JP5031355B2 - 消臭剤組成物 - Google Patents

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本発明は、消臭剤組成物、特に繊維製品の消臭に適した消臭剤組成物及び繊維製品の消臭方法に関する。
洗濯習慣の変化により、着用した衣料はその都度洗濯することが一般的になっているが、スーツやセーター等の衣料は一般家庭では洗濯が難しく、洗濯回数も一般の衣料に比べて格段に少ない。このため、体臭、たばこ臭、焼き肉等の調理臭が付着し、不快感を生じさせる。また、絨毯や玄関マット等も同様に洗濯することが難しく、部分的な汚れに由来する不快臭の問題がある。
かかる不快臭の問題を解決するために、特許文献1及び特許文献2に開示されているように消臭剤に植物エキス等の消臭成分を配合したり、組成物に緩衝能を持たせることが行われている。しかしこれらの方法は、使用当初は消臭効果が得られるが、その効果が持続しないという問題があった。
さらに、液体消臭剤を長期間貯蔵すると沈殿物の形成や組成物の匂いが劣化するという問題があり、これらの改善が求められていた。特許文献3には、消臭性能の持続性や貯蔵安定性を改善するために、特定の陽イオン性化合物とキレート剤を含有する液体消臭剤が開示されている。しかしながら、防臭性能、特にたばこ臭に対してまだ十分に満足できる防臭性能が得られていない。
特開昭61−193665号公報 特開平4−257514号公報 特開2001−40581号公報
本発明の課題は、繊維製品に対して高い消臭性能と持続性を有し、特にたばこ臭に対して防臭効果が優れる消臭剤を提供することにある。
本発明は、ナフタレンスルホン酸又はその塩(以下(a)成分という)を含有する消臭剤組成物、この消臭剤組成物をトリガー式スプレー容器に充填してなるスプレー式消臭剤、並びにこの消臭剤組成物を繊維製品にスプレー塗布することによる繊維製品の消臭方法を提供する。
本発明の消臭剤は、衣料等の各種繊維製品に対して消臭性能を発揮し、特にたばこ臭に対して高い消臭性能を示し、その消臭効果の持続性に優れている。
[(a)成分]
本発明で用いる(a)成分のナフタレンスルホン酸又はその塩としては、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸又はこれらのアルカリ金属塩、アミン塩等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等、アミン塩としては、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。
(a)成分は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
[消臭剤組成物]
本発明の消臭剤組成物中の(a)成分の含有量は、良好な消臭性能を得る観点から、0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜5.0重量%がより好ましい。
本発明の消臭剤組成物は、更に、酸及びアルカリ緩衝作用、即ちpHが酸側(pH3以下)、アルカリ側(pH10以上)に変動するのを抑制する性能を有する酸又はその塩(以下(b)成分という)を含有することが好ましい。
(b)成分としては、乳酸、グルコン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クエン酸、フタル酸、酢酸、安息香酸、サリチル酸、ジエチルバルビツル酸等のカルボン酸、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸、あるいはこれら酸のアルカリ金属塩、アミン塩等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等、アミン塩としては、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。
これらの中では、リン酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸又はこれらのアルカリ金属塩が好ましく、リン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、クエン酸が更に好ましい。
