JP5016754B2 - 電池用セパレータ、その製造方法およびそれを用いた電池 - Google Patents
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Description
本発明は、電池用セパレータおよびそれを用いた電池に関し、さらに詳しくは、過充電時、高温時やデンドライト生成による電池の発火を防止することができ、フッ化水素酸(HF)の発生の原因となる水を捕捉し、フッ化水素酸(HF)が発生した場合でもこれを捕捉し電池の容量劣化やサイクル劣化を防止することができる良好なセパレータ特性を有する電池用セパレータおよびそれを用いた電池特性が良好な電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器のコードレス化などに対応するための電池として、高エネルギー密度、高起電力および自己放電の少なさなどから非水系2次電池、特に、リチウム2次電池が注目を浴びている。
【0003】
非水系2次電池における正極材および負極材は、通常、電極材本体、すなわち、集電体としての金属箔の表面に活物質を担持させて構成される。例えば、リチウム2次電池の負極材としては、銅箔に、リチウム単体粒子、リチウムとアルミニウムなどとの合金粒子、カーボンやグラファイトなどのリチウムイオンを吸着または吸収する材料の粒子、リチウムイオンをドーピングした導電性高分子材料の粒子を活物質として付着させたものが知られている。また、正極材としては、アルミニウム箔に、例えば(CF)nの組成式で示されるフッ化黒鉛粒子、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2、MnO2、V2O5、CuO、Ag2CrO4などの金属酸化物粒子、CuSなどの金属硫化物粒子を活物質として付着させたものが知られている。
【0004】
また、リチウム2次電池では、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、ジエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートなどの有機溶媒に、LiPF6、LiCF3SO3、LiClO4、LiBF4、LiN(C2F5SO2)2、LiPF3(C2F5)3などを電解質とする非水系の電解液が使用されている。
【0005】
セパレータとして、特開平6−325747号公報に、極限粘度(η)が5dl/g以上の高分子量ポリエチレンからなる微多孔性膜が開示されている。リチウム1次・2次電池などの電池セパレータとして、特開平6−163023号公報には、ポリエチレンとエチレン−プロピレンラバーの混合物からなる微孔性多孔膜が開示されている。
【0006】
ところで、充電状態の電池は、エネルギーの高い状態にあるので、正常でない状態になると、発熱や発火などを起こす危険があり、例えば、リチウム2次電池では、何らかの原因で電池温度が上昇すると、それをきっかけに電池が自己発熱し、電池温度がさらに上昇するという熱暴走の恐れがある。これを防ぐために電池の自己発熱原因を減少させる努力が必要となっている。電池の自己発熱原因の一つとして、例えば、電解液と正極との反応がある。基本的に電池系では、正極の電位より高い分解電位を有する電解液が選択されるので、通常の状態では、電解液と正極との反応は起こらない。しかし、過充電時のように正極の電位が強制的に上昇させられると、発熱を伴った電解液の酸化反応、すなわち電池の自己発熱が起こり、発煙や発火などが起こる恐れが生じてくる。このように、リチウム2次電池は、使用法を誤ったりすると、発熱、発煙、発火などの危険な状態となる。
【0007】
そのため、リチウム2次電池においては、過充電時及び高温下での発火などを回避するために、(a)閉孔(シャットダウン)温度を下げる、(b)破膜(メルトダウン)温度を上げる、(c)デントライトの発生を抑制する、(d)レドックスシャトル反応を生じる化合物を電解液に添加する、(f)ある種の化合物をセパレータの多孔質基材に付着させる等の対策がなされている。
【0008】
しかしながら、(a)の閉孔(シャットダウン)の問題は、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンからなる多孔質体をセパレータとして使用した場合には、ポリオレフィンの融点に電池温度が達すると、セパレータが溶融して孔が塞がれ、絶縁フィルムに変わるので特別な手当は要しない。
【0009】
(b)の破膜(メルトダウン)の問題については、破膜温度を上げるためにポリプロピレンをポリエチレンに積層したセパレータが開発されているが、生産性の悪いなどの問題点がある。
【0010】
