JP5020946B2 - 空気サスペンションシステム - Google Patents

Description

本発明は、各車軸の各側部でそれぞれ空気袋によって支持された複数の車軸を有する、荷物を輸送する原動力車及び従動車のための空気サスペンションシステムの改良に関するものである。

荷物を輸送する原動力車のための空気サスペンションシステムは、各車軸の各側部で２つの駆動される車軸を対で支持する例えば８つの空気袋を備えている。１つのよく知られた原動力車においては、上記対の空気袋が、隣り合う車軸に対応して配置された空気袋間を伸びる１つの大直径の共通空気配管によって接続されている。

共通空気配管は、それぞれ、空気配管によって制御バルブに接続されている。この制御バルブは、共通空気配管への空気の供給を制御して空気袋の膨張を調整し、原動力車が位置レベルを維持して変化する道路の状況に応じて駆動されることを確実にする。

例えばヘンドリクソン（Hendrickson）ＨＡＳシリーズサスペンションなどといった他の空気サスペンションシステムにおいては、各車軸は、該車軸が接続されたフレームハンガー（frame hanger）に取り付けられた単一の大型の空気袋によって各側部で支持されている。

既知の空気サスペンションシステムは、道路の状況が緩慢に変化する場合には有効であるが、道路の粗面部（rough section）及びコーナリング部（cornering section）などを走行する場合は、状況の急激な変化に十分に対応することができない。その結果、車両は不安定となり、運転者の車両制御性が損なわれ、運転者に疲労がたまり、タイヤの摩耗を増加させ、積荷を損なうおそれがある。

本発明は、運転状況（driving condition）の変化により適切に対応することができる改良された空気サスペンションシステムを提供することを目的とする。

本発明は、車両の各車軸の各側部（side）を支持する少なくとも１つの空気袋（air bag）と、それぞれ各側部の空気袋への空気の流れを個別に制御するためのレベル制御バルブと、それぞれ各レベル制御バルブと各側部の各空気袋とを接続する複数の個別空気配管とを有する、複数車軸車（multi-axle vehicle）のための空気サスペンションシステムであって、個別空気配管が、各空気袋に実質的に同一体積の空気が供給されて、運転状況の変化に対する安定性を維持するようになっている空気サスペンションシステムを提供する。

さらに、本発明は、車両の各車軸の各側部を支持する少なくとも１つの空気袋と、それぞれ各側部の空気袋への空気の流れを個別に制御するためのレベル制御バルブと、各レベル制御バルブと分配マニホールド（distribution manifold）との間を接続する第１の個別空気配管と、それぞれ各分配マニホールドと各側部の各空気袋との間を接続する複数の第２の個別空気配管とを有する、複数車軸車のための空気サスペンションシステムであって、第１の個別空気配管が実質的に同一の寸法及び長さを有し、各分配マニホールドと各空気袋との間の第２の個別空気配管が同一の寸法及び長さを有し、これにより、各空気袋に実質的に同一体積の空気が供給されて、運転状況の変化に対する安定性を維持するようになっている空気サスペンションシステムを提供する。
なお、本明細書において、「寸法」は管寸法すなわち管の断面寸法を意味する。

各空気袋への空気配管の長さが互いに異なる既知の空気サスペンションシステムと比べて、本発明に係る空気サスペンションシステムは、空気袋が道路状況の変化に対応して安定性を維持することを確実にし、かつ、車両をより容易に制御することを可能にする。

１つの実施態様においては、各車軸が該車軸の各側部を支持する１対の空気袋サスペンションを有し、複数の個別空気配管が、各側部を制御するバルブから個別の空気袋へ伸びている。

１つのこのような形態の装置においては、各側部の空気袋が、隣り合う車軸における同様の位置（similar position）の空気袋間を伸びている共通空気配管によって相互に接続されている。ここで、個別空気配管は、各空気袋と隣り合う共通空気配管に接続されている。

もう１つの実施態様においては、各車軸が該車軸の各側部で単一の空気袋によって支持されている。

車両は、駆動される車軸を有する原動力車の形態であっても、また受動車軸（駆動されない車軸）を有する従動車であってもよい。

応答性をさらに高めるために、各レベル制御バルブは、原動力車の空気供給タンクに接続された個別空気供給配管を有している。この個別空気供給配管の寸法及び長さは同一であるのが好ましい。

レベル制御バルブは、剛体である共通バー（common rigid bar）へ伸びる制御手段によって駆動されるのが好ましい。この共通バーは、各側部の空気袋を１つの車軸に取り付ける手段に固定されているのが好ましい。

