JP4409732B2 - 建物の耐震設計のための設計支援装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、建物の耐震設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
在来軸組工法木造住宅においては、筋交い、などの耐力壁のみで必要とされる耐震性を確保していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、在来軸組工法木造住宅に対する動的又は静的実験の結果、筋交い、などの耐力壁はもとより、非耐力壁すなわち構造用合板および石膏ボードなどの各種ボード類による内装材、あるいは袖壁、たれ壁、腰壁等の造作壁を構造する各種パネルの耐震性に対する寄与が大きいことが明らかになった。しかしながら、これら非耐力壁の耐震性に対する評価が適正になされておらず、建物の耐震設計が正確に行われていないことが判明した。
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、壁を構成する各種パネルを適切に評価して建物の耐震設計を行い得る建物の耐震設計方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の建物の耐震設計のための設計支援装置は、上記目的を達成するため、オペレータによる入力に基づいて、住宅の平面図を作成する平面図作成処理手段と、オペレータの入力に従って、当該住宅の屋根形状を選択する屋根形状選択処理手段と、オペレータの入力に従って、当該住宅の窓等の壁開口および釘配置の選択を行う壁開口・釘配置選択処理手段と、前記平面図、屋根形状、壁開口及び釘配置に基づき、当該住宅の立面図と、各壁の展開図とを作成する立面図・展開図作成処理手段と、前記立面図・展開図作成手段によって展開図として作成された各壁毎に、当該壁の耐力に基づくせん断力−変位曲線を算出する処理を、全ての壁について実行する壁耐力算出処理手段と、建物の各階の鉛直荷重、加速度応答スペクトルと疑似変位応答スペクトルとの関係、減衰を考慮した補正値Fh、質量を考慮して、地震時における建物のせん断力−変位曲線を求める建物のせん断力−変位曲線算出処理手段と、前記壁耐力から求めたせん断力−変位曲線と、前記地震時の建物のせん断力−変位曲線とを重ねて、モニターに表示する重ね表示処理手段とを備えたものであること。
【0006】
本発明では、建物の各壁の荷重−変位量を、壁を構成する複数のパネルに基づき算出するため、壁を構成するパネルを適切に評価して建物の耐震設計を行うことができる。更に、各壁の荷重−変位量のグラフと、建物の地震応答に基づくグラフとを併せて表示するため、壁の耐力に不足があるかないかを直ちに理解できるよう表示できる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記壁耐力算出処理手段が、前記各壁の中から処理対象となる壁を選択する壁選択手段と、前記選択した壁を構成する複数のパネルの中から一つを選択するパネル選択手段と、前記選択されたパネルの釘による抵抗モーメントを算出するパネル抵抗モーメント算出手段と、前記選択した壁の全てのパネルの抵抗モーメントの算出が完了したか否かを判定し、完了するまで前記各手段による処理を繰り返し実行し、完了したら、前記選択した壁の全てのパネルの抵抗モーメントを加算することによって当該壁の耐力を算出する壁耐力算出手段と、前記算出された壁の耐力から、せん断力に関する荷重−変位量の関係を表したグラフを作成するせん断力−変位量グラフ作成処理手段と、前記せん断力−変位量グラフ作成処理が全ての壁について実行されたか否かを判断し、全ての壁について実行されるまで、前記各手段による処理を繰り返させる繰り返し処理手段と、オペレータによる終了または要修正の指令があったか否かを判断し、要修正の指令があったときは、オペレータに対して前記壁開口・釘配置選択処理手段の処理から再度演算を実行するための入力をさせる修正入力処理手段と、を備えたものであることを特徴とする。
