JP5427765B2 - 配管系のクリープ損傷診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、溶接部を有する配管系に亘ってクリープ損傷を診断可能な配管系のクリープ損傷診断装置に関するものである。
従来、溶接部のクリープ損傷を診断する方法として、評価対象となる金属材料の結晶粒界をモデル化し、モデル化した結晶粒界を、複数のセルに分割して、セル毎に損傷の進展を計算する金属材料の損傷評価方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この金属材料の損傷評価方法では、微小欠陥が生じたセルを、応力を支持不能なセルとして取り扱う一方で、応力を支持可能なセルを有効なセルとして取り扱う。そして、単位面積当たりにおける有効なセルの割合(有効断面積)に応じて、金属材料に与えられる応力を補正した有効応力を設定している。これにより、モデル化した結晶粒界に対し、有効断面積を考慮した有効応力を設定できるため、金属材料の損傷を好適に評価することができる。
特開2005−3421号公報
ところで、配管系には、配管同士を溶接した溶接部や、配管を形成する際に溶接された溶接部が形成されている。この溶接部に付与される応力は、配管系の設計条件に応じて異なる。しかしながら、従来の損傷評価方法において、溶接部に設定される応力は、配管系の設計条件が考慮されていない。このため、従来の損傷評価方法を用いて、溶接部のクリープ損傷を診断する場合は、配管系において、応力が加わりそうな溶接部を選定し、選定した溶接部のクリープ損傷を診断していた。この場合、配管系の設計条件が考慮されていないために、解析時において、溶接部に適切な応力を設定することができず、溶接部のクリープ損傷を好適に診断することができない場合がある。加えて、溶接部の選定作業は、熟練した点検作業員によって行う必要がある。
そこで、本発明は、配管系の溶接部におけるクリープ損傷を好適に診断することができ、また、配管系の溶接部におけるクリープ損傷の損傷度合を、点検作業員に対して容易に認識させることができる配管系のクリープ損傷診断装置を提供することを課題とする。
本発明の配管系のクリープ損傷診断装置は、予め入力された配管系設計条件に基づいて、溶接部を有する配管系を模擬した配管系モデルを生成する配管系モデル生成手段と、生成された配管系モデルを解析して、溶接部に付与される曲げモーメントを導出する配管系解析手段と、予め入力された溶接部設計条件に基づいて、溶接部を模擬する複数の要素で構成された溶接部モデルを生成する溶接部モデル生成手段と、生成された溶接部モデルに対し、配管系解析手段によって導出された曲げモーメントを付与して解析し、溶接部の各要素に付与される応力を導出する溶接部解析手段と、予め入力された各要素における結晶粒界の粒界設計条件に基づいて、結晶粒界を模擬した粒界モデルを生成する粒界モデル生成手段と、生成された粒界モデルに対し、溶接部解析手段によって導出された応力を付与して解析し、溶接部に発生するクリープ損傷を導出するクリープ損傷解析手段と、クリープ損傷解析手段により導出したクリープ損傷の損傷度合を、配管系に亘って識別可能に表示するクリープ損傷表示手段と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、配管系解析手段により導出した曲げモーメントを、溶接部解析手段の入力値とすることができるため、溶接部解析手段により導出される応力は、配管系を考慮した値とすることができる。同様に、溶接部解析手段により導出した応力を、クリープ損傷解析手段の入力値とすることができるため、クリープ損傷解析手段により診断されるクリープ損傷は、溶接部を考慮した値とすることができる。これにより、配管系の溶接部におけるクリープ損傷を好適に診断することができる。また、クリープ損傷表示手段は、クリープ損傷の診断結果を、配管系に亘って表示することができる。これにより、配管系の溶接部におけるクリープ損傷の損傷度合を、点検作業員に対して容易に認識させることができる。
この場合、検査によって得られた配管系のクリープ損傷を入力可能な検査結果入力手段と、検査結果入力手段によって入力されたクリープ損傷を、クリープ損傷解析手段において逆解析を行わせて、応力および粒界設計条件を導出し、導出した応力を、溶接部解析手段において逆解析を行わせて、曲げモーメントおよび溶接部設計条件を導出し、導出した曲げモーメントを、配管系解析手段において逆解析を行わせて、配管系設計条件を導出する逆解析手段と、をさらに備えたことが好ましい。
