JP2003132107A - 配管装置及び配管装置の設計方法 - Google Patents

配管装置及び配管装置の設計方法

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JP2003132107A
JP2003132107A JP2001327093A JP2001327093A JP2003132107A JP 2003132107 A JP2003132107 A JP 2003132107A JP 2001327093 A JP2001327093 A JP 2001327093A JP 2001327093 A JP2001327093 A JP 2001327093A JP 2003132107 A JP2003132107 A JP 2003132107A
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piping
response
piping device
damping ratio
modal
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Tadashi Iijima
唯司 飯島
Toshihiko Horiuchi
敏彦 堀内
Satoru Ono
悟 小野
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】配管の塑性変形を許容し、配管が塑性変形した
場合の減衰比の増加、固有振動数の低下を考慮して設計
した配管装置を提供する。 【解決手段】有限要素法により配管装置の解析モデルを
作成し、この解析モデルを用いたモーダル応答解析手法
により、地震荷重に対して生じる振動応答を計算し、こ
の振動応答の計算結果を、あらかじめ設定した基準を満
たすように設計する配管装置において、配管装置を構成
する配管材料の塑性変形によって生じる減衰効果を考慮
したモード減衰比を設定して、地震入力に対して生じる
振動応答を計算した結果を、配管材料の弾性限界以上に
設定された基準を満たすように設計する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種プラントの配
管装置で、特に配管の塑性変形を許容した設計思想のも
とで設計された配管装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種プラントの機器・配管については、
想定する地震に対して損傷が発生しない設計(いわゆる
耐震設計)が行われる。現行の耐震設計では、特開平10
-205699号公報記載のように、モード解析手法を利用し
た応答スペクトル解析法または時刻歴解析法により、地
震入力に対して生じる振動応答を計算する。そして、こ
の振動応答の計算結果を、あらかじめ設定した基準を満
たすようにすることで、その機器・配管の部材の変形
が、弾性域内に留まるように設計している。この振動応
答の計算で、モード解析手法を適用するためには、固有
モード毎にモード減衰比を設定する必要がある。原子力
発電施設の配管設計の場合、配管装置のサポートの種
類、数量に応じて設定される減衰比を、設計用減衰比と
して使用している。このような減衰比の設定方法が採用
されている理由は、配管装置の構成要素のうち、サポー
ト部分での摩擦、衝突などによる減衰効果が大きいこと
による。また、振動応答の計算結果を比較する基準の一
つとしては、例えば、降伏応力、引張強さをもとに定め
られる許容応力を用いている。これら、配管の設計用減
衰比や許容応力については、原子力発電所耐震設計技術
指針JEAG4601-1987に記載されている。
【0003】また、前述した2つの解析法のうち、応答
スペクトル解析法では、地震入力条件として応答スペク
トルを定義する。原子力発電施設の機器・配管の耐震設
計では、想定する地震動の応答スペクトルに対して、横
軸を周期としてスペクトルを描いた場合に、その周期軸
方向に±10%に拡幅したスペクトルを使用している。
この±10%の拡幅の意味は、機器・配管が設置されて
いる建屋の固有周期のばらつきを考慮したものである。
応答スペクトルの拡幅については、前述の原子力発電所
