JP5029622B2 - 搬送車システム - Google Patents

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Description

本発明は、搬送車システム、特に、予め定められた経路を複数の搬送車が走行する搬送車システムに関する。
従来、経路と、経路上に設けられた複数のステーションと、軌道に沿って走行して物品を搬送する複数の搬送車とを有する搬送車システムが知られている。ステーションと搬送車との間では、荷つかみ(搬送車にステーションから物品が積み込まれること)や、荷おろし(搬送車からステーションに物品が積み出されること)が行われる。このシステムでは、物品を迅速に搬送するため、あるステーションから物品の荷つかみ要求が発生したときには、そのステーションから最も近い位置にある空の搬送車に、そのステーションに移動して物品を受け取るように搬送指令を割り付ける。
搬送車の走行制御方法について説明する。搬送車が停止可能な位置はポイントとして定義されており、ポイント同士の間はセグメントとして定義されている。搬送車は、セグメント上を移動するようになっている。また、搬送車は、次のポイントに移動するためには、当該ポイントのみならずセグメントのブロッキングを取得する必要がある。そのため、搬送車は、到着予定のポイントに接近した段階で、次のポイントおよびセグメントに関するブロッキングをコントローラに要求する。なお、その他に搬送車が干渉するエリアのポイントも要求する場合がある。コントローラがブロッキングを許可しなければ、搬送車は到着予定ポイントに停止する。また、ポイントに停止している状態からスタートする場合には、搬送車は、発進前にポイントおよびセグメントのブロッキング要求をコントローラに送信する。搬送車は、ブロッキングが許可されたら発進して、ブロッキングが許可されなかったら停止を続ける。
搬送車システムでは、複数の搬送車がデッドロック状態になることがある。デッドロックとは、複数の搬送車が相互にポイントのブロッキングを取得して、さらに相手側の搬送車によって取得されたポイントに関してブロッキング許可を待っている状態をいう。
図11〜図13を用いて、交差点におけるデッドロックの発生について説明する。この従来例では、第1搬送車3Aおよび第2搬送車3Bが互いに進行中であり、両方の第1搬送車3Aおよび第2搬送車3Bが交差点を通行しようとしている。また、各第1搬送車3Aおよび第2搬送車3Bは二つ先のポイントまでブロッキング許可を得た状態で走行するように設定されている。
この従来例では、交差点P3に対して、交差点P3から遠い側から、第1経路K1にはポイントP1,P2が確保され、第2経路K2にはポイントP5,P4が確保されている。図11では、第1搬送車3Aが、第1経路K1のポイントP1の手前に位置しており、ポイントP1とポイントP2についてブロッキング許可Bを得ている。また、第2搬送車3Bが、第2経路K2のポイントP5の手前に位置しており、ポイントP5とポイントP4についてブロッキング許可Bを得ている。
なお、図11の破線で示すように、第1搬送車3AがポイントP2に停車しているときに第2搬送車3Bが交差点P3を通過すると、第1搬送車3Aと第2搬送車3Bが互いに物理的に干渉する。また、第2搬送車3BがポイントP4に停車しているときに第1搬送車3Aが交差点P3を通過すると、第1搬送車3Aと第2搬送車3Bが互いに物理的に干渉する。
図12では、第2搬送車3BがポイントP4に接近するより先に、第1搬送車3Aが、ポイントP2に接近して交差点P3のブロッキング許可Bを得ている。また、第1搬送車3Aは、搬送車同士の物理的干渉を避けるため、ポイントP4に関してブロッキング要求Rを出すが、ポイントP4に関してブロッキング許可を取得できない。なぜなら、第2搬送車3BがすでにポイントP4のブロッキング許可Bを取得しているからである。この結果、第1搬送車3AはポイントP2で停止する。
一方、第2搬送車3Bは、図13に示すように、ポイントP4に接近して、ポイントP2,P3に関してブロッキング要求Rを出すが、第2搬送車3Bはこれらのポイントに関してブロッキング許可を取得できない。なぜなら、第1搬送車3AがすでにポイントP2,P3に関してブロッキング許可Bを得ているからである。この結果、第2搬送車3BはポイントP4に停止する。以上より、第1搬送車3Aがブロッキング要求Rを出しているポイントP4に関して、第2搬送車3Bがすでにブロッキング許可Bを得ている。また、第2搬送車3Bがブロッキング要求Rを出しているポイントP3,P2に関して、第1搬送車3Aがすでにブロッキング許可Bを得ている。この結果、第1搬送車3Aおよび第2搬送車3Bがデッドロック状態になっている。
