JP5016468B2 - 制振建物の設計支援システム - Google Patents

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本発明は、地震等によって建物に生じる振動を抑えるために配置される制振装置を備えた制振建物の設計方法に関するものである。
従来、特許文献1乃至5に示すように、壁パネルや天井梁と床梁の梁間などに制振装置を配置した制振建物が多数、知られている。
また、特許文献6には、建物の固有振動数を地盤振動の主要周波数から遠ざけて共振振動が発生しないようにする建物の設計方法が開示されている。
特許第3975149号公報 特開2006−342655号公報 特開2006−283374号公報 特開2007−120170号公報 特開2002−276073号公報 特許第3571619号公報
しかしながら、従来の制振建物では、制振装置を配置する数が適切か否かの判定が難しく、安全側に偏り過ぎれば過剰配置となり、経済性を重視しすぎれば充分な制振効果が得られなくなるおそれがあった。
また、制振装置の数量は満たされていても、制振装置を配置する位置によって建物全体のバランスが変わり、充分に制振性能を発揮できないばかりか、制振装置の配置によって建物の偏心率が大きくなると小さな振動でも揺れが発生するおそれがある。
そこで、本発明は、制振装置の配置数量を的確に算定可能な制振建物の設計方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の制振建物の設計方法は、制振装置を備えた建物である制振建物の設計方法であって、建物の主要な構造部材に基づいて解析モデルを作成する解析モデル作成工程と、前記解析モデルの固有周期を算定する固有値解析工程と、時系列の外力である時刻歴波形から減衰率毎に算定された応答スペクトルに基づいて、前記制振装置を段階的に付加させた解析モデルの減衰率と固有周期から所望する要求性能を満たす前記制振装置の数量を算定する制振数量算定工程とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の制振建物の設計方法は、制振装置を備えた建物である制振建物の設計方法であって、建物の主要な構造部材に基づいて解析モデルを作成する解析モデル作成工程と、前記制振装置を段階的に付加させた解析モデルに対して、時系列の外力である時刻歴波形を作用させてそれぞれの段階で応答解析をおこない、所望する要求性能を満たす前記制振装置の数量を算定する制振数量算定工程とを備えたことを特徴とする。
ここで、前記解析モデルは、前記構造部材としての柱、梁、ブレース、筋交い又は構造壁を、線材データ又は面材データとして立体的に表した3次元解析モデルであってもよい。
また、前記解析モデルは、前記主要な構造部材以外の補助部材である外壁、内壁又は間仕切り壁の剛性を付加して作成されるものでもよい。
さらに、前記制振数量算定工程で算定された前記制振装置の数量に基づいて、複数の前記制振装置の配置パターンを設定し、その中から偏心率が最も小さい配置パターンを抽出する配置パターン抽出工程を備えた構成にすることもできる。
このように構成された本発明の制振建物の設計方法は、制振装置を段階的に付加させた解析モデルを使って要求性能を満たす制振装置の数量を算定する。
このため、各段階での制振装置の制振性能を把握することが可能となり、制振装置の的確な数量を算定することができる。
また、制振装置の数量を算定する際には、地震波形などの応答スペクトルの結果を使って解析をおこなうこともできるし、直接、応答解析をおこなって精緻な解析をおこなうこともできる。
さらに、柱、梁等を立体的に表した3次元解析モデルを使用することで、各部材の実性能を正確に把握することが可能になる。
また、外壁や内壁などの一般の構造計算には加味されない補助部材をモデル化することで、より実性能に近い制振建物の状態を予測することができる。
さらに、制振装置の必要数量を満たす複数の配置パターンの中から、偏心率の最も小さい配置パターンを抽出するようにすれば、同じ数量の制振装置を配置する際にも、地震等によって外力が作用したときに最もねじれが少なく、部分的に過大な応力が発生する可能性の低い制振建物を客観的な基準によって的確に抽出することができる。
以下、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態の制振建物の設計方法を実施するためには、例えば図3に例示するような制振建物の設計支援システムが使用される。
