図1は、本発明の第1の実施例である自動火災報知設備の遠隔監視システム100を示す図である。
自動火災報知設備の遠隔監視システム100は、顧客サービスサーバ10と、設備リストデータが格納されているHDD等の記憶装置M1と、イベントログデータが格納されている同様の記憶装置M2と、パソコン等で構成されている管理業者用端末装置D1と、インターネットNWと、建物に設置されている端末機能付火災受信機REと、回線を介して、火災受信機REに接続されている火災感知器Sとを有し、火災受信機REの機能負担を軽減し、情報の利用を便利にするシステムである。
火災感知器Sは、監視対象としての建物「OOビル」に消防用設備のための各種機器とともに、複数設置されているが、図1には、それらの代表として、1つの火災感知器Sのみが記載されている。顧客サービスサーバ10には、記憶装置M1とM2とが接続されている。インターネットNWには、端末機能付火災受信機RE、顧客サービスサーバ10、管理業者用端末装置D1が、複数の端末機器として接続されている。
なお、インターネットNWに接続されている火災受信機REは、自動火災報知設備が設置される建物毎に複数存在するが、図1には、代表的に1つのみを示してある。これと同様に、管理業者用端末装置D1は、関係する業者毎に存在するが、図1には、代表的に1つのみを示してある。また、顧客サービスサーバ10も、1つのみを示してあるが、記憶容量や処理速度の関係から、対象とする地域や後述の機能等を分担し、複数台設けるようにしてもよい。
上記システム構成によって、各火災受信機REを、ネット対応(端末機能付)とし、顧客サービスサーバ10との間で情報交換する、また、関係業者が、管理業者用端末装置D1から顧客サービスサーバ10にアクセスすることによって、顧客サービスサーバ10に格納されている情報を取り出し、利用することができ、さらに、顧客サービスサーバ10から、電子メール等で、関係業者に連絡することができる。
図2は、端末機能付火災受信機REの構成を概略的に示すブロック回路図である。
火災受信機REは、制御部11と、端末監視部12と、記憶部13と、表示操作部14と、通信部15とを有し、信号線Lを介して、複数の火災感知器Sが接続されている。
制御部11は、マイコン等によって構成され、火災受信機REの全体的な動きを制御するものである。端末監視部12は、信号線Lを介して、複数の火災感知器S等との間で信号を送受信し、詳細には示さない各種接続機器の状態情報を受信し、また、制御信号を送信する。なお、火災報知設備として必要な機器として、火災感知器S以外に、発信機、地区音響装置、防排煙機器等が、必要に応じて、信号線Lに接続される。
記憶部13は、フラッシュメモリ等によって構成され、一時的にデータ保存を可能とする記憶領域である。表示操作部14は、LCD、各種表示灯、各種操作スイッチを有し、たとえば火災感知器Sから火災信号を受信すると、主音響装置としての図示しないブザーを鳴動させ、火災情報を表示する。通信部15は、火災受信機REを、ネットワークの一例であるインターネットNWに接続し、ネットワークのプロトコルに合わせて、各種情報を送受信するインターフェースである。
次に、上記実施例の動作について説明する。
[ポーリング動作]
図3は、上記実施例において、顧客サービスサーバ10が実行するポーリング動作を示すフローチャートである。
上記「ポーリング動作」は、インターネットNWに接続されている火災受信機REを顧客サービスサーバ10に予め登録し、登録されている各火災受信機REを、顧客サービスサーバ10が周期的に呼び出し、呼び出された火災受信機REが正常監視中であることを、顧客サービスサーバ10が確認する動作である。なお、端末機能付火災受信機REを登録する場合、たとえば、火災受信機REに対するポーリングの要否を、物件リストとして、記憶装置M1に登録する。
まず、ポーリング動作を開始する場合、たとえば1時間に1回のように定期的にポーリング動作を開始し(S1)、上記物件リストに登録されているポーリング要否に応じて、火災受信機REの呼出先を順次読み出し、呼出信号を送信する(S2)。
呼出信号を受信した火災受信機REは、自己が監視制御する自動火災報知設備が正常監視中であれば、正常監視信号を顧客サービスサーバ10に送信し、逆に、異常情報があれば、その異常情報を顧客サービスサーバ10に送信する(S3)。ここで、本実施例において、呼出先を特定する場合、インターネットNWを介して、端末機器としての火災受信機REを特定することができるIPアドレスを使用すればよい。
また、呼出信号を受けた火災受信機REは、情報を提供する顧客サービスサーバ10の正当性を確認する必要があり、たとえば、火災受信機RE毎に、IDとパスワードとを予め設定し、呼出信号に自己のIDとパスワードとが存在することを確認する認証の過程を設ける必要がある。また、呼出信号に応答する場合も、IPアドレスによって顧客サービスサーバ10を特定することができ、さらに、呼び出す顧客サービスサーバ10と情報を蓄えるデータサーバとを、互いに異なる構成にし、情報を必ずデータサーバに送信するように、火災受信機REに登録するようにしてもよい。
火災受信機REから正常監視信号または異常情報を顧客サービスサーバ10が受信すると、この顧客サービスサーバ10は、ポーリング結果データを、データベースとして、たとえば記憶装置M2に格納する(S4)。そして、ポーリングが必要な火災受信機の全てから、正常監視信号または異常情報を収集するように、呼出先を変えて、上記ステップS2〜S4を繰り返す。つまり、サーバ10が、物件リストのポーリング要否に基づいて、複数の火災受信機に呼出・応答受信・格納を繰り返す
ここで、火災受信機REが、必ず稼動中であるとは限らず、何等かの理由で電源ダウンしていることもある。このように、火災受信機REから返信を得られず、しかも所定時間を経過しても返信を得ることができない場合、無応答であると判断し、ポーリング結果データに、無応答を格納する。
