JP5021449B2 - 凸版印刷用原版およびその製造方法、凸版印刷版の製造方法、ならびにインク受容層形成用組成物 - Google Patents

凸版印刷用原版およびその製造方法、凸版印刷版の製造方法、ならびにインク受容層形成用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、遮光インクを保持し得るインク受容層を形成するインク受容層形成用組成物、このインク受容層形成用組成物を用いて形成されたインク受容層を有する凸版印刷用原版、ならびに凸版印刷版の製造方法に関する。
フレキソ印刷版を始めとする凸版印刷版には、一般的に、感光性樹脂が用いられる。具体的には、凸版印刷版は、支持体の上に少なくとも感光性樹脂層が設けられた板状部材である。この感光性樹脂は、一般にエラストマー性のバインダーと、少なくとも一つの光重合性モノマー及び光重合開始剤とから構成されている。
前記フレキソ印刷版の製造では、まず、感光性樹脂層の上に、印刷しようとする文字や画像などのイメージのネガパターンを有するフィルム(マスク)を置き、このマスクを介して、化学線を前記感光性樹脂層に照射する。化学線の照射を受けた部分は、光重合反応が生じて硬化する。その後、未硬化部分を、現像液を用いて洗い流すと、前記イメージに対応した凸状パターンが残留する。その結果、フレキソ印刷版ができあがる。フレキソ印刷では、前記凸状パターンの先端部分にインクを付着させて、紙などの印刷媒体に押しつけることで印刷物を得る。
しかし、マスクはハロゲン化銀を用いた光化学反応を用いて製造されるため、その製造にはコストがかかり、工程も煩雑である。また、感光性樹脂層の表面に直接的に紫外線吸収性の遮光インクを用いてインクジェットプリンターやレーザープリンターなどの印刷装置によりネガパターンを印刷する技術が提案されている。しかし、この技術では、遮光インクは、感光性樹脂層の表面に直接印刷されるため、印刷部分ににじみやはじきが生じて鮮明な印刷パターンが得られないことがある。
そのため、支持体上に、所定の波長域の光に感光性を有する感光性樹脂層と、遮光インクにより層中に遮光パターンが形成されるインク受容層とが積層されている凸版印刷用原版であって、インク受容層が所定の波長域の光に対して透明であり、遮光インク保持能を有する凸版印刷用原版が開示されている(特許文献1参照)。
この凸版印刷用原版のインク受容層を構成する成分としては、遮光インク保持能を持ち、水溶性もしくは水溶性有機溶媒に可溶もしくは分散可能な、あるいはこれら溶媒により膨潤する樹脂が好ましく用いられている。
特開2005−316325号公報(平成17年11月10日公開)
特許文献1に記載されているインク受容層を構成する成分としては、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリビニルプロピルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロースなどがある。しかしながら、単にこれらの成分を用いたインク受容層では、インクのにじみ性、遮光性および保護層であるカバーシートの剥離性の調整が困難であった。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、インクのにじみ性、遮光性および保護層であるカバーシートの剥離性を制御することで、インクの種類に応じた印刷特性を実現することができる凸版印刷用原版およびその製造方法、凸版印刷版の製造方法、ならびにインク受容層形成用組成物を提供することを目的としている。
本発明にかかる凸版印刷用原版は、感光性樹脂層と、該感光性樹脂層の上に設けられたインク受容層とを含有する凸版印刷用原版であって、
前記インク受容層は、質量平均分子量が互いに異なるヒドロキシアルキルセルロースを少なくとも2種以上含む。
本発明にかかる凸版印刷版の製造方法は、本発明にかかる凸版印刷用原版のインク受容層に、露光波長を遮断する遮光インクを用いて遮光パターンを形成するパターン形成工程、
前記遮光パターンをマスクとして、前記感光性樹脂層に前記露光波長の波長域の光を照射する照射工程、および、
前記露光波長の波長域の光が露光されずに未硬化状態にある前記感光性樹脂層の非照射領域を除去して、印刷用の凸状パターンを有する樹脂層を形成する樹脂層形成工程、を含む。
本発明にかかるインク受容層形成用組成物は、少なくとも2種以上の、質量平均分子量が互いに異なるヒドロキシアルキルセルロースを含む。
本発明にかかる凸版印刷用原版の製造方法は、感光性樹脂層上のインク受容層を熱溶融にて形成することを含む。
本発明に係る凸版印刷用原版は、少なくとも2種以上の、互いに質量平均分子量が異なるヒドロキシアルキルセルロースを含むインク受容層を有する。これにより、インクのにじみ性、遮光性および保護層であるカバーシートの剥離性を調整することができ、それによりインクの種類に応じた印刷特性を実現することができる凸版印刷用原版を提供することができる。
また、本発明に係るインク受容層形成用組成物は、少なくとも2種以上の、質量平均分子量が互いに異なるヒドロキシアルキルセルロースを含むことにより、インクのにじみ性などが向上したインク受容層を製造することができる。
本発明にかかる凸版印刷版の製造方法は、上記凸版印刷用原版を用いて形成することにより、インクのにじみ性、遮光性および保護層であるカバーシートの剥離性を調整することができる。
以下に、本発明の詳細な実施形態について説明する。
1.インク受容層形成用組成物
本発明のインク受容層形成用組成物は、少なくとも2種以上の、質量平均分子量が互いに異なるヒドロキシアルキルセルロースを含有する。
(ヒドロキシアルキルセルロース)
ヒドロキシアルキルセルロースは、遮光インクを保持することができる成分であり、その分子量によって、遮光インク保持能が異なる。そのため、このように、少なくとも2種以上の、質量平均分子量が互いに異なるヒドロキシアルキルセルロースを含むことにより、インク受容層におけるインクのにじみ性、遮光性および保護層であるカバーシートの剥離性の調整をすることができ、それにより、インクの種類に応じた印刷特性を実現することができる。
前記ヒドロキシアルキルセルロースの質量平均分子量の範囲は(A)1×10〜3×10であるものと、(B)4×10〜1×10であるものと、を含み、好ましくは(A)1×10〜2×10、(B)8×10〜9×10である。
ヒドロキシアルキルセルロースとしては、上記役割を果たすことができれば特に制限されない。たとえば、アルキル基は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状アルキル基であることが好ましく、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの少なくとも1種を用いることができる。
上記(A)と(B)とを組み合わせることにより、インクのにじみ性の制御を良好に行なうことができる。また、前記(A)と、前記(B)との質量比は、(A):(B)=55:45〜95:5であることが好ましい。より好ましくは(A):(B)=70:30〜90:10である。(A)と(B)との比が上記範囲であれば、にじみ性を良好に制御することができる。なお、本発明において、にじみ性を調整するとは、にじみ易さとにじみ難さとを制御して、保持するインクに応じて最適なにじみ性が得られる状態にすることをいう。たとえば、浸透剤の含有量が比較的多いにじみ易いインクを用いる場合には、上記範囲内において、(A)の割合が高いことが好ましく、浸透剤の含有量が比較的少ないにじみ難いインクを用いる場合には、(A)の割合が低いことが好ましい。
(有機溶剤)
