JP5025236B2 - 露光装置及び方法、並びに、デバイス製造方法 - Google Patents

露光装置及び方法、並びに、デバイス製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光源からの光束で基板を露光する露光装置及び方法に関する。
フォトリソグラフィー(焼き付け)技術を用いて微細な半導体素子を製造する際に、投影露光装置が従来から使用されている。投影露光装置は、レチクル(マスク)に描画された回路パターンを投影光学系によってウエハ等に投影して回路パターンを転写する。
投影露光装置においては、露光領域内の光量(露光量)を均一に維持することが要求されており、特に、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子、LCD等の表示素子を製造する際には、光量の均一性に対する要求が厳しい。ここで、露光領域とは、ウエハ等の基板上において露光光が入射する領域のことである。露光領域内の光量が変動すると感光剤に転写される回路線幅が変動するため、回路の電気特性が変化してしまう。従って、撮像装置を製造する場合には感度ムラが発生し、表示装置を製造する場合には発色ムラが発生する。なお、感度ムラや発色ムラが大きい場合には、製造した撮像装置や表示装置が不良品となってしまう。
人は表示装置に表示された画像を見る際に、画像内で明るさ(発色)が連続的に変化している場合には気にならないが、明るさ(発色)が不連続に変化している場合には気になるという特徴を有する。例えば、図11に示すような画像を見た場合、人は左下に存在する局所的に明るい画素(局所的な回路線幅変化に起因)や右側に存在する暗い画素領域(領域での回路線幅変化に起因)を敏感に感知する。従って、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子、LCD等の表示素子を製造する場合、露光領域内の光量の連続的な変化はあまり問題にならないが、光量の局所的な変化(露光領域内の光量の不均一性)が問題になる。ここで、図11は、発色ムラが発生した表示装置に表示される画像の一例を示す図である。
露光領域内の光量の局所的な変化が生じる(光量の均一性を悪化させる)原因としては、照明光学系内や投影光学系内に存在する遮光物による遮光もしくは減光が挙げられる。ここで、遮光物とは、レンズに付着するゴミ(チリ)、硝材に存在する泡、レンズに膜を成膜する際に発生する膜の変質物、レンズの変質(ヤケ)、レンズのキズ等であり、減光物を含む。
図12は、投影光学系内に存在する遮光物によって光量の局所的な変化が生じることを説明するための図である。図12は、投影光学系1000を構成する平行平面板1100の射出面にゴミDSTが付着した場合を示す。平行平面板1100の射出面に付着したゴミDSTは、露光光を遮光又は減光する。その結果、図12に斜線で示すような影が発生し、基板1200上の領域Aにおける光量が減少して光量の局所的な変化が生じる。ゴミ以外の遮光物が存在した場合や照明光学系に遮光物が存在した場合にも同様な理由で光量の局所的な変化が生じる。
投影露光装置においては、所定の発散角の光しか入射されないため、図12に斜線で示す影(影になる光束)は決まった広がりを有する。従って、基板上に投影される影の大きさを測定することによって、遮光物が存在する位置を特定することができる。例えば、図13に示すように、平行平面板1100の入射面にゴミDSTが付着している場合には、基板1200上において、図12に示す領域Aとは異なる範囲の領域Bに影を形成する。図13は、投影光学系1000内に存在する遮光物の位置によって基板1200上に投影される影の大きさが異なることを説明するための図である。
このような光量の局所的な変化(光量の不均一性)の有無は、オープンフレーム検査と呼ばれる検査によって確認することができる。かかる検査は、レチクルを配置しない状態で感光剤が塗布された基板を感光剤の感度よりも少ない光量で露光し(「オープンフレーム焼き」という)、現像後の感光剤の残膜状態を目視することによって光量の局所的な変化の有無を確認するものである。光量の局所的な変化が生じている場合、感光剤の残膜厚が不均一になる。感光剤の残膜における干渉光が強め合う波長は残膜厚によって異なるため、光量の局所的な変化を生じる露光装置でオープンフレーム焼きがなされた基板を白色光のもとで観察すると、虹状の色変化がみられる。かかる色変化を目視によって確認し、所定の限度見本(基準)と比較することによって、光量の局所的な変化が許容できるかどうかを判断する。
オープンフレーム検査で光量の局所的な変化が許容できないと判断された場合は、基板上に投影される影の大きさを測定することによって遮光物の存在する位置を特定し、対策を施して光量の均一性を向上させる。ここで、対策とは、具体的には、遮光物がゴミであればクリーニング、遮光物が硝材に存在する泡、膜の変質物、レンズの変質及びキズであればレンズの交換である。
