JP2007249101A - 凸版印刷用感光性印刷原版、これに用いるインク受容層形成用組成物、及び凸版印刷版の製造方法 - Google Patents

凸版印刷用感光性印刷原版、これに用いるインク受容層形成用組成物、及び凸版印刷版の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水系インクおよび溶剤インクの何れのインクに対しても印字特性が良好な凸版印刷用感光性印刷原版、これに用いるインク受容層形成用組成物、及び凸版印刷版の製造方法を提供すること。
【解決手段】基材上に、感光性樹脂層とインク受容層とが順次積層されてなる凸版印刷用感光性印刷原版であって、インク受容層は、アクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョン、および水溶性樹脂を含有する組成物からなる層である凸版印刷用感光性印刷原版である。
【選択図】なし

Description

本発明は、凸版印刷用感光性原版、これに用いるインク受容層形成用組成物、及び凸版印刷版の製造方法に関する。
フレキソ印刷版を始めとする凸版印刷版には、一般的に、感光性樹脂が用いられており、この感光性樹脂は、一般にエラストマー性のバインダーと、少なくとも一つの光重合性モノマー及び光重合開始剤とから構成されている。この感光性樹脂を用いた凸版印刷版は、支持体の上に少なくとも感光性樹脂層が設けられた板状部材である。
前記フレキソ印刷版の製造では、まず、感光性樹脂層の上に、印刷しようとする文字や画像などのイメージのネガパターンを有するフィルム(マスク)を置き、このマスクを介して、化学線を前記感光性樹脂層に照射する。化学線の照射を受けた部分は、光重合反応が生じて硬化する。その後、未硬化部分を現像液にて洗い流すと、前記イメージに対応した凸状パターンが残留する。その結果、フレキソ印刷版が出来上がる。フレキソ印刷では、前記凸状パターンの先端部分にインクを付着させて、紙などの印刷媒体に押しつけることで印刷物を得る。
しかし、マスクはハロゲン化銀を用いた光化学反応を用いて製造されるため、その製造にはコストがかかり、工程も煩雑である。また、感光性樹脂層の表面に直接的に紫外線吸収性のインク組成物を用いてインクジェットプリンターやレーザープリンターなどの印刷装置によりネガパターンを印刷する技術が提案されている。しかし、この技術では、インク組成物は、感光性樹脂層の表面に直接印刷されるため、印刷部分に滲みやはじきが生じて鮮明な印刷パターンが得られなかった。
そのため、支持体上に、所定の波長域の光に感光性を有する感光性樹脂層と、遮光インクにより層中に遮光パターンが形成されるインク受容層が積層されている凸版印刷用原版であって、インク受容層が所定の波長域の光に対して実質的に透明であり、遮光インクを保持する特性を有している凸版印刷用原版が開示されている(特許文献1参照)。
この凸版印刷用原版のインク受容層を構成する成分としては、インク保持能を持ち、水溶性もしくは水溶性有機溶媒に可溶もしくは分散可能な、あるいはこれら溶媒により膨潤する樹脂が好ましく用いられていた。
特開2005−316325号公報
特許文献1に記載されているインク受容層を構成する成分としては、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリビニルプロピルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロースなどがある。
しかし、このような成分を用いた場合、溶剤インクの滲みを防止することはできるが、水系のインクの滲みを防止することはできなかった。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、水系インクおよび溶剤インクの何れかのインクに対しても印字特性が良好な凸版印刷用感光性印刷原版、これに用いるインク受容層形成用組成物、及び凸版印刷版の製造方法を提供する。
本発明らは上記課題を解決するため、インク受容層の組成物に着目して、鋭意研究を重ねた。その結果、インク受容層の組成物に、アクリル変性ポリエステルエマルジョン、および水溶性樹脂を含有させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
より具体的には、基材上に、感光性樹脂層とインク受容層とが順次積層されてなる凸版印刷用感光性印刷原版であって、前記インク受容層は、アクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョン、および水溶性樹脂を含有する組成物からなる層であることを特徴とする凸版印刷用感光性印刷原版を提供する。
さらに、本発明は、前記凸版印刷用感光性印刷原版に用いられるインク受容層形成用組成物であって、アクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョン、および水溶性樹脂を含有することを特徴とするインク受容層形成用組成物を提供する。
さらに、前記凸版印刷用感光性印刷原版のインク受容層に、露光波長を実質的に遮断する遮光インクを用いて遮光パターンを形成するマスク画像層形成工程と、その後に前記マスク画像層をマスクとして前記感光性樹脂層に前記露光波長の波長域の光を照射する露光工程と、前記露光波長の波長域の光が照射されずに未硬化状態にある前記感光性樹脂層の非照射領域を現像液により除去して、前記基材上に印刷用の凸状パターンを有する樹脂層を形成する現像工程と、を有する凸版印刷版の製造方法を提供する。
本発明の凸版印刷用感光性印刷原版によれば、感光性樹脂層表面に形成されたインク受容層が、アクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョン、および水溶性樹脂を含有する組成物からなる層である。このため、水系インクおよび溶剤系インクの何れのインクに対しても記録特性を良好なものとすることができる。さらに、インク受容層の厚みを厚くすることなくインクの滲みを防止することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[A]凸版印刷用感光性印刷原版
図1に本発明の凸版印刷用感光性印刷原版の全体構成の概略を図1に示す。本発明の凸版印刷用感光性印刷原版は、基材10と、この基材10上に形成された感光性樹脂層20と、更にその上にインク受容層30とを有する積層体である。更に、図示しないが、必要に応じて、インク受容層の上にカバーシートを、また、インク受容層とカバーシートとの間に易剥離層を設けることもできる。
[A−1]基材
本発明の凸版印刷用感光性印刷原版を構成する基材10としては、凸版印刷版として用いる印刷条件に必要とされる機械的強度などの物理性能を満たす、通常の凸版印刷版に用いられる公知の金属、プラスチックフィルム、紙およびこれらの複合化された形態のすべての基材を使用することができる。これらには付加重合ポリマーおよび線状縮合ポリマーにより形成されるようなポリマー性フィルム、透明なフォームおよび織物、不織布、例えばガラス繊維織物、およびスチール、アルミニウムなどの金属が含まれる。基材はバック露光が容易なように非赤外線に対して透明であることが好ましい。より好適な基材としては、ポリエチレンまたはポリエステルフィルムが挙げられ、特にポリエチレンテレフタラートフィルムが好ましい。前記フィルムとしては、厚さ50μm〜300μmのフィルム、好ましくは厚さ75μm〜200μmのフィルムが用いられる。この基材は、必要に応じて、感光性樹脂層との間を薄い粘着促進層で被覆されていてもよい。この粘着促進層としては、例えば、ポリカーボネートと、フェノキシ樹脂と、多価イソシアネートの混合物からなるものが好適に用いられる。
