JP2009030991A - 溶接割れ評価方法、溶接割れ評価システムおよび溶接割れ評価プログラム - Google Patents

溶接割れ評価方法、溶接割れ評価システムおよび溶接割れ評価プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】中性子照射を受けた後に複数パスで溶接された原子炉構造物の溶接部近傍の溶接割れ分布を求める。
【解決手段】原子炉構造物の結晶粒度に基づいて溶接部近傍での結晶粒界の配置をモデル化し(工程S1)、原子炉構造物の形状および溶接条件に基づいてそれぞれの溶接パス毎に溶接中の溶接金属近傍の任意点における温度、応力および歪みの時刻歴を計算し(工程S2)、この各溶接パス毎の温度および応力の時刻歴ならびに原子炉構造物のHe含有量に基づいて、溶接部近傍の複数の結晶粒界上におけるHeバブル直径および密度を各溶接パス毎に計算し(工程S3)、Heバブル直径および密度ならびに歪みの時刻歴に基づいて溶接部近傍の複数の結晶粒界上で割れが発生したか否かを判定し(工程S4)、この判定結果に基づいて溶接部近傍での溶接割れ発生分布を求める(工程S5)。
【選択図】図1

Description

本発明は、中性子照射を受けた後に複数パスで溶接された原子炉構造物の溶接部近傍の溶接割れを評価する溶接割れ評価方法、溶接割れ評価システムおよび溶接割れ評価プログラムに関する。
原子炉には種々の原子炉構造物が備えられており、原子炉構造物の使用場所や形状・用途に応じてJIS規格のSUS304、SUS316L、SUS304Lなどのステンレス鋼が用いられる。原子炉構造物のステンレス鋼中には、微量のB(ホウ素)や、構成元素の一つであるNi(ニッケル)が含まれている。
原子炉の運転中、原子炉炉心での核反応により中性子照射を受けたステンレス鋼では、鋼中のBやNiが中性子と核反応してHeが生成され、生成したHeがステンレス鋼中に蓄積される。Heが蓄積されたステンレス鋼を溶接すると、溶接時の入熱で鋼が高温に加熱されて結晶粒界にHeが集まり、結晶粒界上にバブルを形成して強度を低下させる。この結果、溶接時の冷却過程で引張応力/歪が負荷された時に割れ、いわゆるHe割れ現象を生じることがある。
ステンレス鋼のHe割れ現象は、補修・保守・保全あるいは改良するために中性子照射を受けた原子炉構造物に溶接を施す場合に問題となる。原子炉構造物に用いられるステンレス鋼に健全な溶接部を得るためには、He割れが生じるか否かを予測しておく必要がある。
He割れの予測方法は、たとえば、特許文献1に開示されている。この予測方法は、被診断材料のHe含有量を求める工程と、溶接による溶融金属近傍の温度履歴および応力履歴を予測する工程と、溶融金属近傍の粒界Heバブルの成長を推測する工程と、このHeバブルの成長挙動から被診断材料の溶接の可否を診断する工程とからなる方法である。
また、Heバブルの成長挙動から溶接可否を診断する方法として、Heバブルを有する結晶粒界が延性破壊に至る限界歪みと、溶接中に評価点に加わる歪みとを比較し、後者の歪みが前者の限界歪みを上回った時に「割れが発生する」と診断する方法が知られている。
特許文献2には、He割れの大きさを予測する方法が開示されている。この方法は、中性子照射材の溶接部の任意の点における溶接中の温度、応力及び歪みの時刻歴を計算し、金属中のHe濃度と、温度および応力の時刻歴から、結晶粒界上に生成されるHeバブルの直径および密度の計算を行うものである。
特許文献3および特許文献4には、溶接部の強度を予測する方法や、溶接割れの発生分布を求める方法が開示されている。
特開平10−111380号公報 特開2004−144657号公報 特開2006−118865号公報 特開2007−10400号公報
原子炉構造物を補修や改良のため溶接する場合、2パス以上の溶接ビードを繰り返し形成させる「多パス溶接」を適用することが多い。照射を受けたステンレス鋼に多パス溶接を行うと、パス数に応じて繰り返し加熱が生じるため、Heバブルの成長が促進され、He割れが生じやすい傾向がある。
