以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
(第1実施形態)
本発明に係る第1実施形態の電池冷却装置1について図1〜図3を参照しながら説明する。図1〜図3は、電池冷却装置1における電池冷却のための空気流れを示すとともに、ケース2の内部の構成を示す概要図である。電池冷却装置1は、例えば内燃機関と電池に充電された電力によって駆動されるモータとを組み合わせて走行駆動源とするハイブリッド自動車、モータを走行駆動源とする電気自動車等に用いられる。電池冷却装置1に含まれる複数の電池は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池、有機ラジカル電池である。
電池冷却装置1は、複数の電池セル3と、複数個の電池セル3を収容するケース2と、流体駆動手段と、流体駆動手段から送られる流体を複数の流路に分ける複数流路形成手段と、を備える。ケース2の内部には、複数の電池セル3と、流体駆動手段の一例である送風機4とが収容されている。
複数の電池セル3は、複数個の電池積層体31,32を構成する。各電池積層体31,32は、間隔をあけて積層設置された所定個数の電池セル3を含み、隣接する電池セル3の上部に位置する電極端子30同士がバスバー300によって電気的に直列接続されることによりセル集合体を構成する。バスバー300は、導電性の金属板からなる放熱用部材である。電池積層体31と電池積層体32は、セルの積層方向が同じ方向であり、積層方向とは直交する方向に所定の間隔をあけて横に並ぶようにケース2の内部に設けられている。このようにしてケース2は、少なくとも一つの電池積層体を収容する。
各電池セル3は、例えば、電気絶縁性を有する樹脂または金属の外装ケースによって密閉の内部空間を形成し、扁平状の直方体をなす外形を呈する単電池である。電池セル3の外装ケースは、例えば、絶縁性を有するあらゆる樹脂または金属で形成される。樹脂の場合は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、塩化ビニル、フッ素系樹脂、PBT、ポリアミド、ポリアミドイミド、ABS樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、フェノール、エポキシ、アクリル等の樹脂を用いることができる。
各電池セル3には、正極端子及び負極端子からなる二つの電極端子30が外装ケースの一面から突出している。電極端子30の突出方向は、電池セル3の厚み方向や積層方向に対して直交する上方向である。電極端子30は、扁平状の直方体の主たる側面に直交する端面から突出する。この主たる側面は、隣り合う電池セルと対向する面であり、隣り合う電池セル3における主たる側面間には、冷却用の流体が流れる電池間通路が設けられている。電池積層体31には、隣り合う電池セル3間に電池間通路310が設けられている。電池積層体32には、隣り合う電池セル3間に電池間通路320が設けられている。
複数の電池セル3は、充電及び放電または温度調節に用いられる電子部品(図示せず)によって制御される。当該電子部品は、例えば、DC/DCコンバータ、送風部材を駆動するモータ、インバータによって制御される電子部品、各種の電子式制御装置等であり、ケース2の内部に収容するようにしてもよい。また、当該電子部品は、ケース2の内部に設置されることにより、流体の循環によって電池セル3とともに冷却することができる。また、ケース2の内部に、電池セル3の少なくとも電圧と温度とを監視するセル監視ユニット、ジャンクションボックス、サービスプラグ等を内蔵するようにしてもよい。
ケース2の内部には、送風機4によって強制的に流れる流体の循環経路をなす循環流路が形成されている。循環流路は、ケース2によって囲まれた内部空間に形成される流体が循環する流路である。循環流路は、送風機4によって送風された流体が電池セル3と熱交換した後、送風機4に吸い込まれる一連の流体の流通経路をなす。循環流路は、送風機4を起点として、第1の分岐流路610及び第1の側壁側流路611と、第2の分岐流路620及び第2の側壁側流路621と、各電池間通路310,320と、を連絡する一連の通路で構成される。
送風機4から送られる流体は、第1の分岐流路610と第2の分岐流路620とに分かれ、さらに第1の側壁側流路611と第2の側壁側流路621とのそれぞれを流れ、電池間通路310,320で合流して、送風機4の吸込み部420に吸い込まれる。このように、電池冷却用の流体は、送風機4を起点として複数に分岐した経路を通って電池間通路310,320を流れた後、再び送風機4に集まるようにケース2の内部空間を流通する。
送風機4は、ケース2に収容された複数個の電池セルを冷却する流体を、ケース2に構成された循環流路に循環させる流体駆動手段の一例である。電池冷却のための流体としては、例えば、空気、各種のガス、水、冷媒を用いることができる。送風機4は、循環流路に空気を強制的に循環させる流体駆動手段である。
送風機4は、モータ41と、モータ41により回転されるシロッコファン40と、シロッコファン40を内蔵するケーシング42とを備える。また、ケーシング42は、循環流路の一部である吸込み部420、吹出し部421を備える。送風機4は、制御装置によって制御される。各電池セル3は、電流が取り出される出力時及び充電される入力時に自己発熱する。電池監視ユニットは電池セル3の温度を常時モニターし、送風機4の運転はモニターされる電池セル3の温度に応じて制御される。
吸込み部420は、ケーシング42の吸込み口を構成し、シロッコファン40の回転軸方向に延びる通路でもあり、シロッコファン40によって吸い込まれる空気が通る。シロッコファン40は、ケース2の内部空間の下部であってケース2の側壁20に近接するように設置されている。モータ41は、側壁21とシロッコファン40との間に設置されている。シロッコファン40の回転軸は、ケース2の底壁23や天壁25に平行となる姿勢で設置される。
