JP5034017B2 - ガラスセラミックスのスターティングガラスをセラミック化する方法及び装置 - Google Patents

ガラスセラミックスのスターティングガラスをセラミック化する方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガラス−セラミックス用グリーンガラスと呼ばれるガラスセラミックスのスターティングガラスをセラミック化するための方法、及びその目的に適した装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
UK1 383 201より、実質以下のステップを具備するガラス−セラミックスの製造が知られている:
第1にSiO、Al及びLiOの混合体にTiO又はZrOを更に含む所望組成体の溶融体を製造する。その後、前記溶融体を、結晶又はその前駆体の沈殿形成を避けながら室温まで急速に冷却し、それによるスターティングガラスを得る。
【0003】
その後スターティングガラスは、ガラス転移温度Tより高い核形成域の温度まで加熱される。本温度域は結晶核の沈殿が生起する核形成温度として表され、核数は選択温度及びその温度に於ける選択滞留時間に依存する。UK1 383
201では、核はTiO又はZrOの沈殿により不均一な様式に生じる。
【0004】
その後核形成により変更されたグリーンガラスはさらに結晶域の温度に加熱される。本温度域は前記核上に結晶相のエピタキシアル成長が生じる結晶形成域として表される。前記結晶の形成は一般には前記温度に加熱されている間に既に実質的な範囲生じているが、この温度での滞留時間もまた発生中のガラス−セラミックスの特性に大きく影響する。
【0005】
UK1 383 201による実施例では、結晶相はβ−ユークリプタイトLiAlSiOに関する。
【0006】
上記方法の改良法では核形成は全て傾斜温度上昇にて実施され、その結果核形成域内の特定温度に滞留することはない。別の改良法では、核形成域温度での滞留と結晶形成域の特定温度での滞留の間に、更に別の特定中間温度での滞留を加えることができる。
【0007】
方法は好ましくは2段階で制御される。第1段階では、核形成域内の温度をガラス転移温度T及びT+220Kの間と推定される場合、その期間を2ないし30分間に設定し、その後30K/分ないし480K/分の間に設定された温度で、推測結晶形成域内にあると考えられる800℃ないし1250℃の範囲の温度まで加熱する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
UK1 383 201より既知である方法を具現化するためには、高い温度伝導度を持つ非湿潤性キャリアー上での保存、即ち錫バスが提案されている。UK1 383 201より知られる装置は必要とする温度出力を迅速に供給することができるが、迅速且つ正確な位置制御/温度誘導制御に関し欠点がある。
【0009】
その結果、UK1 383 201より知られる方法の欠点の一つは、本発明による温度誘導の実施ではガラス状の急激な温度変化を迅速且つ正確に設定する必要があること;これは錫バス上に置かれた場合には、それが静又は連続的に運転されているかに関わらず不可能である。
【0010】
温度の正確な設定は核形成には必須である。H.Scholze、“ガラス(Glas)”(Glass)、第2版、1977、Springer Verlag, p55より、核の形成は非常に温度依存的であり、例として挙げられたシステムに関しては核形成速度が既に最大値の90%に低下する最高温度より高い温度と核形成速度がちょうど最大値の90%に達する最大温度より低い温度の査である最大幅が典型的に10Kである。温度の正確な設定は、結晶形成域において普通に見られる粘性の観点からも必要である。なぜならガラス及びガラス−セラミックスの粘性が強く温度に依存しているからである。
【0011】
静的運転時の温度変化の迅速調節は、系全体の熱量を大きくし、その結果温度制御ステップに不感時間をもたらす錫バスの温度容量により妨げられる。連続運転時の温度の急速な変化は、近接域間の温度変化を補正する錫バスの良好な熱伝導性により妨げられる。
【0012】
記載の方法は更に、ガラス−セラミックス製調理面への応用又はその製造に関し、破損からの保護を理由にそれらについてノブ位置がガラス−セラミックプレートより低くなるという別の欠点を持つ。通常これらノブは溶融後にプレスステップにより製造される。ノブに付着した気泡がバスとガラス間の熱伝導の不均一性をもたらす可能性があることから、これら前製造プレートの錫バス上への取り付けは困難である。
【0013】
本発明の目的は、従来技術に於けるこれら記述に比しガラス−セラミックスに適したスターティングガラスのセラミック化の改良法及びこの目的に適した装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、核形成温度及びそれに続く後核形成から結晶形成に至る転移中の急速加熱上昇中の温度カーブ、そして核形成に至るまで及び結晶形成温度到達後の温度曲線の両方が、制御量として赤外発振子を含む加熱装置からの出力を利用した不感時間の短いコントロールループにより迅速且つ正確に設定される。好適支持体プレートの利用によりスターティンググラス及び生じるグラス−セラミックスの機械的安定性が確保される。
【0015】
所望温度の迅速電動又は調節の実際的観点は、システムの低温不感応時間である。増幅法では、不感応時間の決定に関するシステムは電圧電子工学に於けるRCモジュールと考えることができ(Kohlrausch、”Praktische Physik”(実用物理学)、Teubner Verlag, 1990, Vol1. p.600)、本件では電圧が温度に、そして電流が熱流に対応している。
【0016】
