JP5021991B2 - X線管球、x線撮影装置及び真空絶縁機器の帯電計測装置 - Google Patents

X線管球、x線撮影装置及び真空絶縁機器の帯電計測装置 Download PDF

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Description

本発明は荷電粒子線を照射するX線管球、X線撮影装置、電子顕微鏡、及び真空絶縁機器の帯電計測装置に関する。
電子線等の荷電粒子線を照射する機器であるX線管球、X線撮影装置又は電子顕微鏡では、荷電粒子線を照射する高電圧の電極を内部に備えて真空雰囲気にした絶縁物の容器内で荷電粒子線を照射中に絶縁部の耐電圧性能が低下して放電現象が発生することが知られている。
これは、例えばX線管球では、X線を発生させるために真空の雰囲気で高電圧の電極を内部に備えた絶縁物の容器内で荷電粒子線である電子線を電極間で照射すると、照射する電子線の飛散によって絶縁物の容器の壁面が帯電し、この帯電により絶縁物の容器の耐電圧性能が低下して放電現象が発生するものと考えられる。
そして、この放電現象が発生した場合には荷電粒子線を照射する機器に用いられている高電圧の電極を内部に備えた絶縁物の容器が絶縁破壊する可能性があり、正常なX線の照射が困難となる恐れがある。
ところで、荷電粒子線の照射後の帯電計測方法の一例として、技術文献のIEEE Transaction on Dielectric and Electrical Insulation,6,464(1999)、には、真空容器中に配置された誘電体試料の背面に接地電極を配置して誘電体試料に電子銃から電子線を照射し、電子線照射後に表面電位プローブによって誘電体試料の表面電位を計測する帯電計測技術が開示されている。
また、荷電粒子線の照射中の帯電計測方法の一例として、特開2004−111310号公報には、基板を保持する基板保持台に計測用電極を設置して、真空中に配置された基板にイオンビームを照射中に基板のイオンビーム照射面の帯電電圧をこの計測用電極によってリアルタイムに計測する帯電計測技術が開示されている。
IEEE Transaction on Dielectric and Electrical Insulation, 6, 464 (1999) 特開2004−111310号公報
しかしながら前記した特開2004−111310号公報等に記載された帯電計測技術では、荷電粒子線のイオンビームが照射される単純な平板状の基板の誘電体試料に生じる帯電を単に検出するものに過ぎない。
電子線等の荷電粒子線を照射する実際の機器では、荷電粒子線を照射する高電圧の電極を内部に備えて真空雰囲気にした立体形状を有する絶縁物の容器を備えているので、この立体形状のどの場所に放電に至る可能性が高い帯電電位が発生するのかを特定して必要な対応策を講じるためには、この立体形状の絶縁物の容器に生じる帯電電位の分布状況や、帯電電位の時間的経緯を検出する必要がある。
本発明の目的は、荷電粒子線を照射する電極を内部に備えた絶縁物に生じる帯電電位の分布状況や帯電電位の時間的経緯を検出にして、この帯電電位の発生に起因した放電現象と絶縁破壊を未然に防止し得るX線管球、X線撮影装置、電子顕微鏡、及び真空絶縁機器の帯電計測装置を提供することにある。
本発明のX線管球は、X線管球を収容した管容器の内部に備えられた前記X線管球の絶縁部に生じる帯電電位を計測する計測プローブを前記管容器の内部かつ前記絶縁部の外側に配置し、この計測プローブを絶縁部の外面に沿って移動させる移動装置を設け、計測プローブにより絶縁部に生じる帯電電位を計測して計測された帯電電位に基づいて絶縁部に収容した電子放出源である陰極電極に印加する電圧を調節可能とするように構成したことを特徴とする。
また、本発明のX線撮影装置は、X線管球を備え、このX線管球を収容した管容器の内部に備えられた前記X線管球の絶縁部に生じる帯電電位を計測する計測プローブを前記管容器の内部かつ前記絶縁部の外側に配置し、この計測プローブを絶縁部の外面に沿って移動させる移動装置を設け、計測プローブにより絶縁部に生じる帯電電位を計測して計測された帯電電位に基づいて絶縁部に収容した電子放出源である陰極電極に印加する電圧を調節可能とするように構成したことを特徴とする。
本発明によれば、絶縁物に生じる帯電電位の分布状況や帯電電位の時間的経緯を検出して、この帯電電位の発生に起因した放電現象と絶縁破壊を未然に防止し得るX線管球、X線撮影装置、電子顕微鏡、及び真空絶縁機器の帯電計測装置を実現できる。
次に本発明の実施例である荷電粒子線を照射するX線管球、X線撮影装置、電子顕微鏡、及び真空絶縁機器の帯電計測装置について図面を参照して以下に説明する。
本発明の一実施例である荷電粒子線を照射する機器であるX線管球について、図1を用いて以下に説明する。
図1において、X線管球は内部に冷却絶縁油102を満たした容器であるハウベ101と、このハウベ101の内部に満たされて循環する冷却絶縁油102の中に配置され、高電圧電源205から供給される電圧が印加される高電圧電極を内部に備えた複雑な外形形状を有する絶縁部105の容器を備えている。
X線管球の絶縁部105の容器の内側は高真空に維持されており、この絶縁部105の容器の内部には高電圧電極の一方を構成する電子線を照射する陰極の電子銃103と、電子銃103から電子線が照射される高電圧電極の他方の陽極を構成する陽極ターゲット104とが対向して設置されている。
そして高真空に形成された絶縁部105の容器の内部において電子銃103から陽極ターゲット104に向けて電子線を照射することによってX線を発生するようになっている。
このX線管球の絶縁部105の容器の内部でのX線の発生の際に、電子銃103から陽極ターゲット104に照射された電子線の散乱などによって複雑な外形形状を有する絶縁部105の容器の内壁に帯電が生じる。そして、この絶縁部105の容器の内壁に生じた帯電の状況を放置していると絶縁物に放電現象が発生して絶縁破壊に至り、X線管球の性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