なお、照明光学系に存在する遮光物の検査方法についても提案がされている(特許文献1)。
特開平2−25016号公報
しかしながら、オープンフレーム検査は、感光剤の塗布、露光、現像、目視という工程を必要とするため、検査に時間がかかるという問題を有する。また、オープンフレーム検査は、感光剤を現像した残膜を評価するため、感光剤の塗布ムラや現像時の現像ムラなどの誤差要因が評価に影響を与え、遮光物による光量の局所的な変化の有無を正確に確認することができない。更に、オープンフレーム検査は、目視によって光量の局所的な変化の有無を確認するために定量的な評価(検査)ができず、しかも検査者の技能に依存してしまう。
そこで、本発明は、光学系内に存在する遮光物の検出を簡単に行うことができる露光装置を提供することを例示的目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての露光装置は、光源からの光束でレチクルを照明する照明光学系と、前記レチクルのパターンを基板に投影する投影光学系とを備える露光装置であって、前記投影光学系の像面における露光領域内の光量分布を測定する測定部と、前記測定部によって測定された光量分布の局所変化に基づいて、前記照明光学系及び前記投影光学系の少なくとも一方に存在する遮光物を検出する異常検出部とを有し、前記異常検出部は、前記光量分布を示す関数を測定位置で2階微分することを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、光学系内に存在する遮光物の検出を簡単に行うことができる露光装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面としての露光装置について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。ここで、図1は、本発明の露光装置1の構成を示す概略断面図である。
露光装置1は、ステップ・アンド・リピート方式でレチクル40のパターンをウエハ60に露光する投影露光装置である。露光装置1は、照明装置と、レチクル40を載置するレチクルステージと、投影光学系50と、ウエハ(基板)60を載置するウエハステージ70と、測定部80と、制御部90とを有する。
照明装置は、光源部10と、シャッター20と、照明光学系30とを有し、転写用の回路パターンが形成されたレチクル40を照明する。
光源部10は、光源12と、ランプボックス14とを有する。光源12は、本実施形態では、超高圧水銀ランプ(g線(波長約436nm)、i線(波長約365nm))を使用する。但し、光源12は、ランプに限定されず、例えば、レーザーを使用してもよい。ランプボックス14は、光源12から射出される光束を集光する集光ミラーを有する。
シャッター20は、光源部10と照明光学系30との間に配置され、後述する制御部90の制御に従って開閉し、光源部10から射出される光束の照明光学系30への供給と遮断とを切り換える。換言すれば、シャッター20は、制御部90と共同して、露光領域内の光量(露光量)を制御する。
照明光学系30は、光源部10からの光束を用いてレチクル40を照明する光学系である。照明光学系30は、本実施形態では、引き回し光学系31と、ハエの目レンズ32と、コンデンサー光学系33とを有する。
引き回し光学系31は、光源部10からの光束を拡大又は縮小し、所定の分布でハエの目レンズ32に導光する。
ハエの目レンズ32は、光束を波面分割し、均一な角度分布を有する光束を射出する。
コンデンサー光学系33は、ハエの目レンズ32の射出面を2次光源としてレチクル40を均一な照度分布で照明する。
レチクル40は、回路パターンを有し、レチクルステージに保持及び駆動される。レチクル40は、レチクルステージを介して、交換、光路上への配置、光路上からの取り出しが可能である。レチクル40から発せられた回折光は、投影光学系50を介して、ウエハ60に投影される。
投影光学系50は、レチクル40のパターンをウエハ60に投影する光学系である。投影光学系50は、屈折系、反射屈折系又は反射系を使用することができる。
ウエハ60は、ウエハステージ70に保持及び駆動される。本実施形態では、基板としてウエハを用いているが、ガラスプレートなど他の基板を用いることもできる。ウエハ60には、フォトレジストが塗布されている。
ウエハステージ70は、ウエハ60及び後述する測定部80を保持及び駆動する。ウエハステージ70は、当業界周知のいかなる構成をも適用でき、6軸同軸を有することが好ましい。