(c)のデントライトの問題については、ある種の化合物を電解液に添加し、その生成を抑制する試みがなされているが、そのような電解液はその保存性が悪いという問題がある。なお、ポリオレフィン多孔質フィルムの空孔部表面に酸化珪素を主成分とする無機薄膜を形成してなる多孔質フィルムが、特開平10−172531号公報に開示されているが、この多孔質フィルムが貫通を阻止しようとしている物質は、電池作成において電極材から離脱した導電性微粒子であり、そのセパレータ貫通力はデンドライトの貫通力ほど大きくなく、デンドライトが発生した場合のセパレータ貫通阻止には不十分である。
【0011】
(d)のレドックスシャトル反応を生じる化合物を電解液に添加する試みも、電解液はその保存性が悪いという問題がある。(f)のある種の化合物をセパレータの多孔質基材に付着させる試みは、再公表WO98/32184号公報では、多孔質基材に、有機珪素化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、或いは有機ジルコアルミネート化合物から選ばれる有機金属化合物を付着させている。
【0012】
また、リチウム電池では、上記の発火問題以外にも、電解液中にフッ化水素酸(HF)が発生する問題がある。
この原因は、電極やセパレータに吸着している水分と、電解質にLiPF6、LiCF3SO3、LiBF4、LiN(C2F5SO2)2、LiPF3(C2F5)3等を用いている場合には、水と電解質が反応してフッ化水素酸(HF)を発生させるためであり、ここでフッ化水素酸(HF)の捕捉の手段が必要となり、フッ化水素酸(HF)は、リチウムや正極活物質と反応してリチウムイオンを消費したり、正極活物質の構造を破壊し、容量劣化やサイクル劣化の原因となるので、捕捉して電池特性の劣化を抑える必要がある。
【0013】
水については、電解液の製造過程では、モレキュラーシーブや無水硫酸カルシウムなどを用いて電解液を脱水し、数10ppmオーダーにまで水分含有量をさげているが、容器の気密性や保存環境が悪いと水分が侵入してくるので、本質的な解決手段とはならない。また、フッ化水素酸(HF)については、電解液の添加剤にフッ化水素酸(HF)対して優先的に反応する炭酸リチウム、水酸化リチウムを配合することによる改良がなされているが、そのような電解液はその保存性が悪いという問題もある。
しかしながら、上記の多数の問題点に対して、多数の解決手段が提案されてきたにも拘わらず、未だ充分な、高温度時、過充電時に、電池の自己発熱が起こらない、すなわち電池の発火が生じず、しかもフッ化水素酸(HF)を捕捉できる電解液やセパレータは見当らない。
こうした状況下、良好なセパレータ物性を有し、高温下でセパレータ形状を維持でき且つ電極の発熱による温度上昇を抑制し、電池の自己発熱原因を減少させ、電池の発火を防止し容量変化やサイクル劣化を生じない電池用セパレータ及びそれを用いた電池の開発が切望されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような状況に鑑み、リチウム2次電池のような2次電池において、高温時、過充電やデンドライト生成による電池の発火を防止することができ、フッ化水素酸(HF)の発生の原因となる水を捕捉し、フッ化水素酸(HF)が発生した場合でもこれを捕捉し電池の容量劣化やサイクル劣化を防止することができる良好なセパレータ特性を有する電池用セパレータ及びそれを用いた電池特性が良好な電池を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン微多孔膜の片面または両面に、Si−N結合を有する化合物の薄膜を形成することにより、電池が高温下に置かれた場合や電池の過充電時に、電極の発熱を抑制し、電池の発火を防止できること、さらには水とフッ化水素酸(HF)を捕捉できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリオレフィン微多孔膜の片面または両面に、Si−N結合を有する化合物からなる薄膜が形成されてなることを特徴とする電池用セパレータが提供される。
【0017】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、上記Si−N結合を有する化合物が、下記一般式(1)で示される少なくとも1種のシラザン化合物であることを特徴とする電池用セパレータが提供される。
【0018】
【化2】
(式中、R1〜R 2 はそれぞれ水素又は炭化水素基を表し、同じでも異なっていてもよく、nは1〜10000の範囲の整数である。)
【0020】
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は第2の発明に記載の電池用セパレータを用いることを特徴とする電池が提供される。
【0021】
本発明は、上記した如く、ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に、Si−N結合を有する化合物の薄膜が形成されてなる電池用セパレータに係るものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)本発明の第2の発明において、シラザン化合物が、ペルヒドロポリシラザンであることを特徴とする電池用セパレータ。
