以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
第1実施形態の電池パック1について、図1〜図11を参照しながら説明する。電池パック1は、例えば、電池に充電された電力によって駆動されるモータと、内燃機関とを走行駆動源とするハイブリッド自動車、モータを走行駆動源とする電気自動車等に用いられる。電池パック1に含まれる複数の単電池121は、例えば、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池、有機ラジカル電池等である。
電池パック1は、車両のトランクルーム、あるいはトランクルームより下方に設けられたトランクルーム裏エリア等のパック収容スペースに設置される。この電池パック収容スペースは、例えば、スペアタイヤ、工具等も収納可能な場所でもよい。電池パック1は、底壁112や両方の底壁側通路135を下側にした姿勢で、電池パック収容スペースに設置される。
また、電池パック1は、車両の車室内に設けられる前部座席の下方や後部座席等の下方に設置されるようにしてもよい。この場合、電池パック1は、底壁112や両方の底壁側通路135を下側にした姿勢で、前部座席や後部座席等の下方に設置される。また、後部座席の下方において電池パック1を設置する空間は、トランクルームよりも下方のトランクルーム裏エリアに連通させるようにしてもよい。また当該設置空間は、車外に連通するようにも構成できる。
この実施形態では、例えば図1において、Frは車両前方側を示し、Rrは車両後方側を示し、RHは車両右側を示し、LHは車両左側を示している。方向Rr、方向Frは、電池積層方向である。電池パック1における方向を示す際に、Fr−Rrの方向は前後方向や電池積層方向と称することもある。RH−LHの方向は左右方向と称することもある。重力の作用する方向は上下方向と称することもある。
電池パック1は、外部と隔離した密閉された内部空間を形成する筐体110と、筐体110の内部に収容されて、通電可能に接続される複数の単電池121を集合体として電気的に接続してそれぞれ構成される二つの電池スタック120と、を少なくとも備える。二つの電池スタック120は、車両の左右方向に並び、側壁114側に位置する第1電池スタック120Aと、側壁113側に位置する第2電池スタック120Bとである。以降、第1電池スタック120A及び第2電池スタック120Bのそれぞれをまたは両方を電池スタック120と記載することもある。
図1及び図4に図示するように、筐体110は、各電池スタック120A,120Bよりも車両後方側で左右方向に並ぶ2個の第1送風装置140A及び第2送風装置140Bを収容する。第1送風装置140Aは、筐体110の内部において、第1電池スタック120Aを冷却する空気を送風する。第2送風装置140Bは、筐体110の内部において、第2電池スタック120Bを冷却する空気を送風する。
筐体110の内部には、第1送風装置140Aによって送風される空気の循環通路として構成される第1循環通路130Aが設けられる。第1循環通路130Aは、第1送風装置140Aから流出した空気が筐体110の側壁114に接触してから第1電池スタック120Aと熱交換した後、第1送風装置140Aに流入する一連の空気の流通経路である。筐体110の内部には、第2送風装置140Bによって送風される空気の循環通路として構成される第2循環通路130Bが設けられる。第2循環通路130Bは、第2送風装置140Bから流出した空気が筐体110の側壁113に接触してから第2電池スタック120Bと熱交換した後、第2送風装置140Bに流入する一連の空気の流通経路である。
電池パック1は、第1電池スタック120Aに近い側において、筐体110の側壁114の内側に第1内部フィン150A、天壁111の内側に第1内部フィン151Aが設けられている。電池パック1は、第1電池スタック120Aに近い側において、側壁114の外側に外部フィン160、天壁111の外側に外部フィン161が設けられている。電池パック1は、第2電池スタック120Bに近い側において、筐体110の側壁113の内側に第2内部フィン150B、天壁111の内側に第2内部フィン151Bが設けられている。電池パック1は、第2電池スタック120Bに近い側において、側壁114の外側に外部フィン160、天壁111の外側に外部フィン161が設けられている。さらに、図8に示すように、外部フィン160、161の外側には、送風装置172を有する外部ダクト170が外部フィン160、外部フィン161を覆うように設けられている。
筐体110は、内部の空間を包囲する複数の壁からなる箱形を呈し、アルミニウム板または鉄板の成型品で形成されている。筐体110は、例えば、上下方向に扁平な直方体となっており、例えば6面である、天壁111、底壁112、側壁113、側壁114、側壁115、及び側壁116を有する。筐体110は、内部を区画する区画壁117と、底壁112における補強用の第1の梁3及び第2の梁4と、を有する。さらに第1の梁3、第2の梁4には、これらの上面に閉塞壁118及び閉塞壁119が設けられている。
天壁111は、筐体110の上面を形成する壁であり、前後方向に長辺を有する長方形の壁である。底壁112は、筐体110の下面を形成する壁であり、天壁111と同様の形状を有する。側壁113、側壁114は、筐体110の左右側の面を形成する壁であり、前後方向に長辺を有する細長い長方形の壁である。側壁113、側壁114は、互いに向かい合う位置関係にある。側壁115、側壁116は、筐体110の前後側の面を形成する壁であり、左右方向に長辺を有する細長い長方形の壁である。側壁115、側壁116は、互いに向かい合う位置関係にある。側壁115、側壁116は、側壁113、側壁114に対して直交するように設けられている。
筐体110は、各壁111〜116を用いたものに代えて、複数のケース体を接合して組み立てることにより、内部に空間を形成して製作するようにしてもよい。また、筐体110を形成する複数の壁のうち、所定の壁の表面には、放熱面積を大きくするために複数の凸部または凹部を形成するようにしてもよい。また、電池パック1において、側壁113、側壁114の長辺に沿う方向が前後方向に対応しており、また、側壁115、側壁116の長辺に沿う方向が左右方向に対応している。
区画壁117は、筐体110の内部において、側壁116寄りに配置されて、側壁116と平行となって、側壁113と側壁114とを繋ぐ壁である。区画壁117は、底壁112の内面から筐体110の上下方向の中間位置まで延びている。区画壁117と側壁116との間には空間117aが形成されている。
空間117aには、例えば、電池管理ユニット100が収容される。電池管理ユニット(Battery Management Unit)100は、車両に搭載された各種の電子制御装置と通信可能に構成されている。電池管理ユニット100は、少なくとも単電池121の蓄電量を管理する機器であり、単電池121に係る制御を行う電池制御ユニットの一例である。また、電池管理ユニット100は、単電池121に関する電流、電圧、温度等を監視するとともに、単電池121の異常状態、漏電等を管理する機器であってもよい。
電池管理ユニット100には、電流センサによって検出された電流値に係る信号が入力される。電池管理ユニット100は、車両ECUと同様に入力回路、マイクロコンピュータ、及び出力回路等を備えている。マイクロコンピュータが有する記憶手段には、電池情報がデータとして随時蓄積されている。蓄積される電池情報のデータは、例えば、電池パック1における電池電圧、充電電流、放電電流及び電池温度等である。
電池管理ユニット100は、第1送風装置140A、第2送風装置140B、送風装置172及びPTCヒータ2の作動を制御する制御装置としても機能する。電池管理ユニット100には、単電池121の温度を検出する温度検出器によって検出された温度情報が入力される。第1温度検出器60は、第1電池スタック120Aにおいて、各単電池121または所定の単電池121に設けられている。第2温度検出器61は、第2電池スタック120Bにおいて、各単電池121または所定の単電池121に設けられている。各温度検出器60,61は、電池管理ユニット100に対して信号を出力する温度検出線、温度センサ等によって構成することができる。電池管理ユニット100は、各温度検出器60,61によって検出される電池温度に応じて電池冷却、あるいは電池加熱を実施する条件が成立した場合には、第1送風装置140A、第2送風装置140B、送風装置172及びPTCヒータ2の各作動を制御する。
第1の梁3及び第2の梁4は、図1〜図4に示すように、筐体110の強度を向上させるための補強部材であり、底壁112の内側に、左右方向に並んで複数本、設けられている。この実施形態では、梁は、3本の設置されている。図3に示すように、3本の梁は、側壁113寄りに位置する第1の梁3、側壁113と側壁114との中間部に位置する第2の梁4、側壁114寄りに位置する第1の梁3である。各梁3,4は、細長い棒状であり、その長手方向が筐体110において前後方向を向き、かつ左右方向に等間隔で並ぶようにして、底壁112に設置されている。
各梁3,4は、筐体110に対して別体に形成されたものであり、例えば、断面形状が矩形状や台形状をなす部材である。例えば、各梁3,4は、断面形状がU字状やコの字状であり、開口する部分が下方を向くように底壁112に固定されている。各梁3,4の上面には、第1電池スタック120Aや第2電池スタック120Bが載っている。したがって、各梁3,4は、筐体110の底壁112側で各電池スタック120を下方から支えている。また、各梁3,4は、例えば、アルミニウム材、または鉄材等から形成されている。
2本の第1の梁3は、左右方向の両最外部に位置する梁であり、側壁113、側壁114に沿うように設置されている。第1の梁3は、側壁113または側壁114と底壁112に接触して一体に設置され、側壁113、側壁114、底壁112を補強する機能を果たしている。
2本の第1の梁3と1本の第2の梁4は、等間隔に設置されている。隣り合う梁同士の中心線間距離は、単電池121の左右方向の寸法と同等となるように設定されている。隣り合う梁間の寸法は、1つの梁の幅寸法よりも大きくなるように設定されている。各梁3,4の幅寸法とは、2本の第1の梁3と1本の第2の梁4が並べられる方向の各梁の長さである。各梁3,4の板厚は、底壁112の板厚よりも厚くなるように設定されている。
