JP5298048B2 - オリフィス加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の内燃機関に用いられる燃料噴射弁における燃料噴射孔となる複数のオリフィスをオリフィスプレートに対してプレス加工により歩留まり良く精巧に形成するためのオリフィス加工方法に関する。
従来、オリフィスプレートに対してプレス加工により複数のオリフィスを形成する場合、オリフィスプレートの一面側に形成された凹み開口部の底部から凸状に隆起する形状の曲面部に対して、燃料噴射弁の中心軸線からの傾斜角度が異なる複数の凹部をプレス加工により形成した後、各凹部の底面部に対してそれぞれプレス加工に基づいて開口して略同芯状に複数のオリフィスの基本形状を形成する手法が汎用的である。尚、各オリフィス自体は、オリフィスプレートにおける曲面部の他面側(プレス加工前は一面側と略同芯状の形状となっている)を略円錐状に削除加工してシート面(弁座)を形成したときに上流側が開口され、貫通するように形成されるものである。
このようなオリフィスプレートの曲面部に対してプレス加工に基づいてオリフィスを形成するための周知技術としては、例えば一方向又は多方向に偏向したオリフィスを容易に加工できるように、オリフィスプレートの一方の面の球面部に平面部を形成し、その平面部にオリフィスを形成すべく、オリフィスの形成に要する初期的な凹部を形成するためのパンチ曲げ低減機能と凹部に対するオリフィス長の調整機能とを持たせた「噴射弁及びオリフィスの加工方法」(特許文献1参照)、更に、この特許文献1の場合と同様なオリフィスを加工するため、凹部についてはオリフィスを開口する第2の凹部と、これよりも径が大きくて曲面部に開口する第1の凹部との2段構成とし、第1の凹部の形成にパンチ曲げ低減機能を持たせ、第2の凹部の形成にオリフィス長の調整機能を持たせた「噴射弁及びオリフィスの加工方法」(特許文献2参照)等が挙げられる。
特開2007−77843号公報 特開2008−101499号公報
上述した特許文献1や特許文献2に係るオリフィスプレートの曲面部に対するプレス加工に基づくオリフィスの形成技術は、オリフィスや凹部を加工形成する途中でオリフィスプレート部材の強度が小さくなると、他のオリフィスや凹部を加工形成するときにプレス加工の塑性流動により隣接するオリフィスや凹部を変形させることが配慮されていないため、オリフィスの数が増えて隣接するもの同士の間隔が狭くなる程、プレス加工の難しさが増すことになり、結果として規格された寸法のオリフィスプレートの曲面部に対するオリフィスの設計自由度(穴数、傾斜角度、間隔等)が制限されてしまうという問題がある。
特に、燃料噴射弁の中心軸線に対するオリフィスの傾斜角度をオリフィス毎に異ならせ、オリフィスを所望の方向へと指向性を持たせようとすると、特定の凹部間、或いは凹部及びオリフィス間で間隔距離が小さくなり、プレス加工時に凹部同士、或いは凹部とオリフィスとが変形し易くなる。このように凹部やオリフィスが変形すると、噴霧の狙い位置である噴射方向のずれた構造となってしまうため、不具合になる。
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、プレス加工によりオリフィスプレートに複数のオリフィスを形成するときに隣接するもの同士の間隔が非常に狭くても、極力変形を抑制して歩留まり良く精巧にオリフィスを形成し得るオリフィス加工方法を提供することにある。
上記技術的課題を達成するために、本発明のオリフィス加工方法の1つは、オリフィスプレートに対して燃料噴射弁の中心軸線からの傾斜角度が異なるように複数のオリフィスをプレス加工に基づいて形成するオリフィス加工方法において、複数のオリフィスのうちの隣り合うもの同士の下流側の最小肉厚Lminと口径の寸法Dとの間に0.25D≦Lmin<0.5Dの関係がる場合、一方のオリフィス形成位置に対してパンチ押込み深さYと口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるようにオリフィスの一部分を形成する第1のプレス工程と、他方のオリフィス形成位置に対してパンチ押込み深さYと口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるようにオリフィスの一部分を形成する第2のプレス工程と、を振り分けて複数回繰り返して実施し、当該複数のオリフィスのうちの隣り合うものの基本形状を形成することを特徴とする。
このオリフィス加工方法において、第1のプレス工程及び第2のプレス工程は、オリフィスプレートのブランクをチャックした後に当該チャックを解除せずに継続して行うこと、更にオリフィスプレートのブランクは、炭素量が0.25%以上のマルテンサイト系ステンレス鋼であり、焼入れ後の硬さがHRC52以上であること、はそれぞれ好ましい。
また、本発明のオリフィス加工方法のもう1つは、一面側に形成された凹み開口部の底部から凸状に隆起する形状の曲面部を有するオリフィスプレートにおける当該曲面部に対して燃料噴射弁の中心軸線からの傾斜角度が異なる複数の凹部をプレス加工により形成すると共に、当該複数の凹部の底面部に対してそれぞれ当該プレス加工に基づいて開口して略同芯状に複数のオリフィスの基本形状を形成するオリフィス加工方法において、複数の凹部のうちの隣り合うもの同士の下流側の最小肉厚Lminと口径の寸法Dとの間に0.25D≦Lmin<0.5Dの関係がある場合、一方の凹部形成位置に対してパンチ押込み深さYと口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるように凹部の一部分を形成する第1のプレス工程と、他方の凹部形成位置に対してパンチ押込み深さYと口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるように凹部の一部分を形成する第2のプレス工程と、を振り分けて複数回繰り返して実施し、当該複数の凹部のうちの隣り合うものを形成する手順を有することを特徴とする。
