JP6582753B2 - 耐熱鋼材の寿命予測方法 - Google Patents

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本発明は、耐熱鋼材の寿命予測方法に関する。
発電用のボイラやタービン、原子力発電設備、化学工業装置などの装置は、高温、高圧下で長時間使用される。したがって、これらの装置に用いられる耐熱材料は、高温における強度、耐食性、耐酸化性および常温における靱性などに優れていることが要求される。これらの用途には、従来、オーステナイト系ステンレス鋼(例えば、JIS-SUS321H鋼、同SUS347H鋼)、低合金鋼(例えば、JIS-STBA24鋼(2.25%Cr-1%Mo鋼))、さらには、9〜12%Cr系の高Crフェライト鋼(例えば、JIS-STBA26鋼(9%Cr-1%Mo鋼)、最近では同STBA-28鋼(改良9%Cr-1%Mo鋼))などが用いられてきた。
近年、火力発電プラントにおいては、地球温暖化防止の観点からCO等の排出量削減を目的に熱効率の向上が必要となり、ボイラの蒸気条件を高温、高圧化(例えば600℃を超え、300気圧)した新型プラントが次々に建設されている。ここで、高温、高圧化された新型プラントでは、従来よりも高強度、高耐食性の新しい開発材料が使用されているが、新しいが故に従来鋼のような実プラントでの長時間データベースは確立されておらず、今後経年変化の追跡調査が必要である。さらに、既設プラントにおいては、使用されている耐熱材料の寿命消費率(計画寿命に対する割合)を精度良く評価して、余寿命を的確に診断する必要がある。
プラントに組み込まれた材料の経年劣化診断や余寿命評価を、できるだけ非破壊で実施する方法として、硬さ測定法、ボイド法、炭化物法などが知られているが、測定精度の問題や実験上のばらつきが生じやすく、高精度での寿命診断法とはなり得ていない。
特開2000−171418号公報(特許文献1)には、焼き戻しマルテンサイト組織を有する耐熱材料に対して、陽電子消滅法を応用してクリープ歪みを推定する方法が提案されている。
特開2003−65978号公(特許文献2)には、高温における経年損傷をうけた耐熱材料の陽電子消滅寿命を測定し、陽電子消滅平均寿命と材料の寿命消費率との関係曲線を作成して、耐熱材料が遷移クリープ領域にあるか、加速クリープ領域にあるかを判定する、耐熱材料の余寿命診断方法が提案されている。
特開2000−171418号公報 特開2003−65978号公報
特許文献1で提案された、陽電子消滅法のドップラー広がり法では、点欠陥の集合体であるボイドの数量が多いものでは、Sパラメータが尖鋭化することが知られている。しかし、点欠陥というのは、実用材料中では結晶粒界や転位、析出物などと相互作用を起こして、消滅したり、新たに生成したりする。このため、実用材料の損傷劣化の過程における組織や欠陥構造の変化が明らかでない場合には、測定されたSパラメータが真のクリープ損傷と対応すると結論づけるのは難しい。同時計測のドップラー広がり法によって、より精度の高い計測は可能であるが、やはりクリープ損傷過程の組織変化や欠陥構造の変化を捕らえるのは難しい。したがって、特許文献1で提案された方法により、耐熱材料のクリープ損傷による寿命消費率を測定し、余寿命を的確に診断するのは困難である。
特許文献2で提案された耐熱材料の余寿命診断法によれば、任意の温度、圧力の条件において、各時間の陽電子消滅寿命を実際に測定した結果に基づいてマスターカーブを作成しており、その条件における余寿命は、的確に予測することが可能である。しかし、実際には測定していない温度、圧力の条件における余寿命を予測することは困難である。特に、実際のプラントでは、運転温度、圧力が変更されたり、休止したりするため、必ずしも一定の温度、圧力で運転されているわけではない。