吸込み部420が構成する通路は、電池積層体31の電池セル3側に位置する通路であり、各電池間通路310に通じる。さらに各電池間通路310は、電池積層体32の各電池間通路320に通じる。空気が各電池間通路310,320を流れる方向は、空気が吸込み部420に吸い込まれる方向と同じである。したがって、各電池間通路310,320を流れる空気は、通気抵抗が小さく、送風機4の吸引力にしたがって、スムーズに送風機4に吸い込まれる。
さらにケーシング42は、吹出し部421を形成する。吹出し部421は、シロッコファン40の回転軸に直交するファンの遠心方向に延びる通路を構成する。吹出し部421は、吸込み部420に直交する方向に延びる通路である。したがって、吹出し部421は、ケース2の内部空間において下方に延びる通路の一部である。吹出し部421は、底壁23に近い部位で開口し、底壁23から突出する凸条部5の上方に設けられる。送風機4は、吹出し部421から、凸条部5に向けて空気を吹き出す。凸条部5は、底壁23からケース2の内方へ突出する突出部である。
電池冷却装置1は、ケース2の内部に複数流路形成手段を備える。複数流路形成手段は、送風機4から送られる空気を、少なくとも2つの壁面に接触させたのち電池セル3に接触させるように、複数の流路に分ける機能を果たす。凸条部5は、複数流路形成手段の一例であり、所定の突出高さと長さをする山形の突出部である。凸条部5は、互いに異なる方向に延びる少なくとも2つの傾斜面51と傾斜面52を有する切妻屋根状を呈する。
傾斜面51と傾斜面52は、鉛直方向または底壁23に対する傾斜角度が同等である。送風機4は、空気を凸条部5に向けて下方に送る。送風機4から凸条部5に向かって流れた空気は、凸条部5の頂部から下方に向かうにしたがい、傾斜面51及び傾斜面52のそれぞれに沿うように流れ、それぞれ底壁23の表面にならって流れる。
傾斜面51に沿って流下した空気は、側壁21の下部に向かって底壁23に沿うように延びる第1の分岐流路610を流れる。さらに空気は、第1の分岐流路610から、天壁25に向かって側壁21に沿うように上方に延びる第1の側壁側流路611を流れる。また、傾斜面52に沿って流下した空気は、側壁22の下部に向かって底壁23に沿うように延びる第2の分岐流路620を流れる。さらに空気は、第2の分岐流路620から、天壁25に向かって側壁22に沿うように上方に延びる第2の側壁側流路621を流れる。
したがって、凸条部5に向かった空気は、底壁23の表面を沿って反対向きの二方向に流れ、底壁23、側壁21、側壁22に接触しながら電池間通路310,320に向かうようになる。このように、電池冷却装置1は、複数流路形成手段によって分けられる複数の流路として、互いに逆向きの空気が流れる第1の分岐流路610と第2の分岐流路620を含む。
ケース2は、例えば、メンテナンスのために少なくとも一面を取り外し可能に構成された直方体状の筐体であり、樹脂成型品または金属製の鋼板でできている。金属は、例えばアルミニウム合金、亜鉛合金等である。樹脂には、ケース2としての硬度、強度が確保でき、かつ放熱性が確保できる材料を用いることができる。例えば、ポリカーボネート、ナイロン、超高分子量ポリエチレン、架橋ポリオレフィン等の耐衝撃性プラスチック、ガラス繊維等を含む繊維強化プラスチック、炭素繊維樹脂等を採用できる。
ケース2は、例えば少なくとも6面を有する箱体で構成できる。直方体状のケースである場合には、ケース2は、対向する関係にある底壁23及び天壁25と、これらを直交する関係にある側壁20、側壁21、側壁22及び側壁24とで形成される。側壁20と側壁24は対向する関係にあり、側壁21と側壁22は対向する関係にある。ケース2は、これら複数の壁部によって囲まれる密閉空間を形成する。また、ケース2の複数の壁面のうち、所定の壁面には、放熱面積を大きくするために凸部または凹部が形成されている。
ケース2は、凸条部5が設けられている底壁23の内面の裏側であって外部に露出する底壁23の外表面に第1の放熱促進部230を備える。第1の放熱促進部230は、外部への放熱を他の部位よりも促進する放熱促進手段であり、外部に露出する表面積を拡大するものである。第1の放熱促進部230は、第1の分岐流路610と第2の分岐流路620を流れる空気の熱を、底壁23を介して外部に効果的に放出する放熱手段である。第1の放熱促進部230は、その一例として、底壁23の外表面から突出する複数個の板状のフィンで構成することができる。
第1の分岐流路610と第2の分岐流路620を流れる空気の熱は、底壁23に熱伝達し、さらに底壁23から第1の放熱促進部230を熱伝導することで吸熱され、第1の放熱促進部230に接触する外部の空気に放熱される。送風機4から送風されたばかりの空気は、この熱経路によって、密閉空間(あるいは循環通路)を循環する途中で放熱促進される。
さらにケース2は、第1の放熱促進部230が設けられている外表面と隣接する他の面である側壁21,22の外表面のそれぞれに、外部に露出する表面積を拡大する第2の放熱促進部210,220を備える。第2の放熱促進部210,220は、第1の放熱促進部230と同様の機能を有する。第2の放熱促進部210は、第1の分岐流路610を経由し、さらに第1の側壁側流路611を流れる空気の熱を、側壁21を介して外部に効果的に放出する放熱手段である。第2の放熱促進部220は、第2の分岐流路620を経由し、さらに第2の側壁側流路621を流れる空気の熱を、側壁22を介して外部に効果的に放出する放熱手段である。第2の放熱促進部210,220は、その一例として、側壁21,22の外表面から突出する複数個の板状のフィンで構成することができる。
