JP5025883B2 - 集塵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調および産業分野で大気塵、室内の粉塵、ほこりなどを集塵し、また、電気集塵であるにも関わらず集塵装置の吹出し口から電荷を帯びた粉塵が中和し、コロナ放電を用いることなく、また、オゾンの発生なしに、壁などへの帯電粉塵の付着による汚れを防止する集塵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電気式の集塵装置として、例えば特開平6−31200号公報に記載されたものが知られている。
【0003】
以下、その集塵装置について図9を参照しながら説明する。
【0004】
図に示すように、荷電部101は放電線からなる放電電極A102とアース電極板A103からなり、その荷電部101の下流側に電圧印加電極板105とアース電極板B106からなる集塵部104を設けている。通常、荷電部101においては、放電電極A102とアース接続されたアース電極板A103との間には5〜15kV、また、集塵部106の電圧印加電極板105とアース接続されたアース電極板B106との間には2〜6kVの電位差が生じるように放電電極A102と電圧印加電極板105に直流電圧が高圧安定化電源107によって印加されている。そして送風ファン108によって集塵装置に粉塵を含む空気が取り込まれる。
【0005】
上記構成において、粉塵を含んだ空気を集塵装置に取り入れると、荷電部101では、放電電極A102とアース電極板A103の間でコロナ放電が生じ、コロナ放電によってイオン化された空気イオンの付着によって、そこを通過した空気の粉塵は帯電される。集塵部の電圧印加電極板105とアース電極板B106にも、コロナ放電は生じていないが、電界が生じており、その電界の力を受けて、帯電した粉塵は電圧印加電極板105もしくはアース電極板B106に付着することにより除去され、導入された空気は清浄な状態となって吹出される。
【0006】
また、上記従来例では、放電電極として線状のものを示したが、線状のかわりに尖状の電極を用いても同様であり、尖状の電極の先端とアース電極板A103の間で、コロナ放電が生じ、同様の機構で粉塵が捕集される。
【0007】
このような従来の集塵装置では、荷電部で荷電された粉塵は、全て集塵部で捕集されるわけではなく、たとえば、80%の除去率であれば、残り20%の未捕集の帯電した粉塵は室内に放出される。この帯電された粉塵は室内の壁やその他に付着しやすいという性質を有している。特にテレビなどのような家電機器は帯電しており、付着しやすい。また、壁は通常帯電していないと考えられるが、送風などにより、壁面に空気が流れるとその摩擦により静電気が発生し、壁面も帯電し、やはり壁面も帯電した粉塵が付着しやすい状態になる。
【0008】
また、100%に近い集塵効率であっても、一度集塵部に捕集された粉塵が何らかの原因で集塵部から離れるという再飛散があり、この再飛散した粉塵も帯電している。また、帯電粉塵が少なくても、イオンのみ(空気イオンなど)は放出されており、そのイオンが周囲の粉塵と付着して、帯電した粉塵になる。したがって、電気式の集塵装置は、たとえ集塵効率が高くても、再飛散した粉塵やイオンと結合した粉塵が吹出し側の壁などに付着するため、汚れの原因となっていた。
【0009】
従来、このような帯電された粉塵による汚れを防止する方法として、帯電粉塵の電荷を逆の極性の電荷によって電気的に相殺するという方法があり、そのことを帯電粉塵の中和と定義する。帯電粉塵を中和して汚れを防止する方法として、▲1▼正極性および負極性集塵機を並列に並べて、集塵機から吹出されたそれぞれの極性の帯電粉塵を混合させてお互いを電気的に中和する方法(特開昭53−64878)、▲2▼集塵部後方において、一段おきに逆極性の放電部を設け、前段の荷電部で帯電した粉塵と逆極性の粉塵を等量生成して混合することにより粉塵を粗粒子化する方法(特開昭55−157348)、▲3▼荷電部において並列に並んだ放電電極に交互に異なる極性の電圧を印加し、集塵しきれずに集塵部から出てくるそれぞれの極性の帯電粉塵が混合してお互いを中和する方法、▲4▼集塵部の電圧印加電極板をむき出しにして非絶縁にした状態で、荷電部放電線と逆極性の電圧を集塵部印加電極板に印加することにより、荷電部とは逆の極性のコロナ放電を集塵部で起こして帯電粉塵を中和する方法(▲3▼▲4▼とも特開平8−89842)などにより、対策が検討されてきた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の方法では、▲1▼においては並列に集塵機を並べるような大きなシステムでは用いることができるが、集塵機が一つしかない場合は導入が難しく、▲2▼▲3▼においては正負それぞれの極性に帯電された帯電粉塵が完全に混合しないと、中和しないでそのまま壁面を汚す可能性があり、またコロナ放電を起こしているために放電電流が大きくオゾンも発生し、▲4▼においては集塵部で十分なコロナ放電が起きる構造とはいえず、また集塵部の印加電極板を非絶縁の状態で用いるために、アース電極板と接触しない構造にする必要があり製造が困難かつ構造がコンパクトにならない。また、▲1▼から▲4▼に共通したイオンを放出する方法として、コロナ放電を利用しているために、放電電流が大きく、人体に有害なオゾンを発生するといった課題が挙げられる。そしてどんなタイプの集塵機にも用いることができ、また極性の異なる粉塵どうしの混合に頼らず、また放電電流が小さくオゾンをほとんど発生させないで帯電粉塵を中和することができる集塵装置が要求されている。
