JP5106789B2 - X線管装置及びx線ct装置 - Google Patents

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本発明は、X線CT装置に関わり、その内部に搭載されるX線管装置の焦点移動を低減する技術である。
X線CT装置などで使用中のX線管の焦点移動に対応するために、従来は焦点移動を検出する機構を設け、この検出結果に基づきX線管から照射されるX線の範囲を制御するコリメータを変位させて焦点移動をキャンセルする方法があり、特許文献1が開示されている。
また、焦点移動の検出結果に基づき、X線検出装置の検出感度分布を変化させて、焦点移動によるアーチファクトを防止する機構もあり、「特許文献2」、「特許文献3」などが開示されている。
特開2000-51209号公報 特開平6-269443号公報 特開平6-169914号公報
しかし、上記従来技術は、外部機構または制御回路を使用しており、小型大容量X線管を設置するための配慮がされていなかった。
本発明の目的は、焦点移動を管容器内で対策可能とし、かつ小型大容量のX線管装置を提供することにある。
また、その他の目的は上記X線管装置を採用してシステムの小型化を図ったX線CT装置を提供することにある。
上記目的は、電子ビームを放出する陰極と、前記陰極に対向配置され、前記電子ビームが衝突することで焦点が形成されるターゲットを有する陽極と、前記陰極と前記陽極を真空気密する外囲器と、前記外囲器を収納する管容器と、を備えるX線管装置であって、前記外囲器は、前記陽極の軸方向における前記焦点の位置から前記陰極側の端部である陰極端の位置までの範囲のいずれかの位置で前記管容器に支持されるとともに、前記陽極側の端部である陽極端では前記陽極の軸方向の膨張を抑制しない構造であることで達成される。
本発明により、焦点移動を管容器内で対策可能とし、かつ小型大容量のX線管装置を提供できる。
本発明によるX線管装置20の例として陽極2が回転しない場合を図1に、陽極2が回転する場合を図2に示す。
内装されるX線管10は先に述べたように絶縁のため真空中に設置された陰極1、陽極2、及び、これらを真空気密するための外囲器3から構成され、外囲器3はX線4を照射するための放射窓7を有している。
X線管装置20は、このX線管10を有し、これを絶縁し、且つ保持するための絶縁油11、支持具12、及び陰極、陽極への高電圧導入部13を有し、これらを収納する為の管容器14から構成され、陽極2が回転する機構を有している場合は、これを回転するためのコイル29を有している。
このX線管装置20の管容器14内部においてX線管10は、比較的重量の大きくなる陽極2と外囲器3の接合部で支持される場合が多い。しかし、本発明では、この管支持位置を外囲器3表面の陽極2軸方向で焦点8の位置から、焦点8位置を基準とし、陽極2と外囲器3の接合部に対して反対側の外囲器3端部、即ち図1、図2においては陰極1側の端部までの範囲としている。但し、大容量X線管装置などでは陽極2の重量が非常に大きくなる為、陽極2の端部にも支持点が必要となるが、この場合には陽極2が軸方向には自由に熱膨張できるようなスライド可能な支持構造16としている。
X線4の発生時には陽極2の温度が上昇し、これにより陽極2がεa熱膨張30し、焦点8の位置がεfだけ移動する。図3(a)に、一定のX線4を照射した場合の陽極2の熱膨張εa30の変化を示す。この状態で使用すると陽極2の熱膨張量30が焦点移動量15となり、式(1)のようになる。
εf=εa …(1)
大きい場合には数100μmの焦点移動15が発生する。
しかし、実際には外囲器3も陽極2の発熱により温度上昇し、熱膨張による伸びεv31が発生する。このため、図1、図2に示す支持構造を採用すると、この外囲器3の熱膨張εv31により、陽極2の伸びεa30が相殺されるため、焦点移動量εf15は式(2)で表現される。
εf=εa-εv …(2)
式(1)、(2)の比較から図1、図2の構造を採用することで、外囲器3の熱膨張εv31だけ焦点移動量15が低減されているのがわかる。
図1、図2の支持構造を採用した場合の陽極2の熱膨張30、外囲器3の熱膨張31の、X線管装置20使用時間による変化を図3(b)に示す。図3(b)に示した陽極伸び30と外囲器伸び31の差(図3(b)中の斜線部分)が焦点移動量15となる。
