JP3956850B2 - 車両用デフォッガ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用デフォッガ制御装置、より詳しく言えば、車両のウインドウガラスに設けられた熱線への通電により、当該ウインドウガラスの曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などを行う車両用デフォッガの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような車両用デフォッガ制御装置として、熱線への通電をオン(ON)・オフ(OFF)させるスイッチをON操作すると、予め設定された一定時間だけ熱線が通電されるようにしたものは、一般に良く知られている。この場合、上記熱線への通電時間は、通常、スイッチのON操作に伴って作動開始するタイマにより一定時間(所謂、タイマ時間)に設定される。
【0003】
かかるタイマを利用したデフォッガ制御に関して、例えば、特許文献1には、冬期寒冷地ではウインドウガラスの霜が取れ難く、タイマで設定した通電時間では不十分となり、スイッチの繰り返し操作を余儀なくされることに鑑み、室内温度が所定温度以下である場合には、タイマで設定された所定時間経過後も熱線に通電するようにした構成が開示されている。
【0004】
ところで、ウインドウガラスの曇りや霜の付着若しくは氷結などの現象は、車室内の温度のみならず、車両外部の気温(外気温)などによっても大きく影響を受ける。すなわち、外気温が低いほどウインドウガラスに結露が生じ易く、ウインドウガラスが曇り易くなることは、日常的に経験されている。車室内の温度は、車載の空調装置を作動させることにより、年間を通じて比較的狭い温度範囲に維持制御されるのが一般的であるが、外気温の場合は、季節変化の影響を直接に受けるので、年間を通じての温度変化は車室内温度に比して遥かに大きく、従って、ウインドウガラス結露への影響もそれだけ大きいものとなる。
【0005】
しかしながら、従来では、タイマによる熱線への通電時間(タイマ時間)は、上述の外気温や車載の空調装置の作動状況に拘らず、基本的には常に一定で、当該車両の使用が予想される環境の中で最も厳しい条件でも、ウインドウガラスの曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などを支障なく行えるように設定されるのが一般的である。
すなわち、外気温が高くなるに連れてウインドウガラスへの結露は生じ難く、ウインドウガラスは曇り難くなるのであるが、従来では、これらの条件の変化に拘らず、熱線への通電時間は一律でかなり長い目に設定されていることになる。
【0006】
一方、周知のように、自動車等の車両には、通常、フロントウインドウ等のウインドウガラスの曇りや汚れなど、乗員の視界を損なうものを除去して視界を改善する手段として、ウインドウガラスの外表面を機械的に払拭するワイパや、ウインドウガラスに空調風を吹き付けて曇り晴らしを行うデフロスタなどが備えられている。車室内の乗員が、ウインドウガラスの曇り等によって視界が良くないと感じた場合には、これを改善するために、上記ワイパや空調デフロスタを働かせるべく、各々のスイッチ操作が行われる。
【0007】
また、近年では、雨が降り出したことを検知するために、雨滴を検知する雨滴センサを自動車等の車両に設けることが行われている。かかるセンサを備えることにより、雨が降り出したことを自動的に検知して、降雨時に特に行われるべき各種制御(例えば、ワイパの払拭作動)などを自動的に開始させることも可能になる。
【0008】
この雨滴センサがON(雨滴を検知)している場合は、降雨状態であるので、一般に湿度が高く、ウインドウガラスは曇り易くなるので、デフォッガによる確実な曇り晴らしが求められる。また、雨滴を払拭するためにワイパが駆動されている場合も同様である。
【0009】
【特許文献1】
実開昭54−147934号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
周知のように、近年では、環境保護等に関連した省エネルギ化の要請の高まりに応じて、自動車等の車両についても、燃費性能のより一層の向上が求められている。このため、デフォッガ制御においても、熱線への通電を可能な限り抑制して消費電力をできるだけ削減することが求められている。
【0011】