この問題を解決するために、搬送車がコントローラにブロッキングを要求してから所定時間内に進入許可が与えられない場合に、ブロッキング要求を別の方向のポイントに変更するポイント変更手段を設けた例が知られている(特許文献1を参照。)。
特開2006−313461号
特許文献1に記載の搬送車システムでは、デッドロックになった搬送車に対して目的地を変更するためのデッドロックエスケープ処理が必要になる。この場合、デッドロック自体を防止することができない。また、この処理を行うと、搬送に要する時間が増大し、搬送車システムの搬送能力に悪影響を与える。また、デッドロックエスケープ処理が行えない場合には、搬送車システム全体が停止してしまう。
本発明の課題は、搬送機能を低下させることなくデッドロックを回避可能な搬送車システムを提供することにある。
本発明に係る搬送車システムは、予め定められた経路を走行する複数の搬送車と、搬送車を管理するコントローラとを備えている。搬送車は、所定範囲先のポイントまでの第1ブロッキング要求と、所定範囲先のポイントより先のポイントまでの第2ブロッキング要求とをコントローラに送信可能なブロッキング要求部を有している。コントローラは、第1ブロッキング要求及び第2ブロッキング要求に対して応答可能なブロッキング許可部を有している。ブロッキング要求部は、第1ブロッキング要求を送信する前に第2ブロッキング要求をコントローラに送信し、第2ブロッキング要求に対する許可が得られれば第1ブロッキング要求をコントローラに送信する。
ブロッキング許可部は、第2ブロッキング要求が出されたポイントについて第2ブロッキング要求を送信した搬送車に対して第1ブロッキング要求を許可した場合にデッドロックが生じるが否かを判断し、さらに判断結果に基づいて第2ブロッキング要求に対する許可又は不許可を第2ブロッキング要求を送信してきた搬送車に送信する。
ブロッキング要求部は、許可を受信すれば、許可が得られたポイントに接近したときに第1ブロッキング要求をコントローラに送信し、不許可を受信すれば、第1ブロッキング要求をコントローラに送信しない。
搬送車は、第1ブロッキング要求に対して許可を得たポイントまで走行する。
このシステムでは、搬送車のブロッキング要求部は、最初に第2ブロッキング要求をコントローラに対して送信する。コントローラのブロッキング許可部は、搬送車に対して、ブロッキング許可の可否を判断して指令を送信する。搬送車は、ブロッキング許可が出されれば許可が得られたポイントに接近したときにブロッキング要求部が第1ブロッキング要求をコントローラに送信し、さらにコントローラによって第1ブロッキング要求が許可されたポイントまで走行を続ける。
コントローラは、第2ブロッキング要求を用いて、デッドロックを判断する。このため、その判断に基づいて第1ブロッキング要求に対する許可を行うか否かが決定される。そして、許可された場合のみ、ブロッキング要求部が第1ブロッキング要求をコントローラに送信する。
第2ブロッキング要求を用いることで、広範囲にブロッキング要求を出す必要が無くなり、そのため搬送効率が向上する。
なお、ここでいう「コントローラ」とは、例えば搬送車コントローラと呼ばれる上位のコントローラを意味する。
コントローラは、デッドロックにならなければ1つのポイントに対して複数の搬送車からの第2ブロッキング要求を認めてもよい。また、コントローラは、搬送車が第2ブロッキング要求を行ったポイントに関してすでに許可を与えていても、他の搬送車が当該ポイントに関して第1ブロッキング要求を送信してくると、当該第1ブロッキング要求を行った搬送車に許可を与えるようになっていても良い。
このシステムでは、第2ブロッキング要求は他の搬送車の第1ブロッキング要求に対して優先度が低いので、不必要に広範囲のポイントが第2ブロッキング要求によって占められることが生じにくい。
第2ブロッキング要求の対象になるポイントは、第1ブロッキング要求が許可されたポイントに搬送車が進んだと仮定した場合に第1ブロッキング要求の対象になるポイントであっても良い。
このシステムでは、第2ブロッキング要求の対象になるポイントの数が、適切に設定される。
本発明に係る搬送車システムでは、搬送機能を低下させることなくデッドロックを回避できる。
