JP2014232579A - X線管装置 - Google Patents

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Takashi Miyashita
隆志 宮下
慶二 小柳
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慶二 小柳
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Abstract

【課題】X線管装置のタンク内収納時の構造に影響を与えることなく、陽極の熱膨張によるX線の照射分布が変動を効果的に防止することを課題とする。【解決手段】X線管装置100は、電子線を発生する陰極20と、陰極20からの電子線を受けて電子線の進行方向(X方向)と異なる方向にX線を放出する傾斜ターゲット面11を有する陽極10と、真空の内部空間を有し、当該内部空間に陰極20及び陽極10を対向配置して収納する外囲器30と、陽極10の熱膨張に伴って、電子線の進行方向と直交する方向(Y方向)における傾斜ターゲット面11の位置を変化させる調整部材40とを備える。調整部材40は、傾斜ターゲット面11近傍に配置され、陽極の熱膨張に伴いそれ自体熱膨張することによってY方向に変位し、それにより陽極熱膨張による焦点位置の移動をキャンセルするように傾斜ターゲット面11を移動させる。【選択図】図1

Description

本発明は、陰極と陽極を真空外囲器に内封してなるX線管装置に係り、特に陽極の支持構造に関する。
X線管装置では、陰極から放出した電子を陽極のターゲットに衝突させて、そのエネルギーによってターゲットから放出されるX線を外囲器に設けられたX線照射窓部から取り出す。電子が衝突するターゲットが配置された陽極の面は、電子の進行方向と直交する面に対し傾斜しており、X線は電子の進行方向とほぼ直交する方向に照射される。
電子によりターゲットに与えられるエネルギーのうちX線に変換されるエネルギーは1%程度であり、99%は熱となり陽極を伝わり、陽極端部から排熱される。このため陽極には熱伝導率の高い材料、例えば銅が使用されている。
しかし銅は線膨張率が高く、X線を曝射し続けると陽極の温度が飽和するまで陽極が熱膨張し、電子が衝突するターゲットの焦点位置が動いてしまう。このためX線の照射分布が変動し検査の精度が低下するという問題があった。
陽極の加熱に伴う焦点移動を低減する手法が種々提案されており、例えば、特許文献1では、陰極と陽極を収納する外囲器の熱膨張を利用し、熱膨張時に外囲器が焦点の移動方向と反対方向に移動できる支持構造を採用することによって、陽極の焦点移動をキャンセルするようにしたX線管装置が提案されている。
特開2007−323898号公報
通常X線管装置は、絶縁油を満たしたタンク内に収納した状態で使用され、X線管装置のX線照射窓部と、タンクのX線照射窓部とはOリングを配置した状態で、ねじ等で固定される。
特許文献1に提案されるX線管装置は、タンクに収納した状態で外囲器の熱膨張による移動を許容するために、X線照射窓部のフランジとタンクのX線照射窓部との間に隙間を設ける必要がある。そのため、フランジとタンクのX線照射窓との間の空間にも絶縁油を満たすこととなり、絶縁油によりX線量が減衰するという新たな問題を生じる。
本発明は、X線管装置のタンク内収納時の構造に影響を与えることなく、陽極の熱膨張によるX線照射分布の変動を効果的に防止することを課題とする。
上記課題を解決するため本発明のX線管装置は、陽極を電子の進行方向と直交する方向に移動可能にする陽極支持構造を採用する。
すなわち本発明のX線管装置は、電子線を発生する陰極と、前記陰極からの電子線を受けて電子線の進行方向と異なる方向にX線を放出する傾斜ターゲット面を有する陽極と、真空の内部空間を有し、当該内部空間に前記陰極及び前記陽極を対向配置して収納する外囲器と、前記陽極の熱膨張に伴って、前記電子線の進行方向と直交する方向における前記傾斜ターゲット面の位置を変化させる調整部材とを備える。調整部材は、前記陽極の熱膨張に伴い変位する可動要素を含む。