[A−2]感光性樹脂層
本発明の凸版印刷用感光性印刷原版に用いる感光性樹脂層20は、エラストマー性バインダーと、1種類以上のモノマーおよび光重合開始剤とを含有する感光性樹脂組成物で形成され、通常の凸版印刷に適するすべての感光性樹脂組成物を使用することができる。
(a)エラストマー性バインダー
エラストマー性バインダーとしては、単一の重合体、共重合体またはそれらの混合物であってエラストマー性を有し、かつ水性または有機溶剤の現像液に可溶、膨潤または分散し、洗浄除去可能な重合体が挙げられる。これらのバインダーとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリジオレフィン、ビニル芳香族化合物/ジオレフィンの共重合体およびブロック共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、ジオレフィン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ジオレフィン共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、ジオレフィン/アクリル酸共重合体、ジオレフィン/アクリレート/アクリル酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリレート共重合体、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体、両性インターポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース類、エチレン/ビニルアセテート共重合体、セルロースアセテートブチレート、ポリブチラール、環状ゴム、スチレン/アクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンとビニルアセテートとの共重合体、クロロプレン重合体、スチレン−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル−イソプレン共重合体、メタクリル酸メチル−クロロプレン共重合体、アクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル−イソプレン共重合体、アクリル酸メチル−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン−スチレン共重合体、エピクロルヒドリン重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキシド共重合体、エピクロルヒドリンゴム、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、塩素化ポリプロピレン、塩素化エチレン−プロピレンゴム、アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸ブチル−スチレン−アクリロニトリル共重合体が挙げられる。前記重合体は単独でもまた組み合わせて用いてもよい。その他、水性現像液に可溶または分散可能なバインダーである、米国特許第3,458,311号、同第4,442,302号、同第4,361,640号、同第3,794,494号、同第4,177,074号、同第4,431,723号、同第4,517,279号等の明細書に開示されている樹脂や、有機溶剤現像液に可溶、膨潤または分散可能である米国特許第4,323,636号、同第4,430,417号、同第4,045,231号等の明細書に開示されている樹脂も挙げることができる。
(b)1種類以上のモノマー
1種類以上のモノマーとしては、透明で、くもりのない感光性樹脂層が形成できるよう上記バインダーと相溶性である必要がある。前記モノマーとしては、例えば、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのα,β−エチレン性不飽和ニトリル化合物;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレートなどの炭素数1〜23のアルキルアルコールのアクリレート類および対応するメタクリレート類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアルコールのアクリレート類および対応するメタクリレート類;メトキシエチレングリコール、メトキシプロピレングリコールなどのアルコキシアルキレングリコールのアクリレート類およびメタクリレート類;マレイン酸モノエチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノエチルなどの不飽和多価カルボン酸のモノエステル類;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸ジオクチルなどのジエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビスアクリルアミドなどのアクリルアミド類および対応するメタクリルアミド類;エチレングリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位2〜23個)のグリコールのジアクリレート類および対応するメタクリレート類;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン(アルカンとしてはメタン、エタン、プロパン)などの三価以上の多価アルコール類のジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレート、オリゴアクリレート類および対応するメタクリレート類;2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどの酸性官能基をもつアクリレート類および対応するメタクリレート類;等が挙げられる。これらの光重合性エチレン性不飽和単量体は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その他として、米国特許第4,323,636号、同第4,753,865号、同第4,726,877号、同第4,894,315号の各明細書中に記載のモノマーを挙げることができる。
上記モノマーは、感光性樹脂層のバインダーを100質量部とすると、5〜30質量部、好ましくは10〜20質量部の範囲とすることが好ましい。モノマーの含有量が前記範囲未満では非赤外放射線露光硬化後の被膜の耐摩耗性や耐薬品性が低下し、前記範囲を超えると、感光性樹脂層のエラストマー性が低下し、凸版印刷版として好ましくない。
(c)光重合開始剤