上記オリフィス加工方法において、第1のプレス工程及び第2のプレス工程を振り分けて繰り返して複数のオリフィスの形成に要する複数の凹部をプレス加工により全て形成した後、当該複数の凹部の底面部に対してそれぞれ開口して形成される複数のオリフィスのうちの隣り合うもの同士の下流側の最小肉厚Lminと口径の寸法Dとの間に0.25D≦Lmin<0.5Dの関係がある場合、一方のオリフィス形成位置に対してパンチ押込み深さYと口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるようにオリフィスの一部分を形成する第3のプレス工程と、他方のオリフィス形成位置に対してパンチ押込み深さYと口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるようにオリフィスの一部分を形成する第4のプレス工程と、を振り分けて複数回繰り返して実施し、当該複数のオリフィスのうちの隣り合うものの基本形状を形成する手順を有することは好ましい。
また、上記何れかのオリフィス加工方法において、オリフィスプレートにおける曲面部は、球面形状であることは好ましい。
更に、上記何れかのオリフィス加工方法において、第1のプレス工程及び第2のプレス工程と第3のプレス工程及び第4のプレス工程とは、オリフィスプレートのブランクをチャックした後に当該チャックを解除せずに継続して行うことは好ましい。
加えて、上記オリフィス加工方法において、オリフィスプレートのブランクは、炭素量が0.25%以上のマルテンサイト系ステンレス鋼であり、焼入れ後の硬さがHRC52以上であることは好ましい。
本発明によれば、プレス加工によりオリフィスプレートに複数のオリフィスを形成するときに、隣接するもの同士の間隔が非常に狭いものについては、プレス工程を振り分けて複数回繰り返し行うため、隣接するオリフィスの形成時に変形を極力抑制することができるようになり、従来に無くオリフィスの設計自由度(穴数、傾斜角度、間隔等)と加工容易性とが高められ、所望の噴射方向を定めるオリフィスが精度高く形成されたオリフィスプレートを歩留まり良く作製することが可能となる。
本発明のオリフィス加工方法により形成された各オリフィスを有するオリフィスプレートを備えた燃料噴射弁の全体構成を示した縦方向での断面図である。 図1に示す燃料噴射弁に備えられたオリフィスプレートの細部構成を示した斜視図である。 図2のA−A線断面方向におけるオリフィスプレートの断面図である。 本発明のオリフィス加工方法の前半を担う第1のプレス工程及び第2のプレス工程の一回実施による第1凹部の形成を説明するために示した図2のB−B線方向におけるオリフィスプレートの部分拡大断面図である。 本発明のオリフィス加工方法の前半を担う第1のプレス工程及び第2のプレス工程の二回実施による凹部の形成を説明するために示した図2のB−B線方向におけるオリフィスプレートの部分拡大断面図である。 図5に示す状態の凹部を1回のプレス工程で形成した場合の状態を説明するために示した図2のB−B線方向におけるオリフィスプレートの部分拡大断面図である。 図4及び図5で説明した本発明のオリフィス加工方法の前半を担う第1のプレス工程及び第2のプレス工程によるオリフィスプレートの球面部に対する凹部の形成を説明するために示した凹部加工用のパンチとダイ及びコレクトチャックとを用いた要部の部分拡大断面図である。 本発明のオリフィス加工方法の後半を担う第3のプレス工程及び第4のプレス工程によるオリフィスプレートの凹部の底面部に対するオリフィスの形成を説明するために示したオリフィス加工用のパンチとダイ及びコレクトチャックとを用いた要部の部分拡大断面図である。
以下に、本発明のオリフィス加工方法について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明のオリフィス加工方法により形成された各オリフィス54、55、56、57を有するオリフィスプレート15を備えた燃料噴射弁の全体構成を示した縦方向での断面図である。
この燃料噴射弁は、自動車のエンジンにガソリン等の燃料を噴射するために用いられるもので、燃料噴射弁本体1がコア2、ヨーク3、ハウジング4、及び可動子5からなる磁気回路と、磁気回路を励磁するコイル6と、コイル6に通電する端子ボビン7とを備えて構成されている。コア2とハウジング4との間にはシールリング8が結合され、コイル6に燃料等の流体が流入するのを防いでいる。
ハウジング4の内部にはバルブ部品が収納され、具体的には可動子5、ノズル9、可動子5のストローク量を調整するリング10が配置されている。可動子5は、弁体11と可動コア12とをジョイント13で結合したものであり、可動コア12とジョイント13との間にはパイプ18と共同して可動子5が閉弁した時のバウンドを抑えるプレート14が備えられている。