そこで、本実施例の帯電計測装置は、内部に冷却絶縁油102を満たしたX線管球のハウベ101の容器の内壁と、内側を高真空に形成して電子線を照射する陰極の電子銃103及び電子線が照射される陽極の陽極ターゲット104を内部に備えた複雑な外形形状を有する絶縁部105の容器の外壁との間の領域で、電子線の散乱による帯電が顕著となると考えられる部分、例えば電子銃103付近の絶縁部105の容器の近傍に少なくとも水平方向と上下方向とを含む3次元方向に移動可能な帯電電位プローブ106を絶縁部105の容器の外面に面して配置し、X線の発生の際に絶縁部105の内壁に生じる帯電電位をこの帯電電位プローブ106によって計測するように構成している。
この3次元方向に移動可能な帯電電位プローブ106には振動容量型電位追随型の帯電電位プローブを使用しており、帯電電位プローブ106のセンサー部を絶縁物でシールした構成を採用することで冷却絶縁油102の油中で絶縁部105の内壁の帯電電位の計測を可能としている。
本実施例であるX線管球では、帯電電位プローブ106で検出されたX線管球の絶縁部105の内壁に生じる帯電電位の検出信号は信号線203を通じて電位モニターとなる表面電位計505に送付されて電位分布状況及び測定電位の時間経緯状況がわかるように構成されている。
また、この帯電電位プローブ106は3次元方向に移動可能なように移動装置100に備えられており、絶縁部105の容器の内壁に生じる帯電電位の計測のために帯電電位プローブ106をハウベ101の容器の内壁と絶縁部105の容器の外壁との間の領域を、絶縁部105の容器の外面に面して絶縁部105の容器の円筒状の外壁部分の外周に沿った円周方向となる水平方向201及び絶縁部105の容器の円筒状の外壁部分の鉛直方向に沿った上下方向202に個別に夫々移動できるように構成されている。
即ち、図2に帯電電位プローブ106の駆動機構である移動装置100の詳細を示したように、内側を高真空に形成して電子線を照射する陰極の電子銃103及び電子線が照射される陽極の陽極ターゲット104を内部に備えた容器を構成する絶縁部105の帯電電位を計測するために、帯電電位プローブ106を移動させる3次元方向の移動装置100は、冷却絶縁油102を満たしたハウベ101の容器の内部に設置された上部に位置する台座107及び下部に位置する上下移動用台座113と、この上部の台座107の上に回転可能に配置された半月状ギア108、及びこの半月状ギア108と噛み合って半月状ギア108を回転させる回転ギア110とを備えており、この回転する半月状ギア108の上に帯電電位プローブ106が取り付けられている。
台座107と上下移動用台座113との間には内部に回転シャフト117を備えた管部材112を設置して両者を接続しており、この上下移動用台座113の下部に回転駆動用モータ109を設置することによって、回転駆動用モータ109の駆動力で回転シャフト117を駆動して台座107上に配置された回転ギア110を回転させ、回転ギア110と噛み合った半月状ギア108を回転させることによって、半月状ギア108の上に設けられた帯電電位プローブ106を絶縁部105の容器の円筒状の外壁部分の外周に沿った円周方向となる水平方向201に移動可能に構成している。
また、上下移動用台座113の上部にはこの上下移動用台座113の上下方向の移動を駆動する上下駆動用モータ115と、この上下駆動用モータ115の駆動力によって回転させられる回転ギア116が配置されている。
更に、冷却絶縁油102を満たしたハウベ101の容器の内壁の底部には鉛直方向に配設された直線ギア114が固定されており、この直線ギア114が上下移動用台座113の上部に配設された回転ギア116と噛み合うことによって直線ギア114上を回転ギア116が走行する。
よって、上下駆動用モータ115を駆動すれば回転ギア116が直線ギア114上を走行するので上下移動用台座113は鉛直方向の上下方向に移動し、この上下移動用台座113と連結された台座107も上下方向に移動するので、台座107の上部に配設された半月状ギア108に設けられた帯電電位プローブ106は絶縁部105の容器の円筒状の外壁部分の外周に沿って鉛直方向の上下方向202に移動するように構成されている。
したがって、帯電電位プローブ106は、上述した3次元方向に移動できる構成の移動装置100の操作によってハウベ101の容器の内壁と絶縁部105の容器の外壁との間の領域にて、回転駆動用モータ109の駆動によって絶縁部105の容器の円筒状の外壁部分の外周に沿った円周方向の水平方向201に移動し、絶縁部105の内壁の円周方向の帯電電位を計測することが可能となる。
更に、帯電電位プローブ106は、移動装置100の上下駆動用モータ115を駆動することによって絶縁部105の容器の円筒状の外壁部分の鉛直方向に沿った上下方向202に移動し、絶縁部105の内壁の上下方向202に沿った帯電電位を計測することが可能となる。
また、水平方向201及び上下方向202に移動させた帯電電位プローブ106によって検出した絶縁部105の容器の内壁に生じる帯電電位の計測信号は信号線203を通じて電位モニターとなる表面電位計505に送付され、この表面電位計505によって演算処理して水平方向201と上下方向202の電位分布状況、及び帯電電位の時間経過状況が表示されるようになっている。
そして、帯電電位プローブ106を回転駆動用モータ109の駆動による円周方向の水平方向201の移動と、上下駆動用モータ115の駆動による上下方向202の移動とを組み合わせた3次元方向に移動させて、X線の発生時に電子線の散乱によって絶縁部105の容器の内壁に生じる帯電電位を計測してこの計測値に基づいて電位モニターとなる表面電位計505にて演算処理して水平方向201と上下方向202の電位分布状況、或いは計測時間毎の電位を表示できるようにしたことから、図3に示したように前記絶縁部105の容器内壁に生じる連続的な帯電電位分布を計測することが可能となった。
上述したように、帯電電位プローブ106を3次元方向に移動させて絶縁部105の容器の内壁の帯電電位を計測し、その計測値を表面電位計505によって前記絶縁部105に発生した帯電電位の電位分布状況、及び帯電電位の時間経過状況を表示できるようになったことから、帯電による電界強度の大きい、放電の発生しやすい絶縁部105の場所を特定することが可能となる。