第1の側壁側流路611及び第2の側壁側流路621を流れる空気の熱は、それぞれ側壁21、側壁22に熱伝達し、さらに第2の放熱促進部210,220を熱伝導することで吸熱され、各放熱促進部210,220に接触する外部の空気に放熱される。送風機4から送風された空気は、第1の放熱促進部230に加え、第2の放熱促進部210,220による放熱経路によって、密閉空間(あるいは循環通路)を循環する途中で放熱促進される。
放熱促進部を構成する当該フィンは、底壁23、側壁21、側壁22の外表面の表面積を拡大させるための部材である。また、各フィンは、熱伝導性の高い材質で構成され、例えば、アルミニウム、銅、またはそれぞれの合金で形成される。
また、ケース2には、車両側にボルト締め等により固定するための取付部、及び機器収納ボックスを設けるようにしてもよい。当該機器ボックスには、各種センサからの電圧、温度等の検出結果が入力される電池監視ユニットと、当該ユニットと通信可能でDC/DCコンバータの電力授受や流体駆動手段の運転を制御する制御装置と、各機器を接続するワイヤハーネス等と、が収納される。電池監視ユニットは、各電池セル3の状態(温度、電圧等)を監視する電池の電子式制御ユニットであり、電池セル3と多数の配線によって接続されている。
ケース2の密閉空間に構成される循環通路は、第1の分岐流路610、第1の側壁側流路611、第2の分岐流路620、第2の側壁側流路621、及び各電池間通路310,320においてケース2の内壁面に対して露出する通路を構成する。すなわち、循環通路は、ほぼすべての部分においてケース2の内壁面に連通している。
送風機4が運転されると、送風機4の吹出し部421から凸条部5に向けて送風される。凸条部5に達した空気は、凸条部5の機能によって、第1の分岐流路610と第2の分岐流路620に分かれる。第1の分岐流路610を流れる空気は、底壁23に接触しながら側壁21に到達し、さらに側壁21に接触しながら第1の側壁側流路611を流れる。一方、第2の分岐流路620を流れる空気は、底壁23に接触しながら側壁22に到達し、さらに側壁22に接触しながら第2の側壁側流路621を流れる。第2の側壁側流路621及び第1の側壁側流路611を流れるそれぞれの空気は、送風機4の吸引力に導かれて、内部空間の中央に向けて流れる。そして、空気は、各電池間通路310、320に流入して各電池セル3に接触しながら流下する。
この循環する空気は、各電池間通路310,320を流れるときに、バスバー300及び電極端子30や各電池セル3の外表面から吸熱して各電池セルを冷却する。各電池セル3を冷却した空気は、それぞれ、送風機4の吸引力によって吸込み部420に集められ、再び吹出し部421から吹き出される。吹出し部421から吹き出された循環空気は、凸条部5に至り、再び第1の分岐流路610と第2の分岐流路620に分かれる。第1の分岐流路610を流れる空気は、第1の側壁側流路611に至り、第2の分岐流路620を流れる空気は、第2の側壁側流路621に至る。
このように密閉空間を循環する空気は、各電池セル3との熱交換時に吸熱した熱を、第1の分岐流路610と第2の分岐流路620を流れる際に、底壁23、第1の放熱促進部230を介してケース2の外部に放熱する。底壁23、第1の放熱促進部230を通して放出された熱は、自然対流によってケース2の外部に放熱される。さらに、空気は、第1の分岐流路610を経由して第1の側壁側流路611を流れる際に、側壁21、第2の放熱促進部210を介してケース2の外部に放熱する。また空気は、第2の分岐流路620を経由して第2の側壁側流路621を流れる際に、側壁22、第2の放熱促進部220を介してケース2の外部に放熱する。
したがって、底壁23、側壁21及び側壁22の全体が、ケース2内に収容された電池セル3の熱を外部に放出する際の放熱面として機能することになる。また、底壁23は、ケース2を形成する複数の壁面のうち、最も大きい表面積を有する壁面であることが好ましい。底壁23がケース2の壁面において表面積の最も大きい壁面であることにより、送風機4から送風された空気が最初に接触する壁部から外部への放熱効果を大きくすることができ、電池の効果的な冷却を実施できる。特に、送風機4から吹き出されたばかりの空気は、通気抵抗の影響を受けにくいため風量があまり低下していない。したがって、電池冷却装置1によれば、ケースの壁面を介した輻射放熱に関して、大きな放熱効果が得られるのである。
次に、第1実施形態の電池冷却装置1がもたらす作用効果について説明する。電池冷却装置1は、流体駆動手段と、流体駆動手段から送られる流体を、少なくとも2つの壁面に接触させたのち電池セル3に接触させるように、複数の流路に分ける複数流路形成手段と、を備える。
この構成によれば、流体駆動手段から送られる流体を複数の流路に分ける複数流路形成手段を有することにより、当該流体が電池セル3に接触して吸熱する前に、ケース2を構成する壁面のうち少なくとも2つの壁面に接触させる流体流れを形成できる。これにより、あまり流速が低下していない状態の流体をケース2の壁に接触させることができる。このため、流体駆動手段から送られる流体が電池セル3に到達する前に、ケース2の壁面を介した輻射放熱を促進できるので、外部への大きな放熱効果が得られる。
また、電池冷却装置1によれば、ケース2の壁面を放熱媒質として活用することができるので、外部へ放熱可能な表面積を確保でき、電池セル3の発熱を効果的に外部に排熱する熱経路を構築するこができる。
また、流体駆動手段は、複数の電池セル3とともにケース2の内部空間に設けられており、内部空間において循環する流体の流れを発生させる。複数流路形成手段によって分けられた複数の流路は、内部空間を循環する流体の循環通路の一部を構成する。この構成によれば、ケース2の内部空間において流体を循環し、かき混ぜ続けるため、循環の過程でケース2のあらゆる壁面に流体を接触させることが可能である。このように、ケース2の壁に接触する冷却用流体を多くすることができるため、外部への放熱面として機能するケース2の表面積を大きくすることができる。したがって、複数の電池セル3からの発熱を、ケース2の壁面全体を用いて積極的に外部へ輻射放熱させることができる。