外套部材を構成するハウジング4とノズル9とは、ノズル9の装着部9bをハウジング4内部に組み付けた状態で可動子5の周囲を覆っている。ノズル9には、先端に円錐面を成すシート面(弁座)15a及びオリフィス54〜57を有するオリフィスプレート15と、ガイドプレート16と共に可動子5を摺動可能にガイドする他のガイドプレート17とが設けられている。ここでのオリフィスプレート15及びガイドプレート17は、ノズル9に対してそれぞれ別体として構成されていても、或いは一体化して構成されていても良い。
コア2の内部には弁体11をシート面15aにパイプ18とプレート14とを介して押圧するスプリング19、このスプリング19の押圧荷重を調整するアジャスタ20、外部からのコンタミの進入を防ぐフィルタ21が配置されている。
その他、図1に示す状態ではコア2の端面2aと可動コア12の端面12aが当接され、ジョイント13の燃料経路13aからノズル9内の弁体11周囲の通路9aを通ったガソリン等の燃料がガイドプレート17の側壁17bの内側に繋がるように形成された通路17a、17cを通ってオリフィスプレート15のシート面15aへ流れる。
以下は、この燃料噴射弁の動作について簡単に説明する。コイル6に通電すると、可動子5がスプリング19の付勢力に抗してコア2の方向に吸引され、可動子5に結合された弁体11の先端の弁シート部11aとオリフィスプレート15のシート面15aとの間に隙間ができて開弁状態となる。
この開弁状態において、加圧された燃料は、コア2、アジャスタ20、パイプ18から可動子5内のジョイント13の燃料通路13aを経てノズル9内に入り、ガイドプレート16の通路16a、ノズル9の通路9aからガイドプレート17の通路17a、17cに入り、弁シート部11aとシート面15aとの隙間からオリフィスプレート15のオリフィス54〜57を経て噴射される。因みに、ここでのオリフィス54〜57は、燃料噴射弁の中心軸線に対して偏向した方向へと異なる角度で形成されている。
また、コイル6の通電を遮断(電流を遮断)した場合には、可動子5がスプリング19の付勢力に屈してコア2から離れる方向に移動し、可動子5に結合された弁体11の先端の弁シート部11aがシート面15aに当接し、弁シート部11a及びシート面15aの間の隙間が塞がって閉弁状態となる。
図2は、ここでの燃料噴射弁に備えられたオリフィスプレート15の細部構成を示した斜視図である。また、図3は、図2のA−A線断面方向におけるオリフィスプレート15の断面図である。
以下は、図2及び図3を参照し、オリフィスプレート15及びオリフィス54〜57の細部構成を説明する。
ここでのオリフィスプレート15は、略円板状の金属製のプレートからなり、一面側の略中央部には、凹み開口部の底部から凸状に隆起する形状の曲面部である球面部30が一体的に設けられており、球面部30と反対の他面側には、弁座を構成する略円錐形状のシート面15aが設けられている。
ここでの球面部30には、燃料噴射弁の中心軸線を示すノズル軸線15bからの傾斜角度θが異なる複数(ここでは4つ)の凹部544、555、566、577がプレス加工により形成されると共に、下流側となる各凹部544、555、566、577の底面部に対してそれぞれプレス加工に基づいて開口して略同芯状に燃料を噴射するための複数(ここでは4つ)のオリフィス54〜57の基本形状が形成され、更に、プレス加工前には一面側と略同芯状の形状となっている他面側を略円錐状に削除加工してシート面15aを形成したときに上流側となるオリフィス54〜57が開口形成されている。
図3に示す例では、ノズル軸線15bから口径φがDの凹部544及びオリフィス54の軸線54iまでの傾斜角θよりもノズル軸線15bから口径φがDの凹部566及びオリフィス56の軸線56iまでの傾斜角θが大きくなる方向、即ち、オリフィス54、56の軸線54i、56iが偏向した方向に形成されている。
ここでは、傾斜角θがオリフィス54〜57毎に異なっており、オリフィス54〜57がそれぞれ所望の方向を指向するように形成されている場合を示すが、勿論、傾斜角θが同じに形成されたものが含まれていても良い。
因みに、上述した弁体11は、その先端部分がオリフィス54〜57の上流側にあるシート面15aに対して接触してオリフィス54〜57を塞いだり、或いは離れて開口するように略円錐形状となっている。
また、図2を参照すれば、各凹部544、555、566、577の隣り合うものにおける下流側の肉厚Lについて、凹部555と凹部566との肉厚をL1、凹部544と凹部555との肉厚をL2、凹部544と凹部577との肉厚をL3、凹部566と凹部577との肉厚をL4とした場合、各凹部544、555、566、577の口径φの寸法Dとの関係において、D<L1、0.25D≦L2<0.5D、D<L3、D<L4が満たされるように形成されている。ここでは、凹部544と凹部555との肉厚L2が最小肉厚Lminとなっている。
オリフィス54〜57は、凸状の球面部30の球面上に形成された凹部544、555、566、577の底面部544s、555s、566s、577sに出口側の開口を有し、シート面15aを構成する略円錐形状の面上に入口側の開口を有する。
オリフィス54〜57の長さはペネトレーションの長さへの感度が大きく、凹部544、555、566、577の深さ(段差)を適時変更することにより、長さを最適に設定することができる。これにより、噴霧形状を最適にしたり、加工性を容易にすることができるため、オリフィス54〜57毎に凹部544、555、566、577の少なくとも2つの間で深さが異なるように形成している。こうした場合、オリフィスプレート15の先端部15cの厚みを変える必要がないため、オリフィスプレート15の剛性が落ちない。従って、オリフィスプレート15の先端部15cに加わる圧力が大きい10MPa以上の高燃圧タイプの噴射弁に好適である。