しかしながら、車室内の乗員が視界を改善するために上記ワイパや空調デフロスタのスイッチ操作を行った場合や降雨時などに例えばワイパが払拭作動させられる場合などには、熱線の消費電力削減よりも、熱線への通電を十分に行ってウインドウガラスの曇り晴らしを十分に行い乗員の視界を確実に改善することを優先する必要がある。また、かかる乗員の視界改善の意志が示されていなくても、降雨時などより確実な曇り晴らしが求められる場合は同様である。
【0012】
そこで、この発明は、外気温に応じて熱線への通電時間を可変制御することによってデフォッガの消費電力を削減し、且つ、乗員が視界改善を行う場合など、必要時には熱線への通電を十分に行わせることができる車両用デフォッガ制御装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このため、本願発明に係る車両用デフォッガ制御装置は、車両のウインドウガラスに設けられた熱線と、該熱線への通電をオン・オフさせるスイッチ手段とを備えたデフォッガを制御する車両用デフォッガ制御装置であって、上記スイッチ手段のオン作動によって上記熱線に所定のタイマ時間だけ通電させるタイマ手段と、車両外部の外気温を検出する外気温検出手段と、上記ウインドウガラスに空調風を送風するデフロスト手段の操作を検出するデフロスト操作検出手段と、外気温検出手段で検出された外気温が高くなるに連れてタイマ時間が漸次短くなるように該タイマ時間を設定するとともに、上記デフロスト操作検出手段がデフロスト手段の操作を検出した際には上記タイマ時間を所定時間に設定するタイマ時間設定手段と、を備えたことを特徴としたものである。
【0014】
また、本願の他の発明に係る車両用デフォッガ制御装置は、車両のウインドウガラスに設けられた熱線と、該熱線への通電をオン・オフさせるスイッチ手段とを備えたデフォッガを制御する車両用デフォッガ制御装置であって、上記スイッチ手段のオン作動によって上記熱線に所定のタイマ時間だけ通電させるタイマ手段と、車両外部の外気温を検出する外気温検出手段と、上記ウインドウガラスの外表面を払拭するワイパ手段の操作を検出するワイパ操作検出手段と、上記外気温検出手段で検出された外気温が高くなるに連れて上記タイマ時間が漸次短くなるように該タイマ時間を設定するとともに、上記ワイパ操作検出手段が上記ワイパ手段の操作を検出した際には上記タイマ時間を所定時間に設定するタイマ時間設定手段と、を備えたことを特徴としたものである。
【0015】
また、本願の更に他の発明に係る車両用デフォッガ制御装置は、車両のウインドウガラスに設けられた熱線と、該熱線への通電をオン・オフさせるスイッチ手段とを備えたデフォッガを制御する車両用デフォッガ制御装置であって、上記スイッチ手段のオン作動によって上記熱線に所定のタイマ時間だけ通電させるタイマ手段と、車両外部の外気温を検出する外気温検出手段と、雨滴を検知する雨滴検知手段と、外気温検出手段で検出された外気温が高くなるに連れてタイマ時間が漸次短くなるように該タイマ時間を設定するとともに、雨滴検知手段が雨滴を検知した際には上記タイマ時間を所定時間に設定するタイマ時間設定手段と、を備えたことを特徴としたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、自動車のリヤウインドウのデフォッガ制御に適用した場合を例に取って、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る自動車の車両斜め後方からの斜視図である。この図に示すように、上記自動車Mのリヤウインドウガラス2には、当該リヤウインドウガラス2を介しての後方視界確保などのために、通電させることにより当該リヤウインドウガラス2の曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などを行うリヤ熱線4が配設されている。
【0017】
このリヤ熱線4は、従来公知のものと同様のもので、例えば所謂プリント法によってリヤウインドウガラス2の例えば内面側に設けられたものである。また、上記熱線4の下方には、リヤウインドウガラス2の外表面を払拭することにより、後方視界の確保を図るリヤワイパ6が配設されている。
【0018】
図2は、上記熱線4を備えた車両用デフォッガを制御するデフォッガ制御装置10の構成を概略的に示すブロック構成図である。上記デフォッガ制御装置10は、例えば、車室前部のインストルメントパネル(不図示)内に格納されており、所謂マイクロコンピュータを主要部として構成され、デフォッガ制御を行う主制御回路12と、上記熱線4への通電時間を設定するタイマ回路14とを備えている。
【0019】