【0008】
請求項2では、各壁の荷重−変位量を、壁を構成する複数のパネルの層せん断力に対する抵抗モーメントに基づき算出するため、壁を構成するパネルを適切に評価して建物の耐震設計を行うことができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の発明において、さらに、前記修正入力処理手段により、オペレータがパネルを特定し、修正を指示した場合は、当該パネルの釘の数を増大するか、開口を小さくして前記壁開口・釘配置選択処理手段以下の処理を再度実行させる再計算処理手段と、前記修正入力処理手段による修正が指示されなくなったら、見積もりを作成する見積もり作成処理手段と、を備えたものであることを特徴とする。
【0010】
請求項3では、前記各壁の荷重−変位量のグラフと、建物の地震応答に基づくグラフとを併せて表示した結果、耐震性に問題があり設計変更がなされた際に、当該設計変更に基づき建設費の見積もりを算出する。このため、要求される耐震性を有する建物の見積もりを直ちに算出できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態に係る建物の耐震設計方法について図を参照して説明する。図1は第1実施態様の建物の耐震設計方法での処理のフローチャートを示している。このフローチャートの処理は、図示しないパーソナルコンピュータにより行われる。
【0012】
図4は、モニター画像を表している。先ず、オペレータは、平面図をコンピュータに入力する処理を行う(S12)。ここで、図4(A)に示すように、モニターに描かれたグリッドに、洗面所S、キッチンK、リビングL、玄関Eを組み合わせて、図4(B)に示すような住宅の配置プランを作成する。平面図の入力処理が完了すると(S14:Yes)、図4(C)に示すように屋根形状を選択し(S16、S18:Yes)、窓等の壁開口を選択する(S20、S22:Yes)。そして、この選択に従い、パーソナルコンピュータは、図4(D)に示すように平面図、また、図4(E)に示すように展開図を作成し、モニターに表示し、及び、図示しないプリンタを介して打ち出しを行う。
【0013】
その後、図4(E)に示す各壁WN、WE、WS、WWに対して、耐力を算出する(S100)。ここで壁の耐力は、壁面に取り付けられる複数の石膏ボードなど前述の各種パネル類の抵抗モーメントを求め、求めた各石膏ボードなど各種パネル類の抵抗モーメントを加算することで算出する。このS100の壁耐力算出処理について、当該処理のサブルーチンを示す図2のフローチャートを参照して説明する。
【0014】
先ず、処理対象となる壁を選択する(S102)。ここでは、図4(E)に示す壁WNが選択されたものとして説明を続ける。この壁WNは、図5(A)に示すように、各種パネルB1、B2、B3、B4、B5、B6が柱等に釘Nで固定されている。次に、壁WNのパネルを1つ選択する(S104)。ここでは、パネルB1が選択されたものとする。次に、図8(B)に示すように力が加えられた際の当該パネルB1の釘Nによる抵抗モーメントを算出する(S106)。
【0015】
この抵抗モーメントの算出は、後述するように、日本建築学会構造系論文集第519号、87−93 1999年5月に村上雅英、稲山雅弘により提唱された方式により行う。そして、パネルB1の抵抗モーメントを算出すると、全てのパネルの抵抗モーメントの算出が完了したかを判断し(S108)、全てのパネルの抵抗モーメントを算出するまでは(S108:No)、S104に戻り、次のパネルを選択して抵抗モーメントを算出する。
【0016】
