(実施の形態)
以下、本発明の撮像装置の実施の形態について説明する。なお、本文中における「前方」とは、カメラ本体の被写体側をいい、例えば、図1においては向かって左方向に相当する。また、「後方」とは、カメラ本体の被写体と反対側、すなわち、撮像光学系に対して撮像素子側をいい、図1においては向かって右方向に相当する。また、「上側」とは、撮影画像の長辺方向を水平とした場合における撮影画像の鉛直方向上方に相当する方向をいい、図1においては向かって上方向に相当する。通常、カメラ本体においてレリーズボタンが配置される側が上側に相当する。また、「下側」とは、上側に対して反対方向をいい、図1においては向かって下方向に相当する。また各部において、前方、後方、上側、下側の各面をそれぞれ前面、背面、上面、下面という。
〔1.カメラシステムの全体構成〕
図1は、カメラシステム1の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、カメラシステム1は、交換レンズ式のデジタル一眼レフカメラに用いられるシステムである。また、カメラシステム1は、カメラ本体3と、カメラ本体3に着脱可能に装着された交換レンズ2とから構成されている。交換レンズ2は、カメラ本体3の前面に設けられたレンズマウント70に装着されている。
〔1−1.カメラ本体の構成〕
カメラ本体3は、被写体を撮像する撮像部71と、撮像部71などの各部の動作を制御するボディーマイコン12(本体制御部)と、撮影された画像や各種情報を表示可能な画像表示部72と、画像データを格納可能な画像格納部73と、被写体を観察するためのファインダー光学系19と、撮影時及びAF時に撮影者による操作を受け付けるレリーズボタン50と、電源スイッチ51と、不揮発性メモリ53とを備えている。
撮像部71は、入射光をファインダー光学系19および焦点検出部5に導くクイックリターンミラー4と、光電変換を行うCCD(charge coupled device)イメージセンサーなどの撮像センサー11と、撮像センサー11の露光状態を調節するシャッターユニット10と、ボディーマイコン12からの制御信号に基づいてシャッターユニット10の駆動を制御するシャッター制御部14と、撮像センサー11の動作を制御する撮像センサー制御部13と、フォーカスモード選択部34とを備えている。
ボディーマイコン12は、各種シーケンスをコントロールする。具体的には、ボディーマイコン12には、CPU(central processing unit)、ROM(read-only memory)、RAM(random access memory)が搭載されており、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、ボディーマイコン12は様々な機能を実現することができる。例えば、ボディーマイコン12は、交換レンズ2がカメラ本体3に装着されたことを検知する機能などを有している。図1に示すように、ボディーマイコン12はカメラ本体3に備えられている各部と通信可能に構成されている。
画像表示部72は、液晶モニタ16と、液晶モニタ16の動作を制御する画像表示制御部15とを備えている。なお、本実施の形態では、画像を表示する表示素子として液晶モニタ16を備えたが、表示素子は液晶モニタに限らず、有機ELディスプレイなどの少なくとも画像を表示可能な素子で構成されていてもよい。
画像格納部73は、例えばカード型記録媒体(不図示)に対して撮影画像の画像データを記録および再生することができる画像記録再生部18と、画像記録再生部18の動作を制御する画像記録制御部17とを備えている。なお、本実施の形態では画像データを記録する媒体は、半導体メモリを備えたカード型記録媒体としたが、ディスク型やテープ型の記録媒体であってもよい。
クイックリターンミラー4は、入射光を反射および透過可能なメインミラー4aと、メインミラー4aの背面側に設けられメインミラー4aからの透過光を反射するサブミラー4bとから構成されている。クリックリターンミラー4は、ボディーマイコン12からの制御により動作するクイックリターンミラー制御部(不図示)により、光路X外に跳ね上げが可能である。入射光は、メインミラー4aにより反射光束と透過光束との2つの光束に分割される。反射光束は、ファインダー光学系19へ導かれる。一方、透過光束は、サブミラー4bで反射されて、後述する焦点検出部5によるオートフォーカス用の光束として利用される。通常の撮影時には、クイックリターンミラー制御部により、クイックリターンミラー4が光路X外に跳ね上げられるとともに、シャッターユニット10が開かれて、撮像センサー11の撮像面上に被写体像が結像される。また非撮影時には、図1に示すようにクイックリターンミラー4が光路X上に配置されるとともに、シャッターユニット10は閉状態とされる。
ファインダー光学系19は、被写体像が結像されるファインダースクリーン6と、被写体像を正立像に変換するペンタプリズム7と、被写体の正立像をファインダー接眼窓9に導く接眼レンズ8と、撮影者が被写体像を観察することができるファインダー接眼窓9とを備えている。
電源スイッチ51は、撮影者においてカメラシステム1の電源のオン/オフを操作することができる操作部である。また、電源スイッチ51は、撮影者によってオン操作されると、カメラ本体3および交換レンズ2の各部に電源を供給するよう電源回路(不図示)を制御する。
レリーズボタン50は、撮影者においてフォーカシング時およびレリーズ時に操作することができる操作部である。レリーズボタン50は、半押し操作および全押し操作が可能なボタンである。レリーズボタン50内には、レリーズボタン50が半押し操作された際にオンになる第1のスイッチと、レリーズボタン50が全押し操作された際にオンになる第2のスイッチとが配されている。ボディーマイコン12は、レリーズボタン50から送られる制御信号により、半押し状態および全押し状態を判断する。例えば、ボディーマイコン12は、レリーズボタン50の半押し状態を検出するとフォーカシング動作を実行するようレンズマイコン20に制御信号を出力し、レリーズボタン50の全押し状態を検出すると撮影動作を実行するようカメラ本体3の各部を制御する。
不揮発性メモリ53は、カメラ本体3に関する各種情報(本体情報)を格納している。この本体情報には、例えば、カメラ本体3のメーカー名、製造年月日、型番、ボディーマイコン12にインストールされているソフトのバージョン、およびファームアップに関する情報などのカメラ本体3を特定するための型式に関する情報(本体特定情報)などが含まれている。なお、これらの情報は、不揮発性メモリ53の代わりにボディーマイコン12内のメモリに格納されていてもよい。