【0011】
また、電荷中和手段を設けた集塵装置において、集塵部から吹出される帯電粉塵の帯電量が一定でなく変化する場合、変化した帯電量に合わせて電荷中和手段から最適量のイオンを出す必要があるという課題があり、帯電粉塵の帯電量に合わせて逆極性かつ最適な量のイオンを発生することができる電荷中和手段が要求されている。
【0012】
また、電荷中和手段を設けた集塵装置において、帯電粉塵が電荷中和手段を通過した後、実際に帯電粉塵が中和されているかを確認して、電荷中和手段が効果的にはたらいているかどうかを監視する必要があるという課題があり、電荷中和手段から吹出された粉塵の極性および帯電量を検知して帯電粉塵の中和を確認できることが要求されている。
【0013】
また、電荷中和手段を設けた集塵装置において、帯電粉塵が電荷中和手段を通過した後、実際に帯電粉塵が中和されているかを確認し、もしも中和できていない場合は、電荷中和手段の電圧設定などをリアルタイムで最適に制御して常に帯電粉塵の中和を行う必要があるという課題があり、帯電粉塵を常に中和した状態に保つことができるように電荷中和手段を制御することが要求されている。
【0014】
また、道路のトンネルや工場の煤塵処理などに用いられている電気式の集塵装置は、粉塵の電気抵抗が低い場合に集塵部に堆積した処理粉塵によって電極どうしが短絡を起こし、スパークとなって電極板に衝撃を与え、電極板上に堆積した粉塵が帯電した状態で再飛散を起こすという問題があり、スパークによる大量の再飛散が起こる場合にも集塵装置後方の壁面を汚さないことが要求されている。
【0015】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、どんなタイプの集塵機にも用いることができ、極性の異なる粉塵どうしの混合に頼らず、また放電電流が小さく人体に有害なオゾンをほとんど発生させないで帯電粉塵を中和できる集塵装置を提供することを目的としている。
【0016】
また、集塵部から吹出された帯電粉塵の帯電量に合わせて逆極性かつ最適な量のイオンを発生して帯電粉塵を中和できる集塵装置を提供することを目的としている。
【0017】
また、電荷中和手段から吹出される粉塵の極性および帯電量を検知できる集塵装置を提供することを目的としている。
【0018】
また、集塵部から吹出された帯電粉塵を常に中和した状態を保つことができる電荷中和手段の制御方法を備えた集塵装置を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の集塵装置は、上記目的を達成するために、請求項1に記載のとおり、粉塵を帯電させる荷電部と、その下流側に設けられて粉塵を除去する集塵部を備え、集塵部から吹出される帯電粉塵の電荷と逆極性のイオンを放出する電荷中和手段を集塵部下流側に設け、電荷中和手段を放電電極とアース電極とで構成し、放電電極とアース電極の間に、コロナ放電を生じさせずに空気イオンのみを放出させるよう絶縁体もしくは半導体を設けた集塵装置において、放電電極に交流の電圧を印加することを特徴とする。
【0022】
そして本発明によれば、電極間の距離を狭めた電荷中和手段においてコロナ放電の抑制が確実に行われ、放電電流が小さくオゾンをほとんど発生させないで帯電粉塵を中和できる集塵装置が得られる。
【0025】
また、請求項2記載の集塵装置は、請求項1に記載の集塵装置において、電荷中和手段を通過した粉塵の極性と帯電量を確認する検知手段を有したことを特徴とする。
【0026】
そして本発明によれば、電荷中和手段を通過した粉塵の極性および帯電量を検知して帯電粉塵の中和を確認できる集塵装置が得られる。
【0027】
また、請求項3記載の集塵装置は、請求項2記載の集塵装置において、前記検知手段を壁面または帯電プレートの表面電位を測定する手段としたことを特徴とする。
【0028】
そして本発明によれば、壁面の帯電状態を把握すると同時に、壁面から得られる情報から、実際に帯電粉塵が中和されているかどうかを確認できる集塵装置が得られる。
【0029】
また、請求項4記載の集塵装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の集塵装置において、電荷中和手段を通過した粉塵の極性と帯電量を確認する検知手段を有し、電荷中和手段から吹出された粉塵が電荷をもたないように常に電荷中和手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0030】
そして本発明によれば、集塵部から吹出された帯電粉塵を常に中和した状態に保つことができるように電荷中和手段を制御した集塵装置が得られる。
【0031】
また、請求項5記載の集塵装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の集塵装置において、集塵部の後方かつ電荷中和手段手前に設置された導電性フィルタを設けたことを特徴とする。
【0032】
