JP5024681B2 - 手持ち式刈払機 - Google Patents
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Description
土や小石のはね飛ばしは、例えば、次のような危険性があることが、従来から指摘されている。即ち、小石が刈払作業者の顔や体に当たって怪我をすることがあり、土が目に入ることもある。道路傍で雑草の刈払い作業をすると、小石が自動車に当たって傷つけることがあったり大事故を引き起こす事もある、農業用ビニールハウスの近くで雑草の刈払い作業をすると、飛石がビニールハウスを壊すことがある。
土や小石のはね飛ばしが生じないように刈刃を地面から浮かせてて刈払い作業をすると、雑草を根元近くまで刈らないため、刈り取り作業の意味が無く雑草がすぐに生長して、後日に刈払い作業をやり直すことになる。
また、この刈払機に用いられている中央周辺面が盛り上がった形状の刈刃5,6は、製造コストが高いものになっている。しかも、刈刃5,6の取り付け構造が複雑であるため、刃先が磨耗して再研磨する際の刈刃5,6の着脱作業が、一般のユーザーには容易に出来ないなどの不具合がある。
また、この刈払機は、上刃と下刃が同じ回転数で回転する構造であり、しかも、上刃と下刃が同じ刃数になっているため、上刃と下刃による各組の刃先どうしによる挟み切りが同じタイミングで行なわれる。この結果、各箇所の刃先による草や小径木の挟み切りが同時に行われるときに、上刃と下刃の回転に強い負荷が同時に加わって、上刃と下刃の回転が減速したり、停止するトラブルが発生し易い。
また、本体ケース5内に部品が多数複雑に組み付けられているため、部品の製造コストや組立てコストが高くつく。
また、本体ケース5が、その内部を完全密閉構造にすることが容易でない大きなドーナツ形状であり、上下の接合部の範囲が広範囲に及ぶため、本体ケース5が歪んだり、数多くの止めネジの一部が緩んだりし易い。この結果、グリース漏れが生じたり、泥地や水辺での作業中に本体ケース5内に泥水等が侵入して、故障が発生することがある。
即ち、本発明は、軽量で使い易く、丈夫で耐久性があり、製造コストが抑えられた手持ち式刈払機にすることと、土や小石の跳ね飛ばしによる危険性と刈り残しが大幅に改善され、刈刃の着脱操作が容易に行なえる手持ち式刈払機にすることを同時に実現させるために提案された
エンジン又はモータを後部に装着した操作杆が前記ギヤケースの後部から斜め上方に向けられており、
前記減速機構は、入力用の小径傘歯車と大径傘歯車との噛合による前段の減速と、該大径傘歯車と連動する小径平歯車と第1短軸に装着されている第1大径平歯車との噛合による後段の減速及び、前記小径平歯車と前記第1短軸に遊嵌支持されている第2大径平歯車との噛合による後段の減速とによる、前後2段の減速を経る機構であり、
前記小径平歯車と前記第2大径平歯車との噛合では、逆転用の中間平歯車を間に介在させた噛合であり、
前記上刃は、前記第2大径平歯車と連れ回りするように前記ギヤケースの下方に突出する装着部に係合され、前記下刃は、前記ギヤケースの下方に突出する前記第1短軸下端の装着部に係合された状態で、前記第1短軸の下面に装着した1本のボルトで下方から挟み付けられているところに特徴がある。
この手持ち式刈払機の動力源はエンジン又はモータである。このため、動力源から出力される回転は、いずれも高速回転である。この手持ち式刈払機では、低速回転時に生じ易い刈り残しと、高速回転時に生じ易い土や小石を強くはね飛ばしが、共に抑えられる程度まで、高速回転を減速機構で減速させて、上刃と下刃を回転させるようにした。
この減速機構を2段の減速を行なう構成とした理由は、一組の歯車による減速だけでは、大きく減速させるのが困難であるからである。後段の減速を行なう歯車組みを2組にし大きな理由は、上刃と下刃のうちの一方の刈刃を逆回転させて、上刃と下刃の各刃先をV字状に向き合わせた状態で、草や小径木を挟み切るようにするためである。
そして、本発明の手持ち式刈払機では、上刃や下刃の着脱がユーザーが容易に行なえるように、上刃と下刃の装着を1本のボルトで行なうようにした。
動力源から出力される回転数は、エンジンとモータの違いにより大きな違いがあり、また、エンジンやモータにも機種によっても違いがある。このため、搭載したエンジンやモータの出力回転数に合わせて、各歯車の径と歯数を設定して、上記範囲内の回転数が出力されるようにする。
ディスク形バリカン刃には、その種類や大きさによって刃数が異なり、刃数が4つの十字形状のものもあれば、刃数が25に及ぶものもある。このため、刃数の差に、1〜10の範囲を持たせた。