本発明は、従来技術の問題を解決するためになされたものであり、実際には測定していない温度、圧力の条件における余寿命を予測することが可能な耐熱鋼材の寿命予測方法を提供することを目的としている。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、下記の耐熱鋼材の寿命予測方法を要旨としている。
(a)下記の(1)〜(4)のステップによって耐熱鋼材の寿命を予測する、耐熱鋼材の寿命予測方法。
(1)任意鋼種のモデル鋼材について、任意の温度および応力におけるクリープ試験を行い、クリープ挙動および陽電子消滅寿命を複数測定するステップと、
(2)陽電子消滅寿命τと寿命比xの関係式である(A)式を前記耐熱鋼材が使用される環境に依存する変数a,b,c,d,eにより回帰分析して、(B)式を作成するステップ、
(3)前記耐熱鋼材の陽電子消滅寿命を測定するステップ、
(4)(B)式に基づいて寿命を予測するステップ。
Figure 0006582753
Figure 0006582753
ただし、上記(A)、(B)式中の各記号の意味は、下記の通りである。
τ:陽電子消滅寿命(psec)
x:経過時間tと破断時間tRとの比(t/tR)から求められる耐熱鋼材の寿命比
a,b,c,d,e:耐熱鋼材が使用される環境に依存する変数
α:クリープ初期(x=0)の耐熱鋼材の陽電子消滅寿命(psec)
β:クリープ終期(x=1)の耐熱鋼材の陽電子消滅寿命(psec)
T:耐熱鋼材が使用される環境における温度(℃)
σ:耐熱鋼材が使用される環境における応力(MPa)
(b)前記(4)のステップにおいて、
前記(B)式を耐熱鋼材が使用される環境における温度Tおよび応力σ、ならびに、破断時間tRについて回帰分析して作成したマスターカーブを用いて寿命を予測する、
上記(a)の耐熱鋼材の寿命予測方法。
(c)使用されてきた温度、応力および時間が既知である耐熱鋼材の寿命を予測するに際し、
前記(4)のステップにおいて、使用されてきた温度、応力および時間の値、ならびに、前記(B)式に基づいて寿命を予測する、
上記(a)の耐熱鋼材の寿命予測方法。
(d)使用されてきた温度および圧力が未知で、使用されてきた時間が既知である耐熱鋼材の寿命を予測するに際し、
前記(4)のステップにおいて、前記耐熱鋼材の陽電子消滅寿命を少なくとも4点測定した値から回帰分析によって推定した陽電子消滅寿命曲線に基づいて寿命を予測する、
上記(b)の耐熱鋼材の寿命予測方法。
(e)前記耐熱鋼材が、火力発電用ボイラ鋼管である、
上記(a)〜(d)のいずれかの耐熱鋼材の寿命予測方法。
本発明によれば、実際には測定していない温度、圧力の条件における余寿命を予測することが可能である。特に、使用環境が既知の場合、その使用環境に応じて作成したマスターカーブに基づいて、余寿命を予測することが可能である。また、使用環境が未知の場合、複数の使用時間における陽電子消滅寿命から回帰分析によって陽電子消滅寿命曲線を作成し、その陽電子消滅寿命曲線に基づいて、余寿命を予測することが可能である。
温度:625℃、応力:90MPaの条件における測定値と解析値とを比較する図 温度:594℃一定の条件におけるマスターカーブを示す図 応力:100MPa一定の条件におけるマスターカーブを示す図 実施例の各種条件におけるマスターカーブを示す図
本実施形態における耐熱鋼材の寿命予測方法は、下記の各ステップによって使用中の耐熱鋼材の寿命を予測するものである。
まずは、寿命予測対象である耐熱鋼材と同一または近似の化学組成を有するモデル鋼材を用意し、この鋼材について、任意の温度および応力におけるクリープ試験を行い、クリープ挙動および陽電子消滅寿命を複数測定する必要がある。
次に、クリープ挙動に基づいて、前記陽電子消滅寿命、前記温度、前記圧力および寿命比に関係する陽電子消滅寿命曲線を作成する必要がある。陽電子消滅寿命曲線としては、陽電子消滅寿命τと寿命比xの関係式である下記(A)式を用いる。寿命比としては、経過時間tと破断時間tRとの比(t/tR)から求められる耐熱鋼材の寿命比を用いる。
Figure 0006582753
