JP5033735B2 - ノズルの加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は流体を噴射するノズルに係り、特に流量を計量するオリフィスの加工方法並びにこれを利用したノズルの加工方法に関する。
従来、ノズルの製造における複数の偏向したオリフィスの加工方法として、特開2006−272484号公報(特許文献1)に開示されている放電加工がある。特許文献1に開示されている偏向した細穴(オリフィス)の加工方法では、予め、ワークにレーザ加工で下穴を明けておき、下穴を画像処理で位置決めした後に細穴を放電加工している。
特開2006−272484号公報
特開2006−272484号公報(特許文献1)に開示されている技術では、下穴を開けるためにレーザ加工設備を、また位置決めを行うために画像処理装置を、さらに細穴を加工するために放電加工設備を必要とする。レーザ加工設備と放電加工設備とでは、どうしても機差があり同一の位置に加工することが難しく、更に画像処理の位置決め誤差が加わるため、細穴の加工精度を高めることが難しい。更に、放電加工では放電爆発,電極の振動等により、面あらさを高精度にすることが難しく、特に現状では1μm単位の精度を出すことは難しいという課題がある。また、レーザ加工設備,画像処理装置及び放電加工設備は高価であり、下穴の加工のために高価なレーザ加工設備及び画像処理装置を用いることは避けることが好ましい。
本発明は、以上のような課題を解決するため、オリフィスの加工を1台の設備でワンチャック,一工程で行うことを目的とする。更に、偏向した多数のオリフィスを、プレス加工を用いて、容易かつ安価に、加工精度,再現性,面あらさともに高精度に加工できる方法を提供することを目的とする。
本発明に係るノズルの加工方法のうち代表的な一つは、オリフィスプレートの一端面に形成された凸状の曲面部と、他端面に形成された円錐形状のシート面と、前記シート面の面上に開口する複数のオリフィスを有するノズルの加工方法であって、ブランクに形成された曲面部にオリフィスの軸線と略直角面となる複数の平面部をプレス加工する工程と、複数の平面部にそれぞれ1ヶずつ止まり穴をプレス加工する工程と、複数の止まり穴の底部にそれぞれ1ヶずつオリフィスを袋穴状にプレス加工する工程と、シート面を機械加工して複数のオリフィスを貫通させる工程と、ノズルを焼入れする工程と、シート面を研削加工で仕上げ加工する工程と、オリフィスのシート面側の開放端をウォータジェットによりバリ取りする工程とを有するものである。
本発明によれば、複数のオリフィスを有するノズルを再現性良く、高精度に、安価に加工することが出来る。また、ワーク間の噴霧ばらつきの少ないノズルを提供することができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の実施例による噴射弁の全体構成を示す縦断面図である。尚、本実施例の噴射弁は、ガソリン等の燃料を噴射する燃料噴射弁であり、自動車のエンジンに燃料を噴射するために用いられるものである。
噴射弁本体1は、コア2,ヨーク3,ハウジング4,可動子5からなる磁気回路、磁気回路を励磁するコイル6、及びコイル6に通電する端子ボビン7から構成されている。コア2とハウジング4の間にはシールリング8が結合され、コイル6に燃料等の流体が流入するのを防いでいる。
ハウジング4の内部にはバルブ部品が収納され、可動子5,ノズル9,可動子5のストローク量を調整するリング10が配置されている。可動子5は、弁体11と可動コア12をジョイント13で結合したものであり、可動コア12とジョイント13の間にはパイプ18と共同して可動子5が閉弁した時のバウンドを抑えるプレート14を備えている。
外套部材を構成するハウジング4とノズル9は、可動子5の周囲を覆っている。ノズル9には、先端にシート面15a(弁座)及びオリフィス54〜59を有するオリフィスプレート15と、ガイドプレートA16と共に可動子5を摺動可能にガイドするガイドプレートB17とが設けられている。オリフィスプレート15、及び、ガイドプレートB17は、ノズル9に対して、それぞれ別体として構成されているものであってもよいし、これらを一体化して構成されているものでもよい。