図4にX線管球の帯電計測装置の表面電位計505によってX線管球の絶縁部105の容器の内側の特定した部分における帯電電位を測定して監視した一例を示す。図4は電子線照射中301、及び照射終了後302の帯電電位の時間変化を夫々示す帯電電位の時間経過状況を表している。
そして、この帯電計測装置の表面電位計505によって監視する帯電電位の値を判定器506に入力させ、この判定器506に予め設定した放電現象が発生する可能性の高い閾値と比較して帯電電位の値がこの閾値を超えた場合に、判定器506からX線管球を構成する高電圧電極を備えた絶縁部105の電極に電圧を印加する高電圧電顕205に対して指令信号を与えて出力電圧を調整するようにすればX線管球で帯電電位による放電現象の発生を予防することが可能となる。
以上説明したように、本実施例のX線管球によれば、荷電粒子線を照射する高電圧の電極を内部に備えた立体形状に形成された絶縁物の容器に生じる帯電電位の分布状況や帯電電位の時間的経緯を3次元方向に移動する帯電電位プローブによって検出してこの検出した帯電電位を監視し、帯電電位が設定した閾値を超えて放電の発生率が高くなった際に適切な処理、例えば高電圧電源205の出力電圧を調節する等の処理を講じることができるので、この帯電電位の発生に起因したX線管球の放電現象と絶縁破壊を未然に防止し得るX線管球が実現できる。
次に本発明の他の実施例である荷電粒子線を照射する機器であるX線管球について、図5を用いて以下に説明する。
図5に示す本実施例のX線管球の構造は、図1に示したX線管球の構造と基本的な構成は同じなので、共通する構成についての説明は省略し相違する部分についてのみ説明する。
図5において、本実施例のX線管球でも、X線管球は冷却絶縁油102を満たしたハウベ101と、このハウベ101の内部に満たされて循環する冷却絶縁油102の中に配置され、高電圧電源205から供給される電圧が印加される高電圧電極を内部に備えた複雑な外形形状を有する絶縁部105の容器を備えている。
このX線管球の絶縁部105の容器の内側は高真空に維持されており、絶縁部105の容器の内部に配置された陰極の電子銃103から謡曲の陽極ターゲット104に向けて電子線を照射することによってX線を発生させるが、このX線の発生の際に照射された電子線の一部が散乱して絶縁部105の容器の内壁に到達することにより、複雑な外形形状を有する絶縁部105の容器の内壁に帯電が生じる。
そこで、電子線の散乱により発生した帯電が顕著であると考えられる電子銃101の近傍の絶縁部105の内壁の帯電電位を計測するため、電子銃101の近傍の絶縁部105の内壁に近接した場所であるハウベ101の一部に、絶縁物で構成された帯電計測窓401を設置する。
そしてハウベ101に設置したこの帯電計測窓401の外側となる大気中に帯電電位プローブ106aを配置し、X線管球の絶縁部105の内壁の帯電電位をこの帯電計測窓401を通じて横置きした帯電電位プローブ106aによって計測する。
この帯電電位プローブ106aは振動容量型電位追随型の帯電電位プローブであり、大気中で帯電電位を計測するということが図1乃至図2に示された先の実施例における帯電電位プローブ106と相違する点である。
このため本実施例の帯電電位プローブ106aは改造することなくそのまま使用することが可能であり、先の実施例の帯電電位プローブ106のようにセンサー部を絶縁物でシールした構成に改造するコストが削減できる。
また、この帯電電位プローブ106aを円周方向に沿った水平方向201と鉛直方向の上下方向202とを組み合せた3次元方向に移動させる移動装置100は、複雑な外形形状を有する絶縁部105の容器を収容する冷却絶縁油102を満たしたX線管球のハウベ101の外側の大気中に設置されている。
この移動装置100の基本構成は図1及び図2に示す先の実施例の冷却絶縁油102を満たしたハウベ101の容器の内壁の底部に設置された移動装置100と同じ構成であるが、直線ギア114を固定している部材がハウベ101の内壁の底部ではなく、ハウベ101の外壁の底部に設置した外部台座402に直線ギア114が固定されている点のみが相違している。
帯電電位プローブ106aは、移動装置100の回転駆動用モータ109の駆動による水平方向201の移動と、上下駆動用モータ115の駆動による鉛直方線の上下方向202の移動とを組み合わせた3次元方向に移動してハウベ101に設置した帯電計測窓401を通じて絶縁部105の容器の内壁に生じる円周方向に沿った水平方向201の帯電電位と上下方向202の帯電電位を計測する。
帯電電位プローブ106aで検出した絶縁部105の容器の内壁に生じる前記帯電電位の計測信号は、信号線203を通じて送付された電位モニターとなる表面電位計505によって演算処理して前記絶縁部105の容器の内壁に生じた水平方向201と上下方向202の帯電電位の分布状況、及び帯電電位の時間経過状況を算出して表示するようになっている。
よって本実施例のX線管球においても、帯電電位プローブ106aを3次元方向に移動させてハウベ101に設置した帯電計測窓401を通じてハウベ101の内部に収容した複雑な外形形状を有する絶縁部105の容器の内壁に生じる帯電電位を計測し、その計測値を表面電位計505の演算処理によって前記絶縁部105に発生した帯電電位を図3に示した電位分布状況、及び図4に示した帯電電位の時間経過状況として表示できるようになったことから、帯電による電界強度の大きい、放電の発生しやすい複雑な外形形状を有する絶縁部105の容器の場所を特定することできる。
そして、この帯電計測装置の表面電位計505によって監視する帯電電位の値を判定器506に入力させ、この判定器506に予め設定した放電現象が発生する可能性の高い閾値と比較して帯電電位の値がこの閾値を超えた場合に、判定器506からX線管球を構成する高電圧電極を備えた絶縁部105の電極に電圧を印加する高電圧電顕205に対して指令信号を与えて出力電圧を調整するようにすればX線管球で帯電電位による放電現象の発生を予防することが可能となる。
