以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
[第1参考形態]
図1は、第1参考形態に係わる車両用電池温度制御装置の構成を示すブロック図である。
本発明の第1参考形態に係わる車両用電池温度制御装置10は、電池温度制御ECU12によって電池ファン14の駆動を制御することによって、車両に搭載された電池20の温度を制御する。
制御対象となる電池20は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両の動力源となる電池を適用することができる。
電池20は、図2に示すように、電池温度の低下すると最大充電可能量が低下してしまうため、回生ブレーキによる発電によって電池充電を行う際に効率良く充電ができなくなる。そのため、電池ファン14を駆動することで電池20を暖機するようになっている。
電池ファン14は、例えば、電池20近傍に設けられ、本形態では、車室内の空気を導入して電池に送風することによって電池20を暖機する。
電池温度制御ECU12には、電池20の温度を検出する電池温度センサ16、車室内の温度を検出する車室内温度センサ18、及び車室内の湿度を検出する車室内湿度センサ22が接続されており、各センサの検出結果が入力される。なお、車室内温度センサ18及び車室内湿度センサ22は、例えば、車室内を空調するエアコンを制御するエアコンECUに接続されている場合があるので、エアコンECU等の他の制御ユニットから入力するようにしてもよい。
電池温度制御ECU12は、各センサの検出結果に基づいて、電池ファン14の駆動を制御して電池20の温度を制御する。詳細には、電池温度制御ECU12は、電池温度センサ16によって検出された電池温度と、車室内温度センサ18によって検出された車室内温度とを比較し、車室内温度の方が高い場合に、電池ファン14を駆動する。
また、この時、車室内の空気を電池20に送風することによる電池20の結露の発生を推定し、電池20が結露する可能性がある場合には、電池ファン14の駆動を禁止するようになっている。本形態では、車室内湿度センサ22の検出結果から車室内の空気を電池20に送風することによって電池20が結露する可能性があるか否かを判定することで電池20の結露の発生を推定する。詳細には、車室内の湿度の閾値を予め設定しておき、閾値以下の湿度である場合には、電池20に結露が発生する可能性がないと判断する。
ここで、上述のように構成された第1参考形態に係わる車両用電池温度制御装置10の電池温度制御ECU12で行われる電池温度制御の流れについて説明する。図3は、第1参考形態に係わる車両用電池温度制御装置10の電池温度制御ECU12で行われる電池温度制御の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本形態では、図示しないイグニッションスイッチがオンされることによって、電池温度制御ECU12が電池温度制御を開始し、イグニッションスイッチがオフされることによって電池温度制御を終了するものとして説明する。
図示しないイグニッションスイッチがオンされて電源が投入されると、まずステップ100では、電池温度センサ16によって検出された電池温度の検出結果が取得されてステップ102へ移行する。
ステップ102では、電池温度センサ16によって検出された電池温度が所定値以下か否か判定される。該判定は、電池20の予め定めた回生充電性能を満たす温度以下か否かを判定し、該判定が否定された場合には、ステップ104へ移行し、肯定された場合にはステップ108へ移行する。
ステップ104では、電池ファン14が駆動中か否か判定される。該判定は、後述する処理によって電池ファン14が駆動されている状態か否かを判定し、該判定が否定された場合には、ステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、肯定された場合にはステップ106へ移行して電池ファン14を停止した後に、ステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。
一方、ステップ102の判定が肯定されてステップ108へ移行すると、車室内温度センサ18によって検出された車室内温度が取得されて、ステップ110へ移行する。
ステップ110では、車室内温度センサ18によって検出された温度と、ステップ100で電池温度センサ16によって検出された温度が比較されて、車室内温度の方が電池温度より高いか否か判定され、該判定が否定された場合には上述のステップ104へ移行し、肯定された場合にはステップ112へ移行する。