(2)本発明の第2の発明において、シラザン化合物が、メチルポリシラザンであることを特徴とする電池用セパレータ。
(3)本発明の第1又は第2の発明において、薄膜が、マイクログラビアコーター法による塗布により形成されたものであることを特徴とする電池用セパレータ。
(4)本発明の第1又は第2の発明において、薄膜が、ポリオレフィン微多孔膜の負極側の面に形成されることを特徴とする電池用セパレータ。
(5)本発明の第1又は第2の発明において、薄膜のポリオレフィン微多孔膜への付着量が、0.01〜1g/m2であることを特徴とする電池用セパレータ。
(6)本発明の第1又は第2の発明において、薄膜の厚さが、0.001〜0.5μmであることを特徴とする電池用セパレータ。
(7)本発明の第1又は第2の発明における電池用セパレータを用いることを特徴とするリチウム2次電池。
(8)本発明の第1の発明において、Si−N結合を有する化合物が、Si−N−Hを有する化合物であることを特徴とする電池用セパレータ。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電池用セパレータその製造方法およびそれを用いた電池について各項目毎に詳細に説明する。
【0023】
1.ポリオレフィン微多孔膜
本発明の電池用セパレータの基材としては、電解液に用いる有機溶媒に溶解せず、薄膜化でき、膜の延伸により微多孔を有し、電池のシャットダウン温度範囲で閉孔するポリオレフィンが用いられる。ポリオレフィン微多孔膜に使用されるポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどを重合した結晶性の単独重合体または共重合体が挙げられる。これらの中では、微多孔の形成性および機械的強度の観点などから、高分子量ポリエチレン、特に高密度の超高分子量ポリエチレンが好ましい。
【0024】
また、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、限定されるものではないが、例えば、重量平均分子量が5×105〜2.5×106、重量平均分子量/数平均分子量が10〜30のポリオレフィン5〜50重量%と、溶媒95〜50重量%からなる溶液を調製し、該溶液をダイより押出し、冷却してゲル状組成物を形成し、該ゲル状組成物をポリオレフィンの融点+10℃以下の温度で延伸し、しかる後に残存溶媒を除去することにより製造したポリオレフィン微多孔膜を使用することが好ましい。
【0025】
本発明に用いるポリオレフィン微多孔膜としては、通常、空孔率が30〜95%、透気度が2000秒/100cc以下、平均貫通孔径が0.005〜1μm、引張破断強度が80MPa以上で、突刺強度が3000mN(306gf)以上の機械物性を有する微多孔膜が好ましい。
【0026】
なお、ポリオレフィン微多孔膜の厚さは適宜選択されるが、通常、0.1〜50μm、好ましくは1〜25μm程度である。厚さが0.1μm未満では、膜の機械的強度不足から実用に供することが難しく、50μmを超えると、イオン抵抗が大きくなりすぎ好ましくない。
【0027】
2.薄膜形成化合物
本発明においては、ポリオレフィン微多孔膜の片面または両面に薄膜を形成する化合物は、Si−N結合を有することが必須であり、これに該当する薄膜形成用化合物としては、こうした官能基を持つものであれば任意のものを用いることができる。これらの内、特に好ましい化合物としては、下記の一般式(1)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種のシラザン化合物が挙げられる。
【0028】
【化3】
(式中、R1〜R 2 はそれぞれ水素又は炭化水素基を表し、同じでも異なっていてもよく、nは1〜10000の範囲の整数である。)
【0029】
本発明で使用される上記一般式(1)で示されるペルヒドロポリシラザン又は有機ポリシラザンは、具体的に例示すれば下記(4)〜(23)で示される化合物等であリ、下記(19)〜(23)で示される環状化合物を、開環重合して得た分子量が約1000程度までの直鎖状のオリゴマー、又は分子量がそれ以上の高分子重合体も使用でき、これらの化合物から少なくとも1種を選択して使用する。
H3Si−NH2 (4)
H3Si−NH−SiH2−NH−SiH3 (6)
H3Si−[NH−SiH2]10−SiH3 (7)
H3Si−[NH−SiH2]100−SiH3 (8)
【0030】
H2(CH3)Si−NH2 (9)
(CH3)3Si−NH2 (10)
(CH3)3Si−[NH−Si(CH3)2]20−Si(CH3)3 (12)
(C2H5)3Si−[NH−Si(C2H5)2]8−Si(C2H5)3 (14)