以上説明したように、本実施例のX線管球によれば、絶縁部の容器の帯電電位を計測してその帯電電位を監視することで、帯電電位が設定した閾値を超えて放電の発生率が高くなった際に適切な処理、例えば高電圧電源205の出力電圧を調節する等の処理を講じることができるので、この帯電電位の発生に起因したX線管球の放電現象と絶縁破壊を未然に防止し得るX線管球が実現できる。
次に本発明の他の実施例である荷電粒子線を照射する機器であるX線管球を備えたX線撮影装置について、図6を用いて以下に説明する。
図6において、本実施例のX線撮影装置の構成は、X線管球501を構成する内部に冷却絶縁油102を満たした容器であるハウベ101と、このハウベ101の内部に満たされて循環する冷却絶縁油102の中に配置され、高電圧電源205から供給される電圧が印加される高電圧電極である陰極の電子銃103、及び電子銃103から電子線が照射される陽極の陽極ターゲット104とを対向させて内部に備えた複雑な外形形状を有する絶縁部105の容器を備えている。
この複雑な外形形状を有する絶縁部105の容器の内壁に生じる帯電電位を検出するために、3次元方向に移動可能な帯電電位プローブ106を備えた移動装置100が、絶縁部105の容器の外壁と、冷却絶縁油102を満たしたハウベ101の容器の内壁との間に位置するように、ハウベ101の内部に設置されている。
この3次元方向に移動可能な帯電電位プローブ106を備えた移動装置100の構成、及び表面電位計505の構成の詳細は、図1及び図2に示された実施例と同じなのでその説明は省略する。
本実施例のX線管球501に備えられ、電圧が印加される高電圧電極を内部に備えた複雑な外形形状の絶縁部105の容器で発生したX線503は、X線管球501から被験者502に向けて照射され、被験者502を透過したX線503をディテクター504にて検出する。
ディテクター504で検出された被験者502を透過したX線503の検出信号は、ディテクター504から画像処理、画像記録装置511に入力され、演算処理によって画像データ化されて画像処理、画像記録装置511の記録部に保存されると共に、画像表示装置511に画像データを出力して画像として表示するように構成されている。
また、移動装置100の操作によって3次元方向に移動可能な帯電電位プローブ106で検出される複雑な外形形状を有する絶縁部105の容器の内壁に生じる帯電電位の計測信号は、信号線203を通じて送付された電位モニターとなる表面電位計505によって演算処理して前記絶縁部105の容器の内壁に生じた円周方向に沿った水平方向201と鉛直線に沿った上下方向202の帯電電位の分布状況、及び帯電電位の時間経過状況を算出して表示する。
表面電位計505で演算した帯電電位の分布状況及び帯電電位の時間経過状況の帯電電位値は表面電位計505から判定器506に入力され、この判定器506で予め設定された放電現象を発生する可能性が高いと判断される設定値となる閾値と比較する。
そして判定器506によって前記帯電電位値が閾値を超えたと判断された場合には、判定器506からX線管球501を構成する内部に高電圧電極を備えた絶縁部105の電極に電圧を印加する高電圧電源205に対して指令信号を出力し、この高電圧電源205の出力電圧を降下させる。
図7は判定器506からの指令信号によって降下させた高電圧電源205の出力電圧の一例を示すものであり、図7に示した場合では計測された帯電電位値が閾値を超えた際に高電圧電源205の出力電圧を管電圧V1から電圧ゼロ、或いは低い電圧値まで降下させることによってX線管球501の絶縁部105に放電現象が発生することを防止している。
図8は帯電電位に対する放電発生率の一例を示す特性図である。本実施例のX線撮影装置の判定器506に予め設定する閾値は、図8に示した放電発生率が低い領域701に属する帯電電位のいずれかの値から選定して設定すれば良い。
本実施例のX線撮影装置においては、X線撮影装置によって被験者502の診察時に、X線管球501を構成する高電圧電極を備えた絶縁部105に生じる帯電電位を帯電電位プローブ106を3次元方向に移動させて検出して表面電位計505でモニターしておき、このモニターした帯電電位が判定器506に設定した閾値を超えた場合に、高電圧電源205の出力電圧を管電圧V1から電圧ゼロ、或いは低い電圧の値まで降下させてモニターした帯電電位が設定した閾値を下回る値に低下させることで、X線撮影中にX線管球501に放電現象が発生することを防止する。
ところで、上記した実施例のX線撮影装置では、診察中にX線管球501の絶縁部に生じる帯電電位を計測して放電抑制のために高電圧電源205の出力電圧を停止、或いは低下させるものであることから、X線撮影装置に放電現象が発生することは防止できるが、診療中に高電圧電源205の出力電圧の低下に伴なう診察自体への影響は避けられない。
そこで、その対応策として、被験者502の診察前にX線管球501の絶縁部に生じる帯電電位を計測し、計測した帯電電位の値が高い場合は電位の減衰を待つようにすれば、放電の発生を未然に防止すると共に、診察中の高電圧電源205の出力電圧の低下が抑制できるので安定した診察が可能となる。
この対応策を講じた本実施例のX線撮影装置においては、X線撮影装置によって被験者502を診察する前に、X線管球501を構成する高電圧電極を備えた絶縁部105に生じる帯電電位を帯電電位プローブ106を3次元方向に移動させて検出して表面電位計505でモニターし、このモニターした帯電電位が判定器506に設定した閾値を超えた場合に、帯電電位と高電圧電源の出力電圧との関係を示す他の関係図である図9に示したように、高電圧電源205の出力電圧を管電圧V2から電圧ゼロに停止、或いは低い電圧の値まで降下させてモニターした帯電電位が設定した閾値を下回る値に低下するまで待機させる。
その後、モニターした帯電電位が判定器506に設定した閾値を下回る値に低下したことを確認してから高電圧電源205の出力電圧を図9に示したように診断時の管電圧V2まで復帰させてX線撮影の診断を行うようにしたので、X線撮影中の放電の発生を防止することができるだけでなく、診察中の高電圧電源205の出力電圧の低下が抑制できるので安定した診察が可能となる。
図10は高電圧電源205の出力電圧を最大出力の管電圧V2で運転した場合の帯電電位に対する放電発生率を示す特性図である。本実施例のX線撮影装置の判定器506に予め設定する閾値は、図10に示した放電発生率が低い領域901に属する帯電電位のいずれかの値から選定して設定すれば良い。