第1に、径と歯数の差が大きい歯車を噛合させた2組の歯車組みで、2段階で減速させる構造とした結果、従来の手持ち式刈払機よりも、大きく減速させることが出来るようになった点が挙げられる。このため、切れ味の悪さと、土や小石の跳ね飛ばしを抑えることが出来るようになった。
図1に示す実施形態の手持ち式刈払機1は、請求項1,2,3に記載の構成を全て備えている。この手持ち式刈払機1は、エンジン付き操作杆2の前端部に刈払機(ギヤケースの下方に刈刃を装着した草刈装置を指す。)10が装着されたものである。エンジン付き操作杆2は、中空パイプ構造を有する操作杆3の後部にエンジン4が装着され、操作杆3の途中部にハンドル5が取り付けられたものである。図示していないが、操作杆3の後部寄りの箇所に肩掛けベルトが取り付けられる。エンジン塔載型ではなくモータ搭載型の手持ち式刈払機ではモータ付き操作杆が用いられる。
図2及び図3に示すように、刈払機10は、ギヤケース11の下方に、同一軸心を中心にして、互いに相反する方向に回転する上下2枚の刈刃(上刃7と下刃8)を備えたものである。
本実施形態では、ギヤケース11は、主ギヤケース12と、主ギヤケース12の後部上面中央箇所に装着した後部ギヤケース14とによる組み付け品が用いられている。
そして、主ギヤケース12内に平歯車どうしによる歯車組みを配置し、後部ギヤケース14内に傘歯車どうしによる歯車組みを配置して、ギヤケース11全体が大きく嵩張らないようにするとともに、各歯車組みの支持構造を安定させた。減速機構は、これらの歯車組みを合わせたものを指す。
スカート部12Bの前部は円弧面で形成され、後部は円弧面よりも若干高さが低い、平面視コ形状の面で形成されている。スカート部12Bで囲まれた内側の中段高さの位置には下板13が組み付けられている。
下板13には下方に向けたリブ13aが突出形成されており、スカート部12Bの円弧面とリブ13aの各下縁部の高さを同じ高さに揃えて、スカート部12Bと上刃7で囲まれた内側空間内に刈り払った草や土などの侵入を防止させ、上刃7と下刃8の姿勢を安定させるようにしている。スカート部12Bの後部の下縁部は、下板13を取り付ける高さに合わせてある。
図2を参照しつつ図3に示すように、後部ギヤケース14は、主ギヤケース12の上板部12Aの後部上面中央箇所に、螺子29,29・・を用いて装着されている。
主ギヤケース12内の動力伝達構造を図2,図3及び図4に沿って説明する。
図4に示すように、主ギヤケース12の上板部12Aの主要部を形成している平面視円弧形状の中央内側箇所にはボールベアリング16が保持されており、このボールベアリング16に第1短軸17の上部が円滑回転自在に支持されている。
第1短軸17の高さ途中の箇所から下端近傍に至る途中部には、上下に2個のボールベアリング18,19が嵌装されており、さらにその外側には、短筒部の1形態であるフランジ付きリング20が嵌装されている。
フランジ付きリング20は、短筒部20aの上端縁に、外側に広がるドーナツ形状のフランジ面20bが一体形成され、短筒部20aの下端に、上刃7の肉厚に相当する高さのある底面視六角形状の装着部20cが形成されたものである。
下板13の開孔部13aの周縁には、ボールベアリング21が保持されており、フランジ付きリング20の短筒部20aは、その内側からボールベアリング21を挟んだ状態で該短筒部20a内に挿通している第1短軸17に円滑回転自在に保持されている。また、短筒部20aは、その外側から下板13に形成された開口縁13aの内側に保持されているボールベアリング21を挟んだ状態で、下板13に保持されている。このため、第1短軸17とフランジ付きリング20は、軸心を揃えて、個別に回転自在に支持された状態にある。
第1大径平歯車22と下板13との間にも高さの低い空間が形成されており、この空間内に、ドーナツ形状の第2大径平歯車23が、フランジ付きリング20のフランジ面20bに装着された状態で、第1短軸17の軸心を中心にして円滑回転自在に支持された状態で位置している。
下刃8は、第1短軸17の下面に形成されている底面視六角形状の装着部17a内に嵌め入れられて、更にその下からボルトプロテクター51で下受けした状態で、第1短軸17の下面から内部に向けて螺着したボルト25の頭部で下から挟み付けられている。このため、ボルト25を取り外すと、下刃8と上刃7が取り出せる。
ボルトプロテクター51は、下刃8を下支えして姿勢を安定させ、刈り払い作業中にボルト25の頭部が地面に擦れて磨耗するのを防ぐためにある。
図5に示す別形状の第2大径平歯車23Aは、図4に示す第2大径平歯車23とフランジ付きリング20の短筒部20aとを一体化させた形状を有する。図5に示す23aは筒部、23bは第2大径平歯車、23cは上板7を嵌め入れる高さが低い底面視六角形状の装着部を示している。図4に示す第2大径平歯車23とフランジ付きリング20に代えて、図5に示す第2大径平歯車23Aを用いてもよい。