光重合開始剤としては公知のものであれば特に限定されないが、このような光重合開始剤の一例として、ベンゾフェノンのような芳香族ケトン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、2,2−ジエトキシフェニルアセトフェノン等のベンゾインエーテル類;置換および非置換の多核キノン類;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4'−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、4−ジメチルアミノ安息香酸−2−イソアミル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパンなどが挙げられる。その他、米国特許第4,460,675号および同第4,894,315号の明細書に開示されている光重合開始剤などが挙げられる。また、前記光重合開始剤は単独でも、組合せても使用することができる。
上記光重合開始剤は、感光性樹脂層の全質量に対して0.001〜10質量%の範囲で配合することが好ましい。
(d)その他の成分
さらに、感光性樹脂層を形成する感光性樹脂組成物には、要求される特性に応じて増感剤、熱重合禁止剤、可塑剤、発色剤等の添加剤を用いることができる。この感光性樹脂組成物の調製法としては様々な方法が使用できるが、例えば、配合される原料を適当な溶剤、例えば、クロロホルム、テトラクロロエチレン等の炭化水素類、ジブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、等の溶剤(これら有機溶剤は、単独でもまた混合しても用いることができる)に溶解させて混合し、型枠の中に流延して溶剤を蒸発させ、そのまま板とすることも、また、溶剤を用いず、ニーダーあるいはロールミルで混練し、押出機、射出成形機、プレスなどにより所望の厚さの板に成形することもできる。
[A−3]インク受容層
本発明に用いられるインク受容層30は、前記感光性樹脂層20上に直接積層されることによって機能する被覆層である。そのため、感光性樹脂層20と相溶性や反応性を持たない成分から構成することが必要である。また、インク受容層30の特性として、イメージパターンに従った遮光パターンを形成する印刷インクを滲みやはじきを伴うことなく保持し、かつ感光性樹脂層20へ酸素が不必要に作用することがないように酸素透過を抑制するという少なくとも二つの特性を有する。
インク受容層30は、少なくとも、アクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョン、および水溶性樹脂から形成されてなる。インク受容層にこのような樹脂組成を採用することにより、水系インクおよび溶剤系インクの何れのインクに対しても記録特性を良好なものとすることができ、さらにインク受容層の厚みを厚くすることなく水系インクの滲みを防止することができる。また、水系インクで記録した後、溶剤系の現像液に溶解させることができる。
(a)アクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョン
アクリル変性ポリエステル樹脂は、溶剤系インクに対する記録特性を付与する役割を有する。さらに、アクリル変性ポリエステル樹脂は、インク受容層の表面張力を適度に高めることができ、水系インクの滲みを効果的に防止することができる。
アクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョンは、水に分散させたポリエステル樹脂とアクリル系樹脂を水中で重合させることなどにより得ることができる。具体的には、ポリエステル樹脂の水系分散体にラジカル重合開始剤を加え、45〜85℃の条件で、ビニル系モノマーを加え反応を進める。
アクリル変性ポリエステル樹脂のポリエステル樹脂成分は、多塩基酸またはそのエステル形成誘導体と、ポリオールまたはそのエステル形成性誘導体とから得ることができる。多塩基性成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸などがあげられる。また、ポリオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ジメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールなどがあげられる。これらモノマーは1種または2種以上を用いることができる。
また、アクリル変性ポリエステル樹脂のアクリル系樹脂成分としては、各種ビニル系モノマーがあげられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエンなどのモノマーがあげられる。これらモノマーは1種または2種以上を用いることができる。
アクリル変性ポリエステル樹脂中のポリエステル樹脂成分とアクリル系樹脂成分との割合は、ポリエステル樹脂成分100質量部に対し、アクリル系樹脂成分が10〜100質量部であることが好ましい。
(b)水溶性樹脂
水溶性樹脂は水系インクに対する記録特性を付与するものである。水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシセルロース、メラミン樹脂、アクリル酸、アクリル酸エステル、ナイロン、アクリルアミド共重合体などの合成樹脂やゼラチン、カゼイン、でんぷん、キチン、キトサンなどの天然樹脂があげられる。これらの中でも、溶剤系インクを吸収しやすく、かつ溶剤系の現像液に溶解しやすいポリビニルピロリドンが好適に使用される。
インク受容層を形成するアクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョンと水溶性樹脂との添加割合は、アクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョン100質量部に対し、前記水溶性樹脂を20〜150質量部とすることが好ましく、30〜80質量部とすることがより好ましい。このような添加割合とすることにより、水系インクおよび溶剤系インクの何れのインクに対しても記録特性を良好なものとすることができ、さらにインク受容層の厚みを厚くすることなく水系インクの滲みを防止することができる。また、水系インクで記録した後、溶剤系の現像液に溶解させることができる。
インク受容層の厚みは特に制限されることはないが、カールの発生を防止するため、上限として70μm以下であることが好ましい。厚みの下限は、インクの滲み、特に水系インクの滲みを防止するため、5μm以上とすることが一般的である。しかし、本発明においては、インク受容層の厚みを5μm未満としても、水系インクの滲みを防止することができる。これは、インク受容層の表面張力が適度に高いため、インク受容層に速やかに吸収されないインクがインク受容層表面で広がって滲むことがなく、インク受容層に徐々に吸収されていくためと考えられる。一方、インク受容層の表面張力が低い場合、インクはインク受容層表面で広がり滲んでしまい、表面張力が高すぎる場合には、球状となったインクがインク受容層表面で動いてしまい、インクが偏り、ムラになってしまう。
このように、本発明においては、インク受容層の厚みを薄くしても水系インクの記録特性に支障を生じることがない。さらに、インク受容層の厚みが厚い場合には、印字部の光学的濃度にムラが出やすくなるが、インク受容層の厚みを薄くすることにより、印字部の光学的濃度のムラをなくすことができる。したがって、本発明のように、記録後のインク受容層をマスクとして好適に使用することができる。マスクとして用いる場合、インク受容層の厚みは、0.5〜5μmであることが好ましく、3〜4μmであることがより好ましい。インク受容層の厚みを0.5μm以上とすることにより、滲みを防止することができ、5μm以下とすることにより、印字部の光学的濃度のムラをなくし、マスクとして好適に使用することができる。