熱抵抗Rは加熱素子と、一方はベーキングされている材料、もう一方は伝導中の熱流との間の温度差の商として得られる。熱容量は、加熱素子により伝達される熱流をベーキングされる材料の加熱速度で除して求められる。理想的、即ち熱流の流れがベーキング対象材料にのみに供給され、熱散乱容量がない場合、熱容量はガラス又はベーキング対象物質の熱容量そのものである。熱散乱容量が共加熱される場合、それ自体の加熱速度とベーキング対象材料の加熱速度からの商に対応するだけそれらに負荷が加わる。
【0017】
本発明による加熱素子として高温赤外放射体を選択することで低値熱抵抗Rを得ることができる。Stefan-Boltzmannの法則によれば、相互放射する2表面間の全熱流束密度jは、式中のσがStefanーBoltzmann定数であり、ε又はTがある表面の温度放射率であり、ε又はTが別表面の温度の放射率である場合に次式で表される。
j=σ・ε・ε(T −T )/(ε+ε−εε
第1近似では、次式が適用される:
j=σ・ε・ε・4・((T+T)/2)・(T−T)/(ε+ε−εε
熱流束密度は上記近似式では2表面間の温度さにほぼ比例し、比例定数は一定ではないものの、平均温度(T+T)/2の3乗の除数に依存している。熱抵抗Rに関する上記定義に従えば、J=(T−T)/Rの関係は熱流束Jの全速度に適用される(j=i・A、Aは2表面の面積)。jに関する近似関係より、比例R〜1/((T+R)/2)となり、即ち熱抵抗Rは平均温度の3乗で減少する。
【0018】
上記考察より、特に高温の加熱素子を選ぶことで熱抵抗即ちシステムの不感応時間を特に低く保つことができる。その結果平均温度は高くなり、即ち熱抵抗は低くなる。従って具体的な利点は、加熱温度の上昇に伴って短波長側に熱放射のスペクトル分布が移動する影響を補償するために、約3,000度までの温度を持つ、保護不活性ガスとしてハロゲン化合物と共にクオーツ製ガラスチューブ内に密封されたタングステンフィラメントにより実現できる様な短波長赤外放射器を利用し、これによりベーキング対象材料が長波長の放射に比べこの様な短波長の放射の吸収が少なくなることであり、赤外放射が別の角度で複数回報復反射される放射空洞内で好ましくIR放射されることである。放射空洞内でのIR加熱に関しては、ここではその開示が本特許出願内に完全に取り込まれているDE−U−299 05 385が参照される。
【0019】
散乱容量の影響は、散乱容量の一部である熱容量を低く維持する、又は散乱容量が赤外放射にカップリングし最高値になることを抑制することで小さくできる。これは、加熱炉の放射率を可能な限り小さくする様な方法、即ちそれに強い反射配列が提供される様な方法にて達成することができる。
【0020】
IR放射の壁面から反射される、及び/又は散乱される赤外放射の割合は、前記表面上に衝突する放射の50%より多いことが好ましい。
【0021】
特に好ましくは、壁面から反射、及び/又は散乱される赤外放射の割合は90%以上であり、より好ましくは98%以上である。
【0022】
IR放射空洞を利用する更なる具体的利点は、高反射壁材の利用がエネルギー損失が小さく、従って高いエネルギー利用率を補償する高品質Qの共振器に関係することである。
【0023】
以下の材料の1又は複数がIR放射を反射するための材料として利用できる:
Al;BaF;BaTiO;CaF;CaTiO
MgO・3.5Al;MgO;SrF;SiO
SrTiO;TiO;スピネル;キン青石;
キン青石ガラス濾過セラミックス。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に本発明を添付の図面を参照しながら、例示的に示される実施態様のなかでより詳細に説明する。
【0025】
図1に示す装置は、壁1及び基盤2から成るクオーツ製のIR放射空洞を具備し、その内張は水冷型金メッキ反射材3から形成されており、その下に6個のIR放射器4が配置されている。この放射空洞は、245mm・172mmの基部面積と200mmの高さを具備している。IR放射器の出力密度は色温度3,000Kにて最大600KW/mである。同様にクオーツで作られた内径120mm、外径170mm、高さ160mmのシリンダー5が放射空洞内に配置されている。前記シリンダーはIR放射器から放射さえる長波長放射用フィルターとして機能する、厚さ5mmの合成クオーツガラス製の板で覆われている。
【0026】
セラミック化対象のガラス7は、直径118mmのLASガラス−セラミックス製の典型的なスターティングガラスの厚さ4mmの円盤である。この円盤は放射空洞の床上60mmの高さに配置され、酸化マグネシウム製のロッドにより固定される。
【0027】
IR放射器はサイリスタ調整器により駆動される。制御にはEurotherm PC3000システムを使用する。温度測定は基盤内の穴8を通し、5μ高温計を使い実施する。
【0028】
ガラス7のセラミック化はIR放射器を通した放射による加熱によって、例えば図2に示す温度曲線に従い実施される。図2に明瞭に示される様に、本発明の方法を利用した場合には全セラミック化ステップが例えば30分以内に終了する。
【0029】
実施される温度処理を成功させるために、例えば得られたガラス−セラミックスに関する膨張熱係数を決定することができる。例示の実施例に関しては、温度域20ないし700℃の範囲について決定された平均膨張係数は−0.33・10−6−1であり、市販されているLASガラス−セラミックスの典型的な値に一致した。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、放射空洞を利用した本発明によるガラス−セラミックスのスターティングガラスをセラミック化するための装置の配置例を示す。
【図2】図2はガラス−セラミックスのスターティングガラスの本発明によるセラミック化に関する温度曲先例を示す。
【符号の説明】
1 壁、
2 基盤、
3 水冷型金メッキ反射材、
4 IR放射器、
5 シリンダー。

Claims (23)

