液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、従来、画素となる複数の開口部の各々に赤(R)、青(B)または緑(G)の着色材を所定配列(モザイク配列、ストライプ配列、デルタ配列等)となるように配置する一方、これら開口部以外の遮光部に黒色の樹脂もしくは金属酸化膜よりなるブラックマトリクスを配置している。ブラックマトリクスを使用する理由は、コントラストの向上、赤、青または緑の色材同士の混合防止、そして薄膜トランジスタ(Thin-Film Transistor, TFT)の半導体膜に対する遮光等のためである。
ところで、携帯電話機向けの液晶表示装置や小型の液晶表示装置では、それほど高いコントラストが必須ではないため、ブラックマトリクスを全く使用しないか、あるいは、隣り合う開口部の色材同士を部分的に重ね合わせることによって遮光部を形成し、ブラックマトリクスに近似した遮光機能を実現している。このようにしてブラックマトリクスを使用しないことにより、材料、工程及びコストを削減することができる、という利点があるからである。
これに対し、パソコン用モニタやTV向けの液晶表示装置では、高いコントラストが要求されるため、ブラックマトリクスを省略するにはブラックマトリクスと同等の遮光性能を有する構成が必要となる。しかし、赤、青、緑の3原色の色材を用いた一般的なカラーフィルタにおいて、隣り合う開口部の色材同士を部分的に重ね合わせてブラックマトリクスと同等の遮光機能を得ようとすると、赤色材と緑色材の重なり部(積層部)の遮光性能が他の色材の重なり部(積層部)に比べて低くなるため、バックライト光を十分に遮光することができない。このため、以前からこの問題点を改善するための種々の提案が開発され、公表されてきている。
例えば、特開2000−29014号公報(特許文献1)には、ブラックマトリックスを設けずに有効表示領域の周囲の額縁部を遮光するため、カラーフィルタ基板の有効表示領域に赤、緑、青の着色層を形成し、当該有効表示領域の周囲の額縁部に赤、緑、青のうちの2色または3色の着色層を積層して遮光層としたカラーフィルタ基板が開示されている。また、当該公報では、赤色の着色層と青色の着色層を積層するのが好ましい、とされている。これは、赤色の着色層と青色の着色層を積層した場合、緑色の着色層と青色の着色層を積層した場合や、赤色の着色層と緑色の着色層を積層した場合に比べて、光の透過率を低くすることができるからである。なお、有効表示領域における画素間の遮光は、赤、緑、青の各着色層を各々2色積ね合わせることによって行う、とされている。したがって、このカラーフィルタ基板では、画素間遮光部は隣接する2色の着色層の2層積層構造により形成され、額縁部は赤、緑、青の3色の着色層の3層積層構造またはそれらのうちの2層を用いた2層積層構造により形成されるものである。
実開昭62−181927号公報(特許文献2)には、表示色を三原色(赤、緑、青)のいずれかとし、背景部を黒色としたカラー液晶表示素子において、基板もしくは偏光板のそれぞれ異なる面に形成された三原色をなす3つのカラーフィルタを有し、これらのカラーフィルタのうちの1つは表示色として全面に形成され、残りの2つは背景部にのみ形成されており、3つのカラーフィルタの重なりにより背景部が黒色とされたことを特徴とするカラー液晶表示素子が開示されている。このカラー液晶表示素子では、黒色となる背景部が三原色のカラーフィルタの3層積層構造により形成されているから、画素間遮光部はカラーフィルタの3層積層構造により形成されるものである。
特許第2590858号公報(特開昭63−187277号公報)(特許文献3)には、透明な支持体の上に、赤、緑、青の彩色パターンと黒色パターンとを配置するとともに、画面外周部分に黒色パターンを配置してなり、黒色パターンを、赤、緑、青のうち3色または2色の彩色層を重ね合わせて形成したカラーフィルタにおいて、赤、緑、青の彩色パターンの境界部分および隣接部分に配置される黒色パターンは赤、緑、青の3色の彩色層を重ね合わせて形成し、画面外周部分の黒色パターンは赤と青の2色の彩色層を重ね合わせて形成したことを特徴とするカラーフィルタが開示されている。このカラーフィルタでは、画素間遮光部が赤、緑、青の3色の彩色層の3層積層構造により形成され、額縁部が赤と青の2色の彩色層の2層積層構造により形成されている。
特開平08−095021号公報(特許文献4)には、平坦性の良好なカラーフィルタを得るために、透明着色層の各色の形成時に着色層を重ね合わせることによりブラックマトリックス層を形成するカラーフィルタの製造方法において、カラーフィルタの遮光部にハーフトーンのマスク部を有するフォトマスクを用いて、フィルタ着色層の形成と同時に3色重ねのブラックマトリックス層を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法が開示されている。この製造方法により得られるカラーフィルタでは、画素間遮光部及び額縁部が赤、緑、青の3色の彩色層の3層積層構造により形成されている。
特開2003−014917号公報(特許文献5)には、(i)透明基板上に着色層からなる画素を複数配列し、少なくとも2色の着色層を積層して表示領域周縁額縁部を形成したカラーフィルタにおいて、赤着色層が460〜570nmの波長領域で平均透過率が1%以下であることを特徴とするカラーフィルタ、(ii)透明基板上に着色層からなる画素を複数配列し、少なくとも2色の着色層を積層して表示領域周縁額縁部を形成したカラーフィルタにおいて、青着色層が560〜750nmの波長領域で平均透過率が1%以下であることを特徴とするカラーフィルタ、(iii)透明基板上に着色層からなる画素を複数配列し、少なくとも2色の着色層を積層して表示領域周縁額縁部を形成したカラーフィルタにおいて、赤着色層及び青着色層がいずれも555〜575nmの波長領域で平均透過率が2.5%以下であることを特徴とするカラーフィルタが開示されている。これらのカラーフィルタによれば、表示領域周縁及びTFT対向部遮光領域において、着色層の積層構造のみで高OD値を得ることができる、とされている。このカラーフィルタでは、額縁部、画素間遮光部及びTFT遮光部(TFTに対向する遮光部)が、赤、緑、青の3色の彩色層の2層積層構造または3層積層構造により形成されている。
特開2002−082630号公報(特許文献6)には、(i)TFTと、第1の着色層と第2の着色層の積層からなる遮光部を有し、前記遮光部は、少なくとも前記TFTのチャネル形成領域と重なって形成されていることを特徴とする電気光学装置、(ii)複数の画素電極と、第1の着色層と第2の着色層の積層からなる遮光部を有し、前記遮光部は、任意の画素電極と、該画素電極と隣り合う画素電極との間に重なって形成されていることを特徴とする電気光学装置が開示されている。そして、前記第1の着色層は青色が好ましく、前記第2の着色層は赤色が好ましい、とされている。したがって、これらの電気光学装置では、TFTのチャネル形成領域に対応する遮光部または画素電極間遮光部が赤、緑、青の3色の彩色層のうちの2層の積層構造により形成されるものである。
ところで、パソコン用モニタやTV向けの液晶表示装置に要求される色再現性は、sRGBやEBU(European Broadcasting Union)規格によれば、NTSC(National Television System Committee)規格の72%以上であることが必要である。したがって、一般的な顔料分散法による感光性レジストを用いたカラーフィルタと、冷陰極管(Cold-Cathode Fluorescent Lamp, CCFL)を用いたバックライトとを組み合わせた場合、赤、緑、青の各々の色層の厚さは1.8〜2.0μmとなる。このため、ブラックマトリクスの全体を3色の色層を重ね合わせた遮光部で置き換えようとすると、1つの色層で構成される画素部の厚さと、3色の色層の積層体で構成される遮光部の厚さとの差(段差)が、額縁部付近で最大3.6〜4.0μmと過大になってしまう。
近年、液晶表示装置に対する応答特性の高速化が求められており、この要望に応えるためには、液晶パネルのセルギャップ(液晶層の厚さ)を4.0μm以下、好ましくは3.0μm程度に設定することが必要である。セルギャップをこのようにすると、3色の色層の積層体で構成される遮光部では、画素部と遮光部との厚さの差(段差)(最大3.6〜4.0μm)がセルギャップ(3.0μm以下)よりも大きくなる。このため、高速応答特性が要求されるパソコン用モニタやTV向けの液晶表示装置に使用されるカラーフィルタについては、遮光部を3色の色層の積層体により形成することはできず、2色の色層の積層体により形成することが必要となる。
図17は、この種の液晶表示装置に使用される従来のカラーフィルタであって、遮光部を2色の色層の積層体により形成したものの一例を示す。図17(a)は当該カラーフィルタに使用される赤色層のパターンを示す部分平面説明図、図17(b)は青色層のパターンを示す部分平面説明図、図17(c)は緑色層のパターンを示す部分平面説明図である。また、図18は、図17(a)、(b)及び(c)にそれぞれ示された赤色層、青色層及び緑色層を用いて形成される従来のカラーフィルタの部分平面説明図である。
従来のカラーフィルタに使用される赤色層101は、透明なガラス基板(図示せず)の一面(X−Y平面)上に形成されるものであり、図17(a)に示すように、複数のストライプ状の赤色画素形成部101Rと複数の連結部101Lとを有している。
ストライプ状の赤色画素形成部101Rは、いずれもY方向(図17では上下方向)に延在していると共に、X方向(図17では左右方向)に所定間隔で配置されている。赤色画素形成部101Rの各々は、Y方向に所定間隔で配置される複数の矩形の赤色画素を形成するために使用される。したがって、各赤色画素形成部101Rは、複数の赤色画素と、それら赤色画素の隣接するものを相互に連結する赤色画素間部分とから形成されている、と言うことができる。
連結部101Lは、隣接する赤色画素形成部101Rを相互に連結していると共に、Y方向に沿って所定間隔で配置された複数の矩形の青色画素用開口部101Bと、同じくY方向に沿って所定間隔で配置された複数の矩形の緑色画素用開口部101Gとを画定している。青色画素用開口部101Bの各々は、青色画素が形成されるべき位置にある。緑色画素用開口部101Gの各々は、緑色画素が形成されるべき位置にある。
したがって、赤色画素は、Y方向に所定間隔で一列に並置される。緑色画素は、赤色画素に隣接してY方向に赤色画素と同じ間隔で一列に並置される。青色画素は、緑色画素に隣接してY方向に赤色画素と同じ間隔で一列に並置される。そして、赤色画素、緑色画素及び青色画素がこの順に配置されたものが、X方向に繰り返して並置される。
従来のカラーフィルタに使用される青色層102は、赤色層101に重ねて前記ガラス基板の一面上に形成されるものであり、図17(b)に示すように、複数のストライプ状の青色画素形成部102Bと複数の連結部102Lとを有している。
ストライプ状の青色画素形成部102Bは、いずれもY方向に延在していると共に、X方向に所定間隔で配置されている。青色画素部102Bの各々は、赤色層101の対応する青色画素用開口部101Bと重なり合う位置にあり、Y方向に所定間隔で配置された複数の矩形の青色画素を形成するために使用される。したがって、各青色画素形成部102Bは、複数の青色画素と、それら青色画素の隣接するものを相互に連結する青色画素間部分とから形成されている、と言うことができる。
連結部102Lは、隣接する青色画素形成部102Bを相互に連結していると共に、Y方向に沿って所定間隔で配置された複数の矩形の赤色画素用開口部102Rと、Y方向に沿って所定間隔で配置された複数の矩形の緑色画素用開口部102Gとを画定している。赤色画素用開口部102Rの各々は、赤色画素が形成されるべき位置にある。緑色画素用開口部102Gの各々は、緑色画素が形成されるべき位置にある。したがって、赤色画素用開口部102Rは、すべて、赤色層101の対応する赤色画素形成部101Rと重なり合う位置にある。また、緑色画素用開口部102Gの各々は、赤色層101の対応する緑色画素用開口部101Gと重なり合う位置にある。
従来のカラーフィルタに使用される緑色層103は、赤色層101と青色層102に重ねて前記ガラス基板の一面上に形成されるものであり、図17(c)に示すように、複数のストライプ状の緑色画素形成部103Gから形成されている。緑色層103は、赤色層101及び青色層102とは異なり、連結部101Lや102Lのような連結部を有していない。
ストライプ状の緑色画素形成部103Gは、いずれもY方向に延在していると共に、X方向に所定間隔で配置されている。緑色画素形成部103Gの各々は、赤色層101の対応する緑色画素用開口部101G及び青色層102の対応する緑色画素用開口部102Gと重なり合う位置にあり、Y方向に所定間隔で配置された複数の矩形の緑色画素を形成するために使用される。したがって、緑色画素形成部103Gは、複数の緑色画素と、それら緑色画素の隣接するものを相互に連結する緑色画素間部分とから形成されている、と言うこともできる。
上記従来のカラーフィルタは、上述したパターンを持つ赤色層101と青色層102と緑色層103をこの順に重ね合わせて製造されるものであり、図18に示すような構成を持つ。
図18から理解されるように、赤色層101のストライプ状赤色画素形成部101Rの各々は、青色層102の対応する複数の赤色画素用開口部102Rと重なり合っており、それによって複数の赤色画素を画定している。つまり、赤色画素形成部101Rの赤色画素用開口部102Rより露出する部分が、それぞれ赤色画素となる。
同様に、青色層102のストライプ状青色画素形成部102Bの各々は、赤色層101の対応する複数の青色画素用開口部102Bと重なり合っており、それによって複数の青色画素を画定している。つまり、青色画素形成部102Bの青色画素用開口部102B内に位置する部分が、それぞれ青色画素となる。
緑色層103のストライプ状緑色画素形成部103Gの各々は、赤色層101の対応する複数の緑色画素用開口部101G及び青色層102の対応する複数の緑色画素用開口部102Gと重なり合っており、それによって複数の緑色画素を画定している。つまり、緑色画素形成部103Gの緑色画素用開口部101G及び102Gの重複箇所内に位置する部分が、それぞれ緑色画素となる。
赤色層101の各ストライプ状赤色画素形成部101Rの赤色画素間部分と、赤色層101の各連結部101Lとは、それぞれ、青色層102の対応する連結部102Lまたは青色層102の各ストライプ状青色画素形成部102Bの青色画素間部分に重なり合っており、2層構造の遮光部を形成している。つまり、この遮光部は、赤色層101と青色層102を積層してなる2層構造を持っており、ブラックマトリックスと同様のパターンを有している。ただし、緑色層103の緑色画素間部分は、赤色層101の対応する連結部101L及び青色層102の対応する連結部102Lの双方と重なっているので、この箇所に形成される遮光部だけは、赤色層101と青色層102と緑色層103の3層構造となっている。