上記図2に示されるように、デフォッガ制御装置10には、熱線4への通電をオン/オフ(ON/OFF)させるスイッチ手段としてのリヤ熱線スイッチ8と、熱線4が通電中であることを表示するリヤ熱線作動ランプ5が接続されている。上記リヤ熱線スイッチ8は、例えば、インストルメントパネル(不図示)の運転席に略対向する部分またはその近傍部分に配設され、一端側が電源ラインLbに接続される一方、他端側が上記タイマ回路14を介してリヤ熱線4及びリヤ熱線作動ランプ5に接続されている。
【0020】
そして、上記リヤ熱線スイッチ8がON操作されると、タイマ回路14によって設定された所定のタイマ時間だけリヤ熱線4が通電され、また、リヤ熱線作動ランプ5がONして点灯されるようになっている。該リヤ熱線作動ランプ5は、例えば、インストルメントパネル(不図示)の運転席に略対向する部分またはその近傍部分に配設されている。
【0021】
また、上記デフォッガ制御装置10には、該制御装置10の制御プログラムや必要なマップ等を格納した例えばROM、更には、必要な制御データを記憶するRAMを備えたメモリ装置18が付設され、該メモリ装置18は上記主制御回路12に接続されている。
【0022】
更に、本実施の形態では、デフォッガ制御装置10に(具体的には、主制御回路12に)、車両外部の温度(つまり、外気温)を検知する外気温センサ22の検出信号が入力されると共に、車載の空調ユニット(不図示)に設けられた各種スイッチのうち、少なくともデフロスタスイッチ31のスイッチ信号が入力される。これに加えて、ワイパスイッチ32のスイッチ信号および雨滴センサ33の検知信号も、上記主制御回路12に入力されるようになっている。
【0023】
これらスイッチ信号は、各スイッチから直接に上記主制御回路12に対して入力されても良く、或いは、他のユニットの制御回路(不図示)を介して入力されるように構成することもできる。
【0024】
上記デフロスタスイッチ31は、乗員の視界を改善する等のために、車載の空調ユニット(不図示)に備えられたデフロスタ機能を作動させ、ウインドウガラスの比較的近傍に設けられたデフロスタ吹出口から、当該ウインドウガラスに空調風を吹き付けてその曇り晴らし等を行わせる際に、ON操作されるスイッチである。尚、上記デフロスタ吹出口は、フロントウインドウ側のみならずリヤウインドウ側にも設けることができ、この場合には、フロント側およびリヤ側の少なくとも何れか一方のデフロスタがONされた際に、ON操作のスイッチ信号が主制御回路12に入力されるように構成される。
【0025】
また、上記ワイパスイッチ32は、やはり乗員の視界を改善する等のために、ウインドウガラス外表面のワイパを駆動して当該ウインドウガラスの外表面を機械的に払拭する際に、ON操作されるスイッチである。本実施の形態では、図1に示されるように、フロントウインドウ側のみならずリヤウインドウ側にもワイパ6が設けられている。従って、フロント側およびリヤ側の少なくとも何れか一方のワイパがONされた際に、ON操作のスイッチ信号が主制御回路12に入力されるように構成されている。
【0026】
尚、上記デフロスタ或いはワイパが、本願請求項に記載した視界改善手段を構成し、また、デフロスタスイッチ31或いはワイパスイッチ32各スイッチと主制御回路12とで、本願請求項に記載した視界改善操作検出手段が構成されている。
【0027】
更に、上記雨滴センサ33は、雨滴を検知することで雨が降り出したことを検知するセンサであり、かかる雨滴センサ33を備えることにより、雨が降り出したことを自動的に検知して、降雨時に特に行われるべき各種制御(例えば、ワイパの払拭作動)などを自動的に開始させることが可能になる。
尚、以上のデフロスタスイッチ31,ワイパスイッチ32及び雨滴センサ33は、何れも従来公知のものと同様のものである。
【0028】
本実施の形態に係るデフォッガ制御装置10では、デフォッガの消費電力を削減して当該自動車Mの燃費性能を向上させるために、外気温に応じて熱線4への通電時間(タイマ時間)を変更制御することができるようになっている。しかも、この場合において、車室内の乗員が視界を改善するために上記ワイパや空調デフロスタのスイッチ操作を行った場合や降雨時などには、リヤ熱線4の消費電力削減よりも、熱線4への通電を十分に行ってリヤウインドウガラス2の曇り晴らしを十分に行い確実な視界改善を優先するように構成されている。
【0029】
すなわち、外気温に応じて熱線への通電時間を可変制御することによってデフォッガの消費電力を削減し、且つ、乗員が視界改善を行う場合など、必要時には熱線4への通電を十分に行わせることができるようになっている。
【0030】
