JP2019090704A - 再熱割れ感受性評価方法 - Google Patents

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新太郎 木村
修吾 岩▲崎▼
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Abstract

【課題】再熱割れに対する感受性を簡易的な手法で精度よく評価し得る再熱割れ感受性評価方法を提供する。【解決手段】評価対象物の再熱割れに対する感受性を評価する再熱割れ感受性評価方法であって、再熱割れ感受性評価方法では、評価対象物について、感受性と相関を有する少なくとも一つのパラメータを測定する。パラメータの測定結果は、再熱割れの発生限界を規定するパラメータの閾値と比較されることにより、評価対象物の感受性が評価される。【選択図】図2

Description

本開示は、評価対象物の再熱割れに対する感受性を評価する再熱割れ感受性評価方法に関する。
発電プラントや化学プラント等の各種プラントにおいては、例えば溶接継手部のような金属部位において再熱割れが発生することがある。再熱割れが発生した場合、プラント全体の運転停止に至る可能性もあり、プラントの円滑な運転継続のためには再熱割れの発生を抑制することが重要な課題となっている。
再熱割れ発生を抑制する対策を講じるためには、評価対象物(例えば溶接継手部)の再熱割れの感受性について明確にする必要がある。
特許文献1には、評価対象物の再熱割れに対する感受性を評価する方法の一例が提案されている。特許文献1では、評価対象物と同じ材料で構成され、且つ、初期ひずみが異なる複数の試験片を用いて再熱割れを評価し、その評価結果から再熱割れの発生限界を規定する、クリープひずみと初期ひずみとの相関関係を取得する。そして、このように取得した相関関係に基づき、評価対象物の再熱割れの感受性を評価している。
特開2015−129743号公報
再熱割れの発生因子には、評価対象物の化学成分(不純物元素を含む)や結晶粒径サイズなどの材料的観点と、使用条件(温度、時間、負荷応力(クリープ変形))とが含まれると考えられているが、各因子の寄与度が不明であることから、感受性の評価手法が確立されていない。そのため、溶接部の溶体化熱処理やサポート方法の変更といった大掛かりな対策の省略や簡略化の可否判断が難しく、再熱割れの対策コストを減額することに至っていないのが現状である。上記特許文献1では、クリープひずみと初期ひずみとの相関関係に基づいて感受性を評価しているが、これは上記発生因子の一部に着目したものであり、更なる改良が求められている。
本発明の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みてなされたものであり、再熱割れに対する感受性を簡易的な手法で精度よく評価し得る再熱割れ感受性評価方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る再熱割れ感受性評価方法は上記課題を解決するために、
評価対象物の再熱割れに対する感受性を評価する再熱割れ感受性評価方法であって、
前記評価対象物について、前記感受性と相関を有する少なくとも一つのパラメータを測定するステップと、
前記評価対象物に関して取得した前記パラメータの測定結果を、前記再熱割れの発生限界を規定する前記パラメータの閾値と比較することにより、前記評価対象物の感受性を評価するステップと、
を備える。
上記(1)の方法によれば、評価対象物の再熱割れに対する感受性と相関を有する少なくとも一つのパラメータの測定を評価対象物に対して実施し、その測定結果を再熱割れの発生限界を規定する閾値と比較することにより、評価対象物の感受性を評価できる。
(2)幾つかの実施形態では上記(1)の方法において、
前記評価対象物の溶接部の熱影響部に対応する組織状態を熱処理により再現した、前記評価対象物と同一材の第1試験片に対して、再熱割れ発生時点まで時効処理を実施することにより時効材を作製するステップと、
前記時効材について前記パラメータを測定することにより前記閾値を取得するステップと、
を備える。
上記(2)の方法によれば、評価対象物の溶接部の熱影響部に対応する組織状態を熱処理により再現した第1試験片に対して、再熱割れ発生時点まで時効処理を実施することにより、評価対象物と同等の感受性を有する時効材を作製する。このように作製された時効材についてパラメータを測定することにより、再熱割れに対する感受性を評価するための閾値を取得できる。