また、ケース2の内部空間は密閉空間である。流体駆動手段は、複数の電池セル3とともに密閉空間に収容され、密閉空間において循環する流体の流れを発生させる。この構成によれば、ケース2内の密閉空間において流体を循環し、かき混ぜ続けるため、循環の過程でケース2のあらゆる壁面に流体を接触させることが可能である。このように、ケース2の外部との間で流体の出入りがないとともに、ケース2の壁に接触する冷却用流体を多くすることができるため、放熱面として機能するケース2の表面積を大きくすることができる。また、外部への騒音の低減、ケース2内への埃、湿気等の侵入を防止することができる。
また、複数流路形成手段によって分けられる当該複数の流路は、流体が互いに逆向きに流れる2つの流路(第1の分岐流路610と第2の分岐流路620)を含む。ここでいう流体が互いに逆向きに流れるとは、互いの流れのベクトルが180度の角度をなす場合ばかりでなく、互いに対向する2つのケース壁に向けて流体が流れるような向きに分かれる場合を含むものである。この構成によれば、流体駆動手段から送られたばかりの流体をケース2の内部空間において広範囲に供給することができる。したがって、複数の電池セル3からの発熱を、ケース2の広範囲わたる壁を介して積極的に外部へ輻射放熱させることができる。
また、複数流路形成手段は、ケース2の壁面から突出するように設けられた凸条部5で構成される。流体駆動手段から送られた流体は、凸条部5に向かって流れ、凸条部5によって少なくとも二方向に分かれて複数の流路を形成する。
この構成によれば、流体駆動手段から送られる流体を異なる二方向に分岐させて複数の流路を形成することを、ケース壁面に設けた突起物によって実現できる。したがって、複雑な構成、機構を要することなく、ケース壁面を介した輻射放熱を実施できる。また、凸条部5等の突起物を集熱部として機能させることも可能である。
また、凸条部5は、互いに異なる方向に延びる少なくとも2つの傾斜面51と傾斜面52を有する。流体駆動手段から凸条部5に向かって流れた流体は、傾斜面51及び傾斜面52のそれぞれに沿って流れて少なくとも二方向に分かれる。
この構成によれば、傾斜面51及び傾斜面52に沿った流体流れの分岐を行うことにより、流通抵抗を抑制することができるため、流速低下を抑制された流体をケース2の壁に接触させることができる。したがって、ケース2の内部空間に円滑な流体流れを形成できるので、ケース2の壁面を介した効果的な輻射放熱を実施できる。
また、凸条部5は、ケース2の一部を構成する底壁23から突出するように設けられる。流体駆動手段は、流体を凸条部5に向けて下方に送る。この構成によれば、流体駆動手段から送られる流体を異なる二方向に分岐させて複数の流路を形成することを、ケースの底壁に設けた突起物によって実現できる。したがって、複雑な構成、機構を要することなく、側壁を介した輻射放熱を実施できる。さらに、流体駆動手段から下方に向けて流体を送ることにより、重力を利用して流体を供給できる。これにより、流体の流速をあまり低下させることなく、ケース壁面に送ることができるので、ケース壁面を介した輻射放熱量を大きくでき、優れた放熱効率に貢献できる。
また、ケース2は、凸条部5が設けられている壁面の裏側であって外部に露出する外表面に、外部に露出する表面積を拡大する第1の放熱促進部230を備える。この構成によれば、循環流体が、当該複数の流路を構成する第1の分岐流路610、第2の分岐流路620を流れる際に、底壁23を通じてケース2の外部に放熱する放熱経路を構築できる。このように、流体駆動手段から送られたばかりの流量が低下していない流体の熱を、底壁23を通して第1の放熱促進部230から放出できる。このため、高い輻射放熱効率を備えた電池冷却装置1を提供できる。
また、ケース2は、第1の放熱促進部230が設けられている外表面と隣接する他の面である外表面に、外部に露出する表面積を拡大する第2の放熱促進部210,220をさらに備える。この構成によれば、流体駆動手段から送られた流体が電池セル3に接触する前に、ケース壁を介して第2の放熱促進部210,220から放出できる。このため、さらに高い輻射放熱効率を備えた電池冷却装置1を提供できる。
また、ケース2の内部に形成した密閉空間を循環する循環流によって、電池セル3を冷却するため、送風機4等から発生する騒音がケース2の外部へ伝搬することを抑制することができる。さらに、循環流によって、ケース2の内部を十分にかき混ぜることができるため、電池セル3に対する吸熱効果を高めることが可能である。
さらに、ケース2の密閉空間に設けられた循環通路は、ケース2を形成する複数の壁面に囲まれている。このように、循環通路を取り囲むケース2の複数の壁面を放熱媒質として活用することができるので、外部への放熱面積を大きくでき、ケース2の外部へ放熱を促進することができる。これにより、電池セル3の発熱を効果的にケース2の外部に排熱する熱経路を構築するこができる。すなわち、ケース2の壁面全体を放熱面積として活用する効果的な電池冷却を実現できる。
また、密閉空間を循環する流体が上記の互いに逆向きに流れる2つの流路(第1の分岐流路610と第2の分岐流路620)を流れる際に接触する壁面(底壁23)は、ケース2の複数の壁面のうち、最も大きい表面積を有する壁面であることが好ましい。この構成によれば、流体駆動手段から送られる勢いのある流体が最初に接触する壁面がケース2の壁面において表面積の最も大きい壁面である。これによれば、外部への放熱効果を大きくでき、さらなる電池冷却効果が図れる。なお、このケース2は、最も大きい表面積である壁面が一つである場合に限られず、複数ある場合も含まれるものとする。