図18のXIXA−XIXA線に沿った断面構造(緑色画素形成部103Gが存在する部分の断面構造)を図19(a)に示す。同図に示すように、赤色層101と青色層102と緑色層103は、ガラス基板109の一面に順に積層形成されており、その上にオーバーコート層123が形成されている。そして、3層構造の遮光部133(緑色層103の緑色画素間部分)に重なる位置において、オーバーコート層123上にフォトスペーサ120が形成されている。フォトスペーサ120は、公知のフォトレジスト(感光性樹脂)をパターン化して形成したものである。
図19(a)から明らかなように、遮光部133は、赤色層101と青色層102と緑色層103を積層してなる3層構造となっており、それらを覆うオーバーコート層123の上にフォトスペーサ120が形成されている。このため、緑色層103(緑色画素形成部103G)により形成された緑色画素とそれに隣接する遮光部133との間には、赤色層101の厚さと青色層102の厚さの和にほぼ等しい段差hが生じている。
青色層102の青色画素間部分と連結部102Lの幅は、赤色層101の青色画素間部分と連結部101Lの幅よりも少し大きくされている。このため、図19(a)に示すように、青色層102の青色画素間部分と連結部102Lの両側縁が、赤色層101青色画素間部分あるいは連結部101Lを越えてガラス基板109の面に接触している。
図19(a)に示した構成を持つカラーフィルタに対して、TFT基板126を接合した状態を図19(b)に示す。このとき、同図から明らかなように、セルギャップcは、段差hにフォトスペーサ120の高さを加算したものに等しい。
図20(a)は、上述した従来のカラーフィルタにおいて、フォトスペーサ120の位置を青色層102の上に変えた場合の状態を示す。図20(a)のXXIA−XXIA線に沿った断面構造(青色画素形成部102Bが存在する部分の断面構造)を図21(a)に示す。同図より明らかなように、この箇所における遮光部133aは、赤色層101と青色層102の2層構造であり、したがって、青色画素とそれに隣接する遮光部133aとの間に生じる段差iは、赤色層101の厚さにほぼ等しい。この段差iは、緑色画素とそれに隣接する遮光部133との間の段差h(図19を参照)よりも、緑色層103の厚さだけ小さい。
図20(a)のカラーフィルタに対してTFT基板126を接合した状態を図21(b)に示す。同図から明らかなように、セルギャップcは、段差iにフォトスペーサ120の高さを加算したものに等しいが、段差iが段差hよりも小さいため、それだけフォトスペーサ120の高さを大きくすることができる。
図20(a)のXXIIA−XXIIA線に沿った断面構造(緑色画素形成部103Gが存在する部分の断面構造)は、図22(a)に示すようになる。この構造は、フォトスペーサ120が存在しない点を除いて、図19(a)の構造と同じである。したがって、図22(a)の段差jは、図19(a)の段差hと同じ大きさである。この構造にTFT基板126を接合した時の状態は、図22(b)に示すようになる。この場合、図21(b)と同じセルギャップcに設定されたとすると、遮光部133上のギャップeはセルギャップcから段差jを減算したものに等しくなるから、遮光部133a上のギャップ(これはフォトスペーサ120の高さに等しい)よりもかなり小さくなってしまう。
このように、フォトスペーサ120を緑色画素形成部103G上に配置する場合(図18を参照)は、段差hが大きくなるため、所望のセルギャップcを得るためには、フォトスペーサ120の高さを小さくする必要がある。遮光部133上のギャップeは、フォトスペーサ120の高さに等しいから、フォトスペーサ120の高さを小さくしただけギャップeも小さくなる。他方、フォトスペーサ120を青色画素形成部102B上に配置する場合(図20(a)を参照)は、青色画素と遮光部133aの間の段差iが、緑色画素と遮光部133の間の段差hよりも小さくなる(i<h)ため、それだけフォトスペーサ120の高さを大きくして、遮光部133上のギャップeを大きくすることが可能となる。
なお、フォトスペーサ120の形成位置は、図20(b)に示すように、赤色画素形成部101R上に配置してもよい。この場合の断面構造は、フォトスペーサ120を青色画素形成部102B上に配置する場合(図21(a))と同じであるから、それに関する説明は省略する。
TFT基板126としては、例えば図23に示すIPS(In-Plane Switching)方式の構成のものが使用される。このTFT基板126は、特開2005−241923号公報の図6に記載されているものとほぼ同じ構成である。
図23において、143は金属製の共通電極配線、145は共通電極用コンタクトホール、146は透明な共通電極、147は透明な画素電極、148は画素電極用コンタクトホール、149は走査線、150はデータ線、151はTFT、152はTFT151のソース電極、153はTFT151のドレイン電極、154はTFT151の活性層を形成するアイランド状に形成されたアモルファス・シリコン(a−Si)膜、156は画素補助電極である。
画素電極147は3本のジグザグ状のクシ歯を持っており、共通電極146は4本のジグザグ状のクシ歯を持っていて、両者は隣接する走査線149及び隣接するデータ線150に挟まれた領域において交互に噛み合うように配置されている。共通電極146の両端にある2本のクシ歯は、対応するデータ線150とそれぞれ重なり合っている。画素補助電極156は、一本のクシ歯を持っており、画素電極147の中央のクシ歯と重なり合っている。
各データ線150は、対応するTFT151のドレイン電極153に電気的に接続されている。各走査線149は、対応するTFT151のゲート電極(図示せず)に電気的に接続されている。各画素電極147は、対応するTFT151のソース電極152に電気的に接続されている。各画素電極147は、対応する画素電極用コンタクトホール148を介して対応するTFT151のソース電極152に電気的に接続されている。各共通電極146は、対応する共通電極用コンタクトホール145を介して対応する共通電極配線143に電気的に接続されている。
図17〜図22に示した上記従来のカラーフィルタでは、以下のような問題がある。
第一の問題は、緑色画素とそれに隣接する3層構造の遮光部133の間に生じる段差h(図19参照)が、セルギャップcの設計自由度を損なうほど大きいことである。
つまり、緑色画素と遮光部133の間の段差hは、遮光部133の幅にも依存するが、赤色層101と緑色層103との重なり部分の厚さが、赤色画素形成部101Rおよび緑色画素形成部103Gそれぞれの厚さの70〜90%(この値は各色のレジスト塗布時のフローによる平坦化を考慮して決められる)に設定されている場合、たとえば赤色画素形成部101Rの厚さが2.0μm、青色画素形成部102Bの厚さが2.0μm、緑色画素形成部103Gの厚さが2.0μmで、オーバーコート層123の厚さが1.0μmとすると、色が重なっている遮光部133の合計厚さは約5μm〜約6μm程度、各画素形成部の合計厚さは3.0μm(このとき遮光部133のオーバーコート層の厚さは粘度にも依存するがかなり薄くなる)となり、段差hが約2.0〜約3.0μm程度と非常に大きくなってしまう。例えば、段差hが3.0μmであるとすると、緑色画素におけるセルギャップcを3.0μm以下に設定することが困難であるから、セルギャップ設計の自由度が大幅に損なわれてしまうのである。
この段差hを小さくするため、3層構造の遮光部133上にある緑色層103(緑色画素形成部103Gの緑色画素間部分)を研磨して除去することも考えられる。しかし、緑色層103の緑色画素間部分は、対応する遮光部のほぼ全面にわたって存在しており、研磨・除去すべき緑色層103の面積が広大であるため、たとえ当該カラーフィルタの全面を研磨する研磨機を使用したとしても除去することが難しい。また、研磨作業にも長時間を要するから、タクトが大幅に増えて量産性を損なうことにもなる。
第二の問題は、フォトスペーサ120の塑性変形もしくは破壊による局所的なギャップ不良が発生しやすく、また、色再現性を高めるために色層を厚くすることが難しいことである。
すなわち、セルギャップcを一定とすると、緑色画素と3層構造の遮光部133との間の段差hによってフォトスペーサ120の高さが決まるが、段差hは赤色層101の厚さと青色層102の厚さの和にほぼ等しいから、色再現性を高めるために赤色層101及び青色層102を厚くすることは、段差hの増加とフォトスペーサ120の高さの減少につながる。このため、赤色層101及び青色層102(そして緑色層103)を厚くして色再現性を高めることが難しいのである。
また、フォトスペーサ120の弾性変形量は、その高さの減少に伴って減少するので、段差hの増加に起因してフォトスペーサ120の高さが減少すると、それだけ液晶パネルの外部から表示面への局所的な加圧ストレスに対応する変形マージンが小さくなる。その結果、フォトスペーサ120の塑性変形もしくは破壊による局所的なギャップ不良が発生しやすくなる。
第三の問題は、有効表示領域内における2層構造の遮光部133aが、液晶表示装置のIPS、VA(Vertically Aligned)等のノーマリーブラック・モードの動作特性や、TFT基板126上の金属配線によるバックライト光の遮光効果を、有効に活用できていないことである。
すなわち、上記従来のカラーフィルタでは、OD(Optical Density, 光学濃度)値が低くてもよい領域も含めて、赤色層101と青色層102の2層構造(OD値が最大となる)からなる遮光部133aを使用していることから、緑色画素に隣接する箇所に赤色層101、青色層102、緑色層103の3層構造からなる遮光部133が生じ、その結果、緑色画素と遮光部133の間の大きな段差hに合わせてセルギャップcを設定せざるを得ない。このため、セルギャップcの設定の如何によっては、3層構造の遮光部133とTFT基板126との間のギャップe(図22(b)を参照)が非常に狭くなって、そのギャップeに異物を噛み込みやすくなり、問題が生じる。なぜなら、この狭いギャップに異物が噛み込むと、遮光部133にギャップ不良が生じて表示品位が悪影響を受けるからである。
本発明は、図17〜図22に示した上記従来のカラーフィルタにおける上記の第一〜第三の問題を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、2色の色層の積層構造によって形成される遮光部と各色画素を形成する色材との間の段差を、簡易な方法によって小さくすることができるカラーフィルタ、そのカラーフィルタの製造方法、及びそのカラーフィルタを用いた液晶表示装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、2色の色層の積層構造によって形成される遮光部上に存在する他色の色層の部分を、研磨によって容易に除去することができるカラーフィルタ、そのカラーフィルタの製造方法、及びそのカラーフィルタを用いた液晶表示装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、2色の色層の積層構造によって形成される遮光部によって所望の遮光性能を得るための各色層のパターン化が容易に行えるカラーフィルタ、そのカラーフィルタの製造方法、及びそのカラーフィルタを用いた液晶表示装置を提供することにある。
ここに明記しない本発明の他の目的は、以下の説明及び添付図面から明らかである。
(1) 本発明の第1の観点では、カラーフィルタが提供される。このカラーフィルタは、
透明な支持体と、
所定間隔で配置された複数のストライプ状の第1色画素形成部、複数の第2色画素用開口部及び複数の第3色画素用開口部を有する、前記支持体上に形成された第1色層と、
所定間隔で配置された複数のストライプ状の第2色画素形成部、複数の第1色画素用開口部及び複数の第3色画素用開口部を有する、前記第1色層に重ねて形成された第2色層と、
相互に分離された複数のアイランド状の第3色画素形成部を有する第3色層とを備え、
前記第1色層の前記第1色画素形成部は、前記第2色層の前記第1色画素用開口部と重なることによって複数の第1色画素を画定していると共に、前記第2色層の前記第2色画素形成部は、前記第1色層の前記第2色画素用開口部と重なることによって複数の第2色画素を画定しており、
前記第3色層の前記第3色画素形成部は、相互に重なり合った前記第1色層の前記第3色画素用開口部及び前記第2色層の第3色画素用開口部にそれぞれ配置されて複数の第3色画素を形成しており、
前記第1色層と前記第2色層の重なり部分は、遮光部として機能することを特徴とするものである。
本発明の第1の観点によるカラーフィルタでは、前記支持体上に上記構成を持つ前記第1色層と前記第2色層と前記第3色層が形成されており、前記第1色層と前記第2色層の重なり部分が遮光部として機能する。このため、遮光部を形成するためのブラックマトリックスが不要である。
また、前記第3色層の前記第3色画素形成部は、アイランド状であって、相互に重なり合った前記第1色層の前記第3色画素用開口部と前記第2色層の前記第3色画素用開口部にそれぞれ配置されているため、前記第3色画素形成部の寸法を適切に調整することにより、前記遮光部の機能を持つ前記第1色層と前記第2色層の重なり部分上に前記第3色画素形成部がほとんど存在しないようにすることができる。このため、前記遮光部と、前記第1色画素、前記第2色画素または前記第3色画素(つまり、各色画素を形成する色材)との間の段差を小さくすることができる。しかも、この段差減少は簡易な方法で実現できる。何故なら、前記遮光部と、前記第1色画素、前記第2色画素または前記第3色画素との間の段差の減少は、前記第3色層の前記第3色画素形成部を相互に分離したアイランド状とすることにより得られるからである。
さらに、前記遮光部の機能を持つ前記第1色層と前記第2色層の重なり部分上に前記第3色画素形成部の周辺部がほとんど重ならないようにすることができるため、前記遮光部上に存在する前記第3色層(前記第3色画素形成部)の量が少量に抑えられ、その結果、前記遮光部上の前記第3色画素形成部を研磨によって容易に除去することが可能となる。
さらに、前記第1色層及び前記第2色層は、いずれも、ストライプ状の画素形成部と第2色画素用開口部と第3色画素用開口部を形成するだけでよく、前記第3色層はアイランド状の画素形成部を形成するだけでよい。したがって、所望の遮光性能を得るための各色層(前記第1色層、前記第2色層及び前記第3色層)のパターン化を容易に行うことができる。
本発明の第1の観点のカラーフィルタの好ましい例では、前記第1色層の前記第1色画素形成部が、第1方向に所定間隔で配置されていると共に前記第1方向に直交する第2方向に延在し、前記第1色層の前記第2色画素用開口部及び前記第3色画素用開口部が、隣接する前記第1色画素形成部を連結する複数の連結部によって画定される。また、前記第2色層の前記第2色画素形成部が、前記第1方向に所定間隔で配置されていると共に前記第2方向に延在し、前記第2色層の前記第1色画素用開口部及び前記第3色画素用開口部が、隣接する前記第2色画素形成部を連結する複数の連結部によって画定される。
