JP5024719B2 - 紙の製造方法 - Google Patents

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本発明は、紙の製造方法に関する。
従来、紙を製造する際には、紙に強度を付与すべく紙力増強剤が用いられており、性能等の点からポリアクリルアミド系紙力増強剤が広く用いられている。通常、紙力増強剤は、パルプスラリーへの分散性を考慮し、十分に希釈した状態で、添加することが重要と考えられている。しかし、紙力増強剤を添加する際の希釈濃度、温度およびその希釈に使用する水などの希釈条件の変更にともない、濾水度や成紙の紙質等に変化が見られる場合があり、希釈液の状態がアクリルアミド系紙力剤の効果発現に何らかの影響を及ぼすものと考えられる。
両性の(メタ)アクリルアミド系水溶性ポリマーは、等電点付近のpHでポリイオンコンプレックスを形成し、白濁する現象が見られ、更には、不均一な状態になる場合や不溶化物が生成する場合もあり、そのような状態で、パルプスラリーに添加した場合には、分散性の低下が懸念される。
なお、本願人は先に、特定の濃度とした層間接着剤を特定の濁度として添加することを特徴とする抄き合わせ紙の製造方法について提案している(特許文献1参照)。しかし、当該方法は複数の湿潤紙層を積層する際に、これらの湿潤紙層の間に、特定の濃度に調整した際に白濁する層間接着剤を添加して抄き合わせ紙を製造するというものであり、パルプスラリーに紙力増強剤を添加する通常の紙の製造方法とは異なるものであった。
特開平7−189195号公報
本発明は、紙力増強剤をパルプスラリーに均一に分散させ、局所的な凝集を防止することにより、良好な紙の地合を実現し、紙力効果を向上させ、かつ操業性を向上させることができる紙の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定の紙力増強剤を、特定の濁度に調整しパルプスラリーに添加することにより、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、両性(メタ)アクリルアミド系ポリマーを、希釈溶液の濃度を0.01〜1.5重量%に調整したのちに酸性物質またはアルカリ性物質を加えてpH4.0以下に調整する、又は、希釈溶液の温度を10〜30℃に調整することにより両性(メタ)アクリルアミド系ポリマーの沈殿が存在しない均一な、濁度500NTU未満とした状態でパルプスラリーに添加後、抄紙することを特徴とする紙の製造方法に関する。
本発明によれば、紙力増強剤のパルプスラリーへの分散性が向上して、パルプスラリーを均一に凝集させ、高い濾水度を発現するとともに、紙力増強剤を均一に効率良くパルプスラリーに吸着させることができるため、紙力増強剤の使用量を低減させた場合であっても紙力効果に優れた紙を製造することができる。
本発明で用いる両性の(メタ)アクリルアミド系水溶性ポリマーとは、例えば、(a)(メタ)アクリルアミド(以下、(a)成分という)、(b)カチオン性モノマー(以下、(b)成分という)および(c)アニオン性モノマー(以下、(c)成分という)を必須成分とし必要に応じて(d)(a)〜(c)成分以外のモノマー(以下、(d)成分という。)を含有する重合性成分を共重合して得られるものをいう。
本発明において、(a)成分とは、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドをいい、これらは単独使用または併用できるが、経済性の面からはアクリルアミドを単独使用することが好ましい。
(b)成分としては、1つのビニル基と少なくとも1つのカチオン性官能基を有するモノマーであれば特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、アリルアミン等のアミノ基を有するビニルモノマーやジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの第三級アミノ基を有するビニルモノマーまたはそれらの無機酸塩または有機酸塩または該第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリンなどの四級化剤との反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマーなどがあげられる。なお、無機酸塩としては、具体的には例えば、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩等が挙げられ、有機酸塩としては、例えば酢酸塩などが挙げられる。なお、(b)成分として、これらモノマー類を単独でまたは2種以上を併用して用いても良い。