コア2の内部には弁体11をシート面15aにパイプ18とプレート14を介して押圧するスプリング19,スプリング19の押圧荷重を調整するアジャスタ20,外部からのコンタミの進入を防ぐフィルター21が配置されている。
次に、上記噴射弁本体1の動作について詳細に説明する。
コイル6に通電すると、可動子5がスプリング19の付勢力に抗してコア2の方向に吸引され、可動子5の先端の弁シート部11aとシート面15aとの間に隙間ができる(開弁状態)。加圧されている燃料はまずコア2,アジャスタ20,パイプ18から可動子5内の燃料通路13aを経てノズル9内に入る。次にガイドプレートA16の燃料通路16a,ノズルの通路9aから、ガイドプレートBの通路17aに入り、弁シート部11aとシート面15aの隙間からオリフィス54〜59を経て噴射される。オリフィス54〜59は、噴射弁の軸線に対して偏向した方向に、異なる角度で形成されている。
一方、コイル6の電流を遮断した場合には、可動子5の弁シート部11aがスプリング19の力でシート面15aに当接し、閉弁状態となる。
次に、上記噴射弁本体1のオリフィスプレート15及びオリフィス54〜59の構成について詳細に説明する。
図2,図3は本発明の一実施形態であって、図2はオリフィスプレート15の斜視図であり、図3はオリフィスプレート15の縦断面図である。
オリフィスプレート15は、略円板状の金属製のプレートからなり、一端面の略中央部には、凸状の曲面部としての球面部30が一体的に設けられており、球面部30の反対側端面には、弁座を構成する段差を有する略円錐形状のシート面15aが設けられている。
この球面部30には、燃料を噴射するためのオリフィス54,55,56,57,58,59が、ノズルの軸線に対して角度をもった方向、つまり、偏向した方向に異なる角度で形成されており、オリフィス軸線同士は交わらない方向に形成されている。弁体11は、これらオリフィスの上流側となるシート面15aに離接可能に設けられている。噴射弁本体1は端子部7で回転方向を位置決めして自動車に取り付けられる。そのため、オリフィスプレート15は端子部7に対して回転方向を位置決めされた状態で噴射弁本体1に組み込まれる必要がある。しかし、オリフィス54,55,56,57,58,59が、ノズルの軸線に対して偏向した方向に異なる角度で形成されており、オリフィスプレート15の回転方向位置決めには使用できない。そこで、オリフィスプレート15の球面部外周の周方向に180度離れた対向位置に31a,31bを有底となる凹状に設けた。これにより、31a,31bを結んだ軸線が形成できるため、端子部7に対して回転方向を位置決めされた状態で噴射弁本体1に組み込むことができる。また、球面部外周の周方向における31aと31bの間に機種判別穴31cを設けている。偏向角度を微妙に変えても、見た目で判別するのは困難なため、31cの位置、あるいは穴径、あるいは形状を変える(円錐形状などにする)ことにより、機種の判別を容易に行うことができる。
また、球面部外周や側面部にポンチ形状や記号をつけても良い。
以上のように、オリフィス54,55,56,57,58,59を、ノズルの軸線に対して偏向した方向に異なる角度で形成することで、燃料を任意の方向に噴射可能であるため、噴射方向を変えることで各メーカのエンジン仕様に合わせた燃焼コンセプトに対応するさまざまな噴霧パターンを形成することができる。吸気バルブを避けて噴射し、点火プラグ回りに燃料を集めることで燃焼室内に最適に噴射することができ、微粒化を損なうことなく極めて理想的に空気との混合気を形成できる。
