JP4134726B2 - 車両用デフォッガ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用デフォッガ制御装置、より詳しく言えば、車両のウインドウガラスに設けられた熱線への通電により、当該ウインドウガラスの曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などを行う車両用デフォッガの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような車両用デフォッガ制御装置として、熱線への通電をオン(ON)・オフ(OFF)させるスイッチをON操作すると、予め設定された一定時間だけ熱線が通電されるようにしたものは、一般に良く知られている。この場合、上記熱線への通電時間は、通常、スイッチのON操作に伴って作動開始するタイマにより一定時間(所謂、タイマ時間)に設定される。
【0003】
かかるタイマを利用したデフォッガ制御に関して、例えば、特許文献1には、冬期寒冷地ではウインドウガラスの霜が取れ難く、タイマで設定した通電時間では不十分となり、スイッチの繰り返し操作を余儀なくされることに鑑み、室内温度が所定温度以下である場合には、タイマで設定された所定時間経過後も熱線に通電するようにした構成が開示されている。
【0004】
ところで、ウインドウガラスの曇りや霜の付着若しくは氷結などの現象は、車室内の温度のみならず、車両外部の気温(外気温)などによっても大きく影響を受ける。すなわち、外気温が低いほどウインドウガラスに結露が生じ易く、ウインドウガラスが曇り易くなることは、日常的に経験されている。車室内の温度は、車載の空調装置を作動させることにより、年間を通じて比較的狭い温度範囲に維持制御されるのが一般的であるが、外気温の場合は、季節変化の影響を直接に受けるので、年間を通じての温度変化は車室内温度に比して遥かに大きく、従って、ウインドウガラス結露への影響もそれだけ大きいものとなる。
【0005】
また、車載の空調装置の作動状態もウインドウガラスの結露に少なからず影響を及ぼす。すなわち、車載の空調装置が運転されて車室内が空調状態にある場合には、室内の湿気が適度に低下した状態に維持されるので、露点も低くなり、それだけウインドウガラスの結露も生じ難くなる。
更に、空調装置が作動している場合、車室内への空調風の送風状態や空気取り入れモードもウインドウガラスの結露に影響を及ぼすことが経験されている。
【0006】
尚、空調装置の作動状態がウインドウガラスの結露に影響を及ぼすことを意識したものではないが、例えば特許文献2には、車載の空調装置とリアデフォッガの作動について、これらの電気的負荷の作動による車両のバッテリの消耗を極力抑制するようにした構成が開示されている。
【0007】
しかしながら、従来では、タイマによる熱線への通電時間(タイマ時間)は、上述の外気温や車載の空調装置の作動状況に拘らず、基本的には常に一定で、当該車両の使用が予想される環境の中で最も厳しい条件でも、ウインドウガラスの曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などを支障なく行えるように設定されるのが一般的である。
【0008】
すなわち、外気温が高くなるに連れてウインドウガラスへの結露は生じ難く、ウインドウガラスは曇り難くなり、また、車載の空調装置が空調作動していれば非作動時に比してウインドウガラスは曇り難くなるのであるが、従来では、これらの条件の変化に拘らず、熱線への通電時間は一律でかなり長い目に設定されていることになる。
【0009】
【特許文献1】
実開昭54−147934号公報
【特許文献2】
特開昭61−285155号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
周知のように、近年では、環境保護等に関連した省エネルギ化の要請の高まりに応じて、自動車等の車両についても、燃費性能のより一層の向上が求められている。このため、デフォッガ制御においても、熱線への通電を可能な限り抑制して消費電力をできるだけ削減することが求められている。
【0011】
そこで、この発明は、車載の空調装置の作動状態や外気温に応じて熱線への通電時間を可変制御することにより、デフォッガの消費電力を削減し、車両の燃費性能の向上を図ることができる車両用デフォッガ制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このため、本願発明に係る車両用デフォッガ制御装置は、車両のウインドウガラスに設けられた熱線と、該熱線への通電をオン・オフさせるスイッチ手段とを備えたデフォッガを制御する車両用デフォッガ制御装置であって、上記スイッチ手段のオン作動によって上記熱線に所定のタイマ時間だけ通電させるタイマ手段と、車載の空調装置の作動状態を検出する空調作動検出手段と、該空調作動検出手段の検出結果に応じて上記所定のタイマ時間を変更する変更手段であって、上記空調作動検出手段によって、空調作動状態が検出されたときには、空調作動状態が検出されなかったときよりも、上記所定のタイマ時間が短くなるように変更する変更手段と、を備えたことを特徴としたものである。