ただし、上記(A)式中の各記号の意味は、下記の通りである。
τ:陽電子消滅寿命(psec)
x:経過時間tと破断時間tRとの比(t/tR)から求められる耐熱鋼材の寿命比
a,b,c,d,e:耐熱鋼材が使用される環境に依存する変数
ここで、上記の (A)式に、クリープ初期(x=0)の耐熱鋼材の陽電子消滅寿命(psec)およびクリープ終期(x=1)の耐熱鋼材の陽電子消滅寿命(psec)を上記(A)式に代入する。
すなわち、クリープ初期(x=0)の耐熱鋼材の陽電子消滅寿命(psec)をαとするとき、
Figure 0006582753
となり、一方、クリープ終期(x=1)の耐熱鋼材の陽電子消滅寿命(psec)をβとするとき、
Figure 0006582753
となる。なお、マルテンサイト鋼の場合、クリープ初期(x=0)の耐熱鋼材の陽電子消滅寿命は128.3(psec)であり、クリープ終期(x=1)の耐熱鋼材の陽電子消滅寿命は、純鉄の陽電子消滅寿命115.95(psec)である。
よって、上記のdおよびbを上記(A)式に代入すると、
Figure 0006582753
となる。すなわち、上記式中の変数a、cおよびeが決まれば、マスターカーブが描けることになる(図1参照)。図1には、温度:625℃、応力:90MPaの条件で使用されてきた材料について描いたマスターカーブと、解析値と、実際の測定値が示されているが、実際の測定値と解析値とが概ね一致することがわかる。よって、ある時間における陽電子消滅寿命を一点測定すれば、寿命比が分かる。一方で、上記式中には、変数a、cおよびeの他には、温度および応力に依存し得る項が存在しない。そこで、あらかじめ対象鋼種の各温度と応力での各項を算出する。回帰分析すると、変数a、cおよびeは、下記のように、温度T、応力σの関数として表すことができる。
Figure 0006582753
そして、変数a、cおよびeを温度T、応力σの関数で表すとき、マスターカーブは、下記(B)式で表すことができる。
Figure 0006582753
ただし、上記(B)式中の各記号の意味は、下記の通りである。
τ:陽電子消滅寿命(psec)
x:経過時間tと破断時間tRとの比(t/tR)から求められる耐熱鋼材の寿命比
α:クリープ初期(x=0)の耐熱鋼材の陽電子消滅寿命(psec)
β:クリープ終期(x=1)の耐熱鋼材の陽電子消滅寿命(psec)
T:耐熱鋼材が使用される環境における温度(℃)
σ:耐熱鋼材が使用される環境における応力(MPa)
ここで、例えば、高Bマルテンサイト鋼の場合について回帰分析すると、変数a、cおよびeは、それぞれ表1のように表すことができる。
Figure 0006582753
このように得られた変数a、cおよびeについての回帰分析により求めたf1(T,σ)、f2(T,σ)およびf3(T,σ)を前記(B)式に代入して得たものをマスターカーブとして用いれば、任意の温度T、応力σについて陽電子消滅寿命曲線を推定することができる(図2および図3参照)。図2には、594℃で、様々な応力(90MPa、100MPa、150MPa)で使用される場合について作成したマスターカーブを示している。図3には、100MPaで、様々な温度(650℃、600℃、594℃、550℃)で使用される場合について作成したマスターカーブを示している。これらの図に示すように、本発明によれば、任意の温度、応力についてのマスターカーブを描くことができる。
ここで、使用されてきた温度、応力および時間が既知である耐熱鋼材の寿命を予測するに際して、使用されてきた温度、応力および時間の値、ならびに、前記(B)式に基づいて寿命を予測するのがよい。すなわち、使用されてきた温度、応力および時間の値を前記(B)式に代入することによってマスターカーブを作成し、このマスターカーブによって寿命を予測する。
