JP6493166B2 - 電池パック - Google Patents

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Description

この明細書における開示は、車両に搭載されて、筐体内の複数個の電池セルを備えた電池パックに関する。
従来、筐体内の電池を冷却可能な電池パックとして、特許文献1、特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献1には、車室内空気が電池よりも高温である場合に、電池パック内に車室内空気を導入して電池を温める電池パックが開示されている。特許文献2には、低温時に、内蔵するヒータ装置を運転して電池を加熱する電池パックが開示されている。
特開2015−103428号公報 特開2008−53149号公報
しかしながら、特許文献1の電池パックによれば、電池を昇温させるために電池よりも高温の車室内空気を電池パック内に導入するため、電池よりも温かい空気が電池に接触することで結露が生じやすいという問題がある。
また、特許文献2の電池パックは、電池を昇温させるときに加熱用のヒータ装置を運転するため、消費エネルギを要するという問題がある。
このような課題に鑑み、この明細書における開示の目的は、自然エネルギの利用と結露発生の抑制を図り、電池の昇温を実施できる電池パックを提供することである。
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
開示された電池パックのひとつは、複数の電池(121)を備えて構成される電池集合体(120)と、電池集合体を収容する筐体(110)と、電池集合体を冷却する内部流体を駆動して筐体の内部に循環流を形成する内部流体駆動装置(140)と、筐体の外部に設けられて筐体に沿って外部流体が流れる外部流体通路(170)と、筐体と熱交換する外部流体を外部流体通路に流通させる外部流体駆動装置(172)と、電池の温度または電池の温度に近似する温度である、電池関連温度を検出する電池温度検出装置(60)と、外部流体駆動装置によって外部流体通路に導入される車室内空気の温度を検出する室内温度検出装置(61)と、内部流体駆動装置及び外部流体駆動装置のそれぞれの運転状態を制御する制御装置(100)と、筐体の内部に設けられて、内部流体を加熱する加熱装置(2)と、を備える。制御装置は車室内空気の温度が電池関連温度よりも高い場合に外部流体駆動装置を運転し、制御装置は、電池の昇温を実施する所定の条件が成立する場合に車室内空気の温度が電池関連温度よりも低いときは、加熱装置を運転する。
この電池パックによれば、電池関連温度よりも高い車室内空気を外部流体駆動装置によって外部流体通路に導入することにより、筐体を介して車室内空気の熱を内部流体に熱移動させることができる。内部流体に移動した熱は、電池を温めることに寄与する。車室内空気は、日射等によって温められることで電池関連温度より高温になることがある。このように電池を温めることにより、日射等の自然エネルギによって得られた熱を利用した電池暖機を実施できる。さらに電池関連温度よりも高温である車室内空気は十分に冷やされると露点温度を下回って結露を発生するが、車室内空気は筐体の内部に導入されないので、筐体の内部で結露するような事態を防止できる。したがって、自然エネルギの利用と結露発生の抑制を図り、電池の昇温を実施できる電池パックを提供することができる。
第1実施形態の電池パックの構成及び流体流れを示す平面図である。 図1のII−II断面における矢視図である。 図1のIII−III断面における矢視図である。 内部フィンを示す分解斜視図である。 外部フィンを示す斜視図である。 筐体内における内部フィンに関わる流体流れを示す斜視図である。 外部フィンの位置及び外部ダクト内の流体流れを示す斜視図である。 第1実施形態の電池パックにおける制御ブロック図である。 第1実施形態の電池パックが実施する電池昇温制御に関するフローチャートである。 乾球温度と絶対湿度との関係を示した空気線図である。 電池温度と電池出力との関係を示したグラフである。 第2実施形態の電池パックにおける制御ブロック図である。 第2実施形態の電池パックが実施する電池昇温制御に関するフローチャートである。 第3実施形態の電池昇温制御に関するフローチャートである。
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
第1実施形態の電池パック1について、図1〜図9を参照しながら説明する。電池パック1は、例えば、電池に充電された電力によって駆動されるモータと、内燃機関とを走行駆動源とするハイブリッド自動車、モータを走行駆動源とする電気自動車等に用いられる。電池パック1に含まれる複数の単電池121は、例えば、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池、有機ラジカル電池等によって構成できる。
電池パック1は、車両のトランクルーム、あるいはトランクルームより下方に設けられたトランクルーム裏エリア等のパック収容スペースに設置される。パック収容スペースは、例えば、スペアタイヤ、工具等も収納可能な場所でもよい。電池パック1は、底壁112や底壁側通路135を下側にした姿勢で、パック収容スペースに設置される。この場合、パック収容スペースは、車室内に連通する空間である。すなわち、電池パック1の周辺に存在する空気を送風機によって吸い込む場合には、車室内空気を吸い込むことが可能である。
また、電池パック1は、車両の車室内に設けられる前部座席の下方や後部座席等の下方に設置されてもよい。この場合、電池パック1は、底壁112や底壁側通路135を下側にした姿勢で、前部座席や後部座席等の下方に設置される。この場合でも、パック収容スペースは車室内に連通する空間である。また、電池パック1は、車室内の床よりも下方の床下に設置される形態でもよい。この床下設置場所は、車室内に連通するように構成することもできる。また、後部座席の下方において電池パック1を設置する空間は、トランクルームよりも下方のトランクルーム裏エリアに連通させるようにしてもよい。
第1実施形態では、例えば図1において、Frは車両前方側を示し、Rrは車両後方側を示し、RHは車両右側を示し、LHは車両左側を示している。方向Rr、方向Frは、電池積層方向である。電池パック1における方向を示す際に、Fr−Rrの方向は前後方向や電池積層方向と称することもある。RH−LHの方向は左右方向と称することもある。重力の作用する方向は上下方向と称することもある。
電池パック1は、外部と隔離した密閉された内部空間を形成する筐体110と、筐体110の内部に収容されて、通電可能に接続される複数の単電池121を電気的に接続して構成される電池集合体120と、を備える。筐体110の内部には、1個または複数の電池集合体120が収容されて電池パック1の組電池を構成している。筐体110の内部には、電池集合体120の各単電池121を冷却する流体が循環する循環通路130と、循環通路130に循環流を形成するように内部流体を循環させる内部送風機140と、が収容されている。電池集合体120の一例は、最も表面積の大きい面である主面を互いに対向させた姿勢で複数の単電池121を積層して一体に形成した電池積層体である。