調整部材により、陽極の傾斜ターゲット面が電子線の進行方向(X方向とする)と直交する方向(Y方向)に移動すると、電子線が衝突する傾斜ターゲット面上の位置(すなわち焦点位置)は電子線の進行方向(X方向)に変位する。このX方向の変位量は、傾斜ターゲット面のY方向の移動量と傾斜ターゲット面の傾斜角度に依存する。調整部材は、傾斜ターゲット面のY方向の移動による焦点位置のX方向変位量が、陽極の熱膨張によるX方向の移動量を相殺する変位量となるように、傾斜ターゲット面をY方向に移動する。これにより、焦点の移動を防止でき、X線の照射分布の変動を防止し、X線照射の精度を向上できる。
第一実施形態の固定陽極X線管装置の全体概要を示す図 第一実施形態のX線管装置の、外囲器端部における陽極の支持構造を示す図 第一実施形態のX線管装置の、外囲器における陽極の調整部材の構造を示す図で、(a)は側断面図、(b)は傾斜ターゲット面側から見た図 第一実施形態のX線管装置における調整部材の機能を説明する図 第一実施形態のX線管装置の変更例を示す図で、(a)は側断面図、(b)は傾斜ターゲット面側から見た図 第二実施形態のX線管装置の全体概要を示す図 第二実施形態のX線管装置の制御ブロック図 第二実施形態のX線管装置の制御手順を示す図 第一実施形態及び第二実施形態における、焦点移動量の時間推移を示すグラフ
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の各実施形態のX線管装置に共通する構成は、次のとおりである。
X線管装置は、電子線を発生する陰極(20)と、陰極(20)からの電子線を受けて電子線の進行方向と異なる方向にX線を放出する傾斜ターゲット面(11)を有する陽極(10)と、真空の内部空間を有し、当該内部空間に陰極(20)及び陽極(10)を対向配置して収納する外囲器(30)と、傾斜ターゲット面の、前記電子線の進行方向と直交する方向(単に直交方向という)の位置を調整する調整部材(40)とを備える。調整部材(40)は、陽極の熱膨張に伴い変位する可動要素(42)を含む。可動要素(41)は、その変位によって傾斜ターゲット面(11)の前記直交方向における位置を変化させる。外囲器(30)はその端部(30a)において、前記直交方向における陽極の移動を許容する陽極支持構造を有する。
<第一実施形態>
本実施形態のX線管装置は、上述した共通する構成に加えて、調整部材(40)が、外囲器(30)の内面に固定された固定部(41)と、陽極(10)に固定された支持部(42)と、固定部(41)と支持部(42)とを連結する緩衝材(43)とを備える。支持部(42)は熱膨張率が前記陽極と同じかそれより高い材料とすることができる。また固定部(41)は、外囲器(30)の内面に固定された端面と緩衝材(43)が固定された端面との間の側面に凹凸構造が形成されたものとすることができる。支持部(42)は、固定部(41)に対する端面の位置が変化可能な可動要素である。
支持部(41)は、例えば、一端が陽極(10)にろう付けされている、或いは陽極(10)に形成された孔に嵌合している。
以下、図1〜図4を参照して、本実施形態の固定陽極X線管装置を説明する。本実施形態のX線管装置100は、図1に示すように、真空の内部空間を有する外囲器30と、外囲器30内に密封された陽極10と陰極20とを備えている。X線管装置100は、通常、絶縁油で満たされたX線管容器(以下、タンクという)50内に収納されている。また図1には示していないが、X線管装置100は、外囲器30の外側に、陽極10及び陰極20に高圧電圧を印加する電源回路や電源回路を制御する制御回路などを備えている。
陽極10は、円筒状の部材で、陰極20と対向する端面には、タングステン等からなるターゲット12がその表面が陽極端面と同一面となるように埋め込まれており、ターゲット面11を形成している。このターゲット面は陽極10の軸方向すなわち陰極20からの電子線の照射方向(進行方向)と直交する面に対し所定の角度(例えば22度)傾斜した傾斜面であり、陰極20からの電子線を受けてターゲット12から発生するX線が電子線の進行方向に対し概ね垂直な方向(直交方向)に照射されるように構成されている。図中、電子線の進行方向を矢印Aで示し、直交方向を矢印Bで示している。なお以下の説明では、電子線の進行方向をX方向、直交方向をY方向という。