そして、全てのパネルの抵抗モーメントを算出すると(S108:Yes)、各パネルの抵抗モーメントを加算して壁の耐力を算出する(S110)。この壁耐力は、後述するように、日本建築学会構造系論文集 第533号、121−126 2000年7月に村上雅英らにより提唱された方式により、後述する式22で行う。その後、算出された耐力から、図6(A)に示すように、せん断力−変位量のグラフを作成する(S112)。この耐力を求める式22では、層間変形角(各層(階)毎の変位)を角度(rad.)で表されているため、変位量δを図7に示すように層間変位角θに各層の高さHを掛けることで求める。
【0017】
そして、全ての壁の耐力を算出したかを判断し(S114)、算出が完了するまでは(S114:No)、S102に戻り次の壁の耐力を求める。一方、全ての壁の耐力を算出すると(S114:Yes)、各壁の耐力比較が終了したかを判断し(S116)、耐力比較が終了していない時には(S116:No)、求めた各壁WN、WE、WS、WWの耐力(せん断力−変位量)のグラフを図6(B)に示すように、併せて表示する。そして、オペレータは、いずれかの壁の耐力が劣る際には当該壁が倒壊し易く危険であり、反対に、いずれかの壁の耐力が突出して高い際にもバランスの悪い住宅となるため、修正を指示する。修正があった際には(S120:Yes)、図1に示すS20の壁開口の選択処理の戻り、壁開口の選択からやり直す。一方、修正が無い際には、当該壁耐力算出処理を終了する。
【0018】
当該壁耐力算出処理を終了すると、図1に示すS26の判断を経て、引き続き、地震の際のせん断力−変位曲線を算出処理を行う(S200)。このせん断力−変位曲線の算出処理について、当該処理のサブルーチンを示す図3を参照して説明する。この算出処理は、建築基準法、施行令第81条第1項第2号に準拠して後述するように求める。
【0019】
先ず、各階の鉛直荷重を算出し(S202)、SA(加速度応答スペクトル)−SD(疑似変位応答スペクトル)のグラフを図8(A)に示すように作成する(S204)。次に、求めた、SA−SDグラフに、図8(B)に示すように建築物の変位に対応する減衰を考慮した補正値Fhを乗ずる(S206)。そして、図8(B)に示すSA値に、荷重(質量)を乗ずることで、図8(C)に示す建物のせん断力−変位曲線を求める(S208)。これにより、地震の際の建物のせん断力−変位曲線を算出処理を終了する。
【0020】
次に、図1に示すS28にて、S100で上記壁耐力から求めたせん断力−変位曲線と、S200で地震時の建物のせん断力−変位曲線とを重ねて、図9(A)に示すようにモニターに表示する。図9は、壁WNのせん断力−変位曲線を示している。ここで、オペレータは、図9(A)中に実線で表す壁のせん断力が、波線で表す地震のせん断力を上回っているかを確認する。例えば、図9(B)に示すように、壁のせん断力−変位曲線が、変位7cmで地震のせん断力を下回っている際には、変位7cmに該当しているパネルを特定し、修正を指示し(S30:Yes)、S20に戻る。例えば、図5(A)中のパネルで、変位7cmに該当しているものがパネルB2、B3である際には、図5(C)に示すように釘の数を増大させる(S20)。或いは、図示しないが開口(窓)を小さくする。同様に、壁WE、壁WS、壁WWに対して、耐力と地震とのせん断力−変位曲線を重ねて比較し、必要な修正を行う。
【0021】
引き続き、部材リスト、パネル図を作成した後(S32)、修正した内容で見積もりを作成する(S34)。例えば、上述したようにパネルS2、S3の釘の本数を増大させた際には、増大数に見合う施工費を加算して見積もりを作成する。以上により処理を終了する。
【0022】
本実施形態では、建物の各壁の荷重−変位量を、壁を構成する複数のパネルに基づき算出するため、壁を構成するパネルを適切に評価して建物の耐震設計を行うことができる。更に、各壁の荷重−変位量のグラフと、建物の地震応答に基づくグラフとを併せて表示するため、壁の耐力に不足があるかないかを直ちに理解できるよう表示することができる。
【0023】