本発明の第1実施形態に係る搬送車システムのレイアウトを示す部分平面図。 搬送車システムの制御系を示すブロック図。 第1実施例におけるブロッキング制御を示す模式図。 第1実施例におけるブロッキング制御を示す模式図。 第1実施例におけるブロッキング制御を示す模式図。 第2実施例におけるブロッキング制御を示す模式図。 第2実施例におけるブロッキング制御を示す模式図。 第2実施例におけるブロッキング制御を示す模式図。 第3実施例におけるブロッキング制御を示す模式図。 第4実施例におけるブロッキング制御を示す模式図。 従来技術におけるブロッキング制御を示す模式図。 従来技術におけるブロッキング制御を示す模式図。 従来技術におけるブロッキング制御を示す模式図。
1.搬送車システムのレイアウト
本発明の一実施形態としての搬送車システム1は、定められた経路上に複数の搬送車3を走行させるためのシステムである。搬送車3は、経路上を走行し、上位のコントローラ(後述)によって割り付けられる搬送指令に従い、目的の場所から物品を積み込み、次に搬送先の場所まで走行して物品を搬送先の場所に積み出す。搬送車の種類は、天井搬送車、無軌道で走行する無人搬送車や有軌道台車のいずれであっても良い。
図1に、搬送車システム1のレイアウトを示す。搬送車システム1は、複数の周回走行路5と、複数の周回走行路5を結ぶ基幹走行路7とを有している。基幹走行路7は全体で一つの周回経路となっている。周回走行路5に沿って複数の処理装置9が設けられ、基幹走行路7に沿って複数のストッカ11が設けられている。ストッカ11は、周回走行路5における処理装置9群間でのバッファの機能を実現している。なお、このレイアウトは経路の一例を示しただけであって、本発明はこれに限定されない。特に、周回経路以外の経路にも本発明を適用できる。
処理装置9およびストッカ11等の設備には、設備内に物品を搬入するための入庫ポート13と、設備から搬送車3に物品を荷つかみするための出庫ポート15とが設けてある。なお入庫ポート13と出庫ポート15とは兼用されていても良い。
2.搬送車システムの制御系
図2に、搬送車システム1の制御系19を示す。この制御系19は、製造コントローラ21と、物流コントローラ23と、ストッカコントローラ25と、搬送車コントローラ27とを有している。物流コントローラ23は、ストッカコントローラ25および搬送車コントローラ27の上位のコントローラである。搬送車コントローラ27は、複数の搬送車3を管理し、これらに搬送指令を割り付ける割り付け機能を有している。なお、「搬送指令」は、走行に関する指令や、荷つかみ位置と荷おろし位置に関する指令を含んでいる。
製造コントローラ21は、各処理装置9との間で通信することができる。処理装置9は、処理が終了した物品の搬送要求(荷つかみ要求・荷おろし要求)を製造コントローラ21に送信する。
製造コントローラ21は、処理装置9からの搬送要求を物流コントローラ23に送信し、物流コントローラ23は報告を製造コントローラ21に送信する。
物流コントローラ23は、製造コントローラ21から搬送要求を受けると、ストッカ11での入庫や出庫が伴っている場合、所定のタイミングで入庫や出庫指令をストッカコントローラ25へ送信する。そして、ストッカコントローラ25は、これに応じて入庫や出庫指令をストッカ11へ送信する。物流コントローラ23は、さらに、製造コントローラ21から搬送要求を受け取ると、それを搬送指令に変換し、搬送車3への搬送指令割り付け動作を行う。
搬送車コントローラ27は、搬送指令を作成するために各搬送車3と連続的に通信して、各搬送車3から送信された位置データをもとにその位置情報を得ている。位置情報を取得する例としては以下の方法がある。第1の方法では、周回走行路5に複数のポイント(後述)を設定しておき、搬送車3がポイントを通過したときに通過信号を搬送車コントローラ27に送信させるようにする。その上で搬送車コントローラ27が、搬送車3が直近に通過したポイントがどのポイントであるかと、ポイントを通過した時刻を記憶しておき、そのポイント区間の規定速度と時間をもとに搬送車3の位置を演算して求める。第2の方法では、例えばエンコーダを搬送車3に設けておいて、ポイントを通過してからの走行距離を搬送車3から搬送車コントローラ27へ位置データとして送信させ、搬送車コントローラ27がこれによって搬送車3の位置を把握する。
なお、搬送車3は原則としてポイントにのみ停止可能である。ただし、搬送車3は、安全装置であるバンパーや障害物センサが動作した場合には、ポイント以外にも停止する。
3.デッドロック回避構成
(1)概略
本発明に係る一実施形態におけるデッドロック回避のための構成と制御方法について説明する。なお、デッドロック状態の判定手法は公知の技術である。また、以下、経路上のポイントを代表例として説明するが、当然にポイントとセグメントを用いて、デッドロック回避のための制御を実行しても良い。