本発明の第1の観点のカラーフィルタの他の好ましい例では、前記遮光部上に前記第3色画素形成部の周辺部が重なっており、その重なり幅が5.0μm以下(好ましくは3.0μm以下)とされる。この例では、前記遮光部上に前記第3色画素形成部の周辺部が存在するが、その影響は小さく、問題を生じないレベルに抑えることができる。したがって、この例では、前記第3色画素形成部の周辺部を研磨・除去する工程が不要であるという利点がある。
前記遮光部上に前記第3色画素形成部の周辺部が重なっている例では、前記遮光部上に重なった前記第3色画素形成部の周辺部を埋め込むように配置されたスペーサをさらに備えるのが好ましい。こうすれば、前記第3色画素形成部の周辺部による影響を低減することができるからである。
本発明の第1の観点のカラーフィルタのさらに他の好ましい例では、前記遮光部上に前記第3色画素形成部の周辺部が重なっていない。この例では、前記遮光部上に前記第3色画素形成部が存在しないため、前記遮光部が完全な2層構造となり、前記第1色画素、前記第2色画素または前記第3色画素との間の段差をいっそう小さくすることができる、という利点がある。
前記遮光部上に前記第3色画素形成部の周辺部が重なっていない例では、前記遮光部上に配置されたスペーサをさらに備えるのが好ましい。この場合、前記遮光部上に前記第3色画素形成部が存在しないため、スペーサの配置個所を前記遮光部上の任意に位置に設定することができる利点がある。
本発明の第1の観点のカラーフィルタのさらに他の好ましい例では、前記第1色層が赤色層及び青色層のいずれか一方とされ、前記第2色層が他方とされる。この例では、前記遮光部が、赤色層、青色層及び緑色層のうちのいずれか2層を重ねたものの中で最大の遮光率を持つ、という利点がある。
本発明の第1の観点のカラーフィルタのさらに他の好ましい例では、前記第1色層または前記第2色層が赤色層とされる。この例では、TFTの電流リークに大きな影響を及ぼす波長の光を効果的に遮光することができる、という利点がある。
(2) 本発明の第2の観点では、本発明の第1の観点によるカラーフィルタの製造方法が提供される。このカラーフィルタの製造方法は、
透明な支持体上に、所定間隔で配置された複数のストライプ状の第1色画素形成部、複数の第2色画素用開口部及び複数の第3色画素用開口部を有する第1色層を形成する工程と、
所定間隔で配置された複数のストライプ状の第2色画素形成部、複数の第1色画素用開口部及び複数の第3色画素用開口部を有する第2色層を、前記第1色層に重ねて形成し、もって前記第1色層の前記第1色画素形成部を前記第2色層の前記第1色画素用開口部に重ねて複数の第1色画素を画定すると共に、前記第2色層の前記第2色画素形成部を前記第1色層の前記第2色画素用開口部に重ねて複数の第2色画素を画定する工程と、
相互に分離された複数のアイランド状の第3色画素形成部を有する第3色層を形成し、もって前記第3色層の前記第3色画素形成部を相互に重なり合った前記第1色層の前記第3色画素用開口部及び前記第2色層の第3色画素用開口部にそれぞれ配置して、複数の第3色画素を形成する工程とを備え、
前記第1色層と前記第2色層の重なり部分を遮光部として機能させることを特徴とするものである。
本発明の第2の観点によるカラーフィルタの製造方法では、上述したように、前記支持体上に上記構成を持つ前記第1色層と前記第2色層と前記第3色層を順に形成することにより、前記第1色層と前記第2色層の重なり部分によって遮光部を形成する。このため、遮光部を形成するためのブラックマトリックスが不要となる。
また、前記第3色層の前記第3色画素形成部は、アイランド状であって、相互に重なり合った前記第1色層の前記第3色画素用開口部と前記第2色層の前記第3色画素用開口部にそれぞれ配置されているため、前記第3色画素形成部の寸法を適切に調整することにより、前記遮光部の機能を持つ前記第1色層と前記第2色層の重なり部分上に前記第3色層がほとんど存在しないようにすることができる。このため、前記遮光部と、前記第1色画素、前記第2色画素または前記第3色画素(つまり、各色画素を形成する色材)との間の段差を小さくすることができる。しかも、この段差減少は簡易な方法で実現できる。何故なら、前記遮光部と、前記第1色画素、前記第2色画素または前記第3色画素との間の段差の減少は、前記第3色層の前記第3色画素形成部を相互に分離したアイランド状とすることにより得られるからである。
さらに、前記遮光部の機能を持つ前記第1色層と前記第2色層の重なり部分上に前記第3色画素形成部の周辺部がほとんど重ならないようにすることができるため、前記遮光部上に存在する前記第3色画素形成部の量が少量に抑えられ、その結果、前記遮光部上の前記第3色画素形成部を研磨によって容易に除去することが可能となる。
さらに、前記第1色層及び前記第2色層は、いずれも、ストライプ状の画素形成部と第2色画素用開口部と第3色画素用開口部を形成するだけでよく、前記第3色層はアイランド状の画素形成部を形成するだけでよい。したがって、所望の遮光性能を得るための各色層(前記第1色層、前記第2色層及び前記第3色層)のパターン化を容易に行うことができる。
本発明の第2の観点のカラーフィルタの製造方法の好ましい例では、前記第1色層の前記第1色画素形成部が、第1方向に所定間隔で配置されていると共に前記第1方向に直交する第2方向に延在し、前記第1色層の前記第2色画素用開口部及び前記第3色画素用開口部が、隣接する前記第1色画素形成部を連結する複数の連結部によって画定される。また、前記第2色層の前記第2色画素形成部が、前記第1方向に所定間隔で配置されていると共に前記第2方向に延在し、前記第2色層の前記第1色画素用開口部及び前記第3色画素用開口部が、隣接する前記第2色画素形成部を連結する複数の連結部によって画定される。
本発明の第2の観点のカラーフィルタの製造方法の他の好ましい例では、前記第3色層を形成する工程において、前記第3色画素形成部の周辺部が前記遮光部上に重ねられ、その重なり幅が5.0μm以下(好ましくは3.0μm以下)とされる。この例では、前記遮光部上に前記第3色画素形成部の周辺部が存在するが、その影響は小さく、問題を生じないレベルに抑えることができる。したがって、この例では、前記第3色画素形成部の周辺部を研磨・除去する工程が不要であるという利点がある。
前記第3色層を形成する工程において前記遮光部上に前記第3色画素形成部の周辺部が重ねられる例では、前記遮光部上に重なった前記第3色画素形成部の周辺部を埋め込むように配置されたスペーサを形成する工程をさらに備えるのが好ましい。こうすれば、前記第3色画素形成部の周辺部による影響を低減することができるからである。
本発明の第2の観点のカラーフィルタの製造方法の好ましい例では、前記第3色層を形成する工程の終了後に、前記遮光部上に存在する前記第3色画素形成部の周辺部を除去するために、前記第3色層を研磨する工程が実行される。この例では、前記遮光部上にある前記第3色画素形成部(の周辺部)を確実に除去することができるので、前記遮光部と、前記第1色画素、前記第2色画素または前記第3色画素との間の段差をいっそう小さくすることができる、という利点がある。
本発明の第2の観点のカラーフィルタの製造方法の他の好ましい例では、前記第1色層が赤色層及び青色層のいずれか一方とされ、前記第2色層が他方とされる。この例では、前記遮光部が、赤色層、青色層及び緑色層のうちのいずれか2層を重ねたものの中で最大の遮光率を持つ、という利点がある。
本発明の第2の観点のカラーフィルタの製造方法の他の好ましい例では、前記第1色層または前記第2色層が赤色層とされる。この例では、TFTのリークに大きな影響を及ぼす光を効果的に遮光することができる、という利点がある。
(3) 本発明の第3の観点では、他のカラーフィルタが提供される。このカラーフィルタは、
透明な支持体と、
第1方向に所定間隔で配置された複数のストライプ状の第1色画素形成部及び複数の第2色・第3色画素用開口部を有する、前記支持体上に形成された第1色層と、
前記第1方向に所定間隔で配置された複数のストライプ状の第2色画素形成部及び複数の第1色・第3色画素用開口部を有する、前記第1色層に重ねて形成された第2色層と、
相互に分離された複数のアイランド状の第3色画素形成部を有する第3色層とを備え、
前記第2色層の複数の前記第2色画素形成部は、前記第1色層の複数の前記第2色・第3色画素用開口部の第2色画素用部分とそれぞれ重なり合うと共に、前記第2色層の複数の前記第1色・第3色画素用開口部は、前記第1色層の複数の前記第1色画素形成部及び複数の前記第2色・第3色画素用開口部の第3色画素用部分とそれぞれ重なり合っており、
前記第3色層の複数の前記第3色画素形成部は、相互に重なり合った前記第1色層の複数の前記第2・第3色画素用開口部の前記第3色画素用部分と前記第2色層の複数の前記第1・第3色画素用開口部の前記第3色画素用部分にそれぞれ配置されており、
前記第2色層の前記第1色・第3色画素用開口部及び前記第3色層の前記第3色画素形成部に重なり合った前記第1色層の前記第1色画素形成部は、それぞれ第1色画素を画定し、前記第1色層の前記第2色・第3色画素用開口部及び前記第3色層の前記第3色画素形成部に重なり合った前記第2色層の前記第2色画素形成部は、それぞれ第2色画素を画定し、前記第1色層の前記第2色・第3色画素用開口部及び前記第2色層の前記第1色・第3色画素用開口部と重なり合った前記第3色層の前記第3色画素形成部は、それぞれ第3色画素を画定しており、
前記第1方向に延在する第1遮光部は、前記第1色層と前記第2色層の重なり部分によって形成されていると共に、前記第1方向に直交する第2方向に延在する第2遮光部は、前記第1色層と前記第2色層の重なり部分と、前記第2色層と前記第3色層の重なり部分と、前記第3色層と前記第1色層の重なり部分とによって形成されていることを特徴とするものである。
本発明の第3の観点によるカラーフィルタでは、前記支持体上に上記構成を持つ前記第1色層と前記第2色層と前記第3色層が形成されており、前記第1方向に延在する第1遮光部は、前記第1色層と前記第2色層の重なり部分によって形成されていると共に、前記第2方向に延在する第2遮光部は、前記第1色層と前記第2色層の重なり部分と、前記第2色層と前記第3色層の重なり部分と、前記第3色層と前記第1色層の重なり部分(つまり、隣接する2色層の重なり部分)とによって形成されている。このため、遮光部を形成するためのブラックマトリックスが不要である。
また、前記第1色層の前記第2色・第3色画素用開口部及び前記第2色層の前記第1色・第3色画素用開口部との重なりによって前記第3色画素を画定する前記第3色画素形成部は、相互に分離されたアイランド状であるため、前記第3色画素形成部の寸法を適切に調整することにより、前記第1方向に延在する第1遮光部の機能を持つ前記第1色層と前記第2色層の重なり部分上に前記第3色画素形成部がほとんど存在しないようにすることができる。このため、前記第1遮光部と、前記第1色画素、前記第2色画素または前記第3色画素との間の段差を小さくすることができる。しかも、この段差減少は簡易な方法で実現できる。何故なら、前記第1遮光部と、前記第1色画素、前記第2色画素または前記第3色画素との間の段差の減少は、前記第3色層の前記第3色画素形成部を相互に分離したアイランド状とすることにより得られるからである。
さらに、前記第3色層の前記第3色画素形成部の寸法を適切に調整することにより、前記第1遮光部の機能を持つ前記第1色層と前記第2色層の重なり部分上に前記第3色画素形成部の周辺部がほとんど重ならないようにすることができる。このため、前記第1遮光部上に存在する前記第3色層の量が少量に抑えられ、その結果、前記第1遮光部上の前記第3色画素形成部を研磨によって容易に除去することが可能となる。
さらに、前記第1色層及び前記第2色層は、いずれも、ストライプ状の色画素形成部と第2色・第3色画素用開口部とを形成するだけでよく、前記第3色層はアイランド状の画素形成部を形成するだけでよい。したがって、所望の遮光性能を得るための各色層(前記第1色層、前記第2色層及び前記第3色層)のパターン化を容易に行うことができる。
本発明の第3の観点のカラーフィルタの好ましい例では、前記第1色層の前記第2色・第3色画素用開口部が、隣接する前記第1色画素形成部を連結する複数の連結部によって画定される。また、前記第2色層の前記第1色・第3色画素用開口部が、隣接する前記第2色画素形成部を連結する複数の連結部によって画定される。
本発明の第3の観点のカラーフィルタの他の好ましい例では、前記第1遮光部上に前記第3色画素形成部の周辺部が重なっており、その重なり幅が5.0μm以下(好ましくは3.0μm以下)とされる。この例では、前記第1遮光部上に前記第3色画素形成部の周辺部が存在するが、その影響は小さく、問題を生じないレベルに抑えることができる。したがって、この例では、前記第3色画素形成部の周辺部を研磨・除去する工程が不要であるという利点がある。
前記第1遮光部上に前記第3色画素形成部の周辺部が重なっている例では、前記第1遮光部上に重なった前記第3色画素形成部の周辺部を埋め込むように配置されたスペーサをさらに備えるのが好ましい。こうすれば、前記第3色画素形成部の周辺部による影響を低減することができるからである。
本発明の第3の観点のカラーフィルタのさらに他の好ましい例では、前記第1遮光部上に前記第3色画素形成部の周辺部が重なっていない。この例では、前記第1遮光部上に前記第3色画素形成部が存在しないため、前記第1遮光部が完全な2層構造となり、前記第1色画素、前記第2色画素または前記第3色画素との間の段差をいっそう小さくすることができる、という利点がある。
前記遮光部上に前記第3色画素形成部の周辺部が重なっていない例では、前記第1遮光部上に配置されたスペーサをさらに備えるのが好ましい。この場合、前記第1遮光部上に前記第3色画素形成部が存在しないため、スペーサの配置個所を前記第1遮光部上の任意に位置に設定することができる利点がある。
本発明の第3の観点のカラーフィルタのさらに他の好ましい例では、前記第1色層が赤色層及び青色層のいずれか一方とされ、前記第2色層が他方とされる。この例では、前記第1遮光部が、赤色層、青色層及び緑色層のうちのいずれか2層を重ねたものの中で最大の遮光率を持つ、という利点がある。
本発明の第3の観点のカラーフィルタのさらに他の好ましい例では、前記第1色層または前記第2色層が赤色層とされる。この例では、前記第1遮光部が赤色層を含むので、TFTの電流リークに大きな影響を及ぼす光を効果的に遮光することができる、という利点がある。
(4) 本発明の第4の観点では、本発明の第3の観点によるカラーフィルタの製造方法が提供される。このカラーフィルタの製造方法は、
透明な支持体上に、第1方向に所定間隔で配置された複数のストライプ状の第1色画素形成部及び複数の第2色・第3色画素用開口部を有する第1色層を形成する工程と、
前記第1方向に所定間隔で配置された複数のストライプ状の第2色画素形成部及び複数の第1色・第3色画素用開口部を有する第2色層を、前記第1色層に重ねて形成し、もって、前記第2色層の複数の前記第2色画素形成部を前記第1色層の複数の前記第2色・第3色画素用開口部の第2色画素用部分にそれぞれ重ね合わせると共に、前記第2色層の複数の前記第1色・第3色画素用開口部を前記第1色層の複数の前記第1色画素形成部及び複数の前記第2色・第3色画素用開口部の第3色画素用部分にそれぞれ重ね合わせる工程と、
