JP5034625B2 - 多層プリント配線板製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多層プリント配線板製造方法に関する。
従来より、銅箔等の基板シートの表面に複数の略円錐状の導電性バンプが形成された導電性バンプ付基板シートと、プリプレグ等の非導電性シート(絶縁シート)とを交互に重ね合わせることにより形成される多層プリント配線板が知られている。このような多層プリント配線板において、基板シートの表面に形成された導電性バンプが絶縁シートを貫通することによって、当該絶縁シートの両側にある基板シート同士が導電性バンプによって電気的に接続されるようになっている(例えば、特許文献1乃至3等参照)。以下、多層プリント配線板の従来の製造方法について説明する。
まず、導電性バンプ付基板シートの形成方法について、図12および図13を用いて説明する。基板シートに複数の導電性バンプを形成するにあたり、例えばメタルマスク版等からなるスクリーン版92、およびスキージ96を用いるようなスクリーン印刷法が用いられる。
具体的には、図12に示すような平板状の銅箔等の基板シート80をスクリーン印刷定盤90上に載置し、この平板状の基板シート80の上方にわずかな距離を隔ててスクリーン版92を設置する。この際に、スクリーン印刷定盤90上に載置された基板シート80に対してスクリーン版92の位置合わせをCCDカメラ等により行い、このスクリーン版92の両端部を固定部材94により固定する。また、図13に示すようにスクリーン版92には、基板シート80に導電性バンプ82が形成されるべき位置に対応して複数の貫通穴92aが形成されている。そして、図12および図13に示すように、スキージ96により導電性ペースト98の塗工を行い、この際に図13に示すようにスキージ96がスクリーン版92を下方に押圧してこのスクリーン版92と基板シート80とを当接させることにより、導電性ペースト98はスクリーン版92の貫通穴92aを通過して平板状の基板シート80上に付着する。
ここで、スキージ96によるスクリーン版92を介した導電性ペースト98の塗工原理についてより詳細に説明すると、導電性ペースト98はスキージ96によってスクリーン版92の表面を移動させられるが、スクリーン版92に貫通穴92aが形成されている箇所においてはこの貫通穴92aに導電性ペースト98が入り込む。そして、図13等に示すようにスキージ96がスクリーン版92を基板シート80に向かって押圧することによって、貫通穴92aに入った導電性ペースト98の一部が基板シート80上に付着することとなる。
スキージ96を用いたスクリーン印刷方法により基板シート80上に導電性ペースト98を付着させた後、この基板シート80の乾燥を行う。このことにより、図17に示すように基板シート80上の導電性ペースト98が硬化して略円錐状の導電性バンプ82が形成されることとなる。
次に、図14乃至図16を用いて従来の多層プリント配線板の製造方法について説明する。図14は、図12、13に示す方法により製造された導電性バンプ82付き基板シート80を用いて多層プリント配線板を製造する方法を示す側面図であり、図15は、図14に示す方法により製造された、導電性バンプ82が非導電性シート83を貫通するような非導電性シート83と導電性バンプ82付き基板シート80の組合せ体を示す側面図であり、図16は、最終的に製造される多層プリント配線板の一部(一層分)を示す側面図である。
図14に示すように、導電性バンプ82付き基板シート80と、プリプレグ等の非導電性シート(絶縁シート)83と、緩衝材84とを重ね合わせ、この重ね合わせ体を一対のゴムローラ(挟圧ローラ)86、88の間で非常に大きな圧力で挟圧する。具体的には、各々が連続的に回転する一対のゴムローラ86、88の間に導電性バンプ82付き基板シート80と非導電性シート83と緩衝材84との組合せ体を搬送することにより、この組合せ体は上下方向から挟圧されることとなる。このことにより、非導電性シート83の裏面(図14の下側の面)が基板シート80の導電性バンプ82に押圧され、この非導電性シート83が破断されることにより導電性バンプ82が非導電性シート83を貫通する(図15参照)。その後、緩衝材84を取り除き、図16に示すように基板シート80と非導電性シート83の組合せ体を何層にも重ねることにより、多層プリント配線板が製造される。ここで、このように製造される多層プリント配線板において、導電性バンプ82が非導電性シート83を貫通することにより、当該非導電性シート83の両側にある基板シート80同士が導電性バンプ82によって電気的に接続されることとなる。
