JP5027014B2 - 樹脂製インテークマニホールド - Google Patents

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Description

この発明は、エンジンの吸気系に設けられるインテークマニホールドに係り、詳しくは、樹脂成形された樹脂製インテークマニホールドに関する。
従来、この種の技術として、下記の特許文献1及び2に記載される吸気装置が知られている。特に、特許文献1には、全体が複数の樹脂製分割成形体(樹脂製ピース)を接合し一体化して構成された吸気装置が記載されている。この吸気装置は、吸入管部と、吸入管部に連通するサージタンク部と、サージタンク部の前部から上方へ延びて後方へ湾曲した複数の分岐管部(分岐通路)とを備える。湾曲した各分岐通路の内側には、連通路を介して吸入管部に接続されたレゾナンスチャンバーと、吸入管部の少なくとも一部とが車両前後方向に並んで配置され、かつ、連通路が隣り合う樹脂製ピースの略水平な接合面上に設けられている。
特開2006−291915号公報 特開2007−107481号公報
ところが、特許文献1に記載の吸気装置では、湾曲した各分岐通路の内側にレゾナンスチャンバーが配置されるものの、サージタンク部が吸気装置の下側部であって各分岐通路の下側に配置されるので、サージタンク部の分だけ吸気装置の体格が大きくなっていた。
また、複数の樹脂製ピースを組み合わせて接合する方法として溶着が有効であるが、溶着の際には樹脂製ピースを加圧することから、各樹脂製ピースには、溶着時の加圧に耐えうる強度が必要となった。
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、サージタンクと閉塞空間を備えたコンパクトな樹脂製インテークマニホールドを提供することにある。この発明の別の目的は、上記目的に加え、溶着時の耐圧強度を向上させることを可能とした樹脂製インテークマニホールドを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、サージタンクと、サージタンクから分岐し湾曲した複数の分岐通路とを備え、全体が複数の樹脂製ピースを組み合わせて一体化することにより構成される樹脂製インテークマニホールドにおいて、複数の分岐通路の湾曲した内側に、サージタンクと、サージタンクと隔壁により区画された閉塞空間とが配置され、サージタンクと閉塞空間が複数の分岐通路の配列方向に沿って形成され、隔壁がその垂直断面において滑らかな湾曲形状をなし、サージタンクの底部が隔壁により構成され、サージタンクの一部と複数の分岐通路それぞれの一部とが連続する同一の仕切壁により仕切られ、複数の樹脂製ピースのうちサージタンクと閉塞空間を構成する三つの樹脂製ピースが上段、中段及び下段に積み上げられて配置され、中段に位置する樹脂製ピースに隔壁が形成され、隔壁の縁部上側に上段に位置する樹脂製ピースの第1の溶着部と溶着する第2の溶着部が形成され、隔壁の縁部下側に下方へ延びる壁部が形成されると共に壁部の下端に第3の溶着部が形成され、下段に位置する樹脂製ピースに第3の溶着部と溶着する第4の溶着部が形成され、第1乃至第4の溶着部が溶着の際の加圧方向に沿って互いに一列に並ぶように配置され、上段に位置する樹脂製ピースの下面側には、複数の分岐通路を構成する複数の通路孔が形成されると共に、複数の通路孔の外形に沿って第1の溶着部から分離した溶着部が形成され、下段に位置する樹脂製ピースの上面側には、複数の分岐通路を構成する複数の通路孔が形成されると共に、複数の通路孔の外形に沿って、上段に位置する樹脂製ピースの通路孔の溶着部に溶着される溶着部が第4の溶着部から分離して形成され、仕切壁が上段に位置する樹脂製ピースにより構成され、上段に位置する樹脂製ピースの上面側に、複数の分岐通路を構成する通路溝が形成され、上段に位置する樹脂製ピースの下面側に、サージタンクを構成する凹部が形成されることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、複数の分岐通路の湾曲した内側のデッドスペースがサージタンクと閉塞空間に有効に利用されると共に、サージタンクと閉塞空間が複数の分岐通路の外側へはみ出ない。