JP5097725B2 - オリフィスの加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の内燃機関に用いられて燃料を噴射する燃料噴射弁の燃料の噴射孔となるオリフィスの加工方法に関する。
従来、燃料噴射弁の中心軸線からの傾斜角度が異なる複数の凹部と、凹部の底部に開口し、凹部と略同芯で形成されたオリフィスと、凹部が開口する凸状の曲面部とを備えたオリフィスプレートをプレス加工する方法が知られている。特許文献1は、凹部にパンチの曲げ低減機能とオリフィス長さの調整機能をもたせることを開示している。特許文献2は、凹部をオリフィスが開口する凹部Bと、凹部Bより径が大きく、曲面部に開口する凹部Aの2段で構成し、凹部Aにパンチの曲げ低減機能をもたせ、凹部Bにオリフィス長さの調整機能をもたせることを開示している。
特開2007−77843号公報 特開2008−101499号公報
上記従来技術では、複数のオリフィスや凹部を加工する途中で、オリフィスを形成する部材の強度が小さくなると、次のオリフィスや凹部を加工した際に、プレス加工の塑性流動により、隣りのオリフィスや凹部を変形させることについての配慮が無い。そしてオリフィスの数が増えるほど、プレス加工の難しさが増すことになり、オリフィスの設計自由度(穴数,傾斜角度,間隔等)が制限される。
特に燃料噴射弁の中心軸線に対するオリフィスの傾斜角度をオリフィス毎に異ならせ、オリフィスを所望の方向に指向させようとすると、特定の凹部間、あるいは凹部とオリフィス間で距離が小さくなり、凹部同士或いは凹部とオリフィスとが変形し易くなる。凹部やオリフィスが変形すると、噴霧の狙い位置(噴射方向)がずれてしまう。
本発明の目的は、プレス加工で複数のオリフィスを加工する燃料噴射弁において、オリフィス加工する順番を最適化することでオリフィスの変形を抑えることである。
上記目的を達成するために、本発明のオリフィスの加工方法は、燃料噴射弁の中心軸線からの傾斜角度が異なる複数の凹部と、前記凹部の底部に開口し、前記凹部と 同芯で形成されたオリフィスと、複数の前記凹部が開口した凸状の曲面部とを備えたオリフィスプレートをプレス加工する方法であって、凹部の下流側の最小肉厚Lと凹部の径寸法Dとの間に0.5D≦L≦Dの関係を有して隣り合う凹部の両方もしくは一方が、凹部が形成される前の前記曲面部と前記凹部の中心軸線との交点を通る前記曲面部の法線と、前記中心軸線との間に角度差αを有し、上流側になるほど、前記中心軸線が前記法線に対して隣の
穴に近づく側で前記法線から離れてゆく方向に形成されている場合、前記角度差αの大きい方の凹部を先にプレス加工するものである。
また、上記目的を達成するために、本発明のオリフィスの加工方法は、燃料噴射弁の中心軸線からの傾斜角度が異なる複数の凹部と、前記凹部の底部に開口し、前記凹部と 同芯で形成されたオリフィスと、複数の前記凹部が開口した凸状の曲面部とを備えたオリフィスプレートをプレス加工する方法であって、凹部の下流側の最小肉厚Lと凹部の径寸法Dとの間に0.5D≦L≦Dの関係を有して隣り合う凹部の両方が、凹部が形成される前の前記曲面部と前記凹部の中心軸線との交点を通る前記曲面部の法線と、前記中心軸線との間に角度差αを有し、一方の凹部の中心軸線が、上流側になるほど、法線に対して隣の
穴に近づく側で前記法線から離れてゆく方向に形成されており、他方の凹部の中心軸線が、上流側になるほど、法線に対して隣の穴から遠ざかる側で前記法線から離れてゆく方向に形成されている場合、前記一方の凹部を先にプレス加工するものである。
本発明によれば、プレス加工で複数のオリフィスを加工する燃料噴射弁において、オリフィス加工の順番を最適化することでオリフィスの変形を抑えることができる。これにより、オリフィスの設計自由度と加工容易性を高めることができる。
燃料噴射弁の全体構成を示す縦断面図。 オリフィスプレート15の斜視図。 オリフィスプレート15の縦断面図。 図2のB−B断面図。 図2のC−C断面図。 加工順番を決定するためのフローチャート。 凹部を順番違いで加工した場合のオリフィス部拡大図。 凹部577を加工している状態の図。 オリフィス57を加工している状態の図。