本発明の消臭剤組成物中の(b)成分の含有量は、pHが酸側やアルカリ側に変動するのを抑制する観点から、0.01〜3.0重量%が好ましく、0.05〜2.0重量%が更に好ましい。
本発明の消臭剤組成物は、更に、分子中にアミノ基を1個以上有する化合物(以下(c)成分という)を含有することが好ましい。
(c)成分としては、分子中にアミノ基を1〜3個有する化合物が好ましく、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリエタノールアミンがより好ましい。
本発明の消臭剤組成物中の(c)成分の含有量は、pH安定化、及び消臭性能発現の観点から、0.01〜5.0重量%が好ましく、0.1〜2.0重量%が更に好ましい。
本発明の消臭剤組成物は、更に、カルシウムキレート定数(log10Ca)が4以上のキレート剤(以下(d)成分という)を含有することが好ましい。
(d)成分としては、カルシウムキレート定数が5〜13のキレート剤が好ましい。ここで、log10Caは特開平11−35988に示す方法により、カルシウム電極を用い、対象化合物の0.1重量%水溶液について、pH10、25℃の条件で、0.1M NH4Cl−NH4OH緩衝液を用いて測定した値である。
(d)成分としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、ニトリロトリ酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸等のアミノ酢酸系キレート剤、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等のホスホン酸系キレート剤、アクリル酸−マレイン酸コポリマー等のカルボン酸ポリマー系キレート剤、トリポリリン酸等のポリリン酸系キレート剤等が挙げられ、これらは塩であってもよい。特に、アミノ酢酸系キレート剤が好ましい。
本発明の消臭剤組成物中の(d)成分の含有量は、貯蔵安定性の観点から、0.005〜5重量%が好ましく、0.01〜1重量%が更に好ましい。
本発明の消臭剤組成物は、更に、シクロデキストリン又はその誘導体(以下(e)成分という)を含有することが好ましい。
(e)成分としては、シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル変性シクロデキストリン等のヒドロキシアルキル変性シクロデキストリン等が挙げられる。
本発明の消臭剤組成物中の(e)成分の含有量は、消臭性能と保存安定性発現の観点から、0.01〜5.0重量%が好ましく、0.1〜2.0重量%が更に好ましい。
本発明の消臭剤組成物は、更に、緑茶抽出物(以下(f)成分という)を含有することが好ましい。緑茶は、その生葉、その乾燥物、その加熱処理物等を用いることができる。抽出に用いる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン等のアルコール系有機溶媒、アセトン、メチルエ チルケトン等のケトン系有機溶媒、水およびそれらの混合溶媒等が挙げられ、エタノール、イソプロパノール、あるいはこれらと水との混合溶媒が、有効成分の抽出率が高く、かつその有効成分の消臭効果が強いので好ましい。また、(f)成分として市販の緑茶抽出物等を用いることもできる。
本発明の消臭剤組成物中の(f)成分の含有量は、消臭性能の観点から、0.01〜2.0重量%が好ましく、0.05〜1.0重量%が更に好ましい。
本発明の消臭剤組成物は、十分な消臭効果と繊維製品に対する風合いを損なわないため、水分量が80〜99重量%、更に90〜98重量%の液体消臭剤組成物が好ましい。また、本発明の液体消臭剤組成物の25℃でのpHは、十分な消臭効果を得るために好ましくは6.0〜9.0、より好ましくは6.5〜8.5である。
本発明では、処理後の繊維製品からの消臭剤組成物の揮発を容易にして乾燥させやすくするためエタノールを含有することもできる。本発明の組成物中のエタノールの含有量は、1〜15重量%が好ましく、2〜8重量%がより好ましい。
香料成分は、マスキング作用を考慮して使用することで、より好まれる仕上がりになる。香料成分は、他の成分に影響されない化合物が選ばれる。
本発明の消臭剤組成物には、さらに可溶化剤として、イソプロパノール等の低級(炭素数3〜4)アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール類(炭素数2〜12)、p−トルエンスルホン酸塩、m−キシレンスルホン酸塩等を配合することができる。その他、色素、増粘剤等を所望により配合してもよく、エタノールを配合しないか又は配合量が少なく抗菌性が懸念される場合は、防腐・防黴剤、殺菌剤等を配合することが好ましい。