各梁3,4の長手方向の長さは、図1に示すように、電池スタック120全体における単電池121の積層方向長さよりも長くなるように設定されている。換言すると、各梁3,4の長手方向における一端部及び他端部は、それぞれ、各電池スタック120よりも前後方向の外側に飛び出すように延設されている。左右方向の両最外部の各第1の梁3及び中間位置の第2の梁4は、それぞれの長手方向の一端部が側壁115に当接するように側壁115まで延設されている。同様に、各梁3、4の長手方向の他端部は、区画壁117を貫通して、側壁116に当接するように側壁116まで延設されている。
閉塞壁118は、平板部材であり、各梁3,4において、単電池121が配置されている領域よりも前後方向の外側にまで、すなわち区画壁117に近づく位置まで設けられている。閉塞壁118は、区画壁117と電池スタック120との間において、各梁3,4の上面において側壁113から側壁114に至るまで延設されている。両端の第1の梁3と中間の第2の梁4よりも上方の空間は、閉塞壁118によって、区画壁117と各電池スタック120との間における底壁112の部分から遮断されている。閉塞壁118は、アルミニウム板または鉄板から形成されている。
閉塞壁119は、閉塞壁118と同様に平板部材であり、各梁3,4において、単電池121が配置されている領域よりも前後方向の外側にまで、側壁115に達する位置まで設けられている。閉塞壁119は、側壁115と各電池スタック120との間において、各梁3,4の上面において側壁113から側壁114に至るまで延設されている。両端の第1の梁3と中間の第2の梁4よりも上方の空間は、閉塞壁119によって、側壁115と各電池スタック120との間における底壁112の部分から遮断されている。閉塞壁119は、アルミニウム板または鉄板から形成されている。閉塞壁119には、第1送風装置140A、第2送風装置140Bの各吸込み口143aに対応する位置に開口孔が設けられている。この2つの開口孔は、各底壁側通路135と2つの吸込み口143aとをそれぞれ連通させる2個の連通開口部を構成する。
単電池121は、外装ケースが前後方向に扁平な直方体を成しており、外装ケースの一端面から外部に突出する正極端子、負極端子といった電極端子121aを備える。各電池スタック120は、複数の単電池121が積層されて、この積層された単電池121が拘束されて一体に形成されている。
各電池スタック120において、隣り合う単電池121における異極の電極端子間は、バスバ等の導電部材によって電気的に接続される。バスバと電極端子との接続は、例えばネジ締めや、溶接等により行われる。したがって、バスバ等によって電気的に接続された複数の単電池121の両端に配された総端子部は、外部から電力が供給されたり、他の電気機器へ向けて放電したりするようになっている。
第1電池スタック120A、第2電池スタック120Bは、第1の梁3及び第2の梁4の上面に載る状態で設置されている。例えば、側壁114寄りに設置されている第1電池スタック120Aは、下端部1211における側壁114側の一端部が第1の梁3によって下方から支持され、下端部1211における他端部が第2の梁4によって下方から支持される。また、側壁113寄りに設置されている第2電池スタック120Bは、下端部1211における側壁113側の一端部が第1の梁3によって下方から支持され、下端部1211における他端部が第2の梁4によって下方から支持される。このように、側壁114側の第1電池スタック120A及び側壁113側の第2電池スタック120Bのそれぞれは、左右方向の両端部で第1の梁3と第2の梁4によって支持されている。
したがって、各第1の梁3は、底壁112と側壁114側の第1電池スタック120Aまたは側壁113側の第2電池スタック120Bとに挟まれた状態で、底壁112及び各電池スタック120と一体になることで、筐体110の強度を高めている。第2の梁4は、底壁112と2個の電池スタック120とに挟まれた状態で、底壁112及び2個の電池スタック120と一体になることで、筐体110の強度を高めている。
第1循環通路130Aは、側壁側通路132、天壁側通路133、第1電池スタック120Aにおける電池間通路134、第1底壁側通路135A、及び第1送風装置140Aを結ぶ一連の経路をなす。第2循環通路130Bは、側壁側通路131、天壁側通路133、第2電池スタック120Bにおける電池間通路134、第2底壁側通路135B、及び第2送風装置140Bを結ぶ一連の経路をなす。側壁側通路132は、天壁111、及び底壁112の両方に直交し、側壁114に対して平行に延び、第1電池スタック120Aと側壁114との間に形成される通路である。側壁側通路131は、天壁111、及び底壁112の両方に直交し、側壁113に対して平行に延び、第2電池スタック120Bと側壁113との間に形成される通路である。
側壁側通路132と天壁側通路133は、天壁111と側壁114との境界部の内側で繋がっている。側壁側通路131と天壁側通路133は、天壁111と側壁113との境界部の内側で繋がっている。天壁側通路133は、天壁111と電池スタック120との間に形成されて、天壁111に平行に延びる、第1循環通路130Aと第2循環通路130Bとに含まれる共通の通路である。したがって、天壁側通路133は、側壁側通路131と側壁側通路132との両方に繋がる通路であり、側壁側通路132を流通してきた空気と側壁側通路131を流通してきた空気とが混合可能な混合空間を構成する。換言すれば、天壁側通路133は、第1循環通路130Aと第2循環通路130Bとの両方に含まれる混合通路である。この構成により、第1送風装置140Aから流出した空気と第2送風装置140Bから流出した空気は、側壁114と側壁113に接触してから、天壁側通路133で混ざり合うことになる。
電池間通路134は、第1電池スタック120A、第2電池スタック120Bのそれぞれにおいて、隣り合う単電池121間の通路であり、天壁側通路133と第1底壁側通路135A及び第2底壁側通路135Bのそれぞれとを連通させる複数の通路である。したがって、天壁側通路133を流れる空気は、各電池スタック120において複数の電池間通路134に分流し、各電池間通路134から流出した後、第1底壁側通路135A及び第2底壁側通路135Bのそれぞれで合流する。
また、電池間通路134の流入部は、電池間通路134の流出部でもある各底壁側通路135の流入部に対向する位置関係にある。したがって、天壁側通路133から電池間通路134に流入した空気は、下方に向かって流下して、対応する第1底壁側通路135Aや第2底壁側通路135Bに流入する。
第1底壁側通路135Aは、少なくとも底壁112、第1電池スタック120Aの下端部1211及び各梁3,4によって囲まれた空間として形成される通路である。第1底壁側通路135Aは、電池間通路134よりも下流に設けられて第1送風装置140Aの流入部に向けて延びる流体通路である。第2底壁側通路135Bは、少なくとも底壁112、第2電池スタック120Bの下端部1211及び各梁3,4によって囲まれた空間として形成される通路である。第2底壁側通路135Bは、電池間通路134よりも下流に設けられて第2送風装置140Bの流入部に向けて延びる流体通路である。さらに、各底壁側通路135には、底壁112、閉塞壁118及び梁3,4によって囲まれた空間と、底壁112、閉塞壁119及び梁3,4によって囲まれた空間も含まれる。各底壁側通路135は、各電池スタック120の下側で、隣り合う第1の梁3と第2の梁4との間に形成される通路であり、この実施形態では、電池パック1は、左右方向に並び前後方向または電池積層方向に通路が延びる2本の底壁側通路135を備えている。この第1底壁側通路135Aと第2底壁側通路135Bとは、この2つの通路間において流体の出入りがない互いに独立した通路を構成する。
第1送風装置140Aは、筐体110の内部に収容されて、第1循環通路130Aに熱交換用の空気を強制的に循環させる流体駆動手段である。第2送風装置140Bは、筐体110の内部に収容されて、第2循環通路130Bに熱交換用の空気を強制的に循環させる流体駆動手段である。第1送風装置140Aと第2送風装置140Bは、閉塞壁119の上に並んで配置されている。以下、2つの送風装置140Aと送風装置140Bを総称して送風装置140として記載することもある。第1循環通路130Aや第2循環通路130Bに循環させる流体としては、例えば、空気、各種のガス、水、冷媒等の流体を用いることができる。
第1送風装置140Aと第2送風装置140Bは、筐体110の前後方向を向く中心線に対して対称となるように、筐体110の内部において、側壁115と各電池スタック120との間に設置されている。第1送風装置140A、第2送風装置140Bは、それぞれモータ141、シロッコファン142及びファンケーシング143を有する。モータ141は、シロッコファン142を回転駆動させる電気機器であり、シロッコファン142の上側に設けられる。シロッコファン142は、回転軸方向に流体を吸入し、遠心方向に流体を吹出す遠心式のファンであり、回転軸が上下方向を向くように設置されている。
ファンケーシング143は、シロッコファン142を覆うように形成されて、シロッコファン142による流体の吸込み、及び吹出し方向を設定する導風部材となっている。ファンケーシング143は、シロッコファン142の下側で開口する吸込み口143a、吹出した流体の流れを導く吹出しダクト143b、及び吹出しダクト143bの先端部で開口する吹出し口143cを有する。各吹出しダクト143bは、図4に示すように、シロッコファン142の側面から筐体110内の中心側に一旦延びてからUターンするようにして、側壁側通路131側、側壁側通路132側にそれぞれ向かう通路を形成する。
第1送風装置140Aの吸込み口143aは、閉塞壁119の連通開口部の位置に対応するように配置されている。第2送風装置140Bの吸込み口143aは、閉塞壁119の連通開口部の位置に対応するように配置されている。第1送風装置140Aの吸込み口143aは、閉塞壁119の連通開口部を介して、側壁114側に位置する第1底壁側通路135Aに繋がっている。また、第2送風装置140Bの吸込み口143aは、閉塞壁119の連通開口部を介して、側壁113側に位置する第2底壁側通路135Bに繋がっている。
第1送風装置140Aの吹出し口143cは、側壁側通路132に繋がるように配置されている。吹出し口143cは、側壁側通路132における底壁112寄りの位置であって、積層される複数の単電池121のうち側壁115に最も接近する単電池121の近傍において側壁116側を向くように配置されている。第2送風装置140Bの吹出し口143cは、側壁側通路131に繋がるように配置されている。吹出し口143cは、側壁側通路131における底壁112寄りの位置であって、積層される複数の単電池121のうち、側壁115の最も接近する単電池121の近傍において側壁116側を向くように配置されている。