【0013】
この場合において、車両外部の外気温を検出する外気温検出手段を更に備え、上記変更手段は、上記外気温検出手段で検出された外気温が高くなるに連れて上記所定のタイマ時間が漸次短くなるように変更するようにしても良い。
【0014】
この場合において、上記変更手段は、更に、外気温が外気氷結温度以下の範囲では、空調装置の作動状態に拘わらず、上記外気温が高くなるに連れて上記所定のタイマ時間が漸次短くなるように変更する、ことが好ましい。
また、これらの場合において、上記変更手段は、更に、外気温が外気氷結温度以下の範囲では、上記外気温が外気氷結温度を越える範囲よりも、外気温の変化に対する上記タイマ時間の変更量を大きく設定する、ことがより好ましい。
【0015】
また、本願の他の発明に係る車両用デフォッガ制御装置は、車両のウインドウガラスに設けられた熱線と、該熱線への通電をオン・オフさせるスイッチ手段とを備えたデフォッガを制御する車両用デフォッガ制御装置であって、上記スイッチ手段のオン作動によって上記熱線に所定のタイマ時間だけ通電させるタイマ手段と、車両外部の外気温を検出する外気温検出手段と、車載の空調装置による車室内への空調風の送風状態を検出する風量検出手段と、該風量検出手段の検出結果に応じて上記所定のタイマ時間を変更する変更手段であって、上記風量検出手段によって検出された送風状態が高送風であるほど、外気温の変化に対するタイマ時間の変更量を大きく設定する変更手段と、を備えたことを特徴としたものである。
【0016】
更に、本願の更に他の発明に係る車両用デフォッガ制御装置は、車両のウインドウガラスに設けられた熱線と、該熱線への通電をオン・オフさせるスイッチ手段とを備えたデフォッガを制御する車両用デフォッガ制御装置であって、上記スイッチ手段のオン作動によって上記熱線に所定のタイマ時間だけ通電させるタイマ手段と、車両外部の外気温を検出する外気温検出手段と、車載の空調装置の空気取り入れモードを検出する空気取り入れモード検出手段と、該空気取り入れモード検出手段の検出結果に応じて上記所定のタイマ時間を変更する変更手段であって、上記空気取り入れモード検出手段によって、上記空気取り入れモードが、外気導入モードであることが検出された場合には、内気循環モードが検出された場合に比べて、外気温の変化に対するタイマ時間の変更量を大きく設定する変更手段と、を備えたことを特徴としたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、自動車のリヤウインドウのデフォッガ制御に適用した場合を例に取って、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る自動車の車両斜め後方からの斜視図である。この図に示すように、上記自動車Mのリヤウインドウガラス2には、当該リヤウインドウガラス2を介しての後方視界確保などのために、通電させることにより当該リヤウインドウガラス2の曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などを行うリヤ熱線4が配設されている。
【0018】
このリヤ熱線4は、従来公知のものと同様のもので、例えば所謂プリント法によってリヤウインドウガラス2の例えば内面側に設けられたものである。また、上記熱線4の下方には、リヤウインドウガラス2の外表面を払拭することにより、後方視界の確保を図るリヤワイパ6が配設されている。
【0019】
図2は、上記熱線4を備えた車両用デフォッガを制御するデフォッガ制御装置10の構成を概略的に示すブロック構成図である。上記デフォッガ制御装置10は、例えば、車室前部のインストルメントパネル(不図示)内に格納されており、所謂マイクロコンピュータを主要部として構成され、デフォッガ制御を行う主制御回路12と、上記熱線4への通電時間を設定するタイマ回路14とを備えている。
【0020】
上記図2に示されるように、デフォッガ制御装置10には、熱線4への通電をオン/オフ(ON/OFF)させるスイッチ手段としてのリヤ熱線スイッチ8と、熱線4が通電中であることを表示するリヤ熱線作動ランプ5が接続されている。上記リヤ熱線スイッチ8は、例えば、インストルメントパネル(不図示)の運転席に略対向する部分またはその近傍部分に配設され、一端側が電源ラインLbに接続される一方、他端側が上記タイマ回路14を介してリヤ熱線4及びリヤ熱線作動ランプ5に接続されている。