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態の他の形態である電池冷却装置101について図4及び図5を参照して説明する。図4、図5において、第1実施形態と同様の構成であるものは同一の符号を付し、同様の作用、効果を奏するものである。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。また、第2実施形態において第1実施形態と同様の構成を有するものは、第1実施形態で説明した同様の作用、効果を奏するものとする。
電池冷却装置101は、第1実施形態に対して、複数流路形成手段である凸条部105が設けられる位置、送風機104によって凸条部105へ送られる空気の方向が相違する。
ケース102の内部には、送風機104によって強制的に流れる空気の循環経路をなす循環流路が形成されている。循環流路は、ケース102によって囲まれた内部空間に形成される空気が循環する流路である。循環流路は、送風機104によって送風された空気が電池セル3と熱交換した後、送風機104に吸い込まれる一連の空気の流通経路をなす。循環流路は、送風機104を起点として、第1の分岐流路610及び第1の側壁側流路611と、第2の分岐流路620及び第2の側壁側流路621と、各電池間通路310,320と、積層体間通路33と、を連絡する一連の通路で構成される。積層体間通路33は、電池積層体31と電池積層体32との間に設けられた通路であり、送風機104の吸込み部1420まで積層方向に延びている。
送風機104から送られる空気は、第1の分岐流路610と第2の分岐流路620とに分かれ、さらにそれぞれ第1の側壁側流路611、第2の側壁側流路621を流れる。そして、空気は、第1の側壁側流路611から電池間通路310へ、第2の側壁側流路621から電池間通路320へ、それぞれ流れ、積層体間通路33で合流して、送風機104の吸込み部1420に吸い込まれる。このように、電池冷却用の流体は、送風機104を起点として複数に分岐した経路を通って電池間通路310,320を流れた後、合流して再び送風機104に集まるようにケース2の内部空間を流通する。
送風機104は、流体駆動手段の一例であり、モータと、モータにより回転される軸流ファン140と、軸流ファン140の周囲を取り囲むケーシング142とを備える。また、ケーシング142は、循環流路の一部である吸込み部1420、吹出し部1421を備える。電池監視ユニットは電池セル3の温度を常時モニターし、送風機104の運転はモニターされる電池セル3の温度に応じて制御される。
吸込み部1420は、ケーシング42の吸込み口を構成し、軸流ファン140の回転軸方向に延びる通路である。軸流ファン140は、ケース102の内部空間の上下方向の中ほどまたは下部寄りであってケース102の側壁20に近接するように設置されている。軸流ファン140の回転軸は、ケース102の底壁23や天壁25に平行となる姿勢で設置される。
吸込み部1420が構成する通路は、電池セル3側に位置する通路であり、積層体間通路33に通じる。さらに積層体間通路33は、各電池間通路310,320に通じる。各電池間通路310,320を流れる空気は、積層体間通路33に集まる。そして、空気が積層体間通路33を流れる方向は、空気が吸込み部1420に吸い込まれる方向と同じである。したがって、積層体間通路33に集合した空気は、通気抵抗が小さく、送風機104の吸引力にしたがって、スムーズに送風機104に吸い込まれる。
さらにケーシング142は、吹出し部1421を形成する。吹出し部1421は、軸流ファン140の回転軸の軸方向に延びる通路を構成する。吹出し部1421は、吸込み部1420と同方向に延びる通路をなす。したがって、吹出し部1421は、ケース2の内部空間において側壁20に向かって側方に延びる通路の一部である。吹出し部1421は、側壁20に近い部位で開口し、側壁20から突出する凸条部105に対して内部空間の中央寄りに設けられる。送風機104は、吹出し部1421から、凸条部105に向けて空気を吹き出す。凸条部105は、側壁20からケース102の内方へ突出する突出部である。
凸条部105は、複数流路形成手段の一例であり、所定の突出高さと長さをする山形の突出部である。凸条部105は、互いに異なる方向に延びる少なくとも2つの傾斜面1051と傾斜面1052を有する切妻屋根状を呈する。傾斜面1051と傾斜面1052は、側壁20に対する傾斜角度が同等である。送風機104は、空気を凸条部105に向けて側方、例えば側壁20に垂直な方向に送る。送風機104から凸条部105に向かって流れた空気は、凸条部105の頂部から側壁20に向かうにしたがい、傾斜面1051及び傾斜面1052のそれぞれに沿うように流れ、それぞれ側壁20の表面にならって流れる。
傾斜面1051に沿って流下した空気は、側壁21に向かって側壁20に沿うように延びる第1の分岐流路610を流れる。さらに空気は、第1の分岐流路610から、側壁21に沿うように延びる第1の側壁側流路611を流れる。また、傾斜面1052に沿って流下した空気は、側壁22に向かって側壁20に沿うように延びる第2の分岐流路620を流れる。さらに空気は、第2の分岐流路620から、側壁22に沿うように延びる第2の側壁側流路621を流れる。
したがって、凸条部105に向かった空気は、側壁20の表面を沿って反対向きの二方向に流れ、側壁20、側壁21、側壁22に接触しながら電池間通路310,320に向かうようになる。また、空気は第1の分岐流路610、第2の分岐流路620、第1の側壁側流路611、第2の側壁側流路621のそれぞれを流れる過程で底壁23にも接触しうる。このように、電池冷却装置101は、複数流路形成手段によって分けられる複数の流路として、互いに逆向きの空気が流れる第1の分岐流路610と第2の分岐流路620を含む。
