JP5029212B2 - 車両の加速ショック軽減装置 - Google Patents
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Description
本願出願人も先に特許文献1により、エンジン吸気量をバルブの作動角およびリフト量を操作することにより制御可能にして、スロットルバルブ操作を介したエンジン吸気量制御によるよりもトルクレスポンスに優れた、可変動弁機構を具える内燃機関を提案済みである。
この加速ショックは、前記のごとくトルクレスポンスに優れた原動機を搭載した車両の場合、原動機の当該ハイレスポンス故に特に顕著になる。
アクセル開度APOの増大に呼応してエンジン出力トルクTeの指令値(エンジン要求トルクTdri)は波線で示すごとく、アクセル操作から若干の応答遅れ後の瞬時t2より図示のごとくに上昇し、エンジン出力トルクTeの実際値は一点鎖線で示すごとく指令値に追従するよう上昇する。
かかるエンジン回転数Neの一点鎖線で示す急で大きな上昇は、リジッド結合状態の伝動系中におけるガタを詰め終えた時に、車両加速度αの一点鎖線で示す時系列変化から明らかなように大きな加速ショックを生じさせる。
かようにエンジン要求トルクの急な変動を緩和することで、実エンジン出力トルクの変化も緩やかなものとなり、その分だけ、加速時にエンジンから車輪に至るリジッド結合状態の伝動系中におけるガタを詰める時のエンジン回転数の上昇が緩和されて加速ショックを軽減することができる。
インバースフィルタ処理(平滑化処理)が強いと、加速操作時からガタを詰め終える迄の応答性(ガタ詰めレスポンス)が悪くなって加速性能の低下を招き、逆にインバースフィルタ処理(平滑化処理)が弱いと、ガタを詰め終えた時の加速ショック軽減効果が不足するというように、加速ショック軽減効果とガタ詰めレスポンスとを高次元で両立させることができない。
原動機からの動力が変速機を介して車輪に伝達され、前記原動機が、運転者による操作とは別に出力を制御され得る車両を前提とし、
前記原動機から車輪に至る伝動系が、伝動を司るべき断接要素を完全締結されたリジッド結合状態である間に、運転者が原動機を無負荷状態から負荷状態に切り替える操作を行ったことで前記伝動系が逆駆動状態から正駆動状態に切り替わるまでの駆動状態切り替え中であるのを判定する駆動状態切り替え期間判定手段と、
該手段により判定した駆動状態切り替え中に限り原動機の出力トルクを運転者の前記操作に対応した原動機要求トルクよりも小さな所定値に保持するトルクダウンを行う場合において、前記駆動状態切り替えに伴うリジッド結合時加速ショックを軽減するのに必要なリジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルクを、前記駆動状態切り替え中の判定とは別個に求めるリジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルク演算手段と、
原動機の出力トルクを、前記駆動状態切り替え期間判定手段により判定した駆動状態切り替え中に限り、前記リジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルク演算手段で求めたリジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルクに保持する原動機出力トルク制限手段とを設けたことを特徴とするものである。
つまり、上記伝動系の逆駆動状態から正駆動状態への駆動状態切り替え中であるのを判定し、この駆動状態切り替え中に限り原動機出力トルクを要求トルクよりも小さな所定値に保持するトルクダウンによって上記の加速ショックを軽減するのに必要な原動機制限トルクを、上記駆動状態切り替え中の判定とは別個に演算し、原動機出力トルクを、上記判定した駆動状態切り替え中に限り、上記演算した制限トルクに保持するため、
上記の駆動状態切り替え中が、ガタ詰めレスポンスに関与するトルクダウン時間に相当し、また、原動機出力トルクを原動機要求トルクよりも小さな制限トルクに保持する制御が、ガタ詰め完了時の加速ショック軽減効果に関与するトルクダウンに相当し、
ガタ詰めレスポンスに関与するトルクダウン時間と、ガタ詰め完了時の加速ショック軽減効果に関与するトルクダウン量とを個別に制御し得ることとなり、
そのため加速ショック軽減効果とガタ詰めレスポンスとを高次元で両立させ得て、前記の従来技術を用いた対策が抱える問題を解消することができる。
図1は、本発明の一実施例になる加速ショック軽減装置を具えたフロントエンジン・リヤホイールドライブ車両のパワートレーン、およびその制御系を示し、