以上に説明したように、オリフィス54〜57をノズル軸線15bに対して偏向した方向に異なる角度で形成することで、燃料を任意の方向に噴射可能であるため、噴射方向を変えることで各種メーカのエンジン仕様に合わせた燃焼コンセプトに対応する様々な噴霧パターンを形成することができる。吸気バルブを避けて噴射し、点火プラグ回りに燃料を集めれば燃焼室内に均一に噴射することができ、微粒化を損なうことなく極めて理想的に空気との混合気を形成できる。
ところで、オリフィス54〜57の入口をオリフィスプレート15の弁座面(シート面15a)に開口させる形態では、厚さが薄くて均一な板状部材にオリフィスを形成する場合と比べ、オリフィスを加工する部材の厚みが厚くなる。特にオリフィスの入口となる開口をノズル軸線15b(燃料噴射弁の中心軸線に一致)を中心とする円周上に配置し、ノズル軸線15bに対するオリフィス54〜57の傾斜角度θを相互間で異ならせて形成する場合、オリフィス54〜57の出口となる開口はノズル軸線15bを中心とする円周上に並ばなくなる。こうした場合、オリフィス54〜57を貫通させる距離がオリフィス54〜57毎に異なることになり、結果としてオリフィス54〜57の長さが異なってしまう。
従って、このような形態では、特に凹部544、555、566、577の深さを変えることで、オリフィス54〜57の長さを一定にすることが重要になってくる。即ち、所望の噴霧形状によりオリフィス54〜57の長さが決定され、それに応じて凹部544、555、566、577のそれぞれの深さが決定される。
一般に、オリフィスプレート15に対して多数のオリフィスをプレス加工により形成する場合、各凹部の下流側の最小肉厚Lが各凹部の口径φの寸法D以下となった場合には、各凹部の隣り合うものが塑性流動により変形し易くなる。特にノズル軸線15bに対する傾斜角度θを各オリフィス54〜57毎に異ならせ、各オリフィス54〜57を所望の方向へ指向させようとすると、特定の凹部間で変形が起こり易くなる。こうした場合、凹部544、555、566、577の口径、凹部544、555、566、577の深さ、及び凹部544、555、566、577の傾斜角度θを自由に変更することが難しくなる。
そこで、本発明のオリフィス加工方法では、オリフィスプレート15に形成する各凹部の下流側の最小肉厚Lminと各凹部の口径φの寸法Dとの間に、0.25D≦Lmin≦0.5Dなる関係が成立している場合、オリフィス形成のためのプレス加工を数回に分けて行うことにより、上述した問題を解決した。この結果、加工精度が高くて加工が容易であり、しかも設計自由度の高い凹部及びオリフィスを形成することができる。
以下は、本発明のオリフィス加工方法についての技術的要旨を説明する。
図4は、本発明のオリフィス加工方法の前半を担う第1のプレス工程及び第2のプレス工程の一回実施による第1凹部544a、555aの形成を説明するために示した図2のB−B線方向におけるオリフィスプレート15の部分拡大断面図である。また、図5は、同様に本発明のオリフィス加工方法の前半を担う第1のプレス工程及び第2のプレス工程の二回実施による凹部544、555の形成を説明するために示した図2のB−B線方向におけるオリフィスプレート15の部分拡大断面図である。
ここでの第1凹部555a、凹部555は、第1凹部544a、凹部544との間の肉厚L2が最小肉厚Lminとなっており、口径φの寸法Dとの間に0.25D≦Lmin≦0.5Dなる関係が成立している。尚、オリフィスプレート15のプレス加工前のブランクは、球面部30の反対の他面側に、椀状凹部30aが形成されている。
そこで、図4を参照すれば、第1のプレス工程において、オリフィスプレート15の球面部30における一方の浅めの第1凹部544aを形成する位置に対して、凹部加工用のパンチ43の刃先部43aを軸線54iに沿うように押圧しての一回目のプレス加工によりパンチ押込み深さYと口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるように凹部544の一部分となる第1凹部544aを形成した後、同様にオリフィスプレート15の球面部30における他方の浅めの第1凹部555aを形成位置に対して、パンチ43の刃先部43aを軸線55iに沿うように押圧しての一回目のプレス加工によりパンチ押込み深さYと口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるように凹部555の一部分となる第1凹部555aを形成する第2のプレス工程を実施する。ここでの第1凹部544aの底面部544asと第1凹部555aの底面部555asとは、ほぼ同じ深さで形成される。
このとき、第1凹部544aと第1凹部555aとの間の穴間肉厚部70aの剛性は、プレス加工の塑性流動による圧力に対して十分に余裕があるため、第1凹部555aの形成時に第1凹部544aは殆ど変形しない。また、球面部30の反対の他面側の椀状凹部30aには、軸線54i、55iに沿って低背の盛り上がり部544ae、555aeが形成される。尚、第1凹部555aの一回のプレス加工では、体積555avが押しのけられる。
