JP5023258B2 - 生理活性機能を有する有機無機複合材料の製造方法 - Google Patents
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(1)無機層状化合物を主原料とし、この無機層状化合物の層間に、層間イオンとして生理活性作用を有する物質が導入されている構造を有する、生理活性機能を有する有機無機複合材料であって、
上記生理活性作用を有する物質が、植物生長作用を有する物質であるオーキシン、ジベレリン又はサイトカイニン活性を有する化合物群から選ばれた1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする生理活性機能を有する有機無機複合材料。
(2)前記(1)に記載の生理活性機能を有する有機無機複合材料を含むことを特徴とする外用剤。
(3)1種もしくは2種以上の二価金属塩及び/又は1種もしくは2種以上の三価金属塩と、生理活性作用を有する1種又は2種以上の化合物とを、pH5〜10の条件下、溶液状態で混合することにより共沈殿させて、無機層状化合物の層間に、層間イオンとして生理活性作用を有する物質を導入することからなる生理活性機能を有する有機無機複合材料の製造方法であって、
上記生理活性作用を有する物質が、植物生長作用を有する物質であるオーキシン、ジベレリン又はサイトカイニン活性を有する化合物群から選ばれた1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする生理活性機能を有する有機無機複合材料の製造方法。
(4)生理活性作用を有する1種又は2種以上の化合物を含有する水溶液に、1種もしくは2種以上の二価金属塩及び/又は1種もしくは2種以上の三価金属塩から成る層状複水酸化物又は層状複水酸化物を加熱処理したものを添加して攪拌混合し、再構築により、無機層状化合物の層間に、層間イオンとして生理活性作用を有する化合物を取り込ませて、無機層状化合物の層間に、層間イオンとして生理活性作用を有する物質を導入する、前記(3)に記載の生理活性機能を有する有機無機複合材料の製造方法。
本発明は、無機層状化合物を主原料とし、この無機層状化合物の層間に、層間イオンとして生理活性作用を有する物質を導入することを特徴とする、生理活性機能を有する有機無機複合材料の新規製造方法、この製造方法によって得られる新規有機無機複合材料、及びこの新規有機無機複合材料を含む外用剤に関するものである。本発明の生理活性機能を有する有機無機複合材料は、特に、二価金属塩の1種もしくは2種以上及び/又は三価金属塩の1種もしくは2種以上と、植物生長作用を有する化合物群、すなわち、オーキシン活性、ジベレリン活性又はサイトカイニン活性を有する化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物とを、pH5〜10の条件下、共沈法により、溶液状態で混合することにより共沈殿させて得られるか、あるいは層状複水酸化物を加熱処理したものを1種又は2種以上の植物生長作用を有する化合物を含有する水溶液に添加して攪拌混合し、再構築法により得られるものであって、金属水酸化物からなる基本層と、陰イオン及び水分子とからなる中間層が交互に積層した層状複水酸化物において、中間層を構成する層間イオンとして、植物生長作用を有する化合物群、すなわち、オーキシン、ジベレリン又はサイトカイニン活性を有する化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有するものである。
[M2+ 1−XM3+ X(OH)2]X+[An− X/n・yH2O]X−
ここで、M2+は、使用した金属塩由来の二価金属イオン、M3+は、使用した金属塩由来の三価金属イオンであり、一般式において、前半部の[M2+ 1−XM3+ X(OH)2]X+は、無機層状化合物、すなわち、層状複水酸化物の基本層又はホスト層と呼ばれる金属水酸化物層である。同後半部の[An− X/n・yH2O]X−は、陰イオン群と水分子からなる中間層であり、An−は、生理活性作用、例えば、オーキシン活性、ジベレリン活性又はサイトカイニン活性などの植物生長作用を有する化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物、金属塩由来の陰イオン又はその他上記共沈殿溶液中に含まれる水酸化物イオンなどの各陰イオンを表し、x/nは各陰イオンの上記一般式における組成比、nはイオン価数を示す。従って、An− X/nは各陰イオンを合わせたイオン群の総体を示し、各陰イオンにおけるx/nに価数nを掛けたものは全陰イオンに対する各陰イオンの電荷量としての割合(電荷占有率)を意味し、合計した数はxに一致する。また、xは1を越えない正の有理数であり、yは不定な正の有理数を示す。
1−ナフチル酢酸を脱イオン水に溶解し、10mmol/lの水溶液を調製した。これとは別に、硝酸アルミニウム9水和物と硝酸亜鉛6水和物を別個に脱イオン水に溶解し、それぞれの0.1mol/l水溶液を調製した。亜鉛:アルミニウムのモル比が2:1になるように両溶液を秤量し、混合撹拌した。この溶液に上述の1−ナフチル酢酸水溶液をアルミニウム:1−ナフチル酢酸のモル比が1:2になるように秤量し、徐々に添加した。水酸化ナトリウム水溶液によりpHを10に調整して24時間攪拌した。熟成後、固相を分離洗浄して40℃電気乾燥機中で乾燥させ、粉末状の1−ナフチル酢酸を層間に担持した生理活性機能を有する有機無機複合体を得た。