ステップ112では、車室内湿度センサ22によって検出された車室内湿度が取得されて、ステップ114へ移行する。
ステップ114では、車室内湿度センサ22によって検出された車室内の湿度が所定値以上か否か判定される。すなわち、電池ファン14を駆動して車室内の空気を電池20に送風した場合に、電池20に結露を発生させることなく電池20を暖気できるか否かが、車室内湿度センサ22によって検出された湿度に基づいて判定される。
ここでステップ114の判定が否定された場合には上述のステップ104へ移行して、電池ファン14が駆動されている場合には停止する。すなわち、電池温度よりも車室内温度の方が高い場合でも車室内湿度が電池に結露を発生させる可能性がある場合には、電池ファン14の駆動が禁止される。これによって電池20に結露が発生するのを防止することができる。
また、ステップ114の判定が肯定された場合、すなわち、車室内湿度が電池20に結露を発生させる湿度ではない場合には、ステップ116へ移行して、電池ファン14を駆動した後にステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。すなわち、電池20の温度よりも高い車室内空気が電池20に送風されることによって、電池20を暖機することができ、電池20の回生充電性能の低下を抑制することができる。
このように、本形態では、車室内温度が電池温度よりも高くても、電池20に結露が発生する場合は、車室内の空気を電池20に送風する電池20の暖機を禁止するようにしたので、電池暖気時に電池表面の結露の発生を防止しながら、電池20の回生充電能力の低下を抑制することができる。
[第2参考形態]
続いて、第2参考形態に係わる車両用電池温度制御装置について説明する。
第1参考形態では、車室内の空気を電池20に送風した場合の電池20の結露発生を、車室内の湿度に基づいて推定するようにしたが、第2参考形態は、内外気切換ドアの位置及びブロアのオンオフ状態に基づいて推定するようにしたものである。
図4は、第2参考形態に係わる車両用電池温度制御装置の構成を示すブロック図である。なお、第1参考形態と同一構成については同一符号を付して説明する。
制御対象となる電池20は、第1参考形態と同様に、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両の動力源となる電池を適用することができる。
電池20は、図2に示すように、電池温度の低下すると最大充電可能量が低下してしまうため、回生ブレーキによる発電によって電池充電を行う際に効率良く充電ができなくなる。そのため、第1参考形態と同様に、電池ファン14を駆動することで電池20を暖機するようになっている。
電池ファン14は、第1参考形態と同様に、例えば、電池20近傍に設けられ、車室内の空気を導入して電池に送風することによって電池20を暖機する。
電池温度制御ECU12には、電池20の温度を検出する電池温度センサ16、車室内の温度を検出する車室内温度センサ18、車室内を空調するエアコンの内気循環と外気導入を切り換える内外気切換ドアの位置(内気循環位置または外気導入位置)を検出する内外気切換位置センサ24、及びエアコンの送風を行うブロアのオンオフを検出するブロアセンサ26が接続されており、各センサの検出結果が入力される。なお、内外気切換位置センサ24及びブロアセンサ26は、例えば、エアコンを制御するエアコンECUに接続されているので、エアコンECU等の他の制御ユニットから入力するようにしてもよい。
電池温度制御ECU12は、各センサの検出結果に基づいて、電池ファン14の駆動を制御して電池20の温度を制御する。詳細には、電池温度制御ECU12は、電池温度センサ16によって検出された電池温度と、車室内温度センサ18によって検出された車室内温度とを比較し、車室内温度の方が高い場合に、電池ファン14を駆動する。
また、この時、車室内の空気を電池20に送風することによる電池20の結露の発生を推定し、電池20が結露する可能性がある場合には、電池ファン14の駆動を禁止するようになっている。本形態では、内外気切換位置センサ24の検出結果とブロアセンサ26の検出結果から車室内の空気を電池20に送風することによって電池20が結露する可能性があるか否かを判定することで電池20の結露の発生を推定する。詳細には、内外気切換位置センサ24によって検出された内外気切換ドアの位置が外気導入の位置であり、かつブロアがオンである場合には、車室内が外気で十分換気された状態であるため、車室内の空気を電池20に送風しても電池20に結露が発生する可能性がないと判断する。