耐震設計技術指針JEAG4601-1987に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】配管装置の部材の変形
を弾性域内に留める設計方法の場合、設計上、想定して
いる地震荷重に対して、実際に配管装置が機能喪失にい
たる地震荷重ははるかに大きい。また、配管装置の一部
の部材が塑性変形しても、配管装置としての機能には問
題はない。そのため、弾塑性域までの変形を許容する設
計方法および、その設計方法による配管装置が成立し得
る。
【0005】一般的に、配管が塑性変形する場合、(1)
塑性変形のエネルギー吸収による減衰の増加、(2)塑性
変形の剛性低下による固有振動数の低下が生じる。多く
のプラント施設の従来の耐震設計では、このような部材
の塑性変形を許容していない。したがって配管の耐震設
計においても、配管の塑性変形による減衰比の増加、固
有振動数の低下を考慮していない。そのため配管の塑性
変形を許容する場合には、従来の耐震設計手法により設
定される減衰比は過小評価になり、その減衰比を用いた
応答解析は応答を過大評価することになる。また、塑性
変形による固有振動数の低下も考慮していないため、固
有振動数の低下は応答評価の誤差の要因となる可能性が
ある。また、減衰の増加、固有振動数の低下を生じる塑
性変形は、配管装置の構成要素のうち曲管、分岐管、ア
ンカーなど、形状が不連続で変形が集中しやすい配管部
分で生じることになる。そのため、塑性変形による減衰
の増加、固有振動数の低下は、配管装置を構成する配管
要素の形状と、その形状毎の配管要素の数量に依存する
ことになる。以下では、配管装置の構成要素のうちの配
管部分、つまり曲管、分岐管、アンカーや直管などを総
称して「配管要素」と呼ぶ。また、曲管、分岐管、アン
カー、直管などの配管要素の形状の種類を「形状タイ
プ」と呼ぶ。
【0006】本発明は、上記課題を解決するため、塑性
変形を許容した設計方法による配管装置を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題のうち、塑性
変形による減衰の増加に関する課題を解決するために、
本発明の配管装置では、有限要素法により配管装置の解
析モデルを作成し、この解析モデルを用いたモーダル応
答解析手法により、地震荷重に対して生じる振動応答を
計算し、この振動応答の計算結果を、あらかじめ設定し
た基準を満たすように設計する配管装置において、配管
装置を構成する配管材料の塑性変形によって生じる減衰
効果を考慮したモード減衰比を設定して、地震入力に対
して生じる振動応答を計算した結果を、配管材料の弾性
限界以上に設定された基準を満たすように設計する。こ
こで、配管材料の塑性変形によって生じる減衰効果を考
慮したモード減衰比は、配管装置を構成する配管要素の
形状タイプと、その形状タイプ毎の配管要素の数量に応
じて設定することが可能である。あるいは、解析モデル
の各要素毎の減衰比を配管要素の形状タイプに応じて設
定し、その各要素毎の減衰比をもとにモード解析手法に
よって配管装置のモード減衰比を計算することも可能で
ある。
【0008】一方、塑性変形による固有振動数の低下に
関する課題を解決するためには、モーダル応答解析手法
として応答スペクトル解析手法を使い、配管装置を構成
する配管要素の形状タイプと、その形状タイプ毎の配管
要素の数量に応じて、地震入力条件として定義する応答
スペクトルの拡幅率を設定して、地震荷重に対して生じ
る振動応答を計算する。これらの方法によれば、配管本
体の塑性変形による減衰比の増加、固有振動数の低下を
考慮して、地震荷重に対して生じる振動応答を計算した
設計方法による配管装置の提供が可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施例を示
す。
【0010】はじめに、配管の塑性変形を許容し、塑性
変形による減衰効果を利用する設計方法について説明す
る。図1に、配管装置の一実施例を示す。この実施例に
示すように、実際の配管装置は、直管1、曲管2、分岐
管3、レデューサ4、ノズル5、アンカー6、配管支持
構造物7など複数の構成要素からなっている。これらの