搬送車3は、図2に示すように、ブロッキング要求部3aを内部に有している。ブロッキング要求部3aは、所定範囲先のポイントまでの第1ブロッキング要求R1と、所定範囲先のポイントより先のポイントまでの第2ブロッキング要求R2とを、搬送車コントローラ27に送信できる。さらに、ブロッキング要求部3aは、ブロッキングが許可されたポイントを通過後に、搬送車コントローラ27に対してブロッキング解除を要求する。
この実施形態では、ブロッキング要求部3aは、接近しているポイントとさらにもう一つ先のポイントに関して第1ブロッキング要求R1を搬送車コントローラ27に送信する。そして、それらの第1ブロッキング許可B1を取得した場合にのみ搬送車3は走行を続けて、第1ブロッキング許可B1を得たポイントに向かう。なお、第2ブロッキング要求の対象になるポイントは、第1ブロッキング要求が許可されたポイントに搬送車3が進んだと仮定した場合に第1ブロッキング要求の対象になるポイントである。
搬送車コントローラ27は、ブロッキング許可部27aを有している。ブロッキング許可部27aは、搬送車3からの第1ブロッキング要求R1に対して第1ブロッキング許可B1の可否を判断し、その結果所定の処理を実行する。また、ブロッキング許可部27aは、搬送車3からの第2ブロッキング要求R2に対して第2ブロッキング許可B2の可否を判断し、その結果所定の処理を実行する。
具体的には、第1ブロッキング要求のポイントごとのリストと、第2ブロッキング要求のポイントごとのリストが用意されている。このリストには、要求が送信された順番に搬送車番号が記載されている。また、リストの先頭にある搬送車がそのポイントを占有している。第1ブロッキング要求のリストにおける第1位の第1ブロッキング要求について許可が出されており、第2位以下の第1ブロッキング要求は許可待ち状態である。そして、ブロッキング解除要求が出されると、各第1ブロッキング要求の順位が上がる。つまり、第2位の第1ブロッキング要求が第1位に繰り上がり、その第1ブロッキング要求に許可が出される。第2ブロッキング要求のリストは、第1ブロッキング要求のリストと合わせてデッドロックが生じるか否かを判断するために用いられる。第2ブロッキング要求のリストでは、第1ブロッキング要求が出されると同時に、対応する第2ブロッキング要求が削除される。
ブロッキング制御の基本的な構成について説明する。
1)第1ブロッキング要求は、独占排他的な要求である。
2)第2ブロッキング要求はデッドロックを確認するためのものである。搬送車コントローラ27のブロッキング許可部27aは、第1ブロッキング許可リストと第2ブロッキング許可リストから、デッドロックになるか否かを判断する。
3)第2ブロッキング要求が許可されないと、搬送車3のブロッキング要求部3aは第1ブロッキング要求を送信しない。
4)搬送車3は、第1ブロッキング許可を受けたポイントまで走行する。つまり、3)で第2ブロッキング要求が許可されない場合は第1ブロッキング許可を受けることができないので、走行を停止する。
5)デッドロックとは、複数の搬送車3間で、搬送車3の位置と要求ポイントが互いに向き合った関係になって、いずれもブロッキング要求が許可されない状態をいう。
4.第1実施例
図3〜図5の走行路模式図を用いて、交差点におけるデッドロックの回避について説明する。この実施形態では、第1搬送車3Aおよび第2搬送車3Bが互いに進行中であり、両方の第1搬送車3Aおよび第2搬送車3Bが交差点P3を通行しようとしている。また、各第1搬送車3Aおよび第2搬送車3Bは、二つ先のポイントまでブロッキング許可を得た状態で走行するように設定されている。
この実施形態では、交差点P3に対して、交差点P3から遠い側から、第1経路K1にはポイントP1,P2が確保され、第2経路K2にはポイントP5,P4が確保されている。図3では、第1搬送車3Aが第1経路K1のポイントP1の手前に位置しており、第2搬送車3Bが第2経路K2のポイントP5の手前に位置している。この場合の条件として、交差点P3を通過するのには、ポイントP2,P3、P4のブロッキング許可を得なければ、搬送車3同士が物理的に衝突することになっている。
図3に示すように、第2搬送車3BがポイントP5に接近するより先に、第1搬送車3AがポイントP1に接近してポイントP1,P2に関して第1ブロッキング要求に基づくブロッキング許可B1を得ている。さらに、第1搬送車3Aは、交差点P3とポイントP4に関して第2ブロッキング要求に基づく第2ブロッキング許可B2を得ている。