続いて、上述のように構成された第2参考形態に係わる車両用電池温度制御装置の電池温度制御ECU12で行われる電池温度制御の流れについて説明する。図5は、第2参考形態に係わる車両用電池温度制御装置の電池温度制御ECU12で行われる電池温度制御の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本形態についても第1参考形態と同様に、図示しないイグニッションスイッチがオンされることによって、電池温度制御ECU12が電池温度制御を開始し、イグニッションスイッチがオフされることによって電池温度制御を終了するものとして説明する。また、第1参考形態と同一処理については同一符号を付して説明する。
図示しないイグニッションスイッチがオンされて電源が投入されると、まずステップ100では、電池温度センサ16によって検出された電池温度の検出結果が取得されてステップ102へ移行する。
ステップ102では、電池温度センサ16によって検出された電池温度が所定値以下か否か判定される。該判定は、電池20の予め定めた回生充電性能を満たす温度以下か否かを判定し、該判定が否定された場合には、ステップ104へ移行し、肯定された場合にはステップ108へ移行する。
ステップ104では、電池ファン14が駆動中か否か判定される。該判定は、後述する処理によって電池ファン14が駆動されている状態か否かを判定し、該判定が否定された場合には、ステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、肯定された場合にはステップ106へ移行して電池ファン14を停止した後に、ステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。
一方、ステップ102の判定が肯定されてステップ108へ移行すると、車室内温度センサ18によって検出された車室内温度が取得されて、ステップ110へ移行する。
ステップ110では、車室内温度センサ18によって検出された温度と、ステップ100で電池温度センサ16によって検出された温度が比較されて、車室内温度の方が電池温度より高いか否か判定され、該判定が否定された場合には上述のステップ104へ移行し、肯定された場合にはステップ118へ移行する。
ステップ118では、内外気切換位置センサ24によって検出された内外気切換ドアの位置、及びブロアセンサ26によって検出されたブロアのオンオフ状態が取得されて、ステップ120へ移行する。
ステップ120では、内外気切換位置センサ24及びブロアセンサ26の検出結果から外気導入かつブロアがオンされているか否かが判定される。すなわち、電池ファン14を駆動して車室内の空気を電池20に送風した場合に、電池20に結露を発生させることなく電池20を暖気できるか否かが、内外気切換位置センサ24によって検出された内外気切換ドアの位置と、ブロアセンサ26によって検出されたブロアのオンオフ状態とに基づいて判定される。該判定は、内外気切換位置センサ24によって検出された内外気切換ドアの位置が外気導入の位置であり、かつブロアがオンである場合には、車室内が外気で十分換気された状態であるため、車室内の空気を電池20に送風しても結露は発生しないと判断する。
ここでステップ120の判定が否定された場合には、上述のステップ104へ移行して、電池ファン14が駆動されている場合には停止する。すなわち、電池温度よりも車室内温度の方が高い場合でも車室内が十分に換気された状態ではない場合には、車室内の空気によって電池20に結露を発生させる可能性があるため、電池ファン14の駆動が禁止される。これによって電池20に結露が発生するのを防止することができる。
また、ステップ120の判定が否定された場合、すなわち、車室内が十分換気された状態である場合には、車室内の空気によって電池20に結露を発生させる可能性がないため、ステップ122へ移行して、電池ファン14を駆動した後にステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。すなわち、電池20の温度よりも高い車室内空気が電池20に送風されることによって、電池20を暖機することができ、電池20の回生充電性能の低下を抑制することができる。
このように、本形態においても、第1参考形態と同様に、車室内温度が電池温度よりも高くても、電池20に結露が発生する場合は、車室内の空気を電池20に送風する電池の暖機を禁止するようにしたので、電池暖気時に電池表面の結露の発生を防止しながら、電池20の回生充電能力の低下を抑制することができる。
[第1実施形態]
続いて、本発明の第1実施形態に係わる車両用電池温度制御装置について説明する。