フォーカスモード選択部34は、オートフォーカスモード(AFモード)、マニュアルフォーカスモード(MFモード)、およびオート・マニュアルフォーカスモード(AF+MFモード)の3種類のモードを選択するための操作ユニットであり、外部から操作可能なようにカメラ本体3の筐体に設けられている。AFモードは、自動的にフォーカスを調節するためのモードである。MFモードは、撮影者がフォーカスリング67を手動で操作して、フォーカスレンズ24を所望のフォーカス位置へ移動させるためのモードである。AF+MFモードは、AFモードおよびMFモードをともに使用できるモードであり、レリーズボタン50の半押し操作により自動でフォーカス調節を行いながら、フォーカスリング67を操作して手動でフォーカスの微調節をすることができる。また、フォーカスモード選択部34は、ボディーマイコン12に接続され、いずれのフォーカスモードが選択されているかはボディーマイコン12により判断される。ボディーマイコン12は、フォーカスモードに関する情報をレンズマイコン20に送信する。レンズマイコン20は、受信したフォーカスモードに関する情報に基づいて、超音波モータ35(後述)の制御を切り換える。
〔1−2.交換レンズの構成〕
図1に示すように、交換レンズ2は、被写体の光学像を形成する撮像光学系21と、撮像光学系21を支持するレンズ鏡筒45と、フォーカシングを行うフォーカス調節部40と、入射光量を調節する絞り調節部41と、交換レンズ2の動作を制御するレンズマイコン20(レンズ制御部)と、不揮発性メモリ52と、環境温度を検出可能な温度センサー39と、レンズマウント70に着脱可能なボディーマウント80とを備えている。
フォーカス調節部40は、撮像光学系21により形成される光学像の焦点を調節するためのユニットである。フォーカス調節部40は、超音波モータ35と、モータ駆動回路37と、位置センサー25とを備えている。
レンズ鏡筒45は、フォーカスレンズ24を保持する支持枠33およびその他の枠を有している。支持枠33は、超音波モータ35によって回転駆動される。支持枠33が他の枠に対して回転すると、支持枠33に形成されたカム溝(図示せず)および他の枠に固定されたピンにより、支持枠33が光軸Xに沿った方向へ移動する。
超音波モータ35は、撮像光学系21に含まれるフォーカスレンズ24を駆動するためのモータであり、支持枠33を回転駆動することができる。超音波モータ35は、電圧を供給すると振動する圧電素子が内蔵されている。圧電素子にはくし歯状に形成されたステータ(図示せず)が配され、圧電素子に電圧を供給すると圧電素子が振動し、この振動によりステータに楕円振動を生じさせる。これにより、ステータと摩擦接触したロータ(図示せず)が回転し、回転駆動力を得ることができる。ロータの回転駆動力は、ギヤおよび駆動リング(図示せず)を介して、支持枠33に伝達される。また、超音波モータ35の駆動は、モータ駆動回路37を介して行われている。図2に示すようにモータ駆動回路37は、例えば昇圧トランス37aと、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)37bと、制御IC(Integrated Circuit)37cと、DC−DCコンバータ37dとを備えている。また、超音波モータ35は、環境温度により動作特性が変化するため、超音波モータ35の環境温度を測定するために温度センサー39が配されている。温度センサー39は、モータ駆動回路37に装着あるいは内蔵されている。通常、超音波モータ35はモータ駆動回路37の近くに配置されているため、温度センサー39により超音波モータ35の環境温度やモータ駆動回路37の温度を測定することができる。
位置センサー25は、可動範囲内におけるフォーカスレンズ24の光軸Xに沿った方向の位置を検出するためのセンサーであり、可変抵抗や磁気抵抗効果素子(MRセンサー)が用いられている。位置センサー25では、抵抗値の変化に対する出力電圧を利用して、フォーカスレンズ24の位置情報を取得できる。
フォーカスリング67は、略円筒状のレンズ鏡筒45の円筒面上において、レンズ鏡筒45の円周方向に回転可能に配されている。撮影者は、手動でフォーカスを調節する際にフォーカスリング67を回転操作する。
フォーカスリングセンサー30は、操作ユニット(不図示)に含まれるフォーカスリング67の回転を検出するためのセンサーであり、例えば回転パルスエンコーダで構成されている。また、フォーカスリングセンサー30は、フォーカスリング67の回転角度(操作量)および回転方向を検出し、焦点距離情報をレンズマイコン20に出力する。具体的には、フォーカスリング67には回転方向に等ピッチで設けられた突起(図示せず)が形成されている。フォーカスリングセンサー30は、連続的に光を発する発光部と、発光部から発せられた光を受光可能な受光部(図示せず)とから構成されるセンサー部を、2組備えている。フォーカスリング67が回転すると、発光部と受光部との間を突起が通過し、受光部に入射する光が突起によって周期的に遮られ、受光部には間欠的に光が入射する。受光部は、入射する光を電気信号に変換することで、フォーカスリング67の回転に応じたパルスを生成する。フォーカスリングセンサー30は、生成したパルスの数に基づきフォーカスリング67の回転角(操作量)を検出することができ、2組のセンサー部のそれぞれから出力されるパルスの位相によりフォーカスリング67の回転方向を検出することができる。フォーカスリングセンサー30は、検出した回転角度および回転方向の情報を、レンズマイコン20に出力する。レンズマイコン20は、受信した回転角度および回転方向の情報を含む回転角度情報を、不揮発性メモリ52に一時的に格納する。また、フォーカスリング67の回転角度および回転操作を行った時間(操作時間)に基づいて、フォーカスリング67の回転速度を求めることができる。フォーカスリング67の操作時間および回転速度は、例えばレンズマイコン20により算出される。
絞り調節部41は、絞りまたは開放を調節する絞り部26と、絞り部26の動作を制御する絞り制御部27とを備えている。
レンズマイコン20は、交換レンズ2に搭載された各部に接続されている。具体的には、レンズマイコン20には、CPU、ROM、RAMが搭載されており、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、様々な機能を実行することができる。また、レンズマウント70及びボディーマウント80にそれぞれ設けられた電気接片(図示せず)を介してボディーマイコン12およびレンズマイコン20は電気的に接続することができ、互いに情報の送受信が可能となっている。なお、ボディーマイコン12およびレンズマイコン20間の通信は、光通信や無線電波によるものでも良い。