(c)成分としては、1つのビニル基と少なくとも1つのアニオン性官能基を有するモノマーであれば特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸等のジカルボン酸;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの有機スルホン酸;またはこれら各種有機酸の塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等があげられる。これらの中では、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウムを用いることにより、ポリマーの分子量の調整が容易となるうえ、得られるポリマーの低粘度化が可能であり、さらにパルプスラリーへの分散性を向上させることができるため好ましい。(c)成分として、これらモノマー類を単独で使用しても良く、また、2種以上を併用しても良い。
(d)成分としては、(a)〜(c)成分以外のモノマーであれば特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、α−オレフィン等の疎水性モノマーやイタコン酸ジエステル、アリル基を有するビニルモノマー、ポリアルキレングリコール基を有するモノマー、N−置換アミド基を有するビニルモノマー、架橋性モノマーなどが挙げられる。
アリル基を有するビニルモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、N−アリル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
ポリアルキレングリコール基を有するモノマーとしては、分子中に少なくとも2個のオキシアルキレン基の繰り返し単位を有するものであればよく、通常繰り返し単位10個程度までのものを使用できる。具体例としては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、前記同様のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等があげられる。
N−置換アミド基を有するビニルモノマーとしては、ジメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステル等があげられる。
イタコン酸ジエステルとしては炭素数1〜4アルキル基のイタコン酸ジアルキルエステルがあげられる。
架橋性モノマーとしては、例えば、ビニル基を少なくとも2つ有するモノマーであれば特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等のジビニルエステル類、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、N−メチロールアクリルアミド、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルフタレート、ジアリルクロレンデート、ジビニルベンゼン等の2官能性モノマー、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、トリアリルトリメリテート、N,N−ジアリルアクリルアミド等の3官能性モノマー、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラアリルピロメリテート、N,N,N’,N’−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン、テトラアリルアミン塩、テトラアリルオキシエタン等の4官能性モノマー等があげられる。
なお、アリル基を有するビニルモノマー、ポリアルキレングリコール基を有するモノマー、N−置換アミド基等を有するビニルモノマー(特に、ジメチルアクリルアミド)、架橋性モノマーを使用することによりポリマーの高分子量化が容易となり、紙力増強剤のパルプへの吸着を向上させることができるため好ましく、特に、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウムおよびジメチルアクリルアミドを含有するモノマー成分を重合して得られるものを用いることが好ましい。また、疎水性モノマーを用いることによってもパルプへの紙力増強剤の定着性を向上させることができる。
本発明の紙力増強剤は前記(a)〜(c)成分および必要に応じて(d)成分を共重合することにより得られる。