一方、使用されてきた温度および圧力が未知で、使用されてきた時間が既知である耐熱鋼材の寿命を予測するに際しては、前記(B)式を耐熱鋼材が使用される環境における温度Tおよび応力σ、ならびに、破断時間tRについて回帰分析して作成した陽電子消滅寿命曲線を用いて寿命を予測するのがよい。より具体的には、前記耐熱鋼材の陽電子消滅寿命を少なくとも4点測定した値を回帰計算して、寿命を予測する。上記の陽電子消滅寿命の測定は、耐熱鋼材の遷移クリープ域のみで行ってもよい。すなわち、遷移クリープ域の陽電子消滅寿命を複数点測定すれば、これらの測定データから上記の(B)式をパラメータフィッティングし、破断時間を求めることができる。
なお、上記の(B)式は、耐熱鋼材が使用される環境における温度、応力に依存した項を一次連結式で示しており、未知の項は、f1(T,σ)、f2(T,σ)およびf3(T,σ)の3つである。従って、操業条件を内掃するように、温度、応力を各2条件、つまり組み合わせで4条件以上の測定を行えば、この数式を解くことができる。よって、遷移クリープ域の陽電子消滅寿命を4条件以上測定することが好ましい。また、初期材、遷移クリープ域、最小クリープひずみ速度付近、加速クリープ域および破断材の少なくとも5点の陽電子消滅寿命の測定データがあれば、クリープ初期の形をとらえることができ、精度良く寿命比を予測することが可能となる。
マルテンサイト鋼(質量%で、C:0.10%、Si:0.4%、Mn:0.45%、Cr:9.0%、Mo:1.0%、V:0.20%、Nb:0.08%、残部Feおよび不純物)の試験片について、遷移クリープ域の陽電子消滅寿命を複数点測定した結果から、上記の(B)式に基づいて、寿命比を予測する実験を行なった。なお、クリープ初期(x=0)の耐熱鋼材の陽電子消滅寿命αは、128.3(psec)とし、クリープ終期(x=1)の耐熱鋼材の陽電子消滅寿命βは、純鉄の陽電子消滅寿命の115.95(psec)とした。
(実施例1)
上記の試験片について、温度650℃、応力100MPaでクリープ試験を行なったところ、破断時間は443時間であった。
まず、使用されてきた温度、応力および時間が既知である耐熱鋼材の寿命を予測する場合を想定した実験を行った。すなわち、同じ試験片について、温度650℃、応力100MPaでクリープ試験を行い、その結果に基づいてマスターカーブを作成し、45時間経過時点で試験片の陽電子消滅寿命を測定した。使用されてきた温度、応力および時間、ならびに、測定された陽電子消滅寿命を(B)式に代入して予測される破断時間を求めたところ、443時間であり、実際の試験結果と一致していた。
次に、使用されてきた温度および圧力が未知で、使用されてきた時間が既知である耐熱鋼材の寿命を予測する場合を想定した実験を行った。すなわち、同じ試験片について、温度650℃、応力100MPaでクリープ試験を行い、所定時間経過後に、遷移クリープ域の陽電子消滅寿命を4点測定した。その測定値を、(B)式を耐熱鋼材が使用される環境における温度Tおよび応力σ、ならびに、破断時間tRについて回帰分析して作成した陽電子消滅寿命曲線により予測される破断時間を求めたところ、432時間であり、予測される温度および圧力は、それぞれ温度567℃、応力94MPaであり、実際の試験結果と同様の結果となった。
(実施例2)
上記の試験片について、温度650℃、応力90MPaでクリープ試験を行なったところ、破断時間は929.7時間であった。
まず、使用されてきた温度、応力および時間が既知である耐熱鋼材の寿命を予測する場合を想定した実験を行った。すなわち、同じ試験片について、温度650℃、応力90MPaでクリープ試験を行い、その結果に基づいてマスターカーブを作成し、45時間経過時点で試験片の陽電子消滅寿命を測定した。使用されてきた温度、応力および時間、ならびに、測定された陽電子消滅寿命を(B)式に代入して予測される破断時間を求めたところ、933時間であり、実際の試験結果と同様の結果となった。