不揮発性メモリ52は、交換レンズ2に関する各種情報(レンズ情報)を格納している。このレンズ情報には、例えば、交換レンズ2のメーカー名、製造年月日、型番、レンズマイコン20にインストールされているソフトのバージョンおよびファームアップに関する情報などの交換レンズ2を特定するための型式に関する情報(レンズ特定情報)、フォーカス調節部40がコントラスト検出方式に対応可能か否かに関する情報などが含まれている。また、不揮発性メモリ52は、ボディーマイコン12から送信された情報を格納可能である。なお、これらの情報は、不揮発性メモリ52の代わりに、レンズマイコン20内のメモリ部に格納されていてもよい。
回転量検出部47は、超音波モータ35の回転量を検出することができる。具体的には、回転量検出部47は、フォーカスレンズ24の移動量を検出するエンコーダーで構成され、検出したフォーカスレンズ24の移動量に基づき超音波モータ35の回転量を検出している。検出した回転量の情報は、検出信号(MR信号)としてレンズマイコン20に送られる。なお、本実施の形態では、回転量検出部47はレンズマイコン20に対して独立したブロックで構成したが、レンズマイコン20内に備えても良い。
〔2.超音波モータの駆動特性〕
超音波モータ35の回転速度の制御は、一般的に、駆動電圧の周波数、振幅、位相差を変えることによって行われる。図3は、定格電圧V1における超音波モータ35の駆動周波数(入力)と速度特性(出力)の関係を示す周波数特性である。
超音波モータ35に定格電圧V1が供給された場合、図3に示すように、共振周波数F0でロータの回転速度が最も速くなり、共振周波数F0よりも駆動周波数が高くなるほどロータの回転速度が低下する。また、共振周波数F0より低い周波数領域では、ロータに振動が伝達しきらずにロータがステータに対して滑りながら回転するため回転速度が低くなり、異音が発生する。そのため、一般的に、駆動周波数による速度制御(周波数制御)を行う場合には、共振周波数F0より高い周波数領域を用いる。例えば、図3における駆動周波数F1〜F2の範囲で超音波モータ35を駆動させる場合、ロータの回転速度はR1〜R2まで変化し、駆動周波数が高くなるにつれてロータの回転速度は低くなる。このように、超音波モータ35は、入力する駆動周波数を変化させることにより、回転速度を制御(周波数制御)することができる。
図4は、超音波モータ35の駆動電圧を変化させた場合の周波数特性を示す。図4に示すように、電圧V1よりも低い電圧V2が超音波モータ35に供給された場合、駆動周波数がF3であれば回転速度は電圧V1時の回転速度R3よりも低い回転速度R4で駆動する。このように、超音波モータ35では、駆動電圧を変化させることにより、回転速度を制御(電圧制御)することが可能である。しかし、電圧制御は、周波数制御に比べて電圧の変化幅に対する回転速度の変化幅が小さいため、低速から高速までの広い範囲での速度制御が必要な場合においては、電圧を一定とし周波数を変化させる方が超音波モータ35の回転速度の制御を行いやすい。
〔3.カメラシステムの動作〕
図1に示すように、撮影者がファインダー接眼窓9を覗いて撮影するファインダー撮影モードの場合、メインミラー4aは光路上に配置されている。このため、被写体(図示せず)からの光は、撮像光学系21を透過し、半透過ミラーであるメインミラー4aに入射する。メインミラー4aに入射した光の一部は、メインミラー4aで反射してファインダースクリーン6に入射し、残りの光はメインミラー4aを透過してサブミラー4bに入射する。ファインダースクリーン6に入射した光は被写体像として結像する。この被写体像は、ペンタプリズム7によって正立像に変換され接眼レンズ8に入射する。これにより、撮影者は、ファインダー接眼窓9を介して被写体の正立像を観察できる。また、サブミラー4bに入射した光は、サブミラー4bの反射面で反射し、焦点検出部5に入射する。
〔3−1.基本動作〕
図5は、撮影動作が実行されるまでのカメラシステム1の動作の流れを示す。撮影を行う際、まずボディーマイコン12によりフォーカスモードが判断される。具体的には、ボディーマイコン12は、フォーカスモード選択部34において選択されているモードを判断する。フォーカスモード選択部34においてAFモードが選択されている場合(S1)、ボディーマイコン12は、レリーズボタン50の状態を監視する(S2)。ボディーマイコン12は、レリーズボタン50が半押し操作された場合、レンズマイコン20へ半押し操作情報を送信する。レンズマイコン20は、ボディーマイコン12から送られる半押し操作情報に基づき、超音波モータ35の駆動周波数を制御してフォーカス調節動作を開始するよう制御する(S3)。
一方、フォーカスモード選択部34においてMFモードが選択されている場合(S4)、ボディーマイコン12は、レンズマイコン20にMFモード情報を送信する。レンズマイコン20は、ボディーマイコン12から送られるMFモード情報に基づき、フォーカスリング67の回転状態を監視する(S5)。撮影者によってフォーカスリング67が回転操作された場合、フォーカスリングセンサー30はフォーカスリング67の回転を検出する。具体的には、フォーカスリングセンサー30は、フォーカスリング67の回転に伴って生成されるパルスに基づき、フォーカスリング67の回転角及び回転方向を検出し、その検出結果の情報をレンズマイコン20へ送る。レンズマイコン20は、フォーカスリングセンサー30から送られる情報に基づき、超音波モータ35の駆動電圧を制御してフォーカス調節動作を開始するよう制御する(S6)。
さらに、フォーカスモード選択部34においてAF+MFモードが選択されている場合(S7)、ボディーマイコン12は、レリーズボタン50の状態を監視する(S8)。ボディーマイコン12は、レリーズボタン50が半押し操作されたことを検出すると、レンズマイコン20等の各部を制御して、AFモードと同様に超音波モータ35の駆動周波数を制御してフォーカス調節動作を開始するよう制御する(S9)。また、レリーズボタン50が半押し操作されていない場合は、フォーカスモードの監視が継続される(S1〜S8)。
ボディーマイコン12は、フォーカス調節動作の終了後、レリーズボタン50の操作状態を再び検出し(S10)、同時にレンズマイコン20はフォーカスリング67の操作状態を再び検出する(S11)。レリーズボタン50の半押し操作が継続されており、かつ、フォーカスリング67が回転操作された場合、レンズマイコン20は、MFモードと同様に超音波モータ35の駆動電圧を制御し、フォーカス調節動作を行うよう制御する(S12)。