第1参考形態では、車室内の空気を電池20に送風した場合の電池20の結露発生を、車室内の湿度に基づいて推定し、第2参考形態では、内外気切換ドアの位置及びブロアのオンオフ状態に基づいて推定するようにしたが、第1実施形態は、車速に基づいて推定するようにしたものである。
図6は、本発明の第1実施形態に係わる車両用電池温度制御装置の構成を示すブロック図である。なお、第1参考形態と同一構成については同一符号を付して説明する。
制御対象となる電池20は、第1及び第2参考形態と同様に、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両の動力源となる電池を適用することができる。
電池20は、図2に示すように、電池温度が低下すると最大充電可能量が低下してしまうため、回生ブレーキによる発電によって電池充電を行う際に効率良く充電ができなくなる。そのため、第1及び第2参考形態と同様に、電池ファン14を駆動することで電池20を暖機するようになっている。
電池ファン14は、第1及び第2参考形態と同様に、例えば、電池20近傍に設けられ、車室内の空気を導入して電池に送風することによって電池20を暖機する。
電池温度制御ECU12には、電池20の温度を検出する電池温度センサ16、車室内の温度を検出する車室内温度センサ18、及び車両の走行速度を検出する車速センサ28が接続されており、各センサの検出結果が入力される。なお、車速センサ28は、例えば、車両の動力源となるエンジンやモータ等を制御する動力ECUに接続されている場合があるので、動力ECU等の他の制御ユニットから入力するようにしてもよい。
電池温度制御ECU12は、各センサの検出結果に基づいて、電池ファン14の駆動を制御して電池20の温度を制御する。詳細には、電池温度制御ECU12は、電池温度センサ16によって検出された電池温度と、車室内温度センサ18によって検出された車室内温度とを比較し、車室内温度の方が高い場合に、電池ファン14を駆動する。
また、この時、車室内の空気を電池20に送風することによる電池20の結露の発生を推定し、電池20が結露する可能性がある場合には、電池ファン14の駆動を禁止するようになっている。本実施形態では、車速センサ28の検出結果に基づいてフロントウインドシールドガラスの曇りを予測し、予測結果から車室内の空気を電池20に送風することによって電池20が結露する可能性があるか否かを判定することで電池20の結露の発生を推定する。詳細には、車速センサ28によって所定値以上の車速を検出した場合(例えば、本実施形態では車速があることを検出した場合)には、フロントウインドシールドガラスに曇りが発生せずに走行していると考えられるので、車室内の空気を電池20に送風しても、フロントウインドシールドガラスと同様に結露が発生する可能性がないと判断する。なお、本実施形態では、車速がある場合に電池20に結露が発生する可能性がないと判断するが、判定車速である所定車速は適宜設定するようにしてもよい。
続いて、上述のように構成された本発明の第1実施形態に係わる車両用電池温度制御装置の電池温度制御ECU12で行われる電池温度制御の流れについて説明する。図7は、本発明の第1実施形態に係わる車両用電池温度制御装置の電池温度制御ECU12で行われる電池温度制御の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本実施形態についても第1参考形態と同様に、図示しないイグニッションスイッチがオンされることによって、電池温度制御ECU12が電池温度制御を開始し、イグニッションスイッチがオフされることによって電池温度制御を終了するものとして説明する。また、第1参考形態と同一処理については同一符号を付して説明する。
図示しないイグニッションスイッチがオンされて電源が投入されると、まずステップ100では、電池温度センサ16によって検出された電池温度の検出結果が取得されてステップ102へ移行する。
ステップ102では、電池温度センサ16によって検出された電池温度が所定値以下か否か判定される。該判定は、電池20の予め定めた回生充電性能を満たす温度以下か否かを判定し、該判定が否定された場合には、ステップ104へ移行し、肯定された場合にはステップ108へ移行する。
ステップ104では、電池ファン14が駆動中か否か判定される。該判定は、後述する処理によって電池ファン14が駆動されている状態か否かを判定し、該判定が否定された場合には、ステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、肯定された場合にはステップ106へ移行して電池ファン14を停止した後に、ステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。