また、サージタンクと閉塞空間とが隔壁により区画され、複数の分岐通路の配列方向に沿って形成されることから、サージタンクと閉塞空間の容積が最大限に確保される。また、隔壁により構成されるサージタンクの底部が滑らかな湾曲形状をなしているので、サージタンクから各分岐通路へ空気がスムーズに流れる。加えて、上段、中段及び下段に積み上げられて配置された三つの樹脂製ピースのうち、上段に位置する樹脂製ピースの第1の溶着部と、中段に位置する樹脂製ピースの隔壁の縁部上側に形成された第2の溶着部と、その隔壁の縁部下側にて壁部の下端に形成された第3の溶着部と、下段に位置する樹脂製ピースの第4の溶着部とが溶着の際の加圧方向に沿って互いに一列に並ぶように配置される。従って、三つの樹脂製ピースを上下に積み上げて溶着する際、上段の樹脂製ピースに加えられる圧力は、第1の溶着部及び第2の溶着部を介して中段の樹脂製ピースの隔壁の縁部に作用するが、その縁部に作用する圧力が壁部と第3の溶着部及び第4の溶着部を介して下段の樹脂製ピースにより支持されることとなり、隔壁の縁部が補強される。
上記目的を達成するために、請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、閉塞空間をレゾネータとしたことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、閉塞空間がレゾネータとして有効利用される。
請求項1に記載の発明によれば、機能的に有効なサージタンクと閉塞空間を備えた樹脂製インテークマニホールドをコンパクトにすることができる。また、樹脂製インテークマニホールドとしての吸気効率を向上させることができる。加えて、複数の樹脂製ピースを組み合わせて一体化することにより構成される樹脂製インテークマニホールドとして溶着時の耐圧強度を向上させることができる。
請求項に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、サージタンクとレゾネータを備えた樹脂製インテークマニホールドを得ることができる。
以下、本発明の樹脂製インテークマニホールドを具体化した一実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図1に、樹脂製インテークマニホールド1を正面図により示す。図2に、樹脂製インテークマニホールド1を図1の右側面図により示す。図3に、樹脂製インテークマニホールド1を図1のA−A線に沿った断面図により示す。図4に、樹脂製インテークマニホールド1を分解して正面図により示す。図5に、樹脂製インテークマニホールド1を分解して図4の右側面図により示す。
図1〜図3に示すように、この実施形態の樹脂製インテークマニホールド1は、概略的には、サージタンク2と、そのサージタンク2から分岐して湾曲した複数(この実施形態では4本)の分岐通路3とを備える。図3に示すように、サージタンク2は、湾曲した複数の分岐通路3の内側に内包されるように配置される。また、複数の分岐通路3の湾曲した内側には、サージタンク2と隔壁51により区画されて閉じた閉塞空間10が配置される。これらサージタンク2と閉塞空間10は複数の分岐通路3の配列方向(図1の左右方向)に沿って形成される。図3に示すように、隔壁51はその垂直断面において滑らかな湾曲形状をなす。サージタンク2の底部29は、この隔壁51により構成される。樹脂製インテークマニホールド1の右側には、スロットル装置を固定するためのスロットル装置用取付フランジ4が形成される。この取付フランジ4には、吸気導入口5が形成され、その吸気導入口5の周りには複数の取付孔4aが形成される。吸気導入口5は、内部のサージタンク2に通じる。同じく、樹脂製インテークマニホールド1の右側には、EGRパイプを取り付けるためのEGRパイプ用取付フランジ6が形成される。この取付フランジ6には、EGRガス導入口7が形成され、そのEGRガス導入口7の両脇に一対の取付孔6aが形成される。EGRガス導入口7は、内部のサージタンク2に通じる。同じく、樹脂製インテークマニホールド1の右側には、ブローバイガス還元用パイプを取り付けるためのガスパイプ用管継手8が設けられる。この管継手8は、内部のサージタンク2に通じる。更に、樹脂製インテークマニホールド1の上側中央には、ブレーキブースターに負圧を供給する負圧パイプを取り付けるための負圧パイプ用管継手9が形成される。この管継手9は、内部のサージタンク2に通じる。