【0021】
そして、上記リヤ熱線スイッチ8がON操作されると、タイマ回路14によって設定された所定のタイマ時間だけリヤ熱線4が通電され、また、リヤ熱線作動ランプ5がONして点灯されるようになっている。該リヤ熱線作動ランプ5は、例えば、インストルメントパネル(不図示)の運転席に略対向する部分またはその近傍部分に配設されている。
【0022】
また、上記デフォッガ制御装置10には、該制御装置10の制御プログラムや必要なマップ等を格納した例えばROM、更には、必要な制御データを記憶するRAMを備えたメモリ装置18が付設され、該メモリ装置18は上記主制御回路12に接続されている。
【0023】
更に、本実施の形態では、デフォッガ制御装置10に(具体的には、主制御回路12に)、車両外部の温度(つまり、外気温)を検知する外気温センサ22の検出信号が入力されると共に、車載の空調ユニット30に設けられた各種スイッチのうち、少なくともエアコン(A/C)スイッチ31,風量設定スイッチ32及び空気取り入れモード設定スイッチ33の各スイッチのスイッチ信号が、入力されるようになっている。
【0024】
これらスイッチ信号は、各スイッチから直接に上記主制御回路12に対して入力されても良く、或いは、空調ユニット30の制御回路(不図示)を介して入力されるように構成することもできる。尚、上記エアコン(A/C)スイッチ31,風量設定スイッチ32及び空気取り入れモード設定スイッチ33の各スイッチと主制御回路12とで、本願請求項に記載した空調作動検出手段が構成されている。
【0025】
上記エアコン(A/C)スイッチ31は、空調ユニット30による温度調節や除湿等のエアコン(空調)作動をON/OFFさせるスイッチであり、上記風量設定スイッチ32は、空調ユニット30から車室内への送風量を設定するもので、具体的には、ブロアファン(不図示)による送風量を設定するスイッチである。本実施の形態では、この風量設定スイッチ32を操作することにより、風量が、例えば、High(大), Medium(中), Low(小), OFF(送風停止)の4段階に切り換えることができるようになっている。
【0026】
また、上記空気取り入れモード設定スイッチ33は、車室内に送給すべきエアを車外から取り入れる外気導入モードとするか、車室内のエアを取り入れて再び送給する内気循環モードとするかを設定するスイッチである。尚、以上の各スイッチ31,32,33は、何れも従来公知のものである。
【0027】
本実施の形態に係るデフォッガ制御装置10では、デフォッガの消費電力を削減して当該自動車Mの燃費性能を向上させるために、外気温や車載の空調ユニット30の作動状態に応じて熱線4への通電時間(タイマ時間)を変更制御することができるようになっている。
【0028】
図3は、上記メモリ装置18内のROMに格納されたタイマ時間制御マップの概略を示す線図である。デフォッガ制御装置10の主制御回路12は、リヤ熱線スイッチ8がON操作されると、メモリ装置18のROMからこの制御マップを呼び出し、これに基づいてタイマ回路14の設定時間を変更するように制御する。
【0029】
上記図3に示されるように、タイマ時間Kmは、外気温センサ22で検知された外気温Tsが高くなるに連れて漸次短くなるように設定される。また、図3の制御マップでは、車載の空調ユニット30のエアコン(A/C)スイッチ31のスイッチ信号に応じて、つまり、空調ユニット30が作動しているか非作動かに応じて、2本の制御ラインA1,A2が設定されている。制御ラインA1は空調ユニット30が運転状態にある場合(A/Cスイッチ31がONの場合)に、制御ラインA2は空調ユニット30が運転状態でない場合(A/Cスイッチ31がOFFの場合)に、それぞれ対応している。
【0030】
すなわち、A/Cスイッチ31のON/OFFに応じて、上記空調ユニット30の作動/非作動が検出され、作動時(制御ラインA1参照)には非作動時(制御ラインA2参照)よりもタイマ時間Kmが短くなるように設定される。
【0031】
また、本実施の形態では、より好ましくは、外気温Tsが氷結温度t1以下、つまり、一般に0(零:ゼロ)度以下では、ウインドウガラス2の外表面は氷結するので、この氷結温度t1を境にして、タイマ時間Kmを設定する制御ラインの勾配が異なるように設定されている。本実施の形態では、例えば、氷結温度を0℃に設定し、また、この温度でのタイマ時間k1を15分に設定した。
【0032】