ケース102は、凸条部105が設けられている側壁20の内面の裏側であって外部に露出する側壁20の外表面に第1の放熱促進部200を備える。第1の放熱促進部200は、外部への放熱を他の部位よりも促進する放熱促進手段であり、外部に露出する表面積を拡大するものである。第1の放熱促進部200は、第1の分岐流路610と第2の分岐流路620を流れる空気の熱を、側壁20を介して外部に効果的に放出する放熱手段である。第1の放熱促進部200は、その一例として、側壁20の外表面から突出する複数個の板状のフィンで構成することができる。また、各フィンは、熱伝導性の高い材質で構成され、例えば、アルミニウム、銅、またはそれぞれの合金で形成される。
第1の分岐流路610と第2の分岐流路620を流れる空気の熱は、側壁20に熱伝達し、さらに側壁20から第1の放熱促進部200を熱伝導することで吸熱され、第1の放熱促進部200に接触する外部の空気に放熱される。送風機104から送風されたばかりの空気は、この熱経路によって、密閉空間(あるいは循環通路)を循環する途中で放熱促進される。
第1の側壁側流路611及び第2の側壁側流路621を流れる空気の熱は、それぞれ側壁21、側壁22に熱伝達し、さらに第2の放熱促進部210,220を熱伝導することで吸熱され、各放熱促進部210,220に接触する外部の空気に放熱される。送風機104から送風された空気は、第1の放熱促進部200に加え、第2の放熱促進部210,220による放熱経路によって、密閉空間(あるいは循環通路)を循環する途中で放熱促進される。
送風機104が運転されると、送風機104の吹出し部421から凸条部105に向けて送風される。凸条部105に達した空気は、凸条部105の機能によって、第1の分岐流路610と第2の分岐流路620に分かれる。第1の分岐流路610を流れる空気は、側壁20に接触しながら側壁21に到達し、さらに側壁21に接触しながら第1の側壁側流路611を流れる。一方、第2の分岐流路620を流れる空気は、側壁20に接触しながら側壁22に到達し、さらに側壁22に接触しながら第2の側壁側流路621を流れる。第1の側壁側流路611及び第2の側壁側流路621を流れるそれぞれの空気は、送風機4の吸引力に導かれて、内部空間の中央に向けて流れる。そして、それぞれ空気は、電池間通路310、電池間通路320に流入して各電池セル3に接触する。
この循環する空気は、各電池間通路310,320を流れるときに、バスバー300及び電極端子30や各電池セル3の外表面から吸熱して各電池セル3を冷却する。各電池セル3を冷却した空気は、それぞれ、送風機104の吸引力によって積層体間通路33に集められた後、吸込み部1420に吸い込まれ、再び吹出し部1421から吹き出される。吹出し部1421から吹き出された循環空気は、凸条部105に至り、再び第1の分岐流路610と第2の分岐流路620に分かれる。第1の分岐流路610を流れる空気は、第1の側壁側流路611に至り、第2の分岐流路620を流れる空気は、第2の側壁側流路621に至る。
このように密閉空間を循環する空気は、各電池セル3との熱交換時に吸熱した熱を、第1の分岐流路610と第2の分岐流路620を流れる際に、側壁20、第1の放熱促進部200を介してケース102の外部に放熱する。側壁20、第1の放熱促進部200を通して放出された熱は、自然対流によってケース102の外部に放熱される。さらに、空気は、第1の分岐流路610を経由して第1の側壁側流路611を流れる際に、側壁21、第2の放熱促進部210を介してケース102の外部に放熱する。また空気は、第2の分岐流路620を経由して第2の側壁側流路621を流れる際に、側壁22、第2の放熱促進部220を介してケース102の外部に放熱する。
したがって、側壁20、側壁21及び側壁22の全体が、または底壁23を加えた壁全体が、ケース102内に収容された電池セル3の熱を外部に放出する際の放熱面として機能することになる。特に、送風機104から吹き出されたばかりの空気は、通気抵抗の影響を受けにくいため風量があまり低下していない。したがって、電池冷却装置101によれば、送風機104から吹き出された空気が電池セル3に到達する前に、ケース102の壁面を介して輻射放熱されるため、大きな放熱効果が得られるのである。
電池冷却装置101によれば、凸条部105は、ケース102の一部であって、上下に延びる面をなす側壁20から突出するように設けられる。流体駆動手段は、冷却用の流体を凸条部105に向けて側方に送る。この構成によれば、流体駆動手段から送られる流体を異なる二方向に分岐させて複数の流路を形成することを、ケースの側壁に設けた突起物によって実現できる。したがって、複雑な構成、機構を要することなく、側壁を介した輻射放熱を実施できる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態の他の形態である電池冷却装置201について図6及び図7を参照して説明する。図6、図7において、第1実施形態と同様の構成であるものは同一の符号を付し、同様の作用、効果を奏するものである。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態、第2実施形態と同様である。以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。また、第3実施形態において第1実施形態、第2実施形態と同様の構成を有するものは、第1実施形態、第2実施形態で説明した同様の作用、効果を奏するものとする。
電池冷却装置201は、第1実施形態に対して、複数流路形成手段である凸条部205が設けられる位置、送風機によって凸条部205へ送られる空気の方向が相違する。
ケース202の内部には、2個の送風機4A,4Bによって強制的に流れる空気の循環経路をなす循環流路が形成されている。循環流路は、ケース202によって囲まれた内部空間に形成される空気が循環する流路である。循環流路は、各送風機204によって送風された空気が電池セル3と熱交換した後、送風機4A,4Bのそれぞれに吸い込まれる一連の空気の流通経路をなす。循環流路は、2個の送風機4A,4Bを経由して形成される流路によって構成される。各送風機4A,4Bは、第1実施形態の送風機4と同様の構成を有する。