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の実施例によるオリフィスプレートを備えた噴射弁の全体構成を示す縦断面図である。尚、本実施例の噴射弁は、ガソリン等の燃料を噴射する燃料噴射弁であり、自動車のエンジンに燃料を噴射するために用いられるものである。
燃料噴射弁本体1は、コア2,ヨーク3,ハウジング4,可動子5からなる磁気回路,磁気回路を励磁するコイル6、及びコイル6に通電する端子ボビン7を備えている。コア2とハウジング4の間にはシールリング8が結合され、コイル6に燃料等の流体が流入するのを防いでいる。
ハウジング4の内部にはバルブ部品が収納され、可動子5,ノズル9,可動子5のストローク量を調整するリング10が配置されている。可動子5は、弁体11と可動コア12をジョイント13で結合したものであり、可動コア12とジョイント13の間にはパイプ18と共同して可動子5が閉弁した時のバウンドを抑えるプレート14を備えている。
外套部材を構成するハウジング4とノズル9は、可動子5の周囲を覆っている。ノズル9には、先端に円錐面を成すシート面15a(弁座)及びオリフィス54〜59を有するオリフィスプレート15と、ガイドプレートA16と共に可動子5を摺動可能にガイドするガイドプレートB17とが設けられている。オリフィスプレート15及びガイドプレートB17は、ノズル9に対して、それぞれ別体として構成されているものであってもよいし、これらを一体化して構成されているものでもよい。
コア2の内部には弁体11をシート面15aにパイプ18とプレート14を介して押圧するスプリング19,スプリング19の押圧荷重を調整するアジャスタ20,外部からのコンタミの進入を防ぐフィルター21が配置されている。
次に、燃料噴射弁本体1の動作について詳細に説明する。
コイル6に通電すると、可動子5がスプリング19の付勢力に抗してコア2の方向に吸引され、可動子5の先端の弁シート部11aとシート面15aとの間に隙間ができる(開弁状態)。加圧されている燃料はまずコア2,アジャスタ20,パイプ18から可動子5内の燃料通路13aを経てノズル9内に入る。次にガイドプレートA16の燃料通路16a,ノズルの通路9aから、ガイドプレートBの通路17aに入り、弁シート部11aとシート面15aの隙間からオリフィス54〜59を経て噴射される。オリフィス54〜59は、燃料噴射弁の中心軸線に対して偏向した方向に、異なる角度で形成されている。
一方、コイル6の電流を遮断した場合には、可動子5の弁シート部11aがスプリング19の力でシート面15aに当接し、閉弁状態となる。
次に、燃料噴射弁本体1のオリフィスプレート15及びオリフィス54〜59の構成について詳細に説明する。
図2はオリフィスプレート15の斜視図であり、図3はオリフィスプレート15の縦断面図である。
オリフィスプレート15は、略円板状の金属製のプレートからなり、一端面の略中央部には、凸状の曲面部としての球面部30が一体的に設けられており、球面部30の反対側端面には、弁座を構成する略円錐形状のシート面15aが設けられている。
この球面部30には、燃料を噴射するためのオリフィス54,55,56,57,58,59が、燃料噴射弁の中心軸線(ノズルの軸線15bに一致)に対して角度θ(図3参照)をもった方向、つまり、偏向した方向に形成されている。尚、本実施例では、θがオリフィス毎に異なっており、オリフィスはそれぞれ所望の方向を指向するように形成されている。勿論、θが同じものがあってもよい。
弁体11は、これらのオリフィスの上流側となるシート面15aに離接可能に設けられている。