(a)成分の使用量は、通常、モノマーの総モル和に対し、60〜99.0モル%程度、好ましくは80〜98.0モル%である。また、(b)成分の使用量は、通常、モノマーの総モル和に対し0.5〜20モル%程度、好ましくは1〜10モル%であり、(c)成分の使用量は、通常、モノマーの総モル和に対し、0.5〜20モル%程度、好ましくは1〜10モル%使用する。
(d)成分を用いる場合には、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができ、通常、40モル%程度以下、好ましくは35モル%以下用いる。なお、架橋性モノマーを使用する場合の使用量は、モノマーの総モル和に対し、通常10モル%程度以下、好ましくは0.01〜5モル%である。10モル%を越える場合には得られる共重合体がゲル状となる場合がある。
前記(a)〜(d)成分を、共重合して、アクリルアミド系水溶性ポリマーを得る方法としては、従来公知の各種方法を採用できる。例えば、所定の反応容器に前記各モノマーおよび水を仕込み、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、またはこれらと亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤とを組み合わせたレドックス系重合開始剤等の通常のラジカル重合開始剤を加え、撹拌下、加温することによりアクリルアミド系水溶性ポリマーを得ることができる。
なお、本発明では、前記(a)〜(d)成分(なお、(b)〜(d)成分は任意である。)を前記方法により重合して、ポリアクリルアミド系ポリマーを製造した後に、変性させたカチオン変性ポリアクリルアミド系ポリマーを(a)〜(c)成分を重合して得られたポリアクリルアミド系ポリマーの代わりに用いても良く、また、(a)〜(c)成分を重合して得られたポリアクリルアミド系ポリマーと併用してもよい。カチオン変性ポリアクリルアミド系ポリマーとしては、例えば、ホフマン分解法により得られるカチオン変性ポリアクリルアミド系ポリマー、マンニッヒ反応法により得られるカチオン変性ポリアクリルアミド系ポリマーが挙げられる。
ホフマン分解法によるカチオン変性アクリルアミド系ポリマーの調製法としては、公知の方法を採用すればよい。例えば、アクリルアミド系ポリマーの水溶液に次亜ハロゲン酸塩とアルカリ触媒とを添加することにより、アルカリ性領域においてアクリルアミド系ポリマーと次亜ハロゲン酸塩とを反応させ、その後に酸を添加し、pH3.5〜5.5に調整すればよい。また、本発明においては、前記ホフマン分解反応により調製したカオチン変性アクリルアミド系ポリマー以外のものを用いることもできる。具体的には、例えば、塩化コリンの存在下にポリアクリルアミドをホフマン分解反応して調製したカチオン変性物(特開昭53−109594号公報)、ホフマン分解反応において水酸基を有する第3級アミンと塩化ベンジルあるいはその誘導体との4級化反応物を添加して調製したカチオン変性物(特公昭58−8682号公報)、ホフマン分解反応において安定剤として有機多価アミンを添加して調製したカチオン変性物(特公昭60−17322号公報)、またホフマン分解反応において安定剤として特定のカチオン性化合物を添加して調製したカチオン変性物(特公昭62−45884号公報)等を使用することができる。前記ホフマン分解反応により調製されるポリマーは、通常、カチオン性単量体単位を5〜40モル%程度、アクリルアミド単位を60〜95モル%程度となるように変性することが好ましい。なお、ホフマン分解反応により調製されるカチオン変性アクリルアミド系ポリマーの重量平均分子量は、5〜100万程度が好ましい。
マンニッヒ反応によるカチオン変性アクリルアミド系ポリマーの調製法としては、公知の方法を採用すればよい。例えば、アクリルアミド系ポリマーの水溶液中にホルマリン及びジメチルアミン等の2級アミンを加え、温度40〜60℃程度、1〜5時間程度反応させるという条件を採用すればよい。前記マンニッヒ反応により調製されるポリマーは、通常、カチオン性単量体単位を10〜60モル%程度、アクリルアミド単位を40〜90モル%程度となるように変性することが好ましい。
このようにして得られたアクリルアミド系水溶性ポリマーの重量平均分子量は、通常10万〜1000万程度であり、粘度は固形分濃度7重量%に換算して通常 100Pa・s(25℃)程度以下、好ましくは30Pa・s(25℃)程度以下である。かかるアクリルアミド系水溶性ポリマーのなかでも、特に、架橋性モノマーを使用しているものは、従来使用されていた直鎖状のアクリルアミド系水溶性ポリマーに比べ、高分子量でありながら比較的低粘度であるため好ましい。このものは、通常、重量平均分子量は150万〜1000万程度で、粘度は固形分濃度15重量%に換算して通常10Pa・s(25℃)程度以下、好ましくは5Pa・s(25℃)程度以下である。