インク受容層には、上述した性能を害しない限り、アクリル変性ポリエステル樹脂および水溶性樹脂以外の樹脂を含ませてもよい。このような樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂(アクリル変性されたものを除く)、エポキシ樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−アクリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、ゴム系樹脂などがあげられる。ただし、アクリル変性ポリエステル樹脂および水溶性樹脂の合計を、インク受容層中の全樹脂成分の80質量%以上とすることが好ましく、90質量%以上とすることがより好ましい。
インク受容層中には、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトールなどの多価アルコールを含有させてもよい。インク受容層に多価アルコールを含有させることにより、水系インクの記録特性を損なうことなく、フレキソ印刷版への追従性を良好にすることができる。多価アルコールの含有量は、インク受容層中の樹脂100質量部に対し、40質量部以下とすることが好ましく、5〜25質量部とすることがより好ましい。
インク受容層中には、インク吸収性を向上させたり、ブロッキングを防止するために顔料を含有させてもよい。顔料としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、合成ゼオライト、アルミナ、スメクタイトなどの無機顔料の他、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂などからなる樹脂ビーズ、若しくはこれらを原料とする中空樹脂ビーズなどの有機顔料があげられる。また、これらを1種又は2種以上混合して使用することができる。顔料の添加量は、インク受容層の全樹脂100質量部に対し、通常3〜200質量部程度である。
また、インク受容層中には、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、キレート剤などの添加剤を添加してもよい。
本発明におけるインク受容層の酸素透過係数は、酸素によって感光性樹脂層のパターンプロフィールが劣化しない範囲であれば、特に限定されるものではない。そのような酸素透過係数の好適範囲は、1×10−17〜9×10−5(cm・cm/cm・sec・cmHg)である。酸素の透過をほぼ遮断する程に酸素透過係数を下げても良いが、少量の酸素の透過を許す程度に酸素透過係数を制御することによって、感光性樹脂層の露光・現像によるパターンプロフィールを制御することも可能である。例えば、1×10−14〜9×10−10(cm・cm/cm・sec・cmHg)の範囲に設定すれば、感光性樹脂層の露光時に感光性樹脂層の表面に少量の酸素を存在させることになる。その結果、露光、現像後の、感光性樹脂層のパターンプロフィールは、末広がりのテーパー状となり、印刷のドットとなるパターン先端が細ることになる。その結果、パターン先端の印刷面(インク付着部分)が小面積化して、印刷の鮮明さを向上させることができる。
インク受容層を形成する樹脂組成物の調製において、インク受容層を構成する成分を有機溶剤に溶解し、前記感光性樹脂層上に塗布後、有機溶剤を揮発させ、インク受容層を形成するのがよい。前記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等の低級アルコール類、ジブチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、などを挙げることができる。これら有機溶剤は、単独でもまた混合しても用いることができる。
[A−4]その他
更に、本発明の凸版印刷用感光性原版には、必要に応じて、インク受容層の上にカバーシートを積層することができる。また、インク受容層とカバーシートの間に易剥離層を設けることもできる。
(a)カバーシート
インク受容層の保護のため、インク受容層の上にカバーシートを設けることができる。このカバーシートは、通常の凸版印刷版に用いられる公知の金属、プラスチックフィルム、紙およびこれらの複合化された形態のすべてのカバーシートが使用できる。これらには、付加重合ポリマーおよび線状縮合ポリマーにより形成されるようなポリマー性フィルム、透明なフォームおよび織物、不織布、例えばガラス繊維不織布、およびスチール、アルミニウムなどの金属が含まれる。好ましくは、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、あるいは、これらのフィルムを積層したものが用いられる、このカバーシートとしては、フィルムが好適であり、その厚みは、20μm以上200μm以下が好ましい。また、このカバーシートとマスク材層の間を剥離層で被覆していてもよい。
(b)易剥離層
インク受容層の上に設けられたカバーシートを剥離する際に、インク受容層の表面が破損することを防ぐため、インク受容層とカバーシートの間に、易剥離層を設けることもできる。易剥離層に用いられる材料としては、露光波長の波長域の光の影響を受けず、透明で、粘着性がなければよく、通常の凸版印刷版に用いられる材料を用いることができる。例えばポリアミド、ポリビニルアルコール、アミノアルキド、シリコン系離型剤およびこれらの組み合わせを挙げることができる。
[B]インク受容層形成用組成物
さらに、前記凸版印刷用感光性印刷原版に用いるインク受容層形成用組成物としては、前記[A−3]に示した組成物を用いることができる。
また、本発明のインク受容層にインク印刷パターンを形成するための好適な遮光インクとしては、前記感光性樹脂層をパターニングするために用いる露光光を吸収して透過を遮断できる特性を有し、インク受容層への定着が良好なものであれば、特に限定されない。好適な具体例としては、300nmから450nmの波長域の光に高い吸収性を持つ水溶性染料、油性染料、分散染料、有機溶剤易溶顔料等を含有するインクを挙げることができる。
前記水溶性染料としては、水中での吸収スペクトルが300nmから450nmの範囲に高い吸収があり、かつ水に対しての溶解度は通常5質量%以上、好ましくは7質量%以上であるものを適宜選択すればよい。このような色素の具体例として、水溶性の銅フタロシアニン染料、黄色染料、褐色染料などが挙げられる。また、これらの水溶性染料を2種以上併用してもよい。
前記水溶性の銅フタロシアニン染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブルー86、87、199、C.I.アシッドブルー249等が挙げられ、好ましくはC.I.ダイレクトブルー86、199である。
前記水溶性の黄色染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、64、76、79、110、127、135、143、151、159、169、174、190、195、196、197、199、218、219、220、227、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、110、132、142、144等が挙げられ、好ましくはダイレクトイエロー132、142である。