そこで、本発明は、中性子照射を受けた後に複数パスで溶接された原子炉構造物の溶接部近傍の溶接割れ分布を精度よく求めることができるようにすることを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明は、中性子照射を受けた後に複数パスで溶接された原子炉構造物の溶接部近傍の溶接割れを評価する溶接割れ評価方法において、前記原子炉構造物の結晶粒度に基づいて前記溶接部近傍での結晶粒界の配置をモデル化する粒界配置算出工程と、前記原子炉構造物の形状および溶接条件に基づいてそれぞれの溶接パス毎に溶接中の溶接金属近傍の任意点における温度、応力および歪みの時刻歴を計算する時刻歴算出工程と、前記時刻歴算出工程で計算された各溶接パス毎の温度および応力の時刻歴ならびに原子炉構造物のHe含有量に基づいて、前記溶接部近傍の複数の結晶粒界上におけるHeバブル直径および密度を各溶接パス毎に計算するバブル直径密度算出工程と、前記バブル直径密度算出工程で計算された前記Heバブル直径および密度ならびに前記時刻歴算出工程で計算された前記歪みの時刻歴に基づいて、前記溶接部近傍の複数の結晶粒界上で割れが発生したか否かを判定する割れ発生判定工程と、前記割れ発生判定工程での判定結果に基づいて、前記溶接部近傍での溶接割れ発生分布を求める溶接割れ発生分布算出工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明は、中性子照射を受けた後に複数パスで溶接された原子炉構造物の溶接部近傍の溶接割れを評価する溶接割れ評価システムにおいて、前記原子炉構造物の結晶粒度に基づいて前記溶接部近傍での結晶粒界の配置をモデル化する粒界配置算出手段と、前記原子炉構造物の形状および溶接条件に基づいてそれぞれの溶接パス毎に溶接中の溶接金属近傍の任意点における温度、応力および歪みの時刻歴を計算する時刻歴算出手段と、前記時刻歴算出工程で計算された各溶接パス毎の温度および応力の時刻歴ならびに原子炉構造物のHe含有量に基づいて、前記溶接部近傍の複数の結晶粒界上におけるHeバブル直径および密度を各溶接パス毎に計算するバブル直径密度算出手段と、前記バブル直径密度算出工程で計算された前記Heバブル直径および密度ならびに前記時刻歴算出工程で計算された前記歪みの時刻歴に基づいて、前記溶接部近傍の複数の結晶粒界上で割れが発生したか否かを判定する割れ発生判定手段と、前記割れ発生判定工程での判定結果に基づいて、前記溶接部近傍での溶接割れ発生分布を求める溶接割れ発生分布算出手段と、を有することを特徴とする。
また、本発明は、中性子照射を受けた後に複数パスで溶接された原子炉構造物の溶接部近傍の溶接割れを評価する溶接割れ評価プログラムにおいて、コンピュータに、前記原子炉構造物の結晶粒度に基づいて前記溶接部近傍での結晶粒界の配置をモデル化する粒界配置算出機能と、前記原子炉構造物の形状および溶接条件に基づいてそれぞれの溶接パス毎に溶接中の溶接金属近傍の任意点における温度、応力および歪みの時刻歴を計算する時刻歴算出機能と、前記時刻歴算出工程で計算された各溶接パス毎の温度および応力の時刻歴ならびに原子炉構造物のHe含有量に基づいて、前記溶接部近傍の複数の結晶粒界上におけるHeバブル直径および密度を各溶接パス毎に計算するバブル直径密度算出機能と、前記バブル直径密度算出工程で計算された前記Heバブル直径および密度ならびに前記時刻歴算出工程で計算された前記歪みの時刻歴に基づいて、前記溶接部近傍の複数の結晶粒界上で割れが発生したか否かを判定する割れ発生判定機能と、前記割れ発生判定工程での判定結果に基づいて、前記溶接部近傍での溶接割れ発生分布を求める溶接割れ発生分布算出機能と、を実現させることを特徴とする。
本発明によれば、中性子照射を受けた後に複数パスで溶接された原子炉構造物の溶接部近傍の溶接割れ分布を求めることができる。
本発明に係る溶接割れ評価方法の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
図3は、本実施の形態における評価対象の原子炉構造物の溶接部近傍の断面図である。