このため、基板シート80に形成される導電性バンプ82は、当該基板シート80の厚さ方向(図15の上下方向)において非導電性シート83を貫通させるのに十分な高さが必要とされる。また、多層プリント配線板のファインピッチ化を行う場合には、略円錐状の導電性バンプ82について、同じ高さであっても底面積が小さくなるような形状、すなわちいわゆるアスペクト比の高い略円錐状とする必要がある。
特許第3167840号 特開2004−6577号公報 特開2002−305376号公報
しかしながら、従来の導電性バンプ82付き基板シート80の製造方法においては、平板状の基板シート80上に導電性バンプ82を形成するにあたり、スクリーン印刷工程1回あたりの基板シート80に付着する導電性ペースト98の量はスクリーン版92の貫通穴92aにより定められるため、この導電性ペースト98の量が十分ではなく1回のスクリーン印刷工程では導電性バンプ82の高さが絶縁シート83を貫通させるのに十分な高さに達しない場合が多い。図面を用いてより詳細に説明すると、図17(a)〜(d)は、従来の方法により基板シート80に導電性バンプ82が形成される過程を示す図であって、(a)は1回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプ82の形状を示し、(b)は2回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプ82の形状を示している。また、図17(c)は3回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプ82の形状を示し、(d)は4回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプ82の形状を示している。
ここで、導電性バンプ82により絶縁シートを貫通させる際に、図17(d)に示すような高さを有する略円錐状の導電性バンプ82が求められる。このため、図12に示すようなスクリーン印刷工程を複数回、具体的には例えば4回繰り返して行うことが必要とされる。しかしながら、スクリーン印刷工程を1回行うたびに基板シート80の乾燥工程およびCCDカメラ等によるスクリーン版92の位置合わせ工程が必要となり、十分な高さの導電性バンプ82が形成されるまでこれらの工程も何度も繰り返す必要があった。また、スクリーン印刷工程を繰り返し行うと、スクリーン印刷工程実行回数をa、1回のスクリーン印刷工程において不良が発生する割合をbとしたときに、歩留まり率は(1−b)≒1−a×bとなり、スクリーン印刷工程の実行回数が増えれば増えるほど導電性バンプ82付き基板シート80の製造における歩留まり率が低下するという問題があった。
また、導電性バンプ82付き基板シート80と非導電性シート83とを重ね合わせ、この重ね合わせ体を一対のゴムローラ86、88の間で挟圧する際に、この一対のゴムローラ86、88の間に送り込まれる基板シート80に位置ずれが生じていた場合には、最終的に得られる多層プリント配線板に不良が発生するおそれがあり、多層プリント配線板の製造における歩留まり率が低下するという問題があった。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、導電性バンプ付基板シートを製造するにあたり、従来のような導電性ペーストを多数回繰り返して平板状の基板シートに塗工し所望の高さになるまで塗工層を累積させて導電性バンプを形成する方法と比較して、基板シートの表面に導電性ペーストを塗工する工程の回数を減少させることができ、このため導電性バンプ付基板シートの製造時間を短縮することができるとともに導電性ペーストの使用量を減少させることができ、しかも導電性バンプ付基板シートの製造における歩留まり率を高くすることができ、また、導電性バンプ付基板シートと非導電性シートとを重ね合わせる際における導電性バンプ付基板シートの位置合わせの精度を高くすることができ、その結果最終的に製造される多層プリント配線板の歩留まり率を高くすることができる多層プリント配線板製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