陽極10は、ターゲット12で発生する熱を効率よく陽極10端部から放熱するために、熱伝導性のよい材料、典型的には銅で構成されている。図示していないが陽極10の端面(ターゲット12が埋め込まれた凹部)とターゲット12との間には、両者の熱膨張率の差に起因する熱応力を緩和するための緩衝材などを配置してもよい。また陽極10の内部に冷媒を循環させる冷媒循環路を形成してもよい。緩衝材や冷媒循環路に関しては、例えば特開2011−146212号公報や特開2012−1192074号公報に記載された技術を採用することができる。
陰極20は、フィラメント21、収束電極、ステムなどを備え、ステムが外囲器30の端部30bに固定されている。このとき、フィラメント21が陽極10のターゲット12と所定の間隔をもって対向しており、フィラメント21から発生し陽極10側に向かう電子線は、収束電極によってターゲット12のほぼ中心が焦点12aとなるように照射される。
外囲器30は、概ね円筒状の形状を有し、その両端側の径が円筒の中央部分の径よりも小さく、その小径となった両端部30a、30bに、陽極10及び陰極20がそれぞれ固定されている。外囲器30の両端部に挟まれた円筒部30cは、ステンレス鋼や銅などの金属材料から成り、両側の小径の円筒部分は絶縁物から成る。金属製の円筒部30cのほぼ中央には、陽極10のターゲットから発生されるX線を透過するためのX線放射窓33が形成されている。X線照射窓33は、X線調の減衰を極力小さくするためX線透過性に優れたベリリウムが用いられる。外囲器30の外側の、X線照射窓33の周囲にはフランジ35が固定されている。このX線照射窓33のフランジ35は、タンク50に形成されたX線照射窓にOリング(不図示)を介して固定されている。これによりX線照射窓33とフランジ35で囲まれる空間は密閉され、X線を減衰させる絶縁油が入り込まない構成となっている。
外囲器30の陽極10が固定される端部(陽極支持部)30aは、コバール等の熱膨張率の低い材料からなり、円筒部30cとの間に、図2に示すような蛇腹状の部材37が設けられている。部材37の両端面は、それぞれ外囲器30及び陽極支持部30aと溶接等で接合されている。このように、陽極支持部30aと外囲器30の円筒部30cとの間に蛇腹状の部材37を配置した陽極支持構造とすることにより、陽極10の熱膨張に伴う変位(X方向の変位)及び後述する調整部材による変位(Y方向の変位)を吸収することができる。
また外囲器30の円筒部30cの内面と、陽極10の側面との間に、調整部材40が配置されている。調整部材40は、陽極10の側面に固定される端面が、陽極10の軸方向A(X方向)と直交する方向(Y方向)に変位することが可能であり、これにより陽極10のY方向の位置を調整する機能を持つ。図3に、調整部材40の詳細を示す。図3の(a)は、電子線の進行方向Aに平行な側断面図、(b)は傾斜ターゲット面11側から見た図である。図示するように、調整部材40は、傾斜ターゲット面11の近くであって、その長手方向が陽極10の円筒の半径方向(図中、上方向)に延びるように、配置されている。
調整部材40は、外囲器30の円筒部30cの内面に固定される固定部41と、陽極10の側面に固定される支持部42と、固定部41及び支持部42とを接続する緩衝材43とからなる。これら調整部材40の各要素間の接合、外囲器30と固定部41との接合、及び陽極10金属と支持部42との接合は、金銅ろう(BAu−1V)等の高融点ろう材を用いたろう付けとすることが好ましい。金銅ろうの融点は約980℃であり、高電圧投入時の固定陽極の温度(800℃程度)に対しても十分耐熱性がある。
固定部41は、低熱膨張率、低熱伝導率の材料、例えばアルミナ、窒化アルミなどのセラミックからなる。支持部42は、陽極10を構成する材料と同程度かそれ以上の線膨張係数の材料からなる。具体的には、銅や銀が用いられる。銀の線膨張率は、2.59×10−5:1000K(727℃)、銅の線膨張率は、2.24×10−5:1000K(727℃)である。支持部42は、電子線照射エネルギーで加熱された陽極10からの伝導熱で熱膨張し、軸方向の長さが変化し(延び)、これにより陽極10を、調整部材40が固定された側と反対側に押し下げ、その位置を変化させる。