そして、上記物件リストに、火災受信機RE毎に連絡先が予め登録され、異常情報を受信した場合または無応答と判断された場合には、上記連絡先に、異常である旨を連絡する(S5)。火災受信機REが設置されている建物の所有者をはじめ、その管理者、点検業者、施工業者等の関係業者を、上記連絡先として、必要に応じて設定し、また、本実施例では、その連絡方式として、電子メールが好ましいが、ファックス送信や自動郵便の発送等を採用するようにしてもよい。すなわち、たとえば、管理業者用端末装置D1が、インターネットNWに常時接続されていれば、当該管理業者用端末装置D1へ表示警報する連絡であってもよい。
上記のように、各建物の火災受信機REにネットワークNW経由でアクセスし、消防用設備が機能していることを、顧客サービスサーバ10が確認することができ、火災受信機REが正常に電源ダウンしている場合にも、火災受信機REの機能停止を、顧客サービスサーバ10が判別するようにしてもよい。
[イベントログ動作]
図4は、上記実施例において、顧客サービスサーバ10へ行うイベントログ動作とイベントログ参照の動作とを示すフローチャートである。
このイベントログ動作において、自動火災報知設備における「イベント」は、より詳細には、自動火災報知設備とその周辺とに関する状態変化にかかわる表示事項や、火災受信機REの盤面における操作事項を総称するものであり、また、「イベントログ」は、発生したイベントを記録する機能を称するものである。
従来、火災受信機に発生したイベントは、時々プリントアウトするか、または所定の記憶領域を確保し、順次記憶する方式が採用されている。上記実施例におけるイベントログ動作では、インターネットNWを介して接続されている各火災受信機REで発生したイベントの履歴を、顧客サービスサーバ10に格納する。
まず、いずれかの火災受信機REにおいて、たとえば火災感知器Sが故障し、この故障を火災受信機REが認識し、異常情報が発生すると、イベントの発生とし(S11)、イベントの発生時刻と、異常情報と、自己を示すIDとを、インターネットNWを介して、顧客サービスサーバ10に送信する(S12)。ここで、火災受信機REは、イベントに対応する通常動作を実行する。
イベントの内容を受信した顧客サービスサーバ10は、その内容を、たとえば記憶装置M2に格納し、つまり、データベースとしてのイベントログデータに格納する(S13)。そして、イベントの内容とともに受信したIDに基づいて、たとえば記憶装置M1に登録されている上記受信機リストから、必要な連絡先を読み出し、イベント発生の連絡を行う(S14)。
この連絡方式は、上記ポーリング動作の説明の中で示したように、予め設定されている連絡先に連絡する。なお、イベントの内容は、重要なものから軽微なものまで様々であり、そのイベントの内容に応じて、連絡先を選択するようにしてもよく、また、防排煙機器等の個別起動・復旧や、火災受信機REへの地区音響停止操作や、復旧操作等のイベントについては、連絡しなくてもよい。
また、このイベントログ動作において、火災受信機RE自体が、イベント発生を示す連絡を行ってもよい(S15)。すなわち、詳細には示さないが、自動火災報知設備が有効に作動するために、たとえば火災感知器Sの情報等、建物毎のデータベースが、火災受信機REの記憶部13に設定されている。このデータベースに、イベント発生時の連絡先を設定しておけば、火災受信機REは、自己の端末機能を活かし、インターネットNWを介して、通信部15からイベントを連絡することができる。なお、火災受信機REが設置されている物件が、総合操作盤を備えている場合に、連絡動作を総合操作盤に行わせるようにしてもよい。
上記実施例では、顧客サービスサーバ10が、必要な連絡先へ、イベントを連絡するので、火災受信機REによる連絡と重複するが、現実的には、関係業者として双方から連絡が入っても、その連絡をほぼ同時に受けるので、その連絡への対応は1つであり、問題はなく、むしろ正確性を求める点から、安全サイドとなる。
次に、上記実施例におけるログ照会動作について説明する。
たとえば、保守点検を行う点検業者が、保守契約先の建物の状況を把握する場合、イベントログを参照することができる。この場合、管理業者用端末装置D1を利用し、顧客サービスサーバ10にアクセスし、自己の契約先のイベントログを参照する。
まず、管理業者用端末装置D1へ必要な操作を実行し(S21)、インターネットNWを介して、管理業者用端末装置D1から顧客サービスサーバ10にアクセスする(S22)、このときに、詳細には示さないが、顧客サービスサーバ10は、管理業者用端末装置D1からのIDやパスワードに基づいて、応答の要否を確認し、たとえば記憶装置M1に登録される業者登録リストを参照し、応答の要否を判別する。このようにアクセスした後に、管理業者用端末装置D1に参照する物件を指定し、インターネットNWを介して、管理業者用端末装置D1から顧客サービスサーバ10にイベントログの要求を送信する(S23)。
イベントログの要求を受信した顧客サービスサーバ10は、業者のID等を利用し、たとえば記憶装置M1に登録される物件リストに、その業者が登録されているか否かを判断し、イベントログを参照する資格(アクセス権)を備えているか否かを判別し(S24)、その資格を確認することができれば、たとえば記憶装置M2に格納されているイベントログデータから、該当する物件のイベントを抽出し、インターネットNWを介して、管理業者用端末装置D1に送信する(S25)。
そして、管理業者用端末装置D1は、イベントログを受信し、パソコンの画面等に表示する(S26)。たとえば点検業者において、このイベントログを参照し、該当物件に設置されている機器の不良を予測したり、逆に、点検結果があまり良好でないものについての不具合発生状況等を確認することができる。
[自動試験動作]
図5は、上記実施例において、顧客サービスサーバ10による自動試験動作を示すフローチャートである。