更に、図5を参照すれば、第1のプレス工程において、一方の浅めの第1凹部544aの底面部544asに対して、再度パンチ43の刃先部43aを軸線54iに沿うように押圧しての二回目のプレス加工によりパンチ押込み深さYと口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるように凹部544を形成した後、同様にオリフィスプレート15の球面部30における他方の浅めの第1凹部555aの底面部555asに対して、再度パンチ43の刃先部43aを軸線55iに沿うように押圧しての二回目のプレス加工によりパンチ押込み深さYと口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるように凹部555を形成する第2のプレス工程を実施する。ここでの凹部544の底面部544sと凹部555の底面部555sとについても、ほぼ同じ深さで形成される。
このとき、凹部544と凹部555との間の穴間肉厚部70の剛性は、プレス加工の塑性流動による圧力に対して十分余裕があるため、凹部555の形成時に凹部544は殆ど変形しない。また、球面部30の反対の他面側の椀状凹部30aには、軸線54i、55iに沿ってやや隆起した盛り上がり部544e、555eが形成される。尚、凹部555aの二回目のプレス加工では、体積555bvが押しのけられる。
以上は凹部544、555を第1のプレス加工及び第2のプレス加工を振り分けて二回繰り返して形成する場合について説明したが、二回の繰り返しで所望の深さに到達しない場合は、凹部544、555が所望の深さになるまで以上の手順を繰り返すようにすれば良い。
図6は、図5に示す状態の凹部544、555を1回のプレス工程で形成した場合の状態を説明するために示した図2のB−B線方向におけるオリフィスプレート15の部分拡大断面図である。
図6を参照すれば、第1のプレス工程において、オリフィスプレート15の球面部30における一方の凹部544を形成する位置に対して、パンチ43の刃先部43aを軸線54iに沿うように押圧してのプレス加工により凹部544を形成した後、同様にオリフィスプレート15の球面部30における他方の凹部555を形成する位置に対して、パンチ43の刃先部43aを軸線55iに沿うように押圧してのプレス加工により凹部555を形成する第2のプレス工程を実施することになる。
ここでは、凹部544及び盛り上り部544eの形成後に球面部30の凹部555を形成する位置に対して、パンチ43の刃先部43aで軸線55iに沿って押圧すると、パンチ43により押しのけられる大部分が椀状凹部30a内に流れて盛り上り部555eを形成するが、一部が径方向又は椀状凹部30aと反対側の後方に流れる。このとき、穴間肉厚部70の剛性が低くてプレス加工の塑性流動量が多ければ、プレス加工の塑性流動の圧力により図6中に示されるように、隣りに存在する凹部544を変形させてしまう。
凹部544の深さは図4で説明した第1凹部544aと比べて深いため、凹部544、555を一回のプレス加工で形成した場合の穴間肉厚部70は、凹部544、555を二回に分けてプレス加工して形成した場合の穴間肉厚部70aよりも剛性が低い。また、凹部544、555を一回でプレス加工して形成した場合、パンチ43により押しのけられる体積555vは、凹部544、555を二回に分けてプレス加工して形成した場合における第1のプレス工程及び第2のプレス工程の一回目の実行で押しのけられる体積555av、及び第1のプレス工程及び第2のプレス工程の二回目の実行で押しのけられる体積555bvと比べて大きいため、塑性流動量が多い。
このため、凹部555の形成時に凹部544と凹部555との間の穴間肉厚部70がプレス加工の塑性流動による圧力に耐えられず、凹部544の下流側の一部分に変形部60を生じ、こうした状態では噴霧の均質化を阻害する要因となる。
因みに、図4及び図5で説明した本発明のオルフィス加工方法を適用しても、穴の向き(凹部544、555、566、577の向き)によっては、隣の穴(隣接する凹部)への塑性流動による圧力が著しく増加する場合があり、変形部60の発生を防止できなくなることも起こり得るが、その変形量は円筒度で0.01以下と微小な値であるため、概ね噴霧の均質化を阻害しないものとなる。
ところで、図2中に示したその他の凹部566、577については、穴間肉厚部70が口径φの寸法Dよりも大きく、穴間肉厚部70の剛性が高いため、プレス加工の順番は適時設定して構わない。
何れにしても、凹部544、555、566、577を形成した後には、それぞれの底面部544s、555s、566s、577sに対してプレス加工によりオリフィス54〜57の基本形状を形成する。この際、オリフィス54〜57のうちの隣り合うもの同士の下流側の最小肉厚Lminと口径の寸法Dとの間に0.25D≦Lmin<0.5Dの関係がある場合、凹部形成の場合と同様に、一方のオリフィス形成位置に対してパンチ押込み深さYと口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるようにオリフィスの一部分を形成する第3のプレス工程と、他方のオリフィス形成位置に対してパンチ押込み深さYと口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるようにオリフィスの一部分を形成する第4のプレス工程と、を実施し、更に、ここでの第3のプレス工程及び第4のプレス工程を振り分けて複数回繰り返して実施し、オリフィス54〜57のうちの隣り合うもの(オリフィス54、55)の基本形状を形成する。