そして本発明によれば、短絡が引き起こすスパークによる大きな再飛散粒子を導電性フィルタで大まかに除去し、除去しきれない小さな帯電粉塵を電荷中和手段で中和することができる集塵装置が得られる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明は、粉塵を帯電させる荷電部と、その下流側に設けられて粉塵を除去する集塵部を備え、集塵部から吹出される帯電粉塵の電荷と逆極性のイオンを放出する放電電極を備えた電荷中和手段を集塵部下流側に設け、電荷中和手段の放電電極に交流の電圧を印加することを特徴としたものである。荷電部としては、導電性の線もしくは針と板で構成され、両者に高い電位差を与えることにより、線や針の周りに高い電界を作って空気の絶縁破壊を起こさせ、空気をイオン化して粉塵を帯電させるものが例としてあげられる。また集塵部としては、2つの電極板の間に電位差を与えて電界をつくり、その電界の力で主に帯電した粉塵を捕集する集塵ユニットや、ガラス繊維などを濾材にして機械的に粉塵を捕集する濾過フィルタ、あらかじめ分極された誘電体を濾材にして内部に電界ができるようにつくられ、機械的もしくはその電界の力で粉塵を捕集する静電フィルタなどが例としてあげられる。本発明の集塵装置では、前記荷電部で帯電され、これら集塵部で捕集しきれなかった帯電粉塵や、荷電部や集塵部の電界でで発生したイオン、もしくは集塵部から再飛散した帯電粉塵などといった電荷をもつ物質と逆の極性の空気イオンを放出する電荷中和手段で中和する。
【0034】
今までの常識では、空気イオンを放出して帯電粉塵などを電気的に中和する手段として、コロナ放電を用いることが有効な手段とされてきた。コロナ放電をさせるためには、放電線や尖状の電極に対向するアース電極を設け、この間に高電圧を印加する。そうすると、ある電圧までは、電流はほとんど流れない。このときは、空気イオンもほとんど発生しない。しかし、コロナ放電が発生する電圧まで上げると、放電電極の付近が高電界となって気体(空気)が局部的な絶縁破壊を起こしイオンとなると同時に放電による電流値が急激に上昇する。これがコロナ放電である。この放電電流が大きいというのが特徴であるコロナ放電の領域を利用することで、空気をイオン化して帯電粉塵を中和させることができるが、放電電流が大きくオゾンが多く発生するという問題があった。
【0035】
本発明者らは、空気イオンのみを放出し、コロナ放電をさせずに帯電した粉塵を電気的に中和させる方法を見出した。線状や尖状の放電電極と対向するアース電極との間に大きな絶縁抵抗が存在する状態で放電電極に電圧を印加すると、6〜10kVの電圧を印加しても空気の絶縁破壊による大きな放電電流は起こらずコロナ放電とならない(ほとんど電流がながれない:グロー放電の状態)が放電電極近傍の大きな電界の作用によって空気イオンのみを発生させることができる。このコロナ放電が発生していない状態とは、具体的な目安として1つの尖状電極当たり、放電電流が1μA以下(一般的な計器で測定できるレベル)、線状電極であれば、0.1m当たり1μA以下の値である。また、この状態をつくるためには、空気絶縁および十分な距離がとれない場合は、絶縁もしくは半導体材料でアースにあたる部分を被覆する必要がある。空気絶縁の場合の絶縁距離としては、線状の場合は、線径、表面の平滑度、尖状の場合は、尖がりの程度によって一概に言えないが、少なくとも1cm/kV以上、好ましくは、2cm/kV以上の絶縁距離を設けることが必要である。絶縁もしくは半導電性材料としては、絶縁距離によって違うが、放電電流が1μA以下になる絶縁抵抗となるものを用いれば良い。このような空気イオンのみを放出する放電を電荷中和手段に用いて、集塵部から吹出された帯電粉塵と逆の極性のイオンを放出して、帯電粉塵を中和することができる。
【0036】
以上のように、電荷中和手段はコロナ放電を起こさずに空気イオンのみを生成、放出するため、コロナ放電特有の、放電電流に比例して発生するオゾンはほとんど発生しない。オゾンは人体にとって有害であり、多量に摂取するとさまざまな障害が生じる。そして帯電粉塵の電荷を、粉塵よりも軽くて電気移動度の高い空気イオンによって直接中和する電荷中和手段を集塵部下流側に設けているため、逆極性の帯電粉塵を新たに作り出して混合させるよりも確実に中和して帯電粉塵による壁面汚れを防止することができ、また、集塵部でコロナ放電を起こして帯電粉塵を中和しなくてよいため、電圧印加電極板をむき出しにして集塵部の設計の自由度を無くしたり、集塵部の電圧印加電極板の電圧設定に条件を設けたりする必要もなく、また、どんな集塵装置にも適用することができ、また、コロナ放電を起こしていないために放電電流が小さく、また余分なオゾンを出さないという作用を有する。
【0037】
また、電荷中和手段を放電電極とアース電極とで構成し、放電電極とアース電極の間に、コロナ放電を生じさせないよう絶縁体もしくは半導電体を設け集塵装置において、放電電極に交流の電圧を印加することを特徴としたものである。ここでコロナ放電とは、一般的にコロナ放電が発生する電圧まで上げると放電電極の付近が高電界となって、気体(空気)の局部的な絶縁破壊を起こし急激に電流値も上昇する現象である。この電流値が急激に上昇しているコロナ放電の領域で使用することで、空気が絶縁破壊を起こし空気イオンを発生するが、コロナ放電には放電電流が大きいこととオゾンを発生するという欠点がある。その欠点を克服するため、線状あるは尖状の放電電極を用い、そして放電電極とアース電極との間に、前述したように放電電流が1μA以下となるように絶縁体もしくは半導電体を挟んで設けるか、もしくはどちらかの電極を被覆する。放電電極には交流電圧を印加し、放電電極近傍に大きな電界を形成して空気をイオン化する。