JP2013037649A - 配管系の振動解析方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】拘束点8ごとに配管系1を複数の要素6kに分割する分割工程(ステップS6)と、複数の要素6kのそれぞれについて、固有振動数Xk0が既知である基準モデル7kを当てはめる基準モデル当てはめ工程(ステップS8)と、各要素6kと該要素に当てはめられた基準モデル7kとの相違に基づく補正係数αkを複数の要素6kのそれぞれについて求める補正係数算出工程(ステップS10)と、各要素6kに当てはめられた基準モデル7kの固有振動数Xkに補正係数αkを乗じて、複数の要素6kのそれぞれの固有振動数Xkを求める固有振動数算出工程(ステップS12)とによって、配管系1の振動解析を行う。
【選択図】 図2
Description
よって、従来の振動解析方法では、各プラントの個々の配管系に対してモデルを作成し、このモデルを用いて配管系の振動解析を行っていた。
非特許文献1には、多スパン配管をモデル化して作成した解析モデルを用いて、この多スパン配管の振動診断を行う手法が開示されている。この手法では、対象とする多スパン配管中の配管をはり要素で、バルブを集中質量で、サポートをばね要素として扱って、多スパン配管のモデル化を行って解析モデルを作成している。また、解析モデルの振動特性を実機の振動特性に合わせるため、解析モデルの最適化処理が行われる。このようにして得られた解析モデルを用いれば、加速度計による実機データから多スパン配管の任意箇所における発生応力の評価を行うことができる。
また、非特許文献2には、加圧水型原子力発電所(PWRプラント)における配管系をモデル化し、母管の振動に起因して枝管に発生する振動応力を算出する手法が開示されている。この手法では、母管が振動せず、枝管(小口径配管)に設けられたバルブの弁箱の位置に配管系の重心位置が存在すると仮定した簡易モデルに対して、配管系の実際の重心位置の弁箱からのずれ、および、母管自体の振動を考慮に入れて修正したモデルを用いて解析が行われる。
一方、解析時間を短縮するために、配管系のうち振動への寄与が大きいと考えられる部分(揺れやすい部分)だけに限定して振動解析を行うことも考えられるが、この場合には配管系の振動特性を正確に把握することができない。そのため、所望の振動特性を実現するように配管系を設計しても、配管系を実際に組み上げて配管系に流体を流すプラント試運転時になって、配管系の振動対策が十分でないことが明らかになり、配管支持構造物の修正を余儀なくされて、コストがかさむ原因となり得る。
また、要素ごとに固有振動数が得られるため、配管系のどの箇所(要素)に振動対策を施すべきかが明確になる。よって、配管系の設計段階で、回転体や往復運動体を備えた機器との共振のおそれがなく、振動に対する剛性に優れた配管系を容易に実現できる。
これにより、プラントの配管系で典型的に用いられる要素を代表モデルとして予め用意しておけば、種々のプラントにおける任意の形状の配管系の振動解析を簡便かつ迅速に行うことができる。
このように、代表モデルの固有振動数とこれに影響する影響因子との関係を示す関数を予め求めておき、各要素と基準モデルとの影響因子の相違から前記関数を用いて補正係数を求めることで、各要素の正確な固有振動数を簡便かつ迅速に求めることができる。
プラントの配管系は、通常、複雑な三次元形状であるから、あらゆる方向の振動が問題になりえる。このため、1方向について解析を行っても、配管系の振動特性を正確に知ることはできないことが多い。そこで、上述のように、互いに直交する2つの水平方向及び鉛直方向の3方向について、分割工程〜固有振動数算出工程を繰り返すことで、複雑な三次元形状の配管系の振動特性を確実に把握することができる。
このようにして得られた最小の固有振動数から、配管系のうちどの要素の何れの方向の振動モードについて振動対策を施すべきかを知ることができる。そのため、配管系への振動対策を効率的に行うことができる。
また、要素ごとに固有振動数が得られるため、配管系のどの箇所(要素)に振動対策を施すべきかが明確になる。よって、配管系の設計段階で、回転体や往復運動体を備えた機器との共振のおそれがなく、振動に対する剛性に優れた配管系を容易に実現できる。
これにより、プラントの配管系で典型的に用いられる要素を代表モデルとして予め用意しておけば、種々のプラントにおける任意の形状の配管系の振動解析を簡便かつ迅速に行うことができる。