1は原動機としてのエンジン、2は有段式自動変速機、3はトルクコンバータである。
エンジン1からの回転動力をトルクコンバータ3によりトルク増大して自動変速機2の入力軸4に伝達し、
自動変速機2は入力軸4への回転を選択変速段に応じ変速して出力軸5より、図示せざる駆動車輪に向かわせることで車両を走行させるものとする。
入出力軸4,5は同軸突き合わせ関係に配置し、これら入出力軸4,5 上にトルクコンバータ3の側から順次フロントプラネタリギヤ組Gf、センタープラネタリギヤ組Gm、およびリヤプラネタリギヤ組Grを載置して具え、これらを自動変速機2内における遊星歯車変速機構の主たる構成要素とする。
次にトルクコンバータ3に近いセンタープラネタリギヤ組Gmは、センターサンギヤSm 、センターリングギヤRm 、これらに噛合するセンターピニオンPm 、および該センターピニオンを回転自在に支持するセンターキャリアCm よりなる単純遊星歯車組とし、
トルクコンバータ3から最も遠いリヤプラネタリギヤ組Grは、リヤサンギヤSr 、リヤリングギヤRr 、これらに噛合するリヤピニオンPr 、および該リヤピニオンを回転自在に支持するリヤキャリアCr よりなる単純遊星歯車組とする。
フロントサンギヤSfは、3速ワンウェイクラッチ3rd/OWCを介してエンジン1の回転方向と逆の方向へ回転しないようにすると共に、3速ワンウェイクラッチ3rd/OWCに対し並列的に配置したフロントブレーキFr/Bにより適宜固定可能にする。
フロントキャリアCfおよびリヤリングギヤRrを相互に結合し、センターリングギヤRmおよびリヤキャリアCrを相互に結合する。
センターサンギヤSmは更に、フォワードブレーキFWD/BおよびフォワードワンウェイクラッチFWD/OWCにより、フォワードブレーキFWD/Bの締結状態でエンジン1の回転方向と逆の方向へ回転しないようにすると共に、ロー・コーストブレーキLC/Bにより適宜固定可能にし、これがためロー・コーストブレーキLC/BをフォワードブレーキFWD/BおよびフォワードワンウェイクラッチFWD/OWCに対し並列的に設ける。
また、自動変速機2に代えてマニュアルトランスミッションを用いることができ、この場合、トルクコンバータ3に代えて摩擦クラッチを設けることになるのは言うまでもない。
更に、マニュアルトランスミッションとしては、トルクコンバータ3に代えて設けた摩擦クラッチを自動クラッチとし、マニュアルトランスミッション内における選択噛合機構の変速操作も自動的に行うようにした、所謂自動変速式マニュアルトランスミッションを用いることも可能である。
コントローラ10は、上記の変速制御に加え、コントロールバルブボディー6を介しトルクコンバータ3のロックアップ制御をも行う。
そしてコントローラ10は、エンジン制御に際し、運転者によるアクセル操作とは別にエンジン出力を制御し得るものとする。
自動変速機2の出力軸回転数No を検出する変速機出力回転センサ11からの信号と、
アクセル開度APO(アクセルペダル踏み込み量)を検出するアクセル開度センサ12からの信号と、
トルクコンバータ3の出力回転数(変速機入力回転数)であるタービン回転数Nt を検出するタービン回転センサ13からの信号と、
エンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ14からの信号と、
運転者が選択する自動変速機2の変速形態(P,R,N,D,Lレンジなどの選択レンジ)を検出するインヒビタスイッチ15からの信号と、
変速機出力トルクToを演算する変速機出力トルク演算部16からの信号とをそれぞれ入力する。
図3はメインルーチンで、図4〜6,9,10,14,17はそれぞれサブルーチンを示す。
トルクコンバータ3がロックアップ状態で、且つ、自動変速機2がワンウェイクラッチを介することのない変速段を保つ非変速中である場合は、上記の伝動系がリジッド結合状態であるから、ステップS12において、リジッド結合フラグRigid FLAGを1にする。
トルクコンバータ3がロックアップ状態でなかったり、または、自動変速機2が変速中である場合は、上記の伝動系がリジッド結合状態でない(非リジッド結合状態である)から、ステップS13において、リジッド結合フラグRigid FLAGに0にする。
マニュアルトランスミッション(M/T)用リジッド結合判定を示す図5のように、ステップS14において、トルクコンバータ3に代わる摩擦クラッチが完全締結(非変速中を意味する)にされているか否かにより、上記の伝動系がリジッド結合状態か否かを判定する。