そして放電電極の極性がプラスの時は、空気イオンに電子が付着して作られたマイナスイオンが放電電極に吸い寄せられて電荷を失い、空気分子が電子を失って作られたプラスイオンは放電電極と反発して周囲に拡散する。したがってプラスイオンが電荷中和手段から放出される。放電電極の極性がマイナスの時はその逆で、マイナスイオンが放出される。電荷中和手段は交流電圧が印加されているため、電荷中和手段を通過した帯電粉塵は、電荷中和手段で放出される逆の極性のイオンと結合し中和されることにより、帯電粉塵の付着による壁面汚れを防ぐことができる。そして電荷中和手段の放電電極とアース電極の間に絶縁体もしくは半導電体を間に設置することによってコロナ放電が抑制されて放電電流が小さくなっているため、電荷中和手段はオゾンをほとんど発生させずに空気イオンのみを生成、放出する。そしてコロナ放電を起こさないように両電極の間に絶縁体もしくは半導体を設置して絶縁を確保しているので、両電極の間隔を狭めることができ、電荷中和手段をコンパクトな構成にすることができるという作用を有する。
【0038】
また、電荷中和手段の放電電極として先端が尖った1または複数個の尖状電極を設け、尖状電極に交流の電圧を印加することを特徴とする。帯電粉塵が集塵部から漏れ出た時、尖状電極近傍の雰囲気が帯電粉塵の電荷で満たされて尖状電極とその周囲に大きな電位差が生じ、尖状電極近傍に大きな電界が形成されて空気がイオン化し、帯電粉塵と逆極性の空気イオンを放出して帯電粉塵を中和する。その時、尖状電極は漏れ出てきた帯電粉塵と逆極性かつ等量の空気イオンを放出する最適電圧に設定されている。また放電電流は微々たるものであるため、人体に有害なオゾンがほとんど発生しない。このとき、もしコロナ放電をさせてしまうと、空気の絶縁を破壊してイオンを放出させているため、周囲のイオン量に関係なく一定量のイオンを放出することになる。しかし、本発明であるコロナ放電させずにイオンのみを放出させる手段は、周りのイオン量(電荷量)と放電電極との電界差によってイオン量を放出するため、例えば中和イオンとしてマイナスイオンを放出する場合、周囲のプラスイオンが多い場合には多くのマイナスイオンを、少ない場合には少ないマイナスイオンを放出するという自制作用も有する。そして、漏れ出てくる帯電粉塵と逆極性かつ等量の空気イオンを電荷中和手段が放出して帯電粉塵を中和するため、放電電極の細かい電圧制御を行わずして帯電粉塵による壁面汚れを防ぐことができ、また余分な空気イオンを放出して集塵装置吹出しの壁面を帯電させて汚すことが無く、またオゾンをほとんど出さないという作用を有する。
【0039】
また、電荷中和手段を通過した粉塵の極性と帯電量を確認する検知手段を有することを特徴とし、電荷中和手段の下流側にある壁面の表面電位を測定するか、もしくは電気的にどことも接続されていない導電体を電荷中和手段の下流側に設置し、その表面電位を測定するか、また粉体吸引型ファラデーゲージなどを用いて電荷中和手段下流側の空気中の電荷量を測定するなどの方法で、電荷中和手段下流側の壁面または空気の帯電状態を把握する検知手段を設ける。検知手段による粉塵の帯電状態の測定結果が電気的中性を示し、粉塵や壁面が帯電を起こしていなければよいが、測定結果がプラスマイナスどちらかに偏っている場合は帯電粉塵を中和しきれていないか、もしくは電荷中和手段による空気イオンの放出量が多すぎて逆の極性に粉塵や壁面を帯電させているために壁面が汚れやすい状態にあるといえる。そして電荷中和手段下流側の壁面や空気の帯電状態を知ることにより、粉塵の帯電を中和して壁面汚れを防止するために最適な電荷中和手段の設定を得ることができるという作用を有する。
【0040】
また、電荷中和手段から吹出される粉塵の極性と帯電量を確認する検知手段を有し、電荷中和手段から吹出された粉塵が常に電荷を持たないように電荷中和手段のイオン放出を細かく制御するという特徴を持つ。電荷中和手段下流側の壁面が帯電しているということは帯電粉塵を中和しきれていないか、もしくは電荷中和手段による空気イオンの放出量が多すぎて逆の極性に粉塵や壁面を帯電させている状態にあるといえる。したがって帯電粉塵を常に中和した状態にするためには、検知手段による粉塵の帯電状態の測定結果が常に無極性を示すようにすればよい。電荷中和手段を通過した粉塵の帯電状態を前記検知手段で測定し、もし粉塵が帯電していることがわかったら、電荷中和手段の放電電極の交流電圧を制御する電圧制御手段が最適なイオン放出量にするように電圧を変化させ、検知手段が帯電を表示しなくなるまで検知手段の結果をフィードバックさせて制御を続けることにより、常に粉塵が帯電していない状態を保ちつづけ、壁面汚れを常に防止するように自動管理することができるという作用を有する。
【0041】
また、集塵部の後方かつ電荷中和手段手前に接地された導電性フィルタを設けるという特徴を持つ。道路のトンネル用に用いられている電気式集塵装置などでは、除去対象が主に自動車の排ガスに含まれるハイドロカーボンなどの炭素系粒子となるが、炭素系粒子は電気抵抗が小さく、集塵部の電極板上に多量に堆積した時に局部的に電気を通してしまい、電極板どうしの短絡を引き起こしてしまう。その時起こるスパークが電極板に衝撃を与え、その衝撃により電極板に堆積していた処理粉塵が電極板から離れてしまい、大量の再飛散粒子が集塵部から発生する。この時電荷中和手段の電荷中和能力を超えた量の帯電粉塵が集塵部より撒き散らされる可能性がある。そこで目がそれほど細かくない金網やスチールウールなどの導電性フィルタを集塵部後方、電荷中和手段手前に設置して、大きな再飛散粒子を取り除き、除去し切れなかった小さい再飛散粒子を電荷中和手段で無帯電の状態に戻し、壁面の汚れをより効率的に防止することができるという作用を有する。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0043】