図3は、上記メモリ装置18内のROMに格納されたタイマ時間制御マップの概略を示す線図である。デフォッガ制御装置10の主制御回路12は、リヤ熱線スイッチ8がON操作されると、メモリ装置18のROMからこの制御マップを呼び出し、これに基づいてタイマ回路14の設定時間を変更するように制御する。
【0031】
上記図3の制御マップでは、車載の空調ユニットのデフロスタスイッチ31のスイッチ信号に応じて、つまり、デフロスタが作動しているか非作動かに応じて、2本の制御ラインA1,A2が設定されている。制御ラインA2はデフロスタが運転状態にある場合(デフロスタスイッチ31がONの場合)に、制御ラインA1はデフロスタが運転状態でない場合(デフロスタスイッチ31がOFFの場合)に、それぞれ対応している。
【0032】
図3の制御ラインA1から良く分かるように、デフロスタスイッチ31がOFFでデフロスタが非作動の場合、つまり、乗員が視界改善の意志を示していない場合には、タイマ時間Kmは、外気温センサ22で検知された外気温Tsが高くなるに連れて漸次短くなるように設定される。
一方、デフロスタスイッチ31がONでデフロスタが作動している場合、つまり乗員が視界改善の意志を示している場合には、制御ラインA2から良く分かるように、タイマ時間Kmは、外気温Tsが高くなっても短くなることなく、一定値に維持されるように設定される。本実施の形態では、この場合、タイマ時間Kmは、外気温Tsが氷結温度t1の場合に対応するタイマ時間k1を維持するように設定される。
【0033】
尚、デフロスタスイッチ31がOFF状態で制御ラインA1に従ったタイマ設定を行ってタイマがスタートした後、タイマアップするまでに上記デフロスタスイッチ31がON操作された場合には、その時点から制御ラインA2に従ったタイマ設定(タイマ時間k1)に切り換えられるように構成することができる。また、その切換時点までの時間と切換後の時間とを合算して、リヤ熱線4への通電時間Tmが所定時間k1となるように設定する構成とすることも可能である。
【0034】
また、本実施の形態では、より好ましくは、外気温Tsが氷結温度t1以下、つまり、一般に0(零:ゼロ)度以下では、ウインドウガラス2の外表面は氷結するので、この氷結温度t1を境にして、タイマ時間Kmを設定する制御ラインの勾配が異なるように設定されている。本実施の形態では、例えば、氷結温度を0℃に設定し、また、この温度でのタイマ時間k1を15分に設定した。
【0035】
すなわち、外気温Tsが氷結温度t1以下の範囲では、制御ラインAの勾配が急で、外気温Tsの変化に対するタイマ時間Kmの変更量が大きく設定されている。また、この範囲では、デフロスタスイッチ31のON/OFF状態に拘らず一律の制御ラインAに従ってタイマ時間Kmが設定される。
【0036】
一方、外気温Tsが氷結温度t1を越える範囲では、制御ラインA1の勾配は比較的緩やかで、外気温Tsの変化に対するタイマ時間Kmの変更量が小さく設定されている。
尚、具体的には図示しなかったが、制御ラインA1において、外気温Tsが所定温度以上の範囲では、外気温Tsがそれ以上高くなっても、タイマ時間Kmは一定値に設定されることが、より好ましい。
【0037】
これは、タイマ時間Kmが0(零:ゼロ)又は限りなくゼロに近くなると、乗員がリヤ熱線スイッチ8をON操作しても、直ぐにタイマアップしてしまい、熱線への通電が実質的に行われず、乗員の意志が結果的に無視されることになるので、かかる事態を回避するためである。
【0038】
上記制御ラインAは、外気温Tsに応じて、リヤウインドウガラス2の曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要なリヤ熱線4への通電時間を確保できるように設定されている。また、上記各制御ラインA1,A24は、何れも、外気温Tsに応じて、リヤウインドウガラス2の曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要なリヤ熱線4への通電時間を確保できるように設定されている。
尚、上記各制御ラインA,A1,A2に従ったタイマ時間Kmでデフォッガを行っても、リヤウインドウガラス2の曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などが不十分であると、乗員がもし感じた場合には、リヤ熱線スイッチ8を再度ON操作すれば良い。
【0039】
以上のように、本実施の形態に係るデフォッガ制御装置10によれば、外気温センサ22で検出された外気温Tsが高くなるに連れてタイマ時間Kmが漸次短くなるように該タイマ時間Kmが設定されるので、年間を通じての変動がより大きく且つリヤウインドウガラス2の結露に直接的に影響を及ぼす外気温Tsが高くなり結露が生じ難くなるに連れて、リヤ熱線4への通電時間Kmを漸次短くすることができる。