図4に示すように、第2搬送車3Bは、ポイントP5に接近して、ポイントP4,P3,P2に関して第2ブロッキング要求R2を搬送車コントローラ27に送信する。この場合、搬送車コントローラ27のブロッキング許可部27aは、第2搬送車3BにポイントP4に関して第1ブロッキング許可が出されると、デッドロック状態が生じることが分かるので、第2搬送車3BをポイントP5に停止させる。
図5に示すように、第2搬送車3BはポイントP5において、ポイントP4について第1ブロッキング許可を取得してもデッドロックとならない状態になるのを待っている。一方、第1搬送車3Aは、ポイントP2に接近しており、さらにポイントPに移動するので、ポイントP3,P4のブロッキングを調査する。この場合、すでにポイントP3,P4に関して第2ブロッキング許可B2が得られているので、第2搬送車3BがポイントP3,P4に関して第1ブロッキング許可を得た場合でもデッドロック状態にならないことが分かっている。したがって、第1搬送車3Aは第1ブロッキング要求を送信し、搬送車コントローラ27は、第1搬送車3AにポイントP3,P4に関する第1ブロッキング許可B1を与える。以上より、第1搬送車3Aは交差点P3を通過可能である。また、搬送車コントローラ27が交差点P3のブロッキングを解放した時点で、第2搬送車3Bが交差点P3に進入できるようになる。
以上の制御動作の特徴として、第2搬送車3Bからの第2ブロッキング要求R2に対して第1ブロッキング許可を与えるとデッドロック状態が発生すると判断されると、第2搬送車3Bは第1ブロッキング要求を出すことができない。したがって第2搬送車3Bに対して、第1ブロッキング要求に対する許可は出されない。そのため、第2搬送車3Bは停止させられる。言い換えると、上記制御によって、デッドロックを起こす可能性がある第2搬送車3Bの進行が制御され、その結果デッドロックが生じない。
5.第2実施例
図6〜図8を用いて、交差点においてデッドロックが生じない場合の動作について説明する。この実施形態では、第1搬送車3Aおよび第2搬送車3Bが互いに進行中であり、第1搬送車3Aが交差点を通行しようとしており、第2搬送車3Bが交差点を通過しない場合である。
この実施形態では、交差点P3に対して、交差点P3から遠い側から、第1経路K1にはポイントP1,P2が確保され、第2経路K2にはポイントP5,P4が確保されている。図3では、第1搬送車3Aが第1経路K1のポイントP1の手前に位置しており、第2搬送車3Bが第2経路K2のポイントP5の手前に位置している。なお、第1搬送車3Aは交差点P3を通過しようとしているが、第2搬送車3Bは交差点P3を通過せずにポイントP4から他の図示しないポイントに向かって移動しようとしている。
図6に示すように、第2搬送車3BがポイントP5に接近するより先に、第1搬送車3Aは、ポイントP1に接近している。この状態で、第1搬送車3Aは、ポイントP1,P2に関して第1ブロッキング要求に基づくブロッキング許可B1を得ており、さらに、交差点P3とポイントP4に関して第2ブロッキング要求に基づく第2ブロッキング許可B2を得ている。
図7に示すように、第2搬送車3Bは、ポイントP5に接近して、次にポイントP4に関して第2ブロッキング要求を搬送車コントローラ27に送信する。この場合、搬送車コントローラ27のブロッキング許可部27aは、その状態で第2搬送車3Bに第1ブロッキング要求への許可を出した場合にデッドロックが生じるか否かを判断する。この場合はデッドロック状態が生じないので、第2搬送車3BはポイントP4に関して第1ブロッキング要求を出すことができる。この場合、ポイントP4に関しては第1搬送車3Aが第2ブロッキング許可B2を得ているが、ポイントP4に関して第2搬送車3Bに第1ブロッキング許可B1が出される。第2ブロッキングは第1ブロッキングに対して優先度が低いからである。そして、第1搬送車3Aは第2搬送車3Bが通過してブロッキングが解放されるのを待つ。
図8に示すように、第1搬送車3AはポイントP2に到着する。この状態で、第1搬送車3Aは、交差点P3を通過するためには、ポイントP3,P4に関して第1ブロッキング許可を取得する必要がある。しかし、第1搬送車3Aは、ポイントP3に関して第1ブロッキング許可B1を取得できているが、ポイントP4に関して第1ブロッキング許可を取得できていないので、ポイントP2で待機することになる。一方、第2搬送車3Bは、ポイントP4に関する第1ブロッキング許可B1を得ているので、ポイントP4を通過可能である。また、搬送車コントローラ27がポイントP4のブロッキングを解放した時点で、第1搬送車3Aが交差点P3に進入できるようになる。