(参考例1)
図1は、微細水滴によるイオンを用いた電荷中和手段を備えた集塵装置を示している。図1に示すように、荷電部101は放電線からなる放電電極A102とアース電極板A103からなり、その荷電部101の下流側に電圧印加電極板105とアース電極板B106とからなる集塵部104を設けている。通常、荷電部101においては、放電電極A102には5〜15kV、また、集塵部104の電圧印加電極板105には2〜6kVの直流電圧が高圧安定化電源107によって印加されている。集塵部104の下流側には、電荷中和手段1を設けている。電荷中和手段1は、水を貯蔵するタンク2と水を高速で噴出すためのノズル3とタンク2に貯蔵している水をノズル3へ送り出すためのポンプ4を設けている。
【0044】
上記構成において、荷電部および集塵部にプラスの直流高電圧を印加しているときは、集塵部からプラスイオンを有した粉塵が放出されている。集塵部の下流部に設置された除電部では、ノズルの径をできるだけ小さくし、しかも、高速で吹出して、0.5μm以下の微細な水滴を噴霧することで、多量のマイナスイオンを放出する。しかも、このノズルは図では3本しか示していないが、複数本のノズルでマイナスイオンを放出することで、集塵部の面積に対してできるだけ均一に放出した方が良い。このように除電部から放出されたマイナスイオンは、集塵部から放出されるプラスイオンを有した粉塵とクーロン力でお互いに引き付けられ最終的には、くっついて電気的に中和する。中和された粉塵は電荷を有していないため、壁面などへ粉塵が付着することを防止できる。
【0045】
また、荷電部および集塵部にマイナスの直流高電圧を印加している場合は、マイナスイオンを有した粉塵が集塵部から放出されるため、ノズルの径を調整し、水の粒径を0.5μm以上にすることで、プラスイオンを放出させ、電気的に中和し、壁などへの付着を防止するものである。但し、水の粒径が0.5μmに近いとプラスイオンの量が少ないため1μm以上が好ましく、大きすぎると、水滴が下方に落ちていまうため、風速との関連もあるが、5μm以下が望ましい。
【0046】
なお、水を微細化する手段として本実施例では、ノズルを用いて水の微粒子を発生させたが、水を高速で物質にぶっつけ、微細化する方法やその他超音波を使用して微細化するなど、上記特定の粒径に制御できる方法であれば良い。しかし、単純に加湿しても微細化されていなければイオンは発生しないため、通常の加湿の方法とは区別される。
【0047】
また、コロナ放電をさせずにイオンのみを放出させる手段として、上記水を微細化する方法以外に放射線を利用する方法(アルファ線(粒子)を照射して、空気分子をイオン化する方法)軟X線を利用する方法(非常に波長の短い電磁波の一種である軟X線で空気分子をイオン化する方法)、紫外線を利用する方法(紫外線を放射することで空気分子をイオン化する方法)などがあり、いずれの方法でも、帯電した粉塵を中和することができる。
【0048】
(実施例1)
図2は、帯電粉塵と逆極性のイオンのみを放出する電荷中和手段を集塵部下流側に設けた集塵装置を示している。荷電部101は線状の放電電極A102とアース電極板A103で構成されており、取り込んだ空気中の粉塵を放電電極A102の極性に帯電させる。帯電した粉塵は電圧印加電極板105とアース電極板B106で構成される集塵部104に導入され、両電極板間の電界の力を受けてどちらかの電極板に付着し除去される。そして除去しきれずに集塵部104から漏れ出た帯電粉塵は電荷中和手段1に導入され、電荷中和手段1が放出する逆極性のイオンと結合して中和され、無帯電の状態で送風ファン108から吹出される。電荷中和手段1は、交流電圧が印加された放電電極B5と、それを挟むアース電極板C6で構成され、帯電粉塵と逆の極性のイオンを放出している。ここでアース電極板C6の表面は絶縁もしくは半導電性皮膜層7で覆われており、放電電流を抑制して放電電流を起こさないようにしている。そのため電荷中和手段1の放電電極B5近傍では帯電粉塵と逆極性のイオンのみを生成、放出しており、オゾンなど他の成分の発生を抑制している。オゾン発生量は放電電流に比例するという特徴があるため、放電電流を抑制することはオゾン発生を抑制することにつながる。
【0049】
(参考例2)
図3は,尖状電極8のみで構成された電荷中和手段1を設けた集塵装置を示している。荷電部101で粉塵が帯電し、集塵部104に導入されて除去されるまでは図1の集塵装置と同様であるが、除去しきれずに集塵部104から漏れ出た帯電粉塵は電荷中和手段1に導入され、電荷中和手段1が放出する逆極性のイオンと結合して中和され、無帯電の状態で送風ファン108から吹出される。この時電荷中和手段1は尖状電極8のみで構成され、交流電圧が印加されている。周りに電荷が何もない状態では、尖状電極8はイオンを放出しないが、集塵部104から帯電粉塵が漏れ出て周囲に存在するようになると、帯電粉塵と逆の極性をもつ尖状電極8と帯電粉塵の存在する周囲とで電位差が大きくなり、結果として大きな電界が存在するようになる。そしてその電界作用を受けて電極近傍で空気のイオン化が起こり、帯電粉塵と逆極性かつ同じ電荷量のイオンを生成、放出する。この時尖状電極8から流れる放電電流は微小であり、オゾンはほとんど発生しない。また帯電粉塵がない状態では、尖状電極はイオンを放出しないので、普段余分なイオンを出してしまうことにより、かえって壁面を帯電させて汚すといったことがない。