以上のように、オリフィス54,55,56,57,58,59を、ノズルの軸線15bに対して偏向した方向に異なる角度で形成することで、燃料を任意の方向に噴射可能であるため、噴射方向を変えることで各メーカのエンジン仕様に合わせた燃焼コンセプトに対応するさまざまな噴霧パターンを形成することができる。吸気バルブを避けて噴射し,点火プラグ回りに燃料を集めることで、燃焼室内に均一に噴射することができ、微粒化を損なうことなく極めて理想的に空気との混合気を形成できる。
図3に示すように各々のオリフィス54,55,56,57,58,59の下流側には凹部544,555,566,577,588,599が設けられている。凹部の径をφDとする。
隣り合う凹部の下流側の最小肉厚Lは、凹部555と凹部566の肉厚をL1、凹部544と凹部555の肉厚をL2、凹部544と凹部599の肉厚をL3、凹部588と凹部599の肉厚をL4、凹部577と凹部588の肉厚をL5、凹部566と凹部577の肉厚をL6とする。これらは下記寸法関係で形成されている。
0.5D≦L1≦D
0.5D≦L2≦D
0.5D≦L3≦D
D<L4
D<L5
D<L6
図2のB−B断面図を図4、図2のC−C断面図を図5に示す。オリフィスの中心軸線54i〜59iと球面部30との交点を通る球面部30の法線54d〜59dとオリフィスの中心軸線54i〜59iとの角度差をα54〜α59とする。偏向角度θの値により角度差αが決まる。隣り合う2つのオリフィスを断面にした時に、中心軸線54i〜59iと球面部(但し、凹部544〜599が形成される前の球面部)30との交点又は中心軸線54i〜59iと法線54d〜59dとの交点から上流側において、上流側になるほど、中心軸線54i〜59iが法線54d〜59dに対して隣の穴(凹部544〜599又はオリフィス54〜59)に近づく側で法線54d〜59dから離れてゆく方向に形成されている場合を穴の向きが隣の穴に対して内向きであると定義し、中心軸線54i〜59iが法線54d〜59dに対して隣の穴(凹部544〜599又はオリフィス54〜59)から遠ざかる側で法線54d〜59dから離れてゆく方向に形成されている場合を穴の向きが隣の穴に対して外向きであると定義する。
例えば図4においては、オリフィス55はオリフィス56に対して外向きであり、オリフィス56はオリフィス55に対して内向きである。また、例えば図5においては、オリフィス54はオリフィス55に対して内向きであり、オリフィス55はオリフィス54に対して内向きである。
尚、断面図は省略するが、オリフィス59はオリフィス54に対して外向きであり、オリフィス54はオリフィス59に対して外向きで形成されている。
凹部の底面544s〜599sはオリフィスの中心軸線54i〜59iと略直角に交わる面となるように形成されており、これらの凹部の中心軸線とオリフィスの中心軸線は、ほぼ一直線となるようになっている。そのため、流体の噴射タイミングが全周同一になり、ノズルの軸線15bに対して偏向したオリフィスでもペネトレーションの長さを均一にでき、噴霧の均質性を向上することができる。また凹部の深さは周方向に沿って変化している。
また図3に示すように、オリフィス54とオリフィス57とは、中心線54iとノズル軸線(本実施例では弁軸線と一致)15bとが成す角度θ54と中心線57iとノズル軸線15bとが成す角度θ57とが、異なっている。全てのオリフィス54,55,56,57,58,59で角度θを異ならせても良いし、複数の組に分け組毎に角度θを異ならせても良い。また全てのオリフィスで角度θを同じにしてもよいが、後述するように角度θの異なるオリフィスがある場合に、本実施例は特に有効である。
オリフィス54〜59は、凸状の球面部30の球面上に形成された凹部の底部544s〜599sに出口側開口を有し、シート面15aを構成する略円錐形状面状に入口側開口を有する。
オリフィス長さはペネトレーションの長さへの感度が大きい。凹部の深さ(段差)を適時変更することにより、オリフィスの長さを最適に設定することができ、噴霧形状を最適にしたり、加工性を容易にすることができる。このため、オリフィス毎に凹部の少なくとも2つの間では、深さが異なっている。この時、オリフィスプレート先端部15cの厚みを変える必要がないため、オリフィスプレート15の剛性が落ちない。よって、オリフィスプレート先端部15cにかかる圧力の大きい10MPa以上の高燃圧タイプの噴射弁に好適である。
