JP5025189B2 - 磁気式トルク伝達装置 - Google Patents
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Description
なお、図13は、図12で軸心X−Xに対して垂直な仮想面、すなわち、XIII−XIII線で切断したときに被駆動側から駆動側を見た時の駆動円盤3を示した図である。
したがって、大きな負荷が被駆動軸2側に生じた場合であってもモータに過大な負荷が掛からない(例えば、特許文献1参照)。
この脱調状態では、回転方向に周期的に磁気的吸引力と磁気的反発力が働くため、それに応じて被駆動軸2には、X−X線で示した軸心方向に前進・後退し、大きな振動が発生する。
また、脱調状態では、被駆動軸2が駆動軸1の回転に追随できないので、周期的に被駆動軸2側に最大伝達トルクまでの正負のトルクが伝達され、不安定な動作が継続されることになる。
また、装置の寸法精度やガタ等を原因として動力伝達時に駆動円盤3と被駆動円盤4とが磁気的吸引力によって直接接触してしまうことも懸念されていた。
まず、静止状態にある場合、駆動円盤側に配置されたN極、S極の永久磁石からなる磁極と、被駆動円盤側に配置されたS極、N極の永久磁石からなる磁極とが、ちょうど異極同士(N極とS極)が対向することによって、磁気的吸引力が最大になると共に、駆動軸側から被駆動軸側への回転トルクの伝達は、ゼロになっている。
駆動軸が回転し出すと対向していたN極とS極にずれが生じるが、磁気的吸引力によりN極とS極のずれを戻す力が働き、また、N極とS極のずれと同様に、同極同士が近づくため、磁気的反発力によりずれを戻す力が働く。
このときの力がトルクとなり、駆動軸から被駆動軸に回転トルクが伝達される。
そして、駆動軸側のN極とS極のちょうど中心に被駆動軸側のN極(あるいはS極)がくると、磁気的吸引力と磁気的反発力が釣り合い状態になり、この時、最も大きいトルクが発生する。
ところが、過負荷状態になると、対向していたN極とS極のずれがさらに大きくなり、同極同士(N極とN極、S極とS極)が対向することとなり、反発し、その次に、N極とS極が対向することにより吸引し、さらに、その次にN極とN極が対向することにより反発するというように、磁気的反発力と磁気的吸引力とが繰り返し発生する、いわゆる、脱調状態になる。
なお、本発明においては、ラッチ機構を被駆動円盤側に設けることによって、脱調状態におけるトルクの伝達を小さくしているが、ラッチ機構を駆動円盤側に設けても、同様に、脱調状態におけるトルクの伝達を小さくすることが出来ることは、言うまでもない。
一方、「軸承」されるとは、回転する軸(例えば、被駆動軸)に被回転板(例えば、被駆動円盤)が回転方向には、固定されており、軸心方向には、前後方向に移動可能になっていること(例えば、スプライン軸)を意味している。
また、「所定のピッチ」及び「所定の空隙」の記載における「所定」とは、特定の値に限定されるわけではなく、例えば、所定のピッチとは、一周に12個の磁石が並ぶ30°ピッチであり、所定の空隙とは、最も結合力を強くするための狭い間隔を意味しており、例えば、0.5〜1.5mm程度である。
図2は、図1に示した磁気式トルク伝達装置の組立図である。
図3は、磁気式トルク伝達装置100の駆動軸120の側からみた正面図であって、この図において140aを付した部材がベース部材である。
図4は、図3のIV−IV線で切断した時の断面図を示している。この図は、駆動軸120と被駆動軸110とが、駆動軸120に螺刻された雄ねじに螺合している駆動側ナット164とその片側に固設された駆動板162に固設された永久磁石板166の磁極と、スプライン(軸心方向に複数本の溝を刻むことによって、被駆動側スプライン134を軸承する)加工(図2におけるスプライン凸部114)された被駆動軸110にスプライン結合された被駆動側スプライン134に連接された被駆動板132に固設された永久磁石板136の磁極による磁気的吸引力によって結合された状態を示している。