本実施例のX線撮影装置では、被験者502を診察する前にX線管球501をモニターした帯電電位が設定した閾値を超えた場合に、判定器506によって図9に示すように高電圧電源205の出力電圧を管電圧V2から電圧ゼロに停止、或いは任意に設定した低い電圧まで一旦低下させするよう調節して帯電電位が設定した閾値を下回る帯電電位に低下するまで待機させる。
その後、モニターした帯電電位が閾値を下回ったことを確認したあとに、高電圧電源205を操作して管電圧V2まで復帰させるようにしたことで、X線管球に放電現象が発生することを未然に防止すると共に、診察中の高電圧電源205の出力電圧の低下が抑制できるので安定した診察が可能となる。
このように本実施例のX線撮影装置では、診察前および診察中にX線管球の帯電電位を計測してモニターし、帯電電位が設定した閾値を超えた場合には高電圧電源の出力電圧を降下させ、帯電電位が閾値を下回る値に低下したことを確認してから高電圧電源の出力電圧を復帰させることで、X線管球に放電現象が発生することを未然に防止すると共に、診察中に放電抑制のための電圧降下が診察へ与える影響を抑えて安定した診察を可能とすることができる。
次に本発明の別の実施例である荷電粒子線を照射する機器である電子顕微鏡について、図11を用いて以下に説明する。
図11において、電子顕微鏡の構成は、電子を放出する電子源801と、この電子源801から放出した電子を加速する加速管802と、加速管802で加速して対物レンズ803を通して資料室810に設置された試料820に照射し、試料820からの透過電子、二次電子、反射電子、回折電子などにより試料820の表面、内部の情報を得る装置である。
加速管802には、電子を加速するため電位差のある複数の加速電極804と、加速電極804を支持する絶縁筒805から構成されている。絶縁筒805の内部は真空809の雰囲気に維持されている。また、加速管802の内部の絶縁筒805の外側の空間にはSF6ガス808の雰囲気に維持されている。
この加速管802の真空側となる絶縁筒805で、荷電粒子線である電子線を照射中に帯電電位が生じ、この帯電電位に起因した電界集中によって放電が発生して絶縁筒805が絶縁破壊に至る可能性がある。
そこで、SF6ガス808の雰囲気に維持された加速管802の内部に、絶縁筒805の帯電電位を計測する3次元方向に移動可能な帯電電位プローブ106を備えた移動装置100を設置し、この帯電電位プローブ106帯電電位を計測し、この帯電電位の計測値を信号線203を通じて表面電位計505に送付する。
この3次元方向に移動可能な帯電電位プローブ106を備えた移動装置100の構成、及び表面電位計505の構成の詳細は、図1及び図2に示された実施例と同じなのでその説明は省略する。
表面電位計505では、演算処理によって絶縁筒805に発生した帯電電位を図3に示した電位分布状況、及び図4に示した帯電電位の時間経過状況として表示して監視できるようになっている。
また、表面電位計505で演算した帯電電位の分布状況及び帯電電位の時間経過状況の帯電電位値は、判定器506に入力されて予め設定された放電現象を発生する可能性が高いと判断される設定値の閾値と比較される。
そして判定器506によって計測した絶縁筒805の帯電電位値が閾値を超えたと場合には、判定器506から加速電極804に電圧を印加する高電圧電源205に対して指令信号を出力して、この高電圧電源205の出力電圧を降下させて帯電電位の値が閾値を下回る安全な値にまで低下させる。
このように本実施例の電子顕微鏡では、電子源801から放出した電子を試料820に照射する際に、絶縁筒805に生じる帯電電位を計測してモニターし、帯電電位の値が設定した閾値を超えた場合には高電圧電源205の出力電圧を降下させ、帯電電位の値が閾値を下回る値に低下したことを確認してから高電圧電源205の出力電圧を復帰させるので、絶縁筒805に放電現象が発生することを未然に防止することが可能となる。
次に本発明の更に別の実施例である荷電粒子線を照射する機器である真空絶縁機器の帯電計測装置について、図12を用いて以下に説明する。
図12において、荷電粒子線を照射する機器である真空絶縁機器の帯電計測装置は、容器1110の内部に荷電粒子線を照射する機器の絶縁物と同じ材料で形成された測定対象物の絶縁物である円筒状の固体1102が配設されている。
そして、この円筒状の固体1102の内側1103には電子線源1105が設けてあり、この電子線源1105から照射対象物となる円筒状の固体1102の内壁に対して電子線1107を照射する。
容器1110の内部で円筒状の固体1102の外周側には3次元方向に移動可能な帯電電位プローブ1106を配置することによって、電子線1107が照射されている円筒状の固体1102の内側1103の帯電電位を計測する。
電子線1107を照射する円筒状の固体1102の内側の空間1108と、帯電電位プローブ1106を配置した円筒状の固体1102の外側で容器1110の内部の空間1109とは、容器1110の内壁と固体1102の円筒状の下端部との間、及び円盤状のフランジ1111と固体1102の円筒状の上端部との間にO−リング1112を夫々配置することにより強固に仕切られており、電子線1106を照射する空間1108と、帯電電位プローブ1106を配置した空間1109との内部は夫々任意の雰囲気に設定できるように構成されている。
本実施例の場合は電子線1106を照射する空間1108は真空に維持され、帯電電位プローブ1106を配置した空間1109は空気が封入されている。
X線管球、X線撮影装置、電子顕微鏡等の電子線を照射する機器では、真空中で電子線を照射することから、O−リング1112を使用して高真空シールを形成することにより、上記した各機器と同様の電子線照射の環境を模擬できる。
帯電電位プローブ1106が3次元方向に移動できるように、帯電電位プローブ1106を保持する支持台1115が台座1113上を移動可能に配設している空間1109の内部に、台座1113を一方の端部で支持する管部材1132が容器1110を貫通すると共に、この容器1110に対して移動可能に配設されており、管部材1132の他方の端部は容器1110の外部に設置した上下移動用台座1121に固定されている。