この自動試験動作は、インターネットNWに接続されている火災受信機REであって、所定の周期で自動試験を実行したい火災受信機REを、顧客サービスサーバ10に予め登録し、所定の時刻に、顧客サービスサーバ10が、登録されている各火災受信機REに自動試験命令を送信し、自動試験を実行させ、その結果を収集する動作である。なお、端末機能付火災受信機REに自動試験機能を備えている必要があるが、この自動試験の対象とする火災受信機REを登録する場合、上記ポーリング動作の場合と同様に、火災受信機REに対する自動試験の要否が、物件リストとして、その開始時刻とともに、たとえば記憶装置M1に登録される。
まず、上記物件リストに登録されている自動試験の開始時刻になると(S31)、上記物件リストから、火災受信機REの呼出先を読み出し、自動試験開始を送信する(S32)。ここで、自動試験の開始時刻は、通常1週間に1回とし、何曜日の何時何分と登録される。この時刻の設定は、上記のような周期にこだわらず、3日や5日間隔でもよく、自動試験開始毎に、次回開始日時を算出して更新することができるようにしてもよい。そして、自動試験開始を受信した火災受信機REは、自己の自動試験を開始する(S33)。
ここで、「自動試験」は、たとえば接続されている各火災感知器Sの遠隔試験、詳細には示さない火災受信機REの盤面の表示操作部14のLED等の全点灯を行う表示部試験、図示しない予備電源の容量を確認する予備電源試験等、個々の試験を組み合わせて全て実行する試験であり、その内容と試験方式等は、機種毎に異なる。上記自動試験機能は、従来から火災受信機REの自律的機能として実行されるものであり、火災受信機REにおいても、手動や自動で自動試験を実行することができる。
そして、自動試験が終了すると、火災受信機REは、この自動試験の結果を、顧客サービスサーバ10に送信する(S34)。この自動試験の結果は、正常終了、異常終了のいずれかであり、異常終了である場合には、異常の結果を含めて送信する。ここで、自動試験する場合、上記ポーリング動作と同様に、インターネットNWを介して端末機器としての火災受信機REを特定するときに、IPアドレスを呼出先として使用するようにしてもよく、IDとパスワードとに基づいて認証する過程を設ける。
火災受信機REから自動試験の結果を受信した顧客サービスサーバ10は、データベースとしての自動試験結果データを、たとえば記憶装置M2に格納する(S35)。ここで、上記ポーリング動作と同様に、火災受信機REが電源ダウンしていることもあり、この状態が所定時間経過(タイムアウト)すると、無応答を格納する。そして、自動試験の結果に異常があれば、上記ポーリング動作と同様に、上記物件リストに予め登録されている火災受信機RE毎の連絡先に、無応答を含め、異常である旨を連絡する(S36)。この自動試験の異常終了を、なるべく早急に業者へ連絡する方式が好ましい。
[情報提供動作]
図6、図7は、上記実施例において、顧客サービスサーバ10が情報提供する動作を示すフローチャートである。
上記「情報提供動作」は、インターネットNWに接続されている火災受信機REに、連絡事項や技術情報、さらに広告事項を含め、各種の情報を、顧客サービスサーバ10が提供する動作である。
通常、火災受信機REは、機種によって異なるが、LCDによる表示部やCRTによる表示装置を有し、正常監視状態であって、操作等も含めてイベントのない状態では、電源オフまたは暗転表示していることが多い。この表示が不要である状態が多い火災受信機REの表示操作部14に、顧客サービスサーバ10から情報を表示できるようにするものである。
火災受信機REに情報を表示させるには(S41)、提供しようとする情報のデータを、顧客サービスサーバ10に設定し(S42)、たとえば記憶装置M2内のデータベースに、上記提供しようとするデータを格納し、対応する各火災受信機REに送信する(S43)。
ここで、上記提供しようとする情報のデータは、単なるテキストデータのみ、画像データを含めたHTMLデータ、動画データ、これらと音声データとの組み合わせ、その他火災受信機REのLCD等に表示可能なものである。そして、火災受信機REが、これらのデータを扱えることができる必要があり、データ送出の際には、対応可能な火災受信機REのみに送出する。このために、表示可能なデータの形式と、情報提供の可否とが、火災受信機REの登録データとして、物件リストに登録され、たとえば「テキスト」、「HTML」(「動画」「ムービー」を含む)等に区分され、全ての火災受信機REに提供したい場合には、テキスト用とHTML用とのデータを、それぞれ用意することが好ましい。また、情報を提供する範囲として、地域を限定する場合もあり、この場合、物件リストの所在地に基づいて、送出の要否を判断する。
そして、提供される情報のデータを受信した火災受信機REは、LCD等にそのデータを表示する(S44)。また、受信した情報データの履歴として表題を、火災受信機REに残すために、たとえば記憶部13に所定数の表題の格納領域を設定する。そして、表示操作部14のLCD等に表示したデータの表題のみを、記憶部13に格納する(S45)。ここで、提供されたデータをそのまま、記憶部13に保存するようにしてもよく、この場合、表示操作部14へ操作入力することによって、再表示が容易になる。
次に、上記実施例において、提供情報の検索動作について説明する。
上記情報を再表示するために、記憶部13に提供された情報の全体をわざわざ保存することは、フラッシュメモリ等の容量を比較的大きくとる。しかし、火災受信機REについての管理人が、見覚えがあるがそれを確認したい情報がある場合、過去に表示された情報を再表示する必要がある(S51)。この場合に、インターネットNWを介して、火災受信機REから顧客サービスサーバ10にアクセスし(S52)、IDとパスワード等によって認証した後に、表示操作部14のLCD等に、格納されている情報の表題をリスト表示し、それらの1つを指定し、情報の内容を、顧客サービスサーバ10へ要求する信号を送信する(S53)。
そして、情報の内容を要求された顧客サービスサーバ10は、たとえば記憶装置M2に記憶されている提供済みデータから、指定された情報を読み出し(S54)、インターネットNWを介して、火災受信機REへその情報を送信する(S55)。顧客サービスサーバ10から情報を受信した火災受信機REは、表示操作部14のLCD等へ、その情報を表示する(S56)。