構成要素の配管部分のうち、曲管2、分岐管3、レデュ
ーサ4などは形状タイプや方向が異なる配管を接続し、
ノズル5、アンカー6などは配管と他の機器を接続する
ものである。これらの配管要素は、その形状的な特徴の
ため、他の形状タイプに比べて発生応力が高くなって塑
性変形しやすい。ここで、曲管を例に、塑性変形による
応答の低減効果を説明する。図2に、曲管継手8を含む
配管を示す。この曲管継手が、地震荷重により9のよう
に過大に変形すると、10の付近の歪みが材料の弾性限
界を越えて、材料が塑性する。図3に、材料の応力−歪
み曲線の例11を示す。配管の部材に発生する応力が、
弾性限界である降伏応力12を越えたときに、材料は塑
性する。しかし、この弾性限界を越えることは、必ずし
も配管装置が機能を喪失することを意味せず、塑性変形
を許容する設計手法が成立する。塑性変形を許容する設
計手法は、配管装置の全ての部材が弾性限界を越えない
ようにする従来の設計法に比べて、大きな変形が許容さ
れるため、より合理的である。そして、配管の部材が塑
性変形する場合、図4に示す繰返し荷重13に対する変
形は、一般的に、図5に示すような変形量と荷重の関係
となる。すなわち、塑性変形した場合、変形量と荷重の
関係は、14のようにヒステリシス・ループを形成す
る。繰返し荷重の1サイクルに対して、このループで囲
まれる面積15に相当する振動エネルギーが、材料の塑
性変形により吸収される。つまり地震荷重のような繰返
し荷重13に対しては、配管の部材が塑性変形する場
合、塑性変形により振動エネルギーが吸収されるため、
減衰効果が大きくなる。この振動エネルギーの吸収によ
る減衰の増加は、地震時の配管装置の応答低減に利用で
きる。このように、配管の塑性変形を許容すること、お
よび塑性変形による減衰効果を利用する考え方は、弾塑
性設計と呼ばれる。
【0011】本実施例では、この弾塑性設計を適用した
配管装置を提供する。つまり、(1)配管装置を構成する
配管材料の塑性変形によって生じる減衰効果を考慮した
モード減衰比を設定して、地震入力に対して生じる振動
応答を計算し、(2)この振動応答の計算結果が、配管材
料の弾性限界以上に設定された基準を満たすように設計
する。図6に、本発明の配管装置の設計の流れの一実施
例を示す。はじめに対象とする配管装置を選定し(図6
のステップ16)、配管の塑性変形を考慮した配管装置
のモード減衰比を設定する(図6のステップ17)。応
答解析法として応答スペクトル解析法を用いている場合
には、設定した減衰比の応答スペクトルを計算する(図
6のステップ18)。そして、応答解析を行って、配管
の塑性変形による減衰効果を考慮した振動応答を計算す
る(図6のステップ19)。この振動応答の計算結果
を、配管材料の弾性限界以上に設定された基準と比較す
る(図6のステップ20)。基準の条件を満たさない場
合には、配管のルート変更やサポート配置の変更などの
設計変更を行い、条件を満たすまで評価をやり直すこと
になる(図6のステップ21)。基準の条件を満たした
場合には、そこで設計は終了となる(図6のステップ2
2)。この実施例では、応答解析方法として応答スペク
トル解析を用いているが、時刻歴解析法の場合には、図
6のステップ18の応答スペクトルを計算するステップ
は不要となる。また、配管材料の弾性限界以上に設定さ
れた基準とは、例えば応力で言うと、図3の12のよう
な材料の降伏応力以上の応力により規定される値にな
る。変位、荷重などの他の応答量については、応力に換
算した場合に降伏応力相当以上となる値を用いる。しか
しながら、この基準については、配管材料が塑性変形す
る条件とするものの、繰返し荷重となる地震入力条件に
対して、配管に亀裂などの破損が生じない値に設定する
必要がある。したがって、例えば図7に示すように、材
料のSN線図23をもとに、設計上想定している地震荷
重の等価繰返し数24に対して、安全側となる応力25
を基準として設定することが可能である。この他にも、
配管の加振試験や応答解析などの検討結果をもとに基準
を設定しても良いことは言うまでもない。SN線図23
は設計基準として予め指定されるか、実験的に導出する
ことができる。