【0050】
(実施例2)
図4は電荷中和手段1を通過した粉塵の極性と帯電量を測定する検知手段9を電荷中和手段1の下流側に設けた集塵装置を示している。電荷中和手段1を通過した後の粉塵の帯電状態は、その下流側の壁面やその空気自体に反映される。そして電荷中和手段下流側の壁面の表面電位を表面電位計10で測定する。もしくは電気的に宙に浮いた導電板11を電荷中和手段1の下流側に設置し、その表面電位を表面電位計10で測定することにより、電荷中和手段1を通過した粉塵が帯電しているかを知ることができる。また、空気を吸引してその中に含む粉塵などの電荷の総和を測ることができる吸引型ファラデーゲージ12を電荷中和手段1の下流側に設置して、電荷中和手段1を通過した粉塵の帯電を直接測定することができる。これらのような検知手段9を設けることにより、帯電粉塵が電荷中和手段1を通過した後に粉塵の帯電が無くなっているかどうか、また電荷中和手段1から帯電粉塵を中和する分よりも多い過剰なイオンが出て逆の極性に粉塵を帯電させたり壁面を帯電したりしていないかどうかを知ることができ、電荷中和手段1のイオン放出を調節する目安にすることができる。
【0051】
検知手段は、どのような場所、部位などが電気的に中和されているかを確認しようとするかによって違うが、壁面への付着を重要視する場合は、壁面の表面電位を検知する。表面電位を測定する手段としては、壁面電位をプローブに反映して測定する表面電位計などがあり、簡単に測定することができる。また、電荷中和手段によって吹出し口で中和されているかを重要視する場合には、既知の静電容量を持った帯電プレートにプラスまたはマイナスの高電圧を印加して帯電させ、その帯電プレートにイオンが付着したときの電位を測ることで、イオンバランスを評価でき、中和の状態を簡単に測定することができる。
【0052】
(実施例3)
図5は電荷中和手段1を通過した粉塵の極性と帯電量を測定する検知手段9を有し、電荷中和手段1を通過した粉塵が常に電荷を持たないように電荷中和手段1を制御することができる集塵装置を示している。電荷中和手段1を通過した粉塵の帯電状態を前記検知手段9で測定し、もし粉塵が帯電していることがわかったら、電荷中和手段1の放電電極B5の交流電圧を制御する電圧制御手段13が最適なイオン放出量にするように電圧を変化させ、検知手段9が帯電を表示しなくなるまで電圧制御手段13にフィードバックさせて制御を続けることにより、常に粉塵が帯電していない状態を保ちつづけることができる。
【0053】
次に、実施例1乃至3、参考例1、2で説明した電荷中和手段が実際に効果を発揮するのかどうかについて検証した。実験模式図を図6および図7に示す。開口寸法132mm×122mmのダクトの中に、送風方向から順に荷電部101、電荷中和手段1、帯電粉塵除去装置14、送風ファン108が設置されている。ダクト内風速は0.5m/sとした。帯電粉塵を作る荷電部101は、線径0.15mm、長さ110mmのタングステン線の放電電極A102が、図では簡略してあるが、20mmの間隔で6本設置されており、並んでいる放電電極A102を挟むように送風流れの長手方向の奥行寸法16mm、幅110mmの鋼製アース電極板A103が設置されている。放電電極A102には+5.7kVの直流電圧がかけられており、この時の放電電流は70μAであった。そして中和効果がはっきり分かるようにするために、荷電部101の後ろには集塵部104を設置せずに電荷中和手段1を設置して、荷電部101で作られた帯電粉塵をそのまま電荷中和手段1に導入するようにした。荷電部101と電荷中和手段1の距離は50mmである。そして帯電粉塵の中和効果を評価するために、帯電粉塵除去装置14を電荷中和手段1の400mm後方に設置した。帯電粉塵除去装置14は構造的には集塵部104と同じである。図では簡略して示しているが、具体的には厚さ0.5mm、奥行き長さ50mm、幅128mmの23枚のステンレス製板を5mm間隔で重ね、1枚おきに電圧をかけて12枚分を電圧印加電極板とし、その間に挟まれた板11枚をアースに接続してアース電極板とした。電圧印加電極板には+2kVの直流電圧がかけられている。粉塵が帯電しているならば、両電極板の間に形成されている電界によってクーロン力を受け、どちらかの電極板に付着して除去される。もし帯電粉塵が電荷中和手段1によって中和されていれば、粉塵は除去されずに帯電粉塵除去装置14を通過して出てくる。したがって帯電粉塵除去装置14の前後の粉塵除去率ηを測定し、粉塵通過率1−ηを求めることによって、電荷中和手段1の中和性能を評価することができる。帯電粉塵除去装置14直前の粉塵濃度をCin、直後の粉塵濃度をCoutとすると、粉塵通過率は、
1−η=1−(Cin−Cout)/Cin=Cout/Cin
という式で計算できる。また、電荷中和手段から発生する空気イオン濃度とオゾン量についても測定を行い、電荷中和手段としての性能を評価することにした。粉塵濃度は粒径0.3μm以上の粉塵の個数濃度を計測するリオン製パーティクルカウンターKC−01Cを、空気イオン濃度は電気移動度が0.4cm2/V・cc以上の小イオンの個数濃度を計測する神戸電波製イオンカウンターKST−900を、そして発生オゾン量は荏原実業製オゾンモニターEG−2001Fを用いてそれぞれ測定を行った。そして下記する2つの電荷中和手段を実験例A、参考例Bとして用意し、それぞれの帯電粉塵の中和性能について評価した結果を表1、表2に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