引き続き、上述したS100での壁耐力の算出方法について説明する。単位面材のモーメントと回転角の関係は、任意に釘配列された単位面材のモーメントと回転角関係の計算式による。計算過程とその概要を以下に示す。計算仮定1. 面材は剛体として扱う。2. 枠材の曲げ変形、せん断変形、軸方向変形は無視する。また、各枠材の接合はピン接合とする。3. 釘のせん断力−すべり関係は、図10(A)のように完全弾塑性とする。4. 枠材と面材間に生じたずれを、水平方向モード(θX)と鉛直方向モード(θY)に分解できるものとする。
【0024】
図10(B)のように釘が任意釘配列で打たれた場合の、面材の抵抗モーメントと回転角の関係は、以下のように求まる。XとY両方向の中立軸位置は、式(1a)および式(1b)で与えられる。また、各方向の2次モーメントは式(2a)および式(2b)で与えられる。
【式1】
【式2】
【0025】
ここで、x0,y0は、座標原点からの中立軸(x−x’軸,y−y’軸までの距離である。ni,njは、各釘列の本数、xi,yjは、座標原点から各釘列までの距離、Ix,Iyは、XとYそれぞれの方向の釘配列に関する2次モーメントである。外力と内力の釣り合いを考慮して式(3)を得る。
【式3】
【0026】
ここで、kは、釘の弾性剛性、Ixyは、釘配列に関する2次モーメント、Rは、面材の回転角を表す。面材のせん断剛性をGとし、式(3)で面材のせん断変形を考慮すると、(4)のようになる。
【式4】
【0027】
ここで、R′は、面材を剛としたときの回転角と面材のせん断変形角の和、hは、面材の高さ、Wは、面材の幅、tは、面材の厚みである。ここでは、パネルのせん断変形が無視できるものとして、以下の式展開を行う。
【0028】
各偶角部の釘が、降伏せん断耐力fmaxに達するときの抵抗モーメントMyは、釘配列に関する係数Zexyを用いて式(5)のように表すことができる。
【式5】
【式6】
【0029】
ここで、ZxとZyは、式(7)で定義される釘配列に関する係数である。
【式7】
ここで、ymax,xmaxは、中立軸から最も遠い釘までのxとyの、それぞれの方向の距離である。
【0030】
全ての釘が降伏したときのXとY方向の完全塑性モーメントは、式(8a)と(8b)のように表され、それらは式(9)の関係にある。
【式8】
【式9】
式(8)と式(9)を満たすxop,yopおよびIpx,Ipyを、収斂計算で求めることにより、式(10)のZpxyが算出できる。
【式10】
したがって、単位面材の終局抵抗モーメントは、式(11)で表される。
【式11】
単位面材の終局変形角Ruについては、近似的には最外縁の釘が降伏するときの降伏変形角を用いて、式(12)で表される。
【式12】
【0031】
一般に、たれ壁、腰壁のみからなる有開口壁が、水平力を受けて変形すると、釘打ちされた面材と軸材との間でずれが生じ、面材は軸材の回転を拘束するように作用する。図11(A)は、壁の高さ方向を3分割して、各面材が回転バネとして軸材の回転を拘束する効果を表現した力学モデルである。本モデルの基本式を以下に示す。撓み角法の公式
【式13】
【0032】
面材による回転バネ
【式14】
【0033】
節点方程式
【式15】
【0034】
せん断方程式
【式16】
【0035】
図11(B)に示すようなたれ壁の高さを、階高の1/3〜1/6としたたれ壁のみの架構について、式(14)〜(16)を解くと、たれ壁部分の変形角に対する層間変形角の比率(変形倍率α=R/R0、ここでRは層間変形角、R0はたれ壁の回転角)と柱の剛比に対する壁の回転剛性の比例の関係が得られる。したがって、同一面材で構成されたたれ壁のみの架構の弾性から終局に至る挙動は、たれ壁の物理量と変形倍率αを用いて、式(17)〜(21)のように表すことができる。
【0036】
弾性域の加重と層間変形角Rの関係は、式(17)で表される。
【式17】
柱の曲げ破壊が生じない場合における、弾性限界時の耐力Qyおよび層間変形角Ryは、それぞれ式(18)、(19)で表される。
【式18】
【式19】
ここで、Royは、たれ壁の降伏回転角である。
【0037】