図4,5に示すように、この樹脂製インテークマニホールド1は、全体が複数(この実施形態では5個)の樹脂製のピース11〜15を組み合わせて一体化することにより構成される。この樹脂製インテークマニホールド1は、サージタンク2の上半殻部を構成すると共に、サージタンク2の上側に位置する各分岐通路3の下半殻部を構成するベースピース11と、そのベースピース11の上側に配置され、上側の各分岐通路3の上半殻部を構成するアッパピース12と、ベースピース11の下側に配置され、サージタンク2の下半殻部を構成する第1ロワピース13と、第1ロワピース13の下側に配置され、サージタンク2の下側に位置する各分岐通路3の上半殻部等を構成する第2ロワピース14と、第2ロワピース14の下側に配置され、下側の各分岐通路2の下半殻部を構成する第3ロワピース15とから構成される。これら各ピース11〜15は、それぞれ合成樹脂を材料として射出成形により所定の形状に成形される。そして、図4,5に示すように、各ピース11〜15を互いに組み合わせ、振動溶着により互いに接合して一体化することにより、一つの樹脂製インテークマニホールド1が製造される。
図6に、ベースピース11を平面図により示す。図7に、ベースピース11を底面図により示す。図7に示すように、ベースピース11の下面側には、エンジンのシリンダヘッドに固定されるエンジン側取付フランジ16が形成される。この取付フランジ11には、4気筒エンジンに対応する4つの吸気導出口17が横並びに形成される。また、この取付フランジ16の縁部には、シリンダヘッドへの固定のための複数の取付孔16aが形成される。更に、ベースピース11の下面側には、サージタンク2の上半殻部を構成する凹部18が形成される。この凹部18を挟んでエンジン側取付フランジ16と反対側には、各分岐通路3に対応する4つの通路孔19が横並びに形成される。
一方、図6に示すように、ベースピース11の上面側には、上側の各分岐通路3の下半殻部を構成する4本の通路溝20が横並びに形成される。また、ベースピース11の上面側の右側には、上記したスロットル装置用取付フランジ4が形成されると共に、上記したガスパイプ用管継手8を固定するための管継手用ベース21が形成される。この管継手用ベース21には、図6,7に示すように、サージタンク2にブローバイガスを導入するためのガス導入孔22が形成される。さらに、図6,7に示すように、ベースピース11の中央部には、上記した負圧パイプ用管継手9に対応してサージタンク2に連通するガス導入孔23が形成される。
また、図6に示すように、ベースピース11の上面側には、各分岐通路3の通路溝20及び管継手用ベース21の外形等に沿って溶着ライン24が形成される。この溶着ライン24は、その上側に組み合わされるアッパピース12に接して溶着される。さらに、図7に示すように、ベースピース11の下面側には、サージタンク2の凹部18の外形及び4つの通路孔19の外形に沿って、溶着ライン25が形成される。この溶着ライン25は、その下側に組み合わされる第1ロワピース13に接して溶着される。
