JP6913525B2 - クリープ損傷評価方法 - Google Patents
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Description
配管の溶接の熱影響部の非破壊検査結果と、熱影響部のマスターカーブとを用いて熱影響部の仮のクリープ損傷率を特定し、前記熱影響部の仮のクリープ損傷率と実使用時間とから、熱影響部の仮の破断時間を特定し、前記熱影響部の仮の破断時間より、第一の仮のクリープ破断応力を特定し、
前記熱影響部に隣接する領域の母材の非破壊検査結果より、母材のマスターカーブを用いて母材の仮のクリープ損傷率を特定し、前記母材の仮のクリープ損傷率と実使用時間とから、母材の仮の破断時間を特定し、前記母材の仮の破断時間より、第二の仮のクリープ破断応力を特定し、
前記第一及び第二の仮のクリープ破断応力より、真の破断応力を特定し、
前記真の破断応力より、熱影響部の真の破断時間及び母材の真の破断時間を特定し、
前記真の破断時間に基づきクリープ損傷を評価することを特徴とする、クリープ損傷評価法である。
ボイド面積率法は、ボイドがある面積率で評価する。SEM、光学顕微鏡等により、観察視野の面積とその視野内で観察されたボイドの面積の比を特定する。単位は無次元あるいは%である。
結晶粒変形係数法は、結晶粒の変形を損傷率との関係で定量化して表す。SEMや光学顕微鏡による観察視野内の結晶の最大径の方向と、その視野に負荷された応力の方向とのなす角度のヒストグラムを正規分布と仮定して求めた標準偏差であり、単位は無次元である。Aパラメータ法は、ある線上における観察粒界数に対するボイドがある粒界数の比で表す。
硬さ測定法は、ビッカース硬さやロックウェル硬さなどの材料の硬さにより、例えば、ビッカース硬度計で機器材料の硬度(単位はHV)を測定し、硬度の変化で機器材料の変化を評価する。
次にステップ105では、熱影響部のクリープ損傷率の下限Φw1および上限Φw2から、クリープ損傷率の定義に従って、以下の式により破断時間(クリープ寿命)の上限tw1および下限tw2を求める。ここでtは、機器の使用時間である。
次にステップ106では、母材の破断時間(クリープ寿命)の上限tb1および下限tb2から、ラーソンミラーパラメータの定義に従って、以下の式により、ラーソンミラーパラメータの上限Pb1および下限Pb2を求める。ここで、Tは機器の使用温度、Cは材料ごとに定まる定数である。
次にステップ107では、熱影響部の破断時間(クリープ寿命)の上限tw1および下限tw2から、ラーソンミラーパラメータの定義に従って、以下の式により、ラーソンミラーパラメータの上限Pw1および下限Pw2を求める。
次にステップ108では、母材のラーソンミラーパラメータの上限Pb1および下限Pb2から、図6に模式的に示すように、クリープ破断曲線を用いてクリープ破断応力の上限σb2および下限σb1を求める。図6では、横軸がラーソンミラーパラメータ、縦軸がクリープ破断応力である。また、実線601は母材のクリープ破断曲線、破線602は熱影響部のクリープ破断曲線である。
次にステップ115では、熱影響部の新しいラーソンミラーパラメータの上限P’w1および下限P’w2から、ラーソンミラーパラメータの定義に従って、以下の式11および12により熱影響部の新しい破断時間(クリープ寿命)の上限t’w1および下限t’w2を求める。ここで、Tは使用温度である。
ステップ1110では、ステップ1108で求めた、母材のクリープ破断温度の下限Tb1と上限Tb2により定められる母材のクリープ破断温度範囲とステップ1109で求めた、熱影響部のクリープ破断温度の下限Tw1および上限Tw2により定められる熱影響部のクリープ破断温度範囲に重複する範囲があるかどうかを判定する。母材と熱影響部のクリープ破断温度の範囲に重複がある場合には,ステップ1111に進む。重複がない場合にはステップ1114に進み、ステップ1104、1105の結果や、それぞれのマスターカーブを用いた従来の評価手法で評価し、終了する。