この構成によれば、検査して得られたクリープ損傷を逆解析することで、粒界設計条件、溶接部設計条件および配管系設計条件を導出することができる。これにより、配管系、溶接部および結晶粒界の実施態様に合致した粒界設計条件、溶接部設計条件および配管系設計条件を取得することができ、逆解析によって得られた粒界設計条件、溶接部設計条件および配管系設計条件に基づいて解析を行うことにより、診断精度の向上を図ることができる。
この場合、検査結果入力手段には、検査によって得られた応力および曲げモーメントを入力可能となっており、逆解析手段は、応力および曲げモーメントを逆解析することにより、溶接部設計条件および配管系設計条件を導出可能となっていることが好ましい。
この構成によれば、検査途中で得られた応力および曲げモーメントを逆解析することで、溶接部設計条件および配管系設計条件を導出することができる。これにより、逆解析により取得した溶接部設計条件および配管系設計条件に基づいて解析を行うことにより、検査途中であっても、診断精度の向上を図ることができる。
本発明の配管系のクリープ損傷診断装置によれば、配管系の溶接部におけるクリープ損傷を好適に診断することができ、また、配管系の溶接部におけるクリープ損傷の損傷度合を、点検作業員に対して容易に認識させることができる。
図1は、本実施例に係る配管系のクリープ損傷診断装置の診断対象となる配管系モデルの説明図である。 図2は、本実施例に係る配管系のクリープ損傷診断装置の解析対象となる溶接部モデルの説明図である。 図3は、本実施例に係る配管系のクリープ損傷診断装置の解析対象となる粒界モデルの説明図である。 図4は、本実施例に係る配管系のクリープ損傷診断装置の構成を表したブロック図である。 図5は、配管系解析部によって導出される曲げモーメントの一例を示したグラフである。 図6は、溶接部解析部によって導出される応力の一例を示したグラフである。 図7は、クリープ損傷解析部によって導出されるクリープボイドの一例を示したグラフである。 図8は、表示部に表示された配管系のクリープ損傷の診断結果を表す説明図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の配管系のクリープ損傷診断装置について説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
本実施例に係る配管系のクリープ損傷診断装置は、プラントに設けられた配管系に亘って、クリープ損傷の損傷度合を診断する装置である。ここで、クリープ損傷とは、配管系に持続的に応力が作用すると、時間の経過と共に、クリープボイドと呼ばれる微小欠陥が形成され、配管系の変形が増大する現象である。先ず、図1を参照して、クリープ損傷診断装置の診断対象となる配管系について説明する。
図1は、本実施例に係る配管系のクリープ損傷診断装置の診断対象となる配管系モデルの説明図である。配管系1は、原子力発電プラントや火力発電プラント等のプラントに配設されている。配管系1は、例えば、蒸気を生成するボイラの出口から、蒸気によって回転する蒸気タービンの入口まで設けられており、その内部には蒸気が流れる。配管系1は、配管2同士を溶接する溶接部3や、配管2を形成する際に溶接された溶接部3を有しており、これら溶接部3では、クリープボイドが生じ易くなっている。また、配管系1は、コンスタントハンガーやスプリングハンガー等の支持ハンガー5と、リジットハンガー6とによって支持され、レストレイント7によって配管系1の一部が拘束されている。なお、図1では、上記した配管系1を模擬した配管系モデル10として表している。
図2は、本実施例に係る配管系のクリープ損傷診断装置の解析対象となる溶接部モデルの説明図である。配管系1の溶接部3は、その溶接方向が、配管2の周方向、または配管2の軸方向となっている。溶接部3は、形成された開先部に対し、溶加材16を用いて肉盛溶接することで形成されている。このとき、配管2の母材15と溶融した溶加材(溶金)16との間には、溶接熱により溶接熱影響部(HAZ部)17が形成される。なお、母材15および溶加材16を構成する金属材料としては、9クロム鋼等の高クロム鋼が用いられる。この溶接部3は、有限要素解析(FEM解析)が用いられることから、溶接部3を模擬した溶接部モデル20は、複数の要素25で構成される。なお、図2において、図示上側が配管2の外側であり、図示下側が配管2の内側である。