図8に、アッパピース12を平面図により示す。図9に、アッパピース12を底面図により示す。図8,9に示すように、アッパピース12は、上側の各分岐通路3の上半殻部を構成する形状に形成される。アッパピース12の右側には、上記したガスパイプ用管継手8が側方へ突出して一体に形成される。ガスパイプ用管継手8は座部8aを備える。また、アッパピース12の上面側中央には、上記した負圧パイプ用管継手9が一体に形成される。図9に示すように、アッパピース12の下面側には、上側の各分岐通路3を構成する4本の通路溝26が横並びに形成される。アッパピース12の下面側には、各通路溝26及びガスパイプ用管継手8の座部8aの外形に沿ってそれぞれ溶着ライン27が形成される。この溶着ライン27は、上記したベースピース1の上面側に形成された溶着ライン24に接して溶着される。また、図8,9に示すように、アッパピース12の左側及び後側には、この樹脂製インテークマニホールド1をエンジン等に固定するための複数のブラケット28が一体に形成される。
図10に、第1ロワピース13を平面図により示す。図11に、第1ロワピース13を底面図により示す。図10に示すように、第1ロワピース13の上面側は、ベースピース11の下面側に形成されたサージタンク2の上半殻部に対応する下半殻部を構成する。この下半殻部の底壁がサージタンク2の底部29を構成する。この底部29には、4本の分岐通路3の入口30が横並びに形成される。また、この底部29の右側には、底部29の中で最も低い凹みとなった最底部29aが形成される。底部29の他の部分は、この最底部29aへ向けてなだらかに傾斜する。この最底部29aには、第1水抜き孔31が形成される。図10に示すように、第1ロワピース13の上面側には、その外形に沿って、上記したベースピース11の下面側の溶着ライン25に接して溶着される溶着ライン32が形成される。
一方、図11に示すように、第1ロワピース13の下面側には、4つの入口30の他に、上記したEGRパイプ用取付フランジ6が形成される。また、上記した第1水抜き孔31に対応して、その孔31を囲むように筒形をなした下張出部33が形成される。この下張出部33は、サージタンク2の最底部29aの下側から張り出して第1ロワピース13と一体に形成される。また、図11に示すように、第1ロワピース13の下面側には、各入口30の外形に沿って、並びに、各入口30から同ピース13の後側縁に沿って、溶着ライン34が形成される。この溶着ライン34は、下側の第2ロワピース14に接して溶着される。
図12に、第2ロワピース14を平面図により示す。図13に、第2ロワピース14を底面図により示す。図12に示すように、第2ロワピース14の上面側にて、その前側には、第1ロワピース13の入口30に整合して各分岐通路3を構成する4つの通路孔35が横並びに形成され、その後側には、同じく分岐通路3を構成する別の4つの通路孔36が横並びに形成される。また、第2ロワピース14の上面側にて、その右側には、サージタンク2の最底部29aに隣接して最端に位置する一つの分岐通路3の横側から水平方向へ張り出した第1横張出部37が一体に形成される。この第1横張出部37は、第1ロワピース13の下張出部33に整合して配置される。この第1横張出部37には、下張出部33の第1水抜き孔31に整合して垂直方向に伸びる第2水抜き孔38が形成される。また、第2ロワピース14の上面側には、各通路孔35の外形等に沿って溶着ライン39が形成される。この溶着ライン39は、第1ロワピース13の下側の溶着ライン34に接して溶着される。同じく、第2ロワピース14の上面側には、別の通路孔36の外形に沿って溶着ライン40が形成される。この溶着ライン40は、ベースピース11の通路孔19の外形に沿って形成された溶着ライン25に接して溶着される。また、第2ロワピース14の上面側にて、第1横張出部37には、その第2水抜き孔38の周りに溶着ライン41が形成される。この溶着ライン41は、第1ロワピース13の下張出部33に接して溶着される。
図13に示すように、第2ロワピース14の下面側は、サージタンク2の下側に位置する各分岐通路3の上半殻部を構成する4本の通路溝42が横並びに形成される。各通路溝42の前後両端には、上記した通路孔35,36がそれぞれ形成される。また、第2ロワピース14の下面側にて、第1横張出部37には、その第2水抜き孔38に連通し、サージタンク2の最底部29aに隣接して最端に位置する一つの分岐通路3の通路溝42に連通して水平方向へ伸びる長溝状の通路部38aが形成される。そして、第2ロワピース14の下面側には、各通路溝42及び第1横張出部37の外形に沿って溶着ライン43が形成される。