(C3H7)3Si−NH−Si(C3H7)2−NH−Si(C3H7)3 (16)
(C6H5)3Si−NH−Si(C6H5)2−NH−Si(C6H5)3 (18)
[(CH3)2SiHN]3 (19)
[(CH3)2SiHN]4 (20)
[(C2H5)2SiNH]3 (21)
[(C2H5)2SiNH]4 (22)
[(C6H5)2SiNH]3 (23)
【0034】
3.薄膜形成方法
本発明の電池用セパレータは、ポリオレフィン微多孔膜の片面または両面に、本発明に係る、Si−N結合を有する化合物の薄膜を形成させるものであるが、その薄膜形成方法については、特に限定されずに、当業者に公知の方法、例えば、ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に、Si−N結合を有する化合物を含有する溶液を塗布し、次いで加熱、乾燥させて、Si−N結合を有する化合物の薄膜を形成させる方法などをとることができる。好ましい薄膜形成方法としては、Si−N結合を有する化合物を含有する塗布液にて、薄膜を形成することにより製造する。塗布液は、慣用の流延または塗布方法、例えば、ロールコーター、エヤナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター、コンマコーター、グラビアコーター、シルクスクリーンコーター、ダイコーター、マイクログラビアコーター(コーティング)法などにより、ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に流延または塗布する。すなわち、薄膜は、特定のシラザン化合物を含む塗布液をポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に塗布し、乾燥することにより形成する。また、ディッピング、PVD、CVD法などを用いて薄膜を形成してもよい。
【0035】
また、塗布液中の、Si−N結合を有する化合物の含有量は、塗布方法および形成すべき薄膜の厚みによって適宜調整されるが、通常、1〜30重量%である。また、上記塗布液の溶剤としては、トルエン、塩化メチレン、四塩化炭素、キシレンなどが挙げられ、このような溶解性の高い溶剤を塗布液に用いることによって、セパレータ中に残存する不純物の含有量も低減でき、電池特性の劣化を抑制できる。
さらに、通常、塗布により得られた塗膜を熱処理により乾燥するが、該熱処理温度は、60〜90℃の範囲であり、熱処理時間は、1〜60分の範囲であることが好ましい。
【0036】
このようにしてポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に形成される、薄膜の付着量は、ポリオレフィン微多孔膜の孔径や空孔率によっても異なるが、通常、0.01〜1g/m2である。付着量が0.01g/m2よりも少ないと、高温で形状を維持する効果が少なくなり、一方、1g/m2を超えると、電解液のイオン伝導を阻害する。また、該薄膜の厚さは、通常、0.001〜0.5μmの範囲である。
また、デンドライトは、負極上で生成するために、薄膜はポリオレフィン微多孔膜の負極側の面に形成されたものを用いることが好ましい。
【0037】
4.電池
本発明の薄膜を形成した電池用セパレータは、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、銀−亜鉛電池、リチウム2次電池、リチウムポリマー2次電池などのような2次電池のセパレータとして好ましく用いられるが、特に、リチウム2次電池のセパレータとして用いられることが好ましい。
【0038】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0039】
[実施例1]
厚さが20μmのポリオレフィン(ポリエチレン)微多孔膜の片面に、Si−N結合を有する化合物として、一般式(1)の特定のシラザン化合物としてペルヒドロポリシラザン(東燃(株)製造品)を用い、その1重量%キシレン溶液を塗布液として、マイクログラビアコーター方式にて、170メッシュのマイクログラビアロールを用い、ライン速度2m/分にて塗布を行った。その後、80℃にて、ライン速度2m/分で1分乾燥を行うことによりポリエチレン微多孔膜上にSi−NH−Oを含む薄膜を形成した。該薄膜の付着量は、0.2g/m2であり、その厚さは、0.15μmであった。該薄膜の硬化促進処理加熱{(80℃×1hr)→高湿度下に曝す。(80℃/飽和蒸気圧に近い状態、例えば90%HRで12h)}は、行ってない。上記薄膜を形成したセパレータを用いて、セパレータ物性評価(透気度、突刺強度)と、電池特性評価(電解液中のHF捕捉能、加熱短絡試験、充放電サイクル)を行った。その結果を表1に示す。
【0040】
[実施例2]