図4及び図5に図示するように、電池パック1には、筐体110の内側に第1内部フィン150及び第2内部フィン151が設けられ、筐体110の外側に第1外部フィン160及び第2外部フィン161が設けられている。さらに、図7に示すように、第1外部フィン160、第2外部フィン161の外側には、外部送風機172を有する外部ダクト170が第1外部フィン160、第2外部フィン161を覆うように設けられている。
図1〜図3に図示するように、筐体110は、左右方向に並ぶ2個の電池集合体120と、電池集合体120よりも車両後方側で左右方向に並ぶ2個の第1送風機140A及び第2送風機140Bと、を収容する。筐体110は、内部の空間を包囲する複数の壁からなる箱形を呈し、アルミニウム板または鉄板の成型品で形成されるケースである。筐体110は、例えば、上下方向に扁平な直方体となっており、例えば6面である、天壁111、底壁112、側壁113、側壁114、側壁115、及び側壁116を有する。筐体110は、内部を区画する区画壁117と、底壁112における補強用の第1の梁3及び第2の梁4と、を有する。さらに第1の梁3、第2の梁4には、これらの上面に閉塞壁118及び閉塞壁119が設けられている。
天壁111は、筐体110の上面を形成する壁であり、前後方向に長辺を有する長方形の壁である。底壁112は、筐体110の下面を形成する壁であり、天壁111と同様の形状を有する。側壁113、側壁114は、筐体110の左右側の面を形成する壁であり、前後方向に長辺を有する細長い長方形の壁である。側壁113、側壁114は、互いに向かい合う位置関係にある。側壁115、側壁116は、筐体110の前後側の面を形成する壁であり、左右方向に長辺を有する細長い長方形の壁である。側壁115、側壁116は互いに向かい合う位置関係にある。側壁115や側壁116は側壁113や側壁114に対して直交するように設けられる。
筐体110は、各壁111〜116を用いたものに代えて、複数のケース体を接合して組み立てることにより、内部に空間を形成して製作するように構成されてもよい。また、筐体110を形成する複数の壁のうち、所定の壁の表面には、放熱面積を大きくするために複数の凸部または凹部を形成するようにしてもよい。また、電池パック1において、側壁113、側壁114の長辺に沿う方向が前後方向に対応しており、また、側壁115、側壁116の長辺に沿う方向が左右方向に対応している。
区画壁117は、筐体110の内部において、側壁116寄りに配置されて、側壁116と平行となって、側壁113と側壁114とを繋ぐ壁である。区画壁117は、底壁112の内面から筐体110の上下方向の中間位置まで延びている。区画壁117と側壁116との間にはユニット収容室117aが形成されている。
ユニット収容室117aには、例えば、管理ユニット100が収容される。管理ユニット(Battery Management Unit)100は、例えば、車両に搭載された各種の電子制御装置と通信可能に構成されている。管理ユニット100は、少なくとも単電池121の蓄電量を管理する機器であり、単電池121に係る制御を行う制御装置の一例である。管理ユニット100は、単電池121に関する電流、電圧、温度等を監視するとともに、単電池121の異常状態、漏電等を管理する機器であってもよい。
管理ユニット100には、電流センサによって検出された電流値に係る信号が入力される。管理ユニット100には、電池温度センサ60によって検出された電池温度に係る信号、周辺温度センサ61によって検出された筐体周辺温度に係る信号が入力される。管理ユニット100は、車両ECUと同様に入力回路、マイクロコンピュータ、及び出力回路等を備えている。マイクロコンピュータが有する記憶手段には、各種の電池情報、筐体周辺温度がデータとして随時蓄積されている。蓄積される電池情報のデータは、例えば、電池パック1における電池電圧、充電電流、放電電流及び電池温度等である。
電池パック1において各種制御を行う制御装置は、電子制御装置(Electronic Control Unit)である。制御装置は、少なくともひとつの演算処理装置と、プログラムとデータとを記憶する記憶媒体としての少なくともひとつのメモリ装置と、を備える。制御装置は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。制御装置は、ひとつのコンピュータ、またはデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、制御装置によって実行されることによって、制御装置をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように制御装置を機能させる。
電池パック1が提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置がハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって提供することができる。
管理ユニット100は、第1送風機140A、第2送風機140B、及び外部送風機172の作動を制御する制御装置として機能する。さらに管理ユニット100は、車室内を空気調和する車両用空調装置5の作動を制御する空調制御装置と通信することにより、車両用空調装置5の作動を制御する制御装置として機能する。電池温度センサ60は、複数の単電池121において、各単電池121または所定の単電池121に設けられて、設置位置に対応する電池の温度を検出する。電池温度センサ60は、管理ユニット100に対して信号を出力する温度検出線、温度センサ等によって構成することができる。
電池温度センサ60は、所定の単電池121に接触してまたは近接して設けられる電池温度検出装置でもあり、単電池121自体の温度(以下、電池温度とも称する)または電池温度に関連のある所定部位の温度を検出する。電池温度は、例えば、電池集合体120の任意箇所の温度を検出するように構成された電池温度センサ60から管理ユニット100に入力される温度である。電池温度に関連のある所定部位の温度は、電池温度に近似する温度でもある。電池温度に近似する温度とは、例えば単電池121との間で熱移動可能に構成された所定の部位や部材、例えばバスバ、拘束部材、ブラケット等の温度を検出するように構成された電池温度センサ60から管理ユニット100に入力される温度である。一例として電池温度センサ60で構成される電池温度検出装置は、電池温度または電池温度に近似する温度である電池関連温度を検出する。
周辺温度センサ61は、筐体110の周囲の空気温度、またはこの空気温度に関連のある所定部位の温度を検出する周辺温度検出装置である。筐体周囲の空気温度は、例えば、外部ダクト170の吸込み部近傍の空気温度を検出するように構成された周辺温度センサ61から管理ユニット100に入力される温度である。筐体110の周囲の空気温度に関連のある所定部位の温度は、外部ダクト170の吸込み部近傍の空気温度に近似する温度でもよい。