この制振建物の設計支援システムは、入力手段として使用される入力装置1と、記憶手段又は出力手段として使用される記憶装置3と、入力装置1又は記憶装置3からデータを取り込んで演算をおこなう演算装置2と、出力手段としての出力装置4とから主に構成される。
この入力装置1は、紙に印刷された平面図などを読み込む際などに使用されるスキャナ、画面上のポインタを移動させて入力をおこなう際などに使用されるマウスなどのポインティングデバイス、数値や名称を入力する際などに使用されるキーボードなどから構成される。
また、記憶装置3は、ハードディスク、CD−ROM、フラッシュメモリなどの記憶媒体から必要なものを選択して構成すればよい。
この記憶装置3には、プログラムなどが記憶されるとともに、設計条件データベース30として、建物の構造設計方針に関係する法令などで定められた数値などのデータ、設計モジュールとして一般に選択されることの多い基準モジュールのデータ、各種プランの標準的な寸法データなどが記憶されている。
また、部材データベース31には、柱、梁、鉄骨構造におけるブレース、木造構造における筋交い、耐力壁のような構造壁などの主要な構造部材の剛性、重量、復元力特性、減衰係数などが記憶されている。この減衰率は、建物の構造や規模に基づいて建物全体で設定することもできる。
また、主要な構造部材以外の補助部材である外壁、内壁又は間仕切り壁などの剛性、重量なども部材データベース31に記憶されている。
さらに、制振装置データベース32には、制振装置の剛性、減衰性能などのデータが記憶されている。
また、地震データベース33には、時系列の外力である時刻歴波形として設計に使用される代表的な地震波形のデータや、その地震波形のデータに基づいておこなわれた応答スペクトル解析のデータが記憶されている。
そして、出力装置は、プリンタやモニタなどによって構成される。
また、演算装置2は、図3に概略構成を示すように、解析モデル作成手段21と、固有値解析手段22と、制振数量算定手段23と、配置パターン抽出手段24とから主に構成される。
この解析モデル作成手段21は、解析モデルとしての質点系モデル5(図4(a)参照)、又は解析モデルとしての3次元解析モデルである立体モデル6(図4(b)参照)を作成する手段である。
この質点系モデル5は、建物の各階を単位として、その重量を錘の塊からなる質点に置き換えた重量部51a,51bと、各階間の変形性能や復元力特性をバネで表した剛性バネ部52a,52bとによって建物をモデル化したものである。
すなわち、部材データベース31に記憶された柱、梁などの重量や設計条件データベース30に記憶された上載荷重に基づいて各階を重量部51a,51bにモデル化する。また、部材データベース31に記憶された柱、梁、ブレースなどで構成された骨組構造体の剛性に基づいて剛性バネ部52a,52bのモデル化をおこなう。なお、剛性バネ部52a,52bのモデル化に際しては、部材データベース31に記憶されている主要な構造部材以外の補助部材である外壁、内壁又は間仕切り壁などの剛性なども加えて設定することができる。
また、立体モデル6は、3次元座標における柱や梁などの部材の接合部の位置に、その支配部分の重量を代表する点として節点部61a−61hを設け、その節点部61a−61h間には、柱や梁などの部材の弾性係数、せん断弾性係数、断面性能(断面積、断面2次モーメントなど)に基づいて、バネやダッシュポットなどによってモデル化した部材特性部62a−62hを設けるものである。
すなわち、部材データベース31に記憶された柱、梁などの重量や設計条件データベース30に記憶された上載荷重に基づいて各節点部61a−61hにモデル化する。また、部材データベース31に記憶された柱、梁、ブレースなどの弾性係数、せん断弾性係数、断面性能(断面積、断面2次モーメントなど)、復元力特性に基づいて、部材特性部62a−62hのモデル化をおこなう。
また、固有値解析手段22では、質点系モデル5や立体モデル6などの解析モデルの固有周期を算定する。
さらに、制振数量算定手段23では、建物に設置する制振装置の数量を算定する。
この制振装置の数量を算定するに際しては、地震波形などの応答スペクトルを参照する方法と、直接、地震波形を入力して地震応答解析をおこなう方法とがある。