【0040】
すなわち、リヤウインドウガラス2の曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要な通電時間Kmを確保した上で、リヤ熱線4への通電時間Kmを極力短くすることが可能になり、デフォッガの消費電力を削減し車両Mの燃費性能の向上に資することができる。
【0041】
しかも、この場合において、視界改善を行う視界改善手段として、具体的には、ウインドウガラスに空調風を送風するデフロストが用いられ、このデフロスタのスイッチ31が操作され乗員の視界改善を行う意志が示されている場合には、上記タイマ時間Kmは、氷結温度t1に対応するタイマ時間k1に一定に設定され、外気温Tsが上昇しても短くなることはない。
【0042】
すなわち、視界改善を行うデフロスタのスイッチ31がON操作され乗員が視界改善を行う意志が示されている場合には、リヤ熱線4の消費電力削減よりも、リヤ熱線4への通電を十分に行ってリヤウインドウガラス2の曇り晴らしを十分に行うことが優先され、乗員の視界を確実に改善することができるのである。
【0043】
図4は、タイマ時間制御マップの他の例を示す線図である。この図4の線図は、図3の制御マップと類似しているが、デフロスタスイッチ31のON/OFFに依る代わりに、ワイパスイッチ32のON/OFFに応じて制御ラインB1,B2が設定されている点が、図3の制御マップとは異なっている。
【0044】
上記制御ラインB1はワイパスイッチ31がOFFされている場合に、また、制御ラインB2はワイパスイッチ32がONされている場合に、それぞれ対応している。尚、制御ラインBは、図3における制御ラインAに対応するものである。
【0045】
すなわち、ワイパスイッチ32がOFFでワイパが非作動の場合、つまり、乗員が視界改善の意志を示していない場合には、タイマ時間Kmは、外気温センサ22で検知された外気温Tsが高くなるに連れて漸次短くなるように設定される。
一方、ワイパスイッチ32がONでワイパが作動している場合、つまり乗員が視界改善の意志を示している場合には、制御ラインB2から良く分かるように、タイマ時間Kmは、外気温Tsが高くなっても短くなることなく、一定値に維持されるように設定される。本実施の形態では、この場合、タイマ時間Kmは、外気温Tsが氷結温度t1の場合に対応するタイマ時間k1を維持するように設定される。
【0046】
尚、ワイパスイッチ32がOFF状態で制御ラインB1に従ったタイマ設定を行ってタイマがスタートした後、タイマアップするまでに上記ワイパスイッチ32がON操作された場合には、その時点から制御ラインB2に従ったタイマ設定(タイマ時間k1)に切り換えられるように構成することができる。また、その切換時点までの時間と切換後の時間とを合算して、リヤ熱線4への通電時間Tmが所定時間k1となるように設定する構成とすることも可能である。
【0047】
このように、図4の線図に従った制御では、視界改善手段として、具体的には、ウインドウガラスの外表面を払拭するワイパが用いられており、例えば降雨時などで車室内の湿度が高い場合など、このワイパがON操作され乗員が視界改善を行う意志が示されている際には、リヤ熱線4の消費電力削減よりも、リヤウインドウガラス2の曇り晴らしを十分に行うことが優先され、乗員の視界を確実に改善することができるのである。
【0048】
また、図5は、タイマ時間制御マップの更に他の例を示す線図である。この図5の線図も、図3の制御マップと類似しているが、デフロスタスイッチ31のON/OFFに依る代わりに、雨滴センサ33の雨滴検知状態に応じて制御ラインC1,C2が設定されている点が、図3の制御マップとは異なっている。
【0049】
上記制御ラインC1は雨滴センサ33が雨滴を検知しておらずOFF状態の場合に、また、制御ラインC2は雨滴センサ33が雨滴を検知してON状態の場合に、それぞれ対応している。尚、制御ラインCは、図3における制御ラインAに対応するものである。
【0050】
すなわち、雨滴センサ33がOFF状態で雨滴を検知していない場合、つまり、降雨状態でない場合には、タイマ時間Kmは、外気温センサ22で検知された外気温Tsが高くなるに連れて漸次短くなるように設定される。
一方、雨滴センサ33がON状態で雨滴を検知している場合、つまり降雨時には、一般に車室内の湿度が高いので、制御ラインC2から良く分かるように、タイマ時間Kmは、外気温Tsが高くなっても短くなることなく、一定値に維持されるように設定される。本実施の形態では、この場合、タイマ時間Kmは、外気温Tsが氷結温度t1の場合に対応するタイマ時間k1を維持するように設定される。