もう１つの実施態様においては、本発明は、車両の各車軸の各側部を支持する少なくとも１つの空気袋と、それぞれ各側部の空気袋への空気の流れを個別に制御するためのレベル制御バルブと、それぞれ各レベル制御バルブと各側部の各空気袋とを接続する複数の個別空気配管とを有する、複数車軸車のための空気サスペンションシステムであって、各レベル制御バルブが、車両の空気供給タンクに接続された、該空気サスペンションシステムの応答性を高めるための個別空気供給配管を有している空気サスペンションシステムを提供する。

図１に示すように、原動力車（prime mover）のシャーシ１（chassis）は、前側及び後側の駆動される車軸２、３（駆動軸）を有している。これらの車軸２、３は、図示されているように、該車軸２、３の各側部に配置された空気袋サスペンション（air suspension bag）の対４、５と、対６、７と、対８、９と、対１０、１１とを用いて、既知の仕様でもって、シャーシ１により支持されている。

空気袋サスペンションの対４、５と、対６、７と、対８、９と、対１０、１１とは、それぞれ、既知の仕様でもって、通常は約５ｃｍ（２インチ）の直径を有する大容量の共通空気配管１２〜１５に接続されている。ここで説明している空気袋サスペンションは、典型的には、ケンワース（Kenworth）Ｔ９０４原動力車で用いられているケンワース・エアグライド（Kenworth Airglide）２００である。

通常の環境下では、車軸の各側部の共通空気配管１２〜１５は、空気配管（図示せず）を介して、例えばハドレーバルブ（Hadley valve）などといった適当な搭載高さ（ride height）又は搭載レベル（ride level）の制御バルブ１６、１７に接続されている。しかし、この実施の形態においては、これらの共通空気配管には、各空気袋の空気配管接続具（air line connection fitting）のところで空気が供給される。共通空気配管は、それぞれ一方の側部の個別空気配管１８〜２１と他方の側部の個別空気配管２２〜２５とによって、結合具２６、２７（junction fitting）に接続されている。結合具２６、２７には、レベル制御バルブ１６、１７から伸びる空気配管２８、２９によって空気が供給される。各レベル制御バルブ１６、１７への空気の適正な供給を確実化するために、個別空気配管３０、３１が、通常の仕様でもって、原動力車に取り付けられた空気供給タンク（図示せず）に接続されている。これらの配管の寸法及び長さも同一である。

実質的に同一の体積及び圧力の空気を各空気袋へバランスさせて供給することを確実にするために、個別空気配管１８〜２１及び個別空気配管２２〜２５は、実質的に同一の寸法又は内部直径及び長さを有している。同様の理由により、バルブ１６、１７との間の空気配管２８、２９も、実質的に同一の寸法（管寸法）及び長さを有している。

前側の空気袋４、６への配管は、矢印で示すように、通常の仕様でもって、原動力車の車室内の図示していないダンプスイッチ（dump switch）及び計測器（gauge）に接続されている。その態様（aspect）は本発明の本質部分ではないので、その詳しい説明は省略する。

個別空気配管１８〜２１及び個別空気配管２２〜２５を設けるとともに、これらの個別空気配管を、個別に設けられたレベル制御バルブ１６、１７に接続しているので、同一体積の空気が空気袋の各々に急速に供給される。これにより、これらは、図示されているように、空気袋９、１１の下に取り付けられた剛体であるバー３４を介して、制御ロッド３２、３３によって、バルブ１６、１７に中継された（relayed）道路状況の変化に適切に対応する。空気配管１８〜２１及び２２〜２５は、約１２ｍｍ（１／２インチ）のボア直径を有しているのが好ましい。

図２に示す実施の形態においては、共通空気配管１２〜１５は除去されている。そのほかの点については、図１に示すシステムと同様であり、同様の構成要素には同一の参照番号が付されている。この実施の形態においては、レベル制御バルブ１６、１７から伸びる空気配管２８、２９は、図示されているように、マニホールド２６、２７によって、配管１８〜２５に接続された分岐配管に接続されている。マニホールド２６、２７は分岐配管の中心位置に配置され、また、分岐配管と同様の寸法を有する配管１８〜２４との接続部は、空気配管１８〜２５が同一の長さを有するように中心に配置されているということに注目すべきである。共通空気配管１２〜１５が欠けている点を除けば、図１に示すシステムと同様の配管構造を用いることが好ましい。