このように、オリフィスの入口を弁座面に開口させる形態では、厚さが薄く均一な板状部材にオリフィスを形成する場合に比べて、オリフィスを加工する部材の厚みが厚くなる。特に、オリフィスの入口開口をノズルの軸線15b(燃料噴射弁の中心軸線に一致)を中心とする円周上に配置し、ノズルの軸線15bに対するオリフィスの傾斜角度θをオリフィス間で異ならせた場合、オリフィスの出口開口はノズルの軸線15bを中心とする円周上に並ばなくなる。この場合、オリフィスを貫通させる距離がオリフィス毎に異なることとなり、結果としてオリフィス長さが異なってしまう。従って、このような形態では特に、凹部によりオリフィスの長さを調整することが重要になってくる。
多くのオリフィスをプレス加工する場合、凹部下流側の最小肉厚Lが凹部の径寸法D以下となった場合に、隣り合う凹部が塑性流動により変形しやすくなる。特にノズルの軸線15bに対する傾斜角度θをオリフィス毎に異ならせ、オリフィスを所望の方向に指向させようとすると、特定の凹部間で変形が起こりやすくなる。よって、凹部の径,凹部の深さ、及び凹部の傾斜角度θを自由に変更することが難しくなる。
本実施例では、凹部下流側の最小肉厚L,凹部の径寸法Dとの間に、0.5D≦L≦Dが成立している場合に、凹部の加工順番を最適化することでそれらの問題を解決した。これにより、加工精度が高く、加工の容易な、設計自由度の高い凹部及びオリフィスを実現することができる。特に、穴数を6穴以上としたい時に、本実施例は有効である。
以下、凹部の加工順番の最適化について述べる。
図6に加工順番を決定するためのフローチャートを示す。
まず、図4に示した凹部555と凹部566の加工順番を決める手順を示す。
(1)最小肉厚Lについて
0.5D≦L1≦D
(2)法線との角度差αについて
凹部555と凹部566どちらも角度差がある
(3)穴の向き
凹部555は凹部566に対して外向きであり、凹部566は凹部555に対して内向きである。
これらを図6のフローチャートにかけると、「内向き穴を先に加工」という結論が得られる。つまり、凹部566を凹部555より先に加工する。
次に、図5に示した凹部544と凹部555の加工順番を決める手順を示す。
(1)最小肉厚Lについて
0.5D≦L2≦D
(2)法線との角度差αについて
凹部544と凹部555どちらも角度差がある
(3)穴の向き
凹部544は凹部555に対して内向きであり、凹部555は凹部544に対して内向きである。
これらを図6のフローチャートにかけると、「αが大きい穴を先に加工」という結論が得られる。つまり、凹部555を凹部544より先に加工する。
以上により、凹部544,凹部555,凹部566の加工順番は、まず凹部566、次に凹部555、最後に凹部544の順番となる。
凹部544と凹部599に関しては、0.5D≦L3≦Dであるが、穴の向きがどちらも外向きであるため、本発明法は適用外であり、加工順番は自由に設定できる。
また、凹部599と凹部588、凹部588と凹部577、凹部577と凹部566に関しては、L4〜L6がDより大きいので、本発明法は適用外であり、加工順番は自由に設定できる。
よって最終的に、加工順番は、まず凹部566、次に凹部555、次に凹部544、次に凹部599、次に凹部588、最後に凹部577の順番となる。尚、凹部544,凹部555,凹部566以外の加工順番は上記以外でもかまわない。
図7は凹部を順番違い(凹部544を凹部555よりも先に加工)で加工した場合のオリフィス部拡大図である。
オリフィスプレート15のプレス加工前ブランクは端面の略中央部に球面部30を有し、球面部30の反対側端面には、椀状の凹部30aが形成されている。