終局耐力Quは式(20)で、終局変形角Ruは、柱とたれ壁の弾性回転角Re(=Ry・Qu/Qy)とたれ壁の塑性回転角Rop(=Rou−Roy・Qu/Qy)に分解して、式(21)のように表される。
【式20】
【式21】
ここで、Rouは、たれ壁の終局回転角を表す。
【0038】
耐力壁のある有開口壁では、耐力壁部分の面材にせん断力が流れるため、開口部高さ位置での柱の曲げ変形は小さくなる。そこで、その部分の柱材を剛と仮定すると、各面材の回転角と層間変形角は等しくなり、各面材毎に各面材の耐力を足し合わせることで、有開口壁の耐力が求まることになる。
【式22】
【0039】
たれ壁のみの場合については、たれ壁の回転剛性と柱の曲げ剛性を考慮して、式(17)〜(21)よりせん断力と層間変形角の関係が求まることになる。
【0040】
次に、S200にて地震のせん断力−変位曲線の算出方法について説明する。建築物に入る地表面における地震動の加速度応答スペクトルは、表層地盤の増幅特性を考慮し、次式で表される。
【式23】
【0041】
ここで、SA(T)は、地表面での加速度応答スペクトル、GS(T)は、表層地盤増幅特性、Zは、地域係数、S0(T)は、解放工学的基盤における基準加速度応答スペクトル、Tは、建築物の1次固有周期である。大地震動の場合、S0(T)は、以下のようになる。
【式24】
ここに、TC=2π・80/784(秒)、中地震動は、大地震動の1/5のレベルで設定される。
【0042】
応答の算定は、建築物を等価な1質点系に縮約したモデルにより、応答スペクトルを用いた等価線形化による方法で行う。縮約されたモデルの代表変位と安全限界変位を求める式は、次式で表される。
【式25】
【0043】
建築物の有効質量を求める式は、
【式26】
ここで、miは、各階の質量、δiは、各階の変位である。
【0044】
建築物の安全限界耐力を求める式は、
【式27】
ここで、qiは、第i層が保有水平耐力時におけるベースシヤ係数換算値を表し、qi=Qui/Ai・ΣWiである。Quiは、第i層が保有水平耐力、Aiは、地震層せん断力係数の分布係数、ΣWiは、i層より上層の重量の和、Wは、建築物の全重量である。
【0045】
建築物の部材の等価粘性減衰係数を求める式は、
【式28】
【0046】
ここで、ΔWは、定常履歴ループの面積、Weは、等価ポテンシャルエネルギー、αは、地震時の応答が定常応答ではなく、過渡応答であることを考慮した補正係数(通常0.7)である。
【0047】
建築物全体としての等価粘性減衰係数を求める式は、
【式29】
ここで、heqiは、部材iの履歴と粘性を考慮した等価粘性減衰定数、Weiは、部材iの等価ポテンシャルエネルギー、hsは、建築物と地盤との相互作用等による等価粘性減衰定数である。
【0048】
建築物の履歴減衰を考慮した係数を求める式は、
【式30】
ここで、Fhは、安全限界固有周期における振動の減衰による加速度の低減率であり、Fhが0.4を下回る場合には、0.4とする。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、建物の各壁の荷重−変位量を、壁を構成する複数のパネルに基づき算出するため、壁を構成するパネルを適切に評価して建物の耐震設計を行うことができる。更に、各壁の荷重−変位量のグラフと、建物の地震応答に基づくグラフとを併せて表示するため、壁の耐力に不足があるかないかを直ちに理解できるよう表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る建物の耐震設計方法の主処理を示すフローチャートである。
【図2】 図1の主処理中の壁耐力算出のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図3】 図1の主処理中の地震せん断力−変位曲線算出のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図4】 図4(A)、(B)(C)は、本発明の第1実施形態に係る建物の耐震設計方法の住宅の選択画面の説明図であり、図4(D)は、作成された立面図であり、図4(E)は、作成された展開図である。