一方、レリーズボタン50の半押し操作が継続されているが、フォーカスリング67が回転操作されていない場合、あるいは、ステップS9の後にレリーズボタン50の半押し操作が中止された場合、ボディーマイコン12は、レリーズボタン50の全押し操作を検出すると(S13)撮影動作に移行する(S14)。レリーズボタン50が全押し操作されていない場合は、フォーカスをさらに調節したりフォーカスモードを切り換えたりすることが考えられるため、処理S1に戻り、以降フォーカスモードの監視が繰り返される。
〔3−2.MFモードにおける動作〕
AFモードでは、超音波モータ35によりフォーカスレンズ24が合焦位置へ駆動されるため、超音波モータ35の連続駆動時間は短い(例えば1秒以下)。
しかし、MFモードでは、超音波モータ35の駆動時間は、撮影者がフォーカスリング67を操作している時間により決定されるため、低速で長時間にわたって連続駆動が行われる状況が考えられる。
例えば図6に示すように、MFモードでは、フォーカスリング67の回転速度に応じて3種類の速度でフォーカスレンズ24が駆動される。具体的には、フォーカスリング67の回転速度RfがRf2<Rf≦Rf1の場合、超音波モータ35の回転速度は、回転速度Rf1およびRf2の平均回転速度Rf5に対応する回転速度Rm1に設定される。同様に、フォーカスリング67の回転速度Rfが速度Rf3<Rf≦Rf2の場合、超音波モータ35は、回転速度Rf6に対応する回転速度Rm2に設定される。また、フォーカスリング67の回転速度RfがRf4≦Rf≦Rf3の場合、超音波モータ35は、回転速度Rf7に対応する回転速度Rm3に設定される。ここでは、回転速度Rm1が回転速度R1よりも低く設定されており、回転速度Rm3が回転速度R2よりも高く設定されている。
しかし、超音波モータ35を長時間にわたって連続駆動すると、図7に示すように、モータ駆動回路37の昇圧トランス37a(図2参照)の鉄損の影響により昇圧トランス37a自体が発熱し、時間経過とともに電力損失が大きくなる。また、超音波モータ35自体も、長時間電圧を供給しつづけると発熱する。このため、比較的高い電圧を供給した状態で駆動周波数F2(図3参照)により超音波モータ35を動作させた場合、図7の消費電力曲線C1に示すように消費電力は時間経過とともに増加し、フォーカスレンズ24の駆動に割り当てられている許容消費電力Waを超える可能性がある。なお、図7における消費電力曲線C2は、超音波モータ35をその最大電圧と最低電圧との中間電圧で駆動した場合の消費電力の変化を示す。
このように、MFモードでは、消費電力を抑えて長時間連続駆動が可能な制御方法が必要となる。
〔3−3.MFモードにおける超音波モータの微少駆動〕
次に、MFモードにおいて、フォーカスレンズ24を微少距離移動させるための制御について説明する。
図8は、MFモードの基本動作のフローを示す。図5を参照して説明したように、ボディーマイコン12は、フォーカスモード選択部34におけるフォーカスモードの選択状態を検出し(S21)、MFモードが選択されている場合はMFモード選択情報をレンズマイコン20へ送信する。
レンズマイコン20は、ボディーマイコン12から送られるMFモード選択情報に基づき、フォーカスリング67の回転操作を検出する。すなわち、レンズマイコン20は、フォーカスリングセンサー30からフォーカスリング67の回転に基づくパルスが出力された場合、フォーカスリング67が回転されたことを検出する(S22)。
次に、レンズマイコン20は、フォーカスリングセンサー30から出力されるパルスに基づき、微少駆動モードまたは通常駆動モードへ移行する(S23)。すなわち、所定期間におけるフォーカスリングセンサー30から出力されるパルス数をカウントし、フォーカスリング67の回転角が大きくパルス数が所定値以上であれば通常駆動モードへ移行し(S25)、フォーカスリング67の回転角が小さくパルス数が所定値未満であれば微少駆動モードへ移行する(S24)。
本実施の形態における駆動モードの判断は、16msecのサンプリング間隔中に、フォーカスリングセンサー30から1パルスだけ出力された場合に、微少駆動モードへ移行するように制御している。また、16msecのサンプリング間隔中に、フォーカスリングセンサー30から2パルス出力された場合は、通常駆動モードへ移行するように制御している。上記サンプリング時間及びパルス数は一例である。
次に、微少駆動モードにおける動作について説明する。
〔3−3−1.微少駆動の基本制御〕
図9は、本実施の形態における微少駆動モード時の駆動電圧及び駆動周波数の制御の概要を示す。図9(a)は、フォーカスリングセンサー30から出力されるパルスである。図9(b)は、超音波モータ35の駆動電圧である。図9(c)は、超音波モータ35の駆動周波数である。
撮影者によりフォーカスリング67が僅かに回転操作された場合、フォーカスリングセンサー30は図9(a)に示すパルスをレンズマイコン20へ送信する。レンズマイコン20は、フォーカスリングセンサー30から1つ目のパルス(タイミングt1)が送られると微少駆動モードに移行する。レンズマイコン20は、微少駆動モードに移行すると、超音波モータ35の駆動電圧を図9(b)に示すように段階的に上昇(以下、スイープと称する)させる。図9に示す例では、初期の駆動電圧を50Vとし、タイミングt1以降に1msec毎に0.87Vずつ上昇させている。
超音波モータ35が、駆動電圧を電圧V10までスイープさせた時に(例えばタイミングt2)駆動を開始すると、タイミングt2以降は特性VA1に示すように駆動電圧を電圧V10に維持し、フォーカスレンズ24を微少距離移動させることができる。
一方、特性VA2に示すように、超音波モータ35の駆動電圧が最大電圧(図9に示す例では70V)に到達(タイミングt3)しても超音波モータ35が駆動を開始していない場合は、駆動電圧を最大電圧としたまま、駆動周波数をスイープさせる。これにより、超音波モータ35を駆動することができ、フォーカスレンズ24を微少距離移動させることができる。
上記制御では、フォーカスレンズ24の微少駆動時、駆動周波数を固定した状態で駆動電圧をスイープさせていき、超音波モータ35を駆動する。よって、最大電圧以下の駆動電圧で超音波モータ35を駆動することができるので、消費電力を低減させることができる。また、電圧制御の分解能が高いため、駆動電圧を固定値に設定して駆動周波数をスイープさせる制御に比べて、超音波モータ35の回転速度制御を高精度に行うことができる。