一方、ステップ102の判定が肯定されてステップ108へ移行すると、車室内温度センサ18によって検出された車室内温度が取得されて、ステップ110へ移行する。
ステップ110では、車室内温度センサ18によって検出された温度と、ステップ100で電池温度センサ16によって検出された温度が比較されて、車室内温度の方が電池温度より高いか否か判定され、該判定が否定された場合には上述のステップ104へ移行し、肯定された場合にはステップ124へ移行する。
ステップ124では、車速センサ28によって検出された車速が取得されて、ステップ126へ移行する。
ステップ126では、車速センサ28の検出結果から車速が有るか否かが判定される。すなわち、電池ファン14を駆動して車室内の空気を電池20に送風した場合に、電池20に結露を発生させることなく電池20を暖気できるか否かが、車速センサ28によって検出された車速に基づいて判定される。該判定は、車速がある場合には、フロントウインドシールドガラスが曇って前方視界が悪い状態ではないと考えられることから、フロントウインドシールドガラスに結露が発生していないと判断できるため、車室内の空気を電池20に送風しても結露は発生しないと判断する。なお、判定車速は、車速があるか否かを判定するようにしてもよいし、所定車速以上か否かを判定するようにしてもよい。
ここでステップ126の判定が否定された場合には、上述のステップ104へ移行して、電池ファン14が駆動されている場合には停止する。すなわち、電池温度よりも車室内温度の方が高い場合でもフロントウインドシールドガラスが曇っていると予測される場合には、車室内の湿度が高いと考えられるので、車室内の空気によって電池20に結露を発生させる可能性があるため、電池ファン14の駆動が禁止される。これによって電池20に結露が発生するのを防止することができる。
また、ステップ126の判定が否定された場合、すなわち、フロントウインドシールドガラスが曇らずに正常に走行している状態である場合には、車室内の空気によって電池20に結露を発生させる可能性がないため、ステップ128へ移行して、電池ファン14を駆動した後にステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。すなわち、電池20の温度よりも高い車室内空気が電池20に送風されることによって、電池20を暖機することができ、電池20の回生充電性能の低下を抑制することができる。
このように、本実施形態においても、第1及び第2参考形態と同様に、車室内温度が電池温度よりも高くても、電池20に結露が発生する場合は、車室内の空気を電池20に送風する電池の暖機を禁止するようにしたので、電池暖気時に電池表面の結露の発生を防止しながら、電池20の回生充電能力の低下を抑制することができる。
[第3参考形態]
続いて、本発明の第3参考形態に係わる車両用電池温度制御装置について説明する。
第1参考形態では、車室内の空気を電池20に送風した場合の電池20の結露発生を、車室内の湿度に基づいて推定し、第2参考形態では、内外気切換ドアの位置及びブロアのオンオフ状態に基づいて推定し、第1実施形態では、車速に基づいて推定するようにしたが、第3参考形態は、ワイパスイッチの操作状態に基づいて推定するようにしたものである。
図8は、本発明の第3参考形態に係わる車両用電池温度制御装置の構成を示すブロック図である。なお、第1参考形態と同一構成については同一符号を付して説明する。
制御対象となる電池20は、上記各形態と同様に、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両の動力源となる電池を適用することができる。
電池20は、図2に示すように、電池温度が低下すると最大充電可能量が低下してしまうため、回生ブレーキによる発電によって電池充電を行う際に効率良く充電ができなくなる。そのため、上記各形態と同様に、電池ファン14を駆動することで電池20を暖機するようになっている。
電池ファン14は、上記各形態と同様に、例えば、電池20近傍に設けられ、車室内の空気を導入して電池に送風することによって電池20を暖機する。
電池温度制御ECU12には、電池20の温度を検出する電池温度センサ16、車室内の温度を検出する車室内温度センサ18、及びフロントウインドシールドガラス上の雨滴を払拭するワイパの動作指示を行うワイパスイッチ30が接続されており、各センサの検出結果が入力される。
本形態の電池温度制御ECU12は、ワイパスイッチ30の操作状態から車室外湿度を予測するようになっている。