管理人が参照したい情報の表題が、火災受信機RE内の記憶部13に残っている場合に、その情報の表題を表示することができ、履歴に残す表題の個数は、記憶部13内の容量によって制限される。したがって、時期的に古い情報が、履歴に残っていないことが考えられ、この場合には、火災受信機REの表示操作部14を操作し、インターネットNWを介して、表題のリストを顧客サービスサーバ10に要求する(S57)。
そして、情報のリストを要求された顧客サービスサーバ10は、たとえば記憶装置M2内の提供済みデータから、各情報の表題を読み出し、リストとして、インターネットNWを介して、その情報のリストを火災受信機REへ送信する(S58)。顧客サービスサーバ10から情報のリストを受信した火災受信機REは、表示操作部14のLCD等へその情報のリストを表示する(S59)。
そして、火災受信機REにおいて、表示操作部14のLCD等に、表題のリストを表示し、それらから1つを指定し、その情報の内容を要求する信号を顧客サービスサーバ10へ送信し(S60)、記憶部13内に保存した履歴に係わらず、過去の情報を参照することができる(S54〜S66)。したがって、火災受信機REの機能として、記憶部13に提供された情報の履歴を残さなくても、顧客サービスサーバ10から過去の情報を読み出すことができる。
さらに、上記のように、情報が表示された後に、ステップS53、S57、S59等に戻れることによって、別の情報を呼び出すことが可能である。
[盤面作成動作]
図8は、上記実施例において、管理業者用端末装置D1において、盤面を作成する動作を示すフローチャートである。
この盤面作成動作において、たとえば建物にイベントが発生し、故障等音響を伴って警報するときに、音響の停止、表示内容を見た後における機器の確認等の対応動作が必要になる。通常は、管理人が適切に対応するが、不慣れな者は、必要な対応をとることができず、余計な操作によって、火災受信機REの盤面が理解不能な状態に陥ることがある。このような場合、指定されている問い合わせ先に電話等で問い合わせることになるが、問い合わせを受け付けた業者が、不慣れな管理人から火災受信機REの盤面の状態を正確に聞き出すことは困難である。上記実施例は、上記の場合、問い合わせを受けた業者が、物件を特定し、火災受信機REの盤面を、管理業者用端末装置D1に表示するものである。
たとえば、保守点検を行う点検業者が、保守契約先の建物の状況を把握するために、イベントログを参照することができる。この場合、管理業者用端末装置D1を利用し、顧客サービスサーバ10にアクセスし、自己の契約先のイベントログを参照する。
まず、管理業者用端末装置D1へ必要な操作を行い(S61)、上記各動作と同様、管理業者用端末装置D1からインターネットNWを介して、顧客サービスサーバ10にアクセスする(S62)。詳細には示さないが、IDやパスワードに基づいて、応答の要否を確認する。そして、管理業者用端末装置D1に参照する物件を指定し、インターネットNWを介して、管理業者用端末装置D1から顧客サービスサーバ10に、盤面情報の要求を送信する(S63)。
盤面情報の要求を受信した顧客サービスサーバ10は、上記イベントログ動作のように、業者のID等を利用し、たとえば記憶装置M1に登録される物件リストに、その業者が登録されているか否かを確認し、指定された火災受信機REの盤面を参照する資格を備えているか否かを判別し(S64)、上記資格を確認できれば、インターネットNWを介して、指定された物件の火災受信機REに、盤面状態についての情報の要求を送信する(S65)。
そして、要求を受けた火災受信機REから盤面の情報を受信した顧客サービスサーバ10は(S66、S67)、たとえば記憶装置M1に格納されている物件データとしての火災受信機REの型式から、盤面形状の基本画像を読み出し、また、火災受信機REから受信した盤面状態の情報に応じて、具体的にはLCD表示の内容、スイッチの状態、表示灯の点灯消灯の状態等に合致する現在の盤面画像を作成し、インターネットNWを介して、この盤面画像のデータを、管理業者用端末装置D1に送信する(S68)。
そして、盤面画像を受信した管理業者用端末装置D1は、パソコンの画面等に、その盤面画像を表示する(S69)。問い合わせを受けた業者は、管理業者用端末装置D1における盤面画像を参照しながら、電話連絡等の管理人に対して、適切な対応を回答する。
なお、このような盤面画像は、管理人の操作や故障の拡大等、イベントの発生によって時々刻々変化する。そのため、盤面状態の情報を送出した火災受信機REは、自己の状態変化に伴って、インターネットNWを介して、更新する情報を顧客サービスサーバ10に送信する必要があり(S71)、この更新する情報に従って、顧客サービスサーバ10は、盤面画像を改めて更新した盤面画像を、インターネットNWを介して、管理業者用端末装置D1に送信する(S72)。これによって、管理業者用端末装置D1は、リアルタイムに近い火災受信機REの盤面画像を表示することができ、これによって、不慣れな管理人が正確な対応をできたか否か等を把握することもできる。
上記ステップS71、S72における火災受信機REからの更新情報発信をいつまでに行うかについては、火災や異常が解消された結果として、火災受信機REの盤面で復旧入力がなされた場合、あるいは、端末装置D1における盤面の表示が不要になり、端末装置D1に終了入力された場合でよい。
また、管理業者用端末装置D1で更新入力を行い、この入力を、顧客サービスサーバ10を経由し、火災受信機REに送信し、火災受信機REから現在の状態での状態情報を返信させ、この返信された状態情報に基づいて、顧客サービスサーバ10が、改めて盤面状態を作成し、管理業者用端末装置D1に送信し、表示することによって、最新の情報による盤面状態に更新することができる。