【0012】以上のように、振動応答の計算結果を比較
する基準値を、弾性限界となる降伏応力以上で亀裂など
の障害となる破損を生じない所定の値以下に設定する。
【0013】次に、配管の塑性変形によって生じる減衰
効果を考慮するためのモード減衰比の設定方法の一実施
例を示す。前述のように、図1に示すような配管装置の
構成要素のうち、曲管2、分岐管3、レデューサ4、ノ
ズル5、アンカー6などの配管要素は、その形状的な特
徴のため、他の形状タイプに比べて発生応力が高くなっ
て塑性変形しやすい。したがって、配管の塑性変形を許
容した場合、これらの形状タイプの配管部分が塑性変形
して、配管装置としての減衰が増加することになる。つ
まり、配管装置を構成している配管要素の形状タイプ
と、その形状タイプ毎の配管要素の数量に、配管装置の
減衰比が依存する。したがって、これらに基づいて、配
管の塑性変形を許容する場合の減衰比を設定することが
有効である。図8に、配管装置を構成する配管要素の形
状タイプと、その形状タイプ毎の数量に応じた減衰比の
設定例を示す。この実施例では、複数の形状タイプのう
ち、特に塑性変形する可能性が高いと考えられる曲管と
分岐管の数26をもとに、配管装置の減衰比27を設定
している。そして曲管と分岐管の数26をn1からn4で区
切り、その区切り毎に配管装置の減衰比27をh1からh5
に変化させている。ここでは、配管装置全体を対象に、
形状タイプ毎の配管要素の数と減衰比を対応させている
が、例えば図9に示すように、配管支持構造物7の間2
8を対象として考えても良い。また図8の例では減衰比
の区分数を5つとしたが、この区分数は必要に応じて変
更可能である。図8のような配管要素の形状タイプ・数
量と減衰比の関係は、例えば、配管装置の振動試験、有
限要素解析法による応答解析などによって、別途、決め
ておくことになる。この減衰比の決定方法の一実施例に
ついては、スペクトルの拡幅率の決定方法とあわせて、
後述する。図10には、ここで説明したモード減衰比の
設定方法を用いる設計方法の流れを示す。はじめに対象
とする配管装置を選定し(図10のステップ29)、そ
の配管装置を構成する曲管、分岐管などの配管要素の数
をカウントする(図10のステップ30)。そして、図
6に示した例のように、配管装置の減衰比を設定する
(図10のステップ31)。応答解析法として応答スペ
クトル解析法を用いる場合には、設定した減衰比の応答
スペクトルを計算する(図10のステップ32)。そし
て、応答解析を行って、配管の塑性変形による減衰効果
を考慮した振動応答を計算する(図10のステップ3
3)。この振動応答の計算結果を、配管材料の弾性限界
以上に設定された基準と比較する(図10のステップ3
4)。基準の条件を満たさない場合には、配管のルート
変更やサポート配置の変更などの設計変更を行い、条件
を満たすまで評価をやり直すことになる(図10のステ
ップ35)。基準の条件を満たした場合には、そこで設
計は終了となる(図10のステップ36)。この例で
は、応答解析方法として応答スペクトル解析を用いてい
るが、時刻歴解析法の場合には、図10のステップ32
の応答スペクトルを計算するステップは不要となる。
【0014】さらに、別のモード減衰比の設定方法の一
実施例を示す。この実施例では、曲管、分岐管毎などの
配管要素の形状タイプ毎に減衰比を設定する。図11
に、この実施例の場合に必要となる配管要素の形状タイ
プと減衰比の関係の例を示す。この実施例では、配管要
素の形状タイプ37毎に、配管要素の減衰比38を設定
しておく。図11のような配管要素の形状タイプと減衰
比の関係は、例えば、配管要素の振動試験、有限要素解
析法による応答解析などによって、別途、決めておくこ
とになる。この減衰比の決定方法の一実施例について
は、後述する。そして、モード解析におけるひずみエネ
ルギー比例型減衰または運動エネルギー比例型減衰の考
え方によって、配管要素毎の減衰比hejをもとに、配
管装置の振動モード毎の減衰比hiを計算する。それぞ
れの方法による計算式は次式となる。
【0015】
【数1】
【数2】 ここで配管装置全体のひずみエネルギーWi、各要素毎
のひずみエネルギーWij、配管装置全体の運動エネル