電池温度制御ECU12は、各センサの検出結果に基づいて、電池ファン14の駆動を制御して電池20の温度を制御する。詳細には、電池温度制御ECU12は、電池温度センサ16によって検出された電池温度と、車室内温度センサ18によって検出された車室内温度とを比較し、車室内温度の方が高い場合に、電池ファン14を駆動する。
また、この時、車室内の空気を電池20に送風することによる電池20の結露の発生を推定し、電池20が結露する可能性がある場合には、電池ファン14の駆動を禁止するようになっている。本形態では、ワイパスイッチ30の操作状態から車室内の空気を電池20に送風することによって電池20が結露する可能性があるか否かを判定することで電池20の結露の発生を推定する。詳細には、ワイパスイッチ30の操作状態がワイパ作動中ではない場合には、天候が雨や雪の可能性が低く車室外及び車室内の空気の湿度が低いと考えられるので、車室内の空気を電池20に送風しても、電池20に結露が発生する可能性がないと判断する。
続いて、上述のように構成された第3参考形態に係わる車両用電池温度制御装置の電池温度制御ECU12で行われる電池温度制御の流れについて説明する。図9は、第3参考形態に係わる車両用電池温度制御装置の電池温度制御ECU12で行われる電池温度制御の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本形態についても第1参考形態と同様に、図示しないイグニッションスイッチがオンされることによって、電池温度制御ECU12が電池温度制御を開始し、イグニッションスイッチがオフされることによって電池温度制御を終了するものとして説明する。また、第1参考形態と同一処理については同一符号を付して説明する。
図示しないイグニッションスイッチがオンされて電源が投入されると、まずステップ100では、電池温度センサ16によって検出された電池温度の検出結果が取得されてステップ102へ移行する。
ステップ102では、電池温度センサ16によって検出された電池温度が所定値以下か否か判定される。該判定は、電池20の予め定めた回生充電性能を満たす温度以下か否かを判定し、該判定が否定された場合には、ステップ104へ移行し、肯定された場合にはステップ108へ移行する。
ステップ104では、電池ファン14が駆動中か否か判定される。該判定は、後述する処理によって電池ファン14が駆動されている状態か否かを判定し、該判定が否定された場合には、ステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、肯定された場合にはステップ106へ移行して電池ファン14を停止した後に、ステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。
一方、ステップ102の判定が肯定されてステップ108へ移行すると、車室内温度センサ18によって検出された車室内温度が取得されて、ステップ110へ移行する。
ステップ110では、車室内温度センサ18によって検出された温度と、ステップ100で電池温度センサ16によって検出された温度が比較されて、車室内温度の方が電池温度より高いか否か判定され、該判定が否定された場合には上述のステップ104へ移行し、肯定された場合にはステップ130へ移行する。
ステップ130では、ワイパスイッチ30の操作状態が検出されて、ステップ132へ移行する。
ステップ132では、ワイパスイッチ30の操作状態からワイパが作動中か否かが判定される。すなわち、電池ファン14を駆動して車室内の空気を電池20に送風した場合に、電池20に結露を発生させることなく電池20を暖気できるか否かが、ワイパスイッチ30の操作状態に基づいて判定される。該判定は、ワイパスイッチ30の操作状態がワイパ作動中の場合には、天候が雨や雪の可能性が低く、車室内の空気を電池20に送風しても結露は発生しないと判断する。
ここでステップ132の判定が否定された場合には、上述のステップ104へ移行して、電池ファン14が駆動されている場合には停止する。すなわち、電池温度よりも車室内温度の方が高い場合でも天候が雨や雪である可能性が高い場合には、車室外及び車室内の湿度が高いと考えられるので、車室内の空気によって電池20に結露を発生させる可能性があるため、電池ファン14の駆動が禁止される。これによって電池20に結露が発生するのを防止することができる。