なお、上記最低電圧(50V)、最大電圧(70V)、電圧の上昇量(0.87V)、電圧上昇時の時間間隔(1msec)は、それぞれ一例である。
〔3−3−2.微少駆動の具体的な制御〕
図10は、本実施の形態における微少駆動モード時の駆動電圧及び駆動周波数の制御の具体例を示す。図10(a)は、フォーカスリングセンサー30から出力されるパルスである。図10(b)は、超音波モータ35の駆動電圧である。図10(c)は、超音波モータ35の駆動周波数である。図10(d)は、超音波モータ35が回転している時に回転量検出部47から出力されるパルス(MR信号)である。
撮影者によりフォーカスリング67が僅かに回転操作された場合、フォーカスリングセンサー30は図10(a)に示すパルスをレンズマイコン20へ送信する。レンズマイコン20は、フォーカスリングセンサー30から1つ目のパルス(タイミングt11)が送られると微少駆動モードに移行する。
次に、レンズマイコン20は、超音波モータ35に印加する駆動電圧を図10(b)に示すように最低電圧V11からスイープさせる。レンズマイコン20は、駆動電圧をスイープさせている間、図10(d)に示すMR信号を監視している。図10の期間t11〜t12の間は、MR信号が出力されていないため、超音波モータ35は駆動していない。
レンズマイコン20が超音波モータ35の駆動電圧を駆動開始電圧値までスイープさせると(例えばタイミングt12)、超音波モータ35は駆動を開始し、フォーカスレンズ24は微少駆動を開始する。この時、レンズマイコン20は、回転量検出部47から出力されるMR信号を検出し、駆動電圧の上昇制御を停止させて、超音波モータ35が駆動し始めた時の電圧V12を維持する。
次に、レンズマイコン20は、タイミングt12からMR信号のパルス数をカウントし始める。レンズマイコン20は、MR信号のパルス数が、フォーカスレンズ24の目標停止位置までの移動量に相当するパルス数(停止目標パルス数)に到達すると、駆動電圧の印加を停止させて、超音波モータ35の駆動を停止させる。これにより、フォーカスレンズ24は、移動動作を停止する。
上記制御では、フォーカスレンズ24の微少駆動時、駆動周波数を固定した状態で駆動電圧をスイープさせていき、MR信号を検出した時の駆動電圧で超音波モータ35を駆動する。よって、最大電圧以下の駆動電圧で超音波モータ35を駆動するので、消費電力を低減させることができる。また、電圧制御の分解能が高いため、駆動電圧を固定値に設定して駆動周波数をスイープさせる制御に比べて、超音波モータ35の回転速度制御を高精度に行うことができる。
〔3−3−3.微少駆動の反転制御〕
通常、超音波モータ35とフォーカスレンズ24とを結合しているギヤやカムなどのように嵌合しながら動作する機構部品には、スムーズに動作させるためにバックラッシュと呼ばれる機械的隙間が設けられている。したがって、超音波モータ35を常に一つの回転方向へ回転させていると、バックラッシュに基づく超音波モータ35の回転とフォーカスレンズ24の移動との間に相対的なズレは生じないが、超音波モータ35を第1の回転方向に回転させている状態から、第1の回転方向とは反対方向の第2の回転方向に反転させる動作を行うと、第2の回転方向に回転動作を開始する際に、バックラッシュに基づく超音波モータ35の回転とフォーカスレンズ24の移動との間に相対的なズレが生じる。例えば、超音波モータ35を第1の回転方向に回転後、第2の回転方向に回転を開始する際、バックラッシュによって超音波モータ35の回転力がフォーカスレンズ24に伝わらず、フォーカスレンズ24が移動動作を行わない期間が生じる。このような機構部品におけるバックラッシュは、カメラシステム1の工場出荷前に所定量に調整されており、よって、上記のように超音波モータ35の回転方向を反転させた際に生じる、バックラッシュに基づいてフォーカスレンズ24が移動しない時間(以下、ヒス時間と称する)も把握することができる。工場出荷前に調整されたヒス時間の情報は、レンズマイコン20内のメモリまたは不揮発性メモリ52に書き込まれる。
本実施の形態では、超音波モータ35は、伝達ギヤを介してフォーカスレンズ24を移動させる構造であるため、伝達ギヤのバックラッシュが存在する。したがって、超音波モータ35の実際の回転量と、回転量検出部47で検出される回転量(フォーカスレンズ24の移動量に基づいて検出された超音波モータ35の回転量)との間には、バックラッシュに基づくズレが生じる場合がある。例えば、超音波モータ35の回転方向を反転させた直後は、超音波モータ35が回転しているにもかかわらず、その回転力が伝達ギヤにおけるバックラッシュによってフォーカスレンズ24に伝わらず、フォーカスレンズ24が移動せず、回転量検出部47からはMR信号が出力されない期間が存在する。
図11は、本実施の形態における微少駆動モード時において、超音波モータ35を第1の回転方向に回転させた後、第2の回転方向に回転させる時の反転制御の具体例を示す。図11(a)は、フォーカスリングセンサー30から出力されるパルスである。図11(b)は、超音波モータ35の駆動電圧である。図11(c)は、超音波モータ35の駆動周波数である。図11(d)は、超音波モータ35が回転している時に回転量検出部47から出力されるパルス(MR信号)である。
撮影者によりフォーカスリング67が第1の回転方向に回転操作されて、例えば図10に示す制御に基づいてフォーカスレンズ24を第1の方向に移動させた後、撮影者によりフォーカスリング67が第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に僅かに回転操作された場合、フォーカスリングセンサー30は図11(a)に示すパルスをレンズマイコン20へ送信する。レンズマイコン20は、フォーカスリングセンサー30から1つ目のパルス(タイミングt21)が送られると微少駆動モードに移行する。
次に、レンズマイコン20は、超音波モータ35に印加する駆動電圧を図11(b)に示すように最低電圧V21からスイープさせる。レンズマイコン20は、駆動電圧をスイープさせている間、図11(d)に示すMR信号を監視している。
レンズマイコン20は、駆動電圧を最大電圧V22までスイープさせると(タイミングt22)、レンズマイコン20内のメモリから読み出したヒス時間の情報に基づき、少なくともヒス時間に相当するt22〜t24の期間、最大電圧V22を維持する。この期間t22〜t24においては、駆動電圧及び駆動周波数は一定とする。