測定部80は、ウエハステージ70上に配置される。測定部80は、ウエハステージ70によって露光領域内に搬送され、投影光学系50の像面において露光領域内の光量分布を測定する。測定部80は、例えば、露光領域内の複数の測定位置で光量を検出することによって光量分布を測定してもよい。換言すれば、測定部80は、露光領域よりも小さい領域(即ち、露光領域内の一部)の光量を検出することによって光量分布を測定してもよい。この場合、測定部80は、ウエハステージ70を介して、露光領域内をステップ移動しながら光量を検出することによって露光領域内の光量分布を測定する。
測定部80は、本実施形態では、ピンホールセンサを使用する。測定部80としてのピンホールセンサは、図2に示すように、直径a(mm)のピンホール(開口)82aを有するマスク82と、ピンホール82aを通過した光束を受光する受光部84とを有する。従って、測定部80としてのピンホールセンサは、直径aの領域の光量を測定することができる。なお、ピンホール82aの直径aは、露光領域の1/50以下であることが好ましく、例えば、26(mm)×33(mm)の露光領域を有する露光装置の場合、ピンホール82aの直径a(mm)は0.5(mm)以下であることが好ましい。ここで、図2は、測定部80の一例としてのピンホールセンサの構成を示す概略平面図である。
図3は、測定部80としてのピンホールセンサによる露光領域内の光量(光量分布)の測定を説明するための図である。図3において、点線は、光量を測定する際のピンホールセンサ、即ち、ピンホール82aの位置(測定位置)を示す。測定部80としてのピンホールセンサは、c(mm)×c(mm)の露光領域(又は露光領域の一部)をピッチb(mm)で2次元格子状にステップ移動して各測定位置(測定点)の光量を検出する。これにより、測定部80としてのピンホールセンサは、露光領域内の光量分布を詳細に測定することができる。ピッチb(mm)は、露光領域の1/50以下であることが好ましく、例えば、26(mm)×33(mm)の露光領域を有する露光装置の場合、ピッチb(mm)は0.5(mm)以下であることが好ましい。また、露光領域の全域の光量(光量分布)を検出すると測定点が多くなり、測定時間が非常に長くなってしまうため、露光領域の一部の領域における光量(光量分布)のみを検出できるようにすることが好ましい。なお、かかる露光領域の一部の領域は任意の領域を指定できるようにするとよい。
制御部90は、CPU、メモリを有し、露光装置1の動作を制御する。制御部90は、例えば、シャッター20を介して露光領域内の光量(露光量)を制御する。また、制御部90は、本実施形態では、測定部80からの出力(測定結果)を解析し、露光領域内の光量の局所的な(不連続な)変化を検出及び評価する。換言すれば、制御部90は、測定部80によって測定された光量分布に基づいて、光量の局所的な変化の原因となる光学系(照明光学系30又は投影光学系50の少なくとも一方)に存在する遮光物(減光物)を検出する異常検出部として機能する。
制御部90は、測定部80によって測定された光量分布から、連続的な光量の変化と局所的な(不連続な)光量の変化を分離し、露光領域内の光量の局所的な変化を検出及び評価する。具体的には、制御部90は、測定部80によって測定された光量分布を示す関数を測定位置で2階微分すること(2階微分方式)によって、光量の局所的な変化を分離する。
図4を参照して、光量分布を示す関数を測定位置で2階微分することによって、光量の局所的な変化が分離できることを説明する。図4は、測定部80によって測定される光量分布の一例を示す断面図である。図4では、横軸に測定位置を、縦軸に各測定位置での光量を採用する。図4に示す光量分布は、光量が連続的に変化している領域(周辺にかけて光量が低くなる領域)と、光学系に存在する遮光物によって光量が局所的に変化している領域とを含む。
例えば、光量の最大値と最小値との差分によって光量の局所的な変化を検出(評価)しようとすると、連続的な変化と局所的な変化とを分離することができない。また、測定部80によって測定された光量分布を示す関数を測定位置で1階微分することによって光量の局所的な変化を検出(評価)する場合を考える。光量分布を測定位置で1階微分した値(1階微分値)は、隣の測定位置(測定点)との光量の差を表している。従って、図4に示す光量分布の場合、光量が連続的に変化している領域と、光学系に存在する遮光物によって光量が局所的に変化している領域とを区別(分離)することができず、隣の測定位置との光量の差が同じであれば、同じ値(1階微分値)が算出される。