本実施の形態の溶接割れ評価方法は、中性子照射を受けた後に複数パスで溶接された原子炉構造物8の溶接部9の近傍の溶接割れを評価対象とする。ステンレス鋼などで形成された原子炉構造物8が中性子照射を受けた後、開先を溶接金属で肉盛溶接される場合がある。本実施の形態では、原子炉構造物8には合計7パスの多パス溶接が施されていて、7層の溶接金属91,92,93,94,95,96,97が積層されている。
図1は、本実施の形態における溶接割れ評価方法のフローチャートである。図2は、本実施の形態における溶接割れ評価システムのブロック図である。
本実施の形態の溶接割れ評価方法では、粒界配置算出工程(工程S1)、時刻歴算出工程(工程S2)、バブル直径密度算出工程(工程S3)、割れ発生判定工程(工程S4)および溶接割れ発生分布算出工程(工程S5)を行う。これらの工程は、手作業で行ってもよいが、たとえばコンピュータなどを用いた溶接割れ評価システムによって行ってもよい。
この溶接割れ評価システムは、粒界配置算出手段21、時刻歴算出手段22、バブル直径密度算出手段23、割れ発生判定手段24、および、溶接割れ発生分布算出手段25を有している。また、溶接割れ評価システムは、記憶手段30、入力手段26および出力手段27を有している。入力手段26は、たとえばキーボードやマウス、あるいは、他のシステムとのインターフェースである。出力手段27は、ディスプレーやプリンタ、あるいは、他のシステムとのインターフェースである。さらに、溶接割れ評価システムは、溶接部9の近傍の強度を予測するために、指標算出手段28および強度予測手段29を備えていてもよい。
入力手段26から、原子炉構造物8の結晶粒度、He含有量、形状および鋼種、ならびに、各溶接パスの溶接条件などが入力される。入力された原子炉構造物8の結晶粒度、He含有量、形状および鋼種、ならびに、各溶接パスの溶接条件などは、記憶手段30に記憶される。
粒界配置算出工程(工程S1)では、原子炉構造物8の結晶粒度に基づいて溶接部9の近傍での結晶粒界の配置をモデル化する。
図4は、本実施の形態における評価対象の原子炉構造物の溶接部近傍での結晶粒界の配置を模式的に示す拡大断面図である。
原子炉構造物8の内部の結晶粒界11の配置は、たとえば原子炉構造物8と同じ残材もしくは同等の結晶粒度を有する材料の結晶粒界の配置を、金属組織観察により求めることによってモデル化する。あるいは、平面上あるいは空間内にいくつかの点(母点)が配置されているとき、その平面内あるいは空間内の任意の点がどの母点に最も近いかによりその平面あるいは空間を分割するボロノイ(voronoi)分割法を用いてモデル化し、ランダムな結晶粒界11の配置を再現してもよい。このモデル化は、粒界配置算出手段21が行う。
また、時刻歴算出工程(工程S2)では、時刻歴算出手段22が、原子炉構造物8の形状および溶接条件に基づいて、それぞれの溶接パス毎に溶接中の溶接金属10の近傍の任意点における温度、応力、および、歪みの時刻歴を計算する。温度、応力、および、歪みの時刻歴は、たとえば、有限要素法による熱弾塑性解析によって求める。この計算は、時刻歴算出手段22によって行われる。
バブル直径密度算出工程(工程S3)では、バブル直径密度算出手段23が、溶接部9の近傍の複数の結晶粒界11上でのHeバブル直径および密度を各溶接パス毎に計算する。このHeバブル直径および密度は、時刻歴算出工程(工程S2)で計算された各溶接パス毎の温度および応力の時刻歴ならびに原子炉構造物8のHe含有量に基づいて計算される。
具体的には、時刻歴算出工程(工程S2)で求めた1パス目溶接中の温度、応力の時刻歴と、原子炉構造物のHe含有量、原子炉構造物の鋼種から、1パス目溶接時の溶接金属91の近傍での複数の結晶粒界11上におけるHeバブル直径と密度を計算する。
図5は、本実施の形態における1パス目溶接中の温度、応力の時刻歴の例を示すグラフである。図6は、本実施の形態における1パス目溶接時のHeバブル直径と密度の時間変化の例を示すグラフである。
溶接時の加熱により温度が上昇するため、Heバブル密度が合体により減少する。一方、加熱と引張応力の重畳によりHeバブル直径が時間とともに増加する。
次に、時刻歴算出工程(工程S2)で求めた2パス目溶接中の温度、応力の時刻歴と原子炉構造物8の鋼種から、2パス目溶接時の溶接金属92の近傍での複数の結晶粒界上におけるHeバブル直径と密度を計算する。