【0051】
尚、雨滴センサ33がOFF状態で制御ラインC1に従ったタイマ設定を行ってタイマがスタートした後、タイマアップするまでに上記雨滴センサ33がON操作された場合には、その時点から制御ラインC2に従ったタイマ設定(タイマ時間k1)に切り換えられるように構成することができる。また、その切換時点までの時間と切換後の時間とを合算して、リヤ熱線4への通電時間Tmが所定時間k1となるように設定する構成とすることも可能である。
【0052】
このように、図5の線図に従った制御では、雨滴センサ33が雨滴を検知している場合には、タイマ時間Kmは、所定時間k1に設定され、外気温Tsが上昇しても短くなることはない。すなわち、雨滴が検知され、より確実なリヤウインドウガラス2の曇り晴らしが必要とされる場合には、リヤ熱線4の消費電力削減よりも、当該リヤ熱線4への通電を十分に行うことが優先され、リヤウインドウガラス2の曇り晴らしを確実に行うことができる。
【0053】
次に、以上のような構成および作用を有するデフォッガ制御装置1によるリヤウインドウガラス2のデフォッガ制御について、図6〜図8のフローチャートを参照しながら説明する。図6は図3の制御マップを用いる場合、図7は図4の制御マップを用いる場合、また、図7は図5の制御マップを用いる場合についての制御例をそれぞれ示している。
【0054】
まず、図3の制御マップが適用される場合について説明すれば、図6に示すように、システムがスタートすると、ステップ#1で、リヤ熱線SW(スイッチ)8がON操作された否かが継続的に判定され、これがYESになると、ステップ#2で、外気温センサ22で検出された外気温データ及びデフロスタスイッチ(デフロスタSW)31のスイッチ信号がデフォッガ制御装置1に(主制御回路12に)入力される。そして、好ましくは、これらのデータがメモリ装置18のRAMに記憶される。
【0055】
次に、ステップ#3で、メモリ装置18のROMから図3のタイマ時間制御マップが呼び出され、主制御回路12により、該マップに基づいて、デフロスタスイッチ31のON/OFF状態および外気温Tsに応じたタイマ時間Kmが算出され、タイマ設定が行われる。具体的には、上記デフロスタスイッチ31のON/OFF状態に応じて制御ラインA1(OFFの場合)又はA2(ONの場合)が選択された上で、外気温に対応するタイマ時間Kmが算出され、タイマ回路14のタイマ時間の設定が行われる。つまり、上記主制御回路12が、本願請求項に記載した「タイマ時間設定手段」に相当している。
【0056】
その後、リヤ熱線4への通電が開始され、リヤ熱線作動ランプ5が点灯される(ステップ#4)と共に、タイマ回路14がONされて通電時間のカウントが開始される(ステップ#5)。
そして、ステップ#6で、設定されたタイマ時間Kmが経過したか否か、及びリヤ熱線スイッチ8がOFFされたか否かが継続的に判定され、この判定結果がYESになると、ステップ#7で、リヤ熱線4への通電が停止され、リヤ熱線作動ランプ5が消灯する。
【0057】
以上のような一連のステップにより、デフロスタの作動/非作動および外気温Tsに基づいてタイマ時間Kmが適切に設定され、このタイマ時間Kmだけ、或いは乗員の意志によりリヤ熱線スイッチ8がOFFされるまで、リヤ熱線4への通電が行われるようになっている。
【0058】
また、図4の制御マップが適用される場合には、図7のフローチャートを図6のフローチャートと比較して良く分かるように、ステップ#12及びステップ#13が図6のステップ#2及びステップ#3と異なるのみで、ステップ#11お及びステップ#14〜#17は、図6のフローチャートにおけるステップ#1及びステップ#4〜#7と同一の内容である。従って、図7のフローチャートについては、主として図6の内容と異なるステップ#12及び#13のみについて説明する。
【0059】
図7のフローチャートのステップ#12では、外気温センサ22で検出された外気温データ及びワイパSW32のスイッチ信号がデフォッガ制御装置1に(主制御回路12に)入力され、好ましくは、これらのデータがメモリ装置18のRAMに記憶される。
【0060】
そして、ステップ#13で、ワイパスイッチ32のON/OFF状態および外気温Tsに応じたタイマ時間Kmが算出され、タイマ設定が行われる。具体的には、上記ワイパスイッチ32のON/OFF状態に応じて制御ラインB1(OFFの場合)又はB2(ONの場合)が選択された上で、外気温Tsに対応するタイマ時間Kmが算出され、タイマ回路14のタイマ時間の設定が行われる。
【0061】