なお、上記実施例では、顧客サービスサーバ10に、必要な火災受信機REの盤面形状の基本画像を格納し、火災受信機REからの盤面の情報に基づいて、顧客サービスサーバ10において盤面状態の情報を作成しているが、盤面形状の基本画像を各火災受信機REに格納することによって、火災受信機REにおいて盤面状態の情報を作成してもよく、顧客サービスサーバ10を経由し、火災受信機REからの盤面状態を管理業者用端末機器D1に送信し、表示させるようにしてもよい。
また、このような盤面状態の作成に必要な火災受信機REの盤面の情報は、通常イベントとして取り扱われるので、上記イベントログ機能によって顧客サービスサーバ10に格納されており、顧客サービスサーバ10において、イベントログの情報を利用して盤面状態を作成するようにしてもよい。
[データベースの更新動作]
図9は、上記実施例において、火災受信機REへのデータベース更新動作と、データベース参照の動作とを示すフローチャートである。
このデータベースについて、通常、自動火災報知設備が建物に設置される場合、その設置状況によって、火災受信機REが監視制御可能であるように、動作に必要な各種のデータが、データベースとして記憶部13に格納される。
火災感知器Sを含む設置されている端末機器の種別や位置に関する端末データ、火災感知器Sの火災検出時に図示しない地区音響や防排煙機器の連動制御のための連動データ、さらにCRT等に建物の階毎の平面図を表示するための地図データ等、物件や火災受信機REの機種によって様々なデータを、上記データベースに格納する。
このようなデータベースは、建物の用途の変更や増改築によって、変更されることが多い。このデータベース更新動作において、インターネットNWを介して接続されている各火災受信機REに対して、データベースの更新を、顧客サービスサーバ10から行い、火災受信機REのたとえば記憶部13に交信データを格納するものである。
顧客サービスサーバ10から火災受信機REのデータベースを更新する場合(S81)、データベースを更新するための更新データを登録し(S82)、顧客サービスサーバ10から、インターネットNWを介して、該当する火災受信機REへ、その更新データを送信する(S83)。
そして、更新データを受信した火災受信機REは、受信した更新データが正確に受信されているか否か、自己のデータベースか否か等を確認するために、実際に使用している詳細には示さないデータベースとは別に、記憶部13へ一時的に保存して確認する(S84)。そして、チェックされた更新データによって、実際に使用中のデータベースを書き換える(S85)。このデータベースは、たとえば記憶部13としてのフラッシュメモリ等に格納され、火災受信機REの監視中は、詳細には示さないマイコンによる制御部11が、記憶部13から図示しないRAM等に、電源投入時等に読出し、使用する。
このデータベースの更新動作において、そのフラッシュメモリに、更新データを一時的に保存し、チェック後に、使用中のデータベースが置き替えられる。この更新作業中に、図示しないRAMにデータが存在するので、火災受信機REの監視動作を中断する必要はないが、更新された後のデータベースによって監視動作を行うためには、そのデータを図示しないRAMに読み出す必要があり、監視動作のタイミングを見て、上記読み出しの監視動作を、瞬時中断する。
次に、業者用端末装置D1からデータベースを参照する場合に、データベースを参照する動作について説明する。
上記更新動作によって火災受信機REのデータベースが更新されているか否かを調べることがあり、また、更新データを作成するために現状使用されているデータベースを参照する場合があり、ここでは、業者用端末装置D1からデータベースを参照する場合について考える。
まず、管理業者用端末装置D1へ必要な操作を行い(S91)、上記各動作と同様に、インターネットNWを介して、管理業者用端末装置D1から顧客サービスサーバ10にアクセスする(S92)。ここで、詳細には示さないが、IDやパスワードによって応答の要否を確認する。そして、管理業者用端末装置D1にデータベースを参照する物件を指定し、インターネットNWを介して、管理業者用端末装置D1から顧客サービスサーバ10に、データベースの要求を送信する(S93)。
データベースの要求を受信した顧客サービスサーバ10は、上記イベントログ動作等のように、業者のID等を利用し、たとえば記憶装置M1に登録される物件リストにその業者が登録されているか否かを調べ、指定された火災受信機REのデータベースを参照する資格(アクセス権)を備えているか否かを判別し(S94)、資格を確認できれば、指定された物件の火災受信機REに、インターネットNWを介して、データベースの要求を送信する(S95)。
そして、要求を受けた火災受信機REは、記憶部13から、詳細には示さないデータベースを読み出し、インターネットNWを介して、顧客サービスサーバ10に送信する(S96)。このデータベースを受信した顧客サービスサーバ10は(S97)、インターネットNWを介して、データベースを管理業者用端末装置D1に送信する(S98)。そして、データベースを受信した管理業者用端末装置D1は、図示しない記憶装置に、そのデータベースを保存し、パソコンの画面等にそのデータベースを表示する(S99)。
このように受信されたデータベースは、端末名称の変更等、軽微な修正であればその場で修正し、更新データとすることができ(S100)、インターネットNWを介して、上記更新データを顧客サービスサーバ10に送信し(S101)、この送信によって、顧客サービスサーバ10がその更新データを受け(S102)、上記データベース更新動作におけるステップS83の更新データとすることができ、上記動作手順のように、火災受信機REのデータベースが更新される(S84、S85)。
この動作におけるデータベースを、各建物の火災受信機REに送出し、また、顧客サービスサーバ10において、データベースのデータとして記憶装置M2または別途用意した記憶装置に、上記動作におけるデータベースを格納するようにしてもよい。このようにすると、データベース更新のための参照であれば、火災受信機REから受信する手間を省くことができると同時に、いわゆるバックアップになり、また、盤面状態の情報を作成する際に、各建物の火災受信機REから受信する情報のうちで、データベースに係わる部分を削減することができる。