ファンケーシング143内の上下方向の中間位置には、流体を所定温度となるように加熱する加熱装置が設けられている。加熱装置には、例えば、自己温度制御機能を有するPTCヒータ2が用いられる。
図3に示すように、第1内部フィン150Aは、側壁114の内壁面から側壁側通路132に突出する熱交換促進用の熱交換促進部であり、側壁114を介した筐体放熱に寄与する。第2内部フィン150Bは、側壁113の内壁面から側壁側通路131に突出する熱交換促進用の熱交換促進部であり、側壁113を介した筐体放熱に寄与する。したがって、側壁113、側壁114は、第1送風装置140A、第2送風装置140Bから流出した空気が接触して筐体110の外部に対して熱を放出する放熱部となる。
第1内部フィン151Aは、天壁111の内面における側壁114側において突出する熱交換促進用の熱交換促進部であり、天壁111を介した筐体放熱に寄与する。第2内部フィン151Bは、天壁111の内面における側壁113側において突出する熱交換促進用の熱交換促進部であり、天壁111を介した筐体放熱に寄与する。各第1内部フィン、各第2内部フィンは、熱伝導性に優れるアルミニウム材、あるいは鉄材等から形成されている。
第1内部フィン150Aと第2内部フィン150Bは、筐体110の前後方向を向く中心線に対して対称となるように、側壁114と側壁113に設けられている。第1内部フィン151Aと第2内部フィン151Bは、筐体110の前後方向を向く中心線に対して対称となるように天壁111における側壁114側と側壁113側とにそれぞれ設けられている。各内部フィンは、例えば、流体に対する流通抵抗を比較的小さく設定することのできるストレートフィンが採用されている。ストレートフィンは、薄肉板状の基板部から垂直に突出する薄肉板状のフィン部が平行となるように多数並び、各フィン部の間に流体用の通路が形成されるフィンである。また、各内部フィンとしては、ストレートフィンに限らず、他のコルゲートフィン、オフセットフィン等とを採用してもよい。
図5に示すように、第2内部フィン150Bの基板部は、角部A、角部B、角部Cを結んだ細長い直角三角形状を成しており、角部Bはほぼ直角をなしている。前後方向に延びる長辺ABの長さは、対応する第2電池スタック120Bの積層方向長さと同等に設定されている。また、上下方向に延びる短辺BCの長さは、側壁113の上下方向の寸法に対して多少小さい寸法となるように設定されている。基板部は、前後方向の位置が、第2電池スタック120Bの位置に対応するように配置されている。短辺BCが側壁116側に位置し、また短辺BCに対向する角部Aが側壁115側に位置し、長辺ABが側壁113、114の上側の辺に沿うように配置されて、基板部は、側壁113、114の内側の面にそれぞれ接合されている。よって、基板部の斜辺CAは、側壁115側から側壁116側に向けて、下方向に傾斜する辺となっている。
第2内部フィン150Bのフィン部は、基板部から複数の単電池121側に向けて垂直に突出しており、フィン部の内部により多くの流体が流通するように、突出した先端部は複数の単電池121の側面に近接する位置まで延びている。またフィン部の板面は、上下方向に対して、下側から上側に向けて、側壁116側に傾くように設定されている。また、フィン部による流体通路の長さは、側壁115側から側壁116側に向かうほど、長くなっている。以上のように説明した第2内部フィン150Bの形状は、第1内部フィン150Aの形状と同様である。
図5に示すように、第2内部フィン151Bの基板部は、角部D、角部E、角部Fを結んだ細長い三角形状を成している。前後方向に延びる長辺DEの長さは、第2内部フィン150Bの基板部の長辺ABと同等に設定されている。第2内部フィン151Bの基板部は、前後方向の位置が、第2内部フィン150Bの位置に対応するように配置されている。短辺EFが側壁115側に位置し、また短辺EFに対向する角部Dが側壁116側に位置し、長辺DEが天壁111における前後方向の辺に沿うように配置されている。第2内部フィン151Bの基板部は、第2内部フィン150Bのフィン部と隣り合うように、天壁111の内側の面に接合されている。
第2内部フィン151Bのフィン部は、基板部から複数の単電池121側に向けて垂直に突出しており、フィン部の内部により多くの流体が流通するように、突出した先端部は、複数の単電池121の上面に近接する位置まで延びている。フィン部の板面は、左右方向に対して、筐体110の中心側に向かうほど、側壁116側に傾くように設定されている。フィン部による流体通路の長さは、側壁115側から側壁116側に向かうほど、短くなっている。第2内部フィン151Bのフィン部による流体通路は、第2内部フィン150Bのフィン部による流体通路と連続するように接続されている。以上のように説明した第2内部フィン151Bの形状は、第1内部フィン151Aの形状と同様である。
外部フィン160、外部フィン161は、図6に示すように、筐体110の外側に設けられた熱交換促進用のフィンである。各外部フィン160,161は、熱伝導性に優れるアルミニウム材、あるいは鉄材等から形成されている。外部フィン160は、筐体110の前後方向を向く中心線に対して対称となるように側壁113側と側壁114側とにそれぞれ設けられている。外部フィン161は、筐体110の前後方向を向く中心線に対して対称となるように、天壁111における側壁113側及び側壁114側となる2カ所にそれぞれ設けられている。
ここでは、各外部フィン160,161は、例えば、流体に対する熱伝達性能を比較的大きく設定することのできるコルゲートフィンが採用されている。コルゲートフィンは、全体形状が波状を成して、波状の互いに対向する面には多数のルーバが形成されており、波状の互いに対向する面の間、及びルーバの間に流体用の通路が形成されるフィンとなっている。また、各外部フィン160,161としては、各内部フィンのようなストレートフィン、ルーバ無しのコルゲートフィン、あるいはオフセットフィン等とすることもできる。
外部フィン160は、複数本、例えば2本が一組となって設けられている。外部フィン160は、側壁114、側壁113において、第1内部フィン150A、第2内部フィン150Bと対応する位置で、波の連続する方向が前後方向を向き、かつ多少、側壁116側にオフセットされるように配置されている。外部フィン161は、複数本、例えば2本が一組となって設けられている。外部フィン161は、天壁111における側壁114、側壁113側において、第1内部フィン151A、第2内部フィン151Bと対応する位置で波の連続する方向が前後方向を向き、かつ外部フィン160よりも多少、側壁115側となるように配置されている。
図8に示すように、外部ダクト170は、空気を筐体110の外側表面に沿うように流通させるダクトである。空気は、例えば、車室内の空調された空気が使用される。外部ダクト170は、断面形状が扁平状に形成されて、筐体110の外側表面、例えば側壁113、側壁114、天壁111における側壁113側、側壁114側、及び側壁115に設けられている。外部ダクト170は、外部フィン160、外部フィン161を内包する。
外部ダクト170は、側壁116側の両端部が、空調空気を吸い込む吸込み部となっている。この吸込み部の直後となる下流側には、吸い込んだ空調空気を外部フィン160の下側、及び外部フィン161よりも筐体110の中央側に分流させる風向装置171が設けられている。外部ダクト170の内部における側壁115側の中央には、送風装置172が設けられており、送風装置172の上部、及び下部が空調空気を吹出す吹出し部となっている。送風装置172には、例えば、ターボファンが用いられる。
電池間通路134は、第1電池スタック120A及び第2電池スタック120Bのそれぞれにおいて、積層される単電池121と単電池121との間に形成される通路であり、隣り合う単電池121間に設けられたスペーサ部材5によって形成されている。スペーサ部材5は、単電池121と単電池121との間を仕切る仕切り壁部を有する。スペーサ部材5は、例えば樹脂によって成形される。スペーサ部材5は、両側に位置する単電池121間を絶縁する機能も有する。
仕切り壁部は、平板状であり、単電池121の主面と対向し、主面を覆う大きさを有する。単電池121の主面は、扁平状の単電池121における最も面積が大きい面である。仕切り壁部には、それぞれ主面の上下方向長さと同等の長さで上下方向に延びる複数の溝部が形成されている。複数の溝部は、所定の間隔をあけて左右方向に並んでいる。したがって、仕切り壁部は、隣り合う溝部と溝部の間に位置する上下方向に細長い平坦部を複数有する。単電池121と単電池121との間にスペーサ部材5を挟んだ電池スタック120において、平坦部50bが単電池121の主面と当接することで単電池121における主面の膨張を抑制する。主面と溝部50aとの間に形成される上下方向に延びる細長い通路は、電池間通路134を構成する。
拘束部材は、各電池スタック120の積層方向の両端面を、積層方向に押圧する拘束力を与えることで拘束する。スペーサ部材5の側壁部は、スペーサ部材5と単電池121とを交互に積層して一体にした電池スタック120が形成された状態において、単電池121の側面を覆い、複数の単電池121を拘束する拘束部材と接触する部分である。したがって、側壁部は、拘束部材から単電池121の側面を保護する機能も有する。
次に電池パック1において、第1送風装置140Aと第2送風装置140Bに共通する制御について説明する。各単電池121は、電流が取り出される出力時及び充電される入力時に自己発熱する。各単電池121は、例えば季節に応じて筐体110の外部の温度の影響を受ける。電池管理ユニット100は、第1温度検出器60、第2温度検出器61によって所定の単電池121の温度を常時モニターし、検出した単電池121の温度に基づいて第1送風装置140A、第2送風装置140B、送風装置172、及びPTCヒータ2の作動を制御する。
電池管理ユニット100は、単電池121の温度に応じて第1送風装置140A、第2送風装置140Bのそれぞれに、最大電圧に対して0%〜100%に含まれる任意の値のデューティ比に制御した電圧を印加して、シロッコファン142の回転数を可変させる。単電池121の温度によっては、第1送風装置140A及び第2送風装置140BとともにPTCヒータ2を作動させる場合、あるいは第1送風装置140A及び第2送風装置140Bとともに送風装置172を作動させる場合がある。