この応答スペクトルを参照する方法では、まず、建物を構築する地点での設計に用いる代表的な地震波形を時系列の外力である時刻歴波形として設定し、その地震波形の応答スペクトルを求める。ここで、応答スペクトルとは、地震や風などの時系列の外力を構成する様々な周期の波を、周期毎の波の強さに分解して示したもので、図5のように示される。また、この応答値としては、加速度、速度、変位などが使用される。
そして、この応答スペクトルを参照する場合は、複数の減衰率を設定して、その減衰率に対応する応答スペクトルを予め求めておく。図5には、制振装置を付加する前の初期の建物の減衰率と同等の減衰率で解析した応答スペクトルP1を破線で示し、ある数量の制振装置を付加したときの減衰率と同等の減衰率で解析した応答スペクトルP2を実線で示した。
ここでは、応答スペクトルP2は一本しか示していないが、段階的に制振装置を付加する数量に対応する減衰率毎に異なる応答スペクトルが算定されて図示される。
そして、建物が必要とする制振装置の数量を、制振装置を付加しない初期の減衰率の応答スペクトルの応答値の例えば1/2以下に応答値がなる数量であると設定した場合、その条件を満たす減衰率の応答スペクトルを探し、その減衰率から必要な制振装置の数量を決定することになる。
例えば、制振装置を付加しない初期の解析モデルの固有周期が、固有値解析の結果、固有周期T1であった場合に、この固有周期T1と応答スペクトルP1が交わる点が応答値G1となる。そして、応答値G1の1/2が目標値として設定される。
一方、ある数量の制振装置を付加した制振建物の解析モデルの固有周期が、固有値解析の結果、固有周期T2であった場合に、この解析モデルの減衰率と同等の減衰率の応答スペクトルP2と固有周期T2が交わる点が応答値G2となる。そして、この応答値G2が初期の応答値G1の1/2以下であれば、この減衰率に建物がなるような制振装置の数量にすれば、所望する減衰性能が得られることになる。
また、配置パターン抽出手段24では、必要な減衰率を満たす制振装置の数量をどのような配置パターンで配置するのかを決定する。すなわち、同じ数量の制振装置を配置する場合でも、制振装置を建物の一箇所にのみ集中して配置すると、制振装置を配置した箇所の剛性のみが上がってしまい、建物全体でみると水平荷重を受けたときにねじれ易い偏心した建物となるおそれがある。そこで、同じ数量の制振装置を配置する場合であっても、複数の配置パターンが設定できる場合は、その中から一番、最適な配置パターンを抽出する。
ここで、建物の偏心率とは、建物の重心と剛心の距離である偏心距離から算定される値で、偏心率が大きいと地震などの水平荷重が作用した際に部分的に過大な変形が発生して建物が局所的に損傷しやすくなる。なお、建物の重心とは建物の平面形状の図心をいい、剛心とは水平力に対抗する力の中心をいう。
そこで、配置パターン抽出手段24では、制振数量算定手段23で算定された数量を満たす制振装置の配置パターンのすべてについて偏心率を算定し、最も偏心率の小さい配置パターンを最適パターンと判定して抽出する。
次に、本実施の形態の制振建物の設計方法の流れについて、図1,2に示したフローチャートを参照しながら説明する。
まず、制振建物の主要な構造、構法などの設計方針を設定する。ここでは、制振建物の主構造を軸組み構造とするのか壁式構造とするのか、荷重条件をどのように設定するのかなどを設定する。この設定に際しては、設計条件データベース30に記憶されている建物の構造設計方針に関係する法令などで定められた荷重算定用の数値などと関連付けられたデータ、設計モジュールとして一般に選択されることの多い基準モジュールのデータなどを読み取らせることで設定することができる。
また、この設計条件データベース30には、建物の外形や間取りなどが規定された各種プランの標準的な寸法データなどが記憶されているので、必要に応じて読み込ませる。
そして、ステップS1で制振建物の主構造を軸組み構造とするのか、壁式構造とするのかを決定する。
ここで、軸組み構造とは、柱や梁で組み立てられた骨組構造体(軸組み)を外力に抵抗させる主要な構造体とするもので、鉄骨造とする場合と木造とする場合がある。そして、鉄骨造とするものであって柱と梁とをピン接合する場合は、柱と梁に囲まれた空間に補強のためにブレースや構造壁(耐力壁)を配置する。また、木造とする場合は、柱と梁に囲まれた空間に補強のために筋交いや構造壁(耐力壁)を配置する。