(3)幾つかの実施形態では上記(2)の方法において、
前記評価対象物の溶接部の熱影響部に対応する組織状態を熱処理により再現した、前記評価対象物と同一材の第2試験片に対して、時効処理を実施するステップと、
前記時効処理において前記第2試験片で再熱割れが発生した際の時効時間から前記再熱割れ発生時点を特定するステップと、
を備える。
上記(3)の方法によれば、評価対象物の溶接部の熱影響部に対応する組織状態を熱処理により再現した第2試験片に対して時効処理を実施することにより、再熱割れが発生した際の時効時間から再熱割れ発生時点を特定できる。
(4)幾つかの実施形態では上記(3)の方法において、
前記第2試験片における前記再熱割れの発生時点での残留応力を取得するステップと、
を備え、
前記時効材を作製するステップでは、前記第1試験片に対して前記残留応力を付与しながら、前記時効処理を行う。
上記(4)の方法によれば、時効材を作製する際に、第2試験片の再熱割れの発生時点での残留応力を付与することで、時効処理を加速的に実施できる。これにより、本評価方法を実施するために要する期間を短縮でき、作業効率化及びコスト削減が図れる。
(5)幾つかの実施形態では上記(3)又は(4)の方法において、
前記第2試験片は、前記評価対象物と同一材に対して前記熱処理を施し、ノッチを有する略C形状のリングに加工し、前記リングの開口部端同士を溶接することにより作製される。
上記(5)の方法によれば、評価対象物の溶接部の熱影響部に対応する組織状態を有し、且つ、所定の初期ひずみを有する第2試験片を作製できる。このような第2試験片を用いることで、再熱割れ発生時点の特定や、再熱割れ発生時点における残留応力の取得を容易に行うことができる。
(6)幾つかの実施形態では上記(1)から(5)のいずれか一方法において、
前記パラメータは、硬さ、EPR値及び吸収エネルギの少なくとも一つを含む。
上記(6)の方法によれば、再熱割れに対する感受性と相関を有するパラメータとして、硬さ、EPR値及び吸収エネルギが好適である。
(7)幾つかの実施形態では上記(1)から(6)のいずれか一方法において、
前記感受性を評価するステップでは、
複数の時点で前記評価対象物について取得した前記パラメータの測定結果から、前記パラメータが前記閾値に到達するまでの残寿命を求める。
上記(7)の方法によれば、評価対象物に対して複数の時点でパラメータを測定することで、評価対象物におけるパラメータが閾値に到達するまでの推移を算出する。これにより、パラメータが閾値に到達する時点までの期間、すなわち残寿命を求められる。
(8)幾つかの実施形態では上記(1)から(7)のいずれか一方法において、
前記評価対象物は、Ni基合金又はオーステナイト系ステンレス鋼を含む。
上記(8)の方法によれば、評価対象物には、Ni基合金又はオーステナイト系ステンレス鋼が含まれるので、温度が高い環境下で使用可能な評価対象物の再熱割れの感受性を評価できる。
(9)幾つかの実施形態では上記(1)から(8)のいずれか一方法において、
前記評価対象物は、化学プラント設備のリフォーマコンベクション部又はラジアント部において互いに溶接されたヘッダ及びチューブを含む構造物である。
上記(9)の方法によれば、化学プラント設備のリフォーマコンベクション部又はラジアント部において互いに溶接されたヘッダ及びチューブを含む構造物における、再熱割れに対する感受性の評価に適している。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、再熱割れに対する感受性を簡易的な手法で精度よく評価し得る再熱割れ感受性評価方法を提供できる。
本発明の幾つかの実施形態に係る再熱割れ感受性評価方法の評価対象物の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る再熱割れ感受性評価方法を工程毎に示すフローチャートである。 図2のステップS10におけるパラメータの測定結果の一例である。 図2のステップS13における残寿命の推定方法を工程毎に示すフローチャートである。 図3の測定結果から推定されるパラメータの変化速度の一例である。 図4のステップS23で推定されるパラメータの推移の一例である。 図1のステップS11で取得される閾値の設定方法を工程毎に示すフローチャートである。 図7のステップS31における再熱割れ発生時点の取得方法を工程毎に示すフローチャートである。 図8はステップS40で用意される第2試験片を示す模式図である。 図8のステップS42で得られる再熱割れの観測例である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