周辺温度センサ61は、外部ダクト170の内部に吸い込まれる空気の一例である車室内空気の温度(以下、車室内温度とも称する)を検出する室内温度検出装置であってもよい。したがって、周辺温度センサ61は、筐体周囲の空気の温度または外部送風機172によって外部ダクト170内の外部流体通路に導入する空気の温度である、筐体周辺温度を検出する。
前述したように、周辺温度センサ61は、電池パック1が収容されているトランクルーム等の前述した空間の温度、車室内温度を検出するように構成できる。したがって、周辺温度センサ61には、車両用空調装置5の制御に用いられる車室内温度を検出する車室温度センサを使用することができる。また、周辺温度センサ61には、電池パック1に取り入れる吸気の温度を検出する吸気温度センサを使用することができる。吸気温度センサには、例えば、外部送風機172によって外部ダクト170内の外部流体通路に吸い込まれる空気の温度を検出するセンサを用いることができる。
管理ユニット100は、電池温度センサ60によって検出される電池関連温度に応じて電池冷却または電池加熱を実施する条件が成立した場合には第1送風機140A、第2送風機140B及び外部送風機172のうち所定の機器の作動を制御する。さらに管理ユニット100は、検出される電池関連温度、筐体周辺温度に応じて所定の運転条件が成立した場合には、第1送風機140A、第2送風機140B及び外部送風機172のうち所定の機器の作動を制御する。
第1の梁3及び第2の梁4は、筐体110の強度を向上させるための補強部材であり、底壁112の内側に左右方向に並んで複数本設けられる。第1実施形態の電池パック1は梁を3本有している。3本の梁は、側壁113寄りに位置する第1の梁3、側壁113と側壁114との中間部に位置する第2の梁4、側壁114寄りに位置する第1の梁3である。各梁3,4は、細長い棒状であり、その長手方向が筐体110において前後方向を向き、かつ左右方向に等間隔で並ぶようにして、底壁112に設置される。
各梁3,4は、筐体110に対して別体に形成されたものであり、例えば、断面形状が矩形状や台形状をなす部材である。例えば、各梁3,4は、断面形状がU字状やコの字状であり、開口する部分が下方を向くように底壁112に固定されている。各梁3,4の上面には、電池集合体120が載っている。したがって、各梁3,4は、筐体110の底壁112側で電池集合体120を下方から支えている。また、各梁3,4は、例えば、アルミニウム材、または鉄材等から形成されている。
2本の第1の梁3は、左右方向の両最外部に位置する梁であり、側壁113、側壁114に沿うように設置される。第1の梁3は、側壁113または側壁114と底壁112に接触して一体に設置され、側壁113、側壁114、底壁112を補強する機能を果たしている。
2本の第1の梁3と1本の第2の梁4は、等間隔に設置されている。隣り合う梁同士の中心線間距離は、単電池121の左右方向の寸法と同等となるように設定されている。隣り合う梁間の寸法は、1つの梁の幅寸法よりも大きくなるように設定されている。各梁3,4の幅寸法とは、2本の第1の梁3と1本の第2の梁4が並ぶ方向の各梁の長さ寸法である。各梁3,4の板厚は、底壁112の板厚よりも厚くなるように設定される。
各梁3,4の長手方向の長さは、図1に示すように、電池集合体120全体における単電池121の積層方向長さよりも長くなるように設定される。各梁3,4の長手方向における一端部及び他端部は、それぞれ、電池集合体120よりも前後方向の外側に飛び出すように延設される。左右方向の両最外部の各第1の梁3及び中間位置の第2の梁4は、それぞれの長手方向の一端部が側壁115に当接するように側壁115まで延設される。同様に、各梁3、4の長手方向の他端部は、区画壁117を貫通して、側壁116に当接するように側壁116まで延設される。
閉塞壁118は、平板部材であり、各梁3,4において、単電池121が配置される領域よりも前後方向の外側にまで、すなわち区画壁117に近づく位置まで設けられる。閉塞壁118は、区画壁117と電池集合体120との間において、各梁3,4の上面において側壁113から側壁114に至るまで延設される。両端の第1の梁3と中間の第2の梁4よりも上方の空間は、閉塞壁118によって、区画壁117と電池集合体120との間における底壁112の部分から遮断されている。閉塞壁118は、アルミニウム板または鉄板から形成されている。
閉塞壁119は、閉塞壁118と同様に平板部材であり、各梁3,4において、単電池121が配置されている領域よりも前後方向の外側にまで、側壁115に達する位置まで設けられる。閉塞壁119は、側壁115と電池集合体120との間において、各梁3,4の上面において側壁113から側壁114に至るまで延設される。両端の第1の梁3と中間の第2の梁4よりも上方の空間は、閉塞壁119によって、側壁115と電池集合体120との間における底壁112の部分から遮断されている。閉塞壁119は、アルミニウム板または鉄板から形成されている。閉塞壁119には、第1送風機140A、第2送風機140Bの各吸込み口143aに対応する位置に開口孔が設けられる。この2つの開口孔は、底壁側通路135と2つの吸込み口143aとをそれぞれ連通させる2個の連通開口部を構成する。
単電池121は、外装ケースが前後方向に扁平である直方体を成しており、外装ケースの一端面から外部に突出する正極端子、負極端子といった電極端子121aを備える。電池集合体120は、複数の単電池121が積層されて、この積層された単電池121が拘束されて一体に形成されている。
電池集合体120において隣り合う単電池121における異極の電極端子間は、バスバ等の導電部材によって電気的に接続される。バスバと電極端子との接続は、例えばネジ締めや溶接等により行われる。したがって、バスバ等によって電気的に接続された複数の単電池121の両端に配された総端子部は、外部から電力が供給されたり、他の電気機器へ向けて放電したりするように構成されている。
複数の電池集合体120は、第1の梁3及び第2の梁4の上面に載る状態で設置されている。例えば、側壁113寄りに設置されている電池集合体120は、電池集合体の下端部における側壁113側の一端部が第1の梁3によって下方から支持され、当該下端部における他端部が第2の梁4によって下方から支持される。また、側壁114寄りに設置されている電池集合体120は、電池集合体の下端部における側壁114側の一端部が第1の梁3によって下方から支持され、当該下端部における他端部が第2の梁4によって下方から支持される。このように、側壁113側の電池集合体120及び側壁114側の電池集合体120のそれぞれは、左右方向の両端部で第1の梁3と第2の梁4によって支持されている。
各第1の梁3は、底壁112と側壁113側の電池集合体120または側壁114側の電池集合体120とに挟まれた状態で、底壁112及び各電池集合体120と一体になることで、筐体110の強度を高めている。第2の梁4は、底壁112と2個の電池集合体120とに挟まれた状態で、底壁112及び2個の電池集合体120と一体になることで、筐体110の強度を高めている。