以下は、図2及び図3に示すオリフィスプレート15の作製手順について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、本発明のオリフィス加工方法の前半を担う図4及び図5で説明した第1のプレス工程及び第2のプレス工程によるオリフィスプレート15の球面部30に対する凹部544、555、566、577の形成を説明するために示した凹部加工用のパンチ43とダイ41及びコレクトチャック42とを用いた要部の部分拡大断面図である。また、図8は、本発明のオリフィス加工方法の後半を担う第3のプレス工程及び第4のプレス工程によるオリフィスプレート15の凹部544、555、566、577の底面部544s、555s、566s、577sに対するオリフィス54〜57の形成を説明するために示したオリフィス加工用のパンチ45とダイ41及びコレクトチャック42とを用いた要部の部分拡大断面図である。
図7を参照すれば、オリフィスプレート15の作製する場合、まずオリフィスプレート15のプレス加工前のブランクをダイ41の上面に設置し、その外径をコレットチャック42で強固に保持したままパンチ43の刃先部43aで球面部30における凹部544、555、566、577を形成する位置を押圧してプレス加工し、上述した第1のプレス工程及び第2のプレス工程を複数回繰り返して袋穴状に凹部544、555、566、577を押出し加工して形成する。尚、図7中では凹部566をプレス加工により形成している様子を示している。
このとき、椀状凹部30a側には内部へ向かって盛り上り部544e、555e、566e、577eが形成される。尚、凹部544、555、566、577は、プレス加工するに伴って表面を加工硬化させるものであることが好ましい。このように、プレス加工により凹部544、555、566、577を形成することで、面粗度の良い凹部544、555、566、577が得られる。
図8を参照すれば、凹部544、555、566、577を全て形成した後、オリフィスプレート15のブランクをコレットチャック42で保持したままの状態で凹部544、555、566、577の底面部544s、555s、566s、577sに対して、それらと直角な方向でパンチ43の刃先部43aよりも口径の小さな他のパンチ45の刃先部45aを押圧してプレス加工し、上述した第3のプレス工程及び第4のプレス工程を複数回繰り返して袋穴状にオリフィス54〜57を袋穴状に押出し加工して形成する。尚、図8中ではオリフィス56をプレス加工により形成している様子を示している。
このとき、椀状凹部30a側には、内部へ向かって盛り上り部544e、555e、566e、577eよりも大きく隆起した盛り上り部54f、55f、56f、57fが形成される。このように、オリフィスプレート15に対してプレス加工を複数に分けてオリフィス54〜57を成形することで、図2に示したような凹部544、555、566、577の底面部544s、555s、566s、577sにオリフィス54〜57が設けられた構造のオリフィスプレート15を作製する。
尚、ここでのオリフィスプレート15のブランクは、コレットチャック42で保持された状態であるため、略図する位置決め穴を基準として、各凹部544、555、566、577及びオリフィス54〜57とそれらの中心軸線54i、55i、56i、57iとがほぼ一直線となるように、位置精度や同軸度を良好にして加工することができる。また、オリフィス54〜57は、袋穴状にプレス加工されることにより内面を全剪断面に加工でき、表面粗さを著しく向上することができる。ここでは、凹部形成時に盛り上り部544e、555e、566e、577eが形成されているため、パンチ45を椀状凹部30aの内側まで挿入しても、パンチ45の刃先部45aが及ぼす材料の引張り力を小さくすることができ、盛り上り部544e、555e、566e、577eに破断が走らず、オリフィス54〜57を全剪断面で形成できることにより、噴霧ばらつきを抑制することができる。
最後に、オリフィス54〜57を袋穴状に形成したことにより球面部30の反対の他面側に形成された盛り上り部54f、55f、56f、57fについて、図3に示すように略円錐状のシート面15a(弁座)となるように削除加工し、これによってオリフィス54〜57がシート面15a側に貫通する。ここでの加工方法は旋削、或いは放電加工で行うことが好ましく、これによってオリフィス54〜57を全剪断面で形成することができる。
ところで、燃料が定圧時の流量はオリフィス径の感度が大きく、流量管理には穴の口径の正確な管理が必要である。本実施形態によれば、穴の口径の管理はパンチ径の管理のみで済むため、管理が容易である。これに対し、打ち抜き加工で形成したオリフィスは破断面の穴の口径が大きくなり、また破断面の長さがばらつくため、本実施形態で作製されるオリフィスプレート15と比べて穴の口径管理が困難である。また、放電加工によりオリフィスを形成した場合には、電極径の管理の他、加工速度や電圧等の加工条件の管理が必要であり、本実施形態で作製されるオリフィスプレート15と比べて穴の口径管理が困難である。