台座1113の上に設置された半月状ギア1114の上部に支持台1115が固定され、この支持台1115に帯電電位プローブ1106が取り付けられている。半月状ギア1114は回転ギア1117と噛み合っており、この回転ギア1117は管部材1132の内部に配設された回転軸1131によって容器1110の外部に設置された上下移動用台座1121に設けた駆動モータ1116と連結している。
よって、半月状ギア1114は駆動モータ1116の駆動によって回転する回転ギア1117を介して回転し、半月状ギア1114に転ギア1117の回転により奥行き方向1118と手前方向1119に移動する。
また、容器1110の外部には管部材1132の配設方向に平行して設置され、上下移動用台座1121に設置された上下駆動用モータ1123により駆動されるらせん状ギア1135と、らせん状ギア1135と係合するように容器1110に設けた係合部材1136が配設されている。
したがって、上下駆動用モータ1123を駆動してらせん状ギア1135を回転させることにより、上下移動用台座1121を上下方向に移動すると共に、管部材1132によって連結された台座1113を空間1109の内部にて上下方向1124に移動することができる。また、容器1110と上下移動用台座1121との間に容器1110の外部に延びた管部材1132を外周側から覆うようにベローズ1133を取り付けていることにより、空間1109は外気から密閉することが可能となる。
上記した移動機構によって帯電電位プローブ1106は照射対象物である固体1102の外壁面1104に対して高さ方向の上下方向1124に、並びに奥行き方向の水平方向1118、或いは反奥行き方向の水平方向1119の3次元方向に移動して走査することができ、よって固体1102の壁面に生じる帯電電位を詳細に検出することが可能となる。
この帯電電位プローブ1106で検出した固体1102の壁面に生じる帯電電位の検出信号は、信号線203を通じて容器1110の外部に設置した帯電電計505に伝えられ、この帯電計505によって計測した帯電電位を図3及び図4に示したように帯電電位の分布状況、及び帯電電位の時間経過状況を連続して計測して監視できるようになっている。
尚、円筒状の固体1102の内側1103には、相互に絶縁され、且つ高電圧電源1125に接続された2つの電極1126を配置して高電圧を印加するようにしているので、帯電計測中に固体1102の耐電圧性能を計測でき、帯電による耐電圧性能の変化の状況を定量的に評価することが可能となる。
本実施例の荷電粒子線を照射する機器である真空絶縁機器の帯電計測装置によれば、荷電粒子線を照射する機器の絶縁物と同じ材料で形成された測定対象物の絶縁部に生じる帯電電位を計測してその帯電電位を監視することで、実機に採用する素材としての測定対象物の絶縁部に発生する帯電電位の状況を予め知ることができるので、帯電電位に起因して絶縁破壊に至る放電現象が発生しにくい荷電粒子線を照射する機器に適した絶縁物の選定に利用することが可能となる。
次に本発明の更に他の実施例である荷電粒子線を照射する機器であるX線管球を備えたX線撮影装置について、図13を用いて以下に説明する。
図13に示す本実施例のX線撮影装置の構造は、図6に示したX線撮影装置の構造と基本的な構成は同じなので、共通する構成についての説明は省略し相違する部分についてのみ説明する。
図13の本実施例のX線撮影装置において、移動装置100の操作によって3次元方向に移動可能な帯電電位プローブ106で検出される複雑な外形形状を有する絶縁部105の容器の内壁に生じる帯電電位の計測信号は、信号線203を通じて送付された電位モニターとなる表面電位計505によって演算処理して前記絶縁部105の容器の内壁に生じた円周方向に沿った水平方向201と鉛直線に沿った上下方向202の帯電電位の分布状況、及び帯電電位の時間経過状況を算出して表示する。
表面電位計505で演算した帯電電位の分布状況及び帯電電位の時間経過状況の帯電電位値は表面電位計505から計算機507に入力するが、表面電位計505ではX線撮影装置による診察1と診察2の間の休止時間に帯電電位を計測する。
計算機507では図14の(1)に示したように、予め計測したX線管球の減衰特性(図3中302参照)と現在時刻tpでの帯電電位値から帯電電位の時間変化を予測演算すると共に、図14の(2)に示すように、管電圧、管電流、初期帯電電位をパラメータとした帯電電位の時間変化を予め計測して保存しておく。
そして計算機507では、図14の(1)と(2)から、図14の(3)に示すように任意時刻に診察2を開始した場合の帯電電位値を予測する。そして帯電電位の予測値が既定した閾値未満となる次回の診察となる診察2の開始予定時刻t2を演算して表示し、診察2の開始予定時刻t2まで診察を待機する。
また、診察2の開始予定時刻t2が当初の診察開始予定時刻よりも延長される場合は延長待機時間twも表示する。
即ち、計算機507では、既に終了した前の診察1の終了時刻t1の帯電電位値、現在時刻tpの帯電電位値、及び帯電電位の減衰特性に基づいて図14の(3)に示すように次回の診察における帯電電位値の予測値が既定の閾値の範囲内となって診察が可能となる次の診察の診療2における帯電電位値と診察2の開始時間t2を予測演算する。
そして、計算機507では前述したように予測演算した診察2の開始時間t2から予定休止時間ts及び延長待機時間twも夫々表示できるようにしている。
本実施例のX線撮影装置では、診察と診察の間の休止時間に計測した帯電電位の値及び帯電電位の減衰特性に基づいて次回の診察中の帯電電位値を予測して診察が可能となる時間を計算し、その時間まで診察を待機することで、診察中の放電の発生を未然に防止できるので、安定した診察が可能となる。
また、本実施例のX線撮影装置では、診察中に帯電電位を計測する必要が無いので診察中の放電抑制のために高電圧電源の出力を変化させなくて良く、診察自体への影響は回避できる。
更に次回の診察の開始時間までの待機時間を表示することで、造影剤の適時投与など、最適な診察条件を整えることが可能になる。また、放電自体の発生を防止することから、X線管球も長寿命化できる。