図３は、空気袋サスペンション４４〜４９によって各側部で支持された３つの車軸４１、４２、４３を有する従動車（trailer）のシャーシ４０を模式的に示している。空気袋には、それぞれ、寸法（管寸法）及び長さが同一の個別空気配管５０〜５５によって空気が供給される。個別空気配管５０〜５５は、各側部の空気供給配管５４、５５に設けられた分配マニホールドＭから伸びている。空気供給配管５４、５５は、同一の寸法及び長さを有する空気供給配管５８ａ、５８ｂによって、空気供給タンク５８から空気が供給されるレベル制御バルブ５６、５７に接続されている。レベル制御バルブ５６、５７は、後側の車軸４３に取り付けられた制御ロッド５９によって上記配置構造と同様に操作される。この場合も、空気配管５０〜５５が実質的に同一の寸法及び長さを有し、空気供給配管５８ａ、５８ｂが実質的に同一の寸法及び長さを有していることが重要である。この配置構造は、原動力車のシステムと同様に動作し、従動車の安定した制御を実現し、さらに原動力車と従動車を組み合わせた車両の制御性を改善する。

図４に示す実施の形態においては、空気袋サスペンションの対４、５と、対６、７と、対８、９と、対１０、１１とは、図１に示す共通空気配管１２〜１５と同様の共通空気配管１２ａ〜１５ａによって、互いに接続されている。図１に示す実施の形態と同様に、個別空気配管１８〜２５によって、各空気袋４〜１１の空気配管接続具に空気が供給される。個別空気配管１８〜２５は、空気配管２８、２９によって、レベル制御バルブ１６、１７から空気が供給される分配マニホールド２７、２８に接続されている。この配置構造は、図１に示す実施の形態と同一の態様で動作する。この場合もまた、個別空気配管１８〜２５は、空気配管２８、２９と実質的に同一の寸法及び長さを有している。

ヘンドリクソンＨＡＳサスペンションを模式的にあらわしている図５に示す実施の形態においては、車軸２、３が、既知の仕様で、より大きい空気袋６０〜６３によって支持されている。前記の各実施の形態と同様に、搭載高さ（ride height）を調整するバルブ６４、６５には、同一の寸法及び長さを有する空気配管６６、６７によって、空気タンク（図示せず）から個別に空気が供給される。同一の寸法及び長さを有する空気供給配管６８、６９が、バルブ６４、６５から分配マニホールド７０、７１に伸び、同一の寸法及び長さを有する空気配管が、分配マニホールドから各空気袋６０〜６３に伸びている。この実施の形態は、前記の各実施の形態と同一の態様で動作する。

各実施の形態においては、個別空気配管のボア直径（bore diameter）は１２ｍｍであるのが好ましい。しかし、同様の結果が得られる他の寸法を用いてもよい。各集合又は群（例えば、１８〜２５、２８及び２９、３０及び３１等）における空気配管の寸法及び長さは同一である。

本発明の実施の形態は、例えばＴ９０４原動力車に搭載されるエアグライド２００などといったケンワース原動力車の典型的な空気サスペンションについて説明されている。しかし、本発明は、エアグライド（ＡＧ）４００、ＡＧ４６０又はＡＧ６９０などといったケンワースサスペンション以外の空気サスペンションにも適用することができるということが分かるであろう。模式的に示されたヘンドリクソンＨＡＳサスペンションについても同様である。本発明は、駆動される各車軸を支持する１つ又は複数の空気袋を有するあらゆる空気袋サスペンションシステムに、等しく適用することができる。

本発明の実施の形態に係る空気サスペンションシステムを有する原動力車のシャーシの模式的で部分的な平面図である。 本発明の実施の形態に係る修正された空気サスペンションを有する動力車のシャーシの図１と同様の平面図である。 本発明の実施の形態に係る空気サスペンションシステムを有する従動車のシャーシの模式的で部分的な平面図である。 本発明の実施の形態に係る修正されたもう１つの空気サスペンションシステムを有する動力車のシャーシの模式的で部分的な平面図である。 本発明の実施の形態に係る修正されたさらなるサスペンションシステムの模式的な平面図である。

符号の説明

１ 原動力車のシャーシ、２ 前側の駆動される車軸、３ 後側の駆動される車軸、４ 空気袋、５ 空気袋、６ 空気袋、７ 空気袋、８ 空気袋、９ 空気袋、１０ 空気袋、１１ 空気袋、１２ 共通空気配管、１３ 共通空気配管、１４ 共通空気配管、１５ 共通空気配管、１６ レベル制御バルブ、１７ レベル制御バルブ、１８ 個別空気配管、１９ 個別空気配管、２０ 個別空気配管、２１ 個別空気配管、２２ 個別空気配管、２３ 個別空気配管、２４ 個別空気配管、２５ 個別空気配管、２６ 接続具、２７ 接続具、２８ 空気配管、２９ 空気配管、３０ 個別空気配管、３１ 個別空気配管、４０ 従動車シャーシ、４１ 車軸、４２ 車軸、４３ 車軸、４４ 空気袋サスペンション、４５ 空気袋サスペンション、４６ 空気袋サスペンション、４７ 空気袋サスペンション、４８ 空気袋サスペンション、４９ 空気袋サスペンション、５０ 個別空気配管、５１ 個別空気配管、５２ 個別空気配管、５３ 個別空気配管、５４ 個別空気配管、５５ 個別空気配管。