本発明のインク受容層形成用組成物は、さらに、有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤を含有することにより、感光性樹脂層上へのインク受容層形成用組成物の塗布を容易にすることができる。有機溶剤は、ヒドロキシアルキルセルロースを可溶または分散するための溶剤であり、上記役割を果たすことができる溶剤であれば、特に制限されることはない。有機溶剤としては、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等の低級アルコール類、ジブチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n‐プロピル、酢酸n‐ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、などを挙げることができる。これら有機溶剤は、単独でもまた混合しても用いることができる。
(その他の成分)
本発明に係るインク受容層形成用組成物は、上記成分の他に、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトールなどの多価アルコールを含有させてもよい。インク受容層に多価アルコールを含有させることにより、特に、水系インクの記録特性を損なうことなく、フレキソ印刷版への追従性を良好にすることができる。この場合、多価アルコールの含有量は、インク受容層中の樹脂100質量部に対し40質量部以下とすることが好ましく、5〜25質量部とすることがより好ましい。上記範囲である場合、水系インクの記録特性の向上を図ることができる。
また、インク受容層中には、インク吸収性の向上およびブロッキングの防止を図るために顔料を含有させてもよい。顔料としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、合成ゼオライト、アルミナ、スメクタイトなどの無機顔料の他、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂などからなる樹脂ビーズ、若しくはこれらを原料とする中空樹脂ビーズなどの有機顔料が挙げられる。また、これらを1種又は2種以上混合して使用することができる。顔料の添加量は、インク受容層組成物中の全樹脂100質量部に対し、通常3〜200質量部程度である。
さらに、インク受容層形成用組成物中は、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、キレート剤などの添加剤を含むことができる。
また、本発明のインク受容層形成用組成物を用いて形成されるインク受容層に対して特に好適に用いられるインクの一例について説明する。ここでは、後述の感光性樹脂層をパターニングするために用いる露光光を吸収して透過を遮断できる特性を有し、インク受容層への定着が良好な遮光インクを例示する。具体的には、300nm以上、450nm以下の波長域の光に高い吸収性を持つ水溶性染料、油性染料、分散染料、有機溶剤易溶顔料等を含有する遮光インクを挙げることができる。
前記水溶性染料としては、水中での吸収スペクトルが300nm以上、450nm以下の範囲に高い吸収があり、かつ水に対しての溶解度は通常5質量%以上、好ましくは7質量%以上であるものを適宜選択すればよい。このような色素の具体例として、水溶性の銅フタロシアニン染料、黄色染料、褐色染料などが挙げられる。また、これらの水溶性染料を2種以上併用してもよい。
前記水溶性の銅フタロシアニン染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブルー86,87,199、C.I.アシッドブルー249等が挙げられ、好ましくはC.I.ダイレクトブルー86,199である。
前記水溶性の黄色染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,49,61,64,76,79,100,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,220,227、C.I.ダイレクトイエロー1,8,11,12,24,26,27,33,39,44,50,58,85,86,87,88,89,98,110,132,142,144等が挙げられ、好ましくはダイレクトイエロー132,142である。
前記水溶性の褐色染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブラウン1,2,6,25,27,33,37,39,59,60,62,95,99,100,104,106,112,113,115,167,169,175,195,210等が挙げられ、好ましくはC.I.ダイレクトブラウン195である。
前記水溶性の銅フタロシアニン染料は、通常550〜650nmおよび300〜400nmに吸収極大を有し前記水溶性の黄色染料または褐色染料は、通常350〜450nmに吸収極大を有する。なお、本発明の凸版印刷板の製造方法に用い得る光源の波長は、通常300〜400nmであるため、照射された光を効率よく吸収し、遮光するために、前記水溶性の銅フタロシアニン染料と、水溶性の黄色染料および/または褐色染料を併用することが好ましい。
前記油性染料の具体例としては、オイルイエロー105,107,129,3G,GGS、バリファストイエロー1101,1105,4120(何れも、オリエント化学工業(株)製)、アイゼンスピロンレッドBEH,GEH,C−GH(何れも、保土谷化学工業(株)製)等が挙げられる。
さらには、カーボンブラック等の顔料を含有するインクも使用可能である。
本発明に用いる遮光インクは、例えば、前記水溶性染料を使用した場合、この水溶性染料を含有し、水を媒体として調製される。前記水溶性染料に含まれるClおよびSO 2−等の陰イオンの含有量は少ないものが好ましく、その含有量の目安は、フタロシアニン色素中でClおよびSO 2−の総合量として5質量%以下、好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下であり、インク中に1質量%以下である。ClおよびSO 2−の少ない水溶性染料を製造するには、例えば、逆浸透膜による通常の方法、または水溶性染料の乾燥品あるいはウェットケーキをアルコールおよび水の混合溶媒中で攪拌し、濾過、乾燥する等の方法で脱塩処理すればよい。用いるアルコールは、炭素数1〜4の低級アルコール、好ましくは炭素数1〜3のアルコール、さらに好ましくはメタノール、エタノールまたは2‐プロパノールである。また、アルコールでの脱塩処理の際に、使用するアルコールの沸点近くまで加熱後、冷却して脱塩する方法を採用してもよい。ClおよびSO 2−の含有量は例えばイオンクロマトグラフ法で測定することができる。
本発明のインク受容層が保持可能である遮光インクは、水溶性染料に含まれる亜鉛、鉄等の重金属(イオン)、カルシウム、シリカ等の金属(陽イオン)等の含有量が少ないものを用いるのが好ましい(色素構造に骨格に含有される金属、例えばフタロシアニン骨格における銅を除く)。その含有量は、例えば、色素の精製乾燥品中に、亜鉛、鉄等の重金属(イオン)、カルシウム、シリカ等の金属(陽イオン)について各々500ppm以下程度である。重金属(イオン)および金属(陽イオン)の含有量は、イオンクロマトグラフ法、原子吸光法、またはICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法にて測定することができる。
前記染料又は顔料は、遮光インク中に5〜20質量%、好ましくは5〜15質量%含有される。
本発明に用いる遮光インクは、さらに必要に応じて、水溶性有機溶剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有することができる。この水溶性有機溶剤は、染料溶解剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘度調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、消泡剤等として使用される。その他のインク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、表面張力調整剤、消泡剤、分散剤、等の公知の添加剤が挙げられる。かかる水溶性有機溶剤の含有量は、インク全体に対して0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%であり、インク調製剤は、インク全体に対して0〜25質量%、好ましくは0〜20質量%である。