本発明の消臭剤組成物の使用方法としては、液体消臭剤組成物をスプレー等により繊維製品に噴霧して使用する方法か、又は布帛、不織布、スポンジ等の可撓性で吸水性の基体に含浸させたもので繊維製品を拭くもしくは擦る方法が挙げられる。このうち特にスプレーにより噴霧する方法が好ましく、スプレーはトリガー式スプレー容器が好ましい。スプレー装置は、特に実開平4−37554号公報の第1図に示されているような液垂れや噴霧の均一性に優れる蓄圧式トリガーを用いることが良好である。
本発明の消臭剤組成物の繊維製品に対する使用量は、擦る場合は湿らせる程度であり、噴霧の場合は繊維製品100cm2 に対して、好ましくは0.02〜1.0gの割合である。
実施例1〜12及び比較例1、2
下記(a)成分〜(f)成分及び水を用い、表1に示す組成の液体消臭剤組成物を調製した。なお、液体消臭剤組成物は6N HCl、及び6N 水酸化ナトリウムで表1に示すpHに調整した。
得られた液体消臭剤組成物について、下記方法で消臭性能を評価した。結果を表1に示す。
<(a)成分>
(a)−1:1−ナフタレンスルホン酸
(a)−2:2−ナフタレンスルホン酸
(a)−3:1,5−ナフタレンジスルホン酸
(a)−4:1,3,6−ナフタレントリスルホン酸
<(b)成分>
(b)−1:りん酸水素2カリウム
(b)−2:クエン酸
<(c)成分>
(c)−1:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
(c)−2:トリエタノールアミン
<(d)成分>
(d)−1:エチレンジアミン4酢酸
<(e)成分>
(e)−1:ヒドロキシプロピル変性β−シクロデキストリン(変性率0.8)
<(f)成分>
(f)−1:サンフラボンP(太陽化学)
<消臭性能の評価法>
容量約50Lのボックス内に6×6cmの木綿メリヤス布(谷頭商店製)を入れ、中でたばこ(マイルドセブンオリジナル)を1本燃焼させた。燃焼後、本ボックスを開けて取り出した布をたばこ臭のするモデル布とした。この布に表1記載の液体消臭剤組成物を均一となるようにスプレーにて500μg塗布したものについてたばこ臭のレベルを官能評価した。20℃、60%RHに調整した部屋内で2時間放置した後、各々の布の臭い強度を、5人のパネラーが下記の基準で評価し、その平均値で示した。尚、平均値として2.5未満で充分な消臭効果が発現されており、この評価点で0.2の差は認知できる。
<臭いの判定基準>
1:無臭、2:やっと感知できるレベル、3:感知できるレベル、4:強く感じるレベル
Figure 0005031355
表1から明らかなように、本発明品は比較品に比べて、たばこ臭の消臭性能が優れている。

Claims (10)

  1. 1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸から選ばれるナフタレンスルホン酸又はその塩を含有し、水分量が80〜99重量%である液体消臭剤組成物。
  2. 組成物中のナフタレンスルホン酸又はその塩の含有量が0.1〜10重量%である請求項1記載の液体消臭剤組成物。
  3. 更に、酸及びアルカリ緩衝作用を有する酸又はその塩を含有する請求項1又は2記載の液体消臭剤組成物。
  4. 更に、分子中にアミノ基を1個以上有する化合物を含有する請求項1〜3いずれか1項に記載の液体消臭剤組成物。
  5. 更に、カルシウムキレート定数が4以上のキレート剤を含有する請求項1〜4いずれか1項に記載の液体消臭剤組成物。
  6. 更に、シクロデキストリン又はその誘導体を含有する請求項1〜5いずれか1項に記載の液体消臭剤組成物。
  7. 更に、緑茶抽出物を含有する請求項1〜6いずれか1項に記載の液体消臭剤組成物。
  8. 25℃でのpHが6.0〜9.0である請求項1〜7いずれか1項に記載の液体消臭剤組成物。
  9. 請求項1〜8いずれか1項に記載の液体消臭剤組成物をトリガー式スプレー容器に充填してなるスプレー式消臭剤。
  10. 請求項1〜8いずれか1項に記載の液体消臭剤組成物を繊維製品にスプレー塗布することによる繊維製品の消臭方法。
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