1パス目の溶接終了後のバブル直径と密度の値を初期値として、2パス目の溶接時Heバブル直径、密度の時間変化を計算すると、繰り返し加熱によるHeバブル挙動を計算できる。
図7は、本実施の形態における2パス目溶接中の温度、応力の時刻歴の例を示すグラフである。図8は、本実施の形態における2パス目溶接時のHeバブル直径と密度の時間変化の例を示すグラフである。
同様に各パス溶接時の溶接部9の近傍での複数の結晶粒界11上におけるHeバブル直径と密度をnパスまで計算する。本実施の形態ではn=7なので、7パス目まで計算する。
図9は、本実施の形態における7パス目溶接中の温度、応力の時刻歴の例を示すグラフである。図10は、本実施の形態における7パス目溶接時のHeバブル直径と密度の時間変化の例を示すグラフである。
このようにして、多パスの溶接が施された後の、溶接部9の近傍のHeバブル直径と密度が得られる。
割れ発生判定工程(工程S4)では、割れ発生判定手段24が、溶接部9の近傍の複数の結晶粒界11上で溶接割れ12(図4参照)が発生したか否かを判定する。溶接割れ12の発生は、バブル直径密度算出工程(工程S3)で計算されたHeバブル直径および密度、ならびに、時刻歴算出工程(工程S2)で計算された歪みの時刻歴に基づいて判定される。
溶接部9の近傍の複数の結晶粒界上における溶接割れ12の発生を任意点における歪みの時刻歴から判定する方法としては、たとえば特許文献2に記載された方法を用いることができる。なお、ステンレス鋼の材質により粒界割れの感受性が異なる場合があるため、鋼種の種類を判定に用いている。たとえば原子炉構造物8の材質がSUS304の場合には、SUS316Lに比べて割れが生じにくいように粒界Heバブル直径・密度の計算式、および割れ判定式のいずれか、または両方の定数を変化させる。
結晶粒界11上で溶接割れ12が発生したか否かは、たとえば破壊歪みと溶接中の歪みとの関係によって判定することができる。この破壊歪みは、Heバブル直径Dと密度Nから、次式によって計算される。
Figure 2009030991
ここで、nは加工硬化指数、DはHeバブル直径、NはHeバブル密度である。
図11は、本実施の形態における7パス目溶接時の破壊歪みと溶接中の歪みの時間変化の例を示すグラフである。
図11において破壊歪みと溶接中の歪みが交差した時点、すなわち、溶接中の歪みの時刻歴が破壊歪みを上回ったときに、結晶粒界11上で溶接割れ12が発生したと判定することができる。
溶接割れ発生分布算出工程(工程S5)では、溶接割れ発生分布算出手段25が、割れ発生判定工程(工程S4)での判定結果に基づいて溶接部9の近傍での溶接割れ発生分布を求める。
溶接部9の近傍での溶接割れ発生分布は、たとえばディスプレーなどの出力手段27から出力される(工程S8)。溶接割れ発生分布を、他のシステムにインターフェースを介して伝達して、他の評価などに用いてもよい。溶接部9の近傍における割れ発生分布の表示の方法は、たとえば特許文献4に記載されている。
このように本実施の形態では、結晶粒界の配置は評価対象の結晶粒度に基づいてモデル化されるため、より現実に近いモデルとなる。このため、本実施の形態の溶接割れ評価方法を用いると、中性子照射を受けた後に複数パスで溶接された原子炉構造物の溶接部近傍の溶接割れ分布を精度よく求めることができる。
また、Heに起因する割れは、高温に曝される溶接部9の近傍で発生しやすい。したがって、各パスでの溶接時における最高温度が、粒界Heバブルの生成と成長が生じる温度(約700℃)以下の領域に位置する結晶粒界については、Heバブル直径と密度の計算を省略しても計算精度の上で問題がない。そこで、バブル直径密度算出工程(工程S3)は、溶接部9の近傍の複数の結晶粒界11のうち時刻歴算出工程(工程S2)で計算された温度の最大値が結晶粒界にHeバブル生成および成長が生じる温度以上である結晶粒界を対象としてもよい。これにより、計算に要する時間を短くすることができる。