この遮光インクに用い得る水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n‐プロパノール、イソプロパノール、n‐ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール、N,N‐ジメチルホルムアミドまたはN,N‐ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、2‐ピロリドン、N‐メチル‐2‐ピロリドン、1,3‐ジメチルイミダゾリジン‐2‐オンまたは1,3‐ジメチルヘキサヒドロピリミド‐2‐オン等の複素環式ケトン、アセトン、メチルエチルケトン、2‐メチル‐2‐ヒドロキシペンタン‐4‐オン等のケトンまたはケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2‐または1,3‐プロピレングリコール、1,2‐または1,4‐ブチレングリコール、1,6‐ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマーまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコールグリセリン、ヘキサン‐1,2,6‐トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテルまたはエチレングリコールモノエチルエーテルまたはエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルまたはジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはジエチレングリコールモノブチルエーテルまたはトリエチレングリコールモノメチルエーテルまたはトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル、γーブチロラクトンまたはジメチルスルホキシド等が挙げられる。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N‐ハロアルキルチオ系、ニトチリル系、ピリジン系、8‐オキシキノリン系、ベンズチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオシキド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーパメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオシキド系化合物としては、例えば2‐ピリジンチオール‐1‐オキサイドナトリウムが挙げられ、無機塩系化合物としては、例えば無水酢酸ソーダが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2‐ベンズイソチアゾリン‐3‐オン、2‐n‐オクチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンマグネシウムクロライド、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンカルシウムクロライド、2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤としてソルビン酸ソーダ安息香酸ナトリウム、等(例えば、アベシア社製プロクセルGXL(5)、プロクセルXL‐2(5)等)が挙げられる。
pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどのアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどが挙げられる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、トリルトリアゾールなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物、またはベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に、水溶性高分子化合物が挙げられ、例えばポリビニルアルコールセルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
染料溶解剤としては、例えば、尿素、ε‐カプロラクタム、エチレンカーボネート等が挙げられる。
表面張力調整剤としては、界面活性剤が挙げられ、例えば、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤などが挙げられる。アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α‐オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N‐アシルアミノ酸およびその塩、N‐アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸、ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては2‐ビニルピリジン誘導体、ポリ4‐ビニルピリジン誘導体などがある。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2‐アルキル‐N‐カルボキシメチル‐N‐ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、その他イミダゾリン誘導体などが挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテル等のエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、2,4,7,9‐テトラメチル‐5‐デシン‐4,7‐ジオール、3,6‐ジメチル‐4‐オクチン‐3,6‐ジオール、3,5‐ジメチル‐1‐ヘキシン‐3‐オール、などのアセチレングリコール系(例えば、日信化学社製サーブイノール104,82,465、オルフィンSTG等)、等が挙げられる。これらのインク調製剤は、単独もしくは混合して用いられる。なお、本発明に用いる遮光インクの表面張力は通常25〜70mN/m、より好ましくは25〜50mN/m以下である。また、この遮光インクの粘度は30mPa・S以下が好ましく、さらに20mPa・S以下に調整することがより好ましい。
消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物を必要に応じて用いることができる。
この遮光インクを製造するにあたり、各薬剤を溶解させる順序には特に制限はない。また、遮光インクを調製するにあたり、用いる水はイオン交換水または蒸留水などの、不純物が少ない物が好ましい。さらに、必要に応じメンブランフィルターなどを用いて精密濾過を行って夾雑物を除いてもよい。また、インクジェットプリンター用のインクとして使用する場合は精密濾過を行なうことが好ましい。精密濾過を行なうフィルターの孔径は通常1〜0.1ミクロン、好ましくは、0.8〜0.2ミクロンである。
この遮光インクを用いて、前記インク受容層にイメージパターンを記録するには、この遮光インクを含有する容器をインクジェットプリンターの所定位置にセットし、インクジェットプリンターを用いた通常の方法で、インク受容層に記録すればよい。インクジェットプリンターとしては、例えば、機械的振動を利用したピエゾ方式のプリンターや、加熱によりインク中に気泡が発生する際の圧力を利用したバブルジェット(登録商標)方式のプリンター等が挙げられる。
この遮光インクは貯蔵中に沈澱、分離することがない。したがって、この遮光インクをインクジェットプリンターにおいて使用した場合、インクジェット記録ヘッドの吐出口を閉塞することもない。本発明に用いる遮光インクは、連続式インクジェットプリンターによる比較的長い時間一定の再循環下、またはオンデマンド式インクジェットプリンターによる断続的な使用においても、物理的性質の変化を起こさない。