まず、軸線54iに沿って凹部加工パンチ43の刃先部43aで球面部30を押圧し、凹部544が形成される。この時、パンチ押し込み深さYがD/4より小さい時、パンチにより押し出された材料は椀状の凹部30a内にはほとんど流れず、その大部分は径方向、あるいは後方に流れる。YがD/4以上となると、パンチにより押し出された材料は大部分が椀状の凹部30a内に流れ、盛上り部544eが形成される。
次に軸線55iに沿って凹部加工パンチ43の刃先部43aで球面部30を押圧すると、パンチ押し込み深さYがD/4より小さい時、パンチにより押し出された材料は椀状の凹部30a内にはほとんど流れず、その大部分は径方向、あるいは後方に流れる。このとき、穴間の剛性、及びパンチの進行方向が隣の穴を変形させる要因となる。具体的には、凹部555のように、隣の穴(凹部544)との最小肉厚L2が凹部径Dの寸法以下であり、隣の穴に対して内向きである穴を加工すると、角度差αが大きいほど、隣の穴の側壁部に材料が流動しやすくなる。このため、凹部544の下流側の一部分に変形部60を生じ、噴霧の均質化を阻害する要因となる。
ただし、本発明法によっても、L<0.5Dの条件では、穴間の剛性が著しく低下するため、変形部60の発生を防止できなくなる。
凹部の加工終了後、オリフィスを加工するが、オリフィスに関しても同様に穴間の剛性、及びパンチの進行方向が隣の穴を変形させる要因となる。そのため、オリフィスの加工順番はオリフィスが開口する凹部の加工順番と同じくすることが好ましい。よって、まずオリフィス56、次にオリフィス55、次にオリフィス54、次にオリフィス59、次にオリフィス58、最後にオリフィス57の順番となる。
以下、オリフィスプレート15の加工方法について述べる。
図8は凹部577を加工している状態の図である。
まず、オリフィスプレート15のプレス加工前ブランクをダイ41の上面に設置し、外径をコレットチャック42で強固に保持する。更に、ブランクを保持したままパンチ43の切り刃部43aで球面部30を押圧し、まず凹部566、次に凹部555、次に凹部544、次に凹部599、次に凹部588、最後に凹部577の順で袋穴状に押出し加工する。この時、椀状の凹部30aの内部には盛上り部566e,555e,544e,599e,588e,577eが形成される。尚、凹部の加工は、プレス加工するとともに表面を加工硬化させるものであることが好ましい。このように、プレス加工により凹部を成形することで、面粗度のよい凹部が得られる。
凹部544〜599をすべて加工した後に、オリフィス54〜59を凹部と同じ順番で加工する。図9はオリフィス57を加工している状態の図である。
オリフィスプレート15をコレットチャック42で保持したままの状態で、凹部566の底面部566sに直角にパンチ45の切り刃部45aを押圧し、オリフィス56を袋穴状に押出し加工する。この時、椀状の凹部30aの内部には、盛上り部566eよりも大きな盛上り部56fが形成される。次にオリフィス55、次にオリフィス54、次にオリフィス59、次にオリフィス58、最後にオリフィス57を加工する。この時、椀状の凹部30aの内部には盛上り部55f,54f,59f,58f,57fが形成される。このように、オリフィスプレート15にプレス加工によりオリフィスを成形することで、図9に示すような、凹部の底面にオリフィスを有するオリフィスプレート15が得られる。尚、オリフィスプレート15は、コレットチャック42で保持された状態であるため、位置決め穴を基準として、凹部,オリフィスの中心軸線がほぼ一直線となるように、位置精度、及び同軸度良く加工される。また、オリフィスは、袋穴状にプレス加工することにより内面を全せん断面に加工でき、表面あらさを著しく向上できる。この時、凹部加工時に盛上り部544e〜599eを形成しておくことで、オリフィス加工パンチを椀状の凹部30aの内部まで入れても、パンチ45の切り刃部45aが及ぼす材料の引張り力を小さくできるため、盛上り部544e〜599eに破断が走らず、オリフィス54〜59を全せん断面で形成でき、噴霧ばらつきを抑えることができる。