図3に示すように各々のオリフィス54,55,56,57,58,59の下流側となる球面部30に開口する側には、段差を形成する略円形の凹部A54a,55a,56a,57a,58a,59aが設けられ、その上流側となるオリフィスと繋がる側には、凹部Aよりも小径、かつ、略円形の凹部B54b,55b,56b,57b,58b,59bが凹部Aの底部に設けられているので、凹部は全体として2段の段差となっている。また、凹部A及び凹部Bの底面はオリフィスの中心軸線と略直角な面となるように形成されており、これらの凹部A及び凹部Bの中心軸線とオリフィスの中心軸線は、ほぼ一直線となるようになっている。尚、凹部Aの深さは、オリフィスの長さよりも小さく、凹部Bの深さより小さくなっている。
オリフィス長さはペネトレーションの長さへの感度が大きいため、例えば、噴霧形状,加工性を考えてオリフィス54の長さを最適に設定するためには、凹部B54bの深さを適時変更すればよい。他のオリフィスについても同様である。凹部Bの深さを変えることによりオリフィスの長さを変えることができ、噴霧形状の最適化や、加工性を向上させることが可能となる。このため、オリフィス毎に凹部Bの少なくとも2つは、深さが異なっている。この時、オリフィスプレート先端部15cの厚みを変える必要がないため、オリフィスプレート15の剛性が落ちない。よって、オリフィスプレート先端部15cにかかる圧力が高い10MPa以上の高燃圧タイプの噴射弁に好適である。
以上のようにすることで、凹部Bの出口、及びオリフィスの出口がオリフィスの軸線と直角面となるため、流体の噴射タイミングが全周同一になり、噴射弁の軸線に対して偏向したオリフィスでもペネトレーションの長さを均一に出来、噴霧の均質性を向上することができる。この時凹部Aの深さは凹部Bに比べ十分小さいため、凹部Aは噴霧に影響を及ぼさない。
次に、オリフィスプレート15の加工方法について、図4〜図20に基づいて説明する。
図4は、オリフィスプレート15の一連の加工工程図である。図5は、ブランク15′の斜視図である。図6は、位置決め穴31aが形成されたオリフィスプレートの斜視図である。図7は、凹部Aが形成されたオリフィスプレートの斜視図である。図8は、凹部A及び凹部Bが形成されたオリフィスプレートの斜視図である。図9は、凹部A及び凹部B及びオリフィスが形成されたオリフィスプレートの斜視図である。図10は、ブランク15′の縦断面図である。図11は、位置決め穴31aが形成されたオリフィスプレートの縦断面図である。図12は、凹部Aが形成されたオリフィスプレートの縦断面図である。図13は、凹部A及び凹部Bが形成されたオリフィスプレートの縦断面図である。図14は、凹部A及び凹部B及びオリフィスが形成されたオリフィスプレートの縦断面図である。図15はシート面とキャビティ部を機械加工した断面図である。図16はシート面を研削加工で仕上げ加工自他図である。図17は、位置決め穴31aを加工している状態の図である。図18は、凹部Aを加工している状態の図である。図19は、凹部Bを加工している状態の図である。図20は、オリフィスを加工している状態の図である。
以下、オリフィスプレート15の加工工程について、図4〜20に基づいて説明する。
図4はオリフィスプレート15の一連の加工工程を示すもので、図5,図10に示すように、端面の略中央部に球面部30を有した略円板状のブランク15′を切削加工や塑性加工にて製作する。また、ブランク15′における球面部30の反対側端面には、椀状の凹部が形成されている。
次にオリフィス部をプレス加工する。この工程はブランク15′をチャックしたまま、位置決め穴31,凹A54a〜59a,凹B54b〜59b,オリフィス54〜59を連続してプレス加工するものである。
図17に示すように、球面部30が形成されたブランク15′をダイ41の上面に設置し、外径をコレットチャック42で強固に保持する。更に、ブランク15′を保持したままパンチ40の切り刃部40aで球面部30の外周を押圧し、位置決め穴31aを加工する。同様に位置決め穴31b、及び機種判別穴31cを加工する。このように、ブランク15′にプレス加工により位置決め穴31a,31b、及び機種判別穴31cを成形することで、図6,図11に示すような、球面部30の外周側3箇所に位置決め穴31a,31b、及び機種判別穴31cを有するオリフィスプレート15が得られる。