、平板状の基板シートの表面に複数の導電性バンプが形成された導電性バンプ付基板シートと、非導電性シートとが交互に重ね合わせられており、前記導電性バンプが前記非導電性シートを貫通することにより当該非導電性シートの両側にある前記基板シート同士が前記導電性バンプによって電気的に接続されているような多層プリント配線板を製造するための多層プリント配線板製造方法であって、平板状の基板シートの表面に複数の導電性バンプが形成され当該基板シートにおける前記導電性バンプが形成されていない側の表面において前記各導電性バンプの裏側にそれぞれ凹部が形成されているような導電性バンプ付基板シート、および非導電性シートを準備する工程と、前記導電性バンプ付基板シートにおける前記導電性バンプが形成された位置に対応して複数の突起が表面に形成された平板状部材を準備する工程と、前記導電性バンプ付基板シートにおける前記導電性バンプが形成された表面と前記非導電性シートとを当接させ、この非導電性シートおよび前記導電性バンプ付基板シートからなる組合せ体を挟圧することにより前記導電性バンプが前記非導電性シートを貫通するようにし、この際に、前記基板シートに形成された前記凹部の位置に基づいて当該導電性バンプ付基板シートの位置合わせを予め行っておくとともに、前記位置合わせされた基板シートにおける前記導電性バンプが形成された箇所を前記非導電性シートに向かって突出するような凸形状に変形させるような工程と、を備え、前記非導電性シートおよび前記導電性バンプ付基板シートからなる組合せ体を挟圧する際に、前記導電性バンプ付基板シートにおける前記導電性バンプが形成されていない側の前記基板シートの表面と前記平板状部材における前記突起が形成された表面とを当接させ、この際に前記基板シートに形成された前記凹部に前記平板状部材の前記突起を挿入させることにより前記基板シートにおける前記導電性バンプが形成された位置と前記平板状部材における前記突起が形成された位置とを略一致させ、前記非導電性シート、導電性バンプ付基板シートおよび平板状部材をまとめて挟圧することにより前記基板シートにおける前記導電性バンプが形成された箇所を前記平板状部材の前記突起によって前記非導電性シートに向かって突出するような凸形状に変形させることを特徴とする多層プリント配線板製造方法である。
このような多層プリント配線板製造方法によれば、非導電性シートおよび導電性バンプ付基板シートからなる組合せ体を挟圧する際に、基板シートにおける導電性バンプが形成された箇所が非導電性シート側に向かって盛り上がるよう変形され、導電性バンプの突出高さが大きくなる。このように、導電性バンプが非導電性シートを貫通する際にこの導電性バンプの突出高さを基板シートの変形により大きくすることができるので、このような基板シートの変形を行わない場合と比較して、導電性バンプ付基板シートを製造する際における導電性バンプの高さをより小さなものとすることができる。このため、導電性バンプ付基板シートを製造する際におけるスクリーン印刷工程、その後の基板シートの乾燥工程およびスクリーン版の位置合わせ工程の回数を減らすことができる。例えば、非導電性シートおよび導電性バンプ付基板シートからなる組合せ体を挟圧する際に、基板シートを変形させない場合には、スクリーン印刷工程およびその後の乾燥工程等を例えば4回行わなければ導電性バンプは所定の高さとならなかったが、上述のような挟圧を行う際に基板シートを変形させた場合には、スクリーン印刷工程およびその後の乾燥工程を4回よりも少ない回数、例えば1回行うだけで得られるような突出高さが小さな導電性バンプであっても多層プリント配線板の製造の際に非導電性シートを貫通することができる。
さらに、非導電性シートおよび導電性バンプ付基板シートからなる組合せ体を挟圧する際に、基板シートの裏面に形成された凹部の位置に基づいて導電性バンプ付基板シートの位置合わせを予め行っておくようにしているので、導電性バンプ付基板シートと非導電性シートとを重ね合わせる際における導電性バンプ付基板シートの位置合わせの精度を高くすることができ、その結果最終的に製造される多層プリント配線板の歩留まり率を高くすることができる。
また、基板シートの裏面に形成された凹部に平板状部材の突起を挿入させることにより基板シートにおける導電性バンプが形成された位置と平板状部材における突起が形成された位置とを略一致させているので、導電性バンプ付基板シートと非導電性シートとを重ね合わせる際に導電性バンプ付基板シートの位置合わせをより確実に行うことができるようになる。