すなわち、外気温Tsが氷結温度t1以下の範囲では、制御ラインAの勾配が急で、外気温Tsの変化に対するタイマ時間Kmの変更量が大きく設定されている。また、この範囲では、空調ユニット30の作動状態に拘らず一律の制御ラインAに従ってタイマ時間Kmが設定される。
【0033】
一方、外気温Tsが氷結温度t1を越える範囲では、各制御ラインA1,A2の勾配は比較的緩やかで、外気温Tsの変化に対するタイマ時間Kmの変更量が小さく設定されている。
尚、具体的には図示しなかったが、外気温Tsが所定温度以上の範囲では、外気温Tsがそれ以上高くなっても、タイマ時間Kmは一定値に設定されることが、より好ましい。
【0034】
これは、タイマ時間Kmが0(零:ゼロ)又は限りなくゼロに近くなると、乗員がリヤ熱線スイッチ8をON操作しても、直ぐにタイマアップしてしまい、熱線への通電が実質的に行われず、乗員の意志が結果的に無視されることになるので、かかる事態を回避するためである。
【0035】
上記制御ラインAは、外気温Tsに応じて、ウインドウガラス2の曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要なリヤ熱線4への通電時間を確保できるように設定されている。また、上記各制御ラインA1,A24は、何れも、外気温Tsに応じて、ウインドウガラス2の曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要なリヤ熱線4への通電時間を確保できるように設定されている。
尚、上記各制御ラインA,A1,A2に従ったタイマ時間Kmでデフォッガを行っても、ウインドウガラス2の曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などが不十分であると、乗員がもし感じた場合には、リヤ熱線スイッチ8を再度ON操作すれば良い。
【0036】
以上のように、本実施の形態に係るデフォッガ制御装置10によれば、車載の空調ユニット30の作動状態に応じてタイマ時間Kmが変更されるので、リヤウインドウガラス2の結露に影響を及ぼす空調ユニット30の作動状態に応じて、リヤ熱線4への通電時間Kmを変更することができる。すなわち、ウインドウガラス2の曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要な通電時間Kmを確保した上で、熱線4への通電時間Kmを極力短くすることが可能になり、デフォッガの消費電力を削減し車両の燃費性能の向上に資することができるのである。
【0037】
この場合において、好ましくは、車両M外部の外気温を検出する外気温センサ22で検出された外気温Tsが高くなるに連れてタイマ時間Kmが漸次短く設定されるように、タイマ時間Kmが変更されるので、年間を通じての変動がより大きく且つウインドウガラス2の結露に直接的に影響を及ぼす外気温Tsが高いほど、熱線4への通電時間(タイマ時間Km)を短くすることができ、ウインドウガラス2の曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要な通電時間Kmを確保した上で、リヤ熱線4への通電時間Kmを極力短くすることにより、デフォッガの消費電力を削減し車両の燃費性能の向上に資することができるのである。
【0038】
また、より具体的には、空調ユニット30の作動時には非作動時よりもタイマ時間Kmが短くなるように該タイマ時間Kmが変更されるので、空調ユニット30が作動することにより車室内の湿気が適度に低く保たれ、露点も低くなってウインドウガラス2の結露が生じ難い場合には、当該ウインドウガラス2の曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要な通電時間Kmを確保した上で、熱線4への通電時間Kmをより短くすることができる
【0039】
図4は、タイマ時間制御マップの他の例を示す線図である。この図4の線図は、車室内への空調風の送風状態に応じてタイマ時間Kmを変更するように制御するものである。
図4における制御ラインB1,B2,B3,B4は、空調ユニット30の風量設定スイッチ32がHigh(大), Medium(中), Low(小), OFF(送風停止)の場合にそれぞれ対応している。
【0040】
すなわち、この図4の制御マップでは、車室内への空調風の風量が多い方が少ない場合に比してタイマ時間Kmが短くなるように設定される。
また、この図4のタイマ時間制御マップでは、風量設定スイッチ32がOFFで送風停止状態の場合(制御ラインB4参照)には、外気温Tsが氷結温度t1以上であれば、その変化に拘らずタイマ時間Kmは一定に設定される。尚、制御ラインBは、図3における制御ラインAに対応するものである。
【0041】