循環通路130は、筐体110の内部に形成されて各単電池121の周りを熱交換する流体が流通する通路であり、側壁側通路131、側壁側通路132、天壁側通路133、電池間通路134、底壁側通路135、及び送風機140を結ぶ一連の流通経路をなす。側壁側通路131は、天壁111、及び底壁112の両方に直交し、側壁113に対して平行に延び、電池集合体120と側壁113との間に形成される通路である。側壁側通路132は、天壁111、及び底壁112の両方に直交し、側壁114に対して平行に延び、電池集合体120と側壁114との間に形成される通路である。天壁側通路133は、天壁111と電池集合体120との間に形成されて、天壁111に平行に延びる通路である。
側壁側通路131と天壁側通路133は、天壁111と側壁113との境界部の内側で繋がっている。側壁側通路132と天壁側通路133は、天壁111と側壁114との境界部の内側で繋がっている。したがって、天壁側通路133は、側壁側通路131と側壁側通路132との両方に繋がる通路であり、側壁側通路131を流通してきた流体と側壁側通路132を流通してきた流体とが混合可能な通路を構成する。電池間通路134は、電池集合体120において、隣り合う単電池121間に形成される通路であり、天壁側通路133と底壁側通路135とを連通させる複数の通路である。したがって、天壁側通路133を流れる流体は、複数の電池間通路134に分流し、各電池間通路134から流出した底壁側通路135において合流する。また、電池間通路134の流入部は、電池間通路134の流出部でもある底壁側通路135の流入部に対向する位置関係にある。したがって、天壁側通路133から電池間通路134に流入した流体は、下方に向かって流下して底壁側通路135に流入する。
底壁側通路135は、少なくとも底壁112、電池集合体120の下端部1211及び各梁3,4によって囲まれた空間として形成される通路である。底壁側通路135は、電池間通路134よりも下流に設けられて内部送風機140の流入部に向けて延びる通路である。さらに、底壁側通路135には、底壁112、閉塞壁118及び梁3,4によって囲まれた空間と、底壁112、閉塞壁119及び梁3,4によって囲まれた空間とが含まれる。底壁側通路135は、各電池集合体120の下側で、隣り合う第1の梁3と第2の梁4との間に形成される通路である。第1実施形態の電池パック1は、左右方向に並び前後方向または電池積層方向に通路が延びる2本の底壁側通路135を備えている。この2本の底壁側通路135は、この2つの通路間において流体の出入りがない互いに独立した通路を構成する。
内部送風機140は、筐体110の内部に収容されて、循環通路130に熱交換用の流体を強制的に循環させる内部流体駆動装置である。第1実施形態では、内部送風機140は、第1送風機140Aと第2送風機140Bとの2つが並ぶように、閉塞壁119の上に配置されて構成されている。以下、2つの送風機140Aと送風機140Bを総称して内部送風機140として記載することもある。循環通路130に循環させる流体としては、例えば、空気、各種のガス、水、冷媒等を用いることができる。
第1送風機140Aと第2送風機140Bは、図1及び図3に示すように、筐体110の前後方向を向く中心線に対して対称となるように、筐体110の内部において、側壁115と各電池集合体120との間に設置される。図2及び図3に示すように、第1送風機140A、第2送風機140Bは、それぞれモータ141、シロッコファン142及びファンケーシング143を有する。モータ141は、シロッコファン142を回転駆動させる電気機器であり、シロッコファン142の上側に設けられる。シロッコファン142は、回転軸方向に流体を吸入し、遠心方向に流体を吹出す遠心式のファンであり、回転軸が上下方向を向くように設置されている。
ファンケーシング143は、シロッコファン142を覆うように形成されて、シロッコファン142による流体の吸込み、及び吹出し方向を設定する導風部材である。ファンケーシング143は、シロッコファン142の下側で開口する吸込み口143a、吹出した流体の流れを導く吹出しダクト143b、及び吹出しダクト143bの先端部で開口する吹出し口143cを有する。各吹出しダクト143bは、図3に示すように、シロッコファン142の側面から筐体110内の中心側に一旦延びてからUターンするようにして、側壁側通路131側、側壁側通路132側にそれぞれ向かう通路を形成する。
第1送風機140Aの吸込み口143aは、閉塞壁119の連通開口部の位置に対応するように配置される。第2送風機140Bの吸込み口143aは、閉塞壁119の連通開口部の位置に対応するように配置される。第1送風機140Aの吸込み口143aは、閉塞壁119の連通開口部を介して、側壁114側に位置する底壁側通路135に繋がっている。また、第2送風機140Bの吸込み口143aは、閉塞壁119の連通開口部を介して、側壁113側に位置する底壁側通路135に繋がっている。
第1送風機140Aの吹出し口143cは、側壁側通路131に繋がるように配置される。吹出し口143cは、側壁側通路131における底壁112寄りの位置であって、積層される複数の単電池121のうち側壁115に最も接近する単電池121の近傍において側壁116側を向くように配置される。第2送風機140Bの吹出し口143cは、側壁側通路132に繋がるように配置される。吹出し口143cは、側壁側通路132における底壁112寄りの位置であって、積層される複数の単電池121のうち、側壁115の最も接近する単電池121の近傍において側壁116側を向くように配置される。
図4及び図6に示すように、第1内部フィン150は、側壁113側及び側壁114の内面においてそれぞれ突出する熱交換促進用のフィンであり、側壁113や側壁114を介した筐体放熱に寄与する。したがって、側壁113、側壁114は、第1送風機140A、第2送風機140Bから流出した流体が接触して筐体110の外部に対して熱を放出する放熱部となる。第2内部フィン151は、天壁111の内面における側壁113側及び側壁114側においてそれぞれ突出する熱交換促進用のフィンであり、天壁111を介した筐体放熱に寄与する。第1内部フィン150、第2内部フィン151は、熱伝導性に優れるアルミニウム材または鉄材等から形成されている。
第1内部フィン150は、筐体110の前後方向を向く中心線に対して対称となるように、側壁113と側壁114との2カ所に設けられている。第2内部フィン151は、筐体110の前後方向を向く中心線に対して対称となるように天壁111における側壁113側と側壁114側とにそれぞれ設けられている。各内部フィン150,151には、例えば、流体に対する流通抵抗を比較的小さく設定することのできるストレートフィンが採用されている。ストレートフィンは、薄肉板状の基板部から垂直に突出する薄肉板状のフィン部が平行となるように多数並び、各フィン部の間に流体用の通路が形成されるフィンである。また、各内部フィン150,151としては、ストレートフィンに限らず、他のコルゲートフィン、オフセットフィン等とを採用してもよい。