本発明の多層プリント配線板製造方法によれば、導電性バンプ付基板シートを製造するにあたり、従来のような導電性ペーストを多数回繰り返して平板状の基板シートに塗工し所望の高さになるまで塗工層を累積させて導電性バンプを形成する方法と比較して、基板シートの表面に導電性ペーストを塗工する工程の回数を減少させることができ、このため導電性バンプ付基板シートの製造時間を短縮することができるとともに導電性ペーストの使用量を減少させることができ、しかも導電性バンプ付基板シートの製造における歩留まり率を高くすることができ、また、導電性バンプ付基板シートと非導電性シートとを重ね合わせる際に導電性バンプ付基板シートの位置合わせの精度を高くすることができ、その結果最終的に製造される多層プリント配線板の歩留まり率を高くすることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図11は、本発明による導電性バンプ付基板シートの製造方法および多層プリント配線板の製造方法の一の実施の形態を示す図である。
このうち、図1は、導電性バンプ付基板シート製造方法において、平板状の基板シート、および複数の突起が表面に形成された平板状部材を準備したときの状態を示す側面図であり、図2は、図1に示す平板状の基板シートおよび平板状部材を当接させてこの組合せ体を挟圧する方法を示す側面図であり、図3は、図2に示す方法により製造された、複数の凸部が表面に形成された基板シートを示す側面図である。また、図4は、図3に示す基板シートに導電性バンプを形成する方法を示す側面図であり、図5は、図4の部分拡大側面図であり、図6は、図4に示す方法により製造された導電性バンプ付基板シートを示す側面図である。また、図7は、図6に示す導電性バンプ付基板シートを用いて多層プリント配線板を製造する方法を示す側面図であり、図8は、図7の部分拡大側面図であり、図9は、図7に示す方法により製造された、導電性バンプが非導電性シートを貫通するような非導電性シートと導電性バンプ付基板シートの組合せ体を示す側面図であり、図10は、最終的に製造される多層プリント配線板の一部(一層分)を示す側面図である。また、図11は、多層プリント配線板の製造に用いられる導電性バンプ付基板シートの他の例を示す側面図である。
以下、導電性バンプ付基板シートの製造方法および多層プリント配線板の製造方法について順次説明する。
〔導電性バンプ付基板シートの製造方法〕
まず、図1に示すように、平板状の銅箔等の基板シート10、および複数の突起22が形成された平板状部材20を準備する。ここで、平板状部材20は金属フィルムやプラスチックフィルムから構成されており、各突起22は、平板状部材20に対して後述するスクリーン印刷や、エッチングを行うことにより形成されるようになっている。平板状部材20における各突起22が形成される位置は、基板シート10に導電性バンプ14(後述)が形成されるべき位置と略同一となるようにする。なお、平板状部材20に対して後述するスクリーン印刷により各突起22を形成した場合は、導電性バンプ14(後述)が形成されるべき位置に対するこの突起22の見当合わせを容易に行うことができるようになる。
次に、平板状の基板シート10の裏面(図1における基板シート10の下側の面)と平板状部材20における複数の突起22が形成された表面(図1における平板状部材20の上側の面)とを当接させる。そして、図2に示すように、この基板シート10および平板状部材20の組合せ体を、一対のゴムローラ(挟圧ローラ)24、26の間で挟圧する。具体的には、各々が連続的に回転する一対のゴムローラ24、26の間に基板シート10および平板状部材20の組合せ体を搬送し、図2の矢印に示す方向に当該組合せ体を移動させることにより、基板シート10および平板状部材20の組合せ体は上下方向から挟圧されることとなる。このことにより、基板シート10の裏面が平板状部材20の各突起22に押圧され、基板シート10が変形し、図3に示すように基板シート10の裏面(下側の面)に複数の凹部12aが形成されるとともに基板シート10におけるこの凹部12aが形成された部分の裏側が盛り上がって複数の凸部12bが形成されるようになる。ここで、平板状部材20における各突起22が形成される位置は、基板シート10に導電性バンプ14が形成されるべき位置と略同一になっているので、基板シート10に形成される各凸部12bの位置も、当該基板シート10に導電性バンプ14が形成されるべき位置と略同一になる。