この遮光インクは、350nmを中心として波長域の光に対して幅広く、高い吸収を持つため、凸版印刷版の製造に使用される露光光を遮光することができる。この遮光インクに好適に用いられる色素は、水性溶剤に対する溶解度が高いため、色素濃度を高くすることができ、それにより遮光能の高いマスクパターンをインク受容層に形成することができる。また、色素の結晶物が析出することがなくインクジェットの噴射経路が曲がったり、吐出口に目詰まりを起こしたりすることがないため、インクジェットシステムを用いて高精細なマスクパターンを形成することができる。
本発明に係るインク受容層形成用組成物は、少なくとも2種以上の、質量平均分子量が互いに異なるヒドロキシアルキルセルロースを含む。そのため、遮光インク保持能の異なるヒドロキシアルキルセルロースが混合されることになり、インクのにじみ性の調整が可能であるインク受容層を形成することができる。その結果、遮光インクが保持されることが望まれる領域に均一に遮光インクを保持させることができ、精度の高いパターン形成を行なうことができる。
2.凸版印刷用原版
図1を参照しつつ、本発明に係る凸版印刷用原版について説明する。図1は、凸版印刷用原版を模式的に示す断面図である。図1に示すように、凸版印刷用原版は、基材10と、この基材10上に形成された感光性樹脂層20と、さらにその上にインク受容層30とを有する積層体である。さらに、図示しないが、必要に応じて、インク受容層の上にカバーシートを、また、インク受容層とカバーシートとの間に易剥離層を設けることもできる。
2−1.基材
本発明の凸版印刷用原版を構成する基材10としては、凸版印刷版として用いる印刷条件に必要とされる機械的強度などの物理性能を満たす、通常の凸版印刷版に用いられる公知の金属プラスチックフィルム、紙およびこれらの複合化された形態のすべての基材を使用することができる。これらには付加重合ポリマーおよび線状縮合ポリマーにより形成されるようなポリマー性フィルム、透明なフォームおよび織物、不織布、たとえばガラス繊維織物、およびスチール、アルミニウムなどの金属が含まれる。基材はバック露光が容易なように非赤外線に対して透明であることが好ましい。より好適な基材としては、ポリエチレンまたはポリエステルフィルムが挙げられ、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。前記フィルムとしては、厚さ50μm〜300μmのフィルム、好ましくは厚さ75μm〜200μmのフィルムが用いられる。この基材は、必要に応じて、感光性樹脂層との間を薄い粘着促進層で被覆されていてもよい。この粘着促進層としては、たとえば、ポリカーボネートと、フェノキシ樹脂と、多価イソシアネートとの混合物からなるものが好適に用いられる。
2−2.感光性樹脂層
本発明に用いられる感光性樹脂層は、感光性樹脂組成物を用いて膜を形成しこれを硬化させて得られる層である。本発明に用いることができる感光性樹脂組成物としては、従来から公知のものを使用でき特に限定されない。たとえば、下記の感光性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、を含む組成物が挙げられる。
(感光性樹脂)
感光性樹脂としては、光照射によって架橋可能な重合性の不飽和基を有していればよく、具体的には、後述する光重合開始剤により、光重合性モノマーと架橋する樹脂が好ましく用いられる。このような樹脂としてはエラストマー樹脂が好ましく用いられる。
エラストマー樹脂は、単一の重合体、共重合体またはそれらの混合物であって、エラストマー性を有し、かつ水性または有機溶剤の現像液に可溶、膨潤または分散し、洗浄除去可能な重合体が挙げられる。これらのバインダーとしては、たとえば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリジオレフィン、ビニル芳香族化合物/ジオレフィンの共重合体及びブロック共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、ジオレフィン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ジオレフィン共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、ジオレフィン/アクリル酸共重合体、ジオレフィン/アクリレート/アクリル酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリレート共重合体、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体、両性インターポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース類、エチレン/ビニルアセテート共重合体、セルロースアセテートブチレート、ポリブチラール、環状ゴム、スチレン/アクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンとビニルアセテートとの共重合体、クロロプレン重合体、スチレン‐クロロプレン共重合体、アクリロニトリル‐ブタジエン共重合体、アクリロニトリル‐イソプレン共重合体、アクリロニトリル‐クロロプレン共重合体、メタクリル酸メチル‐ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル‐イソプレン共重合体、メタクリル酸メチル‐クロロプレン共重合体、アクリル酸メチル‐ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル‐イソプレン共重合体、アクリル酸メチル‐クロロプレン共重合体、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体、アクリロニトリル‐イソプレン‐スチレン共重合体、アクリロニトリル‐クロロプレン‐スチレン共重合体、エピクロルヒドリン重合体、エピクロルヒドリン‐エチレンオキシド共重合体、エピクロルヒドリン‐プロピレンオキシド共重合体、エピクロルヒドリンゴム、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、塩素化ポリプロピレン、塩素化エチレン‐プロピレンゴム、アクリル酸エチル‐アクリロニトリル共重合体、テルペン共重合体、アクリル酸ブチル‐アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル‐アクリロニトリル共重合体、アクリル酸ブチル‐スチレン‐アクリロニトリル共重合体が挙げられる。前記重合体は単独でもまた組み合わせて用いてもよい。
エラストマー樹脂としては、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体を用いることが好ましい。このようなエラストマー樹脂を用いることで、露光パターンを形成するために必要とされる透明性を確保できるとともに、印刷液(インキ)に対する耐性を一層向上させることができる。
エラストマー樹脂の配合量は、感光性樹脂層用組成物の総和100質量部に対し、エラストマー樹脂が10から99質量部、好ましくは30から90質量部である。
(光重合性モノマー)
感光性樹脂層に含まれる1種類以上のモノマーとしては、曇りのない透明な感光性樹脂層が形成できるよう、上記バインダーと相溶性を有するモノマーを用いる必要がある。