以下に説明する本発明の幾つかの実施形態では、再熱割れ感受性評価方法の評価対象物として、高温環境下において長時間にわたって使用され、溶接部を有する構造物が広く含まれる。図1は本発明の幾つかの実施形態に係る再熱割れ感受性評価方法の評価対象物1の一例を示す模式図である。評価対象物1は、化学プラントのリフォーマコンベクション部又はラジアント部において互いに溶接されたヘッダ2及びチューブ4を含む構造物である。図1の例では、ヘッダ2の延在方向に対して複数のチューブ4が略垂直に溶接部6を介して接続される。
評価対象物1は、Ni基合金又はオーステナイト系ステンレス鋼を含む。具体的には、幾つかの実施形態では、評価対象物1はSUS321やIncoloy800H等のオーステナイト系高温材料を含む。このような評価対象物1は、例えば600〜700度の高温環境下において長時間にわたって使用されるため、粒内に炭化物又は金属化合物からなる析出物が生じることにより硬くなる一方で、粒界では不純物が濃縮することにより粒内に比べて相対的に脆くなる。評価対象物1が高温クリープによって変形する場合、このような脆化に伴う組織変化が進行することにより粒界近傍にてひびが発生し、再熱割れとして現れる。このような再熱割れは、通常であれば数%のクリープ変形まで耐えられる材料
であっても、600〜700度のような高温環境下ではコンマ数%で生じてしまうことがある。
本発明の幾つかの実施形態に係る再熱割れ感受性評価方法は、このような再熱割れに対する感受性を評価することができる。図2は本発明の一実施形態に係る再熱割れ感受性評価方法を工程毎に示すフローチャートである。
まずステップS10では、評価対象物1について再熱割れに対する感受性と相関を有する少なくとも一つのパラメータの測定が行われる。ここで「再熱割れに対する感受性」とは、高温環境下での脆化に伴う組織変化に起因して増加する再熱割れの起こりやすさを示す指標である。このようなパラメータは、高温クリープで評価対象物1における溶接残留応力が緩和する過程で脆化に伴う組織変化が進行するに従って変化する。
ステップS10で測定されるパラメータは、例えば、硬さ、EPR値及び吸収エネルギの少なくとも一つを含む。硬さは評価対象物1全体を対象とする指標であり、評価対象物1の表面を研磨して非破壊的に測定される。EPR値は鋭敏化度を評価するための指標であるが、粒界の成分変化を測定可能であるため、再熱割れの感受性と相関がある。EPR値もまた、上述の硬さと同様に、評価対象物1の表面を研磨して非破壊的に測定される。吸収エネルギは例えば評価対象物1から切り出したサンプルを用いてシャルピー衝撃試験により測定される。
図3は図2のステップS10におけるパラメータの測定結果の一例である。図3(a)〜(c)は、それぞれ硬さ、EPR値及び吸収エネルギの測定結果を示しており、3時点(t0、t1、t2)における測定データがプロットされている。図3(a)及び図3(b)に示されるように、硬さ及びEPR値は時間が経過するに従って次第に増加する傾向を示す。一方、図3(c)に示されるように、吸収エネルギは時間が経過するに従って次第に減少する傾向を示す。
続いてステップS11では、再熱割れの発生限界を規定するパラメータの閾値を取得する。ここで「再熱割れの発生限界」とは、高温クリープで評価対象物1の溶接残留応力が緩和して脆化に伴う組織変化が進行する際に、再熱割れが発生するか否かの境界を意味する。つまり閾値は、再熱割れが発生するか否かの境界に対応するパラメータの値である。
このようなパラメータの閾値は、実験的、理論的又はシミュレーション的な手法によって予め規定されているものを使用してもよい。尚、パラメータの閾値の具体的な取得方法については後述する。
図3(a)〜(c)では、各パラメータ(硬さ、EPR値及び吸収エネルギ)に対応する閾値がそれぞれ示されている。各パラメータは、時間が経過するに従って閾値に向けて近づくように振る舞う様子が示されている。