前記水溶性の褐色染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブラウン1、2、6、25、27、33、37、39、59、60、62、95、99、100、104、106、112、113、115、167、169、175、195、210等が挙げられ、好ましくはC.I.ダイレクトブラウン195である。
前記水溶性の銅フタロシアニン染料は、通常550〜650nmおよび300〜400nmに吸収極大を有し、前記水溶性の黄色染料または褐色染料は、通常350〜450nmに吸収極大を有する。本発明の凸版印刷板の製造方法に用い得る光源の波長としては、通常300〜400nmであるため、照射された光を効率よく吸収し、遮光するために、前記水溶性の銅フタロシアニン染料と、水溶性の黄色染料および/または褐色染料を併用することが好ましい。
前記油性染料の具体例としては、オイルイエロー105、107、129、3G、GGS、バリファストイエロー1101、1105、4120(いずれも、オリエント化学工業(株)製)、アイゼンスピロンレッドBEH、GEH、C−GH、(いずれも、保土谷化学工業(株)製)等が挙げられる。
さらには、カーボンブラック等の顔料を含有するインクも使用可能である。
本発明に用いる遮光インクは、例えば、前記水溶性染料を使用した場合、この水溶性染料を含有し、水を媒体として調製される。前記水溶性染料に含まれるClおよびSO 2−等の陰イオンの含有量は少ないものが好ましく、その含有量の目安は、フタロシアニン色素中でClおよびSO 2−の総含量として5質量%以下、好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下であり、インク中に1質量%以下である。ClおよびSO 2−の少ない水溶性染料を製造するには、例えば、逆浸透膜による通常の方法、または水溶性染料の乾燥品あるいはウェットケーキをアルコールおよび水の混合溶媒中で撹拌し、濾過、乾燥する等の方法で脱塩処理すればよい。用いるアルコールは、炭素数1〜4の低級アルコール、好ましくは炭素数1〜3のアルコール、さらに好ましくはメタノール、エタノールまたは2−プロパノールである。また、アルコールでの脱塩処理の際に、使用するアルコールの沸点近くまで加熱後、冷却して脱塩する方法を採用してもよい。ClおよびSO 2−の含有量は例えばイオンクロマトグラフ法で測定することができる。
本発明に用いられる遮光インクは、水溶性染料に含まれる亜鉛、鉄等の重金属(イオン)、カルシウム、シリカ等の金属(陽イオン)等の含有量が少ないものを用いるのが好ましい(色素構造に骨格に含有される金属、例えばフタロシアニン骨格における銅を除く)。その含有量は、例えば、色素の精製乾燥品中に、亜鉛、鉄等の重金属(イオン)、カルシウム、シリカ等の金属(陽イオン)について各々500ppm以下程度である。重金属(イオン)および金属(陽イオン)の含有量は、イオンクロマトグラフ法、原子吸光法、またはICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法にて測定することができる。
前記染料又は顔料は、遮光インク中に5〜20質量%、好ましくは5〜15質量%含有される。
本発明に用いる遮光インクは、さらに必要に応じて、水溶性有機溶剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有することができる。この水溶性有機溶剤は、染料溶解剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘度調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、消泡剤等として使用される。その他インク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、表面張力調整剤、消泡剤、分散剤、等の公知の添加剤が挙げられる。かかる水溶性有機溶剤の含有量は、インク全体に対して0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%用い、インク調製剤は、インク全体に対して0〜25質量%、好ましくは0〜20質量%である。
この遮光インクに用い得る水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンまたは1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトンまたはケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,2−または1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマーまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテルまたはエチレングリコールモノエチルエーテルまたはエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルまたはジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはジエチレングリコールモノブチルエーテルまたはトリエチレングリコールモノメチルエーテルまたはトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル、γ−ブチロラクトンまたはジメチルスルホキシド等が挙げられる。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ニトチリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンズチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオシキド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオシキド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、無機塩系化合物としては、例えば無水酢酸ソーダが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤としてソルビン酸ソーダ安息香酸ナトリウム、等(例えば、アベシア社製プロクセルGXL(S)、プロクセルXL−2(S)等)が挙げられる。
pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどのアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどが挙げられる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、トリルトリアゾールなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物、またはベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に、水溶性高分子化合物が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
染料溶解剤としては、例えば、尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等が挙げられる。