一方、光量分布を示す関数を測定位置で2階微分した値(2階微分値)は、測定位置に対して光量が極値となる位置で絶対値が大きな値をとる。2階微分値の絶対値が大きいということは、位置に対する光量の変化(傾き)が大きいことを表している。即ち、連続的に光量が変化している領域では2階微分値の絶対値は小さな値となり、局所的に光量が変化している領域では2階微分値の絶対値は大きな値となる。従って、光量分布の測定位置に対する2階微分値の絶対値を評価することによって、光量の局所的な変化を検出することができる。なお、2階微分値の絶対値ではなく、2階微分値の自乗値を評価することによっても、光量の局所的な変化を検出することができる。2階微分値の自乗値は正数となるため、2階微分値の絶対値よりも扱いやすい。2次元の光量分布の2階微分値の自乗値A’’(i、j)は、格子状に位置する測定位置(i、j)の測定値をA(i、j)として、以下の数式1で定義される。
Figure 0005025236
本発明者が検討したところ、光量分布の2階微分値の自乗値A’’(i、j)が露光領域内で0.015以下であれば、光量の局所的な変化は従来のオープンフレーム検査で良好と評価される場合と同等以下となる。従って、光量分布の2階微分値の自乗値A’’(i、j)が露光領域内で0.015を超えた場合には、制御部90は、図12及び図13を用いて説明したように、ウエハ60上に投影される影の大きさから遮光物が存在する位置を特定する。なお、ウエハ60上に投影される影は、図4に示すように、光量分布において光量が局所的に変化する領域の大きさに相当する。即ち、制御部90は、測定部80によって測定された光量分布に基づいて、照明光学系30及び投影光学系50の少なくとも一方に存在する遮光物の位置を特定する。位置が特定された遮光物は、クリーニングやレンズの交換などによって除去される。
なお、遮光物がゴミである場合、光量の局所的な変化は常に下に凸の極値となり、光量分布の2階微分値は必ず正の値となる。従って、光学系に存在する遮光物としてゴミだけを検出する場合には、2階微分値自体から光量の局所的な変化を検出(評価)してもよい。
このように、露光装置1によれば、露光領域内の光量分布を利用することによって、光学系内に存在する遮光物(光量の局所的な変化)の検出を簡単(例えば、定量的、且つ、短時間)に行うことができる。
露光において、光源部10から射出した光束は、照明光学系30によりレチクル40を照明する。レチクル40を通過した光束は、投影光学系50によりウエハ60に結像される。露光装置1は、上述したように、光学系(照明光学系30及び投影光学系50)内に存在する異物を検出し、かかる異物を除去することができる。従って、露光装置1は、高いスループットで高品位なデバイス(半導体素子、LCD素子、撮像素子(CCDなど)、薄膜磁気ヘッドなど)を提供することができる。
以下、露光装置1の変形例である露光装置1Aについて説明する。図5は、本発明の露光装置1Aの構成を示す概略断面図である。露光装置1Aは、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置であり、レチクル40とウエハ60を相対的に走査(駆動)しながらレチクル40のパターンをウエハ60に露光する。露光装置1Aは、露光装置1と比較して、光源部10A、測定部80A及び制御部90Aが異なる。
光源部10Aは、光源12Aと、引き回し光学系14Aと、揺動部16Aとを有する。光源12Aは、本実施形態では、ArFエキシマレーザー(波長約193nm)やKrFエキシマレーザー(波長約248nm)などのエキシマレーザーを使用する。但し、光源12Aは、エキシマレーザーに限定されず、その他のレーザーや高圧水銀ランプを使用してもよい。引き回し光学系14Aは、光源12Aから射出されるレーザー光を照明光学系30に導光する。揺動部16Aは、引き回し光学系14Aを直線的又は回動的に揺動し、レーザー光のコヒーレンスに起因するスペックルを低減する。
露光装置1Aにおいては、ウエハ60上の光量は光量分布を走査方向(駆動方向)に積分した値であるため、露光領域内の走査方向の光量分布は均一になる。従って、露光領域内の光量の局所的な変化は、レチクル40及びウエハ60の走査方向に対して垂直な方向にしか発生しない。そこで、測定部80Aは、本実施形態では、スリットセンサを使用する。
測定部80Aとしてのスリットセンサは、図6に示すように、レチクル40及びウエハ60の走査方向に長手方向を有し、短手方向の幅a(mm)のスリット82Aaを有するマスク82Aと、受光部84Aとを有する。受光部84Aは、スリット82Aaを通過した光束を受光する。従って、測定部80Aとしてのスリットセンサは、短手方向の幅a×長手方向の幅の領域の光量を測定することができる。なお、スリット82Aaの短手方向の幅a(mm)は、露光領域の1/50以下であることが好ましく、例えば、26(mm)×33(mm)の露光領域を有する露光装置の場合、短手方向の幅a(mm)は0.5(mm)以下であることが好ましい。ここで、図6は、測定部80Aの一例としてのスリットセンサの構成を示す概略平面図である。