図6は実験例Aの実験模式図を示したものである。電荷中和手段1は荷電部101とほぼ同じ構造で作られているが、アース電極板C6を塩化ビニール製の絶縁皮膜層7で全面被覆してある。タングステン線の放電電極B5に0kV〜−6kVの範囲で直流電圧を印加し、それぞれの電圧を印加した時の粉塵通過率及び空気イオン濃度、電荷中和手段1から発生するオゾン量を計測した。その結果を表1に示す。粉塵通過率を見ると、最も中和効果が高い電圧は−4kV付近であり、その時の粉塵通過率が70%であった。0kVの時の通過率が4%であり、全体からみて96%存在した帯電粉塵が100−70=30%になったことから、
(96−30)/96 = 0.69
という計算から、全帯電粉塵の69%程度を中和できたことになる。空気イオンのプラスマイナスのバランスを見てみると−2kVで中和となっているようであるが、帯電粉塵を中和するためには−4kV程度の電圧が必要であった。この最適中和電圧は荷電部101の放電電極A102に+5.7kVの電圧を印加し、70μAの放電電流を流している場合のものであり、荷電部101の電圧や寸法などが変わればまた最適中和電圧をこのような方法で探る必要がある。また、表1には記載していないが、荷電部101からの発生オゾン濃度は38ppbであることを考慮すると、電荷中和手段1からの発生オゾン濃度は−4kVで1ppbと非常に少なく、電荷中和手段1は最適中和電圧付近ではほとんどオゾンを発生しないことがわかった。
【0057】
図7は参考例Bの実験模式図を示したものである。実施例Bの電荷中和手段1は、胴体径0.7mmで先端が鋭く尖った鋼製の針で作成した尖状電極8を3本設置した構造となっており、周囲にアース電極は設けていない。尖状電極8に0kV〜−6kVの範囲で電圧を印加し、それぞれの電圧を印加した時の粉塵通過率及び空気イオン濃度、電荷中和手段のみに電圧を印加した時のオゾン濃度を計測した。その結果を表2に示す。最も中和効果が高い電圧は−3kVであり、その時の粉塵通過率は74%であった。0kVの時の通過率が4%であり、全体からみて96%存在した帯電粉塵が100−74=26%になったことから、
(96−26)/96 = 0.73
という計算から、全帯電粉塵の73%程度を中和できたことになる。また、実施例Bの電荷中和手段1の大きな特徴は、帯電粉塵が存在しない時は空気イオンをほとんど放出しないが、存在する帯電粉塵の量に合わせて逆極性のイオンを放出することである。荷電部101の放電電極A102に電圧を印加せず帯電粉塵が存在しない場合は、−3kVを印加しても電荷中和手段1からのイオン放出量は0であるが、荷電部101の放電電極A102に電圧を印加して帯電粉塵を存在させるとマイナスイオンを24万個/ccの濃度で放出している。このマイナスイオンでプラスに帯電した粉塵を中和している。したがって普段は逆の極性に粉塵を帯電させたり、イオンを出して壁面を帯電させたりすることはないが、帯電粉塵が電荷中和手段1に導入されれば逆の極性のイオンを放出するという非常に便利な特徴をもっている。この最適中和電圧は荷電部101の放電電極A102に+5.7kVの電圧を印加し、70μAの放電電流を流している場合のものであり、荷電部101の条件が変わればまた最適中和電圧をこのような方法で探る必要がある。また尖状電極を用いた電荷中和手段1からは、オゾンの発生はほとんどなかった。
【0058】
(参考例3)
図8は集塵部後方、電荷中和手段手前に5mm角メッシュのステンレス製の導電性フィルタ15を10枚重ねて設置したものである。このフィルタは全て接地されている。自動車の排ガスに含まれる炭素系粒子は電気抵抗が小さく、そのため道路のトンネル用に用いられている電気式集塵装置は、集塵部に堆積した炭素系粒子によってよく短絡によるスパークが集塵部で起こる。その際スパークによる衝撃で電極板に堆積していた粉塵は対面の電極板に跳躍し、さらにまた対向の電極板に跳躍するといった挙動を示す。そして最後には集塵部から出ていってしまう。これが再飛散現象である。そして再飛散粒子はその跳躍現象により、どちらかの極性に帯電している場合が多い。再飛散するとき、電極板に付着していた粉塵は一気に集塵部から出てきて再飛散粒子となってしまうため、それが全て帯電しているとすると電荷中和手段の中和能力を超えてしまい、帯電したまま集塵装置から排出されてしまう可能性がある。そこで圧力損失のことも考え、接地された目の粗い導電性フィルタ15を集塵部後方、電荷中和手段手前に設け、一気に大量に出てくる再飛散粒子をある程度取り除くか、もしくは電荷を吸い取るようにし、除去し切れなかった小さな帯電粉塵を後方にある電荷中和手段で中和する。このように導電性フィルタを設け、その後ろに電荷中和手段を設けるといった2段構えの電荷中和方法とすることにより、このような大量の粉塵を扱うような場所で用いられる集塵装置においても帯電粉塵を排出せず、壁面を汚さないようにすることができる。
【0059】
なお、集塵部は、電圧印加電極板とアース電極板の間に電位差を与えて電界をつくり、その電界の力で主に帯電した粉塵を捕集するものを用いているが、ガラス繊維などを濾材にして機械的に粉塵を捕集する濾過フィルタや、あらかじめ分極された誘電体を濾材にして内部に電界ができるようにつくられ、機械的もしくはその電界の力で粉塵を捕集する静電フィルタなど、他の種類の集塵部を用いた場合についても同様の効果が得られる。