Claims (13)

1. 車両の左側及び右側の各側部で各車軸（２，３）を支持する少なくとも１つの空気袋（４〜１１）を有する複数車軸車のための空気サスペンションシステムであって、
   上記車両の運転状況の変化が起こったときに該車両の車体の状況の変化に対応して、それぞれ、上記左側及び右側の各側部において、上記空気袋（４〜１１）への空気の流れを側部毎に制御するための左側及び右側の各レベル制御バルブ（１６，１７）と、
   上記左側及び右側の各側部において、それぞれ上記左側及び右側の各レベル制御バルブと上記各空気袋とを接続する複数の個別空気配管（１８〜２５，２８，２９）とを有していて、
   上記左側及び右側の各側部において、それぞれ、上記個別空気配管が、上記各空気袋に実質的に同一体積の空気が供給されるようになっていることを特徴とする空気サスペンションシステム。
2. 上記各側部において、それぞれ各レベル制御バルブ（１６，１７）と各分配マニホールド（２６，２７）との間を接続する第１の個別空気配管（２８，２９）と、
   上記各側部において、それぞれ上記各分配マニホールド（２６，２７）と上記各空気袋（４〜８）との間を接続する第２の個別空気配管（１８〜２５）とを有し、
   上記各第１の個別空気配管（２８，２９）が互いに実質的に同一の寸法及び長さを有し、上記各側部において上記各分配マニホールド（２６，２７）と上記各空気袋（４〜８）との間の上記各第２の個別空気配管（１８〜２５）が互いに同一の寸法及び長さを有し、これにより、上記各空気袋に実質的に同一体積の空気が供給されて、該車両の運転状況の変化に対する安定性を維持するようになっている、請求項１に記載の空気サスペンションシステム。
3. 上記各車軸（２，３）が、該各車軸の上記各側部を支持する１対のサスペンション空気袋（４，５；６，７；８，９；１０，１１）を有している、請求項１又は２に記載の空気サスペンションシステム。
4. 上記各側部の上記空気袋が、隣り合う車軸における同様の位置の空気袋間を伸びている共通空気配管（１２〜１５）によって付加的に相互接続され、
   上記個別空気配管（１８〜２５）が、上記各空気袋の位置又は該位置の近傍で上記共通空気配管（１２〜１５）に接続され、上記空気袋と上記共通空気配管とに直接空気を供給するようになっている、請求項３に記載の空気サスペンションシステム。
5. 上記各レベル制御バルブ（１６，１７）が、上記車両の空気供給タンクに接続された、応答性を高めるための個別空気供給配管（３０，３１）を有している、請求項１〜４のいずれか１つに記載の空気サスペンションシステム。
6. 上記個別空気供給配管（３０，３１）が同一の寸法及び長さを有している、請求項５に記載の空気サスペンションシステム。
7. 上記レベル制御バルブが、剛体である共通バー（３４）へ伸びている制御手段（３２，３３）によって駆動され、
   上記共通バーは、上記各側部で上記空気袋を１つの車軸に取り付けている手段に固定されている、請求項１〜６のいずれか１つに記載の空気サスペンションシステム。
8. 上記各車軸の上記各側部の上記１対の空気袋（４，５；６，７；８，９；１０，１１）が共通空気配管（１２〜１５）によって接続され、上記個別空気配管が、上記各空気袋と上記共通空気配管（１２〜１５）とに接続されている、請求項３に記載の空気サスペンションシステム。
9. 上記共通空気配管の容量が上記個別空気配管の容量よりも大きい、請求項４又は８に記載の空気サスペンションシステム。
10. 上記共通空気配管の容量が上記個別空気配管の容量の約４倍である、請求項９に記載の空気サスペンションシステム。
11. 上記各車軸が、該車軸の一方の側部で単一の空気袋（６０，６１；６２，６３）によって支持されている、請求項１に記載の空気サスペンションシステム。
12. 上記車両が、駆動される車軸（２，３）を有する原動車である、請求項１〜１１のいずれか１つに記載の空気サスペンションシステム。
13. 上記車両が、受動軸（４１〜４３）を有する従動車（４０）である、請求項１〜９のいずれか１つに記載の空気サスペンションシステム。

Images