また、要素ごとに固有振動数が得られるため、配管系のどの箇所(要素)に振動対策を施すべきかが明確になる。よって、配管系の設計段階で、回転体や往復運動体を備えた機器との共振のおそれがなく、振動に対する剛性に優れた配管系を容易に実現できる。
なお、以下では、はじめに本実施形態に係る配管系の振動解析方法について説明した後、この振動解析方法を実行するための振動解析装置について説明する。
代表モデル4iは、プラントの配管系で典型的に用いられる要素であり、任意の形状の配管及び該配管の両端を支持する支持部材3を有する。例えば、直管及び該直管の両端を支持する支持部材3からなる要素、屈曲部を1箇所だけ有するL字型の配管及び該配管の両端を支持する支持部材3からなる要素、屈曲部を2箇所有して一の平面内で延在する配管及び該配管の両端を支持する支持部材3からなる要素、屈曲部を2箇所有して立体的に延在する配管及び該配管の両端を支持する支持部材3からなる要素、母管から分岐した配管及び該配管を支持する支持部材3からなる要素等を代表モデル4iとして準備しておく。各代表モデル4iの固有振動数Xi0は、計算により求めてもよいし、各代表モデル4iを模したモックアップ試験体を用いて実測により求めてもよい。
ここでいう影響因子ajとは、各代表モデルの固有振動数に影響する任意のパラメータであり、例えば、配管仕様、配管の延べ長さ、集中質点の位置、配管の屈曲部の位置、配管の分岐部の位置、配管内を流れる流体の種類、保温の有無、配管内を流れる流体の温度、配管の厚さ、配管に作用する負荷荷重、計算上の誤差などが影響因子の具体例として挙げられる。また、ここでいう関数fij(aj)の形式は各影響因子ajと固有振動数Xiとの関係を特定可能である限り特に限定されず、上記式(1)そのものに相当する数式であってもよいし、上記式(1)に相当する固有振動数Xiと影響因子ajとの関係を示すグラフやテーブルであってもよい。
図3(A)に示すように、代表モデル4iは、屈曲部5を1箇所だけ有するL字型の配管と、該配管の両端を下方から支持する支持部材3とで構成される。屈曲部5は、長さL1の直管部と長さL2の直管部との間に位置しており、この代表モデル4iの延べ長さはL1+L2で表される。
図3(B)に示すように、配管の延べ長さa1、配管の厚さa2、配管内の流体の種類a3、配管内の流体温度a4、配管における屈曲部5の位置a5、配管に作用する負荷荷重(配管長さ相当)a6および計算上誤差a7の合計7種類の影響因子ajと代表モデル4iの固有振動数Xiとの関係を示す関数fi1(a1)〜fi7(a7)が準備されている。関数fi1(a1)〜fi7(a7)は、計算により求めてもよいし、代表モデル4iを模したモックアップ試験体を用いて実測により求めてもよい。
各要素6kへの基準モデル7kの当てはめは、具体的には次のように行う。すなわち、図1(B)に示す例の場合、要素61が屈曲部5を2箇所だけ有する配管及びその支持部材3からなるため、これに最も近い代表モデルを選択して基準モデル71として要素61に当てはめる。また、要素62は直管及びその支持部材3からなるため、これに最も近い代表モデルを選択して基準モデル72として要素62に当てはめる。さらに、要素6mは屈曲部5を1箇所だけ有する配管及びその支持部材3からなるため、これに最も近い代表モデルを選択して基準モデル7mとして要素6mに当てはめる。
具体的には、図1(B)に示す例の場合、各要素6k(k=1,2,…,m)に当てはめられた基準モデル7kの各影響因子の値aj0と、各要素の各影響因子の値ajとの相違を上記式(2)にて考慮し、補正係数αk(k=1,2,…,m)を算出する。
一方、3方向について固有振動数Xkの算出が完了していれば(ステップS14のYES判定)、ステップS16に進み、3方向について求めた各要素6kの固有振動数Xkのうち最小の固有振動数を求める(3×k個の固有振動数のうち最小のものを求める)。この最小固有振動数から、配管系1のうちどの要素6kの何れの方向の振動モードについて振動対策を施すべきかを知ることができる。そのため、配管系1への振動対策を効率的に行うことができる。
また、図5(B)の左側に示すように、拘束点8(8A〜8E)のうちY方向に配管系1を拘束するものを抽出すると、拘束点8A,8C,8Eのみとなる。そこで配管系1を拘束点8(8A,8C,8E)ごとに分割すると、同図の右側に示すように2つの要素(61Y,62Y)が得られる。つまり、Y方向に関して配管系1を拘束点ごとに複数の要素に分割した場合、2つの要素61Y,62Yが得られ、その後ステップS8〜S12を行うことで要素61Y,62Yのそれぞれついて固有振動数Xkが算出される。