図14に、第3ロワピース15を平面図により示す。図15に、第3ロワピース15を底面図により示す。図14,15に示すように、第3ロワピース15は、下側の各分岐通路3の下半殻部を構成する形状に形成される。図14に示すように、第3ロワピース15の上面側には、第2ロワピース14の各通路溝42と共に各分岐通路3を構成する4つの通路溝44が横並びに形成される。また、第3ロワピース15の上面側にて、その右側には、最底部29aに隣接して最端に位置する一つの分岐通路3の横側から水平方向へ張り出した第2横張出部45が一体に形成される。この第2横張出部45は、第2ロワピース14の第1横張出部37に整合する。この第2横張出部45には、第1横張出部37の通路部38aと共に水平方向へ伸びる通路を構成する通路部46が形成される。さらに、第3ロワピース15の上面側には、各通路溝44及び第2横張出部45の外形に沿って溶着ライン47が形成される。この溶着ライン47は、第2ロワピース14の下面側の溶着ライン43に接して溶着される。図14,15に示すように、第3ロワピース15の左側には、樹脂製インテークマニホールド1をエンジン等に固定するためのブラケット48が一体に形成される。
ここで、上記した樹脂製インテークマニホールド1は、サージタンク2に最底部29aを備え、その最底部29aと各分岐通路3とが垂直方向には重ならず、垂直方向及び水平方向にずれて配置されている。この最底部29aには、サージタンク2に侵入したオイル分や水分などの液体が集まることから、その液体を最底部29aから分岐通路3へ排出する必要がある。そこで、この実施形態では、上記した各ピース11〜15のうち、第1〜第3のロワピース13〜15に下張出部33、第1横張出部37及び第2横張出部45をそれぞれ設け、それら張出部33,37,45に設けた水抜き通路により、最底部29aに集まった液体を分岐通路3の一つへ流して排出するようになっている。
すなわち、図1に示すように、第1〜第3のロワピース13〜15が互いに溶着された状態では、同図に鎖線円S1で囲んだ部分に示すように、第1ロワピース13の下張出部33と、第2ロワピース14の第1横張出部37と、第3ロワピース15の第2横張出部45とが互いに溶着して一体化する。これにより、下張出部33に形成された第1水抜き孔31、第1横張出部37に形成された第2水抜き孔38及び通路部38a、並びに、第2横張出部45に形成された通路部46が互いにつながれて略L字形状の水抜き通路(図示略)が形成される。この水抜き通路によって、サージタンク2の最底部29aに集まった液体が、4本の分岐通路3のうち最端に位置する一つの分岐通路3へ流れて排出されるようになっている。
次に、樹脂製インテークマニホールド1を構成する各ピース11〜15の溶着に係る構成と、その溶着順序について説明する。この実施形態において、各ピース11〜15の接合方法は、振動を加えて溶着する「振動溶着」であり、各ピース11〜15を互いに重ねて垂直に加圧しながら行われる。図16に、図3の断面図を分解して示す。この実施形態では、一例として、図16に示すように、先ずベースピース11とアッパピース12をそれらの溶着ライン24,27にて予め溶着して組み付けておく。同様に、第2ロワピース14と第3ロワピース15をそれらの溶着ライン43,47にて予め溶着して組み付けておく。その後、上側の組み付けピース11,12と、下側の組み付けピース14,15との間に第1ロワピース13を挟んで溶着する。これにより、5つのピース11〜15を一体に組み付けて一つの樹脂製インテークマニホールド1を製造する。