[火災受信機REにおけるシミュレーション動作]
図10は、上記実施例において、火災受信機REにおけるシミュレーション動作を示すフローチャートである。
このシミュレーション動作は、予め設定されたシナリオに基づいて、火災受信機REを模擬的に動作させ、火災時等における火災受信機REの取扱いを、管理人が習熟できるようにする機能である。このシミュレーション動作中は、火災受信機REにおける盤面のみの動作であって、火災感知器S等の各種機器については通常監視状態であり、たとえば防排煙機器に起動操作を行い、起動した旨の表示があっても、その機器は通常状態のままである。なお、詳細に説明しないが、シミュレーション動作中に実火災が発生した場合、火災感知器Sからの火災信号に基づいて、シミュレーション動作は中断される。
火災受信機REにおいて、シミュレーション動作を実行する場合、火災受信機REの表示操作部14を使用して、操作入力し(S111)、インターネットNWを介して、火災受信機REから顧客サービスサーバ10にアクセスし(S112)、上記動作のように、IDとパスワード等によって認証した後に、インターネットNWを介して、顧客サービスサーバ10にシナリオのリストを要求する(S113)。
そして、シナリオのリストの要求を受信した顧客サービスサーバ10は(S114)、たとえば記憶装置M1に記憶されているシナリオデータから、各シナリオの項目を読み出す。シナリオの項目は、たとえば、「2階火災時」、「1階発信機いたずら」、「3階非火災報」等、事例として想定し得る事項であり、発生位置と設置機器とが当該物件に該当する項目を、種々用意し、インターネットNWを介して、火災受信機REヘシナリオのリストを送信する(S115)。そして、顧客サービスサーバ10から、シナリオのリストを受信した火災受信機REは、表示操作部14のLCD等へ、そのシナリオのリストを表示する(S116)。
そして、火災受信機REにおいて、表示操作部14のLCD等に表示されたリストから、1つのシナリオを指定し、選択されたシナリオを、顧客サービスサーバ10へ送信することによって(S117)、選択されたシナリオを、顧客サービスサーバ10から受信し、記憶部13に保持し、そのシナリオに従ったシミュレーション動作を行う(S118〜S120)。
このシミュレーション動作によって、火災受信機REのシミュレーション機能として、記憶部13にシナリオを多数設定しておかなくても、種々のパターンのシミュレーション動作を実行することができ、また、顧客サービスサーバ10に一括登録することによって、シナリオ数を豊富にすることができる。さらに、慣れの排除や最新動向に沿ったシナリオの更新を、顧客サービスサーバ10において実行することができるので、最適なシミュレーション動作を実現することができる。
[遠隔によるシミュレーション動作]
図11は、上記実施例において、顧客サービスサーバ10による遠隔シミュレーション動作を示すフローチャートである。
この遠隔によるシミュレーション動作は、上記火災受信機REによるシミュレーション動作と同じ目的で行われ、火災受信機REの盤面における表示操作部14の操作人力によって、上記シミュレーション動作が開始されるのに対して、顧客サービスサーバ10による遠隔シミュレーション動作の場合、顧客サービスサーバ10から起動されるので、建物を管理する側にとっては、抜き打ち的に行われる。
開始時間の設定、または、詳細には示さない業者からの起動情報受信に基づいて、まず、顧客サービスサーバ10で、遠隔シミュレーションが開始され(S121)、シミュレーションの対象となる物件について、たとえば記憶装置M1の物件リストの情報から、設備状況に合致するように設定されている複数のシナリオのうちから、その1つを選択し(S122)、この選択されたシナリオに基づいて、順次発生することが想定されるイベントを、擬似イベントとし、インターネットNWを介して、顧客サービスサーバ10から、対象となる火災受信機REに、上記類似イベントを送信する(S123)。
顧客サービスサーバ10から擬似イベントを受信した火災受信機REは、いわゆる盤面のみの模擬的なイベント発生動作を行う(S124)。この擬似的なイベント発生に対して、管理人が所定の動作を実行すると、火災受信機REは、その実行された動作内容を記憶部13に保存し、インターネットNWを介して、顧客サービスサーバ10へ、上記実行された動作内容を送信する(S125)。実際には、シナリオに設定されたタイミングに基づいて、顧客サービスサーバ10から火災受信機REへの擬似イベント送信動作が行われ、イベントによってその送信は、火災受信機REの盤面において特定操作があった後のタイミングとされることもある。
上記のようなシナリオの全イベントが終了し、復旧等の終了まで到達すると、火災受信機REは、このシミュレーション動作全体の履歴を、インターネットNWを介して、顧客サービスサーバ10に送信する(S126)。顧客サービスサーバ10は、その履歴を受信し、たとえば記憶装置M2の所定領域に格納する(S127)。
この遠隔シミュレーションの履歴は、再度の遠隔シミュレーションの際に異なるシナリオを選択するように参照され、また、詳細には説明しないが、建物の所有者等の関係者が、物件における管理の状況を確認する場合に、上記遠隔シミュレーションの履歴を用いることができ、各種イベントに対して正確に対応できているか否かを把握することができる。
[防災診断動作]
図12は、上記実施例において、顧客サービスサーバ10による防災診断動作を示すフローチャートである。
この防災診断動作は、インターネットNWに接続されている火災受信機REの自動火災報知設備が、いわゆるアナログ式である場合、設置されている各火災感知器Sの検出値であるアナログレベルが、火災受信機REに収集され、この各火災感知器Sによるアナログ情報から、不具合の予測等、正常な設備による監視動作を実現するための提案を行うことができるものである。この防災診断動作の対象とする火災受信機REにおいて、上記ポーリング動作等の場合と同様に、火災受信機REに対する防災診断の要否が、その開始時刻とともに、たとえば記憶装置M1に、物件リストとして登録されている。