同様に、図5(C)の左側に示すように、拘束点8(8A〜8E)のうちZ方向に配管系1を拘束するものを抽出すると、拘束点8A,8B,8D,8Eのみとなる。そこで配管系1を拘束点8(8A,8B,8D,8E)ごとに分割すると、同図の右側に示すように3つの要素(61Z,62Z,63Z)が得られる。つまり、Z方向に関して配管系1を拘束点ごとに複数の要素に分割した場合、3つの要素61Z,62Z,63Zが得られ、その後ステップS8〜S12を行うことで要素61Z,62Z,63Zのそれぞれついて固有振動数Xkが算出される。
本実施形態では、このようなXYZ方向における要素分割及び各要素についての固有振動数の算出が、図2におけるステップS14からステップS6に戻されることで、順に行われるようになっている。
同図に示すように、振動解析装置10は、主として、配管系1の振動解析に必要な処理を行うCPU20と、配管系1の振動解析に必要な情報が記憶された記憶手段(メモリ)30と、入力部42及び表示部44を有し、CPU20とオペレータとの情報のやりとりを行うユーザインターフェース40とを備える。
分割部22は、ユーザインターフェース40の入力部42を介してオペレータによって入力された配管系1の設計データに基づいて、配管系1を拘束点ごとに複数の要素6k(k=1,2,…,m)に分割する。
基準モデル当てはめ部24は、分割部22による分割処理によって得られた要素6kのそれぞれについて基準モデル7kを当てはめる。具体的には、ユーザインターフェース40の表示部44を介して、記憶手段30に記憶されている複数の代表モデル4iの中から各要素6kに最も近いものを選択するようにオペレータに促す。そして、オペレータがユーザインターフェース40の入力部42によって選択した代表モデル4iを、基準モデル7kとして各要素6kに当てはめる。なお、オペレータの負担を軽減する観点から、基準モデル当てはめ部24は、記憶手段30に記憶された複数の代表モデル4iの中から各要素6kに比較的近いものだけを候補として表示部44に表示するようにしてもよい。
補正係数算出部26は、上記式(2)を用いて、各要素6kと基準モデル7kとの影響因子ajの相違に基づく補正係数αkを算出する。このとき、各要素6kに当てはめられた基準モデル7kに対応する代表モデル4iの固有振動数Xi0を記憶手段30から受け取って、該固有振動数をその基準モデル7kの固有振動数Xk0として用いる。また、各要素6kに当てはめられた基準モデル7kに対応する代表モデル4iに関して予め求められた関数fij(aj)を記憶手段30から受け取って、該関数fij(aj)を基準モデル7kの固有振動数Xkと各影響因子ajとの関係を示す関数fkj(aj)として用いる。
固有振動数算出部28は、各要素6kに当てはめられた基準モデル7kの固有振動数Xk0に補正係数算出部26にて得られた補正係数αkを乗じて、各要素6kの実際の固有振動数Xk(=Xk0×αk)を算出する。
このような一連の処理を、分割部22、基準モデル当てはめ部24、補正係数算出部26および固有振動数算出部28によって繰り返し、互いに直交する2つの水平方向及び鉛直方向の3方向(XYZ方向)について、各要素6kの固有振動数Xkが算出される。
最小固有振動数算出部29は、固有振動数算出部28で得られた各要素6kの固有振動数Xkのうち最小の固有振動数を求める(3×k個の固有振動数のうち最小のものを求める)。これにより、配管系1のうちどの要素6kの何れの方向の振動モードについて振動対策を施すべきかを知ることができる。なお、最小固有振動数算出部29によって求められた最小の固有振動数はユーザインターフェース40の表示部44に表示される。
このように複雑な形状の配管系1をそのままモデル化するのではなく、配管系1を複数の要素6kに分割し、基準モデル7kとの比較に基づいて各要素6kの固有振動数Xkを求めることで、配管系1の振動解析を簡便に行うことができ、解析に要する時間を大幅に短縮できる。そのため、配管系1のより広い範囲にわたって解析を行うことが可能になり、配管系1の振動特性を正確に把握することができる。よって、プラント試運転段階になってから配管支持構造物(支持部材)の修正を余儀なくされる事態を防ぐことができる。
また、要素6kごとに固有振動数Xkが得られるため、配管系1のどの箇所(要素6k)に振動対策を施すべきかが明確になる。よって、配管系の設計段階で、回転体や往復運動体を備えた機器との共振のおそれがなく、振動に対する剛性に優れた配管系1を容易に実現できる。
これにより、プラントの配管系1で典型的に用いられる要素を代表モデル4iとして予め用意しておけば、種々のプラントにおける任意の形状の配管系1の振動解析を簡便かつ迅速に行うことができる。