図4に示すように、第1内部フィン150の基板部は、角部A、角部B、角部Cを結んだ細長い直角三角形状をなしており、角部Bはほぼ直角をなしている。前後方向に延びる長辺ABの長さは、セル積層体120Aの積層方向長さと同等に設定されている。また、上下方向に延びる短辺BCの長さは、側壁113、114の上下方向の寸法に対して多少小さい寸法となるように設定されている。基板部は、前後方向の位置が、電池集合体120の位置に対応するように配置されている。短辺BCが側壁116側に位置し、また短辺BCに対向する角部Aが側壁115側に位置し、長辺ABが側壁113、114の上側の辺に沿うように配置されて、基板部は、側壁113、114の内側の面にそれぞれ接合されている。よって、基板部の斜辺CAは、側壁115側から側壁116側に向けて、下方向に傾斜する辺となっている。
第1内部フィン150のフィン部は、基板部から複数の単電池121側に向けて垂直に突出しており、フィン部の内部により多くの流体が流通するように、突出した先端部は複数の単電池121の側面に近接する位置まで延びている。フィン部の板面は、上下方向に対して、下側から上側に向けて、側壁116側に傾くように設定されている。フィン部による流体通路の長さは、側壁115側から側壁116側に向かうほど、長くなっている。
第2内部フィン151の基板部は、角部D、角部E、角部Fを結んだ細長い三角形状をなしている。前後方向に延びる長辺DEの長さは、第1内部フィン150の基板部の長辺ABと同等に設定されている。第2内部フィン151の基板部は、前後方向の位置が、第1内部フィン150の位置に対応するように配置されている。短辺EFが側壁115側に位置し、また短辺EFに対向する角部Dが側壁116側に位置し、長辺DEが天壁111における前後方向の辺に沿うように配置されている。第2内部フィン151の基板部は、第1内部フィン150のフィン部と隣り合うように、天壁111の内側の面に接合されている。
第2内部フィン151のフィン部は、基板部から複数の単電池121側に向けて垂直に突出しており、フィン部の内部により多くの流体が流通するように、突出した先端部は、複数の単電池121の上面に近接する位置まで延びている。フィン部の板面は、左右方向に対して、筐体110の中心側に向かうほど、側壁116側に傾くように設定されている。フィン部における流体通路の長さは、側壁115側から側壁116側に向かうほど、短くなっている。第2内部フィン151のフィン部における流体通路は、第1内部フィン150のフィン部による流体通路と連続するように接続されている。
第1外部フィン160、第2外部フィン161は、図5に示すように、筐体110の外側に設けられた熱交換促進用のフィンである。各外部フィン160,161は、熱伝導性に優れるアルミニウム材、あるいは鉄材等から形成されている。第1外部フィン160は、筐体110の前後方向を向く中心線に対して対称となるように側壁113側と側壁114側とにそれぞれ設けられている。第2外部フィン161は、筐体110の前後方向を向く中心線に対して対称となるように、天壁111における側壁113側及び側壁114側となる2カ所にそれぞれ設けられている。
ここでは、各外部フィン160,161は、例えば、流体に対する熱伝達性能を比較的大きく設定することのできるコルゲートフィンが採用されている。コルゲートフィンは、全体形状が波状を成して、波状の互いに対向する面には多数のルーバが形成されており、波状の互いに対向する面の間、及びルーバの間に流体用の通路が形成されるフィンとなっている。また、各外部フィン160,161としては、各内部フィン150,151のようなストレートフィン、ルーバ無しのコルゲートフィン、あるいはオフセットフィン等とすることもできる。
第1外部フィン160は、複数本、例えば2本が一組となって設けられており、側壁113、側壁114において、第1内部フィン150と対応する位置で、波の連続する方向が前後方向を向き、かつ多少、側壁116側にオフセットされるように配置されている。第2外部フィン161は、複数本、例えば2本が一組となって設けられている。第2外部フィン161は、天壁111における側壁113、側壁114側において、第2内部フィン151と対応する位置で波の連続する方向が前後方向を向き、かつ第1外部フィン160よりも多少、側壁115側となるように配置されている。
図7に示すように、外部ダクト170は、筐体110の外側表面に沿うように設けられた外部流体通路に外部流体を流通させるダクトである。外部流体は、外部ダクト170内の外部流体通路を流れる際に筐体110と熱交換する。外部流体は、例えば、車室内の空調された空気が使用される。外部ダクト170は、断面形状が扁平状に形成されて、筐体110の外側表面、例えば側壁113、側壁114、天壁111における側壁113側、側壁114側、及び側壁115に設けられている。外部ダクト170は、第1外部フィン160、第2外部フィン161を内包する。
外部ダクト170は、側壁116側の両端部が、空調空気を吸い込む吸込み部となっている。この吸込み部の直後となる下流側には、吸込んだ空調空気を第1外部フィン160の下側、及び第2外部フィン161よりも筐体110の中央側に分流させる風向装置171が設けられている。外部ダクト170の内部における側壁115側の中央には、外部流体を駆動する外部流体駆動装置としての外部送風機172が設けられており、外部送風機172の上部、及び下部が空調空気を吹出す吹出し部となっている。外部送風機172には、例えば、ターボファンが用いられる。
次に電池パック1の電池温調に係る作動について説明する。単電池121は、電流が取り出される出力時及び充電される入力時に自己発熱する。単電池121は、季節に応じて筐体110の外部の温度の影響を受ける。電池管理ユニットは、電池温度センサ60によって単電池121の温度を常時モニタし、単電池121の温度に基づいて第1送風機140A、第2送風機140B及び外部送風機172の作動を制御する。
電池管理ユニットは、単電池121の温度に応じて、第1送風機140A、第2送風機140Bに、最大電圧に対して0%〜100%に含まれる任意の値のデューティ比に制御した電圧を印加して、シロッコファン142の回転数を可変させる。単電池121の温度によっては、第1送風機140A及び第2送風機140Bを作動させる場合、外部送風機172を作動させる場合、あるいは第1送風機140A及び第2送風機140Bとともに外部送風機172を作動させる場合がある。
例えば、第1送風機140A及び第2送風機140Bのみが作動された場合、筐体110内における内部流体は、図1及び図2に示すように、循環通路130を循環する。このとき内部流体は、第1送風機140A、第2送風機140Bのそれぞれの吸込み口143aから吸い込まれ、吹出しダクト143bを介して、吹出し口143cから吹出される流体は、それぞれ側壁側通路131、側壁側通路132に流入する。
側壁側通路131、側壁側通路132のそれぞれに流入した内部流体は、第1内部フィン150の傾斜配置されたフィン部に沿って、底壁112側から天壁111側に向けてスムーズに流れる。側壁側通路131、側壁側通路132のそれぞれは、その長辺に沿って長く延びる断面扁平な通路となっており、流体が流通する際の入口断面積としては、他の天壁側通路133、電池間通路134及び底壁側通路135よりも小さくなっている。このため、流体の流速がある程度確保することができ、ここでは、動圧が主体的な場となる。ゆえに、側壁側通路131、側壁側通路132のそれぞれにおいて、流速を伴う流体の熱は、第1内部フィン150に効果的に伝達され、さらに側壁113、側壁114を介して外部に放出される。