表面張力調整剤としては、界面活性剤が挙げられ、例えば、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤などが挙げられる。アニオン界面活性剤としてはアルキルスリホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体などがある。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などが挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテル等のエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、などのアセチレングリコール系(例えば、日信化学社製サーフィノール104、82、465、オルフィンSTG等)、等が挙げられる。これらのインク調製剤は、単独もしくは混合して用いられる。なお、本発明に用いる遮光インクの表面張力は通常25m〜70mN/m、より好ましくは25〜50mN/m以下である。また、この遮光インクの粘度は30mPa・s以下が好ましく、さらに20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物を必要に応じて用いることができる。
この遮光インクを製造するにあたり、各薬剤を溶解させる順序には特に制限はない。また、遮光インクを調製するにあたり、用いる水はイオン交換水または蒸留水など不純物が少ない物が好ましい。さらに、必要に応じメンブランフィルターなどを用いて精密濾過を行って夾雑物を除いてもよい。また、インクジェットプリンター用のインクとして使用する場合は精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1〜0.1ミクロン、好ましくは、0.8〜0.2ミクロンである。
この遮光インクを用いて、前記インク受容層にイメージパターンを記録するには、この遮光インクを含有する容器をインクジェットプリンターの所定位置にセットし、インクジェットプリンターを用いた通常の方法で、インク受容層に記録すればよい。インクジェットプリンターとしては、例えば、機械的振動を利用したピエゾ方式のプリンターや、加熱によりインク中に気泡が発生する際の圧力を利用したバブルジェット(登録商標)方式のプリンター等が挙げられる。
この遮光インクは貯蔵中に沈澱、分離することがない。したがって、この遮光インクをインクジェットプリンターにおいて使用した場合、インクジェット記録ヘッドの吐出口を閉塞することもない。本発明に用いる遮光インクは連続式インクジェットプリンターによる比較的長い時間一定の再循環下またはオンデマンド式インクジェットプリンターによる断続的な使用においても、物理的性質の変化を起こさない。
この遮光インクは、350nmを中心として波長域の光に対して幅広く、高い吸収を持つため、凸版印刷版の製造に使用される露光光を遮光することができる。この遮光インクに好適に用いられる色素は、水性溶剤に対する溶解度が高いため、色素濃度が高くすることができ、それにより遮光能の高いマスクパターンをインク受容層に形成することができる。また、色素の結晶物が析出することがなく、インクジェットの噴射経路が曲がったり、吐出口に目詰まりを起こすことがないため、インクジェットシステムを用いて高精細なマスクパターンを形成することができる。
[C]凸版印刷版の製造方法
次に、本発明の凸版印刷版の製造方法について、図2を参照しながら説明する。
[C−1]凸版印刷用感光性印刷原版の製造方法
本発明の凸版印刷用感光性印刷原版の製造方法の具体例を示す。
(a)感光性樹脂層形成工程
まず、エラストマー性バインダー、モノマー、開始剤およびその他の成分を混合して調製した感光性樹脂組成物をホットメルトに成形し、これを所望の厚さとなるようにカレンダー掛けする。この感光性樹脂組成物を基材10の上に載せ、加熱することにより、図2(a)に示すように、基材10の上に、感光性樹脂層20を形成する。また、その他の方法として、感光性樹脂層は、押出機を利用して感光性樹脂組成物を溶融、混合、脱気および濾過した後、基材と一時的なカバーシートとの間に押し出し、カレンダー掛けして所望の厚さとする、あるいは金型中に基材とカバーシートを置き、両者の間に感光性樹脂組成物を射出する、等の方法で、基材の上に感光性樹脂層を形成することもできる。
(b)インク受容層形成工程
次に前述のインク受容層形成用組成物を調整する。この組成物を、図2(b)に示すように、前記感光性樹脂層20上に直接塗布し、乾燥してインク受容層30を形成し、凸版印刷用感光性印刷原版とする。また、その他の方法として、カバーシート上にインク受容層形成用組成物を塗布・乾燥してインク受容層とし、このインク受容層を前記感光性樹脂層上に圧着する。そして、圧着したインク受容層上の一時的なカバーシートを除いて、あるいは除かずに、基材上に形成した感光性樹脂層と熱および/または圧力でラミネートして、製造することもできる。また、カバーシート上に、インク受容層、感光性樹脂層および基材を、順次ラミネートすることによっても、製造することができる。
[C−2]凸版印刷版の製造方法
(a)マスク画像層形成工程
図2(c)は、本発明の凸版印刷版の製造方法のマスク画像層形成工程を示す図である。前記製造方法で得られた凸版印刷用感光性印刷原版のインク受容層30に、遮光インク40と図示しないインクジェットプリンターとを用いて、インク受容層30内に遮光インク40を浸透させ、インク浸透域31を形成し、遮光パターンを記録する。遮光インクによる遮光パターンは、遮光インク40がインク受容層30中に浸透することによって、層中に形成される。これによって、インク受容層30はマスク画像層となる。
本発明の凸版印刷版の製造方法に好適に用いることのできる印刷装置としては、インクジェットプリンターを好適に用いることができる。インクジェットプリンターによる印刷は、インクをノズルから紙などの記録材料に噴射させて、文字や画像を形成させるものである。この印刷方法としては、インクの噴射方法により、主に、圧電素子を用いてインクに機械的振動を与えて噴射させるピエゾ法、インクを加熱し発砲させて発生した圧力を利用してインクを噴射させる方法に大別することができる。
本発明において、インク受容層30に上記遮光インクを付与して記録を行うための方法は、好ましくはインクジェット記録方法であり、該方法は、インクをノズルより効果的に離脱させて、射程体である記録媒体にインクを付与し得る方式であればいかなる方式でもよい。特に、特開昭54−59936号公報に記載されている方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが発泡により急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット方式は有効に使用することができる。
(b)露光工程
図2(d)は、本発明の凸版印刷版の製造方法の露光工程を示す図である。感光性樹脂層20上にマスク画像層が形成された凸版印刷用感光性印刷原版に対して、300nm〜700nmの波長域の光を照射(矢印で図示)し、感光性樹脂層20に照射領域21と非照射領域22とを有する露光膜を得る工程である。
感光性樹脂層20は露光に感応するため、光が遮光パターンに遮られて照射されずに未硬化状態にある非照射領域22と、光に感応し硬化状態にある照射領域21との間には、現像液への溶解度の差が生じるため、次工程の現像工程によって溶解除去される。