次に、図18に示すように、オリフィスプレート15をコレットチャック42で保持したままの状態で、パンチ43の切り刃部43aで球面部30を押圧し、凹部A54aを袋穴状に押出し加工する。同様に凹部A55a,56a,57a,58a,59aを加工するが、加工する順番はオリフィスの偏向方向により適時決定する。尚、凹部Aの加工は、プレス加工するとともに表面を加工硬化させるものであってもよい。このように、オリフィスプレート15にプレス加工により凹部Aを成形することで、図7,図12に示すような、球面部30に凹部Aの中心軸線とほぼ直角な面を有する面あらさのよい凹部Aが形成される。
次に、図19に示すように、オリフィスプレート15をコレットチャック42で保持したままの状態で、凹部Aを成形したパンチ43と同じ方向からパンチ44の切り刃部44aで凹部A54aの底面を押圧し、凹部B54bを袋穴状に押出し加工する。同様に凹部B55b,56b,57b,58b,59bを加工するが、加工する順番はオリフィスの偏向方向により適時決定する。尚、凹部Bの加工は、プレス加工するとともに表面を加工硬化させるものであってもよい。このように、オリフィスプレート15にプレス加工により凹部Bを成形することで、図8,図13に示すような、凹部Aの底面に面あらさのよい凹部Bを有するオリフィスプレート15が得られる。
また、凹部Aを成形したパンチ43と凹部Bを成形したパンチ44が同じ方向から押圧しており、特に凹部Aの底面は既に凹部Aの中心軸線とほぼ直角な面となっているため、材料が周方向に均等に流動する。このため、凹部Aと凹部Bの中心軸線は、ほぼ直線とすることができ、凹部Bの底面は、凹部A及び凹部Bの中心軸線に対して凹部Aの底面よりずれのない直角な面とすることができる。
次に、図20に示すように、オリフィスプレート15をコレットチャック42で保持したままの状態で、凹部B54bの底面部に直角にパンチ45の切り刃部45aを押圧し、オリフィス54を袋穴状に押出し加工する。同様にオリフィス55,56,57,58,59を加工するが、加工する順番はオリフィスの偏向方向により適時決定する。このように、オリフィスプレート15にプレス加工によりオリフィスを成形することで、図9,図14に示すような、凹部Bの底面にオリフィスを有するオリフィスプレート15が得られる。尚、オリフィスプレート15は、コレットチャック42で保持された状態であるため、位置決め穴を基準として凹部A,凹部B,オリフィスの中心軸線がほぼ一直線となるように、位置精度良く加工される。また、オリフィスは、袋穴状にプレス加工することにより内面を全せん断面に加工でき、破断面などがなく表面あらさを向上することができる。
ここで、凹A,凹Bをプレス加工するときに、材料は15bのように前方に押出されるため、オリフィス加工部の板厚をブランク時より厚くでき、破断面が発生するのを抑止することができる。
また、ブランクの板厚を薄く出来るため、オリフィス加工時の加工応力を低くすることができ、オリフィス精度の向上やパンチ寿命を向上することが出来る。
さらに、凹A,凹Bを押出し加工することでオリフィス加工部が部分的に盛り上がるため(15b)、オリフィスを加工したときに隣接したオリフィスへの材料流動が緩和され、先に加工されたオリフィスが変形しにくく高精度に加工できる。
加えて、各々のオリフィスを袋穴状に加工しているため剛性が高く、隣接したオリフィスをプレス加工した際に前に加工したオリフィスが変形しにくく、高精度に加工することが出来る(打抜いてしまうとオリフィスの剛性が下がるため、隣の穴を打抜いた際に変形し易くなる)。
次に、図15に示すようにキャビン15d,略円錐状のシート面15a(弁座)を加工する。オリフィスを袋穴状に成形することによって球面部30の反対側端面の凹部に形成された押出し部15bは、キャビン15d,略円錐状のシート面15a(弁座)を加工することで削除され、オリフィス54〜59が6ヶ同時に初めてシート面15a側に貫通する。このときの加工方法は切削加工、あるいは放電加工で行う。これによりオリフィスをプレス加工による全せん断面で形成することが出来る。