相互に分離された複数のアイランド状の第3色画素形成部を有する第3色層を形成し、もって前記第3色層の複数の前記第3色画素形成部を、相互に重なり合った前記第1色層の複数の前記第2・第3色画素用開口部の前記第3色画素用部分と前記第2色層の複数の前記第1・第3色画素用開口部の前記第3色画素用部分にそれぞれ配置する工程とを備え、
前記第2色層の前記第1色・第3色画素用開口部及び前記第3色層の前記第3色画素形成部に重なり合った前記第1色層の前記第1色画素形成部は、それぞれ第1色画素を画定し、前記第1色層の前記第2色・第3色画素用開口部及び前記第3色層の前記第3色画素形成部に重なり合った前記第2色層の前記第2色画素形成部は、それぞれ第2色画素を画定し、前記第1色層の前記第2色・第3色画素用開口部及び前記第2色層の前記第1色・第3色画素用開口部と重なり合った前記第3色層の前記第3色画素形成部は、それぞれ第3色画素を画定しており、
前記第1方向に延在する第1遮光部は、前記第1色層と前記第2色層の重なり部分によって形成されていると共に、前記第1方向に直交する第2方向に延在する第2遮光部は、前記第1色層と前記第2色層の重なり部分と、前記第2色層と前記第3色層の重なり部分と、前記第3色層と前記第1色層の重なり部分とによって形成されていることを特徴とするものである。
本発明の第4の観点によるカラーフィルタの製造方法では、上述したように、前記支持体上に上記構成を持つ前記第1色層と前記第2色層と前記第3色層を順に形成することにより、前記第1方向に延在する前記第1遮光部を、前記第1色層と前記第2色層の重なり部分によって形成し、また、前記第2方向に延在する前記第2遮光部を、前記第1色層と前記第2色層の重なり部分と、前記第2色層と前記第3色層の重なり部分と、前記第3色層と前記第1色層の重なり部分とによって形成する。このため、これらの遮光部を形成するためのブラックマトリックスが不要である。
また、前記第3色層の前記第3色画素形成部は、前記第1色層の前記第2色・第3色画素用開口部の前記第3画素用部分及び前記第2色層の前記第1色・第3色画素用開口部の前記第3画素用部分の重なりによって第3色画素を画定するものであって、相互に分離されたアイランド状とされている。このため、前記第3色画素部の寸法を適切に調整することにより、前記第1遮光部の機能を持つ前記第1色層と前記第2色層の重なり部分上に前記第3色画素形成部がほとんど存在しないようにすることができる。このため、前記第1遮光部と、前記第1色画素、前記第2色画素または前記第3色画素との間の段差を小さくすることができる。しかも、この段差減少は簡易な方法で実現できる。何故なら、前記第1遮光部と、前記第1色画素、前記第2色画素または前記第3色画素との間の段差の減少は、前記第3色層の前記第3色画素部を相互に分離したアイランド状とすることにより得られるからである。
さらに、前記第1遮光部の機能を持つ前記第1色層と前記第2色層の重なり部分上に前記第3色画素形成部の周辺部がほとんど重ならないようにすることができるため、前記第1遮光部上に存在する前記第3色画素形成部の量が少量に抑えられ、その結果、前記第1遮光部上の前記第3色画素形成部を研磨によって容易に除去することが可能となる。
さらに、前記第1色層及び前記第2色層は、いずれも、ストライプ状の色画素形成部とそれらを連結する連結部とを形成するだけでよく、前記第3色層はアイランド状の画素形成部を形成するだけでよい。したがって、所望の遮光性能を得るための各色層(前記第1色層、前記第2色層及び前記第3色層)のパターン化を容易に行うことができる。
本発明の第4の観点のカラーフィルタの製造方法の好ましい例では、前記第1色層の前記第2色・第3色画素用開口部が、隣接する前記第1色画素形成部を連結する複数の連結部によって画定される。また、前記第2色層の前記第1色・第3色画素用開口部が、隣接する前記第2色画素形成部を連結する複数の連結部によって画定される。
本発明の第4の観点のカラーフィルタの製造方法の他の好ましい例では、前記第3色層を形成する工程において、前記第3色画素形成部の周辺部が前記第1遮光部上に重ねられ、その重なり幅が5.0μm以下(好ましくは3.0μm以下)とされる。この例では、前記第1遮光部上に前記第3色画素形成部の周辺部が存在するが、その影響は小さく、問題を生じないレベルに抑えることができる。したがって、この例では、前記第3色画素形成部の周辺部を研磨・除去する工程が不要であるという利点がある。
前記第3色層を形成する工程において前記第1遮光部上に前記第3色画素形成部の周辺部が重ねられる例では、前記第1遮光部上に重なった前記第3色画素形成部の周辺部を埋め込むように配置されたスペーサを形成する工程をさらに備えるのが好ましい。こうすれば、前記第3色画素形成部の周辺部による影響を低減することができるからである。
本発明の第4の観点のカラーフィルタの製造方法のさらに他の好ましい例では、前記第3色層を形成する工程の終了後に、前記第1遮光部上に存在する前記第3色画素形成部の周辺部を除去するために、前記第3層を研磨する工程が実行される。この例では、前記第1遮光部上に前記第3色画素形成部(の周辺部)が存在しないため、前記第1遮光部が完全な2層構造となり、前記第1色画素、前記第2色画素または前記第3色画素との間の段差をいっそう小さくすることができる、という利点がある。
本発明の第4の観点のカラーフィルタの製造方法のさらに他の好ましい例では、前記第1色層が赤色層及び青色層のいずれか一方とされ、前記第2色層が他方とされる。この例では、前記遮光部が、赤色層、青色層及び緑色層のうちのいずれか2層を重ねたものの中で最大の遮光率を持つ、という利点がある。
本発明の第4の観点のカラーフィルタの製造方法の他の好ましい例では、前記第1色層または前記第2色層が赤色層とされる。この例では、TFTの電流リークに大きな影響を及ぼす光を効果的に遮光することができる、という利点がある。
(5) 本発明の第5の観点では、液晶表示装置が提供される。この液晶表示装置は、上述した本発明の第1の観点によるカラーフィルタまたは第3の観点によるカラーフィルタを装着した対向基板と、複数のスイッチング用能動素子を備えた能動素子基板とを備えていることを特徴とする。
本発明の第5の観点の液晶表示装置では、上述した本発明の第1の観点のカラーフィルタまたは第3の観点のカラーフィルタを装着した対向基板と、複数のスイッチング用能動素子を備えた能動素子基板とを備えているので、ブラックマトリクスを使用せずに高いコントラストと良好な色再現性が得られると共に、応答特性も高速にすることができる。
本発明の第5の観点の液晶表示装置の好ましい例では、当該液晶表示装置がノーマリーブラック・モードで動作し、また、前記能動素子基板上の共通電極が、前記能動素子基板から生じる漏れ電界をシールドするシールド部を有していて、当該シールド部によって前記能動素子基板上の走査線の近傍における遮光を行う。
本発明の第5の観点の液晶表示装置の他の好ましい例では、前記カラーフィルタの前記第1遮光部が、前記能動素子基板上の走査線に対応する箇所の遮光に使用され、前記カラーフィルタの前記第2遮光部が、前記能動素子基板上のデータ線に対応する箇所の遮光に使用される。
本発明の第5の観点の液晶表示装置のさらに他の好ましい例では、前記能動素子基板上の配線でバックライト光を遮光できる箇所に対しては、前記カラーフィルタの前記第2遮光部が配置され、前記能動素子基板上の配線でバックライト光を遮光できない箇所に対しては、前記カラーフィルタの前記第1遮光部が配置される。
本発明の第1の観点及び第3の観点によるカラーフィルタによれば、(a)2色の色層の積層構造によって形成される遮光部と各色画素を形成する色材との間の段差を、簡易な方法によって小さくすることができる、(b)2色の色層の積層構造によって形成される遮光部上に存在する他色の色層の部分を、研磨によって容易に除去することができる、(c)2色の色層の積層構造によって形成される遮光部によって所望の遮光性能を得るための各色層のパターン化が容易に行える、といった効果が得られる。
本発明の第2の観点及び第4の観点によるカラーフィルタの製造方法によれば、本発明の第1の観点及び第3の観点によるカラーフィルタをそれぞれ容易に製造することができる、という効果が得られる。
本発明の第5の観点による液晶表示装置によれば、ブラックマトリクスを使用せずに高いコントラストと良好な色再現性が得られると共に、従来の積層構造に比べて狭いギャップを実現できるため応答特性もより高速にできる、という効果が得られる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態のカラーフィルタ)
本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置用カラーフィルタの構成を図2(b)、図3(a)及び図4(a)に示す。図2(b)は当該カラーフィルタの部分平面図、図3(a)及び図4(a)はそれぞれ図2(b)のIIIA−IIIA線及びIVA−IV線に沿った部分断面図である。
第1実施形態のカラーフィルタは、図1(a)に示すパターンを持つ赤色層1と、図1(b)に示すパターンを持つ青色層2と、図1(c)に示すパターンを持つ緑色層3とを、透明なガラス基板(透明な支持体)9の一面(X−Y平面)上に積層して形成したものであり、黒色材料からなるブラックマトリクスは含まれていない。ブラックマトリクスの遮光機能は、赤色層1と青色層2の重ね合わせ(積層)によって実現されている。
赤色層1は、ガラス基板9の一面に形成されるものであり、図1(a)に示すように、複数のストライプ状の赤色画素形成部1Rと複数の連結部1Lとを有している。
ストライプ状の赤色画素形成部1Rは、いずれもY方向に延在していると共に、X方向に所定間隔で配置されている。赤色画素形成部1Rの各々は、Y方向に所定間隔で配置された複数の矩形の赤色画素を形成するために使用される。したがって、赤色画素形成部1Rは、複数の赤色画素と、それら赤色画素の隣接するものを相互に連結する赤色画素間部分とから形成されている、と言うことができる。
連結部1Lは、隣接する赤色画素形成部1Rを相互に連結していると共に、Y方向に沿って所定間隔で配置された複数の矩形の青色画素用開口部1Bと、Y方向に沿って所定間隔で配置された複数の矩形の緑色画素用開口部1Gとを画定している。青色画素用開口部1Bの各々は、青色画素が形成されるべき位置にある。緑色画素用開口部1Gの各々は、緑色画素が形成されるべき位置にある。
したがって、赤色画素は、Y方向に所定間隔で一列に並置される。緑色画素は、赤色画素に隣接してY方向に所定間隔で一列に並置される。青色画素は、緑色画素に隣接してY方向に所定間隔で一列に並置される。X方向には、赤色画素、緑色画素及び青色画素がこの順に配置されたものが繰り返して並置される。
青色層2は、赤色層1に重ねてガラス基板9の一面上に形成されるものであり、図1(b)に示すように、複数のストライプ状の青色画素形成部2Bと複数の連結部2Lとを有している。
ストライプ状の青色画素形成部2Bは、いずれもY方向に延在していると共に、X方向に所定間隔で配置されている。青色画素部2Bの各々は、赤色層1の対応する青色画素用開口部1Bと重なり合う位置にあり、Y方向に所定間隔で配置された複数の矩形の青色画素を形成するために使用される。したがって、青色画素形成部2Bは、複数の青色画素と、それら青色画素の隣接するものを相互に連結する青色画素間部分とから形成されている、と言うことができる。
連結部2Lは、隣接する青色画素形成部2Bを相互に連結していると共に、Y方向に沿って所定間隔で配置された複数の矩形の赤色画素用開口部2Rと、Y方向に沿って所定間隔で配置された複数の矩形の緑色画素用開口部2Gとを画定している。赤色画素用開口部2Rの各々は、赤色画素が形成されるべき位置にある。緑色画素用開口部2Gの各々は、緑色画素が形成されるべき位置にある。したがって、赤色画素用開口部2Rは、すべて、赤色層1の対応する赤色画素形成部1Rと重なり合う位置にある。また、緑色画素用開口部2Gの各々は、赤色層1の対応する緑色画素用開口部1Gと重なり合う位置にある。
緑色層3は、赤色層1と青色層2に重ねて前記ガラス基板の一面上に形成されるものであり、図1(c)に示すように、複数の矩形アイランド状の緑色画素形成部3Gから形成されている。これらの緑色画素形成部3Gは、相互に分離して形成されており、従来のようにストライプ状になっていない。また、緑色層3は、赤色層1及び青色層2とは異なり、連結部1Lや2Lのような連結部を有していない。
矩形アイランド状の緑色画素形成部3Gは、所定間隔でY方向に配置されていると共に、X方向にも所定間隔で配置されている。緑色画素形成部3Gの各々は、赤色層1の対応する緑色画素用開口部1G及び青色層2の対応する緑色画素用開口部2Gと重なり合う位置にあり、Y方向に所定間隔で配置された複数の矩形の緑色画素を形成するために使用される。したがって、緑色画素形成部3Gは、複数の緑色画素のみから形成されており、隣接する緑色画素を相互に連結する緑色画素間部分を有していない、と言うことができる。
本発明の第1実施形態のカラーフィルタは、上述したパターンを持つ赤色層1と青色層2と緑色層3をこの順に重ね合わせて製造される。その製造方法としては、印刷法、フォトレジスト法、エッチング法等が知られているが、赤色層1、青色層2及び緑色層3がそれぞれ図1(a)〜(c)に示したパターンを持っていれば、いずれの方法も使用可能である。しかし、高精細であり且つ分光特性の制御性や再現性が良好なフォトレジスト法が好ましいので、ここでは、同方法で製造する場合の例について説明する。
フォトレジスト法では、透明樹脂中に顔料を光開始剤、重合性モノマー及び溶剤と共に分散させて着色組成物を生成し、その着色組成物を各色の色材原料として使用する。この色材原料をガラス基板上に塗布・成膜し、得られた色材原料膜をマスクを用いて選択的に露光してから現像することにより、所望パターンの色層が得られる。この工程を各色について実行してカラーフィルタを得るのである。
本発明の第1実施形態のカラーフィルタを製造する場合は、まず、ガラス基板9の一面に適当な赤色組成物(赤色材)の膜を所定厚さで形成し、その赤色材膜を所望パターンを持つマスクを用いて露光した後、現像する。こうして、ガラス基板9上に図1(a)に示すパターンを持つ赤色層1を形成する。
次に、赤色層1に重ねて、青色組成物(青色材)の膜を所定厚さで形成し、その青色材膜を所望パターンを持つマスクを用いて露光した後、現像する。こうして、図1(b)に示すパターンを持つ青色層2を形成する。この時、図2(a)のように、青色層2の複数の青色画素形成部2Bが、赤色層1の複数の青色画素用開口部1Bとそれぞれ重なり合い、青色層2の複数の赤色画素用開口部2Rが赤色層1の複数の赤色画素形成部1Rとそれぞれ重なり合い、青色層2の複数の緑色画素用開口部2Gが赤色層の複数の緑色画素開口部1Gとそれぞれ重なり合っている。青色層2の複数の赤色画素用開口部2Rと重なり合った赤色層1の赤色画素形成部1Rが、それぞれ赤色画素を画定している。