緩衝材43は、陽極10金属と支持部42の熱膨張による固定部41の熱応力を緩和するためのもので、Fe−Ni−Co合金(コバール)やFe−Ni合金などの合金が用いられる。
次に以上の構成によるX線管装置において、焦点位置を一定にするための調整部材40の機能を、図4を用いて説明する。
陰極20のフィラメント21から電子線がターゲット12(その焦点)に照射されると、ターゲット12からX線が発生し、傾斜ターゲット面11からX線照射窓33に向かってX線が照射される。このとき,X線発生に利用される電子線のエネルギーは1%程度であり、大半は熱となって、ターゲット12材料(タングステン)から陽極10に伝達される。この熱は陽極10の端部から放熱されるが、高出力(例えば入力電力350W)のX線管装置の場合、陽極10の傾斜ターゲット面11近傍は800℃近くまで加熱される。これに伴い陽極10は熱膨張し、陰極20のフィラメント21とターゲット焦点12aとの距離dが変化し(距離が縮まり)、そのままだと、X線照射窓33から照射されるX線の照射分布が変動する。陽極10が熱膨張した状態を図4中、一点鎖線で示している。
ここで傾斜ターゲット面11を、図4に点線で示すように、直交方向(Y方向:下側)に移動させると、傾斜ターゲット面11の位置を、熱膨張する前の傾斜ターゲット面11の位置と同じ位置にすることができる。すなわち、傾斜ターゲット面11のY方向に対する角度をθ、Y方向の移動量をΔY、としたとき、陽極10をY方向に移動させることにより生じるフィラメント21と傾斜ターゲット面11との距離dの変化Δxは、
Δx=ΔY×tanθ
であり、傾斜ターゲット面11はこの変位量Δxだけ、もとの位置から後退したのと同様になる。一方、陽極10の熱膨張により傾斜ターゲット面11は、もとの位置からフィラメント21側に移動するので、この熱膨張による移動量Δdと、Y方向の移動によって生じる変位Δxとが同じ(符号は逆)となるようにY方向の位置を調整することにより、熱膨張による陽極10の移動をキャンセルできる。
仮に、傾斜ターゲット面の陽極の軸方向(X方向)と直交する面に対する角度が22度であって電子線照射方向における傾斜ターゲット面11の熱膨張時の移動量(フィラメントとの距離の変化Δd)が200μmであるとすると、Y方向(図3(a)の上下方向)の移動量ΔYが495μmであるときに、傾斜ターゲット面11とフィラメントとの距離は熱膨張前と同じにすることができる。
本実施形態では、傾斜ターゲット面11の近傍に位置する調整部材40(支持部42)が、上述した陽極からの熱により熱膨張し、直交方向の長さが変化することにより、傾斜ターゲット面11近傍の陽極を押し下げ、移動量ΔYの移動を実現する。変位量ΔYは、材料の線膨張率を用いて予め計算することができ、所定の変位量が得られる材料を選択する。一例として、上述した材料の線膨張率を用いて、室温(20℃)から1000K(727℃)までの上下方向(方向B)の寸法変化を計算すると、例えば、陽極10の材料が銅で、直径が28.5mm、支持部42の材料が銅で長さが3mmの場合、次式(1)より変位量は499μmとなる。
[数1]
(3+28.5)×2.24×10−5×(727−20)=499μm・・・(1)
また陽極10の材料が銅で、直径が28.5mm、支持部42の材料が銀で長さが2.5mmの場合、次式(2)より変位量は497μmとなる。
[数2]
(2.5×2.59×10−5+28.5×2.24×10−5)×(727−20)=497μm・・・(2)
式(1)及び式(2)で得られる変位量(499μm、497μm)は、前述したX方向の変位量200μmを得るためのY方向移動量495μmとほぼ同程度であり、上記材料を選択することにより、傾斜ターゲット面の軸方向の焦点移動量をキャンセルすることができることがわかる。