また、ステップ132の判定が否定された場合、すなわち、ワイパが作動中ではない場合には、天候が雨や雪である可能性が低く、車室内の空気によって電池20に結露を発生させる可能性がないため、ステップ134へ移行して、電池ファン14を駆動した後にステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。すなわち、電池20の温度よりも高い車室内空気が電池20に送風されることによって、電池20を暖機することができ、電池20の回生充電性能の低下を抑制することができる。
このように、本形態においても、上記各形態と同様に、車室内温度が電池温度よりも高くても、電池20に結露が発生する場合は、車室内の空気を電池20に送風する電池の暖機を禁止するようにしたので、電池暖気時に電池表面の結露の発生を防止しながら、電池20の回生充電能力の低下を抑制することができる。
なお、本形態では、ワイパスイッチ30の操作状態から車室外の湿度を予測して、電池20の結露の発生を推定するようにしたが、ワイパスイッチ30の操作状態の代わりに雨滴センサ等の検出結果を用いて車室外の湿度を予測して電池20の結露の発生を推定するようにしてもよい。
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態に係わる車両用電池温度制御装置について説明する。
第1実施形態では、車速センサ28の検出結果からフロントウインドシールドガラスの曇りを予測して、車室内の空気を電池20に送風した場合に電池20に結露が発生するか否かを推定するようにしたが、本実施形態では、防曇制御が実施されているか否かを検出することでフロントウインドシールドガラスの曇りを予測して、車室内の空気を電池20に送風した場合に電池20に結露が発生するか否かを推定するようにしたものである。
図10は、本発明の第2実施形態に係わる車両用電池温度制御装置の構成を示すブロック図である。なお、第1参考形態と同一構成については同一符号を付して説明する。
制御対象となる電池20は、第1実施形態と同様に、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両の動力源となる電池を適用することができる。
電池20は、図2に示すように、電池温度が低下すると最大充電可能量が低下してしまうため、回生ブレーキによる発電によって電池充電を行う際に効率良く充電ができなくなる。そのため、第1実施形態と同様に、電池ファン14を駆動することで電池20を暖機するようになっている。
電池ファン14は、第1実施形態と同様に、例えば、電池20近傍に設けられ、車室内の空気を導入して電池に送風することによって電池20を暖機する。
電池温度制御ECU12には、電池20の温度を検出する電池温度センサ16、車室内の温度を検出する車室内温度センサ18、車室内を空調するエアコンの送風方向を検出する送風方向検出センサ32、及びリヤウインドガラスの曇りを除去するためのデフォッガスイッチ34が接続されており、各センサの検出結果が入力される。なお、送風方向検出センサ32は、例えば、エアコンを制御するエアコンECUに接続されているので、エアコンECU等の他の制御ユニットから入力するようにしてもよい。
電池温度制御ECU12は、各センサの検出結果に基づいて、電池ファン14の駆動を制御して電池20の温度を制御する。詳細には、電池温度制御ECU12は、電池温度センサ16によって検出された電池温度と、車室内温度センサ18によって検出された車室内温度とを比較し、車室内温度の方が高い場合に、電池ファン14を駆動する。
また、この時、車室内の空気を電池20に送風することによる電池20の結露の発生を推定し、電池20が結露する可能性がある場合には、電池ファン14の駆動を禁止するようになっている。本実施形態では、送風方向検出センサ32の検出結果とデフォッガスイッチ34の状態とから車室内の空気を電池20に送風することによって電池20が結露する可能性があるか否かを判定することで電池20の結露の発生を推定する。詳細には、送風方向検出センサ32によってフロントウインドシールドガラス方向へ送風するデフロスタ位置が検出された場合や、デフォッガスイッチ34がオンされた場合などの防曇制御時には、ウインドガラスが曇った状態で車室内の湿度が高いと推定されるので、車室内の空気を電池20に送風することにより電池20に結露が発生する可能性があると判断する。
続いて、上述のように構成された本発明の第2実施形態に係わる車両用電池温度制御装置の電池温度制御ECU12で行われる電池温度制御の流れについて説明する。図11は、本発明の第2実施形態に係わる車両用電池温度制御装置の電池温度制御ECU12で行われる電池温度制御の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本実施形態についても第1参考形態と同様に、図示しないイグニッションスイッチがオンされることによって、電池温度制御ECU12が電池温度制御を開始し、イグニッションスイッチがオフされることによって電池温度制御を終了するものとして説明する。また、第1参考形態と同一処理については同一符号を付して説明する。