そして、過負荷時に駆動円盤160の回転に被駆動円盤130が追随できなくなることで生じる磁気的反発力によって空隙が広がり、駆動円盤160から被駆動円盤130への回転トルクの伝達が抑制され、且つ、被駆動円盤130が、磁気的吸引力で駆動円盤160と再び結合しないように、被駆動側スプライン134には、ラッチ機構として、ボールプランジャ190が設けられていると共に、被駆動軸110には、磁気的反発力によってスプライン凸部114に沿って後退した被駆動円盤130のボールプランジャ190を保持するプランジャ保持溝116が刻設されている。
ちなみに、本実施例においては、装置の寸法精度を考慮して、1.0mmとしている。
また、駆動板162と駆動側ナット164は、固設あるいは一体成形されており、その軸中心に穿孔した穴を軸孔167と称している。
上述した従来例(図13)と違って、トルクを調整する際に、2つの永久磁石板166、136の距離を可変することによって行うため、永久磁石の取付直径Rを小さくしたり大きくしたりする必要がなく、磁石部分の面積が比較的大きい(駆動側)永久磁石板166を駆動板162に、(被駆動側)永久磁石板136を被駆動板132に固設することが出来る。その結果、大きな磁気的吸引力及び磁気的反発力を得ることが出来る。
そして、駆動軸120の軸方向の略中腹部には、凸部122が設けられており、この凸部122とUナット176とが協働して、駆動軸120を軸心方向前後に移動することなく、ベース140aに枢設させている。
同様に、被駆動軸110の軸方向の略中腹部には、凸部112が設けられており、この凸部112とUナット186とが協働して、被駆動軸110を軸方向前後に移動することなく、ベース部材140bに枢設させている。
したがって、駆動円盤160と被駆動円盤130との間には、必ず所定の空隙が形成され、双方が有する(駆動側)永久磁石板166と(被駆動側)永久磁石板136とが直接吸着することが防止されている。
さらに、1対のベース部材140a、140bが、3本のスペーサ152、154、156により離間されており、6本の皿ねじ152a、154a、156a、152b、154b、156bにより固定されている。
図6は、図5のVI−VI線で切断した時の断面図を示している。
この図では、磁気式トルク伝達装置100の被駆動円盤130が磁気的反発力で後退し、ボールプランジャ190の先端がプランジャ保持溝116に係合した図を示している。
この時、磁気的反発力によってできた空隙が再び結合することが妨げられるため、駆動円盤160から被駆動円盤130への回転トルクの伝達が抑制される。
なお、図6に示した図は、上記の点を除けば、図4に示したものと同じであるので、部材番号を一部省略している。
また、本実施例1では、被駆動スプライン134にボールプランジャ190を設けると共に、被駆動軸110にプランジャ保持溝116を設けてラッチ機構を構成しているが、ラッチ機構の構成は、この構成に限定されることなく、例えば、被駆動軸側にプランジャを埋め込み、被駆動スプライン側にラッチ用の溝を切るような構成にすることも可能である。
また、軸心方向には、駆動側の永久磁石板266と被駆動側の永久磁石板236が磁気的吸引力で接触しないように、駆動側ストッパ270及び被駆動側ストッパ280が設けてある。
その結果、最大伝達トルクを越えると、同極磁石同士の磁気的反発力で被駆動側スプライン234が後退し、被駆動軸210に設けたスプラインから外れる。
そして、一旦、被駆動側スプライン234が、被駆動軸210に設けたスプライン214から外れると、図7(b)に示すように被駆動側スプライン234が、慣性によって、僅かに回転するため、磁気的吸引力が作用しても、被駆動軸210と被駆動側スプライン234は、再び噛み合うことができないというラッチ機構が働き、被駆動円盤230は、後退したまま制止される。
なお、スプライン方式であれば、図7に示したものに限られることなく、被駆動軸210の先端を、例えば、図9(a)〜(c)のような形状を採用することも可能である。
また、後退した被駆動側スプライン234をより確実に静止するため、実施例1のように、被駆動側スプライン234にボールプランジャを設けると共に、被駆動軸にプランジャ保持溝を設けてダブルラッチ機構とすることもできる。
また、実施例1と共通する部材については、部材番号の百の位を3とし、下二桁を実施例1(図4)と同じ番号を付すことによって、詳しい説明を省略している。