以上、具体的な数字を挙げて調整部材40の機能を説明したが、所定の電力でX線管装置を動作させた場合の陽極10の温度とそれによる傾斜ターゲット面11の軸方向(X方向)の変位Δdは予め計測しておくことができるので、その結果を用いて、変位Δdをキャンセルする支持部42の材料及び長さを設計することができる。
なお陽極10が軸方向に移動することによって、陽極10に固定された支持部42は、外囲器30に固定された固定部41に対し軸方向にずれることになるが、支持部42と固定部41とを緩衝材43によって結合しているので、緩衝材43がこの軸方向のずれを吸収し、固定部41に応力がかかるのを防止する。
また陽極10が軸方向と直交する方向(Y方向)に移動することによって、陽極10と外囲器30の端部30aとの固定部分にも応力が発生するが、陽極10を支持するための陽極支持構造を、図2に示したように、直交方向の変位を吸収できる部材例えば蛇腹状の部材37で構成することにより、応力を緩和することができる。
本実施形態のX線管装置によれば、外囲器30と陽極10との間に、陽極10を軸方向と直交する方向に変位させる可動要素(支持部42)を含む調整部材40を設けたことにより、X線管装置が収納されるタンク等の設計に影響を与えることなく、焦点と陰極フィラメント間の距離を一定に保つことができ、X線照射分布の変動を抑制することができる。
また本実施形態のX線管装置によれば、調整部材40の支持部42を、緩衝材43を介して外囲器30に結合した構造としたことにより、調整部材40と外囲器30との結合部分にかかる応力を緩和することができる。
さらに本実施形態のX線管装置によれば、外囲器30の陽極支持構造として、陽極10の軸方向と直交する方向に対する変位を吸収する構造を採用したことにより、調整部材40による陽極位置の調整を円滑にすることができる。
<第一実施形態の変更例>
第一実施形態のX線管装置では、調整部材40の支持部42が陽極10の側面にろう付けによって固定されている場合を示したが、陽極10の一部が支持部42を兼ねていてもよい。逆に言えば、支持部42が陽極10の内部に嵌めこまれていて、陽極10の一部と一体化していてもよい。この変更例を図5に示す。図5の(a)は、電子線の進行方向(X方向)に平行な側断面図、(b)は傾斜ターゲット面11側から見た図である。
変更例のX線管装置でも、調整部材40が、固定部41と支持部42とそれらを連結する緩衝材43とで構成されること、調整部材40が、傾斜ターゲット面11の近くであって、その中心軸が図5(a)の断面上にあって且つ陽極10の円筒の半径方向(図中、上方向)に延びるように、配置されていることは、図3に示すX線管装置と同様である。ただし変更例では、支持部42は陽極10を貫通し、その断面内に含まれている。
この変更例では、例えば、支持部42として陽極10の材料(たとえば銅)よりも線膨張率の大きい材料(たとえば銀)を用いることにより、熱膨張時における、陽極10の軸方向と直交する方向の移動量を大きくすることができる。具体的には、陽極10の直径が28.5mm、支持部42の材料が銀で、陽極10から突出している部分の長さが2.7mmの場合、次式(3)より変位量は771μmとなる。
[数3]
(31.2)×2.59×10−5×(727−20)=771μm・・・(3)
従って、この変更例によれば、陽極への入力が高く、陽極10(傾斜ターゲット面11)の軸方向の移動量が多い場合にも、対応することができる。
<第二実施形態>
本実施形態のX線管装置も、傾斜ターゲット面近傍の外囲器30と陽極10との間に調整部材を設けることは第一実施形態と同様である。本実施形態のX線管装置は、この調整部材に加熱手段を設けたことが特徴である。
以下、本実施形態のX線管装置を、図6〜図8を参照して説明する。図6は、本実施形態のX線管装置の全体概要を示す図であり、図1のX線管装置と同じ要素は同じ符号で示している。図7は、本実施形態のX線管装置の制御ブロック図、図8は本実施形態のX線管装置の制御の手順を示す図である。以下、第一実施形態のX線管装置と異なる要素について説明し、共通する要素の説明は省略する。