摩擦クラッチが完全締結(非変速中)である場合は、マニュアルトランスミッションがワンウェイクラッチを介して動力伝達を行う変速段を持たないこともあって、上記の伝動系がリジッド結合状態であると判断し得ることから、ステップS15において、リジッド結合フラグRigid FLAGを1にする。
摩擦クラッチが完全締結(非変速中)でない場合は、上記の伝動系がリジッド結合状態でない(非リジッド結合状態である)から、ステップS16において、リジッド結合フラグRigid FLAGに0にする。
Rigid FLAG=1であれば、リジッド結合状態であるからステップS3において、図6の制御プログラムを実行し、以下のようにして加速ショック軽減用のリジッド結合時エンジン制限トルク保持期間をフラグ設定により決定する。
従ってステップS3は、本発明における駆動状態切り替え期間判定手段に相当する。
このフューエル(燃料)カットは、アクセルペダルを釈放したコースト走行中、燃費向上のために行われるもので、運転者がエンジン1を無負荷状態で運転させていて、上記の伝動系が逆駆動状態(エンジン1が車輪により駆動されるエンジンブレーキ状態)であることを意味する。
この正駆動切り替え判定タイマ値Timerは、ステップS32でエンジン出力トルクTeがトルク上昇開始判定トルク以上である(エンジン1がアクセル操作に伴うトルク上昇を開始)と判定した時からの経過時間に基づき、逆駆動状態→正駆動状態切り替えがなされたと判定するためのものである。
そして、この正駆動切り替え判定タイマ値Timerは図7から明らかなように、自動変速機2のギヤ比Ratio(選択変速段)がロー側であるほど長く設定し、その理由は、ロー側ギヤ比ほど加速時の逆駆動状態→正駆動状態切り替えに要する時間が長くなるためである。
この補正に当たっては、図8に例示するマップを基にエンジン回転数Neからタイマ値補正係数Kne(0<Kne≦1)を検索し、この補正係数Kneを正駆動切り替え判定タイマ値Timerに乗じて当該補正を行う。
ところで、タイマ値補正係数Kneが図8に例示するごとく、エンジン回転数Neの上昇につれ1よりも小さな値になるよう設定されていることから、正駆動切り替え判定タイマ値Timerは、エンジン回転数Neが高いほど短くされ、その理由は、高エンジン回転数であるほど加速時の逆駆動状態→正駆動状態切り替えに要する時間が短くなるためである。
ダウンシフトが行われなければステップS42において、第3速時に動力伝達を行うべき3速ワンウェイクラッチ3rd/OWCに係わるワンウェイクラッチ係合判定ギヤ比RTOowcに現在のギヤ比(第3速)をセットし、
ダウンシフト中であればステップS43において、3→2ダウンシフト後に動力伝達を行うべきフォワードワンウェイクラッチFWD/OWCに係わるワンウェイクラッチ係合判定ギヤ比RTOowcに変速後のギヤ比(第2速)をセットする。
ステップS45においては、変速機入力回転数であるタービン回転数Ntが上記のワンウェイクラッチ係合判定入力回転数Ntowcに未だ追かないか、追いついたかにより、コースト走行からの加速操作によるワンウェイクラッチの係合が未だか、行われたかをチェックする。
ステップS45でNt< Ntowcでないと判定する間は、つまり、コースト走行からの加速操作によるエンジン回転の上昇でワンウェイクラッチが係合してそのトルク伝達特性が急変した後は、ステップS47において、エンジン制限トルク保持フラグTelim FLAGに0をセットし、これにより加速ショック軽減用のエンジン制限トルク保持期間でないことを指令する。
この演算に当たっては、図10の制御プログラムを実行して加速ショック軽減用のエンジン制限トルクTelimを求める。
従ってステップS5は、本発明におけるリジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルク演算手段に相当する。
後者のドライブ走行中であれば、ステップS51において前記のエンジン制限トルク保持フラグTelim FLAGが1か否かをチェックすることにより、加速ショック軽減用のエンジン制限トルク保持中か否かを判定する。
非リジッド結合状態である場合はステップS54において、図11に波線で例示するマップを基に自動変速機2のギヤ比Ratioから非リジッド結合時加速ショック軽減用エンジン制限トルクTelimを検索して求める。
その理由は、ギヤ比Ratioがハイ側変速比であるほど加速ショックが小さくて、その軽減用のエンジン制限トルクTelimを非リジッド結合時およびリジッド結合時ともにハイ側変速比ほど大きくし得るためと、その傾向がリジッド結合時よりも非リジッド結合時に顕著になるためである。
この補正に当たっては、図12に実線で例示するマップを基にエンジン回転数Neから補正係数Keを検索し、これをリジッド結合時加速ショック軽減用エンジン制限トルクTelimに乗じる演算により当該補正を行う。