次に、図4および図5に示すように、複数の凹部12aおよび凸部12bが形成された基板シート10に対してスクリーン印刷を行う。具体的には、図3に示すような基板シート10をスクリーン印刷定盤30上に載置し、この基板シート10の上方にわずかな距離を隔ててスクリーン版32を設置する。この際に、スクリーン印刷定盤30上に載置された基板シート10に対してスクリーン版32の位置合わせをCCDカメラ等により行い、このスクリーン版32の両端部を固定部材34により固定する。また、図5に示すようにスクリーン版32には、基板シート10に導電性バンプ14が形成されるべき位置に対応して複数の貫通穴32aが形成されている。スクリーン版32の位置合わせ工程においては、各貫通穴32aが基板シート10の各凸部12bに向き合うようにする。そして、図4および図5に示すように、スキージ36によりスクリーン版32に対して導電性ペースト38の塗工を行い、この際に図5に示すようにスキージ36がスクリーン版32を下方に押圧してこのスクリーン版32と基板シート10とを当接させることにより、導電性ペースト38はスクリーン版32の貫通穴32aを通過して基板シート10の凸部12b上に付着する。
ここで、スキージ36によるスクリーン版32を介した導電性ペースト38の塗工原理についてより詳細に説明すると、導電性ペースト38はスキージ36によってスクリーン版32の表面を移動させられるが、スクリーン版32に貫通穴32aが形成されている箇所においてはこの貫通穴32aに導電性ペースト38が入り込む。そして、図5等に示すようにスクリーン版32の貫通穴32aは基板シート10の凸部12bに対応して設けられているので、スキージ36がスクリーン版32を基板シート10に向かって押圧することによって、貫通穴32aに入った導電性ペースト38の一部が基板シート10の凸部12bに付着することとなる。この際に、基板シート10の凸部12bはスクリーン印刷定盤30に向かって縮むよう弾性変形し、凸部12bの突出量が少なくなるので、凸部12bがスクリーン版32の貫通穴32aに入り込んだとしても当該貫通穴32aに収容される導電性ペースト38は十分な量となる。そして、スキージ36が基板シート10から退避すると、凸部12bは元の大きさに戻るので、この凸部12bの高さ分だけ導電性ペースト38が嵩上げされることとなる。
スキージ36を用いたスクリーン印刷方法により基板シート10の各凸部12bに導電性ペースト38を付着させた後、この基板シート10の乾燥を行う。このことにより、図6に示すように基板シート10の各凸部12bに付着した導電性ペースト38が硬化して略円錐状の導電性バンプ14が形成されることとなる。
〔多層プリント配線板の製造方法〕
次に、図7乃至図10を用いて多層プリント配線板の製造方法について説明する。図7は、図6に示す導電性バンプ14付き基板シート10を用いて多層プリント配線板を製造する方法を示す側面図である。
図7に示すように、複数の突起45が表面に形成された平板状部材44を準備し、この平板状部材44上に導電性バンプ14付き基板シート10を載せる。ここで、基板シート10における導電性バンプ14が形成されていない側の表面と、平板状部材44における突起45が形成された表面とを当接させるようにする。また、平板状部材44としては、図7に示すように基板シート10における導電性バンプ14が形成された位置に対応して複数の突起45が形成されたものを準備しておく。そして、平板状部材44上に導電性バンプ14付き基板シート10を載せる際に、図8に示すように基板シート10の裏面に形成された凹部12aに平板状部材44の突起45を挿入させることにより基板シート10における導電性バンプ14が形成された位置と平板状部材44における突起45が形成された位置とを略一致させる。
