解させる液体の第二流路(2)内の送液によるものであり、前記微量試料の導入方法がクロマトグラフィーの試料導入方法である請求項9または10に記載の微量試料の導入方法。
- 前記試料を溶解させる液体が、前記試料原溶液の溶媒より前記試料の溶解度が高いものである請求項10に記載の微量試料の導入方法。
- 前記第二流路(2)が電気泳動用分離カラムであり、前記第一流路(1)中の試料の移動が電気泳動及び/又は電気浸透流によるものであり、前記試料の前記第二流路(2)への導入が、第二流路(2)中の電気泳動及び/又は電気浸透流によるものであり、前記微量試料の導入方法が電気泳動分析の試料導入方法である請求項10又は11に記載の微量試料の導入方法。
- 前記試料の脱着が、前記吸着させる温度より高い温度で行うものである請求項8〜12のいずれかに記載の微量試料の導入方法。
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---|---|---|---|---|
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-
2004
- 2004-03-25 JP JP2004089046A patent/JP2005274405A/ja not_active Withdrawn
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