図3は、本実施例に係る配管系のクリープ損傷診断装置の解析対象となる粒界モデルの説明図である。溶接部3のクリープ損傷を診断する場合、生成された溶接部モデル20の各要素25内において発生するクリープボイドの個数密度を解析により導出している。このとき、解析対象となる各要素25において、溶接部3の結晶粒の粒界を模擬した粒界モデル30が生成される。この粒界モデル30は、配管2の周方向(θ方向)に複数形成され、また、配管2の肉厚方向(Z方向)に複数形成される。そして、粒界モデル30を解析することによってクリープボイドの個数密度を表す解析結果35が導出され、この解析結果35から、クリープボイドの個数密度が導出される。
次に、図4を参照し、配管系1のクリープ損傷を診断するクリープ損傷診断装置50について説明する。図4は、本実施例に係る配管系のクリープ損傷診断装置の構成を表したブロック図である。クリープ損傷診断装置50は、いわゆるコンピュータであり、処理部51と、記憶部52と、表示部53と、入力部54とを備えている。
処理部51は、CPU等で構成されており、記憶部52に記憶された各種プログラムを実行することにより、解析モデルを生成したり、解析処理を行ったり、表示部53の動作を制御したりしている。
記憶部52には、処理部51での処理に利用される各種プログラムが記憶されている。具体的に、記憶部52には、図1に示す配管系モデル10を生成するプログラム、図2に示す溶接部モデル20を生成するプログラム、図3に示す粒界モデル30を生成するプログラムが記憶されている。また、記憶部52には、配管系モデル10を解析して曲げモーメントを導出するプログラム、溶接部モデル20を解析して応力を導出するプログラム、粒界モデル30を解析してクリープボイドの個数密度を導出するプログラムが記憶されている。
表示部53は、いわゆるモニタであり、処理部51において生成された画像データを表示している。詳細は後述するが、この表示部53には、クリープ損傷診断装置50において診断した配管系1のクリープ損傷の診断結果を表示している。入力部54は、いわゆるキーボードやマウス等の入力装置であり、各種解析における設定条件を入力したり、検査結果を入力したりしている。
次に、処理部51について具体的に説明する。処理部51は、記憶部52に記憶されたプログラムを実行することで、配管系モデル生成部61、溶接部モデル生成部62、粒界モデル生成部63、配管系解析部64、溶接部解析部65、クリープ損傷解析部66、および逆解析部67として機能する。
配管系モデル生成部61は、プラントに設けられた配管系1をモデル化した配管系モデル10を生成する。配管系モデル10は、予め入力された配管系1の配管系設計条件(境界条件)を基にして生成される。配管系設計条件としては、配管系1の管径、配管系1の肉厚、配管系1の支持状態、配管系1の内部を流通する蒸気の温度、配管系1の内部圧力等がある。
図5は、配管系解析部によって導出される曲げモーメントの一例を示したグラフである。図5に示すように、配管系解析部64は、生成された配管系モデル10を、所定の計算コードに基づいて解析することにより、時間変化に伴って配管系1に付与される曲げモーメントを導出している。曲げモーメントは、配管系1の直交座標系におけるX方向、Y方向およびZ方向のそれぞれにおいて導出される。つまり、曲げモーメントとして、X方向における曲げモーメントMxと、Y方向における曲げモーメントMyと、Z方向における曲げモーメントMzとが導出される。
溶接部モデル生成部62は、溶接部3をモデル化した溶接部モデル20を生成する。溶接部モデル20は、予め入力された溶接部3の溶接部設計条件を基にして生成される。溶接部設計条件としては、溶接部3の外径、溶接部3の肉厚、溶接部3のビード形状、溶接部3のHAZ部17の厚さ、溶接部3の溶接方向、レデューサの有無、溶接部3の余盛高さ等がある。
図6は、溶接部解析部によって導出される応力の一例を示したグラフである。図6に示すように、溶接部解析部65は、生成された溶接部モデル20に対し、配管系解析部64によって導出された曲げモーメントを付与して、所定の計算コードに基づいて解析することにより、時間変化に伴って溶接部3に付与される応力(局所応力)を導出している。応力は、溶接部3の極座標系におけるθ方向(配管2の周方向)およびZ方向(配管2の径方向)のそれぞれにおいて導出される。つまり、応力として、θ方向における応力σθと、Z方向における応力σが導出される。
粒界モデル生成部63は、要素25内の結晶粒界をモデル化した粒界モデル30を生成する。粒界モデル30は、予め入力された結晶粒界の粒界設計条件を基にして生成される。粒界設計条件としては、結晶粒の材質、平均結晶粒径の大きさ、粒界強度等がある。