感光性樹脂層20に照射する光としては、赤外線より波長が短い電磁波、好ましくは可視光線と紫外線領域の電磁波、さらに好ましくは300〜700nmの電磁波がよく、より好ましくは300nm〜400nmである。この照射する光の光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、重水素ランプ、タングステンランプ(タングステンヨウ素ランプ、WIランプ、WIランプ)キセノンランプ、エキシマレーザなどを挙げることができる。
本発明の露光工程における露光条件は、特に限定されるものではない。露光に用いる方法に応じて、露光時間、露光強度等を適宜選択することが可能である。
(c)現像工程
図2(e)は、本発明の凸版印刷版の製造方法の現像工程を示す図である。現像工程とは、露光工程を実施し、照射領域21と非照射領域22とからなる露光膜の非照射領域22を、現像液によって溶解除去し、凸版印刷用感光性印刷原版に画像を形成することで、凸版印刷版が製造される。
現像工程で使用する現像液としては、感光性樹脂層を溶解する性質を持つものであれば、有機溶液、水、水性または半水性溶液のいずれであってもよく、現像液の選択は、除去されるべき樹脂の化学的性質に依存する。適当な有機溶媒現像液としては芳香族もしくは脂肪族炭化水素および脂肪族もしくは芳香族ハロ炭化水素溶媒またはそれらの溶媒と適当なアルコールとの混合物が挙げられる。また、半水性現像液としては、水または水に混和し得る有機溶媒およびアルカリ性材料を含有している。該水性現像液としては、水と、例えば、ヘプチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類、石油留分、トルエン、デカリン等の炭化水素類、テトラクロルエチレンなどの塩素系溶剤、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の水溶液が挙げられる。また、これらの溶剤にプロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類を混合したものを用いることも可能であり、洗い出しは浸漬、ノズルからの噴射、ブラシによるブラッシング等任意の方法が採用できる。
以下、本発明を実施例によって、さらに詳細に説明するが、以下の実施例は、本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。なお、以下の説明において、「部」および「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。また、光学的濃度については、分光光度計(U−2000(商品名)、(株)日立製作所製)を用いて測定した。
<実施例1>
(アクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョンの合成)
四ッ口フラスコに下記の(1)(2)(4)(5)を仕込み、撹拌しながら(3)をそれぞれ少量ずつ加えて十分に混合した後、この系に窒素ガスを吹き込み、脱酸素を行った。次いで、昇温し、65〜85℃で5時間反応を行った。次いで、室温になるまで撹拌を続け反応を終了させた。こうして、固形分20%のアクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョンを得た。
(1)ポリエステル樹脂水分散体 520部
(プラスコートZ−446、互応化学工業(株)製、固形分25%)
(2)界面活性剤 2部
(ニューコール710、日本乳化剤(株)製)
(3)ビニルモノマー
メタクリル酸メチル 20部
アクリルアミド 50部
(4)過酸化ベンゾイル(重合開始剤) 2部
(5)イオン交換水 406部
(易剥離層、インク受容層の形成)
固形分50%のアミノアルキド樹脂溶液(テスファイン303:日立化成ポリマー(株)製、溶剤分:トルエン、キシレン、イソブタノール)を36部、パラトルエンスルホン酸を0.4部、トルエンを30部、イソプロピルアルコールを30部混合してなる易剥離層塗布液を厚み100μmのカバーシートとなるPETフィルムに乾燥後の塗布膜厚3μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、150℃で5分間乾燥して易剥離層を形成した。次に、易剥離層上に、上記のように合成した固形分20%のアクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョンを30部、固形分100%のポリビニルピロリドンを3部、ソルビトールを1部、水を30部、メタノール変性アルコール30部を混合してなるインク受容層塗布液を乾燥後の膜厚が3μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、120℃で3分間乾燥してインク受容層を形成した。このインク受容層、易剥離層の370nmの光学的濃度を測定したところ0.0であった。
(感光性樹脂層の形成)
平均分子量240,000のスチレンブタジエン共重合体(D−1155(商品名)、JSRシェルエラストマー(株)製)100部、平均分子量1,000の液状1,2−ポリブタジエン(ニッソ−PB−1000(商品名)、日本曹達(株)製)70部、トリメチロールプロパンアクリレート10部、メトキシアセトフェノン3部、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン0.05部、オイルブルー#503(オリエント化学工業(株)製)0.002部を、テトラヒドロフラン0.2部からなる溶剤に溶解して感光性樹脂組成物を調整し、この感光性樹脂組成物を高粘度用ポンプにて押出機に圧入し、押出機内で混練しながら2.84mmの厚さとなるよう、ポリエチレンテレフタレートシートからなる基材上に押し出し、感光性樹脂層を形成した。
(凸版印刷用感光性印刷原版の製造)
上記で得た感光性樹脂層とインク受容層の面を合わせて、圧着ローラーを用いてラミネートし、凸版印刷用感光性印刷原版を製造した。
(凸版印刷版の製造)
得られた凸版印刷用感光性印刷原版のカバーシート及び易剥離層を剥離し、フラットベットインクジェットプリンタ(ローランド・ディー・ジー(株)製)を用い、300nm〜400nmに吸収波長を有する色素を含む水溶性染料インク(TOKTEDインク(商品名)、東京応化工業(株)製)をインク受容層に選択的に画像を印字した。この画像層の印字部の370nmの光学的濃度を測定したところ3.0であった。
次に、370nmに中心波長を有する紫外線を基材側から75mJ/cmのバック露光を行い、引き続いてインク受容層側から2500mJ/cmのメイン露光を行った。その後、芳香族炭化水素系現像液(FDO−S2(商品名)、東京応化工業(株)製)を現像液として、液温25℃で4分間現像を行った。得られた版面には、現像残渣などの再付着は認められなかった。
現像処理後、55℃で50分間乾燥した後、250nmに中心波長を有する紫外線蛍光灯ランプを用いて後処理を行い、さらに、370nmを中心波長を有する紫外線を3000mJ/cmの後露光を行い、凸版印刷版を得た。
<実施例2>
(易剥離層、インク受容層の形成)