このように、図4の線図に従った制御では、空調ユニット30の作動時には、車室内への空調風の送風状態に応じてタイマ時間Kmが設定されるので、リヤウインドウガラス2の結露に影響を及ぼす空調風の送風状態に応じて、リヤ熱線4への通電時間Kmを変更することができる。
特に、具体的には、車室内への空調風の風量が多い方が少ない場合に比してタイマ時間Kmが短くなるように設定されるので、空調風の風量が多くてウインドウガラス2の結露がより生じ難い場合には、ウインドウガラス2の曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要な通電時間を確保した上で、熱線4への通電時間Kmをより短くすることができるのである。
【0042】
また、図5は、タイマ時間制御マップの更に他の例を示す線図である。この図5の線図は、図3の制御マップと類似しているが、A/Cスイッチ31の(つまり、空調ユニット30自体の)ON/OFFに依る代わりに、空調ユニット30の空気取り入れモードに応じて制御ラインC1,C2が設定されている点が、図3の制御マップとは異なっている。
【0043】
上記制御ラインC1は空調風のエア取り入れモードが外気導入モードに設定されている場合に、また、制御ラインC2はエア取り入れモードが内気循環モードに設定されている場合に、それぞれ対応している。
すなわち、空調ユニット30のエア取り入れモードが外気導入モードの場合(制御ラインC1参照)には内気循環モードの場合(制御ラインC2参照)に比してタイマ時間Kmが短くなるように設定される。尚、制御ラインCは、図3における制御ラインAに対応するものである。
【0044】
このように、図5の線図に従った制御では、空調ユニット30の作動時には、空調ユニット30の空気取り入れモードが外気導入モードの場合には内気循環モードの場合に比してタイマ時間Tmが短くなるように設定される。空調風の空気取り入れモードが外気導入モードの場合には、内気循環モードの場合に比して車室内と車両Mの外部との温度差がより小さくなるので、リヤウインドウガラス2の結露が生じ難くくなる。従って、ウインドウガラス2の曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要な通電時間Tmを確保した上で、熱線4への通電時間Tmをより短くすることができるのである。
【0045】
次に、以上のような構成および作用を有するデフォッガ制御装置1によるリヤウインドウガラス2のデフォッガ制御について、図6〜図8のフローチャートを参照しながら説明する。図6は図3の制御マップを用いる場合、図7は図4の制御マップを用いる場合、また、図7は図5の制御マップを用いる場合についての制御例をそれぞれ示している。
【0046】
まず、図3の制御マップが適用される場合について説明すれば、図6に示すように、システムがスタートすると、ステップ#1で、リヤ熱線SW(スイッチ)8がON操作された否かが継続的に判定され、これがYESになると、ステップ#2で、外気温センサ22で検出された外気温データ及び空調ユニット30のA/Cスイッチ(エアコンSW)31のスイッチ信号がデフォッガ制御装置1に(主制御回路12に)入力される。そして、好ましくは、これらのデータがメモリ装置18のRAMに記憶される。
【0047】
次に、ステップ#3で、メモリ装置18のROMから図3のタイマ時間制御マップが呼び出され、主制御回路12により、該マップに基づいて、空調ユニット30の作動/非作動および外気温Tsに応じたタイマ時間Kmが算出され、タイマ設定が行われる。具体的には、上記A/Cスイッチ31のON/OFF状態に応じた制御ラインA1又はA2が選択された上で、外気温に対応するタイマ時間Kmが算出され、タイマ回路14のタイマ時間の設定が行われる。つまり、上記主制御回路12が、本願請求項に記載した「変更手段」に相当している。
【0048】
その後、リヤ熱線4への通電が開始され、リヤ熱線作動ランプ5が点灯される(ステップ#4)と共に、タイマ回路14がONされて通電時間のカウントが開始される(ステップ#5)。
そして、ステップ#6で、設定されたタイマ時間Kmが経過したか否か、及びリヤ熱線スイッチ8がOFFされたか否かが継続的に判定され、この判定結果がYESになると、ステップ#7で、リヤ熱線4への通電が停止され、リヤ熱線作動ランプ5が消灯する。
【0049】
以上のような一連のステップにより、空調ユニット30の作動/非作動および外気温Tsに基づいてタイマ時間Kmが適切に設定され、このタイマ時間Kmだけ、或いは乗員の意志によりリヤ熱線スイッチ8がOFFされるまで、リヤ熱線4への通電が行われるようになっている。
【0050】