その後、赤色層1及び青色層2に重ねて、緑色組成物(緑色材)の膜を所定厚さで形成し、その緑色材膜を所望パターンを持つマスクを用いて露光した後、現像する。こうして、図1(c)に示すパターンを持つ緑色層3を形成し、本発明の第1実施形態のカラーフィルタを得る。この時の状態は、図2(b)のようになる。この時、緑色層3のアイランド状の緑色画素形成部3Gは、それぞれ、相互に重なり合った赤色層1の複数の緑色画素用開口部1Gと青色層2の複数の緑色画素用開口部2Gに配置されている。
図2(b)から理解されるように、赤色層1の複数の青色画素用開口部1Bと重なり合った青色層2の青色画素形成部2Bが、複数の青色画素を画定している。赤色層1の複数の緑色画素用開口部1G及び青色層2の複数の緑色画素用開口部2Gと重なり合った緑色層3の緑色画素形成部3Gが、それぞれ、緑色画素を画定している。また、青色層2の連結部2L及び青色画素間部分は、赤色層1の対応する連結部1Lまたは赤色画素間部分と重なり合っており、その赤色層1と青色層2の重なり部分が遮光部を形成している。
本発明の第1実施形態のカラーフィルタは、上述したように、赤色層1のストライプ状赤色画素形成部1Rの各々は、青色層2の対応する複数の赤色画素用開口部2Rと重なり合って複数の赤色画素を画定し、青色層2のストライプ状青色画素形成部2Bの各々は、赤色層1の対応する複数の青色画素用開口部2Bと重なり合って複数の青色画素を画定している。これらの点は、従来のカラーフィルタの場合と同じである。しかし、緑色層3のパターンが異なっている。すなわち、緑色層3は、アイランド状の緑色画素形成部3Gのみから形成されており、緑色画素形成部3Gの各々は、図3(a)及び図4(a)に示すように、赤色層1の緑色画素用開口部1G及び青色層2の緑色画素用開口部2G(これらの開口部は相互に重なり合っている)と重なり合って、緑色画素を画定している。
また、赤色層1の各ストライプ状赤色画素形成部1Rの赤色画素間部分と、赤色層1の各連結部1Lとは、それぞれ、青色層2の対応する連結部2Lまたは青色層2の各ストライプ状青色画素形成部2Bの青色画素間部分に重なり合って、2層構造の遮光部12を形成している。つまり、この遮光部12は、赤色層1と青色層2を積層してなる2層構造を持っており、ブラックマトリックスと同様のパターンを有している。そして、遮光部12に使用されない緑色層3は、アイランド状にパターン化されて、重なり合った緑色画素用開口部1G及び2Gの内部に配置されている。
青色層2の青色画素間部分と連結部2Lの幅は、赤色層1の青色画素間部分と連結部1Lの幅よりも少し大きくされている。このため、図3(a)及び図4(a)に示すように、青色層2の青色画素間部分と連結部2Lの両側縁が、赤色層1の赤色画素間部分あるいは連結部1Lを越えてガラス基板9の面に接触している。
緑色層3は、矩形アイランド状の緑色画素形成部3Gを有しているのみであり、従来のカラーフィルタに使用された緑色層103(図17(c)を参照)のような緑色画素間部分を有していないから、図3(a)及び図4(a)に示したように、緑色画素形成部3Gの各々は、対応する緑色画素用開口部1G及び2Gにほぼ嵌合し、遮光部12とはほとんど重なっていない。したがって、遮光部12の緑色画素形成部3Gが形成される箇所も、赤色層1と青色層2の2層構造になっている、と言うことができる。ただ、赤色層1と青色層2と緑色層3を積層する際のアライメントエラーを考慮して、赤色層1と青色層2と緑色層3のパターンにはそれぞれマージンが設けられているため、そのマージンに起因して、緑色画素形成部3Gの周縁部がわずかに遮光部12上に乗り上がっている。この乗り上げによって生じる緑色画素形成部3Gの遮光部12との重なり部10を、ここでは突起部とも呼ぶ。これは、重なり部10が遮光部12上に突出しており、緑色画素の周縁に沿って延在する矩形リング状の突起になっているからである。
緑色画素形成部3Gの遮光部12との重なり部10のオーバーラップ量は、各色層1、2、3のアライメントズレによる光漏れが発生しない程度に必要最小限とする。具体的に言えば、オーバーラップ量は5.0μm以下とするのが好ましく、3.0μm以下とするのがより好ましい。
緑色画素形成部3Gは、Y方向に近接して並置されているので、遮光部12上では、図3(a)に示すように、隣接する緑色画素形成部3Gの重なり部(突起部)10が色間部13を挟んで並んでいる。他方、X方向で緑色画素形成部3Gに隣接するのは、赤色画素形成部1Rまたは青色画素形成部2Bであるから、図4(a)に示すように、X方向には色間部13は存在しない。
緑色画素の部分のY方向に沿った断面は、図3(a)に示すようになり、緑色画素(緑色画素形成部3G)とそれに隣接する遮光部12との間には段差aが生じている。この段差aは、2層構造の遮光部12の高さ(赤色層1の厚さと青色層2の厚さの和に等しい)に重なり部(突起)10の高さ(厚さ)を加算したものから、緑色層3の厚さを減算したものにほぼ等しい。この段差aは、従来のカラーフィルタの緑色画素とそれに隣接する3層構造の遮光部133との間の段差h(図19(a)を参照)より小さい(a<h)。これは、従来のカラーフィルタでは、遮光部133が3層構造であるのに対し、本発明の第1実施形態に係るカラーフィルタでは、2層構造の遮光部12上に重なり部10が存在するだけであり、重なり部10の厚さは緑色層3のそれよりも十分小さいからである。
緑色画素(緑色画素形成部3G)の部分のX方向に沿った断面は、図4(a)に示すようになり、緑色画素とそれに隣接する遮光部12との間には段差cが生じている。この段差cの大きさは段差aと同じである。これは、緑色画素形成部3Gの重なり部10の形状が矩形リング状であるためである。
このように、本発明の第1実施形態に係るカラーフィルタでは、その段差a(c)を有効表示領域の全面にわたって従来のカラーフィルタの段差hより小さくすることができる。
本発明の第1実施形態に係るカラーフィルタでは、フォトスペーサ20は、例えば、図5(a)及び(b)に示すように配置される。すなわち、同図に示すように、赤色層1と青色層2と緑色層3は、ガラス基板9の一面にこの順に積層形成されており、その上にオーバーコート層23が形成されている。オーバーコート層23は有効表示領域の全面に亘って赤色層1と青色層2と緑色層3を覆っている。そして、フォトスペーサ20は、遮光部12上において、緑色画素形成部3Gの色間部13の各々に重なる位置に矩形(帯)状に形成されている。つまり、フォトスペーサ20は、遮光部12上に存在する対応する色間部13の各々の全体を充填する(埋め込む)ように形成されている。フォトスペーサ20の幅さ(Y方向の長さ)は、遮光部12のそれより少し小さい。フォトスペーサ20の長さ(X方向の長さ)は、緑色画素形成部3Gのそれとほぼ同一である。なお、フォトスペーサ20は、公知のフォトレジスト(感光性樹脂)をパターン化して形成される。
フォトスペーサ20をこのように形成すると、遮光部12上に存在する緑色画素形成部3Gの重なり部(突起部)10がフォトスペーサ20の内部に吸収される形になるため、重なり部10による悪影響をほとんどなくすことができる。つまり、2層構造の遮光部12上に形成された重なり部10により、遮光部12が3層に似た構造になっているが、重なり部10の高さ(厚さ)に相当する部分はフォトスペーサ20の高さに含まれることとなるので、重なり部10が存在しない場合とほぼ同様の状態になる。
図7は、フォトスペーサ20が図5(a)及び(b)に示した構成を持つ本発明の第1実施形態に係るカラーフィルタに対して、TFT基板26を接合した状態を示す。同図から明らかなように、この場合のセルギャップaは、段差fにフォトスペーサ20の高さを加算したものに等しいが、段差fが従来のカラーフィルタの段差hよりも小さい(f<h)ため、それだけフォトスペーサ20の高さを大きくすることができる、という利点がある。
ところで、本発明の第1実施形態に係るカラーフィルタは、緑色画素形成部3Gの重なり部(突起部)10の影響をなくすため、重なり部10を研磨により除去することができ、また除去する方が好ましい。これは、重なり部10が矩形リング状であり、重なり部10の総面積が従来のカラーフィルタの場合に比べてはるかに小さいことから、公知の研磨装置を用いてガラス基板9の全面研磨を行うことにより、容易に実現することができる。
重なり部10を除去した場合の構成は、図2(c)、図3(b)及び図4(b)のようになる。この場合、重なり部10がなくなるので、緑色画素と遮光部12の間の段差b及びdは、それぞれ、重なり部10の厚さにほぼ等しい値だけ段差a及びcよりも小さくなるから、重なり部10を除去しない場合よりも好ましい。ただ、重なり部10を除去するための研磨工程が増えるのが難点である。したがって、段差の小ささが重要な場合は、たとえ研磨工程が増えても重なり部10を除去するのが好ましい。反面、コストが重要な場合は、重なり部10を除去しないのが好ましい。なお、段差dは段差bに等しい。
図6(a)は、遮光部12上に存在する緑色画素形成部3Gの重なり部10を研磨により除去した場合のフォトスペーサ20の配置例を示す。この場合は、遮光部12上に重なり部10が存在せず、各緑色画素形成部3Gは対応する緑色画素用開口部1G及び2Gの内部に嵌合された形になるので、フォトスペーサ20の近傍の断面構造は図6(b)のようになる。同図から明らかなように、緑色画素(緑色画素形成部3G)と遮光部12との間の段差gは、遮光部12の高さから緑色画素(緑色画素形成部3G)の厚さを減算したものに等しい。
図6(a)の例では、遮光部12上に重なり部10と色間部13が存在しないため、図5(a)のように、フォトスペーサ20を帯状に形成して重なり部10(色間部13)の全体を覆う必要がない。したがって、フォトスペーサ20の配置の自由度が非常に高い。そこで、フォトスペーサ20を、例えば図6(a)に示すように、棒状ないし柱状にして、遮光部12のごく狭い範囲のみを覆うようにすることも可能である。
図8は、重なり部10を除去したカラーフィルタの構成に対してTFT基板26を接合した状態を示す。同図から明らかなように、セルギャップbは、段差gにフォトスペーサ20の高さを加算したものに等しいが、段差gが重なり部10を除去しない場合の段差fより小さい(g<f)ため、それだけフォトスペーサ20の高さを大きくすることができる、という利点がある。
段差fまたはgは、悪影響を与えない値にする必要がある。段差fまたはgは、3.0μm以下とすることが必要であり、好ましくは、オーバーコート層の厚さを調整するなどして平坦化を行い、1.5μm以下とする。
以上、詳述したように、本発明の第1実施形態に係るカラーフィルタでは、ガラス基板9上に、図1(a)の形状(パターン)を持つ赤色層1と、図1(b)の形状(パターン)を持つ青色層2と、図1(c)の形状(パターン)を持つ緑色層3が積層して形成されており、赤色層1と青色層2の重なり部分が遮光部12として機能する。このため、遮光部12を形成するためのブラックマトリックスが不要である。
また、赤色層1の緑色画素用開口部1Gと青色層2の緑色画素用開口部2Gの重なりによって赤色画素を画定する緑色画素形成部3Gが、相互に分離されたアイランド状であるため、緑色画素形成部3Gの寸法を適切に調整することにより、遮光部12の機能を持つ赤色層1と青色層2の重なり部分上に緑色層3がほとんど存在しないようにすることができる。このため、遮光部12と、赤色画素、青色画素または緑色画素との間の段差を小さくすることができる。しかも、この段差減少は簡易な方法で実現できる。何故なら、遮光部12と、赤色画素、青色画素または緑色画素との間の段差の減少は、緑色層3の緑色画素形成部3Gを相互に分離したアイランド状とすることにより得られるからである。
さらに、遮光部12の形成に使用されない緑色層3の緑色画素形成部3Gの寸法を適切に調整することにより、遮光部12の機能を持つ赤色層1と青色層2の重なり部分上に緑色層3の周辺部がほとんど重ならないようにすることができる。このため、遮光部12上に存在する緑色層3の量が少量に抑えられ、その結果、遮光部12上の緑色層3の重なり部(突起部)10を研磨によって容易に除去することが可能となる。
さらに、赤色層1及び青色層2は、いずれも、ストライプ状の赤色画素形成部1R及び青色画素形成部2Bとそれらを連結する連結部1L及び2Lを形成するだけでよく、緑色層3はアイランド状の画素形成部3Gを形成するだけでよい。したがって、所望の遮光性能を得るための各色層(赤色層1、青色層2及び緑色層3)のパターン化を容易に行うことができる。
なお、上述した第1実施形態に係るカラーフィルタにおいて、遮光部12が赤色層1と青色層2の2層を積層した構造となっているが、これは、この組み合わせの場合が光の透過率を最小にする(換言すればOD値を最大にする)ことができるからである。遮光部12は、赤色層1と青色層2の組み合わせであれば足りるから、上述したように赤色層1の上に青色層2が重ねていてもよいし、この順を逆にして、青色層2の上に赤色層1を重ねてもよい。
また、ここでは遮光部12が「画素間遮光部」である場合について説明したが、遮光部12は、TFTに対向する位置の遮光部である「TFT遮光部」や、有効表示領域の外側にあって当該有効表示領域を囲む「額縁部」にもそのまま適用可能である。
(第1実施形態の液晶表示装置)
第1実施形態に係る液晶表示装置は、TFT基板26として、例えば図9〜図11に示すIPS方式の構成のものが好適に使用される。このTFT基板26は、背景技術で引用した特開2005−241923号公報の図1〜図3に記載されているものとほぼ同じ構成である。この液晶表示装置は、ノーマリーブラックモードで動作する。
図9は本発明の第1実施形態に係るカラーフィルタに接合されるTFT基板の構成を示す要部平面図、図10は同カラーフィルタを用いた対向基板に図9のTFT基板を接合してなる液晶表示装置の図9のX−X線に沿った断面を示す部分断面図、図11(a)は図9のTFT基板のXIA−XIA線に沿った断面を示す部分断面図、図11(b)は図9のTFT基板のXIB−XIB線に沿った断面を示す部分断面図である。
図9において、43は金属製の共通電極配線、45は共通電極用コンタクトホール、46は櫛歯状の透明な共通電極、46aは共通電極46のTFT51からの漏れ電界のシールドを行うシールド部、47は櫛歯状の透明な画素電極、48は画素電極用コンタクトホール、49は走査線、50はデータ線、51はTFT、52はTFT51のソース電極、53はTFT51のドレイン電極、54はTFT51の活性層を形成するアイランド状に形成されたa−Si膜、56は画素補助電極である。
画素電極47は3本のジグザグ状のクシ歯を持っており、共通電極46は4本のジグザグ状のクシ歯を持っていて、両者は隣接する走査線49及び隣接するデータ線50に挟まれた領域において交互に噛み合うように配置されている。共通電極46の両端にある2本のクシ歯は、対応するデータ線50とそれぞれ重なり合っている。画素補助電極56は、一本のクシ歯を持っており、画素電極47の中央のクシ歯と重なり合っている。
各データ線50は、対応するTFT51のドレイン電極53に電気的に接続されている。各走査線49は、対応するTFT51のゲート電極(図示せず)に電気的に接続されている。各画素電極47は、対応するTFT51のソース電極52に電気的に接続されている。当該画素電極47はまた、図11(a)に示すように、画素電極用コンタクトホール48を介して対応するTFT51のソース電極52に電気的に接続されている。共通電極46は、図11(b)に示すように、共通電極用コンタクトホール45を介して対応する共通電極配線43に電気的に接続されている。