これにより、各要素6kの正確な固有振動数Xkを簡便かつ迅速に求めることができる。
プラントの配管系は、通常、複雑な三次元形状であるから、あらゆる方向の振動が問題になりえる。このため、1方向について解析を行っても、配管系の振動特性を正確に知ることはできないことが多い。そこで、上述のように、互いに直交する2つの水平方向及び鉛直方向の3方向について、分割工程〜固有振動数算出工程を繰り返すことで、複雑な三次元形状の配管系1の振動特性を確実に把握することができる。
このようにして得られた最小の固有振動数から、配管系1のうちどの要素6kの何れの方向の振動モードについて振動対策を施すべきかを知ることができる。そのため、配管系1への振動対策を効率的に行うことができる。
2 配管
3 支持部材
4i 代表モデル
5 屈曲部
6k 要素
7k 基準モデル
8A〜8E 拘束点
9 配管サポート
10 振動解析装置
20 CPU
22 分割部
24 基準モデル当てはめ部
26 補正係数算出部
28 固有振動数算出部
29 最小固有振動数算出部
30 記憶手段(メモリ)
40 ユーザインターフェース
42 入力部
44 表示部
Claims (7)
- 配管および該配管を複数の拘束点において支持する複数の支持部材を有する配管系の振動解析方法であって、
前記拘束点ごとに前記配管系を複数の要素に分割する分割工程と、
前記複数の要素のそれぞれについて、固有振動数が既知である基準モデルを当てはめる基準モデル当てはめ工程と、
各要素と該要素に当てはめられた基準モデルとの相違に基づく補正係数を前記複数の要素のそれぞれについて求める補正係数算出工程と、
各要素に当てはめられた基準モデルの前記固有振動数に前記補正係数を乗じて、前記複数の要素のそれぞれの固有振動数を求める固有振動数算出工程とを備えることを特徴とする配管系の振動解析方法。 - 前記基準モデル当てはめ工程を行う前に、固有振動数が既知である代表モデルを複数用意する代表モデル準備工程をさらに備え、
前記基準モデル当てはめ工程では、複数の前記代表モデルの中から各要素に最も近い代表モデルを前記基準モデルとして選択して各要素に当てはめることを特徴とする請求項1に記載の配管系の振動解析方法。 - 前記補正係数算出工程を行う前に、前記代表モデルの固有振動数と該固有振動数に影響する影響因子との関係を示す関数を求める関数算出工程をさらに備え、
前記補正係数算出工程では、各要素と該要素に当てはめられた前記基準モデルとの前記影響因子の相違から前記関数を用いて前記補正係数を求めることを特徴とする請求項2に記載の配管系の振動解析方法。 - 前記分割工程、前記基準モデル当てはめ工程、前記補正係数算出工程および前記固有振動数算出工程を互いに直交する2つの水平方向及び鉛直方向の3方向について繰り返すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の配管系の振動解析方法。
- 前記3方向について前記固有振動数算出工程で算出した各要素の前記固有振動数のうち最小の固有振動数を求める最小固有振動数算出工程をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の配管系の振動解析方法。
- 配管および該配管を複数の拘束点において支持する複数の支持部材とを備える配管系の振動解析装置であって、
前記拘束点ごとに前記配管系を複数の要素に分割する分割手段と、
前記複数の要素のそれぞれについて、固有振動数が既知である基準モデルを当てはめる基準モデル当てはめ手段と、
各要素と該要素に当てはめられた基準モデルとの相違に基づく補正係数を前記複数の要素のそれぞれについて求める補正係数算出手段と、
各要素に当てはめられた基準モデルの前記固有振動数に前記補正係数を乗じて、前記複数の要素のそれぞれの固有振動数を求める固有振動数算出手段とを備えることを特徴とする配管系の振動解析装置。 - 固有振動数が既知である複数の代表モデルが記憶された記憶手段と、
オペレータとの情報のやり取りを行う表示部および入力部を有するユーザインターフェースとをさらに備え、
前記基準モデル当てはめ手段は、前記記憶手段に記憶された複数の前記代表モデルの中から各要素に最も近い代表モデルを選択することを前記表示部によってオペレータに促し、オペレータが前記入力部によって選択した代表モデルを前記基準モデルとして各要素に当てはめることを特徴とする請求項6に記載の配管系の振動解析装置。
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