複数の突起45が表面に形成された平板状部材44について更に詳しく説明すると、平板状部材44は例えば熱硬化樹脂やUV硬化樹脂、あるいは金属から構成されており、平板状部材44が例えば熱硬化樹脂やUV硬化樹脂である場合には突起45はスクリーン印刷法や光造型法により形成することができる。一方、平板状部材44が金属である場合には突起45はエッチング、電鋳法により形成することができる。また、突起45の直径は、基板シート10に形成される導電性バンプ14の直径と同程度もしくはそれ以下が望ましい。ここで、突起45の大きさは、基板シート10の裏面に形成された凹部12aよりも十分に大きなものとされる。このため、平板状部材44上に導電性バンプ14付き基板シート10を載せたときに、この基板シート10における導電性バンプ14が形成された箇所は平板状部材44の突起45により上方に持ち上げられることとなる。突起45の形状は円錐、円錐台、円柱等のような様々な形状とすることができるが、基板シート10を突き破らない形状とすることが望ましい。
そして、平板状部材44上に載置された導電性バンプ14付き基板シート10と、プリプレグ等の非導電性シート(絶縁シート)40と、緩衝材42とを重ね合わせ、この重ね合わせ体を一対のゴムローラ(挟圧ローラ)52、54の間で非常に大きな圧力で挟圧する。この際に、図示しないヒータにより例えば100〜150℃で加熱も行うようにする。具体的には、各々が連続的に回転する一対のゴムローラ52、54の間に、平板状部材44と、導電性バンプ14付き基板シート10と、非導電性シート40と、緩衝材42との組合せ体を搬送することにより、この組合せ体は上下方向から挟圧されるとともに加熱されることとなる。このことにより、基板シート10の裏面の凹部12aが平板状部材44の突起45により上方に押圧され、図8に示すようにこの基板シート10における導電性バンプ14が形成された箇所が上方に盛り上がるよう変形され、この導電性バンプ14の突出高さが大きくなる。そして、非導電性シート40の裏面(図7の下側の面)が基板シート10の導電性バンプ14に押圧され、この非導電性シート40が破断されることにより導電性バンプ14が非導電性シート40を貫通する(図9参照)。なお、平板状部材44と、導電性バンプ14付き基板シート10と、非導電性シート40と、緩衝材42との組合せ体を挟圧する一対の挟圧ローラとしては、一対のゴムローラ52、54に限定されることはなく、代わりに樹脂ロールや金属ロール等の他の部材を使用することもできる。
その後、突起45付きの平板状部材44および緩衝材42を取り除き、基板シート10と非導電性シート40の組合せ体を何層にも重ねることにより、図10に示すように多層プリント配線板が製造される。ここで、このように製造される多層プリント配線板において、導電性バンプ14が非導電性シート40を貫通することにより、当該非導電性シート40の両側にある基板シート10同士が導電性バンプ14によって電気的に接続されることとなる。このようにして、所望の多層プリント配線板が製造される。
以上のように本実施の形態の多層プリント配線板の製造方法においては、導電性バンプ14付き基板シート10における導電性バンプ14が形成された表面と非導電性シート40とを当接させ、この非導電性シート40および導電性バンプ14付き基板シート10からなる組合せ体を挟圧することにより導電性バンプ14が非導電性シート40を貫通するようにし、この際に基板シート10における導電性バンプ14が形成された箇所を非導電性シート40に向かって突出するような凸形状に変形させるようになっている。このことにより、非導電性シート40および導電性バンプ14付き基板シート10からなる組合せ体を挟圧する際に、基板シート10における導電性バンプ14が形成された箇所が非導電性シート40側に向かって盛り上がるよう変形され、導電性バンプ14の突出高さが大きくなる。このように、導電性バンプ14が非導電性シート40を貫通する際にこの導電性バンプ14の突出高さを基板シート10の変形により大きくすることができるので、このような基板シート10の変形を行わない場合と比較して、導電性バンプ14付き基板シート10を製造する際における導電性バンプ14の高さをより小さなものとすることができる。このため、図4および図5に示すような導電性バンプ14付き基板シート10を製造する際におけるスクリーン印刷工程、その後の基板シート10の乾燥工程およびスクリーン版32の位置合わせ工程の回数を減らすことができる。例えば、非導電性シート40および導電性バンプ14付き基板シート10からなる組合せ体を挟圧する際に、基板シート10を変形させない場合には、スクリーン印刷工程およびその後の乾燥工程等を例えば4回行わなければ導電性バンプ14は所定の高さとならなかったが、上述のような挟圧を行う際に基板シート10を変形させた場合には、スクリーン印刷工程およびその後の乾燥工程を4回よりも少ない回数、例えば1回行うだけで得られるような突出高さが小さな導電性バンプ14であっても多層プリント配線板の製造の際に非導電性シート40を貫通することができるようになった。