【0060】
なお、実施例では、荷電部における線状の放電電極としてタングステン製のものを用いたが、導電性をもつほかの金属や樹脂を放電電極に用いた場合でも同様の効果を生じる。
【0061】
なお、参考例では、尖状電極として先端が鋭利に尖った鋼製の針を用いたが、空気をイオン化できるならば、導電性をもつ他の金属や樹脂でも同様の効果を生じる。
【0062】
なお、電荷中和手段の放電電極に印加する交流電圧の振幅の大きさ、波形および周波数、そして直流バイアス電圧の大きさなど印加電圧に関する要件については、放電電極が帯電粉塵と逆の極性のイオンを放出するのであればどのように設定しても構わない。
【0063】
なお、電荷中和手段を通過した粉塵の帯電を検知する検知手段として壁面の表面電位や空気の電荷量を測る方法を例として挙げたが、帯電を検知する手段であれば測定方法は他のものでもその効果に差は生じない。
【0064】
また、導電性フィルタとしてステンレス製の5mm角メッシュの金網を用いたが、導電性かつ通気性があるものなら他の材質のものを用いても同様の効果が得られる。
【0065】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、人体に有害なオゾンをほとんど発生させずに壁面汚れを防止して周囲の汚染を抑えることにより美観を保ち、壁面清掃などのメンテナンスコストを低減するという効果のある集塵装置を提供することができる。
【0066】
また、寸法的にコンパクトであり、人体に有害なオゾンをほとんど発生させずに壁面汚れを防止して周囲の汚染を抑えて美観を保ち、壁面清掃などのメンテナンスコストを低減するという効果のある集塵装置を提供することができる。
【0067】
また、微小な放電エネルギーのみを用いて余分なオゾンをほとんど出すことなく壁面汚れを簡単かつ最適に防止して周囲の汚染を抑え、小さい費用で壁面清掃などのメンテナンスコストを低減するという効果のある集塵装置を提供することができる。
【0068】
また、電荷中和手段を通過した粉塵の帯電状態を把握する検知手段を設けることによって、壁面汚れを常に防止するための最適設定を得ることができる集塵装置を提供することができる。
【0069】
また、電荷中和手段を通過した粉塵の帯電状態を把握する検知手段を設け、その結果が常に中性になるように電荷中和手段の制御を行うことにより、壁面汚れを常に防止するように自動管理してメンテナンスコスト、管理コストを低減する集塵装置を提供することができる。
【0070】
また、粉塵の量が多い、集塵部で除去した粉塵が再飛散を起こして大量に再飛散粒子を排出するなどの過酷な使用条件においても、導電性フィルタを電荷中和手段手前に設けることにより大きな粉塵を除去したり、ある程度の粉塵の帯電を接触により中和し、その後ろにある電荷中和手段によってほぼ完全に帯電粉塵を中和することにより、壁面汚れを防止して美観を保ち、集塵装置周りのメンテナンスコストを低減することができる集塵装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1の微細水滴によるイオンを用いた電荷中和手段を備えた集塵装置の構成図
【図2】本発明の皮膜層でコロナ放電を抑制された電荷中和手段を備えた集塵装置の構成図
【図3】参考例2の尖状電極で構成された電荷中和装置を備えた集塵装置の構成図
【図4】本発明の集塵部の下に検知手段を備えた集塵装置の構成図
【図5】本発明の検知手段と電荷中和手段の電圧制御手段を備えた集塵装置の構成図
【図6】本発明の実験例Aの電荷中和手段の実験模式図
【図7】参考例Bの電荷中和手段の実験模式図
【図8】参考例3の集塵部後方、電荷中和手段手前に導電性フィルタを設けた集塵装置の構成図
【図9】本発明の従来の電気集塵式集塵装置の構成図
【符号の説明】
1 電荷中和手段
2 タンク
3 ノズル
4 ポンプ
5 放電電極B
6 アース電極板C
7 絶縁もしくは半導電性皮膜層
8 尖状電極
9 検知手段
10 表面電位計
11 導電板
12 吸引型ファラデーゲージ
13 電圧制御手段
14 帯電粉塵除去装置
15 導電性フィルタ
Claims (5)
- 粉塵を帯電させる荷電部と、その下流側に設けられて粉塵を除去する集塵部を備え、集塵部から吹出される帯電粉塵の電荷と逆極性のイオンを放出する電荷中和手段を集塵部下流側に設け、前記電荷中和手段を放電電極とアース電極とで構成し、放電電極とアース電極の間に、コロナ放電を生じさせずに空気イオンのみを放出させるよう絶縁体もしくは半導体を設け、放電電極に交流の電圧を印加することを特徴とする集塵装置。
- 電荷中和手段を通過した粉塵の極性と帯電量を確認する検知手段を有した請求項1記載の集塵装置。
- 前記検知手段を壁面または帯電プレートの表面電位を測定する手段とした請求項2記載の集塵装置。
- 電荷中和手段を通過した粉塵の極性と帯電量を確認する検知手段を有し、電荷中和手段から吹出された粉塵が電荷をもたないように常に電荷中和手段を制御する制御手段を備えた請求項1乃至3いずれかに記載の集塵装置。
- 集塵部の後方かつ電荷中和手段手前に設置された導電性フィルタを設け請求項1乃至4のいずれかに記載の集塵装置。
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