次に、使用されてきた温度および圧力が未知で、使用されてきた時間が既知である耐熱鋼材の寿命を予測する場合を想定した実験を行った。すなわち、同じ試験片について、温度650℃、応力100MPaでクリープ試験を行い、所定時間経過後に、遷移クリープ域の陽電子消滅寿命を4点測定した。その測定値を、(B)式を耐熱鋼材が使用される環境における温度Tおよび応力σ、ならびに、破断時間tRについて回帰分析して作成した陽電子消滅寿命曲線により予測される破断時間を求めたところ、928.79時間であり、予測される温度および圧力は、それぞれ温度658.45℃、応力100.8MPaであり、実際の試験結果と同様の結果となった。
(実施例3)
上記の試験片について、温度675℃、応力90MPaでクリープ試験を行なったところ、破断時間は123.3時間であった。
まず、使用されてきた温度、応力および時間が既知である耐熱鋼材の寿命を予測する場合を想定した実験を行った。すなわち、同じ試験片について、温度675℃、応力90MPaでクリープ試験を行い、その結果に基づいてマスターカーブを作成し、45時間経過時点で試験片の陽電子消滅寿命を測定した。使用されてきた温度、応力および時間、ならびに、測定された陽電子消滅寿命を(B)式に代入して予測される破断時間を求めたところ、111.89時間であり、実際の試験結果と同様の結果となった。
次に、使用されてきた温度および圧力が未知で、使用されてきた時間が既知である耐熱鋼材の寿命を予測する場合を想定した実験を行った。すなわち、同じ試験片について、温度650℃、応力100MPaでクリープ試験を行い、所定時間経過後に、遷移クリープ域の陽電子消滅寿命を4点測定した。その測定値を、(B)式を耐熱鋼材が使用される環境における温度Tおよび応力σ、ならびに、破断時間tRについて回帰分析して作成した陽電子消滅寿命曲線により予測される破断時間を求めたところ、109.65時間であり、予測される温度および圧力は、それぞれ温度680.23℃、応力90.63MPaであり、実際の試験結果と同様の結果となった。
図4には、実施例1〜3における温度、応力条件での陽電子消滅寿命曲線を示している。いずれも、短時間側の4点の測定値から回帰分析によって推定した陽電子消滅寿命曲線である。図4に示すように、いずれの陽電子消滅寿命曲線も、実際の測定点(●、○、□)と概ね一致していることがわかる。
本発明によれば、実際には測定していない温度、圧力の条件における余寿命を予測することが可能である。

Claims (2)

  1. 使用されてきた温度および圧力が未知で、使用されてきた時間が既知である耐熱鋼材の寿命を予測するに際し、下記の(1)〜(4)のステップによって耐熱鋼材の寿命を予測する、耐熱鋼材の寿命予測方法。
    (1)任意鋼種のモデル鋼材について、任意の温度および応力におけるクリープ試験を行い、クリープ挙動および陽電子消滅寿命を複数測定するステップと、
    (2)陽電子消滅寿命τと寿命比xの関係式である(A)式を前記耐熱鋼材が使用される環境に依存する変数a,b,c,d,eにより回帰分析して、(B)式を作成するステップ
    (3)前記耐熱鋼材の陽電子消滅寿命を少なくとも4点測定するステップ
    (4)(B)式に基づいて寿命を予測するステップ。
    Figure 0006582753
    ただし、上記(A)、(B)式中の各記号の意味は、下記の通りである。
    τ:陽電子消滅寿命(psec)
    x:経過時間tと破断時間tRとの比(t/tR)から求められる耐熱鋼材の寿命比
    a,b,c,d,e:耐熱鋼材が使用される環境に依存する変数
    α:クリープ初期(x=0)の耐熱鋼材の陽電子消滅寿命(psec)
    β:クリープ終期(x=1)の耐熱鋼材の陽電子消滅寿命(psec)
    T:耐熱鋼材が使用される環境における温度(℃)
    σ:耐熱鋼材が使用される環境における応力(MPa)
  2. 前記耐熱鋼材が、火力発電用ボイラ鋼管である、
    請求項1に記載の耐熱鋼材の寿命予測方法。
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