続いて、ステップS10のパラメータの測定結果(評価対象物1の実測値)と、ステップS11で取得した閾値を比較し(ステップS12)、再熱割れに対する感受性を評価する(ステップS13)。このような感受性の評価は、図3(a)〜(c)に示されるように、例えば、各時点t0、t1、t2において、パラメータの測定結果と閾値との乖離量に基づいて行われる。これにより、各時点t0、t1、t2において、再熱割れが発生すると見込まれる閾値までのマージンがどれほど存在するのかを把握することができる。
このような感受性の評価は、例えば以下に説明する残寿命の推定として行われてもよい。図4は図2のステップS13における残寿命の推定方法を工程毎に示すフローチャートである。
まずステップS20では、異なる時点におけるパラメータの測定結果を取得する。具体的には、硬さについては、図3(a)に示されるように、時点t0における測定データa0、時点t1における測定データa1、時点t2における測定データa2が取得される。またEPR値については、図3(b)に示されるように、時点t0における測定データb0、時点t1における測定データb1、時点t2における測定データb2が取得される。また吸収エネルギについては、図3(c)に示されるように、時点t0における測定データc0、時点t1における測定データc1、時点t2における測定データc2が取得される。
続いてステップS20で取得した測定結果に基づいて、パラメータの変化速度を算出し(ステップS21)、その算出結果から将来におけるパラメータの変化速度を推定する(ステップS22)。ここで図5は図3の測定結果から推定されるパラメータの変化速度の一例である。具体的には、硬さについては時点t0からt1における変化速度va1(=(a1−a0)/(t1−t0))、時点t1からt2における変化速度va2(=(a2−a1)/(t2−t1))が算出され、これら2点の変化速度va1及びva2を通る近似曲線として将来の変化速度曲線Aが推定される(図5(a)における破線を参照)。
またEPR値については時点t0からt1における変化速度vb1(=(b1−b0)/(t1−t0))、時点t1からt2における変化速度vb2(=(b2−b1)/(t2−t1))が算出され、これら2点の変化速度vb1及びvb2を通る近似曲線として将来の変化速度曲線Bが推定される(図5(b)における破線を参照)。
また吸収エネルギについては時点t0からt1における変化速度vc1(=(c1−c0)/(t1−t0))、時点t1からt2における変化速度vc2(=(c2−c1)/(t2−t1))が算出され、これら2点の変化速度vc1及びvc2を通る近似曲線として将来の変化速度曲線Cが推定される(図5(c)における破線を参照)。
続いてステップS23では、ステップS22で推定したパラメータの変化速度(変化速度曲線A〜C)に基づいて、将来のパラメータの推移を推定する。図6は図4のステップS23で推定されるパラメータの推移の一例である。図6(a)〜(c)に示されるように、ステップS22で推定された変化速度に従ったパラメータの将来的な振る舞いが得られる。また図6(a)〜(c)では、ステップS11で取得された閾値が示されており、当該閾値とパラメータの推移との交点から、再熱割れが生じるであろう時点XaN、XbN及びXcNが特定される。その結果、現時点から時点XaN、XbN及びXcNまでの期間を算出することにより、再熱割れに対する残寿命が推定される。
尚、時点XaN、XbN及びXcNに基づく残寿命の決定については、例えば、計測方法に問題がないことを前提として、時点XaN、XbN及びXcNのうち最も短いものを残寿命として決定してもよい。
続いて図2のステップS11で取得される閾値の設定方法について説明する。図7は図1のステップS11で取得される閾値の設定方法を工程毎に示すフローチャートである。
まずステップS30では、評価対象物1と同一材に対して熱処理を実施することにより、評価対象物1の溶接部の熱影響部に対応する組織状態を有する第1試験片を用意する。すなわち第1試験片の材料としては、評価対象物1と同様に、Ni基合金又はオーステナイト系ステンレス鋼(例えばSUS321やIncoloy800H等のオーステナイト系高温材料)が用いられる。当該材料に実施される熱処理は、評価対象物1の溶接部6の熱影響部と同様に結晶粒が粗大化するように、溶接相当の加熱処理が行われる。