ステップS56においては、当該補正後のリジッド結合時加速ショック軽減用エンジン制限トルクTelimを更にアクセル開度APOに応じても補正する。
この補正に当たっては、図13に実線で例示するマップを基にアクセル開度APOから補正係数Kpを検索し、これを、ステップS55に補正したリジッド結合時加速ショック軽減用エンジン制限トルクTelimに乗じる演算により当該補正を行う。
その理由は、エンジン回転数Neが低いほど、また、アクセル開度APOが小さいほど、加速ショックが大きくなり、その軽減用のエンジントルク制限値を、エンジン回転数Neが低いほど、また、アクセル開度APOが小さいほど、低くする必要があるためである。
この補正に当たっては、図12に波線で例示するマップを基にエンジン回転数Neから補正係数Keを検索し、これを非リジッド結合時加速ショック軽減用エンジン制限トルクTelimに乗じる演算により当該補正を行う。
ステップS58においては、当該補正後の非リジッド結合時加速ショック軽減用エンジン制限トルクTelimを更にアクセル開度APOに応じても補正する。
この補正に当たっては、図13に波線で例示するマップを基にアクセル開度APOから補正係数Kpを検索し、これを、ステップS57に補正した非リジッド結合時加速ショック軽減用エンジン制限トルクTelimに乗じる演算により当該補正を行う。
その理由は、エンジン回転数Neが低いほど、また、アクセル開度APOが小さいほど、加速ショックが大きくなり、その軽減用のエンジントルク制限値を、エンジン回転数Neが低いほど、また、アクセル開度APOが小さいほど、低くする必要があるためである。
この演算に当たっては、図14に示すように先ずステップS61において、図15に波線で示すマップを基にアクセル開度APOおよびエンジン回転数Neから非リジッド結合時エンジントルク復帰変化率Trmpを検索する。
この補正に当たっては、図16に例示するマップを基にギヤ比Ratioから補正係数Krを検索し、これを非リジッド結合時エンジントルク復帰変化率Trmpに乗ずる演算により当該補正を行う。
ステップS63においては、非リジッド結合時エンジントルク復帰変化率Trmpに、リジッド結合時エンジントルク復帰変化率換算係数を乗ずる演算により、リジッド結合時エンジントルク復帰変化率Trmpを、図15に実線で例示するごとくにに求める。
図17のステップS71においては、最終エンジン制限トルクtTelimを以下のようにして演算する。
リジッド結合時であれば、リジッド結合時加速ショック軽減用エンジン制限トルクTelimと、その前回値Telim(前回値)にリジッド結合時エンジントルク復帰変化率Trmpによる上昇分を加算して得られる和値との小さい方min{Telim,Telim(前回値)+ Trmp上昇分}をリジッド結合時の最終エンジン制限トルクtTelimとする。
従ってステップS71は、本発明における原動機出力トルク制限手段に相当する。
非リジッド結合時であれば、運転者によるエンジン要求トルクTdriと、非リジッド結合時最終エンジン制限トルクtTelimとの小さい方min(Tdri,tTelim)をエンジントルク指令値tTeとしてエンジン1に指令し、
リジッド結合時であれば、運転者によるエンジン要求トルクTdriと、リジッド結合時最終エンジン制限トルクtTelimとの小さい方min(Tdri,tTelim)をエンジントルク指令値tTeとしてエンジン1に指令する。
エンジン1がトルクレスポンスに優れたものであっても、加速による逆駆動状態から正駆動状態への切り替え時においてエンジン回転数Neは、エンジンから車輪に至るリジッド結合状態の伝動系中における歯車バックラッシュなどに起因したガタを詰める時において、一点鎖線で示すごとくに大きく急上昇することなく、実線で示すように緩やかにしかも若干上昇するのみである。
従って、リジッド結合状態の伝動系中におけるガタを詰め終えた時における加速ショックを、車両加速度αの実線で示す時系列変化から明らかな通り、そして、一点鎖線で示す従来の車両加速度αの時系列変化との対比から明らかな通り、小さくすることができる。
この間に上記のごとく、エンジントルク指令値tTeをエンジン要求トルクTdriよりも小さな加速ショック軽減用のエンジン制限トルクTelimに保持するエンジントルクダウン制御を行うため、
トルクダウン時間をトルクダウン量から切り離して決定することとなり、ガタ詰めレスポンスに関与するトルクダウン時間と、ガタ詰め完了時の加速ショック軽減効果に関与するトルクダウン量とを個別に制御し得て、加速ショック軽減効果とガタ詰めレスポンスとを高次元で両立させることができる。