このため、ステップS2に進んだ場合は、柱、梁、ブレース若しくは筋交い、又は構造壁の種類と重量、剛性などのデータを、部材データベース31から読み込ませる。また、設計条件データベース30から寸法データが読み込まれていないときには、梁や柱などの位置データもここで入力する。
他方、壁式構造とは、構造壁である耐力壁という面構造を外力に抵抗させる主要な構造体とするものである。ここで、耐力壁とは、筋交いや梯子状補強材などを入れたり、構造用合板などの剛性の高い壁材を使用したりすることで、通常の壁に比べて耐力を大きくした壁をいう。この耐力壁は、法令などで設定された壁倍率を乗じることによって通常の壁より壁量を多く見積もることができる。
このため、ステップS3に進んだ場合は、耐力壁の種類と重量、剛性などのデータを、部材データベース31から読み込ませる。また、設計条件データベース30から寸法データが読み込まれていないときには、耐力壁の位置データもここで入力する。
また、制振建物の主構造を軸組み構造や壁式構造とした場合は、外壁、内壁又は間仕切り壁などの部材は、構造部材として考慮することのない補助部材として設計をおこなっているが、耐力壁より強度が低いが準耐力壁と認められる程度の強度を持つ壁など、補助部材であっても制振建物の剛性を向上させる部材として設計で考慮することができる。
また、鉄骨造とするものであって柱と梁とを剛結合させたラーメン構造体を主要な構造体とする場合においても、そのラーメン構造体に取り付けられる外壁などの剛性が、補助部材であっても制振建物の剛性を向上させるものとして設計で考慮することができる。
そこで、このような補助部材の剛性もモデル化で加味する場合は、ステップS4において、補助部材の種類と重量、剛性などのデータを、部材データベース31から読み込ませる。
続いて、最初に設定した設計方針に従って屋根荷重、積雪荷重などの上載荷重を設定し(ステップS5)、解析モデルの作成処理に入る。この解析モデルには、図4(a)に示すような質点系モデル5と、図4(b)に示すような立体モデル6とがあるので、いずれの解析モデルを使って設計をおこなうかをステップS6で設定する。
そして、質点系モデル5で設計をおこなう場合は、ここまでに設定された各階の部材の重量や上載荷重を積算して重量部51a,51bのモデル化をおこなう。また、剛性バネ部52a,52bは、骨組構造体や壁式構造体の剛性や変形特性に基づいて設定する。
他方、立体モデル6で設計をおこなう場合は、ここまでに設定された各部材の重量や上載荷重から各節点部61a−61hのモデル化をおこなう。また、部材特性部62a−62hは、各部材の剛性や復元力特性などに基づいて設定する。
そして、このようにして作成された解析モデルに対して固有値解析をおこなう(ステップS9)。ここで解析モデルの固有値は、制振装置を付加する前の状態のものと、制振装置を段階的に付加した場合のそれぞれにおいて算定する。また、制振装置を付加した解析モデルは、制振装置データベース32から制振装置の剛性や減衰性能などのデータを読み込んで、その値に基づいて剛性バネ部52a,52bや部材特性部62a−62hの設定を変更して作成する。
一方、この設計をおこなう前に、設計に使用する地震波形の応答スペクトルを算定しておき、その解析結果を地震データベース33に記憶させておく。そして、ステップS10において設計で使用する地震波形の応答スペクトルを読み込む。なお、このステップS10で地震波形を読み込んで応答スペクトル解析をおこなうこともできる(図2参照)。
そして、固有値解析で算定された解析モデルの初期状態の固有周期と地震波形の応答スペクトルP1(図5参照)とから、初期状態の応答値G1を抽出し、その1/2の値を目標とする応答値に設定する。
一方、制振装置データベース32から、制振装置を1つ付加するごとに増加する減衰率の値を読み込み、段階的に減衰率を増加させていき、設定された減衰率に対応する応答スペクトルP2から、固有値解析で求めた設定された減衰率の解析モデルの固有周期T2の応答値G2を抽出する。
そして、この応答値G2が目標とする応答値(G1/2)を下回っていれば、このときの減衰率に対応する制振装置の数量を必要数量として決定する(ステップS11)。
続いてステップS12では、ステップS11で求めた必要数量を満たす制振装置の配置パターンの設定をおこなう。
図6(a)には、制振装置8を設置可能な位置を説明するための制振建物としてのユニット建物7の平面図を示した。ここで、制振装置8としては、例えば外壁と間柱との間に介在させる減衰ゴムや低降伏点鋼などの制振材が使用できる。