このように、オリフィス54〜57の下流側となる球面部30にオリフィス54〜57の中心軸線54i、55i、56i、57iと同芯で略垂直な面をもった凹部544、555、566、577を形成することにより、それぞれ噴射方向の異なるオリフィス54〜57をプレス加工で精度良く容易に形成することができる。従って、オリフィスプレート15のブランクとして、材質が炭素量0.25%以上のマルテンサイト系ステンレス鋼(例えばSUS420J2)であっても、アスペクト比1.5以上のオリフィス54〜57をプレス加工で容易に形成することができる。尚、炭素量0.25%以上のマルテンサイト系ステンレス鋼は、焼入れ後の硬さがHRC52以上であることがより望ましい。
また、オリフィス54〜57の加工順番を最適化することにより、凹部544、555、566、577の下流側が変形しないため、凹部544、555、566、577の変形部60に噴霧が当って噴霧に筋が入るような事態を回避できると共に、凹部544、555、566、577の変形部60に当った燃料がエンジンのシリンダー内に滴下し、カーボン等の異物が発生するような事態も回避できる。
更に、オリフィス54〜57の出口がオリフィス54〜57の軸線54i、55i、56i、57iと直角面となるため、流体の噴射タイミングが全周で同一になり、噴射弁の軸線(ノズル軸線15b)に対して偏向したオリフィス54〜57であっても、ペネトレーションの長さを均一にでき、噴霧の均質性を向上することができる。
加えて、凹部544、555、566、577とオリフィス54〜57とをプレス加工で形成することができるため、例えば放電加工や切削加工でオリフィスを形成したものと比べて面粗度を良好にできる。これにより、筒内噴射時に燃料が燃焼して生じるカーボン等の燃えカスが凹部544、555、566、577やオリフィス54〜57へ付着されるのを低減することができ、噴霧の微粒化及び形状・位置精度の向上が可能となる。
例えば、ガソリン車の実車走行試験において、放電加工によりオリフィス54〜57を形成したオリフィスプレート15を使用した燃料噴射弁は、30,000km走行時に、燃えカスが凹部544、555、566、577及びオリフィス54〜57に付着し、これによって流量が15%低下することが実験的に明らかになっている。これに対し、本実施形態で作製されたオリフィスプレート15を使用した場合には、凹部544、555、566、577及びオリフィス54〜57の同軸度と面粗度とが良いため、燃えカスの凹部544、555、566、577及びオリフィス54〜57への付着を低減することができ、流量の変化が1.7%以下に抑制されることが判った。
その他、オリフィスプレート15のブランクをチャックしたまま、凹部544、555、566、577及びオリフィス54〜57をプレス加工により形成することにより、噴射弁の軸線(ノズル軸線15b)に対して偏向したオリフィス54〜57を位置合わせを必要とすること無く容易にして精巧に形成することができる。
また、本実施形態によりオリフィス54〜57をプレス加工して形成する手法は、放電加工でオリフィス54〜57を形成する手法と比べ、1穴当りの加工時間を1/30程度に短縮できるため、設備投資を抑えることができ、放電加工の場合と比べて安価にオリフィスプレート15を作製することができる。
以上、本発明のオリフィス加工方法の実施形態について、図2〜図8を参照して具体的に説明したが、本発明はオリフィスプレート15に設けられた凹部544、555、566、577及びオリフィス54〜57の数や形状を含め、開示したものに限定されない。
例えば上述した実施形態では、凹部544、555、566、577が一段である構造について説明したが、凹部について、曲面部(球面部30)に開口する第1の凹部、及びオリフィスを開口する第2の凹部による二段構造で形成し、第1の凹部の口径を第2の凹部の口径に対して大きく形成し、且つ第1の凹部の深さを第2の凹部の深さに対して浅くして形成しても良い。
また、上述した実施形態では、凹部544、555、566、577が形成される被形成領域を球面部30として説明したが、この被形成領域は球面以外の曲面状の形状であっても良い。
更に、上述した実施形態では、オリフィス54〜57を押出し加工により形成した場合を説明したが、打抜き加工によってオリフィス54〜57を成形した後、上流側からシート面15aを削除又は放電加工によって形成する際、オリフィス54〜57の破断面を削除して、全剪断面でオリフィス54〜57を形成するものであっても良い。
加えて、上述した実施形態では、オリフィス54〜57をオリフィスプレート15の球面部30に形成した凹部544、555、566、577の底面部544s、555s、566s、577sに対してプレス加工して形成する場合を説明したが、オリフィスプレート15のブランクが硬質で厚さが肉薄であり、曲面がやや平坦に近ければ、オリフィスプレート15に対して燃料噴射弁の中心軸線(ノズル軸線15b)からの傾斜角度θが異なるように直接的に各オリフィスをプレス加工に基づいて形成することも可能である。但し、ここでも各オリフィスのうちの隣り合うもの同士の下流側の最小肉厚Lminと口径の寸法Dとの間に0.25D≦Lmin<0.5Dの関係がある場合、一方のオリフィス形成位置に対してパンチ押込み深さYと口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるように一部分を形成する第1のプレス工程と、他方のオリフィス形成位置に対してパンチ押込み深さYと口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるように一部分を形成する第2のプレス工程と、を複数回繰り返して各オリフィスのうちの隣り合うものの基本形状を形成すれば良い。