以上の走行制御により、デッドロックが発生しない状況では、低優先の第2ブロッキング要求を用いていても、用いていない場合と走行結果が同じになることが分かる。
また、従来例としてデッドロックを回避するためにブロッキング範囲を拡張することが行われるが、その場合には他の搬送車の通行を妨げる割合が大きくなり、その結果ブロッキング範囲の通行量の低下、ひいてはスループットの低下が生じてしまう。それに対して、低優先の第2ブロッキング要求を用いた上記制御方法では、ブロッキング範囲をあまり広げる必要がない。したがって、搬送能力の低下が生じにくい。
6.第3実施例
図9(a)〜(f)を用いて、1本の経路で結ばれた第1エリア41と第2エリア42からなる走行路を走行する第1搬送車3Aと第2搬送車3Bの走行制御を説明する。
第1エリア41は、4つのポイントP11,P12,P13,P14を有しており、これらがループを構成している。第2エリア42は、4つのポイントP21、P22、P23、P24を有しており、これらがループを構成している。図において、第1エリア41では、第1搬送車3Aは、時計回りに走行可能であり、ポイントP11,P12,P13,P14の順番で走行可能である。第2エリア42では、第2搬送車3Bは、反時計回りに走行可能であり、ポイントP21,P22,P23,P24の順番で走行可能である。ポイントP13とポイントP23が接続されており、これにより第1搬送車3Aおよび第2第2搬送車3Bは第1エリア41と第2エリア42の間を行き来可能である。この実施例は、第1エリア41にある第1搬送車3Aが第2エリア42に移動し、第2エリア42にある第2搬送車3Bが第1エリア41に移動するケースである。
図9(a)では、第1搬送車3AはポイントP11からポイントP12に向かって走行を開始しており、第2搬送車3BはポイントP21に停止している。図9(b)では、第1搬送車3Aは、ポイントP12に向かっており、ポイントP12に関して第1ブロッキング要求に基づく第1ブロッキング許可B1を得ている。図9(c)では、第2搬送車3Bは、ポイントP21からポイントP22に向かって走行を開始しており、ポイントP22に関して第1ブロッキング要求に基づく第1ブロッキング許可B1を得ている。一方、第1搬送車3Aは、ポイントP12に接近して、ポイントP13に関して第1ブロッキング要求に基づく第1ブロッキング許可B1を得ており、さらに第2エリア42のポイントP23に関して第2ブロッキング許可B2を得ている。
図9(d)では、第2搬送車3Bは、ポイントP23と第1エリア41のポイントP13に関して第2ブロッキング要求R2をコントローラに送信する。ここで、コントローラは、第2搬送車3BがポイントP23に関して第1ブロッキング許可を得るとデッドロック状態になることが分かるので、第2搬送車3BをポイントP22に停止させる。この停止状態で、第2搬送車3Bは、ポイントP13とポイントP23に関して、第1ブロッキング要求が許可されてもデッドロックにならない状態になるのを待ち続けている。一方、第1搬送車3Aは、ポイントP12に到達して、次に走行するポイントP23に関して第2ブロッキング要求R2をコントローラに送信する。図9(e)では、第1搬送車3Aは、ポイントP13に接近して、ポイントP23に関する第2ブロッキング要求R2を第1ブロッキング要求R1に変更する。このとき、ポイントP23に関してはすでに第2搬送車3Bからの第2ブロッキング要求R2が出されているが、コントローラは、ポイントP23に関して第1搬送車3Aに第1ブロッキング許可B1を出す。第2ブロッキング要求R2は第1ブロッキング要求R1より優先度が低いからである。図9(f)では、第1搬送車3AはポイントP13に到達し、さらにポイントP23に移動可能である。また、コントローラがポイントP23のブロッキングを解放した時点で、第2搬送車3BがポイントP23に移動できるようになる。
7.第4実施例
図10(a)〜(f)を用いて、1本の経路で結ばれた第1エリア41と第2エリア42からなる走行路を走行する第1搬送車3Aと第2搬送車3Bの走行制御を説明する。走行路の構造は前記実施例と同じであるので、説明を省略する。
この実施例は、第1エリア41にある第1搬送車3Aが第2エリア42に移動し、第2エリア42にある第2搬送車3Bが第2エリア42内で周回するケースである。