尚、第1試験片は各パラメータの測定が可能なように、比較的大きなバルク体として作製されるとよい。特に吸収エネルギのようなパラメータは、シャルピー衝撃試験のような破壊試験によって測定されるため、第1試験片は、少なくとも、当該試験に必要なサンプルが切り出し可能な程度のサイズを有するとよい。
続いてステップS31では、第1試験片における再熱割れの発生限界に対応する再熱割れ発生時点を取得する。ここで再熱割れ発生時点の取得方法について図8乃至図10を参照して説明する。図8は図7のステップS31における再熱割れ発生時点の取得方法を工程毎に示すフローチャートであり、図9はステップS40で用意される第2試験片を示す模式図であり、図10は図8のステップS42で得られる再熱割れの観測例である。
まずステップS40では、評価対象物1と同一材に対して熱処理を実施することにより、評価対象物1の溶接部6の熱影響部に対応する組織状態を有する第2試験片10を用意する。第2試験片10は、上述の第1試験片と同様の材料、すなわち、Ni基合金又はオーステナイト系ステンレス鋼(例えばSUS321やIncoloy800H等のオーステナイト系高温材料)を含む材料から形成されるが、その形状は図9に示されるように第1試験片とは異なる。具体的には、第2試験片10は、上記材料からなる丸棒又は板材の素材を用意し、当該素材をノッチ12を有する略C形状のリングに機械加工する。そして、当該リングの開口部端14同士を溶接することで溶接部16を形成することにより完成
される。このような第2試験片では、評価対象物1の溶接部6の熱影響部と同等の組織状態を有し、且つ、開口部端14同士を溶接で接続することで所定の残留応力が付与されるため、評価対象物1の溶接部6の熱影響部を模擬したものとなる。
続いてステップS41では、ステップS40で用意した第2試験片10に対して、時効処理が実施される。この時効処理では、評価対象物1が経験する高温環境に対応する加熱条件で熱処理が行われる。
続いてステップS42では、ステップS41で実施される時効処理において第2試験片10をモニタリングすることにより、再熱割れが発生限界を特定することにより、再熱割れ発生時点を求める。時効処理では時間が経過するに従って脆化が進行し、再熱割れ発生時点において再熱割れが発生する。具体的には、再熱割れ発生時点以前では、図10(a)に示されるように第2試験片10には再熱割れが存在しておらずクリーンな組織状態を有している。一方、再熱割れ発生時点に到達すると、図10(b)に示されるように第2試験片10のうちノッチ12の底部近傍に再熱割れに起因するひびが発生する。このようにステップS42では、第2試験片10のノッチ12の底部近傍においてひびが生じた時点が、 再熱割れ発生時点として特定される。
またステップS43では、ステップS42で特定された再熱割れ発生時点における残留応力が求められる。このような残留応力は、第2試験片に対する実測により求めてもよいが、例えばFEM解析によって演算的に求められてもよい。
再び図7に戻って、ステップS31で再熱割れ発生時点が特定されると、ステップS32では、第1試験片に対して、再熱割れ発生時点まで時効処理を実施することにより時効材を作製する。これにより、再熱割れ発生時点における評価対象物1と同等の組織状態を有する時効材が得られる。
尚、ステップS32で時効材を作製する際には、時効処理の実施中に第1試験片に対して上記ステップS43で求められた残留応力を付与してもよい。このように残留応力を第1試験片に付与することで、時効処理を加速的に行うことができる。これにより、本評価方法を実施するために要する期間を短縮でき、作業効率化及びコスト削減が図れる。
時効材の作製時に残留応力を付与する場合、リラクゼーション試験により残留応力の大きさが時間の経過にともなって次第に減少するように設定することで、実際のクリープ変形に伴う応力緩和現象を再現し、評価対象物1が置かれる状況をより好適に模擬できる。この場合、第1試験片と第2試験片とを兼用することで、第1試験片による時効処理において再熱割れ発生時間を特定するようにしてもよい。
尚、ステップS32で残留応力を第1試験片に付与する場合、上記説明では、残留応力の大きさをステップS42で求めた値とした場合を例示しているが、残留応力の大きさは任意であってもよい。この場合、残留応力の大きさが過大になるとクリープ破壊を招くおそれがあるため、適切な値に設定することが好ましい。
続いてステップS33では、時効材についてパラメータを測定することにより閾値を取得する。つまり、再熱割れ発生時点における評価対象物1と同等の組織状態を有する時効材についてパラメータを測定することで、再熱割れ発生時点に対応するパラメータの閾値が得られる。