図4の制御マップが適用される場合には、図7のフローチャートに示されるように、システムがスタートすると、ステップ#11で、リヤ熱線SW(スイッチ)8がON操作された否かが継続的に判定され、これがYESになると、ステップ#12で、外気温センサ22で検出された外気温データ,上記A/Cスイッチ31のスイッチ信号および風量設定スイッチ32のスイッチ信号がデフォッガ制御装置1に(主制御回路12に)入力され、好ましくは、これらのデータがメモリ装置18のRAMに記憶される。
【0051】
そして、ステップ#13で、A/Cスイッチ31がON状態(つまり、空調ユニット30が空調作動状態)であるか否かが判定され、これがYESの場合には、ステップ#14で、メモリ装置18のROMから図4のタイマ時間制御マップが呼び出され、主制御回路12により、該マップに基づいて、空調風の風量設定および外気温Tsに応じたタイマ時間Kmが算出され、タイマ設定が行われる。具体的には、図4の制御ラインB1〜B4のうち上記風量設定スイッチ32の設定状態に応じた制御ラインが選択された上で、外気温Tsに対応するタイマ時間Kmが算出され、タイマ回路14のタイマ時間の設定が行われる。
【0052】
一方、ステップ#13での判定結果がNOの場合、つまり、A/Cスイッチ31がOFF状態(空調ユニット30が非空調作動状態)である場合には、ステップ#15で、予め設定された所定の制御モードに基づいて、タイマ時間Kmが算出され、タイマ設定が行われる。この場合の制御パターンとしては種々の態様のものを適用することができ、本実施の形態では、例えば図3の制御マップに示される制御ラインA2を用いた。この代わりに、例えば図4の制御マップに示される制御ラインB4を用いるようにしても良い。
【0053】
以上のように、A/Cスイッチ31のON/OFF状態に応じてタイマ時間の設定が行われた後、リヤ熱線4への通電が開始され、リヤ熱線作動ランプ5が点灯される(ステップ#16)。このステップ#16以降(ステップ#19まで)の各ステップの内容は、図6のフローチャートにおけるステップ#4〜ステップ#7までの各ステップと同一である。
【0054】
また、図5の制御マップが適用される場合には、図8のフローチャートを図7のフローチャートと比較して良く分かるように、ステップ#22及びステップ#24が図7のステップ#12及びステップ#14と異なるのみで、ステップ#21,#23及びステップ#25〜#29は、図7のフローチャートにおけるステップ#11,#13及びステップ#15〜#19と同一の内容である。従って、図8のフローチャートについては、主として図7の内容と異なる部分のみについて説明する。
【0055】
図8のフローチャートに示すように、ステップ#22では、外気温センサ22で検出された外気温データ,上記A/Cスイッチ31のスイッチ信号および空気取り入れモード設定スイッチ33のスイッチ信号がデフォッガ制御装置1に(主制御回路12に)入力され、好ましくは、これらのデータがメモリ装置18のRAMに記憶される。
【0056】
そして、ステップ#23で、A/Cスイッチ31がON状態(つまり、空調ユニット30が作動状態)であるか否かが判定され、これがYESの場合には、ステップ#24で、メモリ装置18のROMから図5のタイマ時間制御マップが呼び出され、主制御回路12により、該マップに基づいて、空調風の空気取り入れモードおよび外気温Tsに応じたタイマ時間Kmが算出され、タイマ設定が行われる。具体的には、空気取り入れモードが外気導入モードであるか又は内気循環モードであるかによって図5の制御ラインC1又はC2が選択された上で、外気温Tsに対応するタイマ時間Kmが算出され、タイマ回路14のタイマ時間の設定が行われる。
【0057】
一方、ステップ#23での判定結果がNOの場合、つまり、A/Cスイッチ31がOFF状態(空調ユニット30が非空調作動状態)である場合には、ステップ#25で、図7のフローチャートにおけるステップ#15の場合と同じく、予め設定された所定の制御パターンに基づいて、タイマ時間Kmが算出され、タイマ設定が行われる。この場合の制御パターンとしては種々の態様のものを適用することができ、本実施の形態では、例えば図3の制御マップに示される制御ラインA2を用いた。この代わりに、例えば図4の制御マップに示される制御ラインB4を用いるようにしても良い。
【0058】
以上の説明は、本発明を自動車のリヤウインドウのデフォッガ制御に適用した場合についてのものであったが、熱線でデフォッガを行うものであれば、車両の他の部分のウインドウ、例えば、車両後部の側面に配設されたウインドウガラスなどのデフォッガ制御にも好適であり、また、フロント側についても熱線が設けられるウインドウガラスがあれば、そのデフォッガ制御にも適用が可能である。
【0059】