このユニット建物7は、6体の箱形の建物ユニット71a−71fを隣接設置して構築される建物で、外壁に沿って破線円形で示した箇所が、制振装置8の設置が可能な取付可能箇所80,・・・となる。
そして、この取付可能箇所80,・・・からユニット建物7の四隅の8箇所を選んで、制振装置8,・・・を配置した平面図を図6(b)に示した。これに対して、制振装置8,・・・の必要数量が8個と決まっているだけであれば、この取付可能箇所80,・・・の中から任意に8箇所を選んで制振装置8,・・・を配置すればよいので、複数の配置パターンを設定することができる。
ステップS13では、このようにして設定された複数の配置パターンの中から、最適な配置パターンを抽出する。ここで、最適な配置パターンを抽出する基準として偏心率を使用する。
図7(a)は、制振装置8を付加する前の初期状態のユニット建物7の重心GPと剛心EPを示した図である。この状態では、重心GPと剛心EPは重なっており、偏心は生じていない。
次に、図7(b)は、ユニット建物7の四隅のうちの一箇所にある建物ユニット71cの近傍にのみ制振装置8Aを集中して配置した図である。この状態では、制振装置8Aを配置した箇所だけ剛性が上がるので、剛心EPが制振装置8A側にずれて、重心GPと剛心EPがずれることになる。このように重心GPと剛心EPにずれが生じると偏心率が大きくなって、ユニット建物7に水平外力が作用するとねじれが発生することになる。
そして、図7(c)は、ユニット建物7の四隅に制振装置8B,・・・をそれぞれ配置した図である。この制振装置8B,・・・の合計した数量は、図7(b)の制振装置8Aの数量と同じである。そして、この状態では、制振装置8B,・・・を配置した四隅の剛性が同様に上がるので、剛心EPの位置は移動することなく、重心GPと剛心EPが一致したままで偏心は生じていない。
このように同じ数量の制振装置8A,8Bを配置する場合でも、制振建物に発生するねじれを最小限に抑えることができる最適な配置パターンが偏心率を基準に抽出できるので、このステップS13において制振装置の最適な配置パターンを抽出する。
また、最適な配置パターンの判定を偏心率の値の大きさによっておこなうことで、地震等によって部分的に過大な応力が発生する可能性の低い制振建物を、コンピュータによって的確に抽出することができる。
次に、本実施の形態の制振建物の設計方法の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の制振建物の設計方法は、制振装置を段階的に付加させた解析モデルを使って要求性能を満たす制振装置の数量を算定する。
このため、各段階での制振装置の制振性能を把握することが可能となり、制振装置の的確な数量を算定することができる。
また、制振装置の数量を算定する際には、地震波形などの応答スペクトルの結果を使って簡便な方法で解析をおこなうこともできるし、直接、地震波形を外力として入力することで応答解析をおこなうことで精緻な解析とすることもできる。
すなわち、本実施の形態では、応答スペクトルを参照する方法について詳細に説明したが、直接、地震応答解析をおこなう方法でも制振装置の数量を算定することができる。この地震応答解析をおこなう方法では、固有値解析及び応答スペクトル解析に代えて以下の解析をおこなう。
この地震応答解析では、まず、制振装置を付加しない初期状態の解析モデルに対して、建物を構築する地点での設計に用いる代表的な地震波形を入力し、動的に各階の応力や変形を時系列で算定する。この際に使用する解析モデルは、質点系モデル5であっても立体モデル6であってもよい。
続いて、解析モデルを、ある数量の制振装置を付加した解析モデルに変えて、その解析モデルに上述の地震波形を入力して同様の解析をおこなう。この制振装置の付加は、段階的におこなうので、段階毎に設定された数量の制振装置を付加した解析モデルに対して、上述の地震波形を入力した解析がおこなわれることになる。
そして、このような地震応答解析の結果、想定した地震が発生した際に、制振装置を付加する前の建物と、制振装置の数量毎(段階毎)の制振建物とに発生する応力や変形を比較することができるので、所望する要求性能を満たす制振装置の数量を算定することができる。
また、このような地震応答解析は、応答スペクトルを参照して制振装置の数量を求めた後に、その算定された数量の制振装置を付加した立体モデル6に対してもおこなうことができる。この際は、簡便な応答スペクトルを参照する方法で算定された制振建物の性能を、比較的少ない演算負荷で地震応答解析によって確認することができる。