本実施形態のX線管装置200は、陽極10及び陰極20を収納する外囲器30の外側に、陽極10及び陰極20に高圧電圧を印加する電源回路210、電源回路210を制御する制御回路220、陽極10の焦点の移動を検知する焦点移動センサー230、検査用X線センサー240などを備えている。制御回路220は、焦点移動センサー230や検査用X線センサー240からの検知信号を入力し、それによって電源回路210及び後述する調整部材の加熱手段を制御する。
検査用X線センサー240は、X線照射窓33から照射されるX線を検出し、その強度や分布を計測する。焦点移動センサー230は、陽極10の熱膨張等による焦点位置の変化を検知するもので、検査用X線センサー240が検出したX線強度分布の変化から焦点位置の移動を検知する。
外囲器30内に陽極10と陰極20が対向配置されていることは第一実施形態と同様であるが、この実施形態では、陽極10と外囲器30とは、Ag等の熱膨張率の高い材料からなる支持棒45(調整部材)で連結されている。支持棒45は、内部にヒーター47が組み込まれている。支持棒45は、陽極10の側面にろう付けにより固定されていてもよいし、第一実施形態の変更例と同様に、その一部が陽極10を貫通するように陽極10に嵌合していてもよい。ヒーター47としては、出力が20〜30W程度の、金属或いは非金属の抵抗発熱体を用いることができ、ヒーター47の導線(不図示)は、例えば、外囲器30の円筒部30cに設けられた真空用電流導入端子及びタンク50の端子を介して外部に引き出され、所定の電源250に接続される。電源250の駆動は、制御回路220によって制御される。
制御回路220によるヒーター47の制御は、焦点移動量によるフィードバック制御とすることができる。図7に示すように、制御回路220は焦点移動センサー230からの焦点移動量を監視し、熱膨張による焦点移動がなくなるまでヒーター47を駆動する。
具体的には、図8に示すように、陽極10が加熱することによって、陽極10がその軸方向に移動し、焦点位置が変化したことを焦点移動センサー230が検出すると(S801、S802)、ヒーター47を駆動する(S803)。支持棒4は陽極10からの熱量とヒーター47からの熱量の合計を受けて、その長手方向すなわち陽極の軸方向と直交する方向に延びる。支持棒4が延びることにより、陽極10は、図4に示したように、軸方向と直交する方向に変位し、これによって焦点位置は軸方向に後退したのと同じ効果を与える。つまり軸方向の熱延びをキャンセルし、焦点移動量は縮小する。ヒーター47の駆動は、移動量がゼロになるまで続けられ(S804)、移動量がゼロになると駆動が停止される(S805)。このようにヒーター47は、常に焦点移動量がゼロとなるように制御され(S801〜S806)、焦点位置の変動が最小限に抑制される。
本実施形態によれば、調整部材である支持棒45に加熱手段47を設けるとともに、加熱手段47を、焦点移動量を用いてフィードバック制御することにより、高い精度で焦点位置変動を抑制することができる。
なお上記実施形態では、陽極10と外囲器30とを単一の部材である支持棒45で連結した場合を説明したが、第一実施形態における固定部41、緩衝材43及び支持部42から構成される調整部材40の、支持部42をヒーター付き支持棒45に置き換えてもよい。その場合にも同様の効果を得ることができ、さらに緩衝材43によって、支持棒45と陽極10との接合部及び支持棒45と外囲器30内面との接合部に発生する応力を緩和することができる。
また図7では、ヒーター47を焦点移動センサー230からの出力を用いてフィードバック制御する場合を説明したが、制御の手法は図7や図8の実施形態に限定されない。例えば、陽極10の軸方向の移動量と支持棒45の直交方向の移動量との関係を予め計測しておき、支持棒45について所定の移動量となる温度範囲にヒーター47を制御することも可能である。
一般的な固定陽極X線管装置(下記の陽極)について、350W入力時の焦点移動量をシミュレーションにより計算した(参考例)。
陽極−材料:銅、長さ:70mm、直径:15mm
またこのX線管装置の外囲器と陽極との間に支持棒(銀製、長さ:22mm、直径:2mm)を配置した場合(実施例1)及び同様に支持棒内にヒーターを配置し、焦点位置に応じてヒーター(25W)を駆動した場合(実施例2)について、それぞれ焦点移動量を計算した。結果を図9に示す。