固形分50%のアミノアルキド樹脂溶液(テスファイン303:日立化成ポリマー(株)製、溶剤分:トルエン、キシレン、イソブタノール)を36部、パラトルエンスルホン酸を0.4部、トルエンを30部、イソプロピルアルコ−ルを30部混合してなる易剥離層塗布液を厚み100μmのカバーシートとなるPETフィルムに乾燥後の塗布膜厚3μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、150℃で5分間乾燥して易剥離層を形成した。次に、易剥離層上に、実施例1と同様の方法により合成した固形分20%のアクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョンを30部、固形分100%のポリビニルピロリドンを3部,水を30部,メタノール変性アルコールを30部混合してなるインク受容層塗布液を乾燥後の塗布膜厚が3μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、120℃で3分間乾燥してインク受容層を形成した。このインク受容層,剥離層の370nmの光学的濃度を測定したところ0.0であった。
(感光性樹脂層の形成)
水10部にメチルヒドロキノン0.25部を溶かし、これにジメチロールエーテル74部、N−メチロールアクリルアミド202部、塩化アンモニウム2部を加えて80℃に加熱し、2時間かきまぜた。次にこの反応生成物をアセトン1000部中に注加し、沈殿物をろ過して除き、ポリマー状縮合物(感光性反応生成物)を得た。
次にケン化度73モル%、重合度500の部分ケン化PVA100部、感光性反応生成物100部、エチレングリコール10部、ベンゾインイソプロピルエーテル4部、メチルヒドロキノン0.05部を水200部に加熱溶解した溶液を予めハレーション防止層を設けたポリエステルフィルム上に流延し、40℃で15時間乾燥させて、厚さ0.7mmの感光性樹脂層を形成した。
(レタープレス印刷用感光性印刷原版の製造)
上記で得られた感光性樹脂層表面に水:メタノール=1:2(質量比)の混合溶剤を微薄に塗付し、先に作製したインク受容層、易剥離層が形成されたカバーシートをインク受容層が感光性樹脂層表面に接するように積層、圧着してレタープレス印刷用感光性樹脂原版を製造した。
(レタープレス印刷版の製造)
得られたレタープレス印刷用感光性樹脂原版のカバーシートを剥離し、フラットベットインクジェットプリンタ(ローランド・ディー・ジー(株)製)を用い、300nm〜400nmに吸収波長を有する色素を含む水溶性染料インク(TOKTEDインク(商品名)、東京応化工業(株)製)をインク受容層に選択的に画像を印字した。この画像層の印字部の370nmの光学的濃度を測定したところ3.0であった。
次に、370nmに中心波長を有する紫外線をインク受容層側から720mJ/cmのメイン露光を行った。温水を現像液として、液温35℃で4分間現像を行った。得られた版面には現像残渣などの再付着が認められなかった。現像処理後、100℃で10分間乾燥し、レタープレス印刷版を得た。
<比較例1>
ポリビニルブチラール(エスレック(商品名)、積水化学(株)製)5%水溶液を厚み100μmのカバーシートとなるPETフィルムに乾燥後の塗布膜厚が2μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、100℃で5分間乾燥し、インク受容層を形成した。
上記インク受容層を使用し、易剥離層を設けなかった以外は、実施例1に記載した方法と同様の方法により、凸版印刷用感光性印刷原版を製造した。また、凸版印刷版についても実施例1と同様の方法により製造した。
[印刷試験]
実施例1、2及び比較例1の印刷版を用いて、印刷を行った。実施例1及び2の印刷版を用いて印刷したところ、非常に鮮明な文字を有する印刷物が刷り上がった。しかし、比較例1の印刷版を用いて印刷したところ、実用レベルで使用可能な文字を有する印刷版が刷り上がったが、微細文字の印刷は実施例と比較すると、精細さに欠ける印刷物であった。
本発明の凸版印刷用感光性印刷原版の全体構成の概略図を示す。 本発明の凸版印刷版の製造方法の工程を示す図である。
符号の説明
10 基材
20 感光性樹脂層
21 照射領域
22 非照射領域
30 インク受容層
31 インク浸透域
40 遮光インク

Claims (10)

  1. 基材上に、感光性樹脂層とインク受容層とが順次積層されてなる凸版印刷用感光性印刷原版であって、
    前記インク受容層は、アクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョン、および水溶性樹脂を含有する組成物からなる層であることを特徴とする凸版印刷用感光性印刷原版。
  2. 前記アクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョンが、水に分散させたポリエステル樹脂とアクリル系樹脂を水中で重合させることにより得られたアクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョンであることを特徴とする請求項1記載の凸版印刷用感光性印刷原版。
  3. 前記インク受容層を構成する前記組成物は、前記アクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョン100質量部に対して、前記水溶性樹脂を20から150質量部配合してなることを特徴とする請求項1または2記載の凸版印刷用感光性印刷原版。
  4. 前記インク受容層の厚みが0.5〜70μmであることを特徴とする請求項1から3いずれか記載の凸版印刷用感光性印刷原版。
  5. 前記インク受容層上に、さらに易剥離層が形成されてなることを特徴とする請求項1から4いずれか記載の凸版印刷用感光性印刷原版。
  6. アクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョン、および水溶性樹脂を含有することを特徴とする凸版印刷用感光性印刷原版に用いるインク受容層形成用組成物。
  7. 前記アクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョンが、水に分散させたポリエステル樹脂とアクリル系樹脂を水中で重合させることにより得られたアクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョンであることを特徴とする請求項6記載の凸版印刷用感光性印刷原版に用いるインク受容層形成用組成物。
  8. 前記アクリル変性ポリエステル樹脂エマルジョン100質量部に対して、前記水溶性樹脂を20から150質量部配合してなることを特徴とする請求項6又は7に記載の凸版印刷用感光性印刷原版に用いるインク受容層形成用組成物。
  9. 請求項1から5いずれか記載の凸版印刷用感光性印刷原版のインク受容層に、露光波長を実質的に遮断する遮光インクを用いて遮光パターンを形成するマスク画像層形成工程と、
    その後に前記マスク画像層をマスクとして前記感光性樹脂層に前記露光波長の波長域の光を照射する露光工程と、
    前記露光波長の波長域の光が照射されずに未硬化状態にある前記感光性樹脂層の非照射領域を現像液により除去して、前記基材上に印刷用の凸状パターンを有する樹脂層を形成する現像工程と、
    を有する凸版印刷版の製造方法。
  10. 前記遮光インクとして、300nmから450nmに吸収性を有する遮光インクを用いることを特徴とする請求項9記載の凸版印刷版の製造方法。
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