【図5】 図5(A)、(B)、(C)は、壁に取り付けられた石膏ボードなど各種パネルの説明図である。
【図6】 図6(A)、(B)は、壁耐力から求められたせん断力−変位量を示すグラフである。
【図7】 変形角から変位量を算出する方法を示す説明図である。
【図8】 図8(A)、(B)、(C)は、地震のせん断力−変位曲線の求め方を示す説明図である。
【図9】 図9(A)、(B)は、壁耐力から求められたせん断力−変位量と、地震のせん断力−変位曲線とを重ねて示すグラフである。
【図10】 図10(A)、(B)は、壁耐力からせん断力−変位量を求める計算方法の説明図である。
【図11】 図11(A)、(B)は、壁耐力からせん断力−変位量を求める計算方法の説明図である。
【符号の説明】
WN、WE、WS、WW 壁
B1〜B6 石膏ボード
Claims (3)
- オペレータによる入力に基づいて、住宅の平面図を作成する平面図作成処理手段と、
オペレータの入力に従って、当該住宅の屋根形状を選択する屋根形状選択処理手段と、
オペレータの入力に従って、当該住宅の窓等の壁開口および釘配置の選択を行う壁開口・釘配置選択処理手段と、
前記平面図、屋根形状、壁開口及び釘配置に基づき、当該住宅の立面図と、各壁の展開図とを作成する立面図・展開図作成処理手段と、
前記立面図・展開図作成手段によって展開図として作成された各壁毎に、当該壁の耐力に基づくせん断力−変位曲線を算出する処理を、全ての壁について実行する壁耐力算出処理手段と、
建物の各階の鉛直荷重、加速度応答スペクトルと疑似変位応答スペクトルとの関係、減衰を考慮した補正値Fh、質量を考慮して、地震時における建物のせん断力−変位曲線を求める建物のせん断力−変位曲線算出処理手段と、
前記壁耐力から求めたせん断力−変位曲線と、前記地震時の建物のせん断力−変位曲線とを重ねて、モニターに表示する重ね表示処理手段と、
を備えたものであることを特徴とする建物の耐震設計のための設計支援装置。 - 前記壁耐力算出処理手段が、
前記各壁の中から処理対象となる壁を選択する壁選択手段と、
前記選択した壁を構成する複数のパネルの中から一つを選択するパネル選択手段と、
前記選択されたパネルの釘による抵抗モーメントを算出するパネル抵抗モーメント算出手段と、
前記選択した壁の全てのパネルの抵抗モーメントの算出が完了したか否かを判定し、完了するまで前記各手段による処理を繰り返し実行し、完了したら、前記選択した壁の全てのパネルの抵抗モーメントを加算することによって当該壁の耐力を算出する壁耐力算出手段と、
前記算出された壁の耐力から、せん断力に関する荷重−変位量の関係を表したグラフを作成するせん断力−変位量グラフ作成処理手段と、
前記せん断力−変位量グラフ作成処理が全ての壁について実行されたか否かを判断し、全ての壁について実行されるまで、前記各手段による処理を繰り返させる繰り返し処理手段と、
オペレータによる終了または要修正の指令があったか否かを判断し、要修正の指令があったときは、オペレータに対して前記壁開口・釘配置選択処理手段の処理から再度演算を実行するための入力をさせる修正入力処理手段と、
を備えたものであることを特徴とする請求項1記載の建物の耐震設計のための設計支援装置。 - さらに、
前記修正入力処理手段により、オペレータがパネルを特定し、修正を指示した場合は、当該パネルの釘の数を増大するか、開口を小さくして前記壁開口・釘配置選択処理手段以下の処理を再度実行させる再計算処理手段と、
前記修正入力処理手段による修正が指示されなくなったら、見積もりを作成する見積もり作成処理手段と、
を備えたものであることを特徴とする請求項2記載の建物の耐震設計のための設計支援装置。
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