次に、内部流体は、第1内部フィン150と連続的に接続される第2内部フィン151のフィン部にスムーズに流れ、このフィン部に沿って天壁側通路133に流入する。天壁111側に流入する際の入口断面積は、側壁側通路131、側壁側通路132のそれぞれに流入する際の入口断面積よりも格段に大きくなっており、流体の流速は小さい。ここでは、静圧が主体的な場となる。ゆえに、側壁側通路131、側壁側通路132のそれぞれから天壁側通路133に流入した流体は、天壁側通路133に均等に行き渡りやすい。
図1に示すように、側壁側通路131から天壁側通路133に流入した流体は、主に側壁113側の電池集合体120の上方に拡がる。側壁側通路132から天壁側通路133に流入した内部流体は、主に側壁114側の電池集合体120の上方に拡がる。天壁側通路133に流入した内部流体の熱は、第2内部フィン151から天壁111へ伝達されて、あるいは天壁111に直接的に伝達されて、筐体110の外部に放出される。
次に天壁側通路133に流入した内部流体は、各電池間通路134を通り、底壁側通路135に至る。ここで、側壁側通路131、側壁側通路132及び天壁側通路133は、第1送風機140A及び第2送風機140Bそれぞれからの吹出しによって、陽圧空間となる。底壁側通路135は、第1送風機140A及び第2送風機140Bそれぞれの吸込みによって陰圧空間となり、両者の圧力差によって、天壁側通路133側から底壁側通路135側への流体の移動が継続的に行われることになる。内部流体が電池間通路134を通る際には、各単電池121の熱が内部流体に伝達される。
各底壁側通路135に流入した内部流体は、梁と梁との間を底壁112に沿って流下して、第1送風機140Aの吸込み口143a、第2送風機140Bの吸込み口143aに至る。底壁側通路135を流下する流体の熱は、底壁112に伝達されて外部に放出される。このように、筐体110内の循環通路130を内部流体が循環することで、側壁113、側壁114、天壁111及び底壁112から流体の熱、すなわち単電池121の熱が外部に放出される。このとき、側壁113、側壁114、天壁111では、第1内部フィン150、第2内部フィン151によって熱交換が促進される。
例えば単電池121が低温であり、かつ車室内空気の温度が電池関連温度よりも高い場合には、内部送風機140を停止して外部送風機172を運転する。このとき、筐体110は、外部ダクト170内を流通する車室内空気によって温められる。外部ダクト170内に取り込まれた車室内空気の熱は、第1外部フィン160、第2外部フィン161、筐体110、第1内部フィン150、第2内部フィン151を介して、筐体110の内部の内部流体に熱移動する。このようにして内部流体の温度が上昇するため、各単電池121は、昇温された内部流体によって温められ、低温時における電池性能低下を是正することができる。
さらに、例えば単電池121が高温となる場合は、第1送風機140A及び第2送風機140Bの作動に加えて、外部送風機172を作動する。この場合は、外部流体、例えば車室内の空調空気が外部ダクト170の吸込み部から外部ダクト170内に吸い込まれる。外部ダクト170内に吸い込まれた空調空気は、図7に示すように、風向装置171によって、分流され、第1外部フィン160の下側と第2外部フィン161の筐体110の中央側とに向けて分流されて、外部流体通路を流れる。それぞれの流れは、外部フィン160,161のそれぞれを横切るように通過、合流して、外部送風機172の上下部に設けられた吹出し部から吹き出される。
このとき筐体110内の内部流体の熱は、第1内部フィン150、第2内部フィン151、側壁113、側壁114、天壁111、第1外部フィン160、第2外部フィン161を介して空調空気に伝達されて、外部に放出される。よって、筐体110内の内部流体の熱は、各内部フィン150,151に加えて、各外部フィン160,161によって、熱交換がさらに促進される。これにより、各単電池121を短時間で適切な温度に強制冷却することができる。
電池パック1では、筐体110内に、電池集合体120、循環通路130、第1送風機140A及び第2送風機140Bを設けている。さらに第1内部フィン150及び第2内部フィン151を設けることで、第1送風機140A及び第2送風機140Bの作動音を車室内に漏らすことなく、各単電池121の冷却、加熱を効率的に行うことが可能となる。さらには、第1外部フィン160、第2外部フィン161、外部ダクト170及び外部送風機172を設けることにより、高温時における強制冷却も効率的に実施可能となる。
次に、電池パック1が実施する、電池関連温度と筐体周辺温度とを用いた電池昇温制御について図9のフローチャートを参照して説明する。図9のフローチャートは、制御装置として機能する管理ユニット100によって随時実行される。以降のフローチャートの説明では、管理ユニット100を制御装置と表現する。図9に示すフローチャートでは、電池関連温度、筐体周辺温度の一例として、それぞれ、電池温度センサ60によって検出される電池温度、周辺温度センサによって検出される車両の室内温度を採用して説明する。
図9に示すように、ステップ10で制御装置は、単電池121の昇温を実施する所定の条件が成立したか否かを判定する。ステップ10は、電池昇温条件が成立するまで繰り返し行われる。この電池昇温条件は、電池パック1に含まれる複数の単電池121が車両における所望の機能を発揮できる状態にないほど電池温度が低下している場合に成立する。所望の機能を発揮できる状態とは、ハイブリッド自動車の場合には車両が要求する電池出力、例えばエンジンを再始動可能な電池出力を確保できる状態であり、電気自動車の場合には所定の加速性能が得られる電池出力を確保できる状態である。電池温度が低温であり、このような状態にない場合には、電池昇温条件が成立することになる。電池昇温条件が成立するときの電池温度は、使用する電池の性能や仕様によっても異なるが、例えば、少なくとも−10℃以下である。つまり、電池温度が−10℃以下のときには電池昇温条件が成立し、電池温度が−10℃よりも高い場合でも、使用する電池によっては所望の機能が発揮できない場合には電池昇温条件が成立する。
ステップ10で電池昇温条件が成立すると判定すると、ステップ20で、検出した車室内温度と電池温度とを比較し、車室内温度が電池温度よりも高いか否かを判定する。ステップ20で車室内温度が電池温度よりも高くないと判定すると、電池の昇温、つまり電池の暖機を実施せず、ステップ10に進む。ステップ20で車室内温度が電池温度よりも高いと判定すると、車室内空気を使用して電池を暖機することが可能である。
したがって、次のステップ30で制御装置は、外部送風機172を運転するように制御し、ステップ10に進む。ステップ30の処理によれば、外部送風機172を運転することにより、車室内空気が外部ダクト170内に吸い込まれ、筐体110を沿うように車室内空気が流れる。筐体110は車室内空気によって温められ、外部ダクト170内に取り込まれた車室内空気の熱は、第1外部フィン160、第2外部フィン161、筐体110、第1内部フィン150、第2内部フィン151を介して筐体110の内部に熱移動する。このように内部流体の温度が上昇するため、各単電池121を、昇温された内部流体を介して温めて昇温することができる。