図10(a)では、第1搬送車3Aは、ポイントP11からポイントP12に向かって走行を開始しており、第2搬送車3BはポイントP21に停止している。図10(b)では、第1搬送車3AはポイントP12に向かっており、ポイントP12に関して第1ブロッキング要求に基づくブロッキング許可B1を得ている。図10(c)では、第2搬送車3BはポイントP21からポイントP22に向かって走行しており、ポイントP22に関して第1ブロッキング要求に基づくブロッキング許可B1を得ている。一方、第1搬送車3Aは、ポイントP12に接近しており、ポイントP13に関して第1ブロッキング要求に基づく第1ブロッキング許可B1を得ている。さらに、第1搬送車3Aは、第2エリア42のポイントP23に関して第2ブロッキング要求に基づく第2ブロッキング許可B2を得ている。
図10(d)では、第2搬送車3Bは、ポイントP23に関して第2ブロッキング要求を送信している。この場合、第2搬送車3BがポイントP23に進んだとしてもデッドロックが生じないことが分かるので、第2ブロッキング許可を出す。さらに、第2搬送車3Bは、ポイントP23に関して第1ブロッキング要求を送信する。この時、ポイントP23に関して第1搬送車3Aに第2ブロッキング許可B2がすでに出されているが、コントローラは第2搬送車3Bに第1ブロッキング許可B1を出す。第2ブロッキングは第1ブロッキングより優先度が低いからである。図10(e)では、第1搬送車3AはポイントP13に接近して、ポイントP23に関して第2ブロッキング要求R2を第1ブロッキング要求R1に変更する。しかし、ポイントP23に関して第2搬送車3Bが第1ブロッキング許可B2をすでに取得しているため、第1搬送車3Aは第1ブロッキング許可を取得できない。図10(f)では、第1搬送車3Aは、ポイントP13に到達するが、ポイントP23に関して第1ブロッキング許可を取得できていないので、ポイントP13で停止する。一方、第2搬送車3Bは、ポイントP23に接近し、ポイントP24に関して第1ブロッキング許可B1を取得する。この後、第2搬送車3BがポイントP23を離れ、ポイントP23に関するブロッキング解除要求を出す。すると、コントローラがポイントP23に関するブロッキングを解除する。その結果、第1搬送車3AがポイントP23に関する第1ブロッキング許可を得て、その後ポイントP23に向かって走行する。
8.本発明の特徴
搬送車システム1は、予め定められた経路を走行する複数の搬送車3と、搬送車3を管理する搬送車コントローラ27とを備えている。搬送車3は、所定範囲先のポイントまでの第1ブロッキング要求と、所定範囲先のポイントより先のポイントまでの第2ブロッキング要求とを搬送車コントローラ27に送信するブロッキング要求部3aを有している。搬送車コントローラ27は、第1ブロッキング要求に対して許可を出すことができるブロッキング許可部27aを有している。ブロッキング許可部27aは、第2ブロッキング要求によってデッドロックを判断する。搬送車3は、第1ブロッキング要求に対して許可を得たポイントまで走行する。
このシステムでは、搬送車3のブロッキング要求部3aは、第1ブロッキング要求と第2ブロッキング要求を搬送車コントローラ27に対して送信する。搬送車コントローラ27のブロッキング許可部27aは、搬送車3に対して、ブロッキング許可の可否を判断して指令を送信する。搬送車3は、搬送車コントローラ27によって第1ブロッキング要求が許可されたポイントまで走行を続ける。
搬送車コントローラ27は、第2ブロッキング要求を用いて、デッドロックを判断する。このため、その判断に基づいて第1ブロッキング要求またはその許可を実行するか否かが決定される。この結果、デッドロックが防止される。また、第2ブロッキング要求を用いることで広範囲にブロッキング要求を出す必要が無くなり、そのため搬送効率が向上する。
搬送車コントローラ27は、搬送車3が第2ブロッキング要求を行ったポイントに関してすでに許可を与えていても、他の搬送車3が第1ブロッキング要求を行うと、当該第1ブロッキング要求を行った搬送車3に許可を与えるようになっている。
このシステムでは、第2ブロッキング要求は他の搬送車3の第1ブロッキング要求に対して優先度が低いので、不必要に広範囲のポイントが第2ブロッキング要求によって占められることが生じにくい。
第2ブロッキング要求が出されたポイントについて第1ブロッキング要求を許可してもデッドロックが生じないと判断されると、搬送車コントローラ27が第2ブロッキングを許可し、ブロッキング要求部3aは、第1ブロッキング要求を送信する。第2ブロッキング要求が出されたポイントについて第1ブロッキング要求を許可するとデッドロックが生じると判断されると、搬送車コントローラ27が第2ブロッキングを許可せず、ブロッキング要求部3aは第1ブロッキング要求を搬送車コントローラ27に送信しない。