更に、図5の制御マップが適用される場合には、図8のフローチャートを図6のフローチャートと比較して良く分かるように、ステップ#22及びステップ#23が図6のステップ#2及びステップ#3と異なるのみで、ステップ#21お及びステップ#24〜#27は、図6のフローチャートにおけるステップ#1及びステップ#4〜#7と同一の内容である。従って、図8のフローチャートについては、主として図6の内容と異なるステップ#22及び#23のみについて説明する。
【0062】
図8のフローチャートのステップ#22では、外気温センサ22で検出された外気温データ及び雨滴センサ33の検知信号がデフォッガ制御装置1に(主制御回路12に)入力され、好ましくは、これらのデータがメモリ装置18のRAMに記憶される。
【0063】
そして、ステップ#23で、雨滴センサ33のON/OFF状態(雨滴検知/未検知状態)および外気温Tsに応じたタイマ時間Kmが算出され、タイマ設定が行われる。具体的には、上記雨滴センサ33の検知ON/OFF状態に応じて制御ラインC1(OFFの場合)又はC2(ONの場合)が選択された上で、外気温Tsに対応するタイマ時間Kmが算出され、タイマ回路14のタイマ時間の設定が行われる。
【0064】
以上の説明は、本発明を自動車のリヤウインドウのデフォッガ制御に適用した場合についてのものであったが、熱線でデフォッガを行うものであれば、車両の他の部分のウインドウ、例えば、車両後部の側面に配設されたウインドウガラスなどのデフォッガ制御にも好適であり、また、フロント側についても熱線が設けられるウインドウガラスがあれば、そのデフォッガ制御にも適用が可能である。
【0065】
また、上記図6〜図8のフローチャートで説明したタイマ時間の設定制御は、本発明に係る車両用デフォッガ制御装置による制御例を示したものであり、これら以外にも種々の制御が可能である。
このように、本発明は、以上の実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良あるいは設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【0066】
【発明の効果】
本願発明に係る車両用デフォッガ制御装置によれば、外気温検出手段で検出された外気温が高くなるに連れてタイマ時間が漸次短くなるように該タイマ時間が設定されるので、年間を通じての変動がより大きく且つウインドウガラスの結露に直接的に影響を及ぼす外気温が高くなり結露が生じ難くなるに連れて、熱線への通電時間を漸次短くすることができる。すなわち、ウインドウガラスの曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要な通電時間を確保した上で、熱線への通電時間を極力短くすることが可能になり、デフォッガの消費電力を削減し車両の燃費性能の向上に資することができる。
しかも、この場合において、デフロスト操作検出手段がウインドウガラスに空調風を送風するデフロスト手段の操作を検出した際には、上記タイマ時間は、所定時間に設定され、外気温が上昇しても短くなることはない。すなわち、デフロスト手段が操作され乗員が視界改善を行う意志が示された場合には、熱線の消費電力削減よりも、熱線への通電を十分に行ってウインドウガラスの曇り晴らしを十分に行うことが優先され、乗員の視界を確実に改善することができる。
【0067】
また、本願の他の発明に係る車両用デフォッガ制御装置によれば、外気温検出手段で検出された外気温が高くなるに連れてタイマ時間が漸次短くなるように該タイマ時間が設定されるので、年間を通じての変動がより大きく且つウインドウガラスの結露に直接的に影響を及ぼす外気温が高くなり結露が生じ難くなるに連れて、熱線への通電時間を漸次短くすることができる。すなわち、ウインドウガラスの曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要な通電時間を確保した上で、熱線への通電時間を極力短くすることが可能になり、デフォッガの消費電力を削減し車両の燃費性能の向上に資することができる。
しかも、この場合において、ワイパ操作検出手段がウインドウガラスの外表面を払拭するワイパ手段の操作を検出した際には、上記タイマ時間は、所定時間に設定され、外気温が上昇しても短くなることはない。すなわち、ワイパ手段が操作され乗員が視界改善を行う意志が示された場合には、熱線の消費電力削減よりも、熱線への通電を十分に行ってウインドウガラスの曇り晴らしを十分に行うことが優先され、乗員の視界を確実に改善することができる。
【0068】