また、非導電性シート40および導電性バンプ14付き基板シート10からなる組合せ体を挟圧する際に、基板シート10の裏面に形成された凹部12aの位置に基づいて基板シート10の位置合わせを予め行っておくようにしているので、導電性バンプ14付き基板シート10と非導電性シート40とを重ね合わせる際における導電性バンプ14付き基板シート10の位置合わせの精度を高くすることができ、その結果最終的に製造される多層プリント配線板の歩留まり率を高くすることができる。
また、導電性バンプ14付き基板シート10における導電性バンプ14が形成された位置に対応して複数の突起45が表面に形成された平板状部材44を使用している。そして、非導電性シート40および導電性バンプ14付き基板シート10からなる組合せ体を挟圧する際に、基板シート10における導電性バンプ14が形成されていない側の表面と平板状部材44における突起45が形成された表面とを当接させ、この際に基板シート10に形成された凹部12aに平板状部材44の突起45を挿入させることにより基板シート10における導電性バンプ14が形成された位置と平板状部材44における突起45が形成された位置とを略一致させている。そして、非導電性シート40、導電性バンプ14付き基板シート10および平板状部材44をまとめて挟圧することにより、平板状部材44の突起45によって、基板シート10における導電性バンプ14が形成された箇所を非導電性シート40に向かって突出するような凸形状に変形させている。このように、基板シート10の裏面に形成された凹部12aに平板状部材44の突起45を挿入させることにより基板シート10における導電性バンプ14が形成された位置と平板状部材44における突起45が形成された位置とを略一致させているので、導電性バンプ14付き基板シート10と非導電性シート40とを重ね合わせる際に導電性バンプ14付き基板シート10の位置合わせをより確実に行うことができるようになる。
なお、本実施の形態の多層プリント配線板の製造方法においては、多層プリント配線板の構成材料として使用される導電性バンプ14付き基板シート10は図6に示すような凹部12aおよび凸部12bを表裏に有するものに限定されることはない。例えば、図11に示すように導電性バンプ14が形成されていない側の表面において各導電性バンプ14の裏側にそれぞれ凹部12aがエンボス加工等により形成されているが、導電性バンプ14が形成されている側の表面に凸部12bが形成されていないような基板シート10aを用いることもできる。図11に示すような導電性バンプ14付き基板シート10aを使用した場合であっても、非導電性シート40および導電性バンプ14付き基板シート10aからなる組合せ体を挟圧する際に、基板シート10aの裏面に形成された凹部12aの位置に基づいて基板シート10aの位置合わせを予め行っておくようにすれば、導電性バンプ14付き基板シート10aと非導電性シート40とを重ね合わせる際における導電性バンプ14付き基板シート10aの位置合わせの精度を高くすることができる。
平板状の基板シート、および複数の突起が表面に形成された平板状部材を準備したときの状態を示す側面図である。 図1に示す平板状の基板シートおよび平板状部材を当接させてこの組合せ体を挟圧する方法を示す側面図である。 図2に示す方法により製造された、複数の凸部が表面に形成された基板シートを示す側面図である。 図3に示す基板シートに導電性バンプを形成する方法を示す側面図である。 図4の部分拡大側面図である。 図5に示す方法により製造された導電性バンプ付基板シートを示す側面図である。 図6に示す導電性バンプ付基板シートを用いて多層プリント配線板を製造する方法を示す側面図である。 図7の部分拡大側面図である。 図7に示す方法により製造された、導電性バンプが非導電性シートを貫通するような非導電性シートと導電性バンプ付基板シートの組合せ体を示す側面図である。 最終的に製造される多層プリント配線板の一部(一層分)を示す側面図である。 多層プリント配線板の製造に用いられる導電性バンプ付基板シートの他の例を示す側面図である。 