前記モノマーとしては、上記バインダーを構成するモノマーの他、たとえば、ポリブタジエンジアクリレート、ポリブタジエンジメタクリレート、ポリイソプレンジアクリレート、ポリイソプレンジメタクリレートやα‐メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メトキシスチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのα,β‐エチレン性不飽和ニトリル化合物;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n‐ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t‐ブチルアクリレートなどの、炭素数1〜23のアルキルアルコールのアクリレート類及び対応するメタクリレート類;2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアルコールのアクリレート類及び対応するメタクリレート類;メトキシエチレングリコール、メトキシプロピレングリコールなどのアルコキシアルキレングリコールのアクリレート類及びメタクリレート類;マレイン酸モノエチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノエチルなどの不飽和多価カルボン酸のモノエステル類;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸ジオクチルなどのジエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N’‐メチレンビスアクリルアミド、N,N’‐ヘキサメチレンビスアクリルアミドなどのアクリルアミド類及び対応するメタクリルアミド類;エチレングリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位2〜23個)などの、グリコールのジアクリレート類及び対応するメタクリレート類;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン(アルカンとしてはメタン、エタン、プロパン)などの、三価以上の多価アルコール類のジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレート、オリゴアクリレート類及び対応するメタクリレート類;2‐アクリロイルオキシエチルコハク酸、2‐アクリロイルエチルヘキサヒドロフタル酸、2‐アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどの酸性官能基をもつアクリレート類及び対応するメタクリレート類;等の光重合性エチレン性不飽和単量体が挙げられる。これら光重合性エチレン性不飽和単量体は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記モノマーは、エラストマー樹脂の総和を100質量部とすると、5〜30質量部、好ましくは10〜20質量部の範囲がよい。モノマーの含有量が前記範囲未満では露光硬化後の被膜の耐摩耗性や耐薬品性が低下し、前記範囲を超えると、感光性樹脂層のエラストマー性が低下し、フレキソ印刷版として好ましくない。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、一般に知られているものを用いることができる。このような開始剤の一例として、ベンゾフェノンのような芳香族ケトン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α‐メチロールベンゾインメチルエーテル、α‐メトキシベンゾインメチルエーテル、2,4‐ジエトキシフェニルアセトフェノン等のベンゾインエーテル類;置換及び非置換の多核キノン類;1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4‐ジメトキシ‐1,2‐ジフェニルエタン‐1‐オン、2‐メチル‐1‐〔4‐(メチルチオ)フェニル〕‐モルフォリノプロパン‐1‐オン、2‐ベンジル‐2‐ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルフォリノフェニル)‐ブタン‐1‐オン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1‐(4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル)2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐プロパン‐1‐オン、2,4‐ジエチルチオキサントン、2‐クロロチオキサントン、2,4‐ジメチルチオキサントン、3,3‐ジメチル‐4‐メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、1‐クロロ‐4‐プロポキシチオキサントン、1‐(4‐イソプロピルフェニル)‐2‐ヒドロキシ‐2‐メチルプロパン‐1‐オン、1‐(4‐ドデシルフェニル)‐2‐ヒドロキシ‐2‐メチルプロパン‐1‐オン、4‐ベンゾイル‐4’‐メチルジメチルスルフィド、4‐ジメチルアミノ安息香酸、4‐ジメチルアミノ安息香酸メチル、4‐ジメチルアミノ安息香酸エチル、4‐ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4‐ジメチルアミノ安息香酸‐2‐エチルヘキシル、4‐ジメチルアミノ安息香酸‐2‐イソアミル、2,4’‐ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンジル‐β‐メトキシエチルアセタール、o‐ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4‐ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4’‐ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’‐ジクロロベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン‐n‐ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、p‐ジメチルアミノアセトフェノン、p‐tert‐ブチルトリクロロアセトフェノン、p‐tert‐ブチルジクロロアセトフェノン、2‐(o‐クロロフェニル)‐4,5‐ジフェニルイミダゾリル二量体、チオキサントン、2‐メチルチオキサントン、2‐イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、α,α‐ジクロロ‐4‐フェノキシアセトフェノン、ベンチル‐4‐ジメチルアミノベンゾエート、9‐フェニルアクリジン、1,7‐ビス‐(9‐アクリジニル)へプタン、1,5‐ビス‐(9‐アクリジニル)ペンタン、1,3‐ビス‐(9‐アクリジニル)プロパンなどが挙げられる。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、染料、顔料、重合禁止剤、酸化防止剤、光劣化防止剤などが添加され、その性能の改善を図ることもできる。
(その他の成分)
さらに、感光性樹脂層を形成する感光性樹脂組成物には、要求される特性に応じて増感剤、熱重合禁止剤、可塑剤、発色剤等の添加剤を用いることができる。この感光性樹脂組成物の調製法としては様々な方法が使用できるが、たとえば、配合される原料を適当な溶剤、たとえば、クロロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、ジブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n‐プロピル、酢酸n‐ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、等の溶剤(これら有機溶剤は、単独でもまた混合でも用いることができる)に溶解させて混合し、型枠の中に流延して溶剤を蒸発させ、そのまま板とすることも、また、溶剤を用いず、ニーダーあるいはロールミルで混練し、押出機、射出成形機、プレスなどにより所望の厚さの板に成形することもできる。
上記感光性樹脂組成物の別の態様としては、前述のエラストマー性樹脂に代えて、親水性ポリマーを用いることもできる。