次に可動弁5の衝突面となるシート面15aの耐磨耗性を向上させるために、オリフィスプレート15に焼入れを施し、例えばSUS420J2材の場合HRC52〜56の硬さにする。
次に図16に示すように、焼入れ後シート面15aを研削加工で仕上げ加工して、真円度,面あらさを向上させ、弁シート部11aとの間で油密性を向上させる。
最後にシート面仕上げ加工でオリフィスの上流側に発生したバリ取りを行い、オリフィスプレートが完成する。このときのバリ取り方法は種々考えられるが、オリフィスが複数個あるため、ウォータージェットや流体研磨で一度にバリ取りするのが好ましい。
以上の工程で製作することにより、複数個の、しかも各々偏向角が異なるオリフィスを全せん断面で、高精度に、しかも工程数が少なく、安価に製作することが出来る。
なお、燃料が定圧時の流量はオリフィス径の感度が大きく、流量の管理には穴径の正確な管理が必要である。本発明によれば、穴径の管理はパンチ径の管理のみでよいため、管理が容易である。これに対し、打抜き加工によるオリフィスは破断部の穴径が大きくなり、また破断面の長さがばらつくため、本発明品に比べて穴径管理が困難である。また、放電加工によるオリフィスは電極径の管理の他に、加工速度,電圧等の加工条件の管理が必要であり、本発明品に比べて穴径管理が困難である。
また、凹部Bの下流側端面、及びオリフィスの下流側端面がオリフィスの軸線と直角面となるため、流体の噴射タイミングが全周同一になり、噴射弁の軸線に対して偏向したオリフィスでもペネトレーションの長さを均一にでき、噴霧の均質性を向上することができる。
また、凹部Bの深さを変えることによりオリフィスの長さを変えることができ、噴霧の形状を最適にすることができる。この時、オリフィスプレート先端部15cの厚みを変える必要がないため、オリフィスプレート15の剛性が低下することはない。このため、オリフィスプレート先端部15cにかかる圧力の大きい10MPa以上の高燃圧タイプの噴射弁に好適である。
また、凹部Aを球面部に設けることで、凹部B、及びオリフィス加工時にパンチに曲げ荷重がかからなくなり、凹部Bとオリフィスを同軸度良くプレス加工することができるため、例えば放電加工や切削加工でオリフィスを加工したものに比べ面あらさ良く加工できる。このため、筒内噴射時に燃料が燃焼して生じるカーボン等の燃えカスやデポジットの、凹部A,凹部B、及びオリフィスへの付着を低減でき、噴霧の微粒化、及び形状・位置精度の向上が可能となる。
例えば、ガソリン車の実車走行試験において、放電加工によりオリフィスを加工した凹部が1段であるオリフィスプレートを使用した燃料噴射弁は、30,000km走行後にデポジット等が凹部とオリフィスに付着し、流量が15%低下することが実験的に明らかになっている。
一方本発明品は、放電加工品に比べて凹部A、及び凹部B、及びオリフィスの同軸度と面あらさが良いため、デポジットの凹部A、及び凹部B、及びオリフィスへの付着を低減でき、流量の変化は1.7%以下に抑えることができた。
また、ブランクをチャックしたまま位置決め穴,凹部A,凹部B、及びオリフィスを加工することにより、噴射弁の軸線に対して偏向した複数個のオリフィスを位置合せを必要とすること無く、各工程で位置精度良く加工することができる。
また、本発明法によりオリフィスをプレス加工する方法は、放電加工でオリフィスを加工する方法と比べ、1穴当りの加工時間を1/30程度に短縮できるため、設備投資を抑えることができ、安価なオリフィスプレートを提供することができる。
以上、本発明の実施例を具体的に説明したが、本発明はこれに限られることなく、発明思想の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施例では凹部Aが形成される領域を球面部30として説明したが、球面以外の曲面状のもの(曲面部)であってもよい。