例えば、電池管理ユニット100は、春、秋等において、単電池121の温度が中間的な温度のときは、第1送風装置140A、第2送風装置140Bに印加する電圧のデューティ比を比較的小さく設定して、低風量で送風装置を作動させる。例えば、電池管理ユニット100は、冬期等において単電池121の温度が予め定めた第1所定温度よりも低くなる低温度のときは、各送風装置140A,140Bに印加する電圧のデューティ比を中間レベルに設定して中風量で送風装置を作動させPTCヒータ2を作動させる。例えば、電池管理ユニット100は、夏期等において、単電池121の温度が予め定めた第2所定温度よりも高くなる高温度のときは、第1送風装置140A、第2送風装置140Bに対する電圧デューティ比を比較的大きく設定する。これにより、高風量で送風装置を作動させるとともに所定風量を上限として送風装置172を作動させる。
例えば春、秋等において、第1送風装置140A及び第2送風装置140Bのみが作動された場合、筐体110内における内部の空気は、図1に示すように、第1循環通路130A、第2循環通路130Bのそれぞれを循環する。このとき空気は、第1送風装置140A、第2送風装置140Bのそれぞれの吸込み口143aから吸い込まれ、吹出しダクト143bを介して、吹出し口143cから吹出される空気は、それぞれ側壁側通路132、側壁側通路131に流入する。
側壁側通路132、側壁側通路131のそれぞれに流入した空気は、第1内部フィン150A、第2内部フィン150Bの傾斜配置されたフィン部に沿って、底壁112側から天壁111側に向けてスムーズに流れる。側壁側通路132、側壁側通路131のそれぞれは、その長辺に沿って長く延びる断面扁平な通路となっている。各側壁側通路は、空気が流通する際の入口断面積としては他の天壁側通路133、電池間通路134及び底壁側通路135よりも小さくなっている。このため、空気の流速をある程度確保することができ、ここでは、動圧が主体的な場となる。ゆえに、側壁側通路132、側壁側通路131のそれぞれにおいて、流速を伴う空気の熱は、第1内部フィン150A、第2内部フィン150Bに効果的に伝達され、さらに側壁114、側壁113を介して外部に放出される。
次に、空気は、第1内部フィン150A、第2内部フィン150Bと連続的に接続される第1内部フィン151A、第2内部フィン151Bのフィン部にスムーズに流れ、このフィン部に沿って天壁側通路133に流入する。天壁111側に流入する際の入口断面積は、側壁側通路132、側壁側通路131のそれぞれに流入する際の入口断面積よりも格段に大きくなっており、流体の流速は小さい。ここでは、静圧が主体的な場となる。ゆえに、側壁側通路132、側壁側通路131のそれぞれから天壁側通路133に流入した空気は、天壁側通路133に均等に行き渡りやすい。
図1に示すように、側壁側通路132から天壁側通路133に流入した空気は、主に側壁114側の第1電池スタック120Aの上方に拡がる。側壁側通路131から天壁側通路133に流入した空気は、主に側壁113側の第2電池スタック120Bの上方に拡がる。これらの空気は、混合通路である天壁側通路133で混ざり合うことができる。天壁側通路133に流入したこれらの空気の熱は、第1内部フィン151Aや第2内部フィン151Bから天壁111へ伝達され、あるいは天壁111に直接的に伝達され、外部に放出される。
次に天壁側通路133で混ざり合った空気は、各送風装置の吸引力によって各電池間通路134を通り、第1底壁側通路135A、第2底壁側通路135Bに至る。ここで、側壁側通路132、側壁側通路131及び天壁側通路133は、第1送風装置140A及び第2送風装置140Bそれぞれの吹出しによって、陽圧空間となる。第1底壁側通路135A、第2底壁側通路135Bは、第1送風装置140A、第2送風装置140Bのそれぞれの吸込みによって陰圧空間となり、両者の圧力差によって、天壁側通路133側から各底壁側通路側への流体の移動が継続的に行われることになる。空気が電池間通路134を通る際には、各単電池121の熱が流体に伝達される。
第1底壁側通路135A、第2底壁側通路135Bのそれぞれに流入した空気は、梁と梁との間を底壁112に沿って流下して、第1送風装置140Aの吸込み口143a、第2送風装置140Bの吸込み口143aに至る。各底壁側通路を流下する流体の熱は、底壁112に伝達されて外部に放出される。このように、筐体110内の第1循環通路130A及び第2循環通路130Bのそれぞれを空気が循環することで、側壁113、側壁114、天壁111及び底壁112から空気の熱、すなわち単電池121の熱が外部に放出される。このとき、側壁113、側壁114、天壁111では、各内部フィンによって熱交換が促進される。
例えば冬場等において単電池121が低温となる場合は、前述したように第1送風装置140A及び第2送風装置140Bの作動に加えて,PTCヒータ2が作動される。このとき、吹出しダクト143b内を流通する空気は、PTCヒータ2によって加熱される。この加熱された空気が筐体110内の各循環通路を循環することで、逆に各単電池121は、加熱された流体によって適正作動可能な温度に昇温され、低温時における性能低下が是正される。
さらに、例えば夏期において、単電池121が高温となる場合は、第1送風装置140A及び第2送風装置140Bの作動に加えて、送風装置172が作動される。この場合は、車室内の空調空気が外部ダクト170の吸込み部から外部ダクト170内に吸い込まれる。
外部ダクト170内に吸い込まれた空調空気は、図8に示すように、風向装置171によって、分流され、外部フィン160の下側と、外部フィン161の筐体110の中央側に向けて分流される。それぞれの流れは、各外部フィン160,161を横切るように通過、合流して、送風装置172の上下部に設けられた吹出し部から吹き出される。
このとき、筐体110内の流体の熱は、各内部フィン、側壁113、側壁114、天壁111、各外部フィンを介して空調空気に伝達されて、外部に放出される。よって、筐体110内の流体の熱は、各内部フィンに加えて、各外部フィンによって、熱交換が更に促進される。これにより、各単電池121は、短時間で適切な温度に強制冷却される。
以上のように、電池パック1では、筐体110内に、第1電池スタック120A、第2電池スタック120B、第1循環通路130A、第2循環通路130B、第1送風装置140A及び第2送風装置140Bを設けている。さらにPTCヒータ2や第1内部フィン150A,151A及び第2内部フィン150B,151Bを設けることで第1送風装置140A及び第2送風装置140Bの作動音を車室内に漏らすことなく、各単電池121の温調、加熱を適切に行うことができる。さらには、外部フィン160,161、及び外部ダクト170及び送風装置172を設けることにより、高温時における強制冷却の実施も可能となる。
以上の構成によれば、電池パック1は、図9、図10に図示するように模式化できる第1循環通路130Aと第2循環通路130Bを有する。図9〜図11を参照しながら、第1電池スタック120Aと第2電池スタック120Bのうち、いずれかの電池スタックについて電池冷却性能が低下した場合に、電池パック1が実施する異常時の温調制御について説明する。電池冷却性能が低下した場合とは、後述する実施形態のように、一方の電池スタックに対応する送風装置が送風する送風風量が意に反して低下した場合、または一方の電池スタックに供給される流体が循環する循環通路における流通抵抗が増大した場合が含まれる。一方の電池スタックに対応する送風装置が送風する送風風量が意に反して低下した場合とは、制御装置によって送風風量が低下するように制御されていないにもかかわらず、電池冷却性能が低下した場合である。
第1送風装置140A及び第2送風装置140Bのそれぞれの吹出し口143cは、側壁側通路132、側壁側通路132だけに直結されているわけではない。したがって、図9には、第1送風装置140Aから流出した空気と第2送風装置140Bから流出した空気は、筐体110の内部において互いに混合可能なように図示している。
異常時の温調制御について、その処理手順は、図11のフローチャートにしたがって実行される。図11のフローチャートは、制御装置として機能する電池管理ユニット100によって実行される。以降のフローチャートの説明では、電池管理ユニット100を制御装置と表現する。
図11に示すように、制御装置は、ステップ10で第1電池スタック120Aの温度と第2電池スタック120Bの温度との差が予め定められた判定値以上であるか否かを判定する。第1電池スタック120Aの温度は、第1温度検出器60によって検出される温度である。第2電池スタック120Bの温度は、第2温度検出器61によって検出される温度である。両方の電池スタックにおける電池冷却性能が正常に機能している場合は、前述した異常時の温度調節制御によって各電池スタック120が発熱量に応じて適正に冷却されるため、両者の温度差は小さな値に収まっている。したがって、ステップ10の判定処理の基準として用いられる判定値は、一方の電池スタックにおいて異常がない状態よりも明らかに電池冷却性能が低下していると判断できる値に設定される。
ステップ10で両者の温度差が判定値未満であると判定すると、電池冷却性能が正常に働いているとみなして本フローチャートを終了する。このフローチャートは、終了後、所定の時間間隔で開始される。
ステップ10で両者の温度差が判定値以上であると判定すると、どちらかの電池スタックの電池冷却性能が異常であるとみなしてステップ20に進む。ステップ20では、第1電池スタック120Aの温度が第1電池スタック120Aの温度よりも大きいか否かを判定する。第1電池スタック120Aの温度が第2電池スタック120Bの温度よりも高いと判定すると、第1電池スタック120Aについて電池冷却性能が正常に機能していないため、ステップ30に進む。
ステップ30では、第1電池スタック120Aについて電池冷却性能が低下状態であると判断する処理を実行する。ここでは、例えば図10に図示するように、側壁114の内側に設けられた第1内部フィン150Aが目詰まり等の理由により通風抵抗が大きく、所望の熱交換性能を発揮できない状態であることが想定できる。つまり、電池パック1は、第1電池スタック120A側に位置する筐体110の側壁114や内部フィンを介した外部への放熱能力が低下した状態である。次のステップ35で制御装置は、第1送風装置140Aによって送風される風量が正常時よりも減少するように第1送風装置140Aを制御し、本フローチャートを終了する。