そして、このキー398は、バネ318によって被駆動円盤330の内周面、すなわち、被駆動板332及び被駆動側ナット334の軸心方向に穿孔された軸孔内周面に押圧されている。
そして、通常時は、駆動円盤側の永久磁石板と磁気的吸引力で引き合い、回転トルクが駆動円盤から被駆動円盤330側に伝達される。
キー398が、被駆動円盤330の内周面に設けた溝に係合しているため、回転方向の力は、伝達されるが、軸心方向には、移動可能になっている。
そして、磁気式トルク伝達装置が脱調状態になったとき、磁気的反発力により、被駆動円盤330は、軸心方向に後退する。
それによって、バネ318によって押圧されていたキー398が突出し、永久磁石板336の内周と係合する。
そのため、磁気的吸引力が働いても、一旦、後退した被駆動円盤330は、後退した状態が保持され、(図示されていない)駆動円盤と被駆動円盤330との空隙が狭まることがない。
さらに、通常時においては、キー398は、バネ318によって被駆動円盤330の内周面に設けた溝に予圧を掛けて係合しているため、回転時のガタが少なくなる。
110、210、310 ・・・ 被駆動軸
114、214 ・・・ スプライン
112、122、212、222 ・・・ 凸部
116 ・・・ プランジャ保持溝
120、220 ・・・ 駆動軸
130、230、330 ・・・ 被駆動円盤
132、232、332 ・・・ (被駆動円盤の)被駆動板
134、234、334 ・・・ (被駆動円盤の)被駆動側スプライン
136、236、336 ・・・ (被駆動円盤の)永久磁石板
140a、140b、240a、240b ・・・ ベース部材
152、154、156 ・・・ スペーサ
152a、152b、154a、154b、156a、156b ・・・ 皿ねじ
160、260 ・・・ 駆動円盤
162、262 ・・・ (駆動円盤の)駆動板
164、264 ・・・ (駆動円盤の)駆動側ナット
166、266 ・・・ (駆動円盤の)永久磁石板
168 ・・・ ナット
170、270 ・・・ 駆動側ストッパ
172、182 ・・・ 外側ベアリング
174、184 ・・・ 内側ベアリング
176、186 ・・・ Uナット
180、280 ・・・ 被駆動側ストッパ
190 ・・・ ボールプランジャ
315 ・・・ キー溝
318 ・・・ バネ
395 ・・・ キー
Claims (3)
- 駆動軸に螺設されて円周方向にN極、S極の永久磁石からなる磁極を所定のピッチで交互に配置した駆動円盤と、被駆動軸に軸承されて円周方向にN極、S極の永久磁石からなる磁極を前記所定のピッチで交互に配置した被駆動円盤とを所定の空隙を介して磁極同士が対向するように装備するとともに前記対向する磁極間に作用する異極同士の磁気的吸引力及び同極同士の磁気的反発力とを利用して駆動軸の回転トルクを被駆動軸に伝達する磁気式トルク伝達装置であって、
前記被駆動円盤が過負荷時に駆動円盤の回転に追随できなくなって駆動円盤と被駆動円盤がずれて対向するN極とS極とのずれがさらに大きくなることで生じる永久磁石からなる同極同士の磁気的反発力により被駆動円盤を被駆動軸に沿って後退させて前記空隙を広げることで駆動円盤から被駆動円盤への回転トルクの伝達を抑制するとともに前記被駆動円盤を永久磁石からなる異極同士の磁気的吸引力により駆動円盤と再び結合しないように被駆動円盤を駆動円盤から後退させて回転トルクの伝達を抑制する位置で被駆動軸に保持するラッチ機構が、被駆動軸側に設けられていることを特徴とする磁気式トルク伝達装置。 - 前記駆動円盤を装着する側の駆動軸に螺刻した雄ねじと螺合する雌ねじが、前記駆動円盤の中心に穿孔された軸孔に螺刻されているとともに、
前記螺合された駆動円盤及び駆動軸と協働してダブルナット機構を構成するナットが、前記駆動軸に配備されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気式トルク伝達装置。 - 前記駆動軸の先端面及び被駆動軸の先端面にそれぞれの軸心方向に螺設するストッパが、設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気式トルク伝達装置。
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