このような親水性ポリマーとしては、例えば、N−メチロール基を有するアクリル系化合物とポリビニルアルコールとの反応生成物、変性ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール・ポリアクリレートブロック共重合体、無水アクリル酸を反応させた変性ポリビニルアルコール、グラフト化ポリビニルアルコール等)、カルボキシアルキルセルロース、スルホン酸ナトリウム基を有するポリアミド、エーテル結合を有するポリアミド、塩基性窒素またはアンモニウム塩型窒素を有するポリアミド、又はこれらの混合物が挙げられる。
前記N−メチロール基を有するアクリル系化合物としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチル−N−メチロールアクリルアミド、N−メチル−N−メチロールメタクリルアミド、N−エチル−N−メチロールアクリルアミド、N−エチル−N−メチロールメタクリルアミドが挙げられ、これらは1種単独で又は複数種組み合わせて使用される。
2−3.インク受容層
本発明に用いられるインク受容層30は、上述のインク受容層形成用組成物を用いて形成された層である。インク受容層30は、前記感光性樹脂層20上に直接積層されることによって機能する被覆層である。そのため、感光性樹脂層20と相溶性や反応性を持たない成分から構成することが必要である。また、インク受容層30の特性として、イメージパターンに従った遮光パターンを形成する印刷インクを保持し、かつ感光性樹脂層20へ酸素が不必要に作用することがないように酸素透過を抑制するという少なくとも二つの特性を有する。
インク受容層は、有機溶剤を含有しないインク受容層形成用組成物を用いる場合には、熱溶融によって形成することができる。また、有機溶剤を含有するインク受容層形成用組成物を用いる場合には、感光性樹脂層の上に塗布し、有機溶剤を除去する(乾燥させる)ことで形成することができる。また、感光性樹脂層およびインク受容層を別々のフィルム(支持体)に形成した後に、貼り合わせることで形成することもできる。なお、インク受容層の形成については、詳細を後述する。
インク受容層30の厚さは、特に制限されることはないが、カールの発生を防止するため、上限として70μm以下であることが好ましい。厚さの下限は、インクのにじみ、特に水系インクのにじみを防止するため、5μm以上とすることが好ましい。
インク受容層には、上述した性能を害しない限り、ヒドロキシアルキルセルロース以外の樹脂を含んでいてもよい。このような樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂(アクリル変性されたものを除く)、エポキシ樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル‐アクリル共重合体樹脂、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、ゴム系樹脂などがあげられる。ただし、ヒドロキシアルキルセルロースの合計を、インク受容層中の全樹脂成分の80質量%以上とすることが好ましく、90質量%以上とすることがより好ましい。
インク受容層中には、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトールなどの多価アルコールを含有させてもよい。インク受容層に多価アルコールを含有させることにより、水系インクの記録特性を損なうことなく、フレキソ印刷版への追従性を良好にすることができる。多価アルコールの含有量は、インク受容層中のヒドロキシアルキルセルロース100質量部に対し40質量部以下とすることが好ましく、5〜25質量部とすることがより好ましい。
本発明におけるインク受容層の酸素透過係数は、酸素によって感光性樹脂層のパターンプロフィールが劣化しない範囲であれば、特に限定されるものではない。そのような酸素透過係数の好適範囲は、1×10−17〜9×10−5(cm・cm/cm・sec・cmHg)である。酸素の透過をほぼ遮断する程に酸素透過係数を下げても良いが、少量の酸素の透過を許す程度に酸素透過係数を制御することによって、感光性樹脂層の露光・現像によるパターンプロフィールを制御することも可能である。たとえば、1×10−14×9×10−10(cm・cm/cm・sec・cmHg)の範囲に設定すれば、感光性樹脂層の露光時に感光性樹脂層の表面に少量の酸素を存在させることになる。その結果、露光、現像後の、感光性樹脂層のパターンプロフィールは、末広がりのテーパー状となり、印刷のドットとなるパターン先端が細ることになる。その結果、パターン先端の印刷面(インク付着部分)が小面積化して、印刷の鮮明さを向上させることができる。
2−4.その他
さらに、本発明の凸版印刷用原版には、必要に応じて、インク受容層30の上に保護層としてカバーシートを積層することができる。また、インク受容層とカバーシートとの間に易剥離層を設けることもできる。
カバーシートは、通常の凸版印刷版に用いられる公知の金属、プラスチックフィルム、紙およびこれらの複合化された形態のすべてのカバーシートが使用できる。これらには付加重合ポリマーおよび線状縮合ポリマーにより形成されるようなポリマー性フィルム、透明なフォームおよび織物、不織布、たとえばガラス繊維不織布、およびスチール、アルミニウムなどの金属が含まれる。好ましくは、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、あるいは、これらのフィルムを積層したものが用いられる、このカバーシートとしては、フィルムが好適であり、その厚さは、20μm以上、200μm以下が好ましい。
また、本発明にかかるインク受容層を用いることにより、このカバーシートをインク受容層から剥離する際の剥離性を調整することができる。
さらに、インク受容層の上に設けられたカバーシートを剥離する際に、インク受容層の表面が破損することを防ぐため、インク受容層とカバーシートの間に、易剥離層を設けることもできる。易剥離層に用いられる材料としては、露光波長の波長域の光の影響を受けず、透明で、粘着性がない材料を用いることができる。たとえば、ポリアミド、ポリビニルアルコール、アミノアルキド、シリコーン系離型剤およびこれらの組み合わせを挙げることができる。
本発明に係る凸版印刷用原版は、上述のインク受容層形成用組成物を用いて形成されたインク受容層を含む。このインク受容層は、インクのにじみ性が制御されているため、インク受容層に遮光性インクのパターンを精度よく形成することができる。特に、凸版印刷用原版の場合、感光性樹脂層に精度のよいパターンを形成し、かつ、確実に遮光されるよう、インクが均一に保持される必要がある。そのため、インク受容層は、インクを効率良く用いるためにはある程度のにじみ易さを有し、パターン精度を確保するためにはある程度のにじみ難さを有する必要がある。本発明によれば、インクの種類に応じてにじみ性を調整することができるインク受容層を有するため、精度の高いパターン形成が可能である凸版印刷用原版を提供することができる。
3.凸版印刷用原版の製造方法および凸版印刷版の製造方法
次に、本発明に係る凸版印刷用原版の製造方法および凸版印刷版の製造方法について、図2を参照しつつ説明する。図2は、本発明に係る凸版印刷版の製造工程を説明する断面図である。なお、以下の説明では、凸版印刷用原版の製造方法について説明し、次に、製造された凸版印刷用原版を用いて凸版印刷版を製造する方法について説明する。
3−1.感光性樹脂層形成工程
まず、感光性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤およびその他の成分を混合して調製した感光性樹脂組成物をホットメルトに成形し、これを所望の厚さとなるようにカレンダー掛けする。この感光性樹脂組成物を基材10の上に載せ、加熱することにより、図2(a)に示すように、基材10の上に、感光性樹脂層20を形成する。また、その他の方法として、感光性樹脂層は、押出機を利用して感光性樹脂組成物を溶融、混合、脱気および濾過した後、基材と一時的なカバーシートとの間に押し出し、カレンダー掛けして所望の厚さとする、あるいは金型中に基材とカバーシートとを置き、両者の間に感光性樹脂組成物を射出する、等の方法で、基材の上に感光性樹脂層を形成することもできる。