ここで、期間t22〜t24において、超音波モータ35が回転し始めた場合は(タイミングt23)、レンズマイコン20は、その時の駆動電圧(最大電圧V22)と駆動周波数を維持するとともに、タイミングt23からMR信号のパルス数のカウントを開始する。レンズマイコン20は、MR信号のパルス数が、フォーカスレンズ24の目標停止位置までの移動量に相当するパルス数(停止目標パルス数)に到達すると、駆動電圧の印加を停止させて、超音波モータ35の駆動を停止させる。これにより、フォーカスレンズ24は、移動動作を停止する(t25)。
また、期間t22〜t24の間において超音波モータ35が回転を開始しない場合(MR信号が出力されない場合)は、レンズマイコン20は、タイミングt24以降において駆動周波数をスイープさせる(例えば図9に示すタイミングt3以降の制御)。
上記制御では、フォーカスレンズ24の微少駆動時、駆動周波数を固定した状態で駆動電圧をスイープさせていき、超音波モータ35を駆動する。よって、最大電圧以下の駆動電圧で超音波モータ35を駆動するので、消費電力を低減させることができる。また、駆動電圧を固定値に設定して駆動周波数をスイープさせる制御に比べて、電圧制御の分解能が高いため、超音波モータ35の回転速度制御を高精度に行うことができる。
また、本実施の形態では、予めフォーカスレンズ24を駆動するための機構部品のバックラッシュを測定しておき、超音波モータ35の回転方向の反転時に、予め測定しておいたバックラッシュを取り除くのに必要な時間(ヒス時間)、超音波モータ35の駆動電圧及び駆動周波数をスイープさせないようにしたため、超音波モータ35の回転速度が上がりすぎるのを防ぐことができる。すなわち、超音波モータ35を駆動させてバックラッシュを取り除いている期間は、フォーカスレンズ24が動き出さないため、駆動電圧を最大電圧までスイープさせた後は駆動周波数をスイープさせる制御に入り、超音波モータ35の回転速度が上がりすぎてしまう可能性がある。本実施の形態では、超音波モータ35の回転方向反転時、電圧スイープ後に所定のヒス時間については駆動電圧及び駆動周波数をスイープさせない制御としたことで、超音波モータ35の回転速度が上がりすぎないようにしている。
なお、上記最低電圧V21(50V)、最大電圧V22(70V)は、それぞれ一例である。
また、本実施の形態における反転動作は、超音波モータ35とフォーカスレンズ24との間のバックラッシュを取り除くための動作に限らず、超音波モータ35と位置センサー25との間のガタツキを取り除くための動作にも適用可能である。
〔3−3−4.温度補正〕
超音波モータ35は、使用環境の温度によって超音波モータ35及び機構部品の摩擦係数が変動するため、起動させるために必要なトルクが異なる。使用環境が低温である場合は、超音波モータ35を起動するために大きなトルクが必要となり、駆動電圧も大きくなる。したがって、微少駆動モードにおいて、使用環境の温度に関わらず一定の上昇量で電圧をスイープさせる制御の場合、使用環境の温度が常温よりも低いと、超音波モータ35が動作を開始する電圧に到達するまでに時間がかかり、起動レスポンスが低下してしまう。そこで、本実施の形態では、温度センサー39(図1参照)から得られる環境温度の情報を利用して、環境温度に応じた制御を行う。
図12は、本実施の形態における微少駆動モード時の駆動電圧及び駆動周波数の制御の具体例を示す。図12(a)は、フォーカスリングセンサー30から出力されるパルスである。図12(b)は、超音波モータ35の駆動電圧である。図12(c)は、超音波モータ35の駆動周波数である。
撮影者によりフォーカスリング67が僅かに回転操作された場合、フォーカスリングセンサー30は図12(a)に示すパルスをレンズマイコン20へ送信する。レンズマイコン20は、フォーカスリングセンサー30から1つ目のパルス(タイミングt31)が送られると微少駆動モードに移行する。
次に、レンズマイコン20は、温度センサー39から環境温度の情報を取得し、基準温度(本実施の形態では5℃)と比較する。比較の結果、環境温度が基準温度よりも高い場合は常温であると判断し、環境温度が基準温度よりも低い場合は低温であると判断する。レンズマイコン20は、環境温度が常温であると判断した場合は、図12(b)における特性H1に基づき駆動電圧をスイープさせ、環境温度が低温であると判断した場合は、図12(b)における特性L1に基づき駆動電圧をスイープさせる。特性H1は、最低電圧V31(例えば50V)から1msecの時間間隔で、例えば0.87Vずつ電圧を上昇させ、最大電圧V32(例えば70V)まで上昇させる特性である。また、特性L1は、最低電圧V31から1msecの時間間隔で、例えば2.54Vずつ電圧を上昇させ、最大電圧V33(例えば80V)まで上昇させる特性である。すなわち、環境温度が低温の場合の方が常温に比べて、駆動電圧のスイープ量が大きく、かつ最大電圧も高い。以下、それぞれの温度における具体動作について説明する。
レンズマイコン20において環境温度が常温であると判断した場合は、超音波モータ35の駆動電圧を図12(b)における特性H1に示すように、1msec毎に0.87Vずつスイープさせる。駆動電圧を駆動開始電圧値までスイープさせると、超音波モータ35は回転を開始し、フォーカスレンズ24を微少距離移動させることができる。
レンズマイコン20は、タイミングt31以降、超音波モータ35の駆動電圧及び動作状態を監視し、最大電圧(図12に示す例では70V)に到達(タイミングt33)しても超音波モータ35が回転動作を開始していない場合は、駆動電圧を最大電圧としたまま、駆動周波数をスイープさせる(特性H2)。これにより、超音波モータ35を駆動することができ、フォーカスレンズ24を微少距離移動させることができる。
また、レンズマイコン20において環境温度が低温であると判断した場合は、超音波モータ35の駆動電圧を図12(b)における特性L1に示すように、1msec毎に2.54Vずつスイープさせる。駆動電圧を駆動開始電圧値までスイープさせると、超音波モータ35は駆動を開始し、フォーカスレンズ24を微少距離移動させることができる。
レンズマイコン20は、タイミングt31以降、超音波モータ35の駆動電圧及び動作状態を監視し、最大電圧(図12に示す例では80V)に到達(タイミングt32)しても超音波モータ35が駆動を開始していない場合は、駆動電圧を最大電圧としたまま、駆動周波数をスイープさせる(特性L2)。これにより、超音波モータ35を駆動することができ、フォーカスレンズ24を微少距離移動させることができる。