さらに、柱、梁等の位置を3次元座標で設定し、立体的に表した3次元解析モデルを使用することで、各部材の実性能を正確に把握することが可能になる。
また、外壁や内壁などの一般の構造計算には加味されない補助部材をモデル化することで、より実性能に近い制振建物の状態を予測することができる。
さらに、制振装置の必要数量を満たす複数の配置パターンの中から、偏心率の最も小さい配置パターンを抽出するようにすれば、同じ数量の制振装置を配置する際にも、地震等によって外力が作用したときに最もねじれが少なく、部分的に過大な応力が発生する可能性の低い制振建物を客観的な基準によって的確に抽出することができる。
以上、図面を参照して、本発明の最良の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態では、地震波形の応答スペクトルを参照して制振装置の数量を算定する方法について説明したが、これに限定されるものではなく、一質点・一自由度の一質点系モデルを、固有周期を変えて複数設定し、それぞれの一質点系モデルに対して設計に用いる代表的な地震波形を時系列の外力である時刻歴波形として入力し、それらの一質点系モデルの応答波形を求めた後に、それらの応答波形の最大応答量に基づいて応答スペクトルを求めることもできる。
さらに、本発明の制振建物は、ユニット建物だけを対象とするものではなく、在来の木造建物や鉄骨建物にも適用することができる。
また、前記実施の形態の偏心率の説明では、制振装置の重量については無視して説明したが、梁間に嵌めるパネル状の制振装置など重量が無視できない大型の制振装置を配置する場合は、剛心の位置だけでなく、重心の位置も移動することになる。
本発明の最良の実施の形態の制振建物の設計方法の流れの前半部を示したフローチャートである。 本発明の最良の実施の形態の制振建物の設計方法の流れの後半部を示したフローチャートである。 制振建物の設計支援システムの構成を説明するブロック図である。 (a)は質点系モデルの構成を説明する模式図、(b)は立体モデルの構成を説明する模式図である。 応答スペクトルを説明する図である。 (a)は制振装置の取付可能箇所を示した平面図、(b)は制振装置の取付け位置を示した平面図である。 建物の重心と剛心の位置を説明する図であって、(a)は制振装置を取り付ける前の状態の建物の平面図、(b)は制振装置を一箇所に集中して配置した制振建物の平面図、(c)は制振装置を四隅に配置した制振建物の平面図である。
符号の説明
5 質点系モデル(解析モデル)
6 立体モデル(解析モデル、3次元解析モデル)
7 ユニット建物(制振建物)
8,8A,8B 制振装置
P1,P2 応答スペクトル
T1,T2 固有周期
G1,G2 応答値
GP 重心
EP 剛心

Claims (3)

  1. 制振装置を備えた建物である制振建物の設計支援システムであって、
    建物の主要な構造部材に基づいて解析モデルを作成する解析モデル作成手段と、
    前記解析モデルの固有周期を算定する固有値解析手段と、
    時系列の外力である時刻歴波形から減衰率毎に算定された応答スペクトルに基づいて、前記制振装置を段階的に付加させた解析モデルの減衰率と固有周期から所望する要求性能を満たす前記制振装置の数量を算定する制振数量算定手段
    前記制振数量算定手段で算定された前記制振装置の数量に基づいて、複数の前記制振装置の配置パターンを設定し、その中から偏心率が最も小さい配置パターンを抽出する配置パターン抽出手段とを備え
    前記配置パターンは、予め設定された制振装置の設置が可能な取付箇所から設定されることを特徴とする制振建物の設計支援システム
  2. 前記解析モデルは、前記構造部材としての柱、梁、ブレース、筋交い又は構造壁を、線材データ又は面材データとして立体的に表した3次元解析モデルであることを特徴とする請求項1に記載の制振建物の設計支援システム
  3. 前記解析モデルは、前記主要な構造部材以外の補助部材である外壁、内壁又は間仕切り壁の剛性を付加して作成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の制振建物の設計支援システム
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