また、制御装置は、車両用空調装置5の作動を制御して車室内空気の温度を制御することができる。例えば、制御装置は、ステップ20で車室内温度が電池温度よりも低いと判定すると、車室内温度を上昇させるように車両用空調装置5を制御する処理を実施してもよい。この処理によれば、早期に車室内温度を電池温度よりも高くすることができるので、ステップ30をより早く実施でき、電池暖機を早めることができる。また、制御装置は、ステップ10で電池昇温条件が成立したと判定すると、車室内温度を上昇させるように車両用空調装置5を制御する処理を実施してもよい。
以上のように図9を参照して説明する電池昇温制御は、電池温度よりも高い車室内空気の温度を用いて、筐体110の内部の単電池121に結露を付着させることなく単電池121の温度を上昇させることを可能にする。例えば、季節にかかわらず、車室内が日射等によって温まっている場合に、日射という自然エネルギを有効活用する電池暖機を実施できる。これにより、暖機のための加熱機器を用いることなく、電池暖機を実施でき、製品コストやエネルギコストを抑制する電池パック1を提供できる。
例えば、乾球温度25℃、相対湿度50%である車室内空気を筐体110の内部に導入する場合に発生しうる結露について、図10を参照して説明する。この状態の車室内空気が、前述する従来技術のように筐体110の内部に導入されると、低温の電池に接触することで露点温度以下に冷やされる場合がある。この場合、車室内空気は、水分量、つまり絶対湿度の変化を伴わない温度変化、いわゆる顕熱変化となる。これは、車室内空気が、図10の相対湿度50%である曲線上において乾球温度25℃に相当する点の状態から、水平方向に矢印のように延びる線が飽和曲線と交わる交点の乾球温度よりも低温に冷やされる状況と同じである。この状況は、湿り空気である車室内空気がその露点温度よりも低い電池に接すると露点温度以下になり、空気に含まれる水蒸気が凝縮して水になることで電池に結露が付着するために起こる。
車室内空気は、乗員が存在する車室内の空気であるため、人の呼気、発汗等から放出される水分等によって、空気中の水分含有量が高くなりやすい。このように湿度、温度の高い車室内空気は、電池を昇温させる効果があるが、露点温度よりも低い状態の電池に接触することで電池に結露が付着させる。そこで前述した電池昇温制御によれば、車室内空気は筐体110に接触するので、露点温度以下に冷やされず、自身の熱を筐体110を介して筐体内部に移動させる効果を奏することができる。これにより、結露発生を抑制するとともに、単電池121が所望の機能を発揮しうる状態に近づけることができる。
図11は、単電池121の特性の一つである電池温度と電池出力との関係を示したグラフである。図9を参照して説明した電池昇温制御において、電池昇温条件は、電池が例えば図11のプロットP1の状態にある場合に成立する。プロットP1の状態から、車室内空気を活用して温められた単電池121は、電池温度が上昇するにつれて電池出力が上昇し、所望の機能を発揮可能なプロットP2の状態に近づけられる。
例えば、冬期、冬期にかかわらず寒冷地の朝等には、外気が低下し、電池がプロットP1の状態まで温度低下する。このときでも、日射量によっては車室内温度が上昇して車室内空気を外部流体通路に流通させることで、電池を車室内温度に近づけるように昇温させることができる。したがって、電池パック1は、日射等の自然エネルギを活用した、省エネルギ化を図る電池暖機を実施できる。
次に、第1実施形態の電池パック1がもたらす効果について説明する。電池パック1は、電池集合体120と、電池集合体120を収容する筐体110と、筐体110の外部で筐体110に沿って外部流体が流れる外部流体通路と、筐体110と熱交換する外部流体を外部流体通路に流通させる外部送風機172と、を備える。電池パック1は、電池関連温度を検出する電池温度センサ60と、外部流体通路に導入される車室内空気の温度を検出する周辺温度センサ61と、内部送風機140及び外部送風機172の運転状態を制御する管理ユニット100と、を備える。管理ユニット100は、電池昇温条件が成立し(ステップ10)、車室内温度が電池関連温度よりも高い場合(ステップ20)に外部送風機172を運転する(ステップ30)。
この制御によれば、電池関連温度よりも高い車室内空気を外部送風機172によって外部ダクト170内の通路に導入することにより、筐体110を介して車室内空気の熱を内部流体に熱移動させることができる。車室内空気から内部流体に移動した熱は、単電池121を温めることに貢献する。車室内空気は、日射等によって温められることで電池関連温度より高温になることがあり、この車室内空気がもつ熱は、自然エネルギから得られえたコストのかからない、環境にも優しい熱源である。電池パック1は、このように車室内空気の熱量を用いて電池を温めることにより、自然エネルギによって得られた熱を有効利用した電池暖機を実施できる。さらに電池関連温度よりも高温である車室内空気は、低温の単電池121に触れて十分に冷やされると露点温度を下回って結露するが、車室内空気は筐体110の内部に導入されない。このため、筐体110の内部で結露して、電池の機能発揮に悪影響を与えたり、電池の故障につながったりする事態を防止できる。したがって、この制御によれば、自然エネルギの利用と結露発生の抑制を図り、電池の昇温を実施できる電池パック1を提供できる。
また、筐体110と積極的に熱交換させる外部流体は車室内空気であるので、電池暖機用のヒータ装置を用いないで日射等の自然エネルギを活用でき、部品点数、暖機コストを抑制できる電池パック1を提供できる。
また、ステップ20で電池関連温度と比較される車室内温度は、車両用空調装置5によって空調された車室内空気の温度であることが好ましい。これによれば、例えば冬期や肌寒い状況では、外気が低温であることにより電池温度が低下するときに、暖房による熱量を電池の暖機に使用でき、車両内におけるエネルギの有効活用が図れる電池パック1を提供できる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る電池パック1の電池昇温制御について図12及び図13を参照して説明する。図12及び図13で第1実施形態の図面と同符号や同ステップ符号を付した構成や処理は、第1実施形態と同様である。第2実施形態で特に説明しない構成、処理、作用、効果については、第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
第2実施形態の電池パック1は、内部流体を加熱する加熱装置の一例であるPTCヒータ2を備える。第2実施形態の電池昇温制御は、第1実施形態の制御に対して、PTCヒータ2による加熱量を用いて内部流体を加熱して電池の昇温を支援する点と、外部送風機172と内部送風機140の両方を運転する点と、が相違する。
ファンケーシング143内の上下方向の中間位置には、流体を所定温度となるように加熱するPTCヒータ2が設けられる。PTCヒータ2は、自己温度制御機能を有するヒータである。