図10及び図11に示すように、走査線49および共通電極配線43は、透明基板61上に形成された第1金属膜(Cr膜、Al合金膜等)をパターン化して形成されている。この第1金属膜は、TFT51のゲート絶縁膜としても機能する第1層間絶縁膜62で覆われている。
アイランド状に形成されたa−Si膜54は、第1層間絶縁膜62上に形成されている。画素補助電極56、データ線50、ソース電極52及びドレイン電極53は、第1層間絶縁膜62上に形成された第2金属膜(Cr膜、Al合金膜等)をパターン化して形成されている。ソース電極52及びドレイン電極53は、a−Si膜54の各端にそれぞれ接触せしめられている。a−Si膜54、画素補助電極56、データ線50、ソース電極52及びドレイン電極53は、第1層間絶縁膜62上に形成された第2層間絶縁膜(有機樹脂膜、窒化シリコン膜等)63で覆われている。
画素電極47及び共通電極46は、第2層間絶縁膜63上に形成された第3層間絶縁膜64上に形成された透明導電膜(ITO膜等)をパターン化して形成されている。画素電極47と共通電極46はいずれも、ジグザグに屈曲した櫛歯状であり、第3層間絶縁膜64上で相互に噛み合うように且つ相互に離隔して配置されている。これに対応させて、データ線50の画素電極47に隣接する部分がジグザグに屈曲せしめられている。
共通電極46のシールド部46aは、走査線49及びデータ線50からの漏れ電界が液晶層80に印加されるのを防止する(漏れ電界を遮蔽する)ためのものであり、第3層間絶縁膜64上で走査線49及びデータ線50上に張り出す(重なり合う)ようにパターン化されている。シールド部46aによってTFT基板26からの漏れ電界を遮蔽することにより、カラーフィルタの赤色層1、青色層2及び緑色層3の帯電量を減少させることができるので、カラーフィルタの帯電に起因する液晶の配向不良(ディスクリネーション等)が抑制ないし回避され、色ムラ等の表示不良を防止することが可能となる。
なお、TFT基板26の透明基板61の外側面には、偏光板66が取り付けてある。
第1実施形態に係る液晶表示装置は、図10に示すように、上述した構成のTFT基板26と、対向基板70と、両基板26及び70で挟持された液晶層80を備えている。
対向基板70は、透明基板71(ガラス基板9)上に形成されたカラーフィルタ72と、その上に形成されたオーバーコート層73と、その上に形成された配向膜74と、透明起案71の外側面に形成された導電層75と、その上に形成された偏光板76とを備えている。本発明の第1実施形態のカラーフィルタは、カラーフィルタ72に対応する。当該カラーフィルタのガラス基板9とオーバーコート層23は、透明基板71とオーバーコート層73にそれぞれ対応する。
TFT基板26は、上述したように、データ線50が金属膜から形成されているため、データ線50の部分を通過するバックライト光はデータ線50で遮光される。しかし、外光と、外光によるTFT基板26側の金属配線での反射光は、カラーフィルタ側の遮光部で遮光する必要がある。この第1実施形態のカラーフィルタでは、その遮光機能は赤色層1と青色層2の2層構造からなる遮光部12で実行される。
また、図9に示すように、走査線49の近傍領域では、金属製(不透明)の共通電極配線43と走査線49の間にスリットがあるため、共通電極配線43と走査線49だけでは当該領域を通過するバックライト光を完全に遮光することはできない。そこで、TFT基板26では、透明の共通電極46のシールド部46aが当該スリットを覆うように形成されている。その結果、共通電極46のシールド部46aが当該スリットと重なり合い、当該スリットを通過する光を確実に遮光することができる。その理由は、液晶層80のシールド部46aに対応する領域では、シールド部46aによって漏れ電界が遮断されるため、液晶層80中の液晶分子が駆動されず、その結果、ノーマリーブラック・モードでは、偏光板66、76によってバックライト光源からの透過光を遮断することができるからである。
ただ、TFT基板26では、TFT51への影響を少なくするため、共通電極46のシールド部46aは、TFT51とは重ならないように形成されている。これは、シールド部46aがTFT51と重なると、漏れ電界のシールド効果は高まるが、反面、製造時の誤差により層間絶縁膜の厚さが薄い方向に変動した際にTFT51の動作特性に悪影響を与える可能性が高くなることを考慮したものである。そこで、液晶表示装置の動作特性の安全マージンを広くするために、走査線49の漏れ電界をシールドするシールド部46aをTFT51を避けるようにパターン化している。
このように、共通電極46のシールド部46aによって、走査線49付近の領域の液晶分子に対する電界の印加が防止されると共に、当該領域を通過する光も遮断される。また、外光とTFT基板26上の金属配線での外光による反射光は、カラーフィルタの2層構造の遮光部12で遮断される。
上述したように、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置では、上述した第1実施形態に係るカラーフィルタと図9〜図11に示したTFT基板26を使用しているので、ブラックマトリクスを使用せずに所望の遮光機能を実現することができ、その結果として、高いコントラストと良好な色再現性が得られると共に、従来の積層構造に比べて狭いギャップを実現できるため、応答特性もより高速にできる、という効果が得られる。
(第2実施形態のカラーフィルタ)
本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置用のカラーフィルタの構成を図13(b)に示す。図13(b)はそのカラーフィルタの部分平面図である。
第2実施形態のカラーフィルタは、図12(a)に示すパターンを持つ赤色層1aと、図12(b)に示すパターンを持つ青色層2aと、図12(c)に示すパターンを持つ緑色層3aとを、透明なガラス基板(透明な支持体)9の一面(X−Y平面)上に積層して形成したものであり、黒色材料からなるブラックマトリクスは含まれていない。この点は、上述した第1実施形態に係るカラーフィルタと同じである。しかし、第2実施形態に係るカラーフィルタでは、接合されるTFT基板の走査線の近傍領域に対する遮光機能は、上述した第1実施形態に係るカラーフィルタと同様に赤色層1aと青色層2aの重ね合わせによって実現されるが、同TFT基板のデータ線の近傍領域に対する遮光機能は、隣接する色層同士の重ね合わせ、すなわち赤色層1aと青色層2aの重ね合わせ、青色層2aと緑色層3aの重ね合わせ、及び緑色層3aと赤色層1aの重ね合わせによって実現される点で、第1実施形態に係るカラーフィルタとは異なる。
赤色層1aは、ガラス基板9の一面に形成されるものであり、図12(a)に示すように、複数のストライプ状の赤色画素形成部1Raと複数の連結部1Laとを有している。
ストライプ状の赤色画素形成部1Raは、いずれもY方向に延在していると共に、X方向に所定間隔で配置されている。赤色画素形成部1Raの各々は、Y方向に所定間隔で配置された複数の矩形の赤色画素を形成するために使用される。したがって、赤色画素形成部1Raは、複数の赤色画素と、それら赤色画素の隣接するものを相互に連結する赤色画素間部分とから形成されている、と言うことができる。
連結部1Laは、隣接する赤色画素形成部1Raを相互に連結していると共に、Y方向に沿って所定間隔で配置された複数の矩形の青色・緑色画素用開口部1BGaを画定している。青色・緑色画素用開口部1BGaの各々は、その中に相互に隣接する一つの青色画素及び一つの緑色画素が形成されるべき位置にある。各青色・緑色画素用開口部1BGaは、青色層2aを重ねた時に青色層2aによって覆われる矩形の青色画素用部分1BGa−Bと、青色層2aを重ねた時にも青色層2aで覆われない矩形の緑色画素用部分1BGa−Gとからなっている。緑色画素用部分1BGa−Gは、緑色層3aを重ねた時に緑色層3aによって覆われる。
したがって、赤色画素は、Y方向に所定間隔で一列に並置される。緑色画素は、赤色画素に隣接してY方向に所定間隔で一列に並置される。青色画素は、緑色画素に隣接してY方向に所定間隔で一列に並置される。X方向には、赤色画素、緑色画素及び青色画素がこの順に配置されたものが繰り返して並置される。この点は、上述した第1実施形態と同様である。
青色層2aは、赤色層1aに重ねてガラス基板9の一面上に形成されるものであり、図12(b)に示すように、複数のストライプ状の青色画素形成部2Baと複数の連結部2Laとを有している。
ストライプ状の青色画素形成部2Baは、いずれもY方向に延在していると共に、X方向に所定間隔で配置されている。青色画素形成部2Baの各々は、赤色層1aの対応する青色・緑色画素用開口部1BGaの青色画素用部分1BGa−Bと重なり合う位置にあり、Y方向に所定間隔で配置された複数の矩形の青色画素を形成するために使用される。したがって、青色画素形成部2Baは、複数の青色画素と、それら青色画素の隣接するものを相互に連結する青色画素間部分とから形成されている、と言うことができる。
連結部2Laは、隣接する青色画素形成部2Baを相互に連結していると共に、Y方向に沿って所定間隔で配置された複数の矩形の赤色・緑色画素用開口部2RGaを画定している。赤色・緑色画素用開口部2RGaの各々は、その中に相互に隣接する一つの赤色画素及び一つの緑色画素が形成されるべき位置にある。各赤色・緑色画素用開口部2RGaは、緑色層3aを重ねた時に緑色層3aによって覆われる矩形の緑色画素用部分2RGa−Gと、緑色層3aを重ねた時にも緑色層3aで覆われない矩形の赤色画素用部分2RGa−Rとからなっている。赤色画素用部分2RGa−Rは、赤色層1aの赤色画素形成部1Raと重なり合う。
緑色層3aは、赤色層1aと青色層2aに重ねてガラス基板9の一面上に形成されるものであり、図12(c)に示すように、複数の矩形アイランド状の緑色画素形成部3Gaから形成されている。これらの緑色画素形成部3Gaは、相互に分離して形成されており、従来のようにストライプ状になっていない。また、緑色層3aは、赤色層1a及び青色層2aとは異なり、連結部1Laや2Laのような連結部を有していない。
矩形アイランド状の緑色画素形成部3Gaは、所定間隔でY方向に配置されていると共に、X方向にも所定間隔で配置されている。緑色画素形成部3Gaの各々は、赤色層1aの対応する青色・緑色画素用開口部1BGaの緑色画素用部分1BGa−G及び青色層2aの対応する赤色・緑色画素用開口部2RGaの緑色画素用部分2RGa−Gと重なり合う位置にあり、Y方向に所定間隔で配置された複数の矩形の緑色画素を形成するために使用される。したがって、緑色画素形成部3Gaは、複数の緑色画素のみから形成されており、隣接する緑色画素を相互に連結する緑色画素間部分を有していない、と言うことができる。
本発明の第2実施形態のカラーフィルタは、上述したパターンを持つ赤色層1aと青色層2aと緑色層3aをこの順に重ね合わせて製造される。その製造方法は、赤色層1a、青色層2a及び緑色層3aがそれぞれ図12(a)〜(c)に示したパターンを持っていれば、印刷法、フォトレジスト法、エッチング法等の公知の方法のいずれも使用可能である。ここでは、フォトレジスト法を用いた場合について説明する。
まず、ガラス基板9の一面に適当な赤色組成物(赤色材)の膜を所定厚さで形成し、その赤色材膜を所望パターンを持つマスクを用いて露光した後、現像する。こうして、ガラス基板9上に図12(a)に示すパターンを持つ赤色層1aを形成する。
次に、赤色層1aに重ねて、青色組成物(青色材)の膜を所定厚さで形成し、その青色材膜を所望パターンを持つマスクを用いて露光した後、現像する。こうして、図12(b)に示すパターンを持つ青色層2aを形成する。この時、図13(a)のように、青色層2aの複数の青色画素形成部2Baが、赤色層1aの複数の青色・緑色画素用開口部1BGaの青色画素用部分1BGa−Bとそれぞれ重なり合い、青色層2aの複数の赤色・緑色画素用開口部2RGaの赤色画素用部分2RGa−Rが、赤色層1aの複数の赤色画素形成部1Raとそれぞれ重なり合い、青色層2aの複数の赤色・緑色画素用開口部2RGaの緑色画素用部分2RGa−Gが、赤色層1aの複数の青色・緑色画素用開口部1BGaの緑色画素用部分1BGa−Gとそれぞれ重なり合っている。
その後、赤色層1a及び青色層2aに重ねて、緑色組成物(緑色材)の膜を所定厚さで形成し、その緑色材膜を所望パターンを持つマスクを用いて露光した後、現像する。こうして、図12(c)に示すパターンを持つ緑色層3aを形成し、本発明の第2実施形態のカラーフィルタを得る。この時の状態は、図13(b)のようになる。この時、緑色層3aのアイランド状の緑色画素形成部3Gaは、それぞれ、相互に重なり合った赤色層1aの複数の赤色・緑色画素用開口部1BGaの緑色画素用部分1BGa−Rと、青色層2aの複数の赤色・緑色画素用開口部2RGaの緑色画素用部分2RGa−Rに配置されている。
図13(b)から理解されるように、複数の赤色画素は、赤色層1aの複数の赤色画素形成部1Raと、それら赤色画素形成部1Raに重なりあった青色層2aの赤色・緑色画素用開口部2RGaと、青色層2a上に形成された緑色層3aの緑色画素形成部3Gaとから画定されている。複数の青色画素は、青色層2aの複数の青色画素形成部2Baと、それら青色画素形成部2Baに重なりあった赤色層1aの青色・緑色画素用開口部1BGaと、青色層2a上に形成された緑色層3aの緑色画素形成部3Gaとから画定されている。複数の緑色画素は、緑色層3aの複数の緑色画素形成部3Gaと、それら緑色画素形成部3Gaに重なりあった赤色層1aの青色・緑色画素用開口部1BGaと、青色層2a上に形成された緑色層3aの緑色画素形成部3Gaとから画定されている。
青色層2aの連結部2La及び青色画素間部分は、いずれもX方向に延在しているが、これらは、同じくX方向に延在している赤色層1aの連結部1Laまたは青色画素間部分と重なり合っており、その赤色層1aと青色層2aの重なり部分が第1実施形態と同様の遮光部12を形成している。つまり、赤色層1aと青色層2aの重なり部分であってX方向に延在する部分が、それぞれ、X方向に延在する遮光部(X方向遮光部)を形成している。これらのX方向遮光部は、赤色層1aと青色層2aの2層構造であって、第1実施形態に係るカラーフィルタにおける遮光部12と同じ構成であるから、以下の説明では同じ符号を付すことにする。X方向遮光部12は、後述のTFT基板26a(図15参照)の走査線49(これはX方向に延在する)に対応する領域を遮光するために使用される。
赤色層1aの赤色画素形成部1Raとそれに隣接する緑色層3aの緑色画素形成部3Gaとは、Y方向に延在する側端部で相互に重なり合って、図14に示すように、Y方向に延在する遮光部(赤色・緑色画素間Y方向遮光部)18を形成している。つまり、X方向で相互に隣接する赤色画素と緑色画素の間の遮光は、赤色層1aと緑色層3aの2層構造を持つと共にY方向に延在する赤色・緑色画素間Y方向遮光部18で実行される。