ここで、図3,16に示すように、5つのピース11〜15のうち、サージタンク2と閉塞空間10を構成するベースピース11、第1ロワピース13及び第2ロワピース14が上段、中段及び下段に積み上げられて配置される。そして、中段に位置する第1ロワピース13に隔壁51が形成され、その隔壁51の縁部51aの上側に上段に位置するベースピース11の下側の溶着ライン25(本発明の第1の溶着部に相当する。)と溶着する溶着ライン32(本発明の第2の溶着部に相当する。)が形成される。また、隔壁51の縁部51aの下側には、下方へ延びる壁部52が一体に形成されると共に、その壁部52の下端に溶着ライン34(本発明の第3の溶着部に相当する。)が形成される。更に、下段に位置する第2ロワピース14には、上記溶着ライン34と溶着する溶着ライン39(本発明の第4の溶着部に相当する。)と、溶着ライン25と溶着する溶着ライン40が形成される。そして、これら溶着ライン25と溶着ライン32、溶着ライン34と溶着ライン39、並びに、溶着ライン25と溶着ライン40がそれぞれ溶着の際に上下方向に加圧される。特に、第1ロワピース13の隔壁51の縁部51aには、その上側に形成された溶着ライン32と、その壁部52の下端に形成された溶着ライン34と、それら溶着ライン32,34に接するベースピース11及び第2ロワピース14の溶着ライン25,39とが、図16に矢印で示す加圧方向(図3,16の上下方向)に沿って互いに一列に並ぶように配置される。
以上説明したこの実施形態の樹脂製インテークマニホールド1によれば、複数の分岐通路3の湾曲した内側のデッドスペースが、サージタンク2と閉塞空間10に有効に利用されると共に、サージタンク2と閉塞空間10が複数の分岐通路3の外側へはみ出ない。また、サージタンク2と閉塞空間10とが隔壁51により区画され、複数の分岐通路3の配列方向に沿って形成されるので、このインテークマニホールド1においてサージタンク2と閉塞空間10の容積が最大限に確保される。このため、機能的に有効なサージタンク2と閉塞空間10を備えた樹脂製インテークマニホールド1を、従来例の吸気装置に比べてコンパクトなものにすることができる。
また、この実施形態では、上記した隔壁51により構成されるサージタンク2の底部29が滑らかな湾曲形状をなしているので、上流側からサージタンク2に入った空気が底壁29に沿って各入口30へスムーズに流れ込み、各分岐通路3をスムーズに流れることとなる。このため、樹脂製インテークマニホールド1としての吸気効率を向上させることができる。
更に、この実施形態では、樹脂製インテークマニホールド1において、サージタンク2と閉塞空間10を構成するために上段、中段及び下段に積み上げられて配置された三つのピース11,13,14のうち、上段に位置するベースピース11の溶着ライン25と、中段に位置する第1ロワピース13の隔壁51の縁部51aの上側に形成された溶着ライン32と、その隔壁51の縁部51aの下側にて壁部52の下端に形成された溶着ライン34と、下段に位置する第2ロワピース14の溶着ライン39とが溶着の際の加圧方向に沿って互いに一列に並ぶように配置される。従って、第1ロワピース13をベースピース11と第2ロワピース14との間に挟んで上下方向に加圧しながら溶着する際、ベースピース11に加えられる圧力は、その溶着ライン25と第1ロワピース13の溶着ライン32を介して第1ロワピース13の隔壁51の縁部51aに作用するが、その縁部51aに作用する圧力が壁部52とその下端の溶着ライン34と溶着ライン39を介して第2ロワピース14により支持されることとなり、隔壁51の縁部51aが補強される。このため、複数の樹脂製ピース11〜15を組み合わせて一体化することにより構成される樹脂製インテークマニホールド1として溶着時の耐圧強度を向上させることができる。
なお、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することもできる。
(1)前記実施形態において、閉塞空間10を構成する隔壁51に連通路(図示略)を設けることにより、閉塞空間10をレゾネータとすることもできる。この場合、閉塞空間10がレゾネータとして有効利用されることから、サージタンク2とレゾネータを備えた樹脂製インテークマニホールドを得ることができる。
(2)前記実施形態では、本発明を4気筒エンジン用の樹脂製インテークマニホールド1に具体化したが、4気筒エンジンに限らず、あらゆる多気筒エンジン用の樹脂製インテークマニホールドに具体化することができる。