上記制御では、フォーカスレンズ24の微少駆動時、駆動周波数を固定した状態で駆動電圧をスイープさせていき、超音波モータ35を駆動する。よって、最大電圧以下の駆動電圧で超音波モータ35を駆動することができるので、消費電力を低減させることができる。また、電圧制御の分解能が高いため、駆動電圧を固定値に設定して駆動周波数をスイープさせる制御に比べて、超音波モータ35の回転速度制御を高精度に行うことができる。
また、温度センサー39から得られる環境温度に基づき、環境温度が低温であると判断した場合は、常温時よりも駆動電圧のスイープ量を大きくするとともに最大電圧を高くすることにより、超音波モータ35の起動トルクを常温時よりも高くすることができ、起動レスポンスを向上させることができる。また、常温時は、最大電圧を低温時よりも低くしているので、消費電力を抑えることができる。
なお、上記最低電圧V31(50V)、最大電圧V32(70V)、V33(80V)、常温時の駆動電圧のスイープ量(0.87V)、低温時の駆動電圧のスイープ量(2.54V)、電圧スイープ時の時間間隔(1msec)、基準温度(5℃)は、それぞれ一例である。
〔3−3−5.微少駆動モードの全体の流れ〕
図13は、微少駆動モードにおける全体の流れを示す。
まず、カメラシステム1がMFモードの微少駆動モードに入ると(微少駆動モードに入るまでの流れは図8参照)、超音波モータ35の駆動電圧をスイープさせる(S31)。レンズマイコン20は、超音波モータ35の駆動電圧のスイープ中、あるいは最大電圧で駆動している時、MR信号を監視する(S32)。ここで、レンズマイコン20がMR信号を検出すると、その時の超音波モータ35の駆動電圧及び駆動周波数を維持して、超音波モータ35の駆動を行う(S38)。一方、レンズマイコン20がMR信号を検出しない場合は、超音波モータ35の駆動電圧が最大電圧(上限値)に達したかを判断し(S33)、最大電圧に達していなければ駆動電圧のスイープを継続し(S31)、最大電圧に達すれば反転動作の判断を行う(S34)。
レンズマイコン20は、フォーカスリング67の反転操作を検出しなければ、超音波モータ35の駆動周波数をスイープさせる(S36)。一方、フォーカスリング67の反転操作を検出すれば、予め設定されているバックラッシュ量に基づくヒス時間、超音波モータ35に一定の最大電圧を印加するよう制御する(S35)。このように超音波モータ35に一定の最大電圧を印加することで、バックラッシュを取り除くことができる。レンズマイコン20は、ヒス時間が経過すれば、超音波モータ35の駆動周波数をスイープさせる(S36)。
レンズマイコン20は、超音波モータ35の駆動周波数をスイープさせている時、MR信号を監視する(S37)。MR信号を検出すれば、その時の超音波モータ35の駆動電圧及び駆動周波数を維持する(S38)。
レンズマイコン20は、処理S32またはS37においてMR信号を検出してから、MR信号のパルス数をカウントする。レンズマイコン20は、カウントしているパルス数が予め設定されている停止目標パルス数に到達したか否かを監視し(S39)、停止目標パルス数に到達すれば超音波モータ35への駆動電圧の印加を停止し、超音波モータ35の駆動を停止する(S40)。
〔3−3−6.他の構成例及び制御例〕
本実施の形態では、レンズマイコン20は、超音波モータ35が回転を始めてからMR信号のパルス数をカウントし、MR信号のパルス数が停止目標パルス数に到達すると、超音波モータ35の駆動を停止させる構成としたが、この停止目標パルス数は、現在のフォーカス位置に基づき切り換える構成とすることができる。例えば、フォーカス位置が無限端付近の場合は停止目標パルス数を70パルスとし、近端付近の場合は停止目標パルス数を16パルスとする。また、ズーム機能を備えているカメラシステムの場合は、前述のフォーカス位置の情報と現在のズーム位置の情報との両方に基づき、停止目標パルス数を切り換える構成とすることができる。
また、本実施の形態では、超音波モータ35を微少駆動中に、撮影者によってフォーカスリング67が回転操作されて、レンズマイコン20にフォーカスリングセンサー30からパルスが新たに送信された場合は、微少駆動モードから抜けない限り、新たに送信されたフォーカスリングセンサー30からのパルスは無視して、超音波モータ35を駆動制御する構成とした。この構成に限らず、フォーカスリングセンサー30から新たなパルスが送信された場合は、新たなパルスが送信されたタイミングで超音波モータ35の駆動制御をやり直す構成としてもよい。
また、本実施の形態では、MFモードにおける微少駆動について説明したが、AFモードにおける微少駆動にも対応することができる。AFモードの場合は、ボディーマイコン12からMR信号のパルス数が71パルス以下の駆動指令がレンズマイコン20に送られた時に、レンズマイコン20はAFモードにおける微少駆動モードに移行する。この場合、レンズマイコン20は、ボディーマイコン12から送られるパルス数(10〜71パルス)を停止目標パルス数に設定し、超音波モータ35の駆動制御を行う。
〔4.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、フォーカスレンズ24の微少駆動時、駆動周波数を固定した状態で駆動電圧をスイープさせていき、超音波モータ35を駆動する。よって、最大電圧以下の駆動電圧で超音波モータ35を駆動することができるので、消費電力を低減させることができる。
また、駆動電圧を固定値に設定して駆動周波数をスイープさせる制御に比べて、電圧制御の分解能が高いため、超音波モータ35の回転速度制御を高精度に行うことができる。
また、微少駆動の際、超音波モータ35の回転速度(フォーカスレンズ24の駆動速度)を上げすぎてしまうと、フォーカスレンズ24が目標のレンズ停止位置をオーバーランしてしまう可能性が高く、フォーカスレンズ24を目標の停止位置へ移動させるまでに時間がかかったり、位置精度が低下してしまうなどの問題がある。本実施の形態のように駆動電圧をスイープさせ、超音波モータ35が回転を開始した時(フォーカスレンズ24が移動を開始した時)の駆動電圧及び駆動周波数で超音波モータ35を駆動するので、超音波モータ35の最低回転速度(フォーカスレンズ24の最低移動速度)で駆動することができる。よって、フォーカスレンズ24が目標のレンズ停止位置をオーバーランしてしまう現象を大幅に低減させることができ、高速かつ高精度な位置制御を行うことができる。また、本実施の形態では、超音波モータ35を最低電圧で駆動するため、消費電力を抑えることができる。