同様に、緑色層3aの緑色画素形成部3Gaとそれに隣接する青色層2aの青色画素形成部2Baとは、Y方向に延在する側端部で相互に重なり合って、Y方向に延在する遮光部(緑色・青色画素間Y方向遮光部)19を形成している。つまり、X方向で相互に隣接する緑色画素と青色画素の間の遮光は、緑色層3aと青色層2aの2層構造を持つと共にY方向に延在する緑色・青色画素間Y方向遮光部19で実行される。
青色層2aの青色画素形成部2Baとそれに隣接する赤色層1aの赤色画素形成部1Raとは、Y方向に延在する側端部で相互に重なり合って、Y方向に延在する遮光部(青色・赤色画素間Y方向遮光部)(遮光部19と同様であるため図示せず)を形成している。つまり、X方向で相互に隣接する青色画素と赤色画素の間の遮光は、青色層2aと赤色層1aの2層構造を持つと共にY方向に延在する青色・赤色画素間Y方向遮光部で実行される。
これらの赤色・緑色画素間Y方向遮光部18、緑色・青色画素間Y方向遮光部19及び青色・赤色画素間Y方向遮光部は、上述したTFT基板26(図9〜図11を参照)のデータ線50(これはY方向に延在する)に対応する領域を遮光するために使用される。
本発明の第2実施形態のカラーフィルタは、上述したように、TFT基板26aの走査線49に対応する領域を遮光するためのX方向遮光部12は、上述した第1実施形態における遮光部12と同様に、赤色層1aと青色層2aからなる2層構造を持つ。他方、TFT基板26aのデータ線50に対応する領域を遮光するための赤色・緑色画素間Y方向遮光部18、緑色・青色画素間Y方向遮光部19及び青色・赤色画素間Y方向遮光部は、それぞれ、赤色層1aと緑色層3aからなる2層構造、緑色層3aと青色層2aからなる2層構造、及び青色層2aと赤色層1aからなる2層構造を持っている。これら三つのY方向遮光部は、「隣接色重ね遮光部」と言うことができる。これは、これらのY方向遮光部がいずれも、隣接する二つの画素の色材同士を相互に重ね合わせて形成されているからである。X方向遮光部12と、赤色・緑色画素間Y方向遮光部18、緑色・青色画素間Y方向遮光部19及び青色・赤色画素間Y方向遮光部とは、全体としてブラックマトリックスと同様のパターンを有しており、したがって、ブラックマトリックスと同様の遮光機能を実現するものである。
青色層2aの青色画素間部分と連結部2Laの幅は、赤色層1aの赤色画素間部分と連結部1Laの幅よりも少し大きくされている。このため、第1実施形態について図3(a)及び図4(a)に示したのと同様に、青色層2aの青色画素間部分と連結部2Laの両側縁が、赤色層1aの赤色画素間部分あるいは連結部1Laを越えてガラス基板9の面に接触している。
緑色層3aは、矩形アイランド状の緑色画素形成部3Gaを有しているのみであるから、第1実施形態について図3(a)に示したのと同様に、緑色画素形成部3Gaの各々は、対応する青色・緑色画素用開口部1BGaの緑色画素用部分1BGa−G及び赤色・緑色画素用開口部2RGaの緑色画素用部分2RGa−Gにほぼ嵌合し、Y方向ではX方向遮光部(これは図3(a)の遮光部12に対応する)とはほとんど重なっていない。したがって、X方向遮光部12の緑色画素形成部3Gaが形成される箇所も、赤色層1aと青色層2aの2層構造になっている、と言うことができる。ただ、赤色層1aと青色層2aと緑色層3aを積層する際のアライメントエラーを考慮して、赤色層1aと青色層2aと緑色層3aのパターンにはそれぞれマージンが設けられているため、そのマージンに起因して、緑色画素形成部3Gaの周縁部がわずかにX方向遮光部12上に乗り上がっている。この乗り上げによって生じる緑色画素形成部3GaのX方向遮光部12との重なり部は、第1実施形態と同様に、X方向遮光部12上に突出している。なお、この重なり部は、第1実施形態とは異なり、当該緑色画素のX方向に延在する二つの端縁に沿った直線(帯)状であり、当該緑色画素の周縁に沿って延在する矩形リング状の突起になっていない。これは、緑色画素のY方向に延在する二つの端縁は、赤色層1aまたは青色層2aの上に重ねられるのであり、赤色層1aと青色層2aの2層構造の上に重ねられることはないからである。
緑色画素(緑色画素形成部3Ga)の部分のY方向に沿った断面は、第1実施形態について示した図3(a)と同様になり、緑色画素(緑色画素形成部3G)とそれに隣接するX方向遮光部12との間には段差aが生じている。この段差aは、従来のカラーフィルタの緑色画素とそれに隣接する3層構造の遮光部133との間の段差h(図19(a)を参照)より小さい(a<h)。
緑色画素(緑色画素形成部3Ga)の部分のX方向に沿った断面は、図14に示すようになり、第1実施形態とは異なっている。同図から明らかなように、左側の遮光部(Y方向遮光部)18は、赤色層1aと緑色層3aとの2層構造になっているが、これは当該緑色画素の左隣りが赤色画素であるからである。また、右側の遮光部(Y方向遮光部)19は、青色層2aと緑色層3aとの2層構造になっているが、これは当該緑色画素の右隣りが青色画素であるからである。なお、当該緑色画素とそれに隣接するY方向遮光部18または19との間には段差eが生じているが、この段差eの大きさは段差aより小さい(e<a)。その理由は、Y方向遮光部18または19が2層構造となっていてその上に突起が存在しないことから明らかである。
このように、本発明の第2実施形態に係るカラーフィルタでは、Y方向断面における段差aを有効表示領域の全面にわたって従来のカラーフィルタの段差hより小さくすることができ、またX方向断面における段差eを段差aよりも小さくすることができる。
第2実施形態に係るカラーフィルタにおいても、フォトスペーサ20が取り付けられるが、その配置は上述した第1実施形態の場合と同様であるので、それについての説明は省略する。
また、第2実施形態に係るカラーフィルタにおいても、緑色画素形成部3Gaの重なり部(突起部)の影響をなくすため、重なり部を研磨により除去してもよく、研磨・除去する方が好ましい。第2実施形態に係るカラーフィルタでは、重なり部が緑色画素形成部3GaのX方向の二つの端縁に沿った直線(帯)状であって、重なり部の総面積が第1実施形態のカラーフィルタよりも小さくなることから、公知の研磨装置を用いてガラス基板9の全面研磨を行うことにより、いっそう容易に実現することができる。
重なり部を研磨・除去した後の状態を図13(c)に示す。この時のY方向に沿った断面構造は、第1実施形態について示した図3(b)と同様である。この時のX方向に沿った断面構造は、図14のままで変わらない。
緑色画素形成部3Gの重なり部を除去した場合のフォトスペーサ20の配置は、第1実施形態の場合と同じである。
以上詳述したように、本発明の第2実施形態に係るカラーフィルタでは、ガラス基板9上に、図12(a)の形状(パターン)を持つ赤色層1aと、図12(b)の形状(パターン)を持つ青色層2aと、図12(c)の形状(パターン)を持つ緑色層3aが積層して形成されている。そして、TFT基板26aの走査線49に対応する領域を遮光するためのX方向遮光部12が、赤色層1aと青色層2aからなる2層構造を持ち、TFT基板26aのデータ線50に対応する領域を遮光するための赤色・緑色画素間Y方向遮光部18、緑色・青色画素間Y方向遮光部19及び青色・赤色画素間Y方向遮光部が、それぞれ、赤色層1aと緑色層3aからなる2層構造、緑色層3aと青色層2aからなる2層構造、及び青色層2aと赤色層1aからなる2層構造を持っている。これらの遮光部は全体として、ブラックマトリックスとして機能するので、ブラックマトリックスが不要である。
また、赤色層1aの青色・緑色画素用開口部1BGa及び青色層2aの赤色・緑色画素用開口部2RGaとの重なりによって緑色画素を画定する緑色画素形成部3Gaは、相互に分離されたアイランド状であるため、緑色画素形成部3Gaの寸法を適切に調整することにより、X方向遮光部12の機能を持つ赤色層1aと青色層2aの重なり部分上に緑色層3aがほとんど存在しないようにすることができる。このため、X方向遮光部12と、赤色画素、青色画素または緑色画素との間の段差を小さくすることができる。しかも、この段差減少は簡易な方法で実現できる。何故なら、X方向遮光部12と、赤色画素、青色画素または緑色画素との間の段差の減少は、緑色層3aの緑色画素形成部3Gを相互に分離したアイランド状とすることにより得られるからである。
さらに、緑色層3aの緑色画素形成部3Gの寸法を適切に調整することにより、X方向遮光部12の機能を持つ赤色層1aと青色層2aの重なり部分上に緑色層3aの周辺部がほとんど重ならないようにすることができる。このため、X方向遮光部12上に存在する緑色層3aの量が少量に抑えられ、その結果、X方向遮光部12上の緑色層3aを研磨によって容易に除去することが可能となる。
さらに、赤色層1a及び青色層2aは、いずれも、ストライプ状の画素形成部1R及び2Bとそれらを連結する連結部1L及び2Lとを形成するだけでよく、緑色層3aはアイランド状の画素形成部3Gaを形成するだけでよい。したがって、所望の遮光性能を得るための各色層(赤色層1a、青色層2a及び緑色層3a)のパターン化を容易に行うことができる。しかも、このパターン化は、第1実施形態の場合よりも容易である。それは赤色層1aと青色層2aの形状(パターン)が第1実施形態の場合よりも簡単だからである。
なお、上述した第2実施形態に係るカラーフィルタにおいて、X方向遮光部12が赤色層1と青色層2の2層を積層した構造となっているが、これは、この組み合わせの場合が光の透過率を最小にする(換言すればOD値を最大にする)ことができるからである。X方向遮光部12は、赤色層1と青色層2の組み合わせであれば足りるから、上述したように赤色層1の上に青色層2が重ねていてもよいし、この順を逆にして、青色層2の上に赤色層1を重ねてもよい。
また、ここではX方向遮光部12とY方向遮光部を組み合わせて「画素間遮光部」とした場合について説明したが、有効表示領域の外側にあって当該有効表示領域を囲む「額縁部」に対しては、X方向遮光部12を使用する必要がある。
(第2実施形態の液晶表示装置)
本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置は、上述した第2実施形態に係るカラーフィルタに、第1実施形態で使用したTFT基板26(図9〜図11を参照)を組み合わせて構成される。この液晶表示装置は、IPS型でノーマリーブラックモードで動作する。この液晶表示装置は、第1実施形態よりも簡単なパターンの赤色層1aと青色層2aを用いて所望の遮光部を得ることができ、必要十分な遮光性能を実現できるものである。
TFT基板26は、共通電極46が漏れ電界を遮断するシールド部46aを有しているため、漏れ電界が少なく、その結果、液晶分子の配向乱れによるバックライト光漏れを防ぐことができる。しかも、データ線50と共通電極配線43と走査線49を不透明の金属膜で形成することにより、バックライト光をデータ線50と共通電極配線43と走査線49で遮光できる構造になっている。このため、カラーフィルタのY方向遮光部が隣接する任意の2色の色層の重ね合わせで形成されていても、外光に対して十分必要な遮光性能が得られる。
例えば、赤色層1aと緑色層3aを重ね合わせてなるY方向遮光部では、OD値が低下してしまうが、TFT基板26上の配線での反射(データ線50による反射等)に起因する反射外光は、当該Y方向遮光部を2回通過することになるので、赤色層1aと緑色層3aを重ね合わせた遮光部であっても十分な遮光効果が得られ、表示品位の低下は見られない。ただし、走査線49の近傍にはTFT51が配置されているため、光照射に起因するTFT51のリーク電流を抑制するには、少なくとも、リーク電流に大きな影響を与える波長の光を遮断できる色層(ここでは赤色層1a)を当該Y方向遮光部に含めることが必要である。
他方、走査線49の近傍には、金属製の配線で遮光されていない領域が存在するため、高いOD値が要求される。よって、高いOD値が必要とされる走査線49の近傍領域の遮光用のX方向遮光部12は、透過率が最小となる赤色層1aと青色層2aの重ね合わせとすることが必要である。
第2実施形態に係る液晶表示装置では、上記第2実施形態のカラーフィルタを使用することにより、高いOD値が必要とされるX方向遮光部12には、透過率が最小となる赤色層1aと青色層2aの重ね合わせを使用し、それほど高いOD値が必要とされないY方向遮光部には、赤色層1aと青色層2aと緑色層3aのうちの相互に隣接する2層の重ね合わせを使用しているので、有効表示領域全体にわたって赤色層1aと青色層2aの重ね合わせを用いる第1実施形態よりも簡単なパターンとした赤色層1a及び青色層2aを利用して、液晶表示装置として必要十分な遮光性能を実現することができる。
また、上述した第2実施形態に係るカラーフィルタを使用しているので、ブラックマトリクスを使用せずに高いコントラストと良好な色再現性が得られると共に、応答特性も高速である、という効果が得られる。
(第3実施形態の液晶表示装置)
本発明の第3実施形態の液晶表示装置は、上述した第1実施形態のカラーフィルタと、図15及び図16に示したTFT基板26aを使用して、図10のような液晶表示装置を構成したものである。このTFT基板26aは、背景技術で引用した特開2005−241923号公報の図4に記載されているものとほぼ同じ構成である。
TFT基板26aの構成は、共通電極46'の構成が異なる点を除いて、第1及び第2の実施形態で使用したTFT基板26(図9〜図11を参照)と同じである。よって、同一構成の部分については対応する要素に同一符号を付してその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
第1実施形態で使用したTFT基板26では、図9より明らかなように、共通電極46のシールド部46aが対応するTFT51と重ならないように形成されている。これに対し、第2実施形態で使用されるTFT基板26aでは、図15及び図16(a)より明らかなように、共通電極46'のシールド部46a'が対応するTFT51と重なるように形成されている。シールド部46a'は、走査線49及びデータ線50からの漏れ電界が液晶層80に印加されるのを防止する(漏れ電界を遮蔽する)ためのもので、第3層間絶縁膜64上で走査線49及びデータ線50上に張り出す(重なり合う)ようにパターン化されている。シールド部46a'によってTFT基板26からの漏れ電界を遮蔽することにより、カラーフィルタの赤色層1a、青色層2a及び緑色層3aの帯電量を減少させることができるので、カラーフィルタの帯電に起因する液晶の配向不良(ディスクリネーション等)が抑制ないし回避され、色ムラ等の表示不良を防止することが可能となる。
TFT基板26aでは、このように、シールド部46a'がTFT51と重なっていることから、第1実施形態で使用したTFT基板26よりも漏れ電界シールド効果が高まるが、反面、製造時の誤差により層間絶縁膜の厚さが薄い方向に変動した際にTFT51の動作特性に悪影響を与える可能性が高くなる。しかし、液晶表示装置の動作特性の安全マージンについて問題がなければ、TFT基板26aを使用しても実用上は問題ない。