ギヤ比Ratioや、エンジン回転数Neや、アクセル開度APOが違っても、常に要求通りの加速ショック軽減効果を実現することができる。
エンジントルクTeが正駆動判定瞬時t3以後に加速ショック軽減用のエンジン制限トルクTelimから要求エンジントルクTdriに復帰する時にもショックを発生することがない。
上記エンジントルク復帰時におけるショック防止効果を、如何なるアクセル開度APO(エンジン要求負荷)、エンジン回転数Ne、ギヤ比Ratioのもとでも確実に達成することができる。
この図19も、図18と同様に瞬時t1よりアクセル開度APOが図示の時系列変化をもって増大するよう、釈放状態のアクセルペダルを踏み込んだ場合の動作タイムチャートである。
エンジン1がトルクレスポンスに優れたものであっても、加速による駆動状態の切り替え時において、つまり、非リジッド結合状態の伝動系中におけるワンウェイクラッチが係合ストロークを詰められる時や、変速用摩擦要素(ロックアップクラッチや、マニュアルトランスミッションの摩擦クラッチを含む)の締結進行によるスリップ状態から完全締結状態への移行時において、エンジン回転数Neは一点鎖線で示すように急上昇することなく、実線で示すように緩やかに上昇する。
この間に上記のごとく、エンジントルク指令値tTeをエンジン要求トルクTdriよりも小さな加速ショック軽減用のエンジン制限トルクTelimに保持するエンジントルクダウン制御を行うため、
トルクダウン時間をトルクダウン量から切り離して決定することとなり、ワンウェイクラッチ係合(加速)レスポンス(変速を伴う場合は変速応答)に関与するトルクダウン時間と、ワンウェイクラッチ係合時の加速ショック軽減効果に関与するトルクダウン量とを個別に制御し得て、加速ショック軽減効果とワンウェイクラッチ係合(加速)レスポンス(変速を伴う場合は変速応答)とを高次元で両立させることができる。
ギヤ比Ratioや、エンジン回転数Neや、アクセル開度APOが違っても、常に要求通りの加速ショック軽減効果を実現することができる。
エンジントルクTeが正駆動判定瞬時t3以後に加速ショック軽減用のエンジン制限トルクTelimから要求エンジントルクTdriに復帰する時にもショックを発生することがない。
上記エンジントルク復帰時におけるショック防止効果を、如何なるアクセル開度APO(エンジン要求負荷)、エンジン回転数Ne、およびギヤ比Ratioのもとでも確実に達成することができる。
2 自動変速機
3 トルクコンバータ
4 入力軸
5 出力軸
6 コントロールバルブボディー
10 コントローラ
11 変速機出力回転センサ
12 アクセル開度センサ
13 タービン(変速機入力)回転センサ
14 エンジン回転センサ
15 インヒビタスイッチ
16 変速機出力トルク演算部
Gf フロントプラネタリギヤ組
Gm センタープラネタリギヤ組
Gr リヤプラネタリギヤ組
Fr/B フロントブレーキ
I/C インプットクラッチ
H&LR/C ハイ・アンド・ローリバースクラッチ
D/C ダイレクトクラッチ
R/B リバースブレーキ
LC/B ロー・コーストブレーキ
FWD/B フォワードブレーキ
3rd/OWC 3速ワンウェイクラッチ
1st/OWC 1速ワンウェイクラッチ
FWD/OWC フォワードワンウェイクラッチ
Claims (12)
- 原動機からの動力が変速機を介して車輪に伝達され、前記原動機が、運転者による操作とは別に出力を制御され得る車両において、
前記原動機から車輪に至る伝動系が、伝動を司るべき断接要素を完全締結されたリジッド結合状態である間に、運転者が原動機を無負荷状態から負荷状態に切り替える操作を行ったことで前記伝動系が逆駆動状態から正駆動状態に切り替わるまでの駆動状態切り替え中であるのを判定する駆動状態切り替え期間判定手段と、
該手段により判定した駆動状態切り替え中に限り原動機の出力トルクを運転者の前記操作に対応した原動機要求トルクよりも小さな所定値に保持するトルクダウンを行う場合において、前記駆動状態切り替えに伴うリジッド結合時加速ショックを軽減するのに必要なリジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルクを、前記駆動状態切り替え中の判定とは別個に求めるリジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルク演算手段と、
原動機の出力トルクを、前記駆動状態切り替え期間判定手段により判定した駆動状態切り替え中に限り、前記リジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルク演算手段で求めたリジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルクに保持する原動機出力トルク制限手段と