すなわち、図10に図示するように、第1送風装置140Aが送風する風量F1は、第2送風装置140Bが送風する風量F2よりも小さくなるように制御される。これにより、図10に太線で示した第2循環通路130Bを循環する空気の風量は、図10に細線で示した第1循環通路130Aを循環する空気の風量よりも相対的に大きくなる。換言すれば、異常がない側の電池スタックに対応する送風装置の方が、異常が生じた側の電池スタックに対応する送風装置よりも相対的に送風風量が大きくなる。
この処理によれば、第1送風装置140Aから流出された風量F1の空気は第1内部フィン150Aであまり放熱できないが、第2送風装置140Bから流出された風量F2の空気は第2内部フィン150Bで十分に放熱できる。そして、風量F1の空気と風量F2の空気とが天壁側通路133で混合するため、第1循環通路130Aを流れる空気の温度を低下させることができる。天壁側通路133で混合された空気は、各電池スタックにおける各電池間通路134を流れるときに単電池121と熱交換するので、第2電池スタック120Bと冷却性能が低下した状態の第1電池スタック120Aとの両方を冷却し続けることができる。したがって、ステップ10、20、30、35の処理によれば、第2内部フィン150B等からの放熱によって相対的に低温である第2送風装置140Bからの冷却風を活用することで、第1電池スタック120Aの冷却性能を確保することができる。
ステップ20で、第2電池スタック120Bの温度が第1電池スタック120Aの温度よりも高いと判定すると、第2電池スタック120Bについて電池冷却性能が正常に機能していないため、ステップ40に進む。
ステップ40では、第2電池スタック120Bについて電池冷却性能が低下状態であると判断する処理を実行する。ここでは、図10に図示した例とは異なり、側壁113の内側に設けられた第2内部フィン150Bが目詰まり等の理由により通風抵抗が大きく、所望の熱交換性能を発揮できない状態であることが想定できる。つまり、電池パック1は、第2電池スタック120B側に位置する筐体110の側壁113を介した外部への放熱能力が低下した状態である。次のステップ45で制御装置は、第2送風装置140Bによって送風される風量が正常時よりも減少するように第2送風装置140Bを制御し、本フローチャートを終了する。
すなわち、図10に図示する例とは逆で、第2送風装置140Bが送風する風量F2は、第1送風装置140Aが送風する風量F1よりも小さくなるように制御される。これにより、第1循環通路130Aを循環する空気の風量は、第2循環通路130Bを循環する空気の風量よりも相対的に大きくなる。この場合も、異常がない側の電池スタックに対応する送風装置の方が、異常が生じた側の電池スタックに対応する送風装置よりも相対的に送風風量が大きくなる。
この処理によれば、第2送風装置140Bから流出された風量F2の空気は第2内部フィン150Bであまり放熱できないが、第1送風装置140Aから流出された風量F1の空気は第1内部フィン150Aで十分に放熱できる。そして、風量F1の空気と風量F2の空気とが天壁側通路133で混合するため、第2循環通路130Bを流れる空気の温度を低下させることができる。天壁側通路133で混合された空気は、各電池スタックにおける各電池間通路134を流れるときに単電池121と熱交換するので、第1電池スタック120Aと冷却性能が低下した状態の第2電池スタック120Bとの両方を冷却し続けることができる。したがって、ステップ10、20、40、45の処理によれば、第1内部フィン150A等からの放熱によって相対的に低温である第1送風装置140Aからの冷却風を活用することで、第2電池スタック120Bの冷却性能を確保することができる。
次に、第1実施形態の電池パック1がもたらす効果について説明する。電池パック1は、少なくとも第1電池スタック120A及び第2電池スタック120Bと、第1電池スタック120Aを冷却する流体を送風する第1送風装置140Aと、第2電池スタック120Bを冷却する流体を送風する第2送風装置140Bと、を備える。電池パック1の筐体110は、第1電池スタック120A及び第2電池スタック120Bと第1送風装置140A及び第2送風装置140Bとを内部に収容する。筐体110の内部には、第1循環通路130Aと第2循環通路130Bとが設けられる。第1循環通路130Aは、第1送風装置140Aから流出した流体が第1壁(側壁114)に接触してから天壁側通路133に流入し、天壁側通路133を流出してから第1電池スタック120Aと熱交換した後、第1送風装置140Aに流入する経路を構成する。第2循環通路130Bは、第2送風装置140Bから流出した流体が第2壁(側壁113)に接触してから天壁側通路133に流入し、天壁側通路133を流出してから第2電池スタック120Bと熱交換した後、第2送風装置140Bに流入する経路を構成する。
電池パック1の制御装置は、一方の電池スタックの電池冷却性能が正常時よりも低下した場合に、他方の電池スタックに対応する送風装置の方が一方の電池スタックに対応する送風装置と比べて送風する風量が大きくなるように、第1送風装置140A及び第2送風装置140Bの少なくとも一つを制御する。
この制御によれば、電池冷却性能が低下した一方の電池スタックに対応する送風装置よりも他方の電池スタックに対応する送風装置の方が相対的に送風風量が大きくなるように電池パック1の送風装置を制御する。これにより、相対的に風量が大きくなった他方の送風装置から送風される流体を天壁側通路133を通じて一方の電池スタックにも供給することができる。このため、電池パック1は、電池冷却性能が低下した方の電池スタックについて電池冷却性能を回復させることができる。以上のように、従来の電池パックに比べて、電池パック全体としての送風風量が著しく低下することを回避できる電池パック1を提供できる。
また、電池パック1の制御装置は、一方の電池スタックについて電池冷却性能が正常時よりも低下した場合に、一方の電池スタックに対応する送風装置を、送風風量が正常時の送風風量よりも低下するように制御する。この場合、電池冷却性能が正常時よりも低下した一方の電池スタックに対応する送風装置について、送風風量を正常時レベル以上に制御しても電池冷却性能の回復が期待できず、無駄なエネルギ消費になってしまう。そこで、電池冷却性能が低下した電池スタックに対応する送風装置を、送風風量が正常時よりも低下するように制御することで、消費エネルギを抑制しつつ他方の電池スタックに対応する送風装置の方が相対的に送風風量が大きくなる制御を実現できる。
また一方の電池スタックについて電池冷却性能が低下した場合とは、一方の電池スタックに対応する送風装置が送風する送風風量が意に反して低下した場合、または一方の電池スタックに供給される流体が循環する循環通路における流通抵抗が増大した場合である。これによれば、電池冷却性能の低下した原因が、送風装置の異常にある場合や、循環通路における目詰まりや障害物の存在等によるものである場合に、電池パック全体の電池冷却性能の確保を実現できる。
また、電池パック1は、第1循環通路130A及び第2循環通路130Bのそれぞれには、筐体110の壁を介した外部への放熱を促進する熱交換促進部である各内部フィン150A,150B,151A,151Bが設けられている。制御装置は、一方の熱交換促進部に近い位置にある電池スタックの温度と他方の熱交換促進部に近い位置にある電池スタックの温度との温度差が、判定値以上である場合に、温度の高い方の電池スタックについて電池冷却性能が正常時よりも低下したと判断する。これによれば、各電池スタックにおける電池温度を検出するための第1温度検出器60、第2温度検出器61を活用して、電池冷却性能が低下した電池スタックを検出することができ、検出装置にかかるコストを軽減できる。
一方の電池スタックに対応する送風装置による送風風量が意に反して低下した場合とは、送風装置に与えた回転数変更指令に対して、送風装置における回転数変更完了時間が所定の変更完了時間よりも長い場合としてもよい。所定の変更完了時間は、制御装置が送風装置に対して回転数を変更するための信号を出力し、出力後に送風装置が正常時に回転数を変更完了するまでの時間に比べて、普通でない明らかに長い時間に設定される。電池パック1は、筐体110の内部に閉じられた内部空間に、送風装置、電池スタック、循環通路を有する。このため、電池パック1によれば、送風装置の回転数を大きく変更しても騒音が外部に漏れにくいことを利用して、送風装置の異常を検出しやすい方法を提供できる。
電池パック1は、筐体110の底壁112に一体に設けられて電池スタック120を下方から支える複数の梁3,4をさらに備える。各底壁側通路135は、少なくとも梁3,4、底壁112及び各電池スタック120の下端部1211で囲まれる通路である。この構成によれば、底壁112には複数の梁3,4が設けられているので、各梁3,4が補強部材となって筐体110の強度を向上することができる。各電池スタック120は、各梁3,4の上に設置されているので、仮に、筐体110の外部から衝撃が加わった場合でも、各梁3,4によって衝撃を受けることが可能であり、電池を衝撃から保護することが可能である。
さらに各底壁側通路135は、補強用の各梁3,4を形成する壁と底壁112とを用いて区画される。このため、補強のための梁部材を通路形成に活用でき、部材点数の低減が図れ、簡易な形状の梁を活用することによるコスト低減も図れる。したがって、筐体110の内部に別体のダクトを設置することなく、各底壁側通路135を構築できる。
また、各梁3,4は、底壁側通路135の一部を形成するための部材として用いられるため、単に筐体110を補強するためだけに梁を設ける場合に比べて、電池パック1の大型化を抑制できる。
複数の梁3,4のうち少なくとも一つは、筐体110の内部において、長手方向の端部が両方の電池スタック120よりも筐体110の壁に接近するように設けられる。この構成によれば、第1の梁3や第2の梁4の長手方向の端部は、各電池スタック120が配置される領域よりも外側に向けて延設されている。これによれば、電池パック1に衝撃が加わった場合に、梁によって衝撃を吸収する領域を大きくすることができるので、より効果的に電池を保護することができる。