本実施例によれば、X線管球の絶縁物に生じる帯電電位の分布状況や帯電電位の時間的経緯が予測可能となり、この帯電電位の発生に起因した放電現象と絶縁破壊を未然に防止し得る安定した診察が可能なX線撮影装置が実現できる。
次に本発明の別の実施例である荷電粒子線を照射する機器であるX線管球を備えたX線撮影装置について、図14を用いて以下に説明する。
本実施例のX線撮影装置の構造は、図13に示したX線撮影装置の構造と基本的な構成は同じなので、共通する構成についての説明は省略し相違する部分についてのみ説明する。
また、本実施例のX線撮影装置に備えられた計算機507の構成及び機能も、前述した図14に示した予測演算と基本的な構成は同じなので、共通する構成についての説明は省略し相違する部分についてのみ説明する。
図14において、本実施例のX線撮影装置でも診察1と診察2の間に帯電電位を計測している。そしてX線撮影装置の計算機507は、図14の(1)に示したように予め計測したX線管球の減衰特性と現在時刻tpでの帯電電位値から帯電電位の時間変化を予測演算すると共に、図14の(2)に示すように、管電圧、管電流、初期帯電電位をパラメータとした帯電電位の時間変化を予め計測して保存しておく。
そして本実施例のX線撮影装置の計算機507では、図14の(1)と(2)から任意時刻に診察2を開始した場合の帯電電位値を予測演算するが、図14の(3)に示した先の実施例の場合と同様に、帯電電位の予測値が既定した閾値未満となる次回の診察となる診察2の開始予定時刻t2を演算して表示し、診察2の開始予定時刻t2まで診察を待機する。
また、診察2の開始予定時刻t2が当初の診察開始予定時刻よりも延長される場合は延長待機時間twも表示する。
この計算機507において、予測演算した次回の診察2における帯電電位の予測値が図15の(4)に示したように既定の閾値より大きくなる場合は、計算機507から判定器506に指令を送り、この判定器506によって高電圧電源205を操作して出力電圧を所定値より下げた低い電圧で出力する運転(帯電緩和処理)を実施させる。
このような帯電緩和処理を施すことによって短時間で帯電電位の値を緩和させて、診察2開始予定時刻t2までに診察開始を可能にすることができる。
本実施例のX線撮影装置では帯電電位を短時間に緩和することが可能となるので、診察と診察の間の休止時間の延長や、診察患者数の減少を伴わずに診察中の放電の発生を未然に防止でき、安定した診察ができる。また、放電自体の発生を防止することからX線管球も長寿命化できる。
次に本発明の別の実施例である荷電粒子線を照射する機器であるX線管球を備えたX線撮影装置について、図15を用いて以下に説明する。
本実施例のX線撮影装置の構造は、図13に示したX線撮影装置の構造と基本的な構成は同じなので、共通する構成についての説明は省略し相違する部分についてのみ説明する。
また、本実施例のX線撮影装置に備えられた計算機507の構成及び機能も、前述した図14に示した予測演算と基本的な構成は同じなので、共通する構成についての説明は省略し相違する部分についてのみ説明する。
図15において、本実施例のX線撮影装置でも診察1と診察2の間に帯電電位を計測している。そしてX線撮影装置の計算機507は、図14の(1)に示したように予め計測したX線管球の減衰特性と現在時刻tpでの帯電電位値から帯電電位の時間変化を予測演算すると共に、図14の(2)に示すように、管電圧、管電流、初期帯電電位をパラメータとした帯電電位の時間変化を予め計測して保存しておく。
そして本実施例のX線撮影装置の計算機507では、図14の(1)と(2)から任意時刻に診察2を開始した場合の帯電電位値を予測演算するが、図14の(3)に示した先の実施例の場合と同様に、帯電電位の予測値が既定した閾値未満となる次回の診察となる診察2の開始予定時刻t2を演算して表示し、診察2の開始予定時刻t2まで診察を待機する。
また、診察2の開始予定時刻t2が当初の診察開始予定時刻よりも延長される場合は延長待機時間twも表示する。
この計算機507において、予測演算した次回の診察2における帯電電位の予測値が図15の(4)に示したように既定の閾値より大きくなる場合は、計算機507から判定器506に指令を送り、この判定器506によって高電圧電源205を操作して出力電圧を所定値より下げた低い電圧で出力する運転(帯電緩和処理)を実施させた図15の(5)に示した場合の帯電電位の予測値を演算する。
そしてこの計算機507によって予測演算した帯電緩和処理を施す必要が生じた場合には、計算機507から判定器506に指令を送ってこの判定器506によって高電圧電源205を操作して出力電圧をゼロ、或いは任意に設定した低い出力電圧まで低下させて帯電緩和処理を実施させる。
そして、高電圧電源205の出力電圧を下げる操作を行ったしかるべき後に、計算機507からの指令によって高電圧電源205の出力電圧を診断時の電圧に復帰させる。
このように図15の(5)に示した帯電緩和処理を施す場合の帯電電位の予測演算に基づいて短時間で帯電電位の値を緩和させているので、診察2の開始予定時刻t2までに診察開始を可能にすることができる。
このように本実施例のX線撮影装置では診察と診察の間の休止時間に帯電電位を計測し、必要に応じて帯電電位を短時間に緩和できることから、診察と診察の間の休止時間の延長や、診察患者数の減少を伴わずに診察中の放電の発生を未然に防止でき、安定した診察が可能となる。
また、診察中に放電が発生しそうになった際にも高電圧電源の出力を降下させ放電を未然に防止して放電抑制のための電圧降下が診察へ与える影響を抑えることができる。また、放電自体の発生を防止することから、X線管球も長寿命化できる。
本発明は荷電粒子線を照射する機器であるX線管球、X線撮影装置、及び電子顕微鏡等の帯電計測装置に適用可能である。