上記のようにして得られた、生理活性機能を有する有機無機複合体は、X線回折の結果より、低角度側に19.27Åの(003)回折線が出現し、(006)や(009)の様な層構造に起因するピークも確認された。この時の層間内間隔は14.5Å程度であり、これは1−ナフチル酢酸分子がc*軸方向に水平に(層平面に対して縦に)2分子配列している距離に相当する。すなわち、1−ナフチル酢酸は、無機層間に確実に担持されたことが明らかとなった。
3−インドール酪酸を脱イオン水に溶解し、10mmol/lの水溶液を調製した。これとは別に、硝酸アルミニウム9水和物と硝酸亜鉛6水和物を別個に脱イオン水に溶解し、それぞれの0.1mol/l水溶液を調製した。亜鉛:アルミニウムのモル比が2:1になるように両溶液を秤量し、混合撹拌した。この溶液に上述の1−ナフチル酢酸水溶液をアルミニウム:3−インドール酪酸のモル比が1:2になるように秤量し、徐々に添加した。水酸化ナトリウム水溶液によりpHを10に調整して24時間攪拌した。熟成後、固相を分離洗浄して40℃電気乾燥機中で乾燥させ、粉末状の3−インドール酪酸を層間に担持した生理活性機能を有する有機無機複合体を得た。
3−インドール酪酸をゲストに用いた有機無機複合体のX線回折プロファイルからは、19.98、9.91Åの(003)、(006)回折線が確認され、交換反応が充分に進行したことが推察された。3−インドール酪酸が他の有機物と比較して若干嵩高いために、層間内距離は15Å程度まで拡大した。この結果より、3−インドール酪酸は、無機層間に確実に担持されたことが明らかとなった。
没食子酸(C6H2(OH)3COOH)を脱イオン水に溶解し、10mmol/lの水溶液を調製した。これとは別に、硝酸アルミニウム9水和物と硝酸亜鉛6水和物を別個に脱イオン水に溶解し、それぞれの0.1mol/l水溶液を調製した。亜鉛:アルミニウムのモル比が2:1になるように両溶液を秤量し、混合撹拌した。この溶液に上述の没食子酸水溶液をアルミニウム:没食子酸のモル比が1:2になるように秤量し、徐々に添加した。水酸化ナトリウム水溶液によりpHを10に調整して24時間攪拌した。熟成後、固相を分離洗浄して40℃電気乾燥機中で乾燥させ、粉末状の3−インドール酪酸を層間に担持した生理活性機能を有する有機無機複合体を得た。
没食子酸をゲストに用いた有機無機複合体のX線回折プロファイルからは、低角度側に若干ブロードな(003)と(006)回折線が確認され、この時の基底面間隔値は9.00Åと4.52Åであった。没食子酸の分子構造は、他の挿入有機物と比較してそれ程嵩高く無く、ベンゼン環の厚さは3.4Å程度、カルボキシル基や水酸基の影響を考慮しても4Å程度と考えて良い。それ故、層間内の没食子酸は、層に対してほぼ水平に配列している状態にあると推察できる。また、原料層状複水酸化物由来のピークも確認されないことから、層間挿入は成功したことが明らかとなった。
実施例に準じた方法で得られた複合体の熱的挙動を調査するため、示差熱重量分析装置を用いた分析を行った。それぞれの試料について、昇温速度5℃/分、1050℃までの熱処理を行い、熱的過程における熱重量変化(TG)と、熱的過程における示差熱変化、すなわち吸熱及び発熱挙動(DTA)をモニターした。原料である層状複水酸化物は、200℃付近より直線的な熱重量減少を開始し、500℃付近で終了した。200℃で確認されるシャープな吸熱ピークは、ブルサイト層の脱水酸基及び層間内硝酸イオンの脱離に起因し、ピーク位置は結晶化度に応じてシフトした。3−インドール酪酸及び1−ナフチル酢酸を挿入した複合体からは、吸着水、構造水及び挿入有機物による3段階の熱重量減少が観察された。DTA曲線からも熱重量減少曲線に対応する吸着水、構造水の離脱による吸熱ピーク(100〜200℃)と、有機物の脱離燃焼(300〜500℃)による発熱ピークが観測された。
Claims (4)
- 無機層状化合物を主原料とし、この無機層状化合物の層間に、層間イオンとして生理活性作用を有する物質が導入されている構造を有する、生理活性機能を有する有機無機複合材料であって、
上記生理活性作用を有する物質が、植物生長作用を有する物質であるオーキシン、ジベレリン又はサイトカイニン活性を有する化合物群から選ばれた1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする生理活性機能を有する有機無機複合材料。 - 請求項1に記載の生理活性機能を有する有機無機複合材料を含むことを特徴とする外用剤。
- 1種もしくは2種以上の二価金属塩及び/又は1種もしくは2種以上の三価金属塩と、生理活性作用を有する1種又は2種以上の化合物とを、pH5〜10の条件下、溶液状態で混合することにより共沈殿させて、無機層状化合物の層間に、層間イオンとして生理活性作用を有する物質を導入することからなる生理活性機能を有する有機無機複合材料の製造方法であって、
上記生理活性作用を有する物質が、植物生長作用を有する物質であるオーキシン、ジベレリン又はサイトカイニン活性を有する化合物群から選ばれた1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする生理活性機能を有する有機無機複合材料の製造方法。 - 生理活性作用を有する1種又は2種以上の化合物を含有する水溶液に、1種もしくは2種以上の二価金属塩及び/又は1種もしくは2種以上の三価金属塩から成る層状複水酸化物又は層状複水酸化物を加熱処理したものを添加して攪拌混合し、再構築により、無機層状化合物の層間に、層間イオンとして生理活性作用を有する化合物を取り込ませて、無機層状化合物の層間に、層間イオンとして生理活性作用を有する物質を導入する、請求項3に記載の生理活性機能を有する有機無機複合材料の製造方法。
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