また、複数の梁3,4のうち少なくとも一つは、長手方向の端部が筐体110の壁に接触するように設けられている。この構成によれば、第1の梁3や第2の梁4の長手方向の端部と筐体110の壁との間に隙間が形成されない構造にすることができる。これにより、電池パック1に衝撃が加わった場合に、梁がもたらす強度向上の効果により筐体110が大きく変形する範囲を抑制することができる。例えば、筐体110内の電気部品や電池の損傷を抑制することが可能である。
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態に対して他の形態である異常時の温度調節制御について図12を参照して説明する。図12において、第1実施形態の図面中と同一符号を付したステップは、同様の処理であり、同様の作用効果を奏するものである。
図12に示すように、ステップ30で第1電池スタック120Aについて電池冷却性能が低下状態であると判断する処理を実行すると、次にステップ35Aに進む。ステップ35Aでは、先のステップ35における第1送風装置140Aの送風風量を減少する処理に加え、第2送風装置140Bの送風風量を正常時よりも増加するように第2送風装置140Bを制御する処理を行い、本フローチャートを終了する。
これにより、第2送風装置140Bが送風する風量F2と第1送風装置140Aが送風する風量F1との差が先の第1実施形態の作動よりも大きくなるように制御される。したがって、第2循環通路130Bを循環する空気の風量F2は、第1循環通路130Aを循環する空気の風量F1よりも、第1実施形態の作動に比べてさらに相対的に大きくなる。換言すれば、異常がない側の電池スタックに対応する送風装置の方が、異常が生じた側の電池スタックに対応する送風装置よりも送風風量が第1実施形態の作動に比べてさらに相対的に大きくなる。
ステップ10、20、30、35Aの処理によれば、第2内部フィン150B等からの放熱量をさらに増大させることで、相対的に低温である第2送風装置140Bからの冷却風を活用し、第1電池スタック120Aの冷却性能を効率的に確保することができる。
一方、ステップ40で第2電池スタック120Bについて電池冷却性能が低下状態であると判断する処理を実行すると、次にステップ45Aに進む。ステップ45Aでは、先のステップ45における第2送風装置140Bの送風風量を減少する処理に加え、第1送風装置140Aの送風風量を正常時よりも増加するように第1送風装置140Aを制御する処理を行い、本フローチャートを終了する。
これにより、第1送風装置140Aが送風する風量F1と第2送風装置140Bが送風する風量F2との差が先の第1実施形態の作動よりも大きくなるように制御される。したがって、第1循環通路130Aを循環する空気の風量F1は、第2循環通路130Bを循環する空気の風量F2よりも、第1実施形態の作動に比べてさらに相対的に大きくなる。この場合も、異常がない側の電池スタックに対応する送風装置の方が、異常が生じた側の電池スタックに対応する送風装置よりも送風風量が第1実施形態の作動に比べてさらに相対的に大きくなる。
ステップ10、20、40、45Aの処理によれば、第1内部フィン150A等からの放熱量をさらに増大させることで、相対的に低温である第1送風装置140Aからの冷却風を活用し、第2電池スタック120Bの冷却性能を効率的に確保することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態に対して他の形態である異常時の温度調節制御について図13を参照して説明する。図13において、第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成であり同様の作用効果を奏するものである。
図13を参照して、第1電池スタック120Aと第2電池スタック120Bのうち、いずれかの電池スタックに対応する送風装置に異常が発生し、電池冷却性能が低下した場合に実施する異常時の温調制御について説明する。送風装置に異常が発生したか否かは、例えば、消費電力、電流、ファンの回転数等を検出することによって判定することができる。
図13に図示する場合は、第1送風装置140Aによる送風が不可能である異常時を想定している。このとき制御装置は、第1送風装置140Aを制御することはできないが第2送風装置140Bを制御することにより電池パック1全体の電池冷却性能を確保しようとする。
具体的には、制御装置は、第1送風装置140Aと第2送風装置140Bのうち、第1送風装置140Aに異常が発生したと判定すると、第1電池スタック120Aについて電池冷却性能が正常に機能していないとみなす。この異常状態は、一方の電池スタックである第1電池スタック120Aに対応する第1送風装置140Aが送風する送風風量が正常時よりも低下したことになる。送風風量が正常時よりも低下した状態は、第1送風装置140Aが停止して全く送風できない場合も含むものである。
制御装置は、第2送風装置140Bによって送風される風量が正常時よりも増加するように第2送風装置140Bを制御する。これにより、第2循環通路130Bを循環する空気の流量は、第1電池スタック120Aの電池間通路134を通過する空気の流量よりも相対的に大きくなる。
この処理によれば、第2送風装置140Bによる送風風量F2によって、第1送風装置140Aから第1電池スタック120Aへ流れる空気の流れが生じ、第1電池スタック120Aの電池間通路134を流出した空気は、天壁側通路133に流出する。天壁側通路133では、第2循環通路130Bを循環する空気(図13図示の太線)が混合するため、第1電池スタック120Aと熱交換して温度上昇した空気を冷却することができる。第2内部フィン150B等での放熱により冷却した空気との混合により天壁側通路133で冷却された空気は、さらに第1内部フィン150A等で放熱して温度低下する。温度低下した空気は、第2送風装置140Bの吹き出し風とともに側壁側通路131に流入し、第2内部フィン150Bを経由して天壁側通路133に至る。天壁側通路133に流入した空気は、第1電池スタック120Aの電池間通路134を流出してきた空気と合流して、一部が側壁側通路132に流入して第1内部フィン150A等で放熱する。空気の残部は、第2電池スタック120Bの電池間通路134を通過するときに単電池121から吸熱し、第2送風装置140Bを経て、第2内部フィン150B等で放熱して冷却される。
このように、第1内部フィン150Aを流れる空気は流量が小さいので、第1内部フィン150Aであまり放熱できない。しかしながら、流量が大きい第2内部フィン150Bを流れる空気は十分な放熱によって温度低下するため、天壁側通路133での混合により、第1電池スタック120Aへ供給される空気の温度を低下させることができる。したがって、第1電池スタック120Aにおける電池冷却性能を、このように温度低下された、第2送風装置140Bから送風される空気によって確保することができる。
一方、第2送風装置140Bによる送風が不可能である異常時の場合は、制御装置は、第2送風装置140Bを制御することはできないが第1送風装置140Aを制御することにより電池パック1全体の電池冷却性能を確保しようとする。
制御装置は、第2送風装置140Bに異常が発生したと判定すると、第2電池スタック120Bについて電池冷却性能が正常に機能していないとみなす。制御装置は、第1送風装置140Aによって送風される風量が正常時よりも増加するように第1送風装置140Aを制御する。これにより、第1循環通路130Aを循環する空気の流量は、第2電池スタック120Bの電池間通路134を通過する空気の流量よりも相対的に大きくなる。
この処理によれば、第1送風装置140Aによる送風風量F1によって、第2送風装置140Bから第2電池スタック120Bへ流れる空気の流れが生じ、第2電池スタック120Bの電池間通路134を流出した空気は、天壁側通路133に流出する。天壁側通路133では、第1循環通路130Aを循環する空気が混合するため、第2電池スタック120Bと熱交換して温度上昇した空気を冷却することができる。第1内部フィン150A等での放熱により冷却した空気との混合により天壁側通路133で冷却された空気は、さらに第2内部フィン150B等で放熱して温度低下する。温度低下した空気は、第1送風装置140Aの吹き出し風とともに側壁側通路132に流入し、第1内部フィン150Aを経由して天壁側通路133に至る。天壁側通路133に流入した空気は、第2電池スタック120Bの電池間通路134を流出してきた空気と合流して、一部が側壁側通路131に流入して第2内部フィン150B等で放熱する。空気の残部は、第1電池スタック120Aの電池間通路134を通過するときに単電池121から吸熱し、第1送風装置140Aを経て、第1内部フィン150A等で放熱して冷却される。
このように、第2内部フィン150Bを流れる空気は流量が小さいので、第2内部フィン150Bであまり放熱できない。しかしながら、流量が大きい第1内部フィン150Aを流れる空気は十分な放熱によって温度低下するため、天壁側通路133での混合により、第2電池スタック120Bへ供給される空気の温度を低下させることができる。したがって、第2電池スタック120Bにおける電池冷却性能をこのように温度低下された、第1送風装置140Aから送風される空気によって確保することができる。
また、一方の電池スタックに対応する送風装置が送風する送風風量が意に反して低下した場合とは、送風装置の実際の回転数が、送風装置の停止に相当する所定の回転数よりも低い場合としてもよい。この判定方法によれば、送風装置が停止している異常状態を確実に検出可能な電池パック1を提供できる。
第3実施形態の電池パック1によれば、制御装置は、一方の電池スタック120に対応する送風装置が停止した場合に、他方の電池スタック120に対応する送風装置を、送風風量が正常時の風量よりも増加するように制御する。この制御により、他方の電池スタック120に対応する送風装置から流出した空気を第1電池スタック120A及び第2電池スタック120Bのそれぞれに供給する。この電池パック1によれば、正常である方の送風装置の冷却性能を活用して、第1電池スタック120A及び第2電池スタック120Bの両方を冷却できる。これにより、異常が発生した方の電池スタックの冷却性能が著しく低下することなく、さらに電池パック全体において電池温度の大きなばらつきが発生することも回避することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態では、第1実施形態に対して他の形態である異常時の温度調節制御について図14を参照して説明する。図14において、第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成であり同様の作用効果を奏するものである。ここでは、第1実施形態との相違点のみ以下に説明する。