図7は、測定部80Aとしてのスリットセンサによる露光領域内の光量(光量分布)の測定を説明するための図である。図7において、点線は、光量を測定する際のスリットセンサ、即ち、スリット82Aaの位置(測定位置)を示す。測定部80Aとしてのスリットセンサは、c(mm)×c(mm)の露光領域(又は露光領域の一部)をピッチb(mm)でステップ移動して各測定位置(測定点)の光量を検出する。これにより、測定部80Aとしてのスリットセンサは、露光領域内の走査方向に対して直交する方向の光量分布を詳細に測定することができる。ピッチb(mm)は、露光領域の1/50以下であることが好ましく、例えば、26(mm)×33(mm)の露光領域を有する露光装置の場合、ピッチb(mm)は0.5(mm)以下であることが好ましい。また、露光領域の全域の光量(光量分布)を検出すると測定点が多くなり、測定時間が非常に長くなってしまうため、露光領域の一部の領域における光量(光量分布)のみを検出できるようにすることが好ましい。なお、かかる露光領域の一部の領域は任意の領域を指定できるようにするとよい。
測定部80Aは、スリットセンサに限定するものではなく、レチクル40及びウエハ60の走査方向にセンサを配置したアレイセンサを使用してもよい。測定部80Aとしてアレイセンサを使用する場合には、各センサからの出力値を足し合わせることで露光領域内の光量分布を測定することができる。
制御部90Aは、CPU、メモリを有し、露光装置1Aの動作を制御する。制御部90Aは、例えば、光源12Aにおけるレーザー光の発振を調整することによって、露光領域内の光量(露光量)を制御する。また、制御部90Aは、本実施形態では、測定部80Aからの出力(測定結果)を解析し、露光領域内の光量の局所的な(不連続な)変化を検出及び評価する。換言すれば、制御部90Aは、測定部80Aによって測定された光量分布に基づいて、光量の局所的な変化の原因となる光学系(照明光学系30又は投影光学系50の少なくとも一方)に存在する遮光物を検出する異常検出部として機能する。
具体的には、制御部90Aは、測定部80Aによって測定された1次元(走査方向に対して直交する方向)の光量分布を示す関数を測定位置で2階微分する。換言すれば、制御部90Aは、測定部80Aによって測定された光量分布の測定位置に対する2階微分値に基づいて、光量の局所的な変化を検出(評価)する。制御部90Aは、本実施形態では、1次元の光量分布の2階微分値の自乗値を用いる。1次元の光量分布の2階微分値の自乗値B’’(i)は、測定位置(i)の測定値をB(i)として、以下の数式2で定義される。
Figure 0005025236
本発明者が検討したところ、1次元の光量分布の2階微分値の自乗値B’’(i)が露光領域内で0.01以下であれば、光量の局所的な変化は従来のオープンフレーム検査で良好と評価される場合と同等以下となる。従って、2階微分値の自乗値B’’(i)が露光領域内で0.01を超えた場合には、制御部90Aは、図12及び図13を用いて説明したように、ウエハ60上に投影される影の大きさから遮光物が存在する位置を特定する。なお、ウエハ60上に投影される影は、光量分布において光量が局所的に変化する領域の大きさに相当する。即ち、制御部90Aは、測定部80Aが取得した光量分布に基づいて、照明光学系30及び投影光学系50の少なくとも一方に存在する遮光物の位置を特定する。位置が特定された遮光物は、クリーニングやレンズの交換などによって除去される。
このように、露光装置1Aによれば、露光領域内の光量分布を利用することによって、光学系内に存在する遮光物(光量の局所的な変化)の検出を簡単(例えば、定量的、且つ、短時間)に行うことができる。
以下、図8を参照して、露光装置1又は露光装置1Aを用いた露光方法について説明する。図8は、本発明の一側面としての露光方法を説明するためのフローチャートである。かかる露光方法は、露光時において露光領域内の光量の局所的な変化をモニターし、許容量以上の局所的な変化が検出された場合に露光を停止する露光方法である。これにより、不良品となる半導体素子(撮像素子や表示素子)の製造を防ぐことができ、歩留まりを向上させることができる。なお、露光装置1を用いた露光方法と露光装置1Aを用いた露光方法は、実質的に同じであるため、以下では、露光装置1を用いた露光方法を例に説明する。
図8を参照するに、まず、露光が開始されると、測定部80が露光領域上の測定位置の光量を検出し、露光領域内の光量分布を測定する(ステップ302)。測定部80が測定した光量分布は制御部90に送られ、制御部90は測定部80からの光量分布を示す関数を測定位置で2階微分して露光領域内において光量の局所的な変化が発生しているかどうかを判断する(ステップ304)。換言すれば、制御部90は測定部80からの光量分布に基づいて、照明光学系30及び投影光学系50の少なくとも一方に遮光物が存在するかどうかを判断する(異常判断ステップ)。