基板シートに導電性バンプを形成する従来の方法を示す側面図である。 図12の部分拡大側面図である。 図12、13に示す方法により製造された導電性バンプ付基板シートを用いて多層プリント配線板を製造する方法を示す側面図である。 図14に示す方法により製造された、導電性バンプが非導電性シートを貫通するような非導電性シートと導電性バンプ付基板シートの組合せ体を示す側面図である。 最終的に製造される多層プリント配線板の一部(一層分)を示す側面図である。 (a)〜(d)は、従来の方法により基板シートに導電性バンプが形成される過程を示す図であって、(a)は1回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプの形状を示し、(b)は2回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプの形状を示し、(c)は3回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプの形状を示し、(d)は4回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプの形状を示す。
符号の説明
10、10a 基板シート
12a 凹部
12b 凸部
14 導電性バンプ
20 平板状部材
22 突起
24、26 一対のゴムローラ
30 スクリーン印刷定盤
32 スクリーン版
32a 貫通穴
34 固定部材
36 スキージ
38 導電性ペースト
40 非導電性シート
42 緩衝材
44 平板状部材
45 突起
52、54 一対のゴムローラ
80 基板シート
82 導電性バンプ
83 非導電性シート
84 緩衝材
86、88 一対のゴムローラ
90 スクリーン印刷定盤
92 スクリーン版
92a 貫通穴
94 固定部材
96 スキージ
98 導電性ペースト

Claims (1)

  1. 平板状の基板シートの表面に複数の導電性バンプが形成された導電性バンプ付基板シートと、非導電性シートとが交互に重ね合わせられており、前記導電性バンプが前記非導電性シートを貫通することにより当該非導電性シートの両側にある前記基板シート同士が前記導電性バンプによって電気的に接続されているような多層プリント配線板を製造するための多層プリント配線板製造方法であって、
    平板状の基板シートの表面に複数の導電性バンプが形成され当該基板シートにおける前記導電性バンプが形成されていない側の表面において前記各導電性バンプの裏側にそれぞれ凹部が形成されているような導電性バンプ付基板シート、および非導電性シートを準備する工程と、
    前記導電性バンプ付基板シートにおける前記導電性バンプが形成された位置に対応して複数の突起が表面に形成された平板状部材を準備する工程と、
    前記導電性バンプ付基板シートにおける前記導電性バンプが形成された表面と前記非導電性シートとを当接させ、この非導電性シートおよび前記導電性バンプ付基板シートからなる組合せ体を挟圧することにより前記導電性バンプが前記非導電性シートを貫通するようにし、この際に、前記基板シートに形成された前記凹部の位置に基づいて当該導電性バンプ付基板シートの位置合わせを予め行っておくとともに、前記位置合わせされた基板シートにおける前記導電性バンプが形成された箇所を前記非導電性シートに向かって突出するような凸形状に変形させるような工程と、
    を備え
    前記非導電性シートおよび前記導電性バンプ付基板シートからなる組合せ体を挟圧する際に、前記導電性バンプ付基板シートにおける前記導電性バンプが形成されていない側の前記基板シートの表面と前記平板状部材における前記突起が形成された表面とを当接させ、この際に前記基板シートに形成された前記凹部に前記平板状部材の前記突起を挿入させることにより前記基板シートにおける前記導電性バンプが形成された位置と前記平板状部材における前記突起が形成された位置とを略一致させ、前記非導電性シート、導電性バンプ付基板シートおよび平板状部材をまとめて挟圧することにより前記基板シートにおける前記導電性バンプが形成された箇所を前記平板状部材の前記突起によって前記非導電性シートに向かって突出するような凸形状に変形させることを特徴とする多層プリント配線板製造方法。
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