図14に図示する筐体110の内部に形成される第1循環通路130Aと第2循環通路130Bは、天壁側通路133のみで連通する構成である。つまり、第4実施形態の電池パックは、第1実施形態と異なり、第1送風装置140A及び第2送風装置140Bのそれぞれの吹出し口143cが側壁側通路132、側壁側通路132だけに直結されている構成である。
第4実施形態の電池パックでは、第1実施形態で図11を参照して説明した異常時の温度調節制御と同様の制御を行う。異常時の温度調節制御では、図14に示すように、第1送風装置140Aを流出した風量F1の第1循環通路130Aを循環する空気と、第2送風装置140Bを流出した風量F2の第2循環通路130Bを循環する空気は、天壁側通路133でのみ混合する。
(第5実施形態)
第5実施形態では、第1実施形態の電池パック1の他の形態である電池パック101について図15〜図17を参照して説明する。各図において、第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。以下、第1実施形態と相違する内容について説明する。
電池パック101は、電池パック1に対して、左右方向に並ぶ2個の電池スタックのそれぞれに対応する第1底壁側通路135Aと第2底壁側通路135Bとが互いに連通する連通通路8を備える点が相違する。電池パック101は、この構成上の相違に伴い、異常時の温度調節制御の処理手順、及び筐体110の内部における空気流通経路が相違する。
図15に示すように、第2の梁104の内面と底壁112とで囲まれる内側空間は、一方側である車両右側にある第1底壁側通路135Aと他方側である車両左側にある第2底壁側通路135Bとを連絡する連通通路8を構成する。第2の梁104には、図15に図示するように、第2の梁104の両側の位置する第1底壁側通路135A及び第2底壁側通路135Bに面する第2の梁104の側壁のそれぞれを貫通する貫通穴104aが設けられている。前述の内側空間は、各貫通穴104aによって第1底壁側通路135A及び第2底壁側通路135Bに繋がることで連通通路8を構成する。したがって、連通通路8は、電池スタックの下方に位置する二つの底壁側通路135の一部として機能する。
この連通通路8を備えることにより、車両の左右に並ぶ二つの底壁側通路135を互いに連通可能な状態にできるので、電池間通路134よりも下流に位置する底壁側通路135の通路断面積を大きく形成でき、流通抵抗を低減することができる。
さらに、各第1の梁3と各電池スタック120の下端部1211との間には、電池スタック120の電池積層方向長さ全体にわたって設けられる弾性変形可能な帯状のシール部材7が設けられる。この帯状のシール部材7は、第2の梁4と各電池スタック120の下端部1211との間にもそれぞれ1個ずつ設けられる。各シール部材7は、弾性変形することで電池スタック120及び各梁3、4に対する密着性を高め、流体が出入りしないように側壁側通路と底壁側通路とを分離することに寄与する。シール部材7は、天然ゴム、合成ゴム、各種のパッキン材料等により形成することができる。
このように電池パック101は、第1の梁3及び第2の梁4と各電池スタック120との間に流体の流通を阻止するシール部材7を備える。第1の梁3と電池スタック120との間に介在するシール部材7は、側壁側通路132や側壁側通路131から第1底壁側通路135Aや第2底壁側通路135Bへの流体の流入を阻止する。この構成によれば、側壁側通路132、側壁側通路131のそれぞれと第1底壁側通路135A、第2底壁側通路135Bとの間の流体の流通が確実に遮断されるため、各側壁側通路から各底壁側通路に空気が漏れ出ることを防止できる。したがって、各循環通路130を循環する空気が余分な場所に分流して流通抵抗が増大することを抑制できるので、空気の流速低下を抑制して筐体放熱の効率化を図ることができる。
以上の構成によれば、電池パック101は、図16、図17に図示するように模式化できる第1循環通路130A、第2循環通路130B及び連通通路8を有する。図16及び図17を参照しながら、第1電池スタック120Aと第2電池スタック120Bのうち、いずれかの電池スタックについて電池冷却性能が低下した場合に、電池パック101が実施する異常時の温調制御について説明する。
第1実施形態で図10を参照した説明と同様に、第1電池スタック120Aについて電池冷却性能が低下状態である場合、制御装置は、第1送風装置140Aによって送風される風量F1が正常時よりも減少するように第1送風装置140Aを制御する。これにより、図17に太線で示した第2循環通路130Bを循環する空気の風量は、図17に細線で示した第1循環通路130Aを循環する空気の風量よりも相対的に大きくなる。この制御に加えて、制御装置は、第2送風装置140Bによって送風される風量F2が正常時よりも増加するように第2送風装置140Bを制御することが好ましい。
この処理によれば、第2送風装置140Bを流出した空気は、二つの循環する経路を流れるようになる。一つは、第2内部フィン150B、天壁側通路133、第2電池スタック120B及び第2送風装置140Bに流れる経路である。もう一つは、天壁側通路133から第1電池スタック120A、第1底壁側通路135A、連通通路8、第2底壁側通路135B及び第2送風装置140Bに流れる経路である。このような経路が形成できることにより、第2送風装置140Bからの増大させた風量の送風空気を両方の電池スタックに供給できる。すなわち、電池冷却性能が低下した状態の第1電池スタック120Aを冷却してきた空気を第2内部フィン150Bで十分に放熱させることができる。したがって、第2内部フィン150B等からの放熱によって相対的に低温である第2送風装置140Bからの冷却風を両方の電池スタックに供給することで、第1電池スタック120Aの冷却を継続的に実施することが可能になる。
一方、第2内部フィン150Bの目詰まり等により、第2電池スタック120Bについて電池冷却性能が低下状態である場合、制御装置は、第2送風装置140Bによって送風される風量F2が正常時よりも減少するように第2送風装置140Bを制御する。これにより、第1循環通路130Aを循環する空気の風量は、第2循環通路130Bを循環する空気の風量よりも相対的に大きくなる。この制御に加えて、制御装置は、第1送風装置140Aによって送風される風量F1が正常時よりも増加するように第1送風装置140Aを制御することが好ましい。
この処理によれば、第1送風装置140Aを流出した空気は、二つの循環する経路を流れるようになる。一つは、第1内部フィン150A、天壁側通路133、第1電池スタック120A及び第1送風装置140Aに流れる経路である。もう一つは、天壁側通路133から第2電池スタック120B、第2底壁側通路135B、連通通路8、第1底壁側通路135A及び第1送風装置140Aに流れる経路である。このような経路が形成できることにより、第1送風装置140Aからの増大させた風量の送風空気を両方の電池スタックに供給できる。すなわち、電池冷却性能が低下した状態の第2電池スタック120Bを冷却してきた空気を第1内部フィン150Aで十分に放熱させることができる。したがって、第1内部フィン150A等からの放熱によって相対的に低温である第1送風装置140Aからの冷却風を両方の電池スタックに供給することで、第2電池スタック120Bの冷却を継続的に実施することが可能になる。
連通通路8は、第1循環通路130Aにおいて空気が第1電池スタック120Aと熱交換後、第1送風装置140Aに流入するまでに流れる通路と、第2循環通路130Bにおいて空気が第2電池スタック120Bと熱交換後、第2送風装置140Bに流入するまでに流れる通路と、を連絡する。電池パック101によれば、相対的に送風風量が大きくなるように制御された送風装置に、筐体110内のすべての電池スタックを冷却した後の空気を連通通路8を通じて吸入させることが可能になる。したがって、電池パック101は、特定の電池スタックについて電池冷却性能が低下したとしても、電池パック全体の電池冷却性能の確保を図ることができる。
(第6実施形態)
第6実施形態では、第5実施形態に対して他の形態である異常時の温度調節制御について図18及び図19を参照して説明する。図18及び図19において、前述の実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素やステップは、同様の構成や処理であり、同様の作用効果を奏するものである。
図18及び図19を参照して、第1電池スタック120Aと第2電池スタック120Bのうち、いずれかの電池スタックに対応する送風装置に異常が発生し、電池冷却性能が低下した場合に実施する異常時の温調制御について説明する。
図18に図示する場合は、第1送風装置140Aによる送風が不可能である異常時を想定している。この場合、制御装置は、第1送風装置140Aを制御することはできないが第2送風装置140Bを制御することにより電池パック1全体の電池冷却性能を確保しようとする。
異常時の温調制御について、その処理手順は、図19のフローチャートにしたがって実行される。図19に示すように、制御装置は、ステップ100で第1送風装置140Aに異常が発生しているか否かを判定する。ステップ100やステップ120では、送風装置に異常が発生したか否かは、例えば、消費電力、電流、ファンの回転数等を検出し、その検出値が正常状態の値とはかけ離れた値である場合に異常発生であると判定する。
ステップ100で第1送風装置140Aに異常が発生していると判定すると、次にステップ110で制御装置は、第2送風装置140Bによって送風される風量が正常時よりも増加するように第2送風装置140Bを制御し、本フローチャートを終了する。
これにより、第2循環通路130Bを循環する空気の流量は、第1内部フィン150Aを通過する空気の流量よりも相対的に大きくなる。この処理によれば、第2送風装置140Bによる増大した送風風量F2によって、複数の循環経路が形成できる。第1は、第2送風装置140B、第2内部フィン150B、天壁側通路133及び第2電池スタック120Bを順に経由して第2送風装置140Bに戻る経路である。第2は、天壁側通路133で第1の経路から分岐して、第1電池スタック120A、連通通路8を順に経由して第2送風装置140Bに戻る経路である。第3は、第2送風装置140B、第1送風装置140A、及び連通通路8を順に経由して第2送風装置140Bに戻る経路である。第4は、第2送風装置140B、第1内部フィン150A、天壁側通路133、第1電池スタック120A、連通通路8を順に経由して第2送風装置140Bに戻る経路である。