図示しないイグニッションスイッチがオンされて電源が投入されると、まずステップ100では、電池温度センサ16によって検出された電池温度の検出結果が取得されてステップ102へ移行する。
ステップ102では、電池温度センサ16によって検出された電池温度が所定値以下か否か判定される。該判定は、電池20の予め定めた回生充電性能を満たす温度以下か否かを判定し、該判定が否定された場合には、ステップ104へ移行し、肯定された場合にはステップ108へ移行する。
ステップ104では、電池ファン14が駆動中か否か判定される。該判定は、後述する処理によって電池ファン14が駆動されている状態か否かを判定し、該判定が否定された場合には、ステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、肯定された場合にはステップ106へ移行して電池ファン14を停止した後に、ステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。
一方、ステップ102の判定が肯定されてステップ108へ移行すると、車室内温度センサ18によって検出された車室内温度が取得されて、ステップ110へ移行する。
ステップ110では、車室内温度センサ18によって検出された温度と、ステップ100で電池温度センサ16によって検出された温度が比較されて、車室内温度の方が電池温度より高いか否か判定され、該判定が否定された場合には上述のステップ104へ移行し、肯定された場合にはステップ136へ移行する。
ステップ136では、送風方向検出センサ32によって検出されたエアコンの送風方向の検出結果、及びデフォッガスイッチ34の状態が取得されて、ステップ138へ移行する。
ステップ138では、送風方向検出センサ32の検出結果及びデフォッガスイッチ34の状態から防曇制御中か否かが判定される。すなわち、電池ファン14を駆動して車室内の空気を電池20に送風した場合に、電池20に結露を発生させることなく電池20を暖気できるか否かが、送風方向検出センサ32及びデフォッガスイッチ34の状態に基づいて判定される。該判定は、送風方向検出センサ32によってフロントウインドシールドガラス方向へ送風するデフロスタ位置が検出された場合や、デフォッガスイッチ34がオンされている状態である場合には、ウインドガラスの防曇制御が行われていることから、車室内の湿度が高いと考えられるため、車室内の空気を電池20に送風することによって結露が発生すると判断する。なお、ステップ138の判定は、デフロスタ位置の検出と、デフォッガスイッチ34のオンを共に検出した場合に肯定されるようにしてもよいし、何れか一方を検出した場合に肯定されるようにしてもよい。
ここでステップ138の判定が肯定された場合には、上述のステップ104へ移行して、電池ファン14が駆動されている場合には停止する。すなわち、電池温度よりも車室内温度の方が高い場合でも防曇制御が行われている場合には、車室内の空気によって電池20に結露を発生させる可能性があるため、電池ファン14の駆動が禁止される。これによって電池20に結露が発生するのを防止することができる。
また、ステップ138の判定が否定された場合、すなわち、防曇制御が行われていない場合には、車室内の空気によって電池20に結露を発生させる可能性がないため、ステップ140へ移行して、電池ファン14を駆動した後にステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。すなわち、電池20の温度よりも高い車室内空気が電池20に送風されることによって、電池20を暖機することができ、電池20の回生充電性能の低下を抑制することができる。
このように、本実施形態においても、上記各形態と同様に、車室内温度が電池温度よりも高くても、電池20に結露が発生する場合は、車室内の空気を電池20に送風する電池の暖機を禁止するようにしたので、電池暖気時に電池表面の結露の発生を防止しながら、電池20の回生充電能力の低下を抑制することができる。
なお、第1参考形態以外の各形態については、車室内の空気を電池20に送風した場合の電池の結露する可能性の推定精度が第1実施形態よりも低いため、各形態の判定条件を適宜組合わせて、車室内の空気を電池20に送風した場合に電池が結露するか否かを判定するようにしてもよい。