ステップ304(異常判断ステップ)において、露光領域内に光量の局所的な変化が発生していなければ、ステップ302に戻り、露光を継続しながら露光領域上の光量を測定する。一方、ステップ304において、露光領域内に光量の局所的な変化が発生していれば、制御部90は露光を継続するかどうか(即ち、露光領域内の光量の局所的な変化が許容量であるかどうか)を判断する(ステップ306)。例えば、光量分布の2階微分値の自乗値によって光量の局所的な変化を評価する場合、0.015以下であれば露光の継続が可能であると判断し、0.015よりも大きければ露光の継続が不可能であると判断する。なお、露光の継続が不可能であると判断された場合には、測定部80が測定した光量分布に基づいて、照明光学系30及び投影光学系50の少なくとも一方に存在する異物の位置を特定することが好ましい。
ステップ306(露光判断ステップ)において、露光の継続が可能であると判断された場合、露光を継続する(ステップ312)。一方、ステップ306において、露光の継続が不可能であると判断された場合、露光を停止してエラー(即ち、遮光物が光学系に存在すること)を表示する(ステップ308)。この際、光量が変化している領域の大きさから遮光物が存在する位置を表示することが好ましい。そして、かかるエラーの表示に従って、照明光学系30及び投影光学系50の少なくとも一方に存在する遮光物を除去し(ステップ31)、ステップ302に戻る。
このように、本実施形態の露光方法によれば、露光時において光量の局所的な変動の有無を判断することにより、露光の局所的な変動が大きい状態でウエハ60を露光して不良な半導体素子を製造することを防止することができる。これにより、半導体素子の歩留まり及び生産性を向上することができる。
以下、図9及び図10を参照して、露光装置1又は1Aを利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図9は、デバイス(半導体デバイスや液晶デバイス)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体デバイスの製造を例に説明する。ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(レチクル製作)では、設計した回路パターンを形成したレチクルを製作する。ステップ3(ウエハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は、前工程と呼ばれ、レチクルとウエハを用いてリソグラフィー技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
図10は、ステップ4のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウエハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウエハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ14(イオン打ち込み)では、ウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、露光装置1又は1Aによってレチクルの回路パターンをウエハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウエハ上に多重の回路パターンが形成される。かかるデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、露光装置1又は1Aを使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、ピンホールセンサ、スリットセンサ又はアレイセンサを用いて露光領域内の光量分布を測定しているが、CCDを用いて一括して光量分布を測定してもよい。この場合、測定時間を大幅に短縮することができるが、CCDの画素間の感度ムラを十分小さくしておくことが必要となる。
本発明の一側面としての露光装置の構成を示す概略断面図である。 図1に示す露光装置の測定部の一例としてのピンホールセンサの構成を示す概略平面図である。 図1に示す露光装置の測定部としてのピンホールセンサによる露光領域内の光量(光量分布)の測定を説明するための図である。 図1に示す露光装置の測定部によって測定される光量分布の一例を示す断面図である。 本発明の一側面としての露光装置の構成を示す概略断面図である。 図1に示す露光装置の測定部の一例としてのスリットセンサの構成を示す概略平面図である。 図6に示す露光装置の測定部としてのスリットセンサによる露光領域内の光量(光量分布)の測定を説明するための図である。 本発明の一側面としての露光方法を説明するためのフローチャートである。 デバイスの製造を説明するためのフローチャートである。 図9に示すステップ4のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。 発色ムラが発生した表示装置に表示される画像の一例を示す図である。 投影光学系内に存在する遮光物によって露光量の局所的な変化が生じることを説明するための図である。 投影光学系内に存在する遮光物の位置によって基板に投影される影の大きさが異なることを説明するための図である。