本発明では、前記方法で得られた両性(メタ)アクリルアミド紙力増強剤として、前記アクリルアミド系水溶性ポリマーを均一な、濁度500NTU未満の状態で添加することを特徴とする。
本発明でいう濁度とは、濁りの度合いであって、ANALITE濁度計152型(セントラル科学(株)製)を用いて900nmの赤外光を利用した180度の散乱光を測定することによって得られた値であり、測定値は標準物質(ホルマジン標準液 400NTU、和光純薬工業(株)製)に対する相対的な評価値をいう。アクリルアミド系水溶性ポリマーの場合には、希薄溶液とした場合に、等電点付近のpHでイオンコンプレックスが形成され、そのために濁りの度合いが増大する。なお、前記(a)〜(d)成分の使用比率によっては、イオンコンプレックスの形成が進行することにより、当該コンプレックスが沈殿し、濁度の値が低下する場合があるが、本発明では、沈殿を生じさせることなく、均一な状態で濁度を500NTUに調製する必要がある。
アクリルアミド系水溶性ポリマーの濁度とは、特定のモノマー組成の希薄溶液において、当該アクリルアミド系ポリマーの等電点付近でイオンコンプレックスが形成することにより生じる白濁の度合いを相対的に評価した値であるから、本発明ではイオンコンプレックスの形成を抑制することにより、濁度を調整する必要がある。濁度を調整する方法としては、アクリルアミド系水溶性ポリマーを製造し濃度を調整したのちに酸性物質またはアルカリ性物質を加えてpHを調整する方法や、希釈溶液の温度を調整する方法がある。濃度を調整する場合には、通常、アクリルアミド系水溶性ポリマーの濃度を0.01〜1.5重量%程度とすることが好ましい。なお、濃度とは、一般に紙力増強剤を添加する際の濃度である。
なお、pH調整に用いられる酸性物質としては、水に溶解して酸性を示す物質であれば特に限定されず公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や酢酸、酪酸等の有機酸等があげられる。またアルカリ性物質としては、水に溶解してアルカリ性を示す物質であれば特に限定されず公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリやアンモニア、各種有機アミン及び炭酸ソーダ等のアルカリ金属塩等があげられる。
本発明では、通常アクリルアミド系水溶性ポリマーを0.01〜1.5重量%程度の濃度に均一に溶解させた状態で、パルプ固形分に対し、水溶性ポリマー固形分が0.05〜3.0重量%程度となるように添加すればよい。
なお、温度を調整する場合には、通常、10〜30℃程度とすることが好ましい。10℃以上とすることにより、一般に粘度を低く保つことができ、分散性を高めることができるため好ましく、30℃以下とすることにより、カチオン性モノマーの分解を抑制することができるため好ましい。また、pHは特に限定されないが、通常、カチオン性置換基の分解を考慮し、7以下とすることが好ましい。
本発明の紙の製造方法において、両性の(メタ)アクリルアミド系水溶性ポリマーを濁度が500NTU未満の状態でパルプスラリーに添加する際、添加するアクリルアミド系水溶性ポリマーの粘度を低下させることで、より分散性が向上し、より効率的に効果が発現することが期待される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は当該実施例に限定されるものではない。なお、%はいずれも重量基準による。
製造例1
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えたフラスコに、アクリルアミド180g、イタコン酸5.7g、ジメチルアミノエチルメタクリレート12.7g、ジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化ベンジル四級化物30.4g、ジメチルアクリルアミド0.12g、メタリルスルホン酸ナトリウム0.30gおよびイオン交換水825gを仕込んだ後、硫酸を用いてpHを3.0付近に調整した。撹拌下、55℃まで加熱し、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.32gを加え、反応を開始した。さらにフラスコ内が70℃の時点で、イタコン酸3.9gを投入し、還流下に60分間重合を行った後、イオン交換水を加え、固形分濃度15.3%、粘度7500mPa・s(25℃)、重量平均分子量140万の両性のアクリルアミド系水溶性ポリマーS−1を得た。
製造例2