図7は、クリープ損傷解析部によって導出されるクリープボイドの一例を示したグラフである。図7に示すように、クリープ損傷解析部66は、生成された粒界モデル30に対し、溶接部解析部65によって導出された応力を付与して、所定の計算コードに基づいて解析することにより、時間変化に伴って結晶粒界に形成されるクリープボイドの個数密度を導出している。なお、クリープボイドの個数密度は、図3に示す解析結果35において、全断面積に対する応力を支持不能な断面積の割合を計算することにより導出される。この個数密度は、溶接部3の表面および溶接部3の内部のそれぞれにおいて導出される。
図8は、表示部に表示された配管系のクリープ損傷の診断結果を表す説明図である。図8に示すように、処理部51は、クリープ損傷解析部66によって導出された配管系1に亘るクリープボイドの個数密度を、密度の大きさに応じて識別可能に、表示部53に表示する。なお、クリープボイドの個数密度が大きい場合は、クリープ損傷の進行が進んでいると診断される一方で、クリープボイドの個数密度が小さい場合は、クリープ損傷の進行が遅れていると診断される。
そして、点検作業者は、表示部53に表示された配管系1に亘るクリープボイドの診断結果を視認することにより、クリープ損傷の進行が進んでいる箇所を重点的に検査する。
逆解析部67は、検査によって得られたクリープ損傷の検査結果に基づいて、配管系解析部64、溶接部解析部65およびクリープ損傷解析部66において逆解析を行うことで、粒界設計条件、溶接部設計条件および配管系設計条件を導出している。つまり、逆解析部67は、検査によって得られたクリープ損傷解析部66の出力値となるクリープボイドの個数密度を、クリープ損傷解析部66において逆解析を行わせることで、クリープ損傷解析部66の入力値となる応力および粒界設計条件を導出する。同様に、逆解析部67は、逆解析によって得られた溶接部解析部65の出力値となる応力を、溶接部解析部65において逆解析を行わせることで、溶接部解析部65の入力値となる曲げモーメントおよび溶接部設計条件を導出する。同様に、逆解析部67は、逆解析によって得られた配管系解析部64の出力値となる曲げモーメントを、配管系解析部64において逆解析を行わせることで、配管系解析部64の入力値となる配管系設計条件を導出する。
そして、逆解析により得られた、粒界設計条件、溶接部設計条件、および配管系設計条件を補正することで、配管系解析部64、溶接部解析部65およびクリープ損傷解析部66は、補正後の配管系設計条件、溶接部設計条件および配管系設計条件に基づいて、曲げモーメント、応力およびクリープボイドを導出できるため、診断精度を向上させることができる。
また、逆解析部67は、検査結果であるクリープボイドの個数密度のみならず、検査によって得られた曲げモーメントおよび応力を、解析途中において、適宜逆解析させることで、溶接部設計条件および配管系設計条件を補正可能に構成されている。
次に、クリープ損傷診断装置50により配管系1のクリープ損傷を診断する一連の動作フローについて説明する。先ず、クリープ損傷診断装置50は、配管系モデル生成部61により、配管系設計条件に基づいて、プラントに設けられた配管系1を模擬した配管系モデル10を生成する。この後、クリープ損傷診断装置50は、配管系解析部64により、生成された配管系モデル10を解析することにより、時間変化に伴って配管系1に付与される曲げモーメントを導出する。次に、クリープ損傷診断装置50は、溶接部モデル生成部62により、溶接部設計条件に基づいて、溶接部3を模擬した溶接部モデル20を生成する。そして、クリープ損傷診断装置50は、溶接部解析部65により、生成された溶接部モデル20に対し、配管系解析部64によって導出された曲げモーメントを付与して、時間変化に伴って溶接部3に付与される応力を導出する。
続いて、クリープ損傷診断装置50は、粒界モデル生成部63により、粒界設計条件に基づいて、結晶粒界を模擬した粒界モデル30を生成する。そして、クリープ損傷診断装置50は、クリープ損傷解析部66により、生成された粒界モデル30に対し、溶接部解析部65によって導出された応力を付与して、時間変化に伴って結晶粒界に形成されるクリープボイドの個数密度を導出する。この後、クリープ損傷診断装置50は、導出された配管系1に亘るクリープボイドの個数密度(クリープ損傷)を、密度の大きさに応じて識別可能に、表示部53に表示する。
