JP2001096196A - ノズルの製造方法及びノズル並びに燃料噴射弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】生産性の高い加工方法で高精度・高機能化（偏
向オリフィス）ノズルオリフィスを得ること。 【解決手段】ノズルブランクに、オリフィス１１の下流
側からオリフィスと略同径のパンチ１２で押出し加工
（ないしは半抜き加工）を行ことにより、オリフィス１
１の下流側端面がエッジ形状で、内面が全せん断面とな
るオリフィス１１を成形する。次にオリフィス１１を貫
通させるために、押出し加工（ないしは半抜き加工）に
より生じた押出し部１０ａを、オリフィス１１の上流側
から削除するための機械加工を行う。また弁座付きノズ
ルの場合は、弁座部１０ｃの機械加工と同時にオリフィ
スを貫通させるような寸法関係・作業方法とする。 【効果】本発明によれば、ノズル軸線と同じ方向のオリ
フィスのみならず、軸線に対して傾いた偏向オリフィス
も、塑性加工で高精度に容易に安価に生産性を上げて製
造できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は流体を噴射するノズ
ルに係わり、特に流量を計量するオリフィスを有するノ
ズルの製造方法及びノズル並びにこれを利用した燃料噴
射弁に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ノズルの製造におけるオリフィス
の加工方法としては、特開平6−159199号に記載された
ようなプレス加工の例がある。この従来例のオリフィス
の加工方法では、オリフィスの下流側から打抜き加工
し、打抜きの際発生する破断面を成形するためオリフィ
ス入口部をＲ状に曲面成形していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、燃料に
強力な旋回力を与える上流旋回式燃料噴射弁の場合（特
に筒内噴射燃料噴射弁）、オリフィスの入口部を曲面と
すると流量がばらつきやすいという問題が考えられる。
またノズルの軸線に対して傾いたオリフィス（以下偏向
オリフィス）の場合、オリフィス入口部を均一に曲面成
形できないという問題が考えられ、このため破断面のま
までは計量精度や噴霧の均質性に大きな問題が発生する
おそれがある。

【０００４】特に近年増加しているガソリン筒内噴射用
燃料噴射弁は、噴射量や噴霧の均質性に高性能化が要求
され、燃料噴射弁の各部品、特にノズルの高精度化が重
要なポイントとなっている。このためオリフィスの高精
度加工方法として研削加工等の精密加工もあるが、加工
時間が長くコスト高と、生産性の面でネック工程となっ
ている。

【０００５】本発明の目的は、高精度なノズルオリフィ
スの生産性の高い加工方法を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明ではまず、ノズルブランクに、オリフィス
の下流側からオリフィスと略同径のパンチでオリフィス
より長く押出し加工（ないしは半抜き加工）を行ことに
より、オリフィスの下流側端面がエッジ形状で、内面が
全せん断面となるオリフィスを成形する。

【０００７】次にオリフィスを貫通させるために、押出
し加工（ないしは半抜き加工）により生じた押出し部
を、オリフィスの上流側から削除するための機械加工を
行う。また弁座付きノズルの場合は、弁座部の機械加工
と同時に前記オリフィスを貫通させるような寸法関係・
作業方法とすることが作業効率の点でより好ましい。

【０００８】以上により塑性加工で成形した全せん断面
のオリフィスを得ることができる。更にノズルの耐久性
が必要な場合は、上記作業後焼入れを行い、焼入れ後ノ
ズルの仕上げ加工を行う。特に弁座を研削加工すると、
オリフィスの入口部はより安定したシャープエッジとな
り、流量係数の極めて安定した形状が得られる。

【０００９】上記解決手段は、ノズルの軸線に対してオ
リフィスが傾いても同様に適用できるため、加工が困難
とされている偏向オリフィスもプレス加工で容易に安価
に高精度に生産性を上げて製作できる。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の実施例を図面に基づき説
明する。

【００１１】図３に本発明が実施される自動車のガソリ
ンエンジン用電磁式燃料噴射弁の縦断面図を示す。

【００１２】磁気回路はコア４１，ヨーク４２，可動弁
４３からなり、コア４１の内部には先端にバルブシート
４３ａを備えた可動弁４３を、ノズル１０のシート部１
０ｃに押圧するスプリング４４，スプリング４４の荷重
を調整するアジャスタ４５，可動弁４３のストロークエ
ンドとなるストッパ４６，燃料に旋回力を与えるスワラ
ー１２，スワラー１２をノズル１０に固定しているプレ
ート１３，コア４１とヨーク４２との間から燃料が漏洩
するのを防ぎドライコイル構造を支えるリング４７，磁
気回路を励磁するコイル４８、及びコイル４８に通電す
る端子ボビン４９から構成されている。