図3(b)で熱膨張による伸びが最大となっている範囲で検討すると、例えば陽極2の軸方向寸法が200mmの回転陽極2を考えた場合、陽極2全体での平均熱膨張率が1.1×10-6程度であり、陽極2平均温度の最大上昇幅が700℃程度である為、熱膨張による陽極2の伸び30は約150μm程度である。これに対して、外囲器3の陽極2軸方向寸法を300mm、平均熱膨張率5.4×10-6、平均温度上昇が70℃程度である為、外囲器3の熱膨張による伸び31は113μmとなり、焦点移動量15は150−113=37μm程度に抑えることができる。
更に陽極2軸方向で外囲器3の焦点8位置で支持した場合には外囲器3の焦点8から陽極2と外囲器3との接合部までの距離が200mmである為、外囲器3の熱膨張による伸び31は76μmとなり、焦点移動量15は150−76=74μm程度になり、いずれの場合でも100μm以下に低減することができる。
更に、本発明によるX線管装置20の例として陽極2を、その電子ビーム5が衝突する面の側と、その反対の面の側の両端で保持する場合を図4に示す。この場合には外囲器3の焦点8位置にてX線管10を支持することで、焦点8位置から陽極2側での焦点移動量εf15は陽極2及び外囲器3の伸び(εa1、εv1)30、31、焦点8位置から陽極2と反対の側での陽極2及び外囲器3の伸び(εa2、εv2)30、31により決定されることとなり、焦点8位置を基準として両側に伸びることとなるため、図1、図2の場合に比べて焦点移動量15を更なる低減が可能となる。
更に、焦点8近傍の外囲器3でターゲット6を覆う部分でX線管10を支持した場合にも同等の効果を得ることができる。
本発明に採用されるX線CT装置17は被検体18を乗せ、被検体18を任意の位置に移動可能な台座19と、X線管装置20、とこれに対向して設置されたX線検出装置21、X線の制御システム23、X線発生用高圧電源26を有し、X線検出装置21により得られるデータは画像計測システム22で処理された後、モニタ装置24に出力される。X線管装置20、X線検出装置21、X線の制御システム23、X線発生用高圧電源26は、回転ガントリ25に搭載されており、駆動用モータ27などにより被検体18周囲を回転する。X線CT検査装置17では、X線発生装置20とX線検出装置21が被検体18周囲を回転することで、被検体18の断層像を得ることが可能であり、更にこれらの断層像データを積層することで3次元形状の取得が可能である。
尚、搭載されるX線管装置20が回転陽極2型のX線管装置20である場合には、X線の制御システム23内部などにコイル電源28が含まれる場合もある。
本発明による固定陽極型X線管の一例を示す図。 本発明による片持ち回転陽極型X線管の一例を示す図。 (a)従来構造での陽極熱伸びによる焦点移動量の推移、(b)本発明構造での陽極熱伸びによる焦点移動量の推移を示す図。 本発明による両持ち回転陽極型X線管の一例を示す図。 X線CT検査装置の一例を示す図。
符号の説明
1 陰極、2 陽極(回転陽極)、3 外囲器、4 照射用X線又はX線錐、5 陰極による電子ビーム又は管電流、6 ターゲット、7 放射窓、8 焦点面、9 カソードまたはフィラメント、10 X線管、11 絶縁油、12 X線管支持具、13 陰極、陽極への高電圧導入部、14 管容器、15 焦点移動、16 支持構造、17 X線検査装置、18 被検体、19 台座、20 X線管装置、21 X線検出器、22 画像計測システム、23 X線制御システム、24 モニタ装置 25 回転ガントリ 26 X線発生用高圧電源、27 モータ、28 コイル電源、29 ステータコイル、30 陽極熱膨張による伸び、31 外囲器熱膨張による伸び 32 X線管支持範囲

Claims (2)

  1. 電子ビームを放出する陰極と、前記陰極に対向配置され、前記電子ビームが衝突することで焦点が形成されるターゲットを有する陽極と、前記陰極と前記陽極を真空気密する外囲器と、前記外囲器を収納する管容器と、を備えるX線管装置であって、
    前記外囲器は、前記陽極の軸方向における前記焦点の位置でのみ前記管容器に支持される構造であることを特徴とするX線管装置。
  2. X線管装置を被検体の周囲に回転させて、多数の角度方向からの撮影データを得、それらの投影データより前記被検体の断層像を再構成し、その再構成された断層像を表示するX線CT装置において、前記X線管装置は請求項1に記載のX線管装置であることを特徴とするX線CT装置。
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