最後に、オリフィスを袋穴状に成形することによって、球面部30の反対側端面の凹部に形成された盛上り部54f〜59fは、図3に示すように略円錐状のシート面15a(弁座)を加工することで削除され、オリフィスがシート面15a側に貫通する。この際の加工方法は旋削、あるいは放電加工で行う。これによりオリフィスを全せん断面で形成することができる。燃料が定圧時の流量はオリフィス径の感度が大きく、流量の管理には穴径の正確な管理が必要である。本実施例によれば、穴径の管理はパンチ径の管理のみでよいため、管理が容易である。これに対し、打ち抜き加工によるオリフィスは破断面の穴径が大きくなり、また破断面の長さがばらつくため、本実施例品に比べて穴径管理が困難である。また、放電加工によるオリフィスは電極径の管理の他に、加工速度,電圧等の加工条件の管理が必要であり、本実施例品に比べて穴径管理が困難である。
このように、オリフィスの下流側となる球面部に、オリフィスの中心軸線と同芯で、略垂直な面をもった凹部を形成することで、それぞれ噴射方向の異なるオリフィスをプレス加工で精度良く容易に加工できる。よって、炭素量0.25%以上のマルテンサイト系ステンレス鋼(例えばSUS420J2)でもアスペクト比1.5以上のオリフィスをプレスで容易に加工することができる。尚、炭素量0.25%以上のマルテンサイト系ステンレス鋼を用いた場合には、焼入れ後の硬さがHRC52以上であることがより望ましい。
また、加工順番の最適化により、凹部の下流側が変形しないため、凹部の変形部に噴霧が当って噴霧にすじが入るのを防止でき、さらに、凹部の変形部に当った燃料がエンジンのシリンダー内に滴下して、カーボン等の異物が発生するのを防止できる。
また、オリフィスの出口がオリフィスの軸線と直角面となるため、流体の噴射タイミングが全周同一になり、噴射弁の軸線に対して偏向したオリフィスでもペネトレーションの長さを均一にでき、噴霧の均質性を向上することができる。
また、凹部とオリフィスをプレス加工することができるため、例えば放電加工や切削加工でオリフィスを加工したものに比べ面粗度良く加工できる。このため、筒内噴射時に燃料が燃焼して生じるカーボン等の燃えカスの凹部、及びオリフィスへの付着を低減でき、噴霧の微粒化、及び形状・位置精度の向上が可能となる。ガソリン車の実車走行試験において、放電加工によりオリフィスを加工したオリフィスプレートを使用した燃料噴射弁は、30,000km走行時に、燃えカスが凹部とオリフィスに付着し、流量が15%低下することが実験的に明らかになっている。それに対し、本実施例品は放電加工品に比べて、凹部及びオリフィスの同軸度と面粗度が良いため、燃えカスの凹部、及びオリフィスへの付着を低減でき、流量の変化は1.7%以下に抑えることができた。
また、ブランクをチャックしたまま、凹部、及びオリフィスを加工することにより、噴射弁の軸線に対して偏向した複数個のオリフィスが、位置合せを必要とすること無く、加工することができる。
また、本実施例によりオリフィスをプレス加工する方法は、放電加工でオリフィスを加工する方法と比べ、1穴当りの加工時間を1/30程度にできるため、設備投資を抑えることができ、放電加工品と比べて安価なオリフィスプレートを提供することができる。
以上、本発明の実施例を具体的に説明したが、本発明はこれに限られることなく、発明思想の範囲内で種々の変更が可能である。
上記実施例では、凹部が一段である場合について述べたが、凹部を、曲面部に開口する第一の凹部、及びオリフィスが開口する第二の凹部の二段で形成し、第一の凹部の径を第二の凹部の径に対し大きく形成し、第一の凹部の深さを第二の凹部の深さに対し浅く形成したものについても有効である。フローチャートに沿って第一の凹部の全箇所の加工順番を決め、それと同様の順番で、第二の凹部の全箇所,オリフィス全箇所の順で加工する。
上記実施例では、凹部が形成される領域を球面部30として説明したが、球面以外の曲面状のものであってもよい。
また、上記実施例では、オリフィスを押出し加工により成形したが、打抜き加工によってオリフィスを成形後、上流側からシート面を切削、あるいは放電加工によって形成する際に、オリフィスの破断面を削除して、全せん断面でオリフィスを形成するものであっても良い。