制御装置は、図13のステップ20で車室内温度が電池温度よりも高くないと判定すると、ステップ40でPTCヒータ2を運転して内部流体を加熱する。さらにステップ41で制御装置は、内部送風機140を運転して、加熱された内部流体を循環通路130で循環させ、ステップ10に進む。これによれば、電池昇温条件が成立する場合は車室内温度が電池温度よりも低い状況でも、PTCヒータ2による加熱能力を用いた早期の電池暖機を実現できる。したがって、日射等の自然エネルギを活用しても電池を暖機できない状況である場合は、電池パック1に装備されるPTCヒータ2等の加熱装置を用いるので、電池昇温要求に対応することができる。
また、ステップ20で車室内温度が電池温度よりも高いと判定すると、ステップ30で実施する外部送風機172の運転に加えて、ステップ31で内部送風機140を運転して内部流体を循環通路130で循環させ、ステップ10に進む。ステップ31の処理によれば、内部送風機140を運転することにより、筐体110の内部を内部流体が循環するため、車室内空気によって温められた筐体110の熱を効率的に内部流体に移動させることができる。このようにして内部流体の温度上昇を促進するため、昇温された内部流体を介して各単電池121を効率的に昇温させることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態に係る電池パック1の電池昇温制御について図12及び図14を参照して説明する。図14で第1実施形態の図面と同ステップ符号を付した処理は、前述の実施形態と同様である。第3実施形態で特に説明しない構成、処理、作用、効果については、前述の実施形態と同様である。以下、前述の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
第3実施形態の電池昇温制御は、第2実施形態の制御に対して、車室内空気の熱を活用した電池暖機を実施した後でも、電池昇温条件が成立するほど単電池121が低温である場合にはPTCヒータ2による加熱量を用いて電池の昇温を実施する点が相違する。
制御装置は、図14のステップ30とステップ31で外部送風機172と内部送風機140の両方を運転する処理を実施し、車室内空気の熱を単電池121に効率的に移動して単電池121を昇温させる。これらの処理により、電池パック1内の単電池121は昇温するが、それでもステップ32で電池昇温条件が成立すると判定する場合は、車室内空気の熱量だけでは、単電池121を十分に暖機するのが難しい状況である。
この場合、ステップ33でPTCヒータ2を運転して内部流体を加熱する。これにより、加熱された内部流体が内部送風機140の流体駆動により循環通路130を循環するので、さらに単電池121への熱移動量を強化することができる。これによれば、車室内空気から得られる熱量が不足する場合に、PTCヒータ2による加熱能力を用いた早期の電池暖機を実現できる。したがって、日射等の自然エネルギを活用しても電池を十分に暖機できない状況である場合に、電池昇温要求に対応することができる。
また、ステップ32で電池昇温条件が成立しないと判定すると、PTCヒータ2を運転することなく、ステップ10に進む。
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
前述の実施形態では、電池パックに含まれる電池集合体は、2個であるが、この個数に限定されない。すなわち、電池パックに含まれる電池集合体は、筐体の内部において、1個だけ収容される場合、一方向に複数個並んで設置される場合、当該一方向と交差する他の方向にも複数個並んで設置される場合も含むものである。
前述の実施形態では、筐体110は6面体、直方体を形成するが、筐体110はこの形状に限定されない。例えば、筐体110は、6面を超える多面体であってもよいし、少なくとも一つの面が曲面を含む面であってもよい。また、筐体110は、天壁が湾曲面を含むドーム状に形成されてもよいし、筐体の縦断面形状が台形状を呈するものでもよい。また、筐体110において天壁は、底壁に対して対向する位置関係にある壁であり、その形状は平面、曲面のいずれの形状を含むものでもよい。また、筐体110において側壁は、底壁に対して交差する方向に底壁から延びる壁であってもよいし、天壁に対して交差する方向に天壁から延びる壁であってもよい。筐体110における天壁と側壁との境界部は角部を形成してもよいし、曲面を形成してもよい。筐体110における底壁と側壁との境界部は角部を形成してもよいし、曲面を形成してもよい。
また、前述の実施形態において、複数個の流体駆動装置を用いて、循環通路130に流体を循環せるようにしているが、1個の流体駆動装置によって循環通路130に流体を循環させるようにしてもよい。また、電池パックが備える送風機のファンには、シロッコファンの他、軸流式ファン、ターボファン等を用いることができる。
前述の実施形態における内部フィン及び外部フィンは、筐体110の壁に対して別体の部品であるフィンを固定したものでもよいし、筐体110の壁の一部をフィン形状に形成してフィンとするものでもよい。
前述の実施形態において、PTCヒータ2は、ファンケーシング143の内部に限らず、筐体110の内部で、ファンケーシング143の外部に設けるようにしてもよい。
60…電池温度センサ(電池温度検出装置)
61…周辺温度センサ(室内温度検出装置)
100…管理ユニット(制御装置)
110…筐体、 120…電池集合体、 121…単電池(電池)
140…内部送風機(内部流体駆動装置)
170…外部ダクト(外部流体通路)
172…外部送風機(外部流体駆動装置)

Claims (3)

  1. 複数の電池(121)を備えて構成される電池集合体(120)と、
    前記電池集合体を収容する筐体(110)と、
    前記電池集合体を冷却する内部流体を駆動して前記筐体の内部に循環流を形成する内部流体駆動装置(140)と、
    前記筐体の外部に設けられて前記筐体に沿って外部流体が流れる外部流体通路(170)と、
    前記筐体と熱交換する外部流体を前記外部流体通路に流通させる外部流体駆動装置(172)と、
    前記電池の温度または前記電池の温度に近似する温度である、電池関連温度を検出する電池温度検出装置(60)と、
    前記外部流体駆動装置によって前記外部流体通路に導入される車室内空気の温度を検出する室内温度検出装置(61)と、
    前記内部流体駆動装置及び前記外部流体駆動装置のそれぞれの運転状態を制御する制御装置(100)と、
    前記筐体の内部に設けられて、内部流体を加熱する加熱装置(2)と、
    を備え、
    前記制御装置は、前記車室内空気の温度が前記電池関連温度よりも高い場合に前記外部流体駆動装置を運転し、
    前記制御装置は、前記電池の昇温を実施する所定の条件が成立する場合に前記車室内空気の温度が前記電池関連温度よりも低いときは、前記加熱装置を運転する電池パック。
  2. 前記制御装置は、前記車室内空気の温度が前記電池関連温度よりも高い場合に、さらに前記内部流体駆動装置を運転する請求項1に記載の電池パック。
  3. 前記車室内空気の温度は、車両用空調装置(5)によって空調された車室内空気の温度である請求項1または請求項2に記載の電池パック。
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