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管、モノマー用滴下ロートおよび触媒用滴下ロートを備えたフラスコに、イオン交換水580gを入れ、撹拌下、80℃まで加熱した。次に、モノマー用滴下ロートにアクリルアミド590g、イタコン酸7.2g、ジメチルアミノエチルアクリレート26.4g、ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化ベンジル四級化物30.4g、メタリルスルホン酸ナトリウム3.5g、ジメチルアクリルアミド0.90g、メチレンビスアクリルアミド0.05gおよびイオン交換水470gを仕込み、硫酸を用いてpHを4〜5に調整した。また、触媒用滴下ロートには、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.56gおよびイオン交換水100gを仕込んだ。窒素ガスを通じて全ての反応系内の酸素を除去した後、触媒は連続的に180分間かけて滴下し、一方モノマーは120分間かけて滴下して、還流下に総計210分重合を行った後、イオン交換水を加え、固形分濃度20.5%、粘度7800mPa・s(25℃)、重量平均分子量310万の両性のアクリルアミド系水溶性ポリマーS−2を得た。
製造例3
実施例1と同様の反応装置に、アクリルアミド154g、80%アクリル酸8g、ジメチルアミノエチルメタクリレート7gおよびイオン交換水770gを仕込み、硫酸を用いてpHを3〜4に調整した後、窒素ガスを通じて全ての反応系内の酸素を除去した。撹拌下、40℃まで加熱し、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.25gおよび亜硫酸水素ナトリウム0.08gを加え、85℃で120分間重合を行った後、イオン交換水を加え、固形分濃度15.2%、粘度7000mPa・s(25℃)、重量平均分子量105万の両性のアクリルアミド系水溶性ポリマーS−3を得た。
製造例4
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えたフラスコに、アクリルアミド158g、80%アクリル酸水溶液3.9g、イタコン酸2.6g、ジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化ベンジル四級化物74.5gおよびイオン交換水1220gを仕込んだ後、硫酸を用いてpHを3.0付近に調整した。撹拌下、60℃まで加熱し、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.60gを加え、重合を開始した。さらに次段階として、100mlビーカーにイオン交換水400g、アクリルアミド50.0g、80%アクリル酸水溶液15.4g、イタコン酸10.4gを仕込み、硫酸を用いてpHを3.0付近に調整した後、フラスコ内が70℃の時点で投入する。その状態で60分間保持し重合を終了させた。イオン交換水を加え、固形分濃度10.4%、粘度9000mPa・s(25℃)、重量平均分子量100万の両性のアクリルアミド系水溶性ポリマーS−4を得た。
製造例1〜4において得たアクリルアミド系水溶性ポリマーの性状値を表1に示す。
実施例1
段ボール古紙をナイアガラ式ビーターにて叩解し、カナディアン・スタンダード・フリーネス(C.S.F.)400mlに調整したパルプに硫酸バンドを2%添加し、pH5.2となる条件に設定し、パルプスラリーとした。パルプスラリーを回転数1200rpmで十分に攪拌した後、回転数を200rpmに低下させ、表1に示す製造例1で得たアクリルアミド系水溶性ポリマーS−1をイオン交換水で0.4%に希釈したもの(希釈液温度を15℃に調整)に、5%硫酸水溶液を加え、濁度を290NTUに調整した状態で、パルプ固形分に対してアクリルアミド系水溶性ポリマーの固形分が0.4%となる割合で添加した。得られたパルプスラリーを一方ではタッピ・シートマシンにより、坪量150g/m相当の紙を抄き、3.5kg/cmで2分間プレスした後に105℃で4分間乾燥させて試験紙を作成した。得られた試験紙を、23℃、50%RHの条件下で24時間調湿した後、JIS P 8112に準じて比破裂強度(kPa・m/g)および紙の地合いを測定した。地合いは、画像処理装置 Hyper700(OBS社製)にて輝度分布の偏差を測定し、変動係数に換算した。値が小さいほど、紙の地合いは良好となる。また、パルプスラリーを使用してもう一方ではC.S.Fによる濾水度(0.3%濃度、20℃補正)を測定した。これらの結果を表2に示す。
実施例2〜7