本実施例においては、隣り合うオリフィス間でオリフィスが変形するのを防ぎ、オリフィスの設計自由度(穴数,傾斜角度,間隔等)を高めることができる。
1 噴射弁本体
15 オリフィスプレート
15a シート面
30 球面部
41 ダイ
42 コレットチャック
43,45 パンチ
43a,45a パンチ切り刃部
54〜59 オリフィス
60 変形部
544〜599 凹部

Claims (7)

  1. 燃料噴射弁の中心軸線からの傾斜角度が異なる複数の凹部と、前記凹部の底部に開口し、前記凹部と 同芯で形成されたオリフィスと、複数の前記凹部が開口した凸状の曲面部とを備えたオリフィスプレートをプレス加工する方法であって、凹部の下流側の最小肉厚Lと凹部の径寸法Dとの間に0.5D≦L≦Dの関係を有して隣り合う凹部の両方もしくは一方が、凹部が形成される前の前記曲面部と前記凹部の中心軸線との交点を通る前記曲面部の法線と、前記中心軸線との間に角度差αを有し、上流側になるほど、前記中心軸線が前記法線に対して隣の穴に近づく側で前記法線から離れてゆく方向に形成されている場合、前記角度差αの大きい方の凹部を先にプレス加工することを特徴とするオリフィスの加工方法。
  2. 燃料噴射弁の中心軸線からの傾斜角度が異なる複数の凹部と、前記凹部の底部に開口し、前記凹部と 同芯で形成されたオリフィスと、複数の前記凹部が開口した凸状の曲面部とを備えたオリフィスプレートをプレス加工する方法であって、
    凹部の下流側の最小肉厚Lと凹部の径寸法Dとの間に0.5D≦L≦Dの関係を有して隣り合う凹部の両方が、凹部が形成される前の前記曲面部と前記凹部の中心軸線との交点を通る前記曲面部の法線と、前記中心軸線との間に角度差αを有し、一方の凹部の中心軸線が、上流側になるほど、法線に対して隣の穴に近づく側で前記法線から離れてゆく方向に形成されており、他方の凹部の中心軸線が、上流側になるほど、法線に対して隣の穴から遠ざかる側で前記法線から離れてゆく方向に形成されている場合、前記一方の凹部を先にプレス加工することを特徴とするオリフィスの加工方法。
  3. 請求項1又は2に記載のオリフィスの加工方法において、
    すべての凹部をプレス加工した後に、凹部をプレス加工したのと同じ加工順番で、各凹部に開口するオリフィスをプレス加工することを特徴とするオリフィスの加工方法。
  4. 請求項1又は2に記載のオリフィスの加工方法において、
    前記凹部を前記曲面部に開口する第一の凹部と前記第一の凹部に開口する第二の凹部とを有する二段で形成し、前記第一の凹部の径を前記第二の凹部の径に対して大きく、かつ前記第一の凹部の深さを前記第二の凹部の深さに対して浅く形成し、前記第一の凹部の全箇所、前記第二の凹部の全箇所、オリフィスの順にプレス加工し、前記第二の凹部及び前記オリフィスは前記第一の凹部をプレス加工したのと同じ加工順番でプレス加工することを特徴とするオリフィスの加工方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のオリフィスの加工方法において、
    前記曲面部は球面形状であることを特徴とするオリフィスの加工方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のオリフィスの加工方法において、
    ブランクをチャックした後、少なくとも前記凹部を形成する工程及び前記オリフィスを加工する工程はチャックを解除することなく行うことを特徴とするオリフィスの加工方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のオリフィスの加工方法において、
    前記ブランクは炭素量が0.25%以上のマルテンサイト系ステンレス鋼であり、焼入れ後の硬さがHRC52以上であることを特徴とするオリフィスの加工方法。
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