Si−N結合を有する化合物として、一般式(1)のメチルポリシラザン(東燃(株)製造品)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン微多孔膜上にSi−NH−O−Cを含む薄膜を形成した。薄膜を形成したセパレータを用いて、セパレータ物性評価(透気度、突刺強度)と、電池特性評価(電解液中のHF捕捉能、加熱短絡試験、充放電サイクル)を行った。その結果を表1に示す。
【0041】
[比較例1]
薄膜の硬化促進処理加熱{(80℃×1hr)→高湿度下に曝す。(80℃/飽和蒸気圧に近い状態、例えば90%HRで12h)}を行った以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン微多孔膜上にペルヒドロポリシラザンの薄膜を形成した。この薄膜は、硬化促進処理加熱により、SiO2に変換し、Si−Nがないので、HFの捕捉が不十分であり、結果的にサイクル特性が悪かった。
薄膜を形成したセパレータを用いて、セパレータ物性評価(透気度、突刺強度)と、電池特性評価(電解液中のHF捕捉能、加熱短絡試験、充放電サイクル)を行った。その結果を表1に示す。
【0042】
[比較例2]
厚さが20μmのポリエチレン微多孔膜を用い、Si−N結合を有する化合物の薄膜を形成していないセパレータを用いて、セパレータ物性評価(透気度、突刺強度)と、電池特性評価(電解液中のHF捕捉能、加熱短絡試験、充放電サイクル、)を行った。その結果を表1に示す。セパレータに、Si−N結合を有する化合物の薄膜を形成していないので、加熱短絡試験の結果、短絡を起こしていた。
【0043】
【表1】
【0044】
測定法
【0045】
★1 透気度
JIS P8117に準拠して測定した。(単位:sec/100cc)
【0046】
★2 突刺強度
直径1mm、先端半径0.5mmの針を2mm/secにてポリオレフィ
ン微多孔膜を突き刺し、破断した時の荷重を測定した。(単位:mN)
【0047】
★3 電解液中のHF捕捉能
・SUS瓶中に、電解液とセパレータを、60℃で1週間保管した。
・保管前後の、電解液中のHF濃度を測定した。
【0048】
★4 加熱短絡試験
コイン型模擬セルを作製し充電後、電極間に一定の圧力(98kPa)
を掛け、オーブン(170℃)に入れ、短絡するかどうかを、電流で
モニタして測定した。
【0049】
★5 充放電サイクル試験
コイン型模擬セルで正極半電池を作製し、充放電を100サイクル行い、
下記の式で定義した容量維持率で評価した。
容量維持率=100サイクル後の容量/初回の容量×100(%)
【0050】
なお、★4及び★5で用いたコイン型模擬セルとしては、下記のものを用いた。
・正極半電池の構成:正極/セパレータ/Li金属
・正極:LiCoO2(85wt%)+PVDF(5wt%)
+アセチレンブラック(10wt%)
・電解液:LiPF6(1.0mol/L)/EC+DEC
(1:1vol)
・定電流充電:0.1mA/cm2
【0051】
★6 硬化促進処理
加熱(80℃×1hr)した後、高湿度下に曝す。(80℃/飽和蒸気圧
に近い状態であり、例えば90%HRで12hrである。)
【0052】
上記の表1から明らかなように、実施例1〜2で得られたセパレータは、セパレータ物性評価(透気度、突刺強度)と、電池特性評価(電解液中のHF捕捉能、加熱短絡試験、充放電サイクル)において、優れた結果がでており、本発明のセパレータ及びそれを用いて作製した電池は、性能が非常にすぐれていることが実証された。
一方、比較例1では、薄膜の硬化促進処理加熱を行った以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン微多孔膜上にペルヒドロポリシラザンの薄膜を形成したが、この薄膜は、硬化促進処理加熱により、SiO2に変換し、Si−Nがないので、HFの捕捉が不十分であり、結果的にサイクル特性が62%と悪かった。
また比較例2では、セパレータにシラザン化合物の薄膜を形成していないので、加熱短絡試験の結果、短絡を起こした。実施例1〜2のセパレータと対比して比較例1〜2のセパレータは性能が悪く、本発明の技術構成が優れている事を証明している。
【0053】
【発明の効果】
本発明のセパレータを電池に用いることによって、過充電時に温度が上昇した場合でも、セパレータのポリオレフィン部は溶融するが、Si−N結合を有する化合物が溶融しないため、セパレータの形状が維持される。過充電時にデンドライトが形成されても、突刺強度は大きくなるためデンドライトがセパレータを突き破りがたくなる。その結果、短絡は抑制でき発火にいたらない。また、Si−N結合を有する化合物から得られた薄膜には、N−H基が含まれるため、電解液中のH2OとHFを捕捉し、電池特性の劣化をおさえる。
また、溶解性の高い溶剤をコーティング液に用いることによって、セパレータ中に残存する不純物の含有量も低減できるため、電池特性劣化を抑制できる効果がある。
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