第1の送風機4Aの吸込み部420が構成する通路は、電池積層体31側に位置し、電池間通路310に通じる。第1の送風機4Aの吹出し部421は、ケース102の内部空間において側壁20に向かって側方に延びる通路の一部である。第1の送風機4Aは、側壁20から突出する凸条部205に向けて空気を吹き出す。
第2の送風機4Bの吸込み部420が構成する通路は、電池積層体31側に位置し、電池間通路310に通じる。第2の送風機4Bの吹出し部421は、ケース102の内部空間において側壁24に向かって側方に延びる通路の一部である。第2の送風機4Bは、側壁24から突出する凸条部205に向けて空気を吹き出す。
凸条部205は、複数流路形成手段の一例であり、所定の突出高さと長さをする山形の突出部である。凸条部205は、互いに異なる方向に延びる少なくとも2つの傾斜面2051と傾斜面2052を有する切妻屋根状を呈する。傾斜面2051と傾斜面2052は、側壁20や側壁24に対する傾斜角度が同等である。送風機4A,4Bから凸条部205に向かって流れた空気は、凸条部205の頂部から側壁20,24に向かうにしたがい、傾斜面2051及び傾斜面2052のそれぞれに沿うように流れ、側壁20,24の表面にならって流れる。
第1の送風機4Aは、電池積層体31の各電池間通路310を流出した空気を吸い込み、側壁20に向かって空気を吹き出す。第2の送風機4Bは、電池積層体32の各電池間通路320を流出した空気を吸い込み、側壁24に向かって空気を吹き出す。
第1の送風機4Aから側壁20へ吹き出された空気は、凸条部205によって傾斜面2051に沿って流下する流れと傾斜面2052に沿って流下する流れとに分かれる。傾斜面2051に沿って流下した空気は、側壁21に向かって側壁20に沿うように延びる第1の分岐流路610を流れる。傾斜面2052に沿って流下した空気は、側壁22に向かって側壁20に沿うように延びる第2の分岐流路620を流れる。さらに空気は、第1の分岐流路610から、側壁21に沿うように延びる第1の側壁側流路611を流れる。さらに空気は、第2の分岐流路620から、側壁22に沿うように延びる第2の側壁側流路621を流れる。
そして、空気は、第1の側壁側流路611から電池間通路320へ、第2の側壁側流路621から電池間通路310へ、それぞれ流れる。電池間通路320を流出した空気は、吸込み部420から第2の送風機4Bに吸い込まれる。また、電池間通路310を流出した空気は、吸込み部420から第1の送風機4Aに吸い込まれる。
第2の送風機4Bから側壁24へ吹き出された空気は、凸条部205によって傾斜面2051に沿って流下する流れと傾斜面2052に沿って流下する流れとに分かれる。傾斜面2051に沿って流下した空気は、側壁21に向かって側壁20に沿うように延びる第1の分岐流路610Aを流れる。傾斜面2052に沿って流下した空気は、側壁22に向かって側壁20に沿うように延びる第2の分岐流路620Aを流れる。さらに空気は、第1の分岐流路610Aから、側壁21に沿うように延びる第1の側壁側流路611Aを流れる。さらに空気は、第2の分岐流路620Aから、側壁22に沿うように延びる第2の側壁側流路621Aを流れる。
そして、空気は、第1の側壁側流路611Aから電池間通路320へ、第2の側壁側流路621Aから電池間通路310へ、それぞれ流れる。電池間通路320を流出した空気は、吸込み部420から第2の送風機4Bに吸い込まれる。また、電池間通路310を流出した空気は、吸込み部420から第1の送風機4Aに吸い込まれる。
このように、電池冷却用の流体は、各送風機を起点として複数に分岐した経路を通って電池間通路310,320を流れた後、いずれかの送風機に集まるようにケース102の密閉空間を流通する。
(第4実施形態)
第4実施形態では、上記の各実施形態の他の形態である複数流路形成手段について図8〜図11を参照して説明する。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、上記の各実施形態と同様である。以下、上記の各実施形態と異なる点についてのみ説明する。上記の各実施形態に係る複数流路形成手段は、以下に説明する複数流路形成手段に置き換えることが可能である。
第4実施形態に係る複数流路形成手段の第1例は、図8に図示するとおりである。第1例の凸条部305は、複数流路形成手段の一例であり、所定の突出高さと長さをする山形の突出部である。凸条部305は、互いに異なる方向に延びる2つの傾斜面3051と傾斜面3052を有する切妻屋根状を呈する。
傾斜面3051と傾斜面3052は、ケースの壁面に対する傾斜角度が異なっている。傾斜面3052の方が傾斜面3051よりもケースの壁面に対する角度が大きく設定されている。この構成によれば、第1実施形態の凸条部5の場合と異なり、送風機から凸条部305に向かって流れる流量FLは、等分量に分かれない。例えば、ケースの壁面に対する傾斜角度が小さい方の傾斜面3052に沿って流れる流量FAは、傾斜面3051に沿って流れる流量FBよりも大きくなる。傾斜面3052の方が、流量FLの流体を受ける面積が大きいからである。このように第1例の凸条部305によれば、複数の流路に分かれる流体の分配量に差をつけることができるのである。
次に、第4実施形態に係る複数流路形成手段の第2例は、図9に図示するとおりである。第2例の凸条部405は、複数流路形成手段の一例であり、所定の突出高さと長さをする山形の突出部である。凸条部405は、互いに異なる方向に延びる2つの傾斜面4051と傾斜面4052を有する切妻屋根状を呈する。
傾斜面4051と傾斜面4052はともに、その表面積が、凸条部405の延びる方向について、一方側が他方側よりも大きく設定される形状をなす。すなわち、凸条部405は、一方端から他方端にかけて先細り状の傾斜面を呈する。