【００１３】本噴射弁はコイル４８に通電されると可動
弁４３がスプリング４４の付勢力に抗してコア４１の方
向に移動し、燃料はコア４１，アジャスタ４５，リング
４７，可動弁内４３ｂ，４３ｃ，ノズル１０ｂ，プレー
トの通路１３ｂを通り、スワラー溝１２ｂによって旋回
力を与えられオリフィス１１から噴射される。一方、コ
イル４８の電流を遮断した場合には、可動弁４３がスプ
リング４４の力で弁シート１０ｃに当接し、閉弁状態と
なる。

【００１４】以上述べたような構成からなる燃料噴射弁
本体１のノズル１０及びオリフィス１１が特に本発明の
適用対象となる。以下その製造方法について説明する。

【００１５】図１は本発明の第一実施例であって、図３
に示した燃料噴射弁のノズル１０の製造工程を示す部分
縦断面図、図２は本発明の第二実施例を示す製造工程の
部分縦断面図である。

【００１６】図１はノズル１０の軸線と同じ方向にオリ
フィス１１を加工する例である。

【００１７】（Ｉ）はノズル１０のオリフィス１１加工
前のブランク形状を示しており、（II）のようにダイス
１３上にノズル１０をセットした状態で、プレス装置に
よりノズル１０の下流側からパンチ１２の切り刃部１２
ａでオリフィス１１を長めに押出し加工し、最終的にオ
リフィス１１となる面を全せん断面で高精度に形成す
る。

【００１８】次に（II）の押出し加工で押出された凸部
１０ａを、(III）に示すように弁シート１０ｃの機械加
工（旋削加工等）と同時に削除し、オリフィス１１を貫
通させ、全せん断面のオリフィス１１を得る。

【００１９】更にノズル１０の耐久性を向上させるた
め、ノズル１０に焼入れを施し、弁シート１０ｃは焼入
れ後研削加工により仕上げ加工される。

【００２０】以上の工程により、オリフィス１１は全せ
ん断面となり、オリフィス１１の上流側入口部は機械加
工によるシャープエッジ形状になる。また下流側出口部
形状は、押出し加工時の微少だれを伴うエッジ形状とな
る。

【００２１】また、打ち抜きのようにパンチとダイのク
リアランス設定、かみ合わせを厳密に行う必要がないた
め、金型の調整が非常に楽になる。

【００２２】図２はノズル２０の軸線に対して傾いた偏
向オリフィス２１を加工する例である。

【００２３】（Ｉ）はノズル２０の偏向オリフィス２１
加工前のブランク形状を示しており、偏向オリフィス２
１加工部には予め２０ｂのような偏向オリフィス２１加
工軸に対してほぼ９０°となる面を加工しておく。面２
０ｂは偏向オリフィス２１の軸線に対して９０°が理想
的ではあるが、パンチ２２の剛性が許せる範囲で90°に
固執する必要はない。このノズルブランク２０を（II）
のようにダイス２３上にセットした状態で、プレス装置
によりノズル２０の下流側からパンチ２２の切り刃部２
２ａで偏向オリフィス２１を長めに押出し加工し、最終
的に偏向オリフィス２１となる面を全せん断面とする。

【００２４】次に（II）の押出し加工で押出された凸部
２０ａを、(III）に示すように弁シート２０ｃの機械加
工（旋削加工等）と同時に削除し、偏向オリフィス２１
を貫通させ、全せん断面の偏向オリフィス２１を得る。

【００２５】更にノズル２０の耐久性を向上させるた
め、ノズル２０に焼入れを施し、弁シート２０ｃは焼入
れ後研削加工により仕上げ加工される。

【００２６】以上の工程により、偏向オリフィス２１は
全せん断面となり、偏向オリフィス２１の上流側入口部
は機械加工によるシャープエッジ形状になる。また下流
側出口部形状は、押出し加工時の微少だれを伴うエッジ
形状となる。