このように第1電池スタック120A及び第2電池スタック120Bを流出した空気は、第2送風装置140Bに吸入され、一部が第1内部フィン150Aで放熱し、大部分が第2内部フィン150Bで放熱するので、十分に冷却されることになる。
天壁側通路133では、第2循環通路130Bを循環する空気(図18図示の太線)と第1内部フィン150Aを通過してきた空気とが混合するため、第1内部フィン150Aを通過後の空気を冷却することができる。第1内部フィン150Aを流れる空気は流量が小さいので、第1内部フィン150Aであまり放熱できないが、流量が大きい第2内部フィン150Bを流れる空気は十分な放熱によって温度低下する。このため、天壁側通路133での混合により、第1電池スタック120Aへ供給される空気の温度を低下させることができる。このように、第2送風装置140Bを流出した空気が各内部フィン、各電池スタックを経由して、第2送風装置140Bに集まる流れを形成することにより、第1電池スタック120Aにおける電池冷却性能を継続的に確保することができる。
一方、ステップ100で第1送風装置140Aに異常が発生していないと判定すると、次にステップ120で第2送風装置140Bに異常が発生しているか否かを判定する。
ステップ120で第2送風装置140Bに異常が発生していると判定すると、次にステップ125で制御装置は、第1送風装置140Aによって送風される風量が正常時よりも増加するように第1送風装置140Aを制御し、本フローチャートを終了する。
これにより、第1循環通路130Aを循環する空気の流量は、第2内部フィン150Bを通過する空気の流量よりも相対的に大きくなる。この処理によれば、第1送風装置140Aによる増大した送風風量F1によって、複数の循環経路が形成できる。第1は、第1送風装置140A、第1内部フィン150A、天壁側通路133及び第1電池スタック120Aを順に経由して第1送風装置140Aに戻る経路である。第2は、天壁側通路133で第1の経路から分岐して、第2電池スタック120B、連通通路8を順に経由して第1送風装置140Aに戻る経路である。第3は、第1送風装置140A、第2送風装置140B、及び連通通路8を順に経由して第1送風装置140Aに戻る経路である。第4は、第1送風装置140A、第2内部フィン150B、天壁側通路133、第2電池スタック120B、連通通路8を順に経由して第1送風装置140Aに戻る経路である。
このように第1電池スタック120A及び第2電池スタック120Bを流出した空気は、第1送風装置140Aに吸入され、一部が第2内部フィン150Bで放熱し、大部分が第1内部フィン150Aで放熱するので、十分に冷却されることになる。
天壁側通路133では、第1循環通路130Aを循環する空気と第2内部フィン150Bを通過してきた空気とが混合するため、第2内部フィン150Bを通過後の空気を冷却することができる。第2内部フィン150Bを流れる空気は流量が小さいので、第2内部フィン150Bであまり放熱できないが、流量が大きい第1内部フィン150Aを流れる空気は十分な放熱によって温度低下する。このため、天壁側通路133での混合により、第2電池スタック120Bへ供給される空気の温度を低下させることができる。このように、第1送風装置140Aを流出した空気が各内部フィン、各電池スタックを経由して、第1送風装置140Aに集まる流れを形成することにより、第2電池スタック120Bにおける電池冷却性能を継続的に確保することができる。
第6実施形態の電池パックによれば、制御装置は、一方の電池スタック120に対応する送風装置が停止した場合に、他方の電池スタック120に対応する送風装置を、送風風量が正常時の風量よりも増加するように制御する。この制御により、他方の電池スタック120に対応する送風装置から流出した空気を連通通路8を介して第1電池スタック120A及び第2電池スタック120Bのそれぞれに供給することができる。したがって、第6実施形態によれば、異常が発生した方の電池スタックの冷却性能が著しく低下することなく、さらに電池パック全体において電池温度の大きなばらつきが発生することも回避することができる。
(第7実施形態)
第7実施形態では、第5実施形態に対して他の形態である異常時の温度調節制御について図20を参照して説明する。図20において、第5実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成であり同様の作用効果を奏するものである。ここでは、第5実施形態との相違点のみ以下に説明する。
図20に図示する筐体110の内部に形成される第1循環通路130Aと第2循環通路130Bは、天壁側通路133と連通通路8とでのみで連通する構成である。つまり、第7実施形態の電池パックは、第5実施形態と異なり、第1送風装置140A及び第2送風装置140Bのそれぞれの吹出し口143cが側壁側通路132、側壁側通路132だけに直結されている構成である。
第7実施形態の電池パックでは、第5実施形態で図17を参照して説明した異常時の温度調節制御と同様の制御を行う。異常時の温度調節制御では、第1送風装置140Aを流出した風量F1の第1循環通路130Aを循環する空気と、第2送風装置140Bを流出した風量F2の第2循環通路130Bを循環する空気は、天壁側通路133と連通通路8でのみ混合する。
(第8実施形態)
第8実施形態では、第7実施形態に開示する筐体110の内部の通路構成において、いずれかの電池スタックに対応する送風装置に異常が発生して電池冷却性能が低下した場合に実施する異常時の温調制御について説明する。
図21に図示する場合は、第1送風装置140Aによる送風が不可能である異常時を想定している。この場合、制御装置は、第1送風装置140Aを制御することはできないが第2送風装置140Bを制御することにより電池パック1全体の電池冷却性能を確保する。
制御装置は、第1送風装置140Aに異常が発生していると判定すると、第2送風装置140Bによって送風される風量が正常時よりも増加するように第2送風装置140Bを制御する。これにより、第2送風装置140Bによる増大した送風風量F2によって、複数の循環経路が形成できる。第1は、第2送風装置140B、第2内部フィン150B、天壁側通路133及び第2電池スタック120Bを順に経由して第2送風装置140Bに戻る通常の第2循環通路130Bにしたがう経路である。第2は、途中の天壁側通路133で第1の経路から分岐して、第1電池スタック120A、連通通路8を順に経由して第2送風装置140Bに戻る経路である。
すなわち、天壁側通路133は、第1電池スタック120Aの電池間通路134と第2電池スタック120Bの電池間通路134との両方に連通する。このため、第1電池スタック120A及び第2電池スタック120Bを流出した空気は、ともに第2送風装置140Bに吸入され、すべて第2内部フィン150Bで放熱して冷却されることになる。このように、流量が大きい空気がすべて第2内部フィン150Bを通過することによって、十分な放熱を促して電池パック全体を効率的、かつ継続的に冷却することができる。
一方、制御装置は、第2送風装置140Bに異常が発生していると判定すると、第1送風装置140Aによって送風される風量が正常時よりも増加するように第1送風装置140Aを制御する。これにより、第1送風装置140Aによる増大した送風風量F1によって、複数の循環経路が形成できる。第1は、第1送風装置140A、第1内部フィン150A、天壁側通路133及び第1電池スタック120Aを順に経由して第1送風装置140Aに戻る通常の第1循環通路130Aにしたがう経路である。第2は、途中の天壁側通路133で第1の経路から分岐して、第2電池スタック120B、連通通路8を順に経由して第1送風装置140Aに戻る経路である。
この場合も、天壁側通路133は、第1電池スタック120Aの電池間通路134と第2電池スタック120Bの電池間通路134との両方に連通する。このため、第1電池スタック120A及び第2電池スタック120Bを流出した空気は、ともに第1送風装置140Aに吸入され、すべて第1内部フィン150Aで放熱して冷却されることになる。このように、流量が大きい空気がすべて第1内部フィン150Aを通過することによって、十分な放熱を促して電池パック全体を効率的、かつ継続的に冷却することができる。
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
前述の実施形態では、電池パックに含まれる電池スタックは、2個であるが、この個数に限定されない。すなわち、電池パックに含まれる電池スタックは、筐体110の内部において、少なくとも第1電池スタック120Aと第2電池スタック120Bとを備えるものである。
前述の実施形態では、筐体110は6面体、直方体を形成するが、この明細書の実施形態に含まれる筐体はこの形状に限定されない。例えば、筐体110は、6面を超える多面体であってもよいし、少なくとも一つの面が曲面を含む面であってもよい。また、筐体110は、天壁が湾曲面を含むドーム状に形成されてもよいし、筐体の縦断面形状が台形状を呈するものでもよい。また、筐体110において天壁は、底壁に対して対向する位置関係にある壁であり、その形状は平面、曲面のいずれの形状を含むものでもよい。また、筐体110において側壁は、底壁に対して交差する方向に底壁から延びる壁であってもよいし、天壁に対して交差する方向に天壁から延びる壁であってもよい。筐体110における天壁と側壁との境界部は角部を形成してもよいし、曲面を形成してもよい。筐体110における底壁と側壁との境界部は角部を形成してもよいし、曲面を形成してもよい。
前述の実施形態において、梁は3本用いるものとしたが、電池スタックの個数によっては梁を2本や4本以上としてもよい。
前述の実施形態において、各梁3,4は、中空の部材、中実の部材のいずれで構成してもよい。また、各梁3,4は、底壁とは別部材を底壁や側壁に固定して一体に形成してもよいし、底壁を筐体内に突出する凸部を形成することで各梁3,4を形成するようにしてもよい。
また、電池パックが備える各送風装置のファンには、シロッコファンの他、軸流式ファン、ターボファン等を用いることができる。
前述の実施形態における内部フィン及び外部フィンは、筐体110の壁に対して別体の部品であるフィンを固定したものでもよいし、筐体110の壁の一部をフィン形状に形成してフィンとするものでもよい。