この構成によれば、第1実施形態の凸条部5の場合と異なり、一方側の傾斜面に沿って流れる流量FCの方が、他方側の傾斜面に沿って流れる流量FDよりも大きくなる。したがって、一方側で傾斜面に沿って流れた流体がケースの壁面に沿って他方側に流れ込むようになる。
次に、第4実施形態に係る複数流路形成手段の第3例は、図10に図示するとおりである。第3例の凸条部505は、複数流路形成手段の一例であり、所定の突出高さと長さをする山形の突出部である。凸条部505は、互いに異なる方向に延びる4つの傾斜面5051、傾斜面5052、傾斜面5053、及び傾斜面5053を有する寄棟構造の形状を呈する。例えば、凸条部505は、ケースの壁面から四角錐の立体が突出するような形状である。
凸条部505の構成によれば、第1実施形態の凸条部5の場合と異なり、送風機から送られた流体は、各傾斜面に沿って流れるため、凸条部505によって放射状に分かれて、ケース壁面に沿って流れるようになる。
次に、第4実施形態に係る複数流路形成手段の第4例は、図11に図示するとおりである。第4例の送風機204は、複数流路形成手段の一例であり、異なる方向に向けて開口する吹出し部2421,2421Aを備える。
送風機204は、図示しないモータと、モータにより回転される遠心ファンと、遠心ファンを内蔵するケーシング242とを備える。また、ケーシング242は、循環流路の一部である吸込み部2420、2個の吹出し部2421及び吹出し部2421Aを備える。吸込み部2420は、ケーシング242の吸込み口を構成し、遠心ファンの回転軸方向に延びる通路でもあり、遠心ファンによって吸い込まれる空気が通る。
吹出し部2421及び吹出し部2421Aは、遠心ファンの回転軸に直交するファンの遠心方向に延びる通路を構成する。吹出し部2421及び吹出し部2421Aは、それぞれ吸込み部2420に直交する方向に延びる通路である。吹出し部2421及び吹出し部2421Aは、ケーシング242の周面において異なる位置に設けられる開口部である。したがって、送風機204は、吸込み部2420から吸い込んだ流体の流量FLを、吹出し部2421からの流量FEと吹出し部2421Aからの流量FFとに分配して、異なるに方向に向けて吹き出すことができる。
このように送風機204によれば、複数流路形成手段は、流体を少なくとも2つのケース壁面に向けて異なる方向に送る流体駆動手段によって構成される。この構成によれば、送風機204は、流体を異なる二方向に送ることができるので、複数の流路に分岐させる流れを、流体駆動手段によって実現できる。さらに、複数流路形成機能と流体駆動機能とを併せ持った手段を備えることにより、複雑な構成、機構を要することなく、側壁を介した輻射放熱を実施することができる。
(第5実施形態)
第5実施形態では、上記の各実施形態の他の形態である複数流路形成手段について図12及び図13を参照して説明する。第5実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、上記の各実施形態と同様である。以下、上記の各実施形態と異なる点についてのみ説明する。上記の各実施形態に係る複数流路形成手段は、以下に説明する複数流路形成手段に置き換えることが可能である。
第5実施形態に係る複数流路形成手段の第1例は、図12に図示するように、断面L字状の別体の部材をケースの底壁23に固着することにより、凸条部605を構成する形態である。凸条部605の底壁23への固着は、各種の溶接、接着等を採用することができる。凸条部605は、底壁23に接地する基台部6050と、基台部6050から垂直方向に延びる立壁部6051とを有する部材である。
第5実施形態に係る複数流路形成手段の第2例は、図13に図示するように、ケースの壁(例えば、底壁23)を内方に突出させるように凹ますことにより、凸条部705を構成する形態である。凸条部705は、ケースの壁を作製する際に、プレス加工、一体成型等に用いることで作製することができる。ケース壁を内部空間側に凹ませた凸条部705は、互いに異なる方向に延びる2つの傾斜面7052と傾斜面7052を有する切妻屋根状を呈する。また、ケース壁を内部空間側に凹ませる形状を調整することで、傾斜面7051と傾斜面7052は、底壁23に対する傾斜角度が同等になるように形成できるし、いずれか一方を大きくすることもできる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものである。
上記実施形態において、ケース2,102,202の内部には、送風機4,104が収容されているが、本発明に含まれる電池冷却装置は、送風機がケースの内部に接地されている形態に限定されない。送風機は、複数流路形成手段が上述する機能を発揮できるように複数流路形成手段に対して空気を送風するものであれば、ケースの内部に接地されないものでもよい。
上記実施形態における流体駆動手段のファンには、シロッコファン、軸流ファンの他、ターボファン、クロスフローファン等を用いることができる。
上記実施形態のケースにおいて、最も表面積の大きい壁面は、ケースの底壁に相当するが、当該壁面は、天壁面や底壁面に限定されず、側壁面やその他の面であってもよい。
上記実施形態における、第1の放熱促進部230、第2の放熱促進部210,220は、図示するフィンの形態に限定されるものではない。各放熱促進部230,210,220は、壁の内面を通過する流体から伝わる熱を、壁の外表面からの外部放熱よりも大量に放出可能な構成であれば、種々の形態を適用できる。各放熱促進部は、フィンでなくてもよく、例えば、内部空気よりも低温の流体を壁の外表面に間接的または直接的に接触させることによる熱交換方式であってもよい。
上記実施形態におけるバスバー300には、電池セル3の放熱手段として、放熱面積を拡大するフィンを設けるようにしてもよい。このフィンは、バスバー300を構成する銅部材を鍛造したり切り起こしたりして形成することができる。また、バスバー300に別体のフィンを接合、例えば溶接するようにしてもよい。