こうした場合にも、第1のプレス工程及び第2のプレス工程については、オリフィスプレート15のブランクをチャックした後にチャックを解除せずに継続して行えば、各オリフィスの形成に際して隣り合うものにおける変形を防止することができ、各オリフィスの設計自由度(穴数,傾斜角度,間隔等)を高めることができる。因みに、ここでもオリフィスプレート15のブランクは、材質が炭素量0.25%以上のマルテンサイト系ステンレス鋼から成るものであり、焼入れ後の硬さがHRC52以上であることが望ましい。
1 噴射弁本体
15 オリフィスプレート
15a シート面
30 球面部
41 ダイ
42 コレットチャック
43、45 パンチ
43a、45a 刃先部
54、55、56、57 オリフィス
60 変形部
544、555、566、577 凹部
544a、555a、566a、577a 第1凹部

Claims (8)

  1. オリフィスプレートに対して燃料噴射弁の中心軸線からの傾斜角度が異なるように複数のオリフィスをプレス加工に基づいて形成するオリフィス加工方法において、
    前記複数のオリフィスのうちの隣り合うもの同士の下流側の最小肉厚Lminと口径の寸法Dとの間に0.25D≦Lmin<0.5Dの関係がある場合、一方のオリフィス形成位置に対してパンチ押込み深さYと前記口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるようにオリフィスの一部分を形成する第1のプレス工程と、他方のオリフィス形成位置に対して前記パンチ押込み深さYと前記口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるようにオリフィスの一部分を形成する第2のプレス工程と、を振り分けて複数回繰り返して実施し、当該複数のオリフィスのうちの隣り合うものの基本形状を形成することを特徴とするオリフィス加工方法。
  2. 請求項1記載のオリフィス加工方法において、前記第1のプレス工程及び前記第2のプレス工程は、前記オリフィスプレートのブランクをチャックした後に当該チャックを解除せずに継続して行うことを特徴とするオリフィス加工方法。
  3. 請求項2記載のオリフィス加工方法において、前記オリフィスプレートのブランクは、炭素量が0.25%以上のマルテンサイト系ステンレス鋼であり、焼入れ後の硬さがHRC52以上であることを特徴とするオリフィス加工方法。
  4. 一面側に形成された凹み開口部の底部から凸状に隆起する形状の曲面部を有するオリフィスプレートにおける当該曲面部に対して燃料噴射弁の中心軸線からの傾斜角度が異なる複数の凹部をプレス加工により形成すると共に、当該複数の凹部の底面部に対してそれぞれ当該プレス加工に基づいて開口して略同芯状に複数のオリフィスの基本形状を形成するオリフィス加工方法において、
    前記複数の凹部のうちの隣り合うもの同士の下流側の最小肉厚Lminと口径の寸法Dとの間に0.25D≦Lmin<0.5Dの関係がある場合、一方の凹部形成位置に対してパンチ押込み深さYと前記口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるように凹部の一部分を形成する第1のプレス工程と、他方の凹部形成位置に対してパンチ押込み深さYと前記口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるように凹部の一部分を形成する第2のプレス工程と、を振り分けて複数回繰り返して実施し、当該複数の凹部のうちの隣り合うものを形成する手順を有することを特徴とするオリフィス加工方法。
  5. 請求項4記載のオリフィス加工方法において、前記第1のプレス工程及び前記第2のプレス工程を振り分けて繰り返して前記複数のオリフィスの形成に要する前記複数の凹部を前記プレス加工により全て形成した後、当該複数の凹部の底面部に対してそれぞれ開口して形成される前記複数のオリフィスのうちの隣り合うもの同士の下流側の最小肉厚Lminと口径の寸法Dとの間に0.25D≦Lmin<0.5Dの関係がある場合、一方のオリフィス形成位置に対してパンチ押込み深さYと前記口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるようにオリフィスの一部分を形成する第3のプレス工程と、他方のオリフィス形成位置に対して前記パンチ押込み深さYと前記口径の寸法Dとの関係がY≦0.3Dとなるようにオリフィスの一部分を形成する第4のプレス工程と、を振り分けて複数回繰り返して実施し、当該複数のオリフィスのうちの隣り合うものの基本形状を形成する手順を有することを特徴とするオリフィス加工方法。
  6. 請求項4又は5記載のオリフィス加工方法において、前記オリフィスプレートにおける前記曲面部は、球面形状であることを特徴とするオリフィス加工方法。
  7. 請求項5又は6記載のオリフィス加工方法において、前記第1のプレス工程及び前記第2のプレス工程と前記第3のプレス工程及び前記第4のプレス工程とは、前記オリフィスプレートのブランクをチャックした後に当該チャックを解除せずに継続して行うことを特徴とするオリフィス加工方法。
  8. 請求項7記載のオリフィス加工方法において、前記オリフィスプレートのブランクは、炭素量が0.25%以上のマルテンサイト系ステンレス鋼であり、焼入れ後の硬さがHRC52以上であることを特徴とするオリフィス加工方法。
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