まず、上記物件リストに登録されている防災診断の開始時刻になると(S131)、上記物件リストから、火災受信機REの呼出先を読み出し、アナログ情報の要求を送信する(S132)。ここで、防災診断の開始時刻は、通常、1日に1回や数時間に1回とすることができ、何曜日の何時何分と登録される。防災診断開始毎に、設定された間隔によって次回開始日時を算出し、更新するようにしてもよく、この間隔を短くすれば、時間毎の対比等、詳細なデータを作成することができる。アナログ情報の変動が大きくなく、安定的な物件であれば、それほど詳細なデータを作成する必要はなく、間隔を長くし、顧客サービスサーバ10の負担を軽くし、大まかなデータでも足りる。
そして、防災診断開始を受信した火災受信機REは、詳細には説明しないが、記憶部13に格納されている最新のアナログ情報を読み出し、インターネットNWを介して、顧客サービスサーバ10に送信する(S133)。
火災受信機REからアナログ情報を受信した顧客サービスサーバ10は、たとえば記憶装置M2に、データベースとしてのアナログ情報データとして格納する(S134)。そして、記憶装置M2に蓄積されている過去分のアナログ情報を読み出し(S135)、この読み出されたアナログ情報に基づいて、設備状況の不具合、またはその予測等を判断する(S136)。この判断について、たとえば、煙感知器のアナログ値が徐々に上昇しているので誤報が発生する可能性があること、常時または特定の時間帯にアナログ値が上昇して火災レベル(またはプレアラームレベル)との差が小さい場合、煙感知器の設置位置の見直し、または感度設定の変更等が必要であること等が、判断される。この判断は、顧客サービスサーバ10において、演算処理され、不具合等の条件を設定し、この設定された条件に合致するか否かを判別する。
そして、防災診断の結果として何等かの判断事項がある場合、上記自動試験動作の場合と同様に、顧客サービスサーバ10が、上記物件リストに、火災受信機RE毎の連絡先を登録し、その連絡先に防災診断結果を連絡する(S137)。
上記の各動作において、顧客サービスサーバ10には、各建物の火災受信機EEに関する情報として、イベントログ情報、ポーリング動作の結果、自動試験機能の結果、シュミレーション動作の結果等、各種の情報が格納されるが、関係する業者は、管理業者用端末装置D1を接続し、インターネットNWを介して、情報を要求すれば、いつでも必要な情報を参照することができる。そして、顧客サービスサーバ10に関係する業者または管理業者用端末装置D1を登録し、各建物との関係を設定しておくことによって、業者間を含めて、各種情報を無関係な業者に送信することはない。
このように、複数物件の火災受信機REと、複数業者が利用する管理業者用端末装置D1と、顧客サービスサーバ10とがインターネットNWによって1つのネットワークとして接続されているとともに、各火災受信機REは顧客サービスサーバ10のみと信号の送受信を行い、各管理業者用端末機器D1は、顧客サービスサーバ10から各火災受信機REに関する情報を取得することによって、関係する業者は、どの火災受信機REの情報であっても、容易に利用できることができ、また、各火災受信機REの通信設定において。相手先を顧客サービスサーバ10として1つで共通に設定できることができ、さらに、インターネットNWに送信される情報の管理を、顧客サービスサーバ10によって、総括的に管理できる等、いくつもの利点がある。
なお、上記の実施例では、インターネットNWをネットワークとして利用しているが、顧客サービスサーバ10をメインとして、各火災受信機REと管理業者用端末機器D1とが、必要に応じてダイヤルアップ等で接続される、いわゆるパソコン通信の形態であってもよい。さらに、ネットワーク上において、各火災受信機RE、顧客サービスサーバ10、管理業者用端末機器D1のそれぞれを、端末として十分に区別する必要があり、情報の送受信を無関係な端末と行わないように、IDやパスワードの管理など各種の制限を行う必要がある。
以上のように、第1の発明は、複数物件の火災受信機と、上記複数物件を管理する顧客サービスサーバとがネットワークに接続されているシステムにおいて、上記顧客サービスサーバは、上記各火災受信機を登録している登録手段と;上記各火災受信機を順次個別に呼び出す呼出信号を、上記ネットワークに送出する呼出信号送出手段と;上記呼出信号を送出した相手先である火災受信機からの応答結果に関して格納する呼出結果格納手段と;を有する自動火災報知設備の遠隔監視システムである。また、上記火災受信機は、上記呼出信号を受信したときに、正常中であれば、正常監視信号を上記顧客サービスサーバに返信し、一方、異常情報を持っていれば、異常情報信号を上記顧客サービスサーバに返信する返信手段を有するものである自動火災報知設備の遠隔監視システムである。また、上記顧客サービスサーバは、上記呼出信号を送出した相手である火災受信機から、上記正常監視信号または上記異常情報信号を受信するときに、上記応答結果として上記受信した正常監視信号または異常情報信号を上記呼出結果記憶手段に格納し、上記呼出信号を送出してから所定時間中に、上記正常監視信号または上記異常情報信号を受信しなければ、上記応答結果として無応答を上記呼出結果記憶手段に格納する自動火災報知設備の遠隔監視システムである。