本発明の一実施例であるX線管球を示す概略構成図。 図1の実施例における帯電電位プローブの駆動装置の一部を示すX線管球の部分図。 図1の実施例で検出した帯電電位の一例を示す帯電電位の分布状況図。 図1の実施例で検出した帯電電位の一例を示す帯電電位の時間経過状況図。 本発明の他の実施例であるX線管球を示す概略構成図。 本発明の更に他の実施例であるX線撮影装置を示す概略システム図。 図6のX線撮影装置の実施例における帯電電位と高電圧電源の出力電圧との関係を示す関係図。 帯電電位に対する放電発生率の一例を示す特性図。 図6のX線撮影装置の実施例における帯電電位と高電圧電源の出力電圧との関係を示す他の関係図。 帯電電位に対する放電発生率の他の例を示す特性図。 本発明の別の実施例である電子顕微鏡を示す概略構成図。 本発明の更に別の実施例である荷電粒子線を照射する真空絶縁機器の帯電計測装置を示す概略構成図。 本発明の更に別の実施例であるX線撮影装置を示す概略システム図。 図13のX線撮影装置における計算機による帯電電位の予測演算の一例を示す説明図。 図13のX線撮影装置における計算機による帯電電位の予測演算の他の一例を示す説明図。
符号の説明
100:駆動装置、101:ハウベ、102:冷却絶縁油、103:電子銃、104:陽極ターゲット、105:絶縁部、106、106a:帯電電位プローブ、107:台座、108:半月状ギア、109:回転駆動用モータ、110、116:回転ギア、201:円周方向、202:上下方向、112:管部材、113:上下移動用台座、114:直線ギア、115:上下駆動用モータ、116:上下方向、203:信号線、205:高電圧電源、301:電子線照射中の帯電電位、302:電子線照射終了後の帯電電位、401:帯電計測窓、外部台座:402:、501:X線管球、502:被験者、503:X線、504:ディテクター、505:表面電位計、506:判定器、507:計算機、511:画像処理、画像記録装置、512:画像表示装置、701、711:放電発生率が低い領域、801:診察時の管電圧、801:電子源、802:加速管、803:対物レンズ、804:加速電極、805:絶縁筒、808:SF6ガス、809:真空、810:試料室、820:試料、1102:固体、1103:内側、1104:外側、1105:電子線源、1106:電子線、1106:帯電電位プローブ、1108、1109:空間、1110:容器、1111:フランジ、1112:O−リング、1113:回転ギア、1114:半月状ギア、1115:支持台、1117:回転ギア、1118、1119:水平方向、1121:上下移動台座、1123:上下駆動用モータ、1124:上下方向、1125:高電圧電源、1126:電極、1131:回転軸、1132:管部材、1133:ベローズ、1135:らせん状ギア。

Claims (11)

  1. X線管球を収容した管容器の内部に備えられた前記X線管球の絶縁部に生じる帯電電位を計測する計測プローブを前記管容器の内部かつ前記絶縁部の外側に配置し、この計測プローブを絶縁部の外面に沿って移動させる移動装置を設け、計測プローブにより絶縁部に生じる帯電電位を計測して計測された帯電電位に基づいて絶縁部に収容した電子放出源である陰極電極に印加する電圧を調節可能とするように構成したことを特徴とするX線管球。
  2. 請求項1に記載したX線管球において、この絶縁部を内部に有するハウベの一部に絶縁物で構成された帯電計測窓を設け、この帯電計測窓の外側に計測プローブとこの計測プローブの移動装置を配置させて、帯電計測窓を通じてハウベの内部に配置した絶縁部に生じる帯電電位を計測プローブによって計測し、この計測され帯電電位に基づいて絶縁部に収容された電子放出源である陰極電極に印加する電圧を調節可能とするように構成したことを特徴とするX線管球。
  3. 請求項1に記載したX線管球において、絶縁部に収容した電子放出源である陰極電極に電圧を印加する電源を設置し、計測プローブによって計測した絶縁部に生じた帯電電位に基づき帯電電位が所定の閾値を超えた場合に電源に対してその出力電圧を低下させる指令を出す判定器を設置したことを特徴とするX線管球。
  4. X線管球とそのX線管球からのX線を検出するX線検出部とを備えたX線撮影装置において、前記X線管球は請求項1〜3の何れか1項に記載のX線管球であることを特徴とするX線撮影装置。
  5. 請求項4に記載したX線撮影装置において、X線管球の絶縁部に収容した電子放出源である陰極電極に電圧を印加する電源を設置し、計測プローブによって計測した絶縁部に生じた帯電電位に基づき帯電電位が所定の閾値を超えた場合に電源に対してその出力電圧を低下させる指令を出す判定器を設置したことを特徴とするX線撮影装置。
  6. 請求項4に記載したX線撮影装置において、前記判定器は自身によって出された指令により前記電源の出力電圧を低下させた結果、計測されたその帯電電位が所定の閾値より低下した場合には電源に対してその出力電圧を復帰させる指令を出す判定器を設置したことを特徴とするX線撮影装置。
  7. 請求項5に記載したX線撮影装置において、前記判定器は自身によって出された指令により前記電源の出力電圧を低下させると共に、計測されたその帯電電位が所定の閾値より低下するまで前記X線管球からX線の照射を待機させる指令を出すことを特徴とするX線撮影装置。
  8. 請求項4に記載したX線撮影装置において、X線管球からX線を照射させる診察と診察との間に計測プローブによって絶縁部に生じた帯電電位をモニターして検出した帯電電位の実測値と次回の診察の条件とから次回の診察時に生じる帯電電位の値を予測演算し、この予測演算した帯電電位の予測値が所定の閾値より低くなる値となるまで次回の診断を待機させるようにした計算機を設置したことを特徴とするX線撮影装置。
  9. 請求項8に記載したX線撮影装置において、前記計算機は、前記予測演算された次回の診察時に生じる帯電電位の値に基づいて、この予測演算した帯電電位の値が所定の閾値より低くなるように帯電緩和処理を指令することを特徴とするX線撮影装置。
  10. 請求項9に記載したX線撮影装置において、前記計算機は帯電緩和処理を指令して電源の出力電圧を低下させ、その後に診察に必要な電源の出力電圧に復帰するように指令することを特徴とするX線撮影装置。
  11. 請求項4に記載したX線撮影装置において、計測プローブはX線管球の絶縁部の外面に沿って移動する移動装置に設けられていることを特徴とするX線撮影装置。
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