ギーTi、各要素毎の運動エネルギーTijは、モード
解析で求めることになる。
【0016】図12には、このモード減衰比の設定方法
を用いる設計方法の流れを示す。はじめに対象とする配
管装置を選定し(図12のステップ39)、その配管装
置を構成する曲管、分岐管などの配管形状の形状タイプ
を認識する(図12のステップ40)。そして、図11
に示したような例のように、形状タイプに応じて、配管
要素毎に減衰比を設定する(図12のステップ41)。
そしてモード解析におけるひずみエネルギー比例型減
衰、または運動エネルギー比例型減衰の考え方によっ
て、配管装置の振動モード毎の減衰比を計算する(図1
2のステップ42)。応答解析法として応答スペクトル
解析法を用いている場合には、各振動モード毎に計算さ
れる減衰比の応答スペクトル値を計算する(図12のス
テップ43)。そして、応答解析を行って、配管の塑性
変形による減衰効果を考慮した振動応答を計算する(図
12のステップ44)。この振動応答の計算結果を、配
管材料の弾性限界以上に設定された基準と比較する(図
12のステップ45)。基準の条件を満たさない場合に
は、配管のルート変更やサポート配置の変更などの設計
変更を行い、条件を満たすまで評価をやり直すことにな
る(図12のステップ46)。基準の条件を満たした場
合には、そこで設計は終了となる(図12のステップ4
7)。この実施例では、応答解析方法として応答スペク
トル解析法を用いているが、時刻歴解析の場合には、図
12のステップ43の応答スペクトルを計算するステッ
プは不要となる。
【0017】以降では、塑性変形による固有振動数の低
下を考慮して設計する配管装置の一実施例を説明する。
この実施例では、応答解析法として応答スペクトル解析
法を使い、その入力条件として定義する応答スペクトル
の拡幅率を設定することで、塑性変形による固有振動数
の低下を考慮する。この応答スペクトルの拡幅率の設定
方法について、以下に説明する。
【0018】図13に、応答スペクトルの例を示す。原
子力発電施設の機器・配管の耐震設計では、原子力発電
所の建屋モデルの地震応答解析から計算される床応答の
応答スペクトル48について、建屋の固有周期のばらつ
きを考慮するために、周期軸方向に±10%の拡幅した
スペクトル49を、機器・配管の入力として使用する。
しかし配管の塑性変形を考慮する場合には、配管装置の
固有振動数の低下が生じる。固有振動数の逆数である固
有周期で見れば、例えば弾性時の50から塑性時の51
のように固有周期は増加する。そのときのスペクトル値
は、この例では52から53のように変化することにな
る。したがって、このような固有振動数の低下(固有周
期の増加)を考慮するために、応答スペクトルの横軸を
周期とした場合には負方向に、振動数軸とした場合には
正方向に拡幅することが有効である。図13には、周期
軸の負方向に拡幅したスペクトルの例54と、そのとき
のスペクトル値55を示してある。このような方法によ
り、固有振動数(または固有周期)は変えずに、その変
動を考慮することが可能となる。ただし、この実施例で
は、建屋の固有振動数のばらつきを考慮するために拡幅
したスペクトルを、さらに拡幅した。しかしながら本発
明のスペクトルの拡幅率の設定方法は、これに限定され
ず、もとの応答スペクトル48に対する拡幅率を設定し
ても良い。
【0019】図14に、配管要素の形状タイプと、その
形状タイプ毎の数に応じた応答スペクトルの拡幅率の設
定例を示す。この実施例では、複数の配管要素の形状タ
イプのうち、特に塑性変形する可能性が高いと考えられ
る曲管と分岐管の数56をもとに、応答スペクトルの拡
幅率57を設定している。そして曲管と分岐管の数56
をn1からn4で区切り、応答スペクトルの拡幅率57をE1
からE5と変化させている。ここでは、配管装置全体を対
象に、形状タイプ毎の配管要素の数と応答スペクトルの
拡幅率を対応させたが、例えば図9に示すように、配管
支持構造物7の間28を対象としても良い。また図14
の例では拡幅率の区分数を5つとしたが、この区分数は
必要に応じて変更可能である。図14のような配管要素
の形状タイプ・数量とスペクトル拡幅率の関係は、例え
ば、配管装置の振動試験、有限要素解析法による応答解