また、第2の発明は、複数物件の火災受信機と、上記複数物件を管理する顧客サービスサーバとがネットワークに接続されているシステムにおいて、上記火災受信機は、上記火災受信機にイベントが発生した場合、上記ネットワークを介して、上記イベントの情報を示すイベント情報信号を、上記顧客サービスサーバに送信するイベント情報信号送信手段を有し、上記顧客サービスサーバは、上記イベント情報を受信すると、上記イベントが発生した火災受信機を示す情報と、上記イベント情報信号とを、イベントログ手段に格納する自動火災報知設備の遠隔監視システムである。また、システムを構成するネットワークの端末機器として、業者が利用する業者端末が上記ネットワークに接続され、顧客サービスサーバは、上記ネットワークを介して、上記業者端末から複数の火災受信機の1以上を特定するログ要求信号を受信すると、業者を登録している業者登録手段から、上記業者端末から受信した特定されている火災受信機の物件を、当該業者が担当しているか否かを判別する判別手段と;当該業者が担当している場合には、上記特定される火災受信機のイベント情報を、イベントログ手段から抽出する抽出手段と;上記業者端末にイベント情報を返送するイベント情報返送手段と;を有する自動火災報知設備の遠隔監視システムである。
また、第3の発明は、複数物件の火災受信機と、上記複数物件を管理する顧客サービスサーバとがネットワークに接続されているシステムにおいて、上記顧客サービスサーバは、上記各火災受信機を登録している登録手段と;上記各火災受信機に応じた点検時期に、上記ネットワークに点検起動信号を送信する送信手段と;上記点検起動信号を送出した火災受信機から受信した点検結果を格納する点検結果格納手段と;上記点検結果が異常である場合に、上記各火災受信機毎に登録されている連絡先に通知する通知手段と;を有する自動火災報知設備の遠隔監視システムである。また、上記点検起動信号を受信した火災受信機は、自動点検機能を起動し、その結果を得、また、点検結果を返送する点検結果信号を顧客サービスサーバに返信する点検結果信号返信手段を有する自動火災報知設備の遠隔監視システムである。
また、第4の発明は、複数物件の火災受信機と、上記複数物件を管理する顧客サービスサーバとがネットワークに接続されているシステムにおいて、上記顧客サービスサーバは、上記各火災受信機の盤面に関する情報を登録する登録手段と;上記ネットワークを介して、上記各火災受信機のいずれかに状態情報要求信号を送信する送信手段と;上記状態情報要求信号を受信した火災受信機から返送された状態情報と、該当する火災受信機の盤面に関する情報とに基づいて、上記火災受信機の盤面の状態を作成する状態作成手段と;を有する自動火災報知設備の遠隔監視システムである。また、上記状態情報要求信号を受信した火災受信機は、自己における現在の動作状態に関する情報を返送する状態情報返送信号を、上記顧客サービスサーバに返信する返信手段を有する自動火災報知設備の遠隔監視システムである。また、システムを構成するネットワークの端末機器として、業者が利用する業者端末が上記ネットワークに接続され、上記顧客サービスサーバは、上記状態作成手段による盤面の状態を、該当する火災受信機に必要な連絡先となる業者端末に送出する自動火災報知設備の遠隔監視システムである。また、盤面の状態は、画像情報である自動火災報知設備の遠隔監視システムである。
また、第5の発明は、複数物件の火災受信機と、上記複数物件を管理する顧客サービスサーバとがネットワークに接続されているシステムにおいて、上記顧客サービスサーバは、火災受信機の表示部に表示可能なメッセージ、画像、動画のうちの少なくとも1つによる表示情報を登録する登録手段と;上記ネットワークを介して、上記各火災受信機に、上記表示情報を送信する送信手段と;を有する自動火災報知設備の遠隔監視システムである。また、上記表示情報を受信した火災受信機は、火災等の発生していない正常監視中に、上記表示情報を上記火災受信機の表示部に表示する自動火災報知設備の遠隔監視システムである。また、上記顧客サービスサーバは、上記火災受信機から表示情報の要求信号を受信するときに、指定された表示情報を、要求された火災受信機に送信する自動火災報知設備の遠隔監視システムである。
また、第6の発明は、複数物件の火災受信機と、上記複数物件を管理する顧客サービスサーバとがネットワークに接続されているシステムにおいて、上記顧客サービスサーバは、上記ネットワークを介して、上記各火災受信機の少なくとも1つに、上記模擬動作信号を送信する送信手段と;上記模擬動作信号を送出した火災受信機から当該火災受信機の盤面操作の情報を受信して格納する模擬動作格納手段と;を有する自動火災報知設備の遠隔監視システムである。また、上記模擬動作信号を受信した火災受信機は、その後に受信する模擬動作情報に基づいてそれぞれ動作を行うとともに、当該火災受信機の盤面操作の情報について、上記顧客サービスサーバヘ返信する自動火災報知設備の遠隔監視システムである。
第1の発明によれば、顧客サービスサーバがネットワーク経由で各建物の火災受信機にアクセスし、消防用設備が機能していることを確認し、その情報を格納し、必要に応じて参照することができるという効果を奏する。
第2の発明によれば、顧客サービスサーバが各建物の火災受信機で発生したイベントをネットワーク経由で一括し、各建物の火災受信機の記憶部の容量を低減することができるという効果を奏し、また、各建物へ赴かなくとも、必要な際に顧客サービスサーバからイベントの履歴を参照することができるという効果を奏する。
第3の発明によれば、顧客サービスサーバがネットワーク経由で自動試験機能を実行することができ、各建物の火災受信機を操作する手間を省くことができるという効果を奏する。
第4の発明によれば、ネットワーク経由で、顧客サービスサーバが、各建物の火災受信機からの情報を収集することによって、火災受信機の盤面状態を作成し、関係業者は、顧客サービスサーバから盤面状態を受信することで、建物に赴かなくても、火災受信機の盤面を参照することができるという効果を奏する。
第5の発明によれば、顧客サービスサーバが、ネットワーク経由で、各建物の火災受信機に通知したい内容を表示させることができるという効果を奏する。
第6の発明によれば、各建物の火災受信機にシュミレーション機能の手順を格納する必要がなく、記憶部の容量を低減することができ、しかも、その作業履歴を格納できるという効果を奏し、また、シュミレーション機能の手順の更新を簡便に行うことができるという効果を奏する。