【００２７】また、打ち抜きのようにパンチとダイのク
リアランス設定、かみ合わせを厳密に行う必要がないた
め、金型の調整が非常に楽になる。更にパンチの軸線と
同じ方向にダイスを加工する必要がなく、第一実施例と
同じダイスの使用が可能となり、金型部品の加工が容易
になる。

【００２８】

【発明の効果】本発明によれば、生産性を上げて、オリ
フィスを全せん断面で加工でき、更にオリフィスの上流
側・下流側形状も安定して加工できる。このため形状精
度の安定した高精度オリフィスを生産性を上げて得るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のノズルの第一実施例を示す部分縦断面
図。

【図２】本発明のノズルの第二実施例を示す部分縦断面
図。

【図３】本発明の適用対象となる電磁式燃料噴射弁の縦
断面図。

【符号の説明】

１０，２０…ノズル、１０ａ，２０ａ…凸部、１０ｃ，
２０ｃ…弁シート、１１…オリフィス、１２…パンチ、
１２ａ…切り刃部、１３…ダイス、２１…偏向オリフィ
ス。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河原 敬二 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器グループ内 (72)発明者 横山 瑞穂 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器グループ内 Ｆターム(参考） 3G066 AA01 AB02 BA46 BA55 CC06U CC14 CC15 CC20 CC21 CD21 CE22 4F033 AA13 BA03 CA01 DA01 EA01 MA00 NA01

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】オリフィスを有するノズルの製造方法にお
   いて、 ノズルブランクに、前記オリフィスの下流側から前記オ
   リフィスと略同径のパンチで前記オリフィスより長く押
   出し加工（ないしは半抜き加工）、または打抜き加工を
   行う第一のステップと、 前記オリフィスの上流側から、前記押出し加工（ないし
   は半抜き加工）により生じた押出し部を削除するための
   機械加工、または前記打抜き加工により生じた破断面を
   削除するための機械加工を行い、前記オリフィスを貫通
   させる第二のステップからなるノズルの製造方法。
2. 【請求項２】オリフィスを有するノズルの製造法におい
   て、 ノズルブランクに、前記オリフィスの下流側から前記オ
   リフィスと略同径のパンチで前記オリフィスより長く押
   出し加工（ないしは半抜き加工）、または打抜き加工を
   行う第一のステップと、 前記オリフィスの上流側から、前記押出し加工（ないし
   は半抜き加工）により生じた押出し部を削除するための
   機械加工、または前記打抜き加工により生じた破断面を
   削除するための機械加工を行う際に、略円錐状の凹形弁
   座を機械加工しながら前記オリフィスを貫通させる第二
   のステップからなるノズルの製造方法。
3. 【請求項３】請求項１または請求項２において、前記オ
   リフィスは前記ノズルの軸線に対して傾いた方向に加工
   されているノズルの製造方法。
4. 【請求項４】請求項１〜請求項３の何れかにおいて、前
   記ノズルは前記オリフィスを前記機械加工で貫通させた
   後、焼入れを施し、更に前記オリフィスの上流側を機械
   加工するノズルの製造方法。
5. 【請求項５】請求項４において、前記機械加工は研削加
   工であるノズルの製造方法。
6. 【請求項６】オリフィスを有するノズルであって、前記
   オリフィスは、オリフィス下流側からパンチによる塑性
   加工が施されて全せん断面に加工され、かつオリフィス
   の下流側端面が微少だれ面となっており、オリフィス上
   流側から機械加工が施されてオリフィス上流側入口部が
   シャープエッジに形成されているノズル。
7. 【請求項７】電磁石により作動する弁体と、前記弁体を
   収容しバルブを構成する弁座と、前記弁座の下流側にオ
   リフィスを設けたノズルとを有し、前記電磁石の作用に
   より前記バルブを開閉させて燃料を前記オリフィスから
   噴射する燃料噴射弁において、 前記ノズルとして、請求項１〜５の何れかに記載のノズ
   ルの製造方法により製造されたノズル又は請求項６に記
   載のノズルを用いることを特徴とする燃料噴射弁。
8. 【請求項８】請求項６において、前記オリフィスは前記
   ノズルの軸線に対して傾いた方向に加工されており、且
   つ前記オリフィス下流側端面は、前記オリフィス軸線に
   対して垂直である燃料噴射弁。