また、上記図6〜図8のフローチャートで説明したタイマ時間の変更制御は、本発明に係る車両用デフォッガ制御装置による制御例を示したものであり、これら以外にも種々の制御が可能である。例えば、外気温の変化に拘らず空調ユニットの作動状態のみに基づいて制御するようにしても良い。また、空調ユニットの作動状態として、空調ユニットの作動/非作動,空調風の風量設定,空気取り入れモードの3つのデータに基づいてタイマ時間が設定されるように構成することも可能である。
【0060】
このように、本発明は、以上の実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良あるいは設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【0061】
【発明の効果】
本願発明に係る車両用デフォッガ制御装置によれば、空調作動検出手段検出結果に応じて上記所定のタイマ時間が変更されるので、ウインドウガラスの結露に影響を及ぼす空調装置の作動状態に応じて、熱線への通電時間を変更することができる。すなわち、ウインドウガラスの曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要な通電時間を確保した上で、熱線への通電時間を極力短くすることが可能になり、デフォッガの消費電力を削減し車両の燃費性能の向上に資することができる。
この場合、上記変更手段は、具体的には、上記空調作動検出手段によって、空調作動状態が検出されたときには、空調作動状態が検出されなかったときよりも、上記所定のタイマ時間が短くなるように変更するので、空調装置の作動により車室内の湿気が適度に低く保たれ、露点も低くなってウインドウガラスの結露が生じ難い場合には、ウインドウガラスの曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要な通電時間を確保した上で、熱線への通電時間をより短くすることができる。
【0062】
この場合において、好ましくは、上記変更手段は、車両外部の外気温を検出する外気温検出手段で検出された外気温が高くなるに連れて上記所定のタイマ時間が漸次短くなるように変更するので、年間を通じての変動がより大きく且つウインドウガラスの結露に直接的に影響を及ぼす外気温が高くなり結露が生じ難くなるに連れて、熱線への通電時間を漸次短くすることができる。すなわち、ウインドウガラスの曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要な通電時間を確保した上で、熱線への通電時間を極力短くすることができる。
【0064】
本願の他の発明に係る車両用デフォッガ制御装置によれば、空調風の風量検出手段の検出結果に応じて上記所定のタイマ時間が変更されるので、ウインドウガラスの結露に影響を及ぼす空調風の風量に応じて、熱線への通電時間を変更することができる。すなわち、ウインドウガラスの曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要な通電時間を確保した上で、熱線への通電時間を極力短くすることが可能になり、デフォッガの消費電力を削減し車両の燃費性能の向上に資することができる。
この場合、具体的には、上記変更手段は、上記風量検出手段によって検出された送風状態が高送風であるほど、外気温の変化に対するタイマ時間の変更量を大きく設定するので、空調風の風量が多くてウインドウガラスの結露がより生じ難い場合には、ウインドウガラスの曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要な通電時間を確保した上で、熱線への通電時間をより一層短くすることができる。
【0066】
本願の他の発明に係る車両用デフォッガ制御装置によれば、空調装置の空気取り入れモード検出手段の検出結果に応じて上記所定のタイマ時間が変更される。具体的には、上記変更手段は、空調装置の空気取り入れモードが外気導入モードの場合には内気循環モードの場合に比べて、外気温の変化に対するタイマ時間の変更量を大きく設定するので、空調風の空気取り入れが外気導入モードで、車室内と外部との温度差がより小さくなることにより、ウインドウガラスの結露が更に生じ難い場合には、ウインドウガラスの曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要な通電時間を確保した上で、熱線への通電時間を更に一層短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る自動車の車両斜め後方からの斜視図である。
【図2】 上記自動車のデフォッガ制御装置の構成を概略的に示すブロック構成図である。