Φb2 母材のクリープ損傷率の上限
Φw1 熱影響部のクリープ損傷率の下限
Φw2 熱影響部のクリープ損傷率の上限
tb1 母材のクリープ寿命の上限
tb2 母材のクリープ寿命の下限
tw1 熱影響部のクリープ寿命の上限
tw2 熱影響部のクリープ寿命の下限
Pb1 母材のラーソンミラーパラメータの上限
Pb2 母材のラーソンミラーパラメータの下限
Pw1 熱影響部のラーソンミラーパラメータの上限
Pw2 熱影響部のラーソンミラーパラメータの下限
T 使用温度
t’b1 母材の新しいクリープ寿命の上限
t’b2 母材の新しいクリープ寿命の下限
t’w1 熱影響部の新しいクリープ寿命の上限
t’w2 熱影響部の新しいクリープ寿命の下限
σ 使用応力
Pb 母材のラーソンミラーパラメータ
Pw 熱影響部のラーソンミラーパラメータ
Tb1 母材のクリープ破断温度の下限
Tb2 母材のクリープ破断温度の上限
Tw1 熱影響部のクリープ破断温度の下限
Tw2 熱影響部のクリープ破断温度の上限
T1 新しいクリープ破断温度範囲の下限
T2 新しいクリープ破断温度範囲の上限
Claims (3)
- 予め試験により作成した非破壊検査の物性値と、クリープ損傷率との関係を示すマスターカーブを用いて、配管の所望の部位のクリープ損傷率を求めるクリープ損傷評価法において、
配管の溶接の熱影響部の非破壊検査結果から、前記熱影響部のボイド面積率法のマスターカーブを用いて前記熱影響部の仮のクリープ損傷率の下限と上限を特定し、
前記熱影響部の仮のクリープ損傷率の下限および上限から、クリープ損傷率の定義と機器の実使用時間とに従って、前記熱影響部のクリープ寿命である仮の破断時間の上限および下限を特定し、
前記熱影響部の仮の破断時間の上限および下限から、ラーソンミラーパラメータの定義と機器の実使用時間に従って、ラーソンミラーパラメータの上限および下限を特定し、
前記熱影響部のラーソンミラーパラメータの上限および下限から、クリープ破断曲線を用いて前記熱影響部の第一の仮のクリープ破断応力の上限および下限を特定し、
前記熱影響部に隣接する領域の配管の母材の非破壊検査結果から、母材の結晶粒変形係数法のマスターカーブを用いて前記母材の仮のクリープ損傷率の下限と上限を特定し、
前記母材の仮のクリープ損傷率の下限および上限から、クリープ損傷率の定義と機器の実使用時間に従って、前記母材のクリープ寿命である仮の破断時間の上限および下限を特定し、
前記母材の仮の破断時間の上限および下限から、ラーソンミラーパラメータの定義と機器の実使用時間に従って、ラーソンミラーパラメータの上限および下限を特定し、
前記母材のラーソンミラーパラメータの上限および下限から、クリープ破断曲線を用いて前記母材の第二の仮のクリープ破断応力の上限および下限を特定し、
前記母材の第二の仮のクリープ破断応力の上限および下限により定められる前記母材のクリープ破断応力範囲と、前記熱影響部の第一の仮のクリープ破断応力の上限および下限により定められる前記熱影響部のクリープ破断応力範囲と、に重複する範囲があるかどうかを判定し、
前記母材の第二の仮のクリープ破断応力と前記熱影響部の第一の仮のクリープ破断応力の範囲とに重複がある場合には、前記母材と前記熱影響部とで重複したクリープ破断応力の範囲の下限と上限を特定し、
前記重複したクリープ破断応力範囲の下限および上限から、前記母材のクリープ破断曲線を用いて、前記母材の新しいラーソンミラーパラメータの上限および下限を求め、
前記重複したクリープ破断応力範囲の下限および上限から、前記熱影響部のクリープ破断曲線を用いて、前記熱影響部の新しいラーソンミラーパラメータの上限および下限を求め、