以上の構成によれば、クリープ損傷診断装置50は、配管系解析部64により導出した曲げモーメントを、溶接部解析部65の入力値とすることができるため、溶接部解析部65により導出される応力は、配管系1の配管系設計条件を考慮した値とすることができる。同様に、クリープ損傷診断装置50は、溶接部解析部65により導出した応力を、クリープ損傷解析部66の入力値とすることができるため、クリープ損傷解析部66により診断されるクリープ損傷は、溶接部3の溶接部設計条件を考慮した値とすることができる。これにより、配管系1の溶接部3におけるクリープ損傷を好適に診断することができる。また、クリープ損傷診断装置50は、診断結果となるクリープ損傷を、配管系1に亘って表示部53に表示することができ、これにより、配管系1の溶接部3におけるクリープ損傷の損傷度合を、点検作業員に対して容易に認識させることができる。
また、クリープ損傷診断装置50は、検査によって得られたクリープ損傷、応力および曲げモーメントに基づいて、逆解析部67により逆解析を行うことで、実施態様に合致した粒界設計条件、溶接部設計条件および配管系設計条件を取得することができる。これにより、逆解析により取得した粒界設計条件、溶接部設計条件および配管系設計条件に補正することで、クリープ損傷診断装置50による診断精度の向上を図ることができる。
また、クリープ損傷診断装置50は、検査途中で得られた応力および曲げモーメントに基づいて、逆解析部67により逆解析を行うことで、検査途中においても溶接部設計条件および配管系設計条件を取得することができる。これにより、逆解析により取得した溶接部設計条件および配管系設計条件に補正することで、検査途中においても、クリープ損傷診断装置50による診断精度の向上を図ることができる。
以上のように、本発明に係る配管系のクリープ損傷診断装置は、配管系に亘ってクリープ損傷を診断する場合に有用であり、特に、診断結果を可視化して、点検作業員に対し容易に認識させる場合に適している。
1 配管系
2 配管
3 溶接部
5 支持ハンガー
6 リジットハンガー
7 レストレイント
10 配管系モデル
15 母材
16 溶加材
17 溶接熱影響部(HAZ部)
20 溶接部モデル
25 要素
30 粒界モデル
50 クリープ損傷診断装置
51 処理部
52 記憶部
53 表示部
54 入力部
61 配管系モデル生成部
62 溶接部モデル生成部
63 粒界モデル生成部
64 配管系解析部
65 溶接部解析部
66 クリープ損傷解析部
67 逆解析部

Claims (3)

  1. 予め入力された配管系設計条件に基づいて、溶接部を有する配管系を模擬した配管系モデルを生成する配管系モデル生成手段と、
    生成された前記配管系モデルを解析して、前記溶接部に付与される曲げモーメントを導出する配管系解析手段と、
    予め入力された溶接部設計条件に基づいて、前記溶接部を模擬する複数の要素で構成された溶接部モデルを生成する溶接部モデル生成手段と、
    生成された前記溶接部モデルに対し、前記配管系解析手段によって導出された前記曲げモーメントを入力値として付与して解析することで、前記溶接部の前記各要素に付与される応力を導出する溶接部解析手段と、
    予め入力された前記各要素における結晶粒界の粒界設計条件に基づいて、前記結晶粒界を模擬した粒界モデルを生成する粒界モデル生成手段と、
    生成された前記粒界モデルに対し、前記溶接部解析手段によって導出された前記応力を入力値として付与して解析することで、前記溶接部に発生するクリープ損傷を導出するクリープ損傷解析手段と、
    前記クリープ損傷解析手段により導出した前記クリープ損傷の損傷度合を、前記配管系に亘って識別可能に表示するクリープ損傷表示手段と、を備えたことを特徴とする配管系のクリープ損傷診断装置。
  2. 検査によって得られた前記配管系の前記クリープ損傷を入力可能な検査結果入力手段と、
    前記検査結果入力手段によって入力された前記クリープ損傷を、前記クリープ損傷解析手段において逆解析を行わせて、前記応力および前記粒界設計条件を導出し、導出した前記応力を、前記溶接部解析手段において逆解析を行わせて、前記曲げモーメントおよび前記溶接部設計条件を導出し、導出した前記曲げモーメントを、前記配管系解析手段において逆解析を行わせて、前記配管系設計条件を導出する逆解析手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の配管系のクリープ損傷診断装置。
  3. 前記検査結果入力手段には、検査によって得られた前記応力および前記曲げモーメントを入力可能となっており、
    前記逆解析手段は、前記応力および前記曲げモーメントを逆解析することにより、前記溶接部設計条件および前記配管系設計条件を導出可能となっていることを特徴とする請求項2に記載の配管系のクリープ損傷診断装置。
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