以上説明したように本発明の幾つかの実施形態によれば、評価対象物1の再熱割れに対する感受性と相関を有する少なくとも一つのパラメータの測定を評価対象物1に対して実施し、その測定結果を再熱割れの発生限界を規定する閾値と比較することにより、評価対象物1の再熱割れに対する感受性を評価できる。
本発明の少なくとも一実施形態は、評価対象物の再熱割れに対する感受性を評価する再熱割れ感受性評価方法に利用可能である。
1 評価対象物
2 ヘッダ
4 チューブ
6 溶接部
10 第2試験片
12,12 ノッチ
14 開口部端
16 溶接部

Claims (9)

  1. 評価対象物の再熱割れに対する感受性を評価する再熱割れ感受性評価方法であって、
    前記評価対象物について、前記感受性と相関を有する少なくとも一つのパラメータを測定するステップと、
    前記評価対象物に関して取得した前記パラメータの測定結果を、前記再熱割れの発生限界を規定する前記パラメータの閾値と比較することにより、前記評価対象物の感受性を評価するステップと、
    を備える、再熱割れ感受性評価方法。
  2. 前記評価対象物の溶接部の熱影響部に対応する組織状態を熱処理により再現した、前記評価対象物と同一材の第1試験片に対して、再熱割れ発生時点まで時効処理を実施することにより時効材を作製するステップと、
    前記時効材について前記パラメータを測定することにより前記閾値を取得するステップと、
    を備える、請求項1に記載の再熱割れ感受性評価方法。
  3. 前記評価対象物の溶接部の熱影響部に対応する組織状態を熱処理により再現した、前記評価対象物と同一材の第2試験片に対して、時効処理を実施するステップと、
    前記時効処理において前記第2試験片で再熱割れが発生した際の時効時間から前記再熱割れ発生時点を特定するステップと、
    を備える、請求項2に記載の再熱割れ感受性評価方法。
  4. 前記第2試験片における前記再熱割れの発生時点での残留応力を取得するステップと、
    を備え、
    前記時効材を作製するステップでは、前記第1試験片に対して前記残留応力を付与しながら、前記時効処理を行う、請求項3に記載の再熱割れ感受性評価方法。
  5. 前記第2試験片は、前記評価対象物と同一材に対して前記熱処理を施し、ノッチを有する略C形状のリングに加工し、前記リングの開口部端同士を溶接することにより作製される、請求項3又は4に記載の再熱割れ感受性評価方法。
  6. 前記パラメータは、硬さ、EPR値及び吸収エネルギの少なくとも一つを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の再熱割れ感受性評価方法。
  7. 前記感受性を評価するステップでは、
    複数の時点で前記評価対象物について取得した前記パラメータの測定結果から、前記パラメータが前記閾値に到達するまでの残寿命を求める
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の再熱割れ感受性評価方法。
  8. 前記評価対象物は、Ni基合金又はオーステナイト系ステンレス鋼を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の再熱割れ感受性評価方法。
  9. 前記評価対象物は、化学プラント設備のリフォーマコンベクション部又はラジアント部において互いに溶接されたヘッダ及びチューブを含む構造物である、請求項1から8のいずれか一項に記載の再熱割れ感受性評価方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113391054A (zh) * 2021-06-15 2021-09-14 西部建筑抗震勘察设计研究院有限公司 一种黄土的湿陷敏感性评价方法

Cited By (1)

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CN113391054A (zh) * 2021-06-15 2021-09-14 西部建筑抗震勘察设计研究院有限公司 一种黄土的湿陷敏感性评价方法

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