前記母材の新しいラーソンミラーパラメータの上限および下限から、ラーソンミラーパラメータの定義に従って、前記母材の新しい真の破断時間の上限および下限を求め、
前記熱影響部の新しいラーソンミラーパラメータの上限および下限から、ラーソンミラーパラメータの定義に従って、前記熱影響部の新しい真の破断時間の上限および下限を求め、
前記母材の真の破断時間と前記熱影響部の真の破断時間とで重複した真の破断時間の下限と上限に基づき、クリープ損傷率を算出する、
ことを特徴とするクリープ損傷評価法。 - 予め試験により作成した非破壊検査の物性値と、クリープ損傷率との関係を示すマスターカーブを用いて、配管の所望の部位のクリープ損傷率を求めるクリープ損傷評価法において、
配管の溶接の熱影響部の非破壊検査結果から、前記熱影響部のボイド面積率法のマスターカーブを用いて前記熱影響部の仮のクリープ損傷率の下限と上限を特定し、
前記熱影響部の仮のクリープ損傷率の下限および上限から、クリープ損傷率の定義と機器の実使用時間とに従って、前記熱影響部のクリープ寿命である仮の破断時間の上限および下限を特定し、
前記熱影響部のクリープ破断曲線を用いて使用応力を破断応力とする前記熱影響部のラーソンミラーパラメータを特定し、
前記熱影響部のラーソンミラーパラメータと前記熱影響部の仮の破断時間の上限と下限から、ラーソンミラーパラメータの定義に従って、前記熱影響部の第一の仮のクリープ破断温度の下限および上限を特定し、
前記熱影響部に隣接する領域の配管の母材の非破壊検査結果から、母材の結晶粒変形係数法のマスターカーブを用いて前記母材の仮のクリープ損傷率の下限と上限を特定し、
前記母材の仮のクリープ損傷率の下限および上限から、クリープ損傷率の定義と機器の実使用時間に従って、前記母材のクリープ寿命である仮の破断時間の上限および下限を特定し、
前記母材のクリープ破断曲線を用いて破断応力とする母材のラーソンミラーパラメータを求め、
前記母材のラーソンミラーパラメータと前記母材の破断時間の上限と下限から、ラーソンミラーパラメータの定義に従って、前記母材の第二の仮のクリープ破断温度の下限および上限を特定し、
前記母材の第二の仮のクリープ破断温度の下限と上限により定められる母材のクリープ破断温度範囲と、前記熱影響部のクリープ破断温度の下限および上限により定められる前記熱影響部のクリープ破断温度範囲と、に重複する範囲があるかどうかを判定し、
前記母材の第二の仮のクリープ破断温度範囲と前記熱影響部の第一の仮のクリープ破断温度範囲とに重複がある場合には、重複したクリープ破断温度範囲の下限と上限を特定し、
重複したクリープ破断温度範囲の下限と上限と、使用応力とクリープ破断曲線から求めた前記母材の新しいラーソンミラーパラメータとから、ラーソンミラーパラメータの定義に従って、前記母材の真の破断時間の上限と下限を特定し、
重複したクリープ破断温度範囲の下限と上限と、使用応力とクリープ破断曲線から求めた前記熱影響部の新しいラーソンミラーパラメータとから、ラーソンミラーパラメータの定義に従って、前記熱影響部の真の破断時間の上限と下限を特定し、
前記母材の真の破断時間の上限と下限と、前記熱影響部の真の破断時間の上限と下限とに基づきクリープ損傷率を算出する、
ことを特徴とするクリープ損傷評価法。 - 請求項1または2に記載されたクリープ損傷評価法において、前記非破壊検査の物性値として、ボイド面積率、結晶粒変形係数、電気抵抗値、硬度、の少なくともいずれかの物性値を使用することを特徴とするクリープ損傷評価法。
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JP2017117335A JP6913525B2 (ja) | 2017-06-15 | 2017-06-15 | クリープ損傷評価方法 |
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