実施例1において製造例1で得られたアクリルアミド系水溶性ポリマー水溶液の代わりに、5%硫酸水溶液で表2に記載されたアクリルアミド系水溶性ポリマー水溶液に調製したものを用いた他は、実施例1と同様にして試験紙を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
比較例1〜6
実施例1において製造例1で得られたアクリルアミド系水溶性ポリマー水溶液の代わりに、5%水酸化ナトリウム水溶液で表2に記載されたアクリルアミド系水溶性ポリマー水溶液に調製したものを用いた他は、実施例1と同様にして試験紙を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
実施例8〜7および比較例7〜
実施例1において製造例1で得られたアクリルアミド系水溶性ポリマー水溶液の温度を表3に記載されたように変え、かつpHの調整をしない他は、実施例1と同様にして試験紙を作成し、評価を行った。結果を表3に示す。
実施例14〜19および比較例11〜13
実施例1において製造例1で得られたアクリルアミド系水溶性ポリマー水溶液の濃度を表4に記載されたように変え、pH調整を行わない他は、実施例1と同様にして試験紙を作成し、評価を行った。結果を表4に示す。
実施例20
実施例1と同様にして調整したパルプスラリーを1200rpmの回転数で攪拌した状態のままで、回転数を下げない他は実施例1と同様にして試験紙を作成し、評価を実施した。結果を表5に示す。
実施例21〜26
実施例20において製造例1で得られたアクリルアミド系水溶性ポリマー水溶液の代わりに、5%硫酸水溶液で表5に記載されたアクリルアミド系水溶性ポリマー水溶液に調製したものを用いた他は、実施例1と同様にして試験紙を作成し、評価を行った。結果を表5に示す。
比較例14〜19
実施例20において製造例1で得られたアクリルアミド系水溶性ポリマー水溶液の代わりに、5%水酸化ナトリウム水溶液で表2に記載されたアクリルアミド系水溶性ポリマー水溶液に調製したものを用いた他は、実施例20と同様にして試験紙を作成し、評価を行った。結果を表5に示す。
実施例27〜32および比較例20〜23
実施例20において製造例1で得られたアクリルアミド系水溶性ポリマー水溶液の温度を表6に記載されたように変え、かつpHの調整をしない他は、実施例20と同様にして試験紙を作成し、評価を行った。結果を表6に示す。
表2〜表6に示すように、(メタ)アクリルアミド系水溶性ポリマーの濁度を 500NTU 未満に調整し、パルプスラリーに添加した場合、パルプスラリーの濾水度および紙の地合、紙力効果ともに改善が認められる。特に、実施例1〜4のように、(メタ)アクリルアミド系水溶性高ポリマーの希釈液をパルプスラリーに添加する際の回転数を下げた場合、濁度による影響が大きく、(メタ)アクリルアミド系水溶性ポリマーの水溶液の濁度が 500NTU 未満の状態で添加した場合、パルプスラリーの濾水度および紙の地合い、破裂強度ともに大きく向上している。濁度は、イオンコンプレックス形成の度合いであり、濁度が高いほど、水溶液は不均一な状態となり、分散性が悪化するものと考えられる。特に、ポリマー添加時の攪拌回転数が小さい場合は、その分散性に差が著しく現れた結果と考えられる。また、(メタ)アクリルアミ系水溶性ポリマーの希釈濃度を0.01〜1.5重量%に調整することで、分散性が向上し、濾水度・破裂強度ともに優れた紙が製造可能である。

Claims (4)

  1. 両性(メタ)アクリルアミド系ポリマーを、希釈溶液の濃度を0.01〜1.5重量%に調整したのちに酸性物質またはアルカリ性物質を加えてpH4.0以下に調整する、又は、希釈溶液の温度を10〜30℃に調整することにより、両性(メタ)アクリルアミド系ポリマーの沈殿が存在しない均一な、濁度500NTU未満とした状態でパルプスラリーに添加後、抄紙することを特徴とする紙の製造方法。
  2. 両性(メタ)アクリルアミド系ポリマーが架橋構造を有するものである請求項1記載の紙の製造方法。
  3. 両性(メタ)アクリルアミド系ポリマーが、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウムおよびジメチルアクリルアミドを含有するモノマー成分を重合して得られるものである請求項1または2記載の紙の製造方法。
  4. 両性(メタ)アクリルアミド系ポリマーが、(a)(メタ)アクリルアミド、(b)カチオン性モノマー、(c)アニオン性モノマーおよび必要に応じて(d)(a)〜(c)成分以外のモノマーを共重合させて得られるポリマーを含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の紙の製造方法。
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