符号の説明
1 露光装置
10 光源部
20 シャッター
30 照明光学系
40 レチクル
50 投影光学系
60 ウエハ
70 ウエハステージ
80 測定部(ピンホールセンサ)
82 マスク
82a ピンホール
84 受光部
90 制御部
1A 露光装置
10A 光源部
12A 光源
14A 引き回し光学系
16A 揺動部
80A 測定部(スリットセンサ)
82A マスク
82Aa スリット
84A 受光部
90A 制御部

Claims (9)

  1. 光源からの光束でレチクルを照明する照明光学系と、前記レチクルのパターンを基板に投影する投影光学系とを備える露光装置であって、
    前記投影光学系の像面における露光領域内の光量分布を測定する測定部と、
    前記測定部によって測定された光量分布の局所変化に基づいて、前記照明光学系及び前記投影光学系の少なくとも一方に存在する遮光物を検出する異常検出部とを有し、
    前記異常検出部は、前記光量分布を示す関数を測定位置で2階微分することを特徴とする露光装置。
  2. 前記測定部は、前記露光領域内の複数の測定位置で光量を検出することによって前記光量分布を測定することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
  3. 前記測定部は、ピンホールと、前記ピンホールを通過した光束を受光する受光部とを有するピンホールセンサを含み、
    前記露光領域内の光量分布は、前記ピンホールセンサを2次元格子状に移動させながら光量を検出することによって測定され、
    前記異常検出部は、前記ピンホールセンサによって測定された光量分布の測定位置に対する2階微分値に基づいて、前記照明光学系及び前記投影光学系の少なくとも一方に存在する遮光物を検出することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
  4. 前記レチクルと前記基板とは相対的に走査され、
    前記測定部は、前記レチクル及び前記基板の走査方向に長手方向を有するスリットと、前記スリットを通過した光束を受光する受光部とを有するスリットセンサを含み、
    前記露光領域内の光量分布は、前記スリットセンサを前記レチクル及び前記基板の走査方向に対して直交する方向に移動させながら光量を検出することによって測定され、
    前記異常検出部は、前記スリットセンサによって測定された光量分布の測定位置に対する2階微分値に基づいて、前記照明光学系及び前記投影光学系の少なくとも一方に存在する遮光物を検出することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
  5. 前記光源は、レーザー光を射出し、
    前記露光装置は、前記レーザー光を導光する光学系を揺動する揺動部を更に有することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
  6. レチクルのパターンを基板に露光する露光方法であって、
    測定部が、前記レチクルのパターンを前記基板に投影する投影光学系の像面において露光領域内の光量分布を測定する測定ステップと、
    異常判断部が、前記測定ステップで測定した光量分布の局所変化に基づいて、前記レチクルを照明する照明光学系及び前記投影光学系の少なくとも一方に遮光物が存在するかどうかを判断する異常判断ステップと、
    露光判断部が、前記異常判断ステップで遮光物が存在すると判断した場合に、露光を継続するかどうかを判断する露光判断ステップとを有し、
    前記異常判断ステップでは、前記光量分布を示す関数を測定位置で2階微分することを特徴とする露光方法。
  7. 前記露光判断ステップで露光の継続が不可能であると判断した場合に、露光を停止して前記遮光物を除去する除去ステップを更に有することを特徴とする請求項記載の露光方法。
  8. 前記異常判断ステップで遮光物が存在すると判断した場合に、前記照明光学系及び前記投影光学系の少なくとも一方に存在する遮光物の位置を特定する特定ステップを更に有することを特徴とする請求項記載の露光方法。
  9. 請求項1乃至のうちいずれか一項記載の露光装置を用いて基板を露光するステップと、
    露光された前記基板を現像するステップとを有することを特徴とするデバイス製造方法。
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