図9の参考例に示すように、約1000秒(約17分)でほぼ温度は飽和し、焦点位置もほぼ安定するが、飽和するまでは焦点位置が大きく変動し、この間は安定した検査を行うことができない。これに対し、陽極よりも熱膨張率の大きい材料からなる支持棒を外囲器と陽極との間に配置した場合(実施例1)には、約200秒(約3分)で焦点位置が安定した。また焦点移動量も参考例では飽和時に350μmであったのに対し、30μmであり、大幅な抑制効果が確認された。なお焦点移動量の抑制効果320μmのうち、300μmは、陽極10の実質的な支持位置を、外囲器の端部から陽極のターゲット面近傍に移動したことによる効果、20μmは支持棒の熱膨張による効果である。さらに支持棒の温度をヒーターで制御した場合(実施例2)には、電力投入後から焦点移動量をほぼゼロ(5μm以下)に抑制することができた。
本発明によれば、固定陽極X線管装置における陽極熱膨張に起因する焦点移動の問題を解決し、電力投入直後から安定した強度分布のX線照射が実現できるX線管装置が提供される。
10・・・陽極、11・・・傾斜ターゲット面、12・・・ターゲット、20・・・陰極、30・・・外囲器、30a、30b・・・外囲器の端部、30c・・・円筒部、33・・・X線照射窓、37・・・蛇腹状の部材、40・・・調整部材、41・・・固定部、42・・・支持部(可動要素)、43・・・緩衝材、45・・・支持棒(調整部材)、47・・・ヒーター(加熱手段)、50・・・タンク、100、200・・・X線管装置、220・・・制御回路。

Claims (12)

  1. 電子線を発生する陰極と、前記陰極からの電子線を受けて電子線の進行方向と異なる方向にX線を放出する傾斜ターゲット面を有する陽極と、真空の内部空間を有し、当該内部空間に前記陰極及び前記陽極を対向配置して収納する外囲器と、前記陽極の熱膨張に伴って、前記電子線の進行方向と直交する方向における前記傾斜ターゲット面の位置を変化させる調整部材とを備えたことを特徴とするX線管装置。
  2. 請求項1に記載のX線管装置において、
    前記外囲器はその端部において、前記電子線の進行方向と直交する方向における前記陽極の移動を許容する陽極支持構造を有することを特徴とするX線管装置。
  3. 請求項2に記載のX線管装置であって、前記陽極支持構造は蛇腹状の部材を含むことを特徴とするX線管装置。
  4. 請求項1または2に記載のX線管装置において、
    前記調整部材は、前記陽極の熱膨張に伴って熱膨張する可動要素を含むことを特徴とするX線管装置。
  5. 請求項1または2に記載のX線管装置であって、前記調整部材は、前記外囲器の内面に固定された固定部と、前記陽極に固定され、前記陽極の熱膨張に伴って熱膨張する可動要素と、前記固定部と前記可動要素とを連結する緩衝材とを備えることを特徴とするX線管装置。
  6. 請求項5に記載のX線管装置であって、前記固定部は、前記外囲器の内面に固定された端面と前記緩衝材が固定された端面との間の側面に凹凸構造が形成されていることを特徴とするX線管装置。
  7. 請求項4又は5に記載のX線管装置であって、前記可動要素は、熱膨張率が前記陽極と同じかそれより高い材料から成ることを特徴とするX線管装置。
  8. 請求項4又は5に記載のX線管装置であって、前記可動要素は、一端が前記陽極にろう付けされていることを特徴とするX線管装置。
  9. 請求項4又は5記載のX線管装置であって、前記可動要素は、前記陽極に形成された孔に嵌合していることを特徴とするX線管装置。
  10. 請求項1または2に記載のX線管装置であって、前記調整部材は、加熱手段を備えることを特徴とするX線管装置。
  11. 請求項10に記載のX線管装置であって、前記加熱手段を制御する制御部を備えることを特徴とするX線管装置。
  12. 請求項11に記載のX線管装置であって、前記制御部は、前記調整部材の温度を前記陽極の温度と等しくなるように前記加熱手段を制御することを特徴とするX線管装置。
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