また、本実施の形態では、予めフォーカスレンズ24を駆動するための機構部品のバックラッシュを測定しておき、超音波モータ35の回転方向の反転時に、予め測定しておいたバックラッシュを取り除くのに必要な時間(ヒス時間)、超音波モータ35の駆動電圧及び駆動周波数をスイープさせないようにしたため、超音波モータ35の回転速度が上がりすぎるのを防ぐことができる。すなわち、超音波モータ35を駆動させてバックラッシュを取り除いている期間は、フォーカスレンズ24が動き出さないため、駆動電圧を最大電圧までスイープさせた後は駆動周波数をスイープさせる制御に入り、超音波モータ35の回転速度が上がりすぎてしまう可能性がある。本実施の形態では、超音波モータ35の回転方向反転時、電圧スイープ後に所定のヒス時間については駆動電圧及び駆動周波数をスイープさせない制御としたことで、超音波モータ35の回転速度が上がりすぎないようにしている。
また、本実施の形態では、微少駆動時、温度センサー39から得られる環境温度の情報に基づき、環境温度が所定温度以下(または未満)であれば駆動電圧の上昇量及び最大電圧を高くすることで、超音波モータ35の微少動作開始時のトルクを大きくすることができる。よって、超音波モータ35の微少動作開始時のレスポンスを向上させることができる。
また、本実施の形態では、フォーカス位置及びズーム位置に応じて停止目標パルス数を変える構成としたことにより、フォーカス位置及びズーム位置に応じた高精度なレンズ駆動を行うことができる。
なお、本実施の形態では、MFを行うためにレンズ鏡筒45の円筒面に回転自在にフォーカスリング67を備えた構成としたが、少なくとも撮影者が手動でMF操作を行うことができれば、回転リング式の操作手段に限らない。例えば、レバー式やボタン式の操作手段でも実現することができる。
また、本実施の形態では、レンズ交換型のデジタルカメラを一例として挙げて説明したが、レンズ一体型のデジタルカメラにも応用可能である。
〔付記1〕
本発明の撮像装置は、フォーカスレンズと、前記フォーカスレンズを移動させる超音波モータとを備えた撮像装置であって、撮影者による手動のフォーカス操作を受け付ける操作手段と、前記操作手段の操作量を検出する操作量検出手段と、前記操作量検出手段で検出した操作量に応じて前記超音波モータの駆動電圧を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記操作手段における操作量が所定値未満であれば、前記超音波モータの駆動開始時、前記超音波モータの駆動電圧を段階的に上昇させるものである。
この構成によれば、最大電圧以下の駆動電圧で超音波モータを駆動することができるので、消費電力を低減させることができる。
また、駆動電圧を固定値に設定して駆動周波数をスイープ(段階的に下げる)させる制御に比べて、電圧制御の分解能が高いため、超音波モータ35の回転速度制御を高精度に行うことができる。
なお、本実施の形態におけるフォーカスリング67は、本発明における操作手段の一例である。また、フォーカスリングセンサー30は、操作量検出手段の一例である。また、レンズマイコン20は、制御手段の一例である。
〔付記2〕
本発明の撮像装置において、前記制御手段は、前記超音波モータの駆動電圧を段階的に上昇させている時に前記フォーカスレンズが移動を開始すると、前記フォーカスレンズが移動し始めた時の駆動電圧を維持する構成とすることができる。
この構成によれば、微少駆動の際、超音波モータの最低回転速度で駆動することができ、フォーカスレンズが目標のレンズ停止位置をオーバーランしてしまう現象を大幅に低減させることができ、高速かつ高精度な位置制御を行うことができる。また、本実施の形態では、超音波モータを駆動可能な最低電圧で駆動するため、消費電力を抑えることができる。
〔付記3〕
本発明の撮像装置において、前記制御手段は、前記超音波モータの駆動電圧が最大電圧に到達した時に前記超音波モータが動作しない場合、前記超音波モータの駆動周波数を段階的に制御する構成とすることができる。
この構成によれば、超音波モータが駆動電圧のスイープで動作しない場合、超音波モータの駆動周波数をスイープさせることで、超音波モータを確実に動作させることができる。
〔付記4〕
本発明の撮像装置は、記憶手段を、さらに備え、前記記憶手段は、前記フォーカスレンズと前記超音波モータとを結合している機構部品のバックラッシュを取り除くために必要な、前記超音波モータの駆動時間の情報が書き込まれ、前記制御手段は、前記操作手段の回転方向が反転したこと及び前記操作手段における操作量が所定値未満であることを検出すると、前記超音波モータの駆動電圧を段階的に上昇させ、前記駆動時間に基づき前記超音波モータの駆動電圧を最大電圧に設定する構成とすることができる。
この構成によれば、超音波モータの回転速度が上がりすぎるのを防ぐことができる。すなわち、超音波モータを駆動させてバックラッシュを取り除いている期間は、フォーカスレンズが動き出さないため、駆動電圧を最大電圧までスイープさせた後は駆動周波数をスイープさせる制御に入り、超音波モータの回転速度が上がりすぎてしまう可能性がある。本発明では、超音波モータの回転方向反転時、電圧スイープ後に所定のヒス時間については駆動電圧及び駆動周波数をスイープさせない制御としたことで、超音波モータの回転速度が上がりすぎないようにしている。
なお、本実施の形態におけるレンズマイコン20内のメモリ及び不揮発性メモリ52は、本発明の記憶手段の一例である。
〔付記5〕
本発明の撮像装置は、環境温度を測定可能な温度測定手段を、さらに備え、前記制御手段は、前記温度測定手段で測定された温度に応じて、前記超音波モータの駆動電圧の単位時間当たりの上昇量を変更する構成とすることができる。
この構成により、環境温度が低温である時に超音波モータの微少動作開始時のトルクを大きくすることができ、超音波モータの微少動作開始時のレスポンスを向上させることができる。
なお、本実施の形態の温度センサー39は、本発明の温度測定手段の一例である。
〔付記6〕
本発明の撮像装置において、前記超音波モータの回転量を検出し検出信号を出力する回転量検出手段を、さらに備え、前記制御手段は、前記超音波モータを駆動している時、前記回転量検出手段から出力される検出信号のパルス数をカウントし、前記パルス数が目標パルス数になると前記超音波モータの駆動を停止させ、前記フォーカスレンズの位置に応じて、前記目標パルス数を変更する構成とすることができる。
この構成により、フォーカス位置に応じて高精度なレンズ駆動を行うことができる。
なお、本実施の形態において回転量検出部47は、本発明における回転量検出手段の一例である。
〔付記7〕
本発明の撮像装置は、ズームレンズを、さらに備え、前記制御手段は、前記ズームレンズの位置に応じて、前記目標パルス数を変更する構成とすることができる。
この構成により、フォーカス位置及びズーム位置に応じて高精度なレンズ駆動を行うことができる。