【図3】 上記デフォッガ制御装置のタイマ時間制御マップの概略を示す線図である。
【図4】 タイマ時間制御マップの他の例を示す線図である。
【図5】 タイマ時間制御マップの更に他の例を示す線図である。
【図6】 上記デフォッガ制御装置による図3のタイマ時間制御マップに基づいた制御の概略を説明するためのフローチャートである。
【図7】 上記デフォッガ制御装置による図4のタイマ時間制御マップに基づいた制御の概略を説明するためのフローチャートである。
【図8】 上記デフォッガ制御装置による図5のタイマ時間制御マップに基づいた制御の概略を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
2…リヤウインドウガラス
4…リヤ熱線
8…リヤ熱線スイッチ
10…デフォッガ制御装置
12…主制御回路
14…タイマ回路
22…外気温センサ
30…空調ユニット
31…エアコン(A/C)スイッチ
32…風量設定スイッチ
33…空気取り入れモード設定スイッチ
Km…タイマ時間
M…自動車
Ts…外気温

Claims (6)

  1. 車両のウインドウガラスに設けられた熱線と、該熱線への通電をオン・オフさせるスイッチ手段とを備えたデフォッガを制御する車両用デフォッガ制御装置であって、
    上記スイッチ手段のオン作動によって上記熱線に所定のタイマ時間だけ通電させるタイマ手段と、
    車載の空調装置の作動状態を検出する空調作動検出手段と、
    該空調作動検出手段の検出結果に応じて上記所定のタイマ時間を変更する変更手段であって、上記空調作動検出手段によって、空調作動状態が検出されたときには、空調作動状態が検出されなかったときよりも、上記所定のタイマ時間が短くなるように変更する変更手段と、
    を備えたことを特徴とする車両用デフォッガ制御装置。
  2. 請求項1記載の車両用デフォッガ制御装置において、
    車両外部の外気温を検出する外気温検出手段を更に備え、
    上記変更手段は、上記外気温検出手段で検出された外気温が高くなるに連れて上記所定のタイマ時間が漸次短くなるように変更する、
    ことを特徴とする車両用デフォッガ制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両用デフォッガ制御装置において、
    上記変更手段は、更に、上記外気温が外気氷結温度以下の範囲では、上記空調装置の作動状態に拘わらず、上記外気温が高くなるに連れて上記所定のタイマ時間が漸次短くなるように変更する、ことを特徴とする車両用デフォッガ制御装置。
  4. 請求項2又は3に記載の車両用デフォッガ制御装置において、
    上記変更手段は、更に、上記外気温が外気氷結温度以下の範囲では、上記外気温が外気氷結温度を越える範囲よりも、外気温の変化に対する上記タイマ時間の変更量を大きく設定する、ことを特徴とする車両用デフォッガ制御装置。
  5. 車両のウインドウガラスに設けられた熱線と、該熱線への通電をオン・オフさせるスイッチ手段とを備えたデフォッガを制御する車両用デフォッガ制御装置であって、
    上記スイッチ手段のオン作動によって上記熱線に所定のタイマ時間だけ通電させるタイマ手段と、
    車両外部の外気温を検出する外気温検出手段と、
    車載の空調装置による車室内への空調風の送風状態を検出する風量検出手段と、
    該風量検出手段の検出結果に応じて上記所定のタイマ時間を変更する変更手段であって、上記風量検出手段によって検出された送風状態が高送風であるほど、外気温の変化に対するタイマ時間の変更量を大きく設定する変更手段と、
    を備えたことを特徴とする車両用デフォッガ制御装置。
  6. 車両のウインドウガラスに設けられた熱線と、該熱線への通電をオン・オフさせるスイッチ手段とを備えたデフォッガを制御する車両用デフォッガ制御装置であって、
    上記スイッチ手段のオン作動によって上記熱線に所定のタイマ時間だけ通電させるタイマ手段と、
    車両外部の外気温を検出する外気温検出手段と、
    車載の空調装置の空気取り入れモードを検出する空気取り入れモード検出手段と、
    該空気取り入れモード検出手段の検出結果に応じて上記所定のタイマ時間を変更する変更手段であって、上記空気取り入れモード検出手段によって、上記空気取り入れモードが、外気導入モードであることが検出された場合には、内気循環モードが検出された場合に比べて、外気温の変化に対するタイマ時間の変更量を大きく設定する変更手段と、
    を備えたことを特徴とする車両用デフォッガ制御装置。
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