このシステムでは、デッドロックに関する判断に応じて、ブロッキング要求部3aが第1ブロッキング要求の送信をするか否かが決定される。したがって、デッドロックが防止される。
第2ブロッキング要求の対象になるポイントは、第1ブロッキング要求が許可されたポイントに搬送車3が進んだと仮定した場合に第1ブロッキング要求の対象になるポイントである。
このシステムでは、第2ブロッキング要求の対象になるポイントの数が適切に設定される。
以上に述べた構成によって、自動的にデッドロックを回避できる。特に、ブロッキング範囲定義の設定工数を削減できる。
9.他の実施例
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
搬送車システムのレイアウトおよび制御系は、各実施形態に限定されない。また、搬送車システムが適用される設備の種類も前記実施形態に限定されない。
前記実施形態では、搬送車の走行制御にポイントを用いた例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、搬送車の走行制御にセグメントを用いたり、ポイントとセグメントの両方を用いたりしても良い。
一台の搬送車から送信される第1ブロッキング要求の数および第2ブロッキング要求の数の組み合わせは特に限定されない。
前記実施形態では搬送車コントローラが搬送車の制御を行うなど、1つのコントローラがそれぞれの制御動作を行っていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、1つのコントローラに複数の制御機能を持たせても良い。
本発明は、複数の搬送車が走行する搬送車システムに有用である。
1 搬送車システム
3 搬送車
3A 第1搬送車
3B 第2搬送車
3a ブロッキング要求部
5 周回走行路
7 基幹走行路
9 処理装置
11 ストッカ
13 入庫ポート
15 出庫ポート
19 制御系
21 製造コントローラ
23 物流コントローラ
25 ストッカコントローラ
27 搬送車コントローラ
27a ブロッキング許可部
41 第1エリア
42 第2エリア

Claims (3)

  1. 予め定められた経路を走行する複数の搬送車と、
    前記搬送車を管理するコントローラとを備え、
    前記搬送車は、所定範囲先のポイントまでの第1ブロッキング要求と、前記所定範囲先のポイントより先のポイントまでの第2ブロッキング要求とを前記コントローラに送信可能なブロッキング要求部を有しており、
    前記コントローラは、前記第1ブロッキング要求及び前記第2ブロッキング要求に対して応答可能なブロッキング許可部を有しており、
    前記ブロッキング要求部は、第1ブロッキング要求を送信する前に第2ブロッキング要求を前記コントローラに送信し、前記第2ブロッキング要求に対する許可が得られれば第1ブロッキング要求を前記コントローラに送信し、
    前記ブロッキング許可部は、前記第2ブロッキング要求が出されたポイントについて前記第1ブロッキング要求を許可した場合にデッドロックが生じるが否かを判断し、さらに判断結果に基づいて前記第2ブロッキング要求に対する許可又は不許可を前記第2ブロッキング要求を送信してきた搬送車に送信し、
    前記ブロッキング要求部は、許可を受信すれば、許可が得られたポイントに接近したときに第1ブロッキング要求を前記コントローラに送信し、不許可を受信すれば、第1ブロッキング要求を前記コントローラに送信せず、
    前記搬送車は、前記第1ブロッキング要求に対して許可を得たポイントまで走行する、
    搬送車システム。
  2. 前記コントローラは、デッドロックにならなければ1つのポイントに関して複数の搬送車からの第2ブロッキング要求を認め、
    前記コントローラは、搬送車が前記第2ブロッキング要求を行ったポイントについて許可をすでに与えていても、他の搬送車が当該ポイントに関して前記第1ブロッキング要求を送信してくると、当該第1ブロッキング要求を行った搬送車に許可を与える、請求項1に記載の搬送車システム。
  3. 第2ブロッキング要求の対象になるポイントは、第1ブロッキング要求が許可されたポイントに前記搬送車が進んだと仮定した場合に第1ブロッキング要求の対象になるポイントである、請求項1又は2に記載の搬送車システム。
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