析などによって、別途、決めておくことになる。このス
ペクトル拡幅率の決定方法の一実施例については、減衰
比の決定方法とあわせて、後述する。
【0020】図15には、ここで説明したスペクトル拡
幅率の設定方法を用いる設計方法の流れを示す。はじめ
に対象とする配管装置を選定し(図15のステップ5
8)、その配管装置を構成する曲管、分岐管などの配管
要素の数をカウントする(図15のステップ59)。そ
して、図14に示した例のように、応答スペクトルの拡
幅率を設定する(図15のステップ60)。次に、応答
スペクトルを計算し、ステップ60で設定した拡幅率を
もとに、計算したスペクトルを拡幅する(図15のステ
ップ61)。そして、応答スペクトル解析法による地震
応答解析を行って、配管の塑性変形による固有振動数の
低下を考慮した振動応答を計算する(図15のステップ
62)。この振動応答の計算結果を、配管材料の弾性限
界以上に設定された基準と比較する(図15のステップ
63)。基準の条件を満たさない場合には、配管のルー
ト変更やサポート配置の変更などの設計変更を行い、条
件を満たすまで評価をやり直すことになる(図15のス
テップ64)。基準の条件を満たした場合には、そこで
設計は終了となる(図15のステップ65)。
【0021】最後に、配管要素の形状タイプや数量と、
減衰比、スペクトル拡幅率の関係の決定方法の一実施例
を示す。図16に、この決定方法の流れをフローで示
す。はじめに、曲管、分岐管などの配管要素の加振試験
を実施する(図16のステップ66)。そして、その試
験結果をもとに、配管要素の等価減衰比、等価剛性(等
価振動数)を算出する(図16のステップ67)。ただ
し、このときの等価減衰比(減衰比の増加量)、等価剛
性(剛性の低下量)は応答レベルに依存するため、別
途、想定する応答レベルを設定しておく必要がある。こ
の応答レベルには、例えば、配管の設計許容応力相当ま
たは、それに適当な安全率を見込んだレベルが考えられ
る。図11に示したような配管要素の形状タイプと減衰
比の関係を決定する場合には、ここでの等価減衰比のデ
ータを、そのまま使用することが可能である。
【0022】次に、この配管要素の等価減衰比、等価剛
性を、配管装置の解析モデルの各要素に反映した場合の
配管装置全体のモード減衰比、固有振動数(固有振動数
の低下量)を計算する(図16のステップ68)。この
ステップでは、曲管、分岐管などの配管要素の形状タイ
プや数量が異なる複数の配管装置を対象として、有限要
素法で配管装置の解析モデルを作成し、モード解析手法
によってモード減衰比、固有振動数を計算する方法が考
えられる。そして、モード減衰比の計算結果をもとに、
図8のような配管要素の形状タイプ・数量と減衰比の関
係を決定することが可能となる。さらに、固有振動数の
低下量(固有周期の増加量)の計算結果をもとに、図1
4のような配管要素の形状タイプ・数量とスペクトル拡
幅率の関係を決定することが可能となる(図16のステ
ップ69)。この実施例では、配管要素の加振試験結果
をもとに、複数の配管装置の解析モデルによる固有値解
析を行う場合を示した。しかしながら複数の配管装置を
対象とした加振試験結果から直接、モード減衰比、固有
振動数を評価する方法や、配管要素や配管装置の全てに
ついて、一貫して有限要素法による応答解析結果をもと
に行う方法も可能であることは言うまでもない。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、有限要素法により配管
装置の解析モデルを作成し、この解析モデルを用いたモ
ーダル応答解析手法により、地震荷重に対して生じる振
動応答を計算し、この振動応答の計算結果を、あらかじ
め設定した基準を満たすように設計する配管装置におい
て、配管装置を構成する配管材料の塑性変形によって生
じる減衰効果を考慮した配管装置を提供することが可能
となる。そして同様に、配管の塑性変形による固有振動
数の低下を考慮した配管装置を提供することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】配管装置の例。
【図2】曲管の変形の例。
【図3】応力−歪み曲線。