  1. 少なくとも以下のステップを具備するガラス−セラミックスのスターティングガラスをガラス−セラミックスにセラミック化する方法:
    1.1 スターティングガラスを初期温度Tより結晶核が沈殿するガラス転移温度TGより高く設定された温度Tまで加熱するステップと;
    1.2 結晶核の沈殿形成を目的とし、期間tの間温度Tでガラスを維持するステップと;
    1.3 ステップ1.1及び1.2により形成した核上に結晶相が成長する温度Tまでガラスを更に加熱するステップと;
    1.4 ガラスを温度Tに期間t3維持するか、同期間にガラス−セラミックスの所定特性が得られるまでより高い温度Tまで加熱するステップと;
    1.5 少なくとも1の温度検出用温度センサー及びアクチュエータとして機能する加熱ユニットを具備するコントロールループの助けをかり温度曲線を制御するステップとを含み;
    1.6 前記加熱ユニットは熱不感応期間が10秒未満まで緩和される様にガラスを加熱するための高色温度のIR放射器を具備しているセラミック化する方法。
  2. 前記加熱ユニットは熱不感応期間が5秒未満まで緩和される様にガラスを加熱するためのIR放射器を具備していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記IR放射器が、色温度が1,500℃より高い短波長IR放射器であることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
  4. 前記色温度が2,000℃より高い短波長IR放射器であることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記色温度が2,400℃より高い短波長IR放射器であることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
  6. 前記色温度が2,700℃より高い短波長IR放射器であることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
  7. 前記加熱ユニットの前記IR放射器が包括的様式の反射又は後方散乱境界面内に境界空間を具備していることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記反射又は後方散乱境界面が以下の材料の1又は複数の混合体を含むことを特徴とする請求項に記載の方法;Al;BaF;BaTiO;CaF;CaTiO;MgO・3.5Al;MgO;SrF;SiO;SrTiO;TiO;スピネル;キン青石;キン青石ガラス濾過セラミックス。
  9. 前記境界空間がIR放射空洞であることを特徴とする請求項またはに記載の方法。
  10. 前記Tに対する加熱温度が120秒未満であり、温度Tが800℃未満であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記T に対する加熱温度が90秒未満であり、温度T が800℃未満であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
  12. 温度Tの維持温度tが60秒ないし3,600秒の範囲にあることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 温度Tから温度Tへの加熱時間が90秒未満であり、温度Tが700℃より高いことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 温度T から温度T への加熱時間が60秒未満であり、温度T が700℃より高いことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の方法。
  15. 温度Tの維持温度t及び温度Tへの加熱時間tが60秒ないし1,800秒の範囲にあることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記セラミック化対象のスターティングガラスが非液性基材上に保持されることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 少なくとも以下を具備するグリーングラスをセラミック化する装置:
    12.1 加熱ユニット;
    12.2 温度センサー;
    12.3 検出された温度及び所定の温度プログラムに基づき加熱ユニットを制御する閉鎖型−ループ/開放型ループコントロール装置であって;
    12.4前記加熱ユニットがガラスを、温度不感応時間を10秒未満に緩和するため加熱する2,400℃より高い色温度を持つ短波長IR放射器を具備することを特徴とする装置。
  18. 前記温度不感応時間を5秒未満に緩和するため加熱するIR放射器を具備することを特徴とする請求項17に記載の装置。
  19. 前記IR放射器が2,700℃より高い色温度を持つ短波長IR放射器であることを特徴とする請求項17又は18に記載の装置。
  20. 前記加熱ユニットの前記IR放射装置が包括的様式の反射又は後方散乱境界面内に境界空間を具備する特徴とする請求項17ないし19のいずれか1項に記載の装置。
  21. 前記反射又は後方散乱境界面が以下の材料の1又は複数の混合体を具備することを特徴とする請求項20に記載の装置:Al;BaF;BaTiO;CaF;CaTiO;MgO・3.5Al;MgO;SrF;SiO;SrTiO;TiO;スピネル;キン青石;キン青石ガラス濾過セラミックス。
  22. 前記境界空間がIR放射空洞であることを特徴とする請求項20または21に記載の装置。
  23. 前記装置がセラミック化の対象となるスターティング材料を蓄えるための装置を具備していることを特徴とする請求項17ないし22のいずれか1項に記載の装置。
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