3−2.インク受容層形成工程
次に、前述のインク受容層形成用組成物を調製する。インク受容層形成用組成物の調製は、1.の項で説明した互いに質量平均分子量が異なるヒドロキシアルキルセルロースをそれぞれ溶剤に溶解した溶解液を調製し、この溶解液同士を混合する、または、固形物であるヒドロキシアルキルセルロースを固形状(粉体)のまま、たとえば、プラネタリーミキサーなどの機械的な攪拌により混合する、など種々の方法により行なうことができる。
インク受容層形成用組成物が固形状である場合、または塗布処理に耐えられない程度に粘度が高い場合には、インク受容層形成用組成物を感光性樹脂層20上に設け、その後、ヒドロキシアルキルセルロースを熱溶融させることによりインク受容層30(図2(b)参照)を製造することができる。この熱溶融では、ヒドロキシアルキルセルロースを溶融することができる限り、処理方法に制限はないが、たとえば、150℃〜180℃の温度の熱をかけることで行なうことができる。また、熱溶融時には、熱をかけながら押圧(プレス)してもよい。押圧する場合には、10kg/cm〜20kg/cmの条件で押圧することが好ましい。
一方、インク受容層形成用組成物が液状の組成物である場合のインク受容層の製造方法を説明する。この場合、インク受容層形成用組成物を、図2(b)に示すように、前記感光性樹脂層20上に直接塗布した後、乾燥してインク受容層30を形成する。これにより、凸版印刷用原版を形成することができる。
また、その他の方法として、カバーシート上にインク受容層形成用組成物を塗布・乾燥してインク受容層とし、このインク受容層を前記感光性樹脂層上に圧着する。
そして、圧着したインク受容層上の一時的なカバーシートを除いて、あるいは除かずに、基材上に形成した感光性樹脂層と熱および/または圧力でラミネートして、製造することもできる。また、カバーシート上に、インク受容層、感光性樹脂層および基材を、順次ラミネートすることによっても、凸版印刷用原版を製造することができる。
3−3.マスク画像層形成工程(パターン形成工程)
次に、図2(c)に示すように、前記製造方法で得られた凸版印刷用原版のインク受容層30に、遮光インク40と図示しないインクジェットプリンターとを用いて、インク受容層30内に遮光インク40を浸透させ、インク浸透域32を形成し、遮光パターンを記録する。遮光インクによる遮光パターンは、遮光インク40がインク受容層30中に浸透することによって、層中に形成される。これによって、インク受容層30はマスク画像層となる。
本発明の凸版印刷版の製造方法に好適に用いることのできる印刷装置としては、インクジェットプリンターを好適に用いることができる。インクジェットプリンターによる印刷は、インクをノズルから紙などの記録材料に噴射させて、文字や画像を形成させるものである。この印刷方法としては、インクの噴射方法により、主に、圧電素子を用いてインクに機械的振動を与えて噴射させるピエゾ法、インクを加熱し発砲させて発生した圧力を利用してインクを噴射させる方法に大別することができる。
3−4.露光工程(照射工程)
次に、図2(d)に示すように、感光性樹脂層20上にマスク画像層が形成された凸版印刷用原版に対して、300nm〜700nmの波長域の光を照射(矢印で図示)する。これにより、感光性樹脂層20に照射領域22と非照射領域24とを有する露光膜を得ることができる。
感光性樹脂層20は露光に感応するため、光が遮光パターンに遮られて照射されずに未硬化状態にある非照射領域24と、光に感応し硬化状態にある照射領域22との間には、現像液への溶解度の差が生じる。このため、非照射領域24に位置する感光性樹脂層は、次工程の現像工程によって溶解除去される。
感光性樹脂層20に照射する光としては、赤外線より波長が短い電磁波、好ましくは可視光線と紫外線領域との電磁波、さらに好ましくは300nm〜700nmの電磁波がよく、より好ましくは300nm〜400nmの電磁波である。この照射する光の光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、重水素ランプ、タングステンランプ(タングステンヨウ素ランプ、WIランプ、WIランプ)、キセノンランプ、エキシマレーザなどを挙げることができる。
本発明の露光工程における露光条件は、特に限定されるものではない。露光に用いる方法に応じて、露光時間、露光強度等を適宜選択することが可能である。
3−5.現像工程(樹脂層形成工程)
次に、図2(e)に示すように、露光膜の非照射領域24に位置する感光性樹脂層を、現像液によって溶解除去し、凸版印刷用原版に画像を形成する。これにより、凸版印刷版のパターンが形成される。
現像工程で使用する現像液としては、感光性樹脂層を溶解する性質を持つものであれば、有機溶液、水溶液の何れであってもよく、現像液の選択は、除去されるべき樹脂の化学的性質に依存する。適当な有機溶媒現像液としては芳香族もしくは脂肪族炭化水素、および、脂肪族もしくは芳香族ハロ炭化水素溶媒、またはそれらの溶媒と適当なアルコールとの混合物が挙げられる。また、水溶液からなる現像液としては、水または水に混和し得る有機溶媒およびアルカリ性材料を含有している。該現像液としては、水と、たとえば、へプチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類、石油留分、トルエン、デカリン等の炭化水素類、テトラクロルエチレンなどの塩素系溶剤、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の水溶液が挙げられる。また、これらの溶剤にプロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類を混合したものを用いることも可能であり、洗い出しは浸漬、ノズルからの噴射、ブラシによるブラッシング等、任意の方法を採用することができる。
その後、残存したパターンを硬化させることで、凸版印刷版が製造される。
本発明にかかる凸版印刷版の製造方法によれば、インクの種類に応じて、にじみ性が制御されたインク受容層に遮光性のインクを吐出し、凸版印刷版のパターンを形成している。そのため、硬化することを望まない誤硬化部を生じることなく、精度の高いパターン形成が可能となり、所望のパターンを有する凸版印刷版を製造することができる。
以下、本発明を実施例によって、さらに詳細に説明するが、以下の実施例は、本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。なお、以下の説明において、「部」および「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。また、吸光度については、分光光度計(D‐2000(商品名)、(株)日立製作所製)を用いて測定した。
[実施例1〜3]
(インク受容層の形成)
HPC−L(ヒドロキシプロピルセルロース、質量平均分子量125000;株式会社日本曹達社製)を固形分濃度5%となるようにメチルエチルケトンに溶解し、インク受容層形成用組成物(A)(以下、「組成物(A)」と称する)を得た。さらに、HPC−M(ヒドロキシプロピルセルロース、質量平均分子量692000;株式会社日本曹達社製)を固形分濃度5%となるようにメチルエチルケトンに溶解し、インク受容層形成用組成物(B)(以下、「組成物(B)」と称する)を得た。厚さ100μmのカバーシートとなるポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「D層」と称する)上に、組成物(A),(B)をそれぞれ表1に示した割合で混合した後、混合液を用いて乾燥後の膜厚が3μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した。得られた塗膜を100℃で5分間乾燥して、インク受容層(以下、「C層」と称する)を形成した。このインク受容層およびD層の370nmの吸光度を測定したところ0.0(全透過)であった。
(感光性樹脂層の形成)