また、上記実施例では、オリフィスを押出し加工により成形したが、打抜き加工によってオリフィスを成形後、上流側からシート面を切削、あるいは放電加工によって形成する際にオリフィスの破断面を削除して、全せん断面でオリフィスを形成するものであっても良い。
本発明の実施例を示す噴射弁の全体構成を示す縦断面図。 本発明の実施例を示すオリフィスプレートの斜視図。 本発明の実施例を示すオリフィスプレートの縦断面図。 本発明の実施例を示すオリフィスプレートの加工工程図。 本発明の実施例を示すオリフィスプレートブランクの斜視図。 本発明の実施例を示す位置決め穴加工後の斜視図。 本発明の実施例を示す凹部A加工後の斜視図。 本発明の実施例を示す凹部B加工後の斜視図。 本発明の実施例を示すオリフィス加工後の斜視図。 本発明の実施例を示すオリフィスプレートブランクの縦断面図。 本発明の実施例を示す位置決め穴加工後の縦断面図。 本発明の実施例を示す凹部A加工後の縦断面図。 本発明の実施例を示す凹部B加工後の縦断面図。 本発明の実施例を示すオリフィス加工後の縦断面図。 本発明の実施例を示すシート面荒加工後の縦断面図。 本発明の実施例を示すシート面仕上げ加工後の縦断面図。 本発明の実施例を示す位置決め穴プレス加工の縦断面図。 本発明の実施例を示す凹部Aプレス加工の縦断面図。 本発明の実施例を示す凹部Bプレス加工の縦断面図。 本発明の実施例を示すオリフィスプレス加工の縦断面図。
符号の説明
1 噴射弁本体
15 オリフィスプレート
15a シート面
30 球面部
31 位置決め穴
40,43,44 パンチ
41 ダイ
42 コレットチャック
54〜59 オリフィス
54a〜59a 凹部A
54b〜59b 凹部B

Claims (6)

  1. オリフィスプレートの一端面に形成された凸状の曲面部と、他端面に形成された円錐形状のシート面と、前記シート面の面上に開口する複数のオリフィスとを有するノズルの加工方法であって、
    前記曲面部が形成されたブランクの前記曲面部にオリフィスの軸線と略直角面となる複数の平面部をプレス加工する工程と、
    前記複数の平面部にそれぞれ1ヶずつ止まり穴をプレス加工する工程と、
    前記複数の止まり穴の底部にそれぞれ1ヶずつ前記オリフィスをプレス加工する工程と、
    前記シート面を切削加工または放電加工等で荒加工すると共に前記複数のオリフィスを同時に貫通させる工程と、
    前記複数のオリフィスを同時に貫通させる前記工程の後に、前記ノズルを焼入れする工程と、
    前記焼入れ工程の後に、前記シート面を研削加工で仕上げ加工する工程と、
    前記シート面を研削加工で仕上げ加工する前記工程の後に、前記複数のオリフィスの、前記シート面側の開放端をウォータジェットによりバリ取りする工程とを有することを特徴とするノズルの加工方法。
  2. 請求項1に記載のノズルの加工方法において、
    前記複数の平面部は、前記曲面部に凹状となってプレス加工されることを特徴とするノズルの加工方法。
  3. 請求項1又は2に記載のノズルの加工方法において、
    前記オリフィスは袋穴状にプレス加工することを特徴とするノズルの加工方法。
  4. 請求項1から3記載のノズルの加工方法において、
    前記平面部,前記止まり穴,前記オリフィスはそれぞれ同軸上にプレス加工されることを特徴とするノズルの加工方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のノズルの加工方法において、
    前記オリフィスは前記シート面を切削加工または放電加工で荒加工した後に全せん断面になることを特徴とするノズルの加工方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のノズルの加工方法において、
    前記平面部をプレス加工する工程,前記止まり穴をプレス加工する工程、及び前記オリフィスをプレス加工する工程は、前記ブランクをチャックしたままワンチャックで行われることを特徴とするノズルの加工方法。
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