【図4】繰返し荷重の例。
【図5】繰返し荷重に対する荷重―変形量関係。
【図6】配管の塑性変形による減衰効果を考慮したモー
ド減衰比を設定する設計方法のフロー。
【図7】SN線図の例。
【図8】曲管、分岐管の数と、配管装置の減衰比の関係
の例。
【図9】配管装置のうちの配管支持構造物間の部分。
【図10】形状タイプ毎の配管要素の数に応じた配管装
置のモード減衰比を設定する設計方法のフロー。
【図11】配管要素の形状タイプと減衰比の関係の例。
【図12】配管要素毎の減衰比に基づいた配管装置のモ
ード減衰比を計算する設計方法のフロー。
【図13】応答スペクトルの例。
【図14】曲管、分岐管の数と、応答スペクトルの拡幅
率の関係の例。
【図15】形状タイプ毎の配管要素の数に応じた応答ス
ペクトルの拡幅率を設定する設計方法のフロー。
【図16】配管要素の形状タイプ、数量と、減衰比、ス
ペクトル拡幅率の関係の決定方法のフロー。
【符号の説明】
1…直管、2…曲管継手、3…分岐管継手、4…レデュ
ーサ、5…ノズル、6…アンカー、7…配管支持構造
物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 悟 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 Fターム(参考) 5B046 AA02 DA02 JA08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有限要素法により配管装置の解析モデルを
    作成し、この解析モデルを用いたモーダル応答解析手法
    により、地震荷重に対して生じる振動応答を計算し、こ
    の振動応答の計算結果を、あらかじめ設定した基準を満
    たすように設計する配管装置において、配管装置を構成
    する配管材料の塑性変形によって生じる減衰効果を考慮
    したモード減衰比を設定して、地震入力に対して生じる
    振動応答を計算した結果を、配管材料の弾性限界以上に
    設定された基準を満たすように設計したことを特徴とす
    る配管装置。
  2. 【請求項2】有限要素法により配管装置の解析モデルを
    作成し、この解析モデルを用いたモーダル応答解析手法
    により、地震荷重に対して生じる振動応答を計算し、こ
    の振動応答の計算結果を、あらかじめ設定した基準を満
    たすように設計する配管装置の設計方法において、配管
    装置を構成する配管材料の塑性変形によって生じる減衰
    効果を考慮したモード減衰比を設定して、地震入力に対
    して生じる振動応答を計算した結果を、配管材料の弾性
    限界以上に設定された基準を満たすように設計すること
    を特徴とする配管装置の設計方法。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の配管装置の設計方法にお
    いて、配管装置を構成する配管要素の形状タイプと、そ
    の形状タイプ毎の配管要素の数量に応じて、配管装置の
    モード減衰比を設定して、地震荷重に対して生じる振動
    応答を計算することを特徴とする配管装置の設計方法。
  4. 【請求項4】請求項2に記載の配管装置の設計方法にお
    いて、配管要素の形状タイプに応じて解析モデルの各要
    素毎の減衰比を設定し、設定した各要素毎の減衰比をも
    とにモード解析手法によって配管装置のモード減衰比を
    計算して、地震入力に対して生じる振動応答を計算する
    ことを特徴とする配管装置の設計方法。
  5. 【請求項5】請求項2に記載の配管装置の設計方法にお
    いて、モーダル応答解析手法として応答スペクトル解析
    手法を使い、配管装置を構成する配管要素の形状タイプ
    と、その形状タイプ毎の配管要素の数量に応じて、地震
    入力条件として定義する応答スペクトルの拡幅率を設定
    して、地震荷重に対して生じる振動応答を計算すること
    を特徴とする配管装置の設計方法。
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