また、本願の更に他の発明に係る車両用デフォッガ制御装置によれば、外気温検出手段で検出された外気温が高くなるに連れてタイマ時間が漸次短くなるように該タイマ時間が設定されるので、年間を通じての変動がより大きく且つウインドウガラスの結露に直接的に影響を及ぼす外気温が高くなり結露が生じ難くなるに連れて、熱線への通電時間を漸次短くすることができる。すなわち、ウインドウガラスの曇り晴らしや霜取り若しくは氷解などに必要な通電時間を確保した上で、熱線への通電時間を極力短くすることが可能になり、デフォッガの消費電力を削減し車両の燃費性能の向上に資することができる。
しかも、この場合において、雨滴検知手段が雨滴を検知した際には、上記タイマ時間は、所定時間に設定され、外気温が上昇しても短くなることはない。すなわち、雨滴が検知され、より確実なウインドウガラスの曇り晴らしが必要とされる場合には、熱線の消費電力削減よりも、熱線への通電を十分に行うことが優先され、ウインドウガラスの曇り晴らしを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る自動車の車両斜め後方からの斜視図である。
【図2】 上記自動車のデフォッガ制御装置の構成を概略的に示すブロック構成図である。
【図3】 上記デフォッガ制御装置のタイマ時間制御マップの概略を示す線図である。
【図4】 タイマ時間制御マップの他の例を示す線図である。
【図5】 タイマ時間制御マップの更に他の例を示す線図である。
【図6】 上記デフォッガ制御装置による図3のタイマ時間制御マップに基づいた制御の概略を説明するためのフローチャートである。
【図7】 上記デフォッガ制御装置による図4のタイマ時間制御マップに基づいた制御の概略を説明するためのフローチャートである。
【図8】 上記デフォッガ制御装置による図5のタイマ時間制御マップに基づいた制御の概略を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
2…リヤウインドウガラス
4…リヤ熱線
8…リヤ熱線スイッチ
10…デフォッガ制御装置
12…主制御回路
14…タイマ回路
22…外気温センサ
31…デフロスタスイッチ
32…ワイパスイッチ
33…雨滴センサ
Km…タイマ時間
M…自動車
Ts…外気温
Claims (3)
- 車両のウインドウガラスに設けられた熱線と、該熱線への通電をオン・オフさせるスイッチ手段とを備えたデフォッガを制御する車両用デフォッガ制御装置であって、
上記スイッチ手段のオン作動によって上記熱線に所定のタイマ時間だけ通電させるタイマ手段と、
車両外部の外気温を検出する外気温検出手段と、
上記ウインドウガラスに空調風を送風するデフロスト手段の操作を検出するデフロスト操作検出手段と、
上記外気温検出手段で検出された外気温が高くなるに連れて上記タイマ時間が漸次短くなるように該タイマ時間を設定するとともに、上記デフロスト操作検出手段が上記デフロスト手段の操作を検出した際には上記タイマ時間を所定時間に設定するタイマ時間設定手段と、
を備えたことを特徴とする車両用デフォッガ制御装置。 - 車両のウインドウガラスに設けられた熱線と、該熱線への通電をオン・オフさせるスイッチ手段とを備えたデフォッガを制御する車両用デフォッガ制御装置であって、
上記スイッチ手段のオン作動によって上記熱線に所定のタイマ時間だけ通電させるタイマ手段と、
車両外部の外気温を検出する外気温検出手段と、
上記ウインドウガラスの外表面を払拭するワイパ手段の操作を検出するワイパ操作検出手段と、
上記外気温検出手段で検出された外気温が高くなるに連れて上記タイマ時間が漸次短くなるように該タイマ時間を設定するとともに、上記ワイパ操作検出手段が上記ワイパ手段の操作を検出した際には上記タイマ時間を所定時間に設定するタイマ時間設定手段と、
を備えたことを特徴とする車両用デフォッガ制御装置。 - 車両のウインドウガラスに設けられた熱線と、該熱線への通電をオン・オフさせるスイッチ手段とを備えたデフォッガを制御する車両用デフォッガ制御装置であって、
上記スイッチ手段のオン作動によって上記熱線に所定のタイマ時間だけ通電させるタイマ手段と、
車両外部の外気温を検出する外気温検出手段と、
雨滴を検知する雨滴検知手段と、
上記外気温検出手段で検出された外気温が高くなるに連れて上記タイマ時間が漸次短くなるように該タイマ時間を設定するとともに、上記雨滴検知手段が雨滴を検知した際には上記タイマ時間を所定時間に設定するタイマ時間設定手段と、
を備えたことを特徴とする車両用デフォッガ制御装置。
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