後部ギヤケース14内の動力伝達構造を、図2を参照しつつ図3及び図6に沿って説明する。
図6に示すように、後部ギヤケース14の上板部14aにおける中央内側箇所には、ボールベアリング27が保持されている。ボールベアリング27の下方に位置する上板部12Aの後部箇所には、開孔12aが形成されており、この開孔12aを囲む上面箇所に、平面視リング形状を有する高さが低いリブ12bが上方に向けて形成されている。そして、このリブ12bの内側にボールベアリング28が保持されている。
第2短軸26は、後部ギヤケース14内において、これら上下のボールベアリング27,28に回転自在に保持されている。
図2及び図3、図6に示すように、主ギヤケース12内の後部において、小径平歯車31と第1大径平歯車22とが噛合している。
図3及び図7に示すように、主ギヤケース12内の後部側方には、ねじ軸32が下板13と主ギヤケース12の上板部12Aに支持された状態で立設している。ねじ軸32の軸中央には、上下2連のボールベアリング34,35を介して、逆回転用の小径の中間平歯車36が円滑回転自在に装着されている。この中間平歯車36は、小径平歯車31と第2大径平歯車23との間に介在して、小径平歯車31と第2大径平歯車23の双方に噛合している。
図2及び図3において、前者の動力伝達の流れを列記すると、エンジンの駆動力を受けてドライブシャフト44は、図3に示す矢(イ)方向に高速回転して、入力用の小径傘歯車41を同方向に高速回転させる。これにより、小径傘歯車41と噛合している大径傘歯車40が左回転し、このとき回転が減速される。大径傘歯車40とともに小径平歯車31も同方向に回転して第1大径平歯車22を右回転させ、このとき回転が更に減速される。この結果、下刃8が大きく減速されて右回転することになる。
図8は上刃の平面図、図9は下刃の平面図、図10は上刃と下刃による刈り払いを示した平面図である。
図8に示す上刃7は、中央に六角孔7aを有する平坦な形状の鉄製薄肉円板の外周に沿う等間隔を置いた15箇所に、平面視三角形状の刃7b.7b・・・が突出し、各刃7b.7b・・・の回転方向の片側縁に刃先7c.7c・・・が形成されたディスク型バリカン刃が用いられている。
刈払い作業では、作業者が操作杆を手に持って刈払機10を矢(ハ)方向に操作させて行ない、その過程で、上刃7と下刃8の回転によって、夫々の刃先7c,7c・・,8c,8c・・で、上下の刈刃7,8の左側に位置する草Gや小径木等を刈り払う。
2 エンジン付き操作杆
3 操作杆
7 上刃
7b 刃先
8 下刃
8b 刃先
10 刈払機
11 ギヤケース
12 主ギヤケース
13 下板
14 後部ギヤケース
15 操作杆装着部
17 第1短軸
17a (六角形状の)装着部
20 フランジ付きリング
20a 短筒部
20b フランジ面
22 第1大径平歯車
23 第2大径平歯車
26 第2短軸
26a 第2短軸下端部
31 小径平歯車
32 ねじ軸
36 (逆転用の)中間平歯車
40 大径傘歯車
41 (入力用の)小径傘歯車
44 ドライブシャフト
Claims (3)
- 同一軸心上に重ね合わせたディスク形バリカン刃よりなる上刃と下刃を、ギヤケース内の減速機構によって互いに相反する方向に減速回転させる手持ち式刈払機であって、
エンジン又はモータを後部に装着した操作杆が前記ギヤケースの後部から斜め上方に向けられており、
前記減速機構は、入力用の小径傘歯車と大径傘歯車との噛合による前段の減速と、該大径傘歯車と連動する小径平歯車と第1短軸に装着されている第1大径平歯車との噛合による後段の減速及び、前記小径平歯車と前記第1短軸に遊嵌支持されている第2大径平歯車との噛合による後段の減速とによる、前後2段の減速を経る機構であり、
前記小径平歯車と前記第2大径平歯車との噛合は、逆転用の中間平歯車を間に介在させた噛合とされ、
前記上刃は、前記第2大径平歯車と連れ回りするように前記ギヤケースの下方に突出する装着部に係合され、前記下刃は、前記ギヤケースの下方に突出する前記第1短軸下端の装着部に係合された状態で、前記第1短軸の下面に装着した1本のボルトで下方から挟み付けられていることを特徴とする手持ち式刈払機。 - 前記減速機構は、前記上刃と下刃を250〜450rpmまで減速回転させる減速歯車組みを備える請求項1に記載の手持ち式刈払機。
- 前記上刃の刃数と前記下刃の刃数には、1〜10枚の差が設けられている請求項1又は2に記載の手持ち式刈払機。
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