本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置では、第1実施形態のカラーフィルタと、図15及び図16に示したTFT基板26aを使用しており、TFT基板26aとTFT基板26との違いはシールド部46a'の形状の差異による上記効果だけであるので、第1実施形態の液晶表示装置とほぼ同じ効果が得られることは明らかである。
(第4実施形態の液晶表示装置)
本発明の第4実施形態の液晶表示装置は、上述した第2実施形態のカラーフィルタと、上記第3実施形態で使用されたTFT基板26aを使用して、図10のような液晶表示装置を構成したものである。
この液晶表示装置では、第2実施形態のカラーフィルタと、図15及び図16に示したTFT基板26aを使用しており、TFT基板26aとTFT基板26との違いはシールド部46a'の形状の差異による上記効果だけであるので、第2実施形態の液晶表示装置とほぼ同じ効果が得られることは明らかである。
(本発明のカラーフィルタ及び液晶表示装置の効果確認)
上述した本発明の第1〜第2実施形態のカラーフィルタとそれらを用いた第1〜第4実施形態の液晶表示装置を実際に製作し、本発明の効果を確認した。なお、以下の実施例1〜4は、本発明の第1〜第4実施形態にそれぞれ対応している。
(実施例1)
まず、ガラス基板9(透明基板71)上に赤色層1用の着色組成物(透明樹脂中に赤色顔料を光開始剤、重合性モノマー及び溶剤と共に分散させたもの)をスピンコータを用いて塗布し、減圧乾燥、プリベークの後、フォトマスクを用いて露光し、現像、水洗、ポストベークを実施して、図1(a)に示すパターンを持つ赤色層1を作製した。続いて、同様の青色層2用の着色組成物を用いて同様の方法で、図1(b)に示すパターンを持つ青色層2を赤色層1に重ねて作製した。最後に、同様の緑色層3用の着色組成物を用いて同様の方法で、図1(c)に示すパターンを持つ緑色層3を青色層2に重ねて作製した。こうして、赤色画素、青色画素及び緑色画素と、それらの間に形成された赤色層1と青色層2の2層構造よりなる遮光部12とからなるカラーフィルタ72を得た。なお、赤色層1と青色層2の作製順は、これとは逆にしてもよい。
このとき、緑色画素(緑色画素形成部3G)での段差f(図5(b)参照)は2.0〜2.5μmであった。なお、対向基板70上に同時に作製される各種アライメント・マーカーについても、各種工程において多く使用されるモノクロカメラや、波長600nm付近のレーザーセンサに対する認識性を確保する為に、青色層2を単独で作製したパターン、あるいは青色層2と赤色層1の2層構造のパターンを利用した。
次に、遮光部12上にある緑色層3の重なり部(突起部)10をガラス基板9の全面研磨によって除去した。このとき得られた各色層の画素部内での厚さは、赤色層1は2.0μm、青色層2は2.0μm、緑色層3は2.0μmであった。各層の色度は、EBU規格を満たすように色度調整した。さらに、熱硬化性の透明樹脂液をカラーフィルタの全面にスピンコータを用いて塗布した後、オーブンで硬化させ、オーバーコート層23(73)を形成した。このオーバーコート層23(73)の厚さは約1.0μmであった。このとき、緑色画素(緑色画素形成部3G)での段差f(図5(b)参照)は約1.5μmであった。
さらに、オーバーコート層23(73)の上に感光性樹脂をスピンコータにより塗布し、減圧乾燥、プリベークの後、フォトマスクを用いて露光し、現像、水洗、ポストベークを行ってフォトスペーサ20(81)を形成した。このとき、セルギャップが3.0μmになるようにフォトスペーサ20(81)の高さを調整した。これらのフォトスペーサ20は、図6に示す形状を持ち、遮光部12上の緑色層3と重なる位置に配置した。このようにして、第1実施形態のカラーフィルタ72を搭載した対向基板70を得た。
なお、フォトスペーサ20の配置は、必要に応じて、遮光部12上の赤色層1または青色層2と重なる位置としてもよい。また、遮光部12上の赤色層1、青色層2または緑色層3と重なる位置だけに配置するのではなく、これら三つの色層のうちのいずれか2色と重なる位置に配置してもよいし、3色全てと重なる位置に配置してもよい。
他方、図9に示すTFT基板26を次のようにして形成した。まず、透明基板61上に金属膜(Cr膜、またはAl合金膜等)を堆積し、これをパターン化して走査線49と共通電極配線43を形成した。次に、その上に、ゲート絶縁膜として機能する第1層間絶縁膜62としての窒化シリコン膜を形成して走査線49と共通電極配線43を覆った。そして、第1層間絶縁膜62上に、a−Si膜とn型a−Si膜をこの順に連続して堆積してからパターン化し、a−Si膜54を形成した。続いて、第1層間絶縁膜62上に金属膜(Cr膜、またはAl合金膜等)を形成し、これをパターン化して画素補助電極56とデータ線50、そしてTFT51のドレイン電極53及びソース電極52を形成した。
その後、これらを第2層間絶縁膜63としての有機樹脂もしくは無機の窒化シリコン膜等の絶縁膜で覆ってから、第2層間絶縁膜63上に同様の有機または無機の絶縁材料からなる第3層間絶縁膜64を形成した。次に、第1層間絶縁膜62と第2層間絶縁膜63と第3層間絶縁膜64を選択的にエッチングして、ソース電極52に達する画素電極用コンタクトホール45と、共通電極配線43に達する共通電極用コンタクトホール48を形成した。そして、第3層間絶縁膜64上に透明金属膜(ITO)等の透明導電膜を形成し、これをパターン化して画素電極47及び共通電極46を形成した。この時、画素電極47は、画素電極用コンタクトホール45を介して対応するソース電極52に電気的に接続され、共通電極46は、共通電極用コンタクトホール48を介して共通電極配線43に電気的に接続された。こうして図9に示す構成を持つTFT基板26を得た。
以上のようにして作製した対向基板70(第1実施形態のカラーフィルタを搭載)およびTFT基板26の内側面に、配向膜74及び65をそれぞれ塗布し、液晶の初期配向方向となるTFT基板側26のラビング方向を画素電極47の長手方向(図9の矢印の方向)に設定して、配向膜74に対してラビング処理を行った。また、対向基板70の配向膜65についても同様のラビング処理を行った。
続いて、両基板70及び26の周縁部にシール材を塗布してから貼り合わせ、両基板70及び26の間の間隙に液晶を注入してから前記シール材で封止した。このとき、両基板70及び26の間に液晶層80が形成された。セルギャップは3.0μmとした。なお、液晶を滴下法で注入する場合は、両基板70及び26の周縁部にシール材を塗布した後、基板70及び26の一方または双方の内面に液晶を滴下してから両基板70及び26を貼り合わせ、前記シール材で封止すればよい。
その後、対向基板70の外面とTFT基板26の外面に偏光板76及び66をそれぞれ貼り付けてから、バックライト光源モジュール、信号や外部電源を供給する基板などの配線を行い、液晶表示装置を得た。
(実施例2)
まず、ガラス基板9(透明基板71)上に赤色層1a用の着色組成物(透明樹脂中に赤色顔料を光開始剤、重合性モノマー及び溶剤と共に分散させたもの)をスピンコータを用いて塗布し、減圧乾燥、プリベークの後、フォトマスクを用いて露光し、現像、水洗、ポストベークを実施して、図12(a)に示すパターンを持つ赤色層1aを作製した。続いて、同様の青色層2a用の着色組成物を用いて同様の方法で、図12(b)に示すパターンを持つ青色層2aを赤色層1aに重ねて作製した。最後に、同様の緑色層3用の着色組成物を用いて同様の方法で、図12(c)に示すパターンを持つ緑色層3aを青色層2aに重ねて作製した。こうして、赤色画素、青色画素及び緑色画素と、TFT基板26aの走査線49に対応する領域の遮光に使用されるX方向遮光部12と、TFT基板26aのデータ線50に対応する領域の遮光に使用される赤色・緑色画素間Y方向遮光部18、緑色・青色画素間Y方向遮光部19及び青色・赤色画素間Y方向遮光部とを持つカラーフィルタ72を得た。なお、赤色層1aと青色層2aの作製順は、これとは逆にしてもよい。
X方向遮光部12は、赤色層1aと青色層2aからなる2層構造を持っていた。赤色・緑色画素間Y方向遮光部18、緑色・青色画素間Y方向遮光部19及び青色・赤色画素間Y方向遮光部は、それぞれ、赤色層1aと緑色層3aからなる2層構造、緑色層3aと青色層2aからなる2層構造、及び青色層2aと赤色層1aからなる2層構造を持っていた。
次に、赤色層1aと青色層2aからなる2層構造の遮光部12上にある緑色層3aの重なり部(突起部)10をガラス基板9の全面研磨によって除去した。このとき得られた各色層の画素部内での厚さは、赤色層1は2.0μm、青色層2は2.0μm、緑色層3は2.0μmであった。各層の色度は、EBU規格を満たすように色度調整した。さらに、熱硬化性の透明樹脂液をカラーフィルタの全面にスピンコータを用いて塗布した後、オーブンで硬化させ、オーバーコート層23(73)を形成した。このオーバーコート層23(73)の厚さは約1.0μmであった。このとき、緑色画素(緑色画素形成部3G)での段差g(図6(b)参照)は約1.0μmであった。
さらに、オーバーコート層23(73)の上に感光性樹脂をスピンコータにより塗布し、減圧乾燥、プリベークの後、フォトマスクを用いて露光し、現像、水洗、ポストベークを行ってフォトスペーサ20(81)を形成した。このとき、セルギャップが3.0μmになるようにフォトスペーサ20(81)の高さを調整した。
以上のようにして作製した対向基板70(第2実施形態のカラーフィルタを搭載)と、実施例1と同様にして作製したTFT基板26の内側面に、配向膜74及び65をそれぞれ塗布し、実施例1と同様のラビング処理を行った。そして、両基板70及び26の周縁部にシール材を塗布してから貼り合わせ、両基板70及び26の間の間隙に液晶を注入してから前記シール材で封止した。セルギャップは3.0μmとした。
その後、対向基板70の外面とTFT基板26の外面に偏光板76及び66をそれぞれ貼り付けてから、バックライト光源モジュール、信号や外部電源を供給する基板などの配線を行い、液晶表示装置を得た。
(実施例3)
実施例1と同様にして作製した対向基板70(実施例1のカラーフィルタを搭載)と、上述の第3実施形態で説明したTFT基板26aを貼り合わせ、両基板70及び26aの間の間隙に液晶を注入してから前記シール材で封止した。セルギャップは3.0μmとした。その後、実施例1と同様にして液晶表示装置を得た。
(実施例4)
実施例2と同様にして作製した対向基板70(実施例2のカラーフィルタを搭載)と、上述の第3実施形態で説明したTFT基板26aを貼り合わせ、両基板70及び26aの間の間隙に液晶を注入してから前記シール材で封止した。セルギャップは3.0μmとした。その後、実施例2と同様にして液晶表示装置を得た。
(比較例1)
図17(a)、(b)及び(c)にそれぞれ示された赤色層101、青色層102及び緑色層103を使用して、背景技術に記載した方法にしたがって図18に示す従来のカラーフィルタを作製した。このカラーフィルタは、遮光部133が赤色層101、青色層102及び緑色層103の3層の積層構造であり、遮光部133aが赤色層101及び青色層102の2層の積層構造である。各色層の画素部内での厚さは、赤色層101は2.0μm、青色層102は2.0μm、緑色層103は2.0μmであった。オーバーコート層123の厚さは約1.0μmであった。このとき、緑色画素(緑色画素形成部103G)での段差h(図19(a)参照)は、約2.5μmであった。また、セルギャップが3.0μmになるように、フォトスペーサ120(81)の高さを調整した。フォトスペーサ120は、図18に示すように、3層構造の遮光部133上で緑色層103に重なる位置に配置した。
また、このカラーフィルタを用いて対向基板を作製し、図23に示した従来のTFT基板(共通電極146がTFT151からの漏れ電界をシールドするシールド部を持たないもの)と接合して、液晶表示装置を作製した。
(比較例2)
図17(a)、(b)及び(c)にそれぞれ示された赤色層101、青色層102及び緑色層103を使用して、背景技術に記載した方法にしたがって図20(a)に示す従来のカラーフィルタを作製した。このカラーフィルタは、遮光部133が赤色層101、青色層102及び緑色層103の3層の積層構造であり、遮光部133aが赤色層101及び青色層102の2層の積層構造である。各色層の画素部内での厚さは、赤色層101は2.0μm、青色層102は2.0μm、緑色層103は2.0μmであった。オーバーコート層123の厚さは約1.0μmであった。このとき、青色画素(青色画素形成部102B)での段差i(図21(a)参照)は約1.0μmで、緑色画素(緑色画素形成部103G)での段差j(図22(a)参照)は約2.5μmであった。また、セルギャップが3.0μmになるようにフォトスペーサ120(81)高さを調整した。フォトスペーサ120は、図20(a)に示すように、2層構造の遮光部133a上で青色層102に重なる位置に配置した。
また、このカラーフィルタを用いて対向基板を作製し、図23に示した従来のTFT基板(共通電極146がTFT151からの漏れ電界をシールドするシールド部を持たないもの)と接合して、液晶表示装置を作製した。
(評価)
上記実施例1〜4と比較例1及び2の特性比較を以下の表1に示す。
上記の「コントラストのレベル」と「セルギャップおよびムラ」は、1から5までの5段階評価としてあり、レベル1を最良値とした。また、「判定」は、表示品質が良好と言えるレベルを「○」、良好と言えない(悪い)レベルを「×」とした。
実施例1〜4に関しては、いずれも、「コントラストのレベル」と「セルギャップおよびムラ」の双方が最良値またはそれに近く、結果として表示品質は問題ないレベルであった。また、実施例2及び4のカラーフィルタでは、緑色画素における段差を低減することができただけでなく、表面研磨によってその段差を容易に取り除くことができた。また、実施例1〜4の液晶表示装置では、セルギャップ形成を阻害せずに十分な遮光性能を実現できることが確認された。
比較例1では、緑色画素部における段差h(図19参照)が極めて大きくなった。また、3層構造の遮光部133上にフォトスペーサ120が配置されているため、過大な段差hに起因してフォトスペーサ120の高さが極めて小さくなってしまった。その結果、局所的なギャップ不良が発生しやすかった。
比較例2では、緑色画素部における段差j(図22参照)が約2.5μmであった。セルギャップが3.0μmのため、遮光部133上のギャップeは0.5μm程度となり、対向基板がほとんどTFT基板と接しているような状態となった。また、遮光部133上のギャップeが0.5μm程度と小さいため、当該ギャップへの異物の噛み込みによるギャップ不良が発生しやすかった。
(変形例)
上述した第1〜第4の実施形態は本発明を具体化した例を示すものである。したがって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れることなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、赤、青、緑の3原色の色層を使用しているが、本発明はこの場合に限定されず、3原色以外の色層を加えて4色あるいはそれ以上の色層を使用してもよい。ただし、光の透過率が最小となる組み合わせで構成された遮光部は、それに隣接する画素部との段差が所望のセルギャップよりも小さくなるようにするのが好ましい。