一方、質量平均分子量240,000のスチレン‐ブタジエン共重合体(商品名:D−1155、JSRシェルエラストマー社製)100質量部、質量平均分子量1,000の液状1,2‐ポリブタジエン(商品名:ニッソ−PB−1000、日本曹達社製)70質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート10質量部、メトキシフェニルアセトフェノン3質量部、2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシトルエン0.05質量部、オイルブルー#503(オリエント化学社製)0.002質量部をテトラヒドロフラン0.2質量部からなる溶媒に溶解して感光性樹脂組成物を調製した。得られた調製物を高粘度用ポンプにて押出機に圧入し、押出機内で混練しつつ、厚さが2.84mmとなるようにポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「A層」と称する)に押し、感光性樹脂層(以下、「B層」と称する)を形成した。
(凸版印刷用原版の形成)
前記インク受容層が形成された積層体と、前記感光性樹脂層が形成された積層体とを、B層とC層とが向き合うように貼り合わせて、圧着ローラーを用いてラミネートし、凸版印刷用原版を製造した。
[実施例4〜6]
実施例1〜3にて用いたHPC−LおよびHPC−Mを準備し、実施例4では質量比(HPC−L:HPC−M)が66:34に、実施例5では質量比が80:20に、実施例6では質量比が90:10となるように、それぞれ混合し、プラネタリーミキサーを用いて、攪拌し均一にし、インク受容層形成用組成物を得た。その後、厚さ100μmのカバーシートとなるポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「D層」と称する)上に、実施例4〜6にかかるインク受容層形成用組成物を設置し、200℃、20kg/cmにて、形成後のインク受容層の膜厚が3μmとなるよう、5分間プレスした。このようにして得られたインク受容層およびD層の370nmの吸光度を測定したところ0.0(全透過)であった。
ついで、実施例1〜3と同様に、感光性樹脂層を形成し、これらを貼り合わせて凸版印刷用原版を製造した。
[比較例1,2]
比較例1,2では、組成物(A)および組成物(B)の混合割合が異なる以外は、実施例1〜3と同様にして,比較例に係る凸版印刷用原版を形成した。なお、比較例1,2における混合割合も表1に併せて示す。
Figure 0005021449
(評価1)
実施例1〜6および比較例1,2に係る凸版印刷用原版のD層を剥離し、ローランド・ディージー社製フラットベットインクジェットプリンタを用い、TOKTEDインク(株式会社東京応化工業製)をC層の上に選択的に印字した。この評価結果を表2に示す。
(評価2)
ついで、得られた印字部の370nmの吸光度を測定したところ、3.0であった。つぎに、370nmに中心波長を有する紫外線を、A層側から75mJ/cmで照射して、バック露光を行った。引き続いて、画像層側から2500mJ/cmで照射して、メイン露光を行った。芳香族炭化水素系現像液(商品名FDO−S2、株式会社東京応化工業製)を現像液として、液温25℃で4分間現像を行った。得られた版面には、現像残渣などの再付着が認められなかった。現像処理後、55℃で50分間乾燥した後、250nmに中心波長を有する紫外線蛍光ランプを用いて後処理を行ない、さらに、370nmに中心波長を有する紫外線を3000mJ/cmで照射して後露光を行ない、凸版印刷版を得た。得られた凸版印刷版の状態を評価した。評価結果を表2に示す。
(評価3)
評価1、2で使用したインクをフォト・ブラックインクICBK24(EPSON社製)に変更した以外は、評価2と同様の方法により凸版印刷版の状態を評価した。評価結果を表2に示す。
(評価4)
実施例1〜6および比較例1,2に係る凸版印刷用原版のカバーシートの剥離性を表2に示す。なお剥離試験は、手でインク受容層からカバーシートを剥離したものを評価した。
Figure 0005021449
なお、上記表2において、各記号は以下の評価結果を示すものとする。
評価1 ○:にじみ性の調整が良好だった
△:若干スジが発生するがにじみ性の調整については実用レベルであった
×:にじみ性の調整不良が発生した
評価2、3 ○:インクの遮光性が良好であって誤露光部がない
△:若干の誤露光部が発生するが実用レベルであった
×:インクの隠ぺい性が不良であり、誤露光部が発生したか、又はインクが にじみ過ぎて、パターン形成ができなかった
評価4 ○:剥離性良好でハンドリング性も良好であった
△:若干剥離性が悪いが実用レベルでハンドリング性も良好であった
×:剥離性が強すぎ剥離できないか、又は剥離性が弱すぎハンドリング性が 不良であった
表2から明らかなように、本実施例に係る凸版印刷用原版では、インクのにじみ性、遮光性および保護層であるカバーシートの剥離性の調整が良好であり、有用であることが確認された。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の製造方法により得られる凸版印刷版は、たとえば、段ボール印刷、軟包装印刷、ラベル・シール印刷、レタープレス、表示体、電子材料の印刷用版材などの用途に用いることができる。
本発明の実施形態に係る凸版印刷版基板を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る凸版印刷版の製造工程を説明する断面図である。
符号の説明
10 基材
20 感光性樹脂層
22 照射領域
24 非照射領域
30 インク受容層
32 インク浸透域
40 遮光インク

Claims (8)

  1. 感光性樹脂層と、該感光性樹脂層の上に設けられたインク受容層とを含有する凸版印刷用原版であって、
    前記インク受容層は、質量平均分子量が互いに異なるヒドロキシアルキルセルロースを少なくとも2種以上含むことを特徴とする凸版印刷用原版。
  2. 前記インク受容層の上に保護層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の凸版印刷用原版。
  3. 前記ヒドロキシアルキルセルロースのアルキル基は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状アルキル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の凸版印刷用原版。
  4. 前記ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする請求項3に記載の凸版印刷用原版。
  5. 前記ヒドロキシアルキルセルロースの質量平均分子量の範囲が、
    (A)1×10〜3×10のものと、
    (B)4×10〜1×10のものと、を含むことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の凸版印刷用原版。
  6. 前記(A)と、前記(B)との質量比は、(A):(B)=55:45〜95:5であることを特徴とする請求項5に記載の凸版印刷用原版。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載の凸版印刷用原版のインク受容層に、露光波長を遮断する遮光インクを用いて遮光パターンを形成するパターン形成工程、
    前記遮光パターンをマスクとして、前記感光性樹脂層に前記露光波長の波長域の光を照射する照射工程、および、
    前記露光波長の波長域の光が露光されずに未硬化状態にある前記感光性樹脂層の非照射領域を除去して、印刷用の凸状パターンを有する樹脂層を形成する樹脂層形成工程、を含むことを特徴とする凸版印刷版の製造方法。
  8. 前記遮光インクとして、300nm〜450nmに吸収性を有する遮光インクを用いることを特徴とする請求項7に記載の凸版印刷版の製造方法。
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