を設けたことを特徴とする車両の加速ショック軽減装置。
- 請求項1に記載の加速ショック軽減装置において、
前記リジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルク演算手段は、前記リジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルクを、前記変速機のギヤ比がロー側であるほど小さなトルク値とするものであることを特徴とする車両の加速ショック軽減装置。 - 請求項1または2に記載の加速ショック軽減装置において、
前記リジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルク演算手段は、前記リジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルクを、前記原動機の回転数が高いほど大きなトルク値とするものであることを特徴とする車両の加速ショック軽減装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の加速ショック軽減装置において、
前記リジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルク演算手段は、前記リジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルクを、運転者が原動機を無負荷状態から負荷状態に切り替える操作を行った時における原動機の要求負荷が大きいほど大きなトルク値とするものであることを特徴とする車両の加速ショック軽減装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の加速ショック軽減装置において、
前記原動機出力トルク制限手段は、前記伝動系が逆駆動状態から正駆動状態に切り替わった駆動状態切り替え後は、原動機の出力トルクを前記リジッド結合時加速ショック軽減用原動機制限トルクから該原動機要求トルクまで所定の時間変化勾配で上昇させるものであることを特徴とする車両の加速ショック軽減装置。 - 請求項5に記載の加速ショック軽減装置において、
前記原動機出力トルク制限手段は、前記原動機出力トルクに係わる所定の時間変化上昇勾配を、運転者が原動機を無負荷状態から負荷状態に切り替える操作を行った時における原動機の要求負荷が大きいほど、急な上昇勾配とするものであることを特徴とする車両の加速ショック軽減装置。 - 請求項5または6に記載の加速ショック軽減装置において、
前記原動機出力トルク制限手段は、前記原動機出力トルクに係わる所定の時間変化上昇勾配を、原動機の回転数が高いほど急な上昇勾配とするものであることを特徴とする車両の加速ショック軽減装置。 - 請求項5〜7のいずれか1項に記載の加速ショック軽減装置において、
前記原動機出力トルク制限手段は、前記原動機出力トルクに係わる所定の時間変化上昇勾配を、前記変速機のギヤ比がロー側であるほど緩やかな上昇勾配とするものであることを特徴とする車両の加速ショック軽減装置。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の加速ショック軽減装置において、
前記駆動状態切り替え期間判定手段は、運転者が原動機を無負荷状態から負荷状態に切り替える操作を行ったことで前記伝動系が逆駆動状態から正駆動状態に切り替わるまでの駆動状態切り替え中を、前記原動機の出力トルクがトルク上昇開始判定トルクに達して所定時間が経過する時までの期間としたことを特徴とする車両の加速ショック軽減装置。 - 請求項9に記載の加速ショック軽減装置において、
前記所定時間を、前記変速機のギヤ比がロー側であるほど長くしたことを特徴とする車両の加速ショック軽減装置。 - 請求項9または10に記載の加速ショック軽減装置において、
前記所定時間を、前記原動機の回転数が高いほど短くしたことを特徴とする車両の加速ショック軽減装置。 - 請求項9〜11のいずれか1項に記載の加速ショック軽減装置において、
前記原動機の出力トルクは、運転者が原動機を無負荷状態から負荷状態に切り替える操作を行った時における原動機の要求負荷をもとに求め得る原動機出力演算トルク、および、原動機の運転状態をもとに推定し得る原動機出力推定トルクのうちの少なくとも1つであることを特徴とする車両の加速ショック軽減装置。
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