(3)前記実施形態では、複数の樹脂製ピースとして、5つのピース11〜15を組み合わせて一体化することで樹脂製インテークマニホールド1を構成したが、樹脂製ピースの数は5つに限定されるものではなく、3つ、4つ及び6つ以上の任意の数にすることもできる。
樹脂製インテークマニホールドを示す正面図。 樹脂製インテークマニホールドを示す図1の右側面図。 樹脂製インテークマニホールドを示す図1のA−A線に沿った断面図。 樹脂製インテークマニホールドを分解して示す正面図。 樹脂製インテークマニホールドを分解して示す図4の右側面図。 ベースピースを示す平面図。 ベースピースを示す底面図。 アッパピースを示す平面図。 アッパピースを示す底面図。 第1ロワピースを示す平面図。 第1ロワピースを示す底面図。 第2ロワピースを示す平面図。 第2ロワピースを示す底面図。 第3ロワピースを示す平面図。 第3ロワピースを示す底面図。 図3を分解して示す断面図。
1 樹脂製インテークマニホールド
2 サージタンク
3 分岐通路
10 閉塞空間
11 ベースピース(上段に位置する樹脂製ピース)
12 アッパピース(樹脂製ピース)
13 第1ロワピース(中段に位置する樹脂製ピース)
14 第2ロワピース(下段に位置する樹脂製ピース)
15 第3ロワピース(樹脂製ピース)
25 溶着ライン(第1の溶着部)
29 底部
32 溶着ライン(第2の溶着部)
34 溶着ライン(第3の溶着部)
39 溶着ライン(第4の溶着部)
51 隔壁
51a 縁部
52 壁部

Claims (2)

  1. サージタンクと、前記サージタンクから分岐し湾曲した複数の分岐通路とを備え、全体が複数の樹脂製ピースを組み合わせて一体化することにより構成される樹脂製インテークマニホールドにおいて、
    前記複数の分岐通路の湾曲した内側に、前記サージタンクと、前記サージタンクと隔壁により区画された閉塞空間とが配置され、前記サージタンクと前記閉塞空間が前記複数の分岐通路の配列方向に沿って形成され、前記隔壁がその垂直断面において滑らかな湾曲形状をなし、前記サージタンクの底部が前記隔壁により構成され、前記サージタンクの一部と前記複数の分岐通路それぞれの一部とが連続する同一の仕切壁により仕切られ
    前記複数の樹脂製ピースのうち前記サージタンクと前記閉塞空間を構成する三つの樹脂製ピースが上段、中段及び下段に積み上げられて配置され、前記中段に位置する樹脂製ピースに前記隔壁が形成され、前記隔壁の縁部上側に前記上段に位置する樹脂製ピースの第1の溶着部と溶着する第2の溶着部が形成され、前記隔壁の縁部下側に下方へ延びる壁部が形成されると共に前記壁部の下端に第3の溶着部が形成され、前記下段に位置する樹脂製ピースに前記第3の溶着部と溶着する第4の溶着部が形成され、前記第1乃至第4の溶着部が溶着の際の加圧方向に沿って互いに一列に並ぶように配置され、
    前記上段に位置する樹脂製ピースの下面側には、前記複数の分岐通路を構成する複数の通路孔が形成されると共に、前記複数の通路孔の外形に沿って前記第1の溶着部から分離した溶着部が形成され、前記下段に位置する樹脂製ピースの上面側には、前記複数の分岐通路を構成する複数の通路孔が形成されると共に、前記複数の通路孔の外形に沿って、前記上段に位置する樹脂製ピースの前記通路孔の前記溶着部に溶着される溶着部が前記第4の溶着部から分離して形成され、
    前記仕切壁が前記上段に位置する樹脂製ピースにより構成され、前記上段に位置する樹脂製ピースの上面側に、前記複数の分岐通路を構成する通路溝が形成され、前記上段に位置する樹脂製ピースの下面側に、前記サージタンクを構成する凹部が形成される
    ことを特徴とする樹脂製インテークマニホールド。
  2. 前記閉塞空間をレゾネータとしたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂製インテークマニホールド。
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