溶接により材料の融点以上に加熱される領域は溶接金属10となり、そこでは粒界割れが発生しないため、Heバブル直径と密度の計算を省略しても計算精度の上で問題がない。そこで、バブル直径密度算出工程(工程S3)は、溶接部9の近傍の複数の結晶粒界11のうち時刻歴算出工程(工程S2)で計算された温度の最大値が融点以下である結晶粒界を対象としてもよい。これにより、計算に要する時間を短くすることができる。
さらに、溶接割れ発生分布算出工程(工程S5)で求められた溶接部9の近傍における割れ発生分布に基づいて、溶接部9の近傍の強度を予測することもできる。溶接部9の近傍の強度は、指標算出工程(工程S6)および強度予測工程(工程S7)によって予測される。
指標算出工程(工程S6)では、指標算出手段28が、溶接部9の近傍での割れ指標を算出する。また、強度予測工程(工程S7)では、強度予測手段29が、溶接部9の近傍における割れ指標と溶接部強度の関係から溶接部強度を定式化したマスターカーブを用いて、割れ指標に基づいて溶接部9の近傍の強度を予測する。このマスターカーブは、入力手段26から入力し、記憶手段30に記憶しておく。このようにして、溶接部9の近傍のたとえば継手などの強度を精度よく予測することができる。
溶接部9の近傍における割れ指標からマスターカーブを用いて溶接部強度を予測できることは、たとえば特許文献4に記載されている。予測された強度は、溶接割れ発生分布などの計算結果とともに、出力手段27から出力される(工程S8)。
このように本実施の形態では、より現実に近い結晶粒界の配置のモデルを用いるため、中性子照射を受けた後に複数パスで溶接された原子炉構造物の溶接部近傍の溶接部強度を精度よく予測することができる。
なお、上述の実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれに限定されない。
本発明に係る溶接割れ評価方法の一実施の形態におけるフローチャートである。 本発明に係る溶接割れ評価方法の一実施の形態における溶接割れ評価システムのブロック図である。 本発明に係る溶接割れ評価方法の一実施の形態における評価対象の原子炉構造物の溶接部近傍の断面図である。 本発明に係る溶接割れ評価方法の一実施の形態における評価対象の原子炉構造物の溶接部近傍での結晶粒界の配置を模式的に示す拡大断面図である。 本発明に係る溶接割れ評価方法の一実施の形態における1パス目溶接中の温度、応力の時刻歴の例を示すグラフである。 本発明に係る溶接割れ評価方法の一実施の形態における1パス目溶接時のHeバブル直径と密度の時間変化の例を示すグラフである。 本発明に係る溶接割れ評価方法の一実施の形態における2パス目溶接中の温度、応力の時刻歴の例を示すグラフである。 本発明に係る溶接割れ評価方法の一実施の形態における2パス目溶接時のHeバブル直径と密度の時間変化の例を示すグラフである。 本発明に係る溶接割れ評価方法の一実施の形態における7パス目溶接中の温度、応力の時刻歴の例を示すグラフである。 本発明に係る溶接割れ評価方法の一実施の形態における7パス目溶接時のHeバブル直径と密度の時間変化の例を示すグラフである。 本発明に係る溶接割れ評価方法の一実施の形態における7パス目溶接時の破壊歪みと溶接中の歪みの時間変化の例を示すグラフである。
符号の説明
8…原子炉構造物、9…溶接部、10…溶接金属、11…結晶粒界、12…溶接割れ、21…粒界配置算出手段、22…時刻歴算出手段、23…バブル直径密度算出手段、24…割れ発生判定手段、25…溶接割れ発生分布算出手段、26…入力手段、27…出力手段、28…指標算出手段、29…強度予測手段、30…記憶手段、91,92,93,94,95,96,97…溶接金属

Claims (9)

  1. 中性子照射を受けた後に複数パスで溶接された原子炉構造物の溶接部近傍の溶接割れを評価する溶接割れ評価方法において、
    前記原子炉構造物の結晶粒度に基づいて前記溶接部近傍での結晶粒界の配置をモデル化する粒界配置算出工程と、
    前記原子炉構造物の形状および溶接条件に基づいてそれぞれの溶接パス毎に溶接中の溶接金属近傍の任意点における温度、応力および歪みの時刻歴を計算する時刻歴算出工程と、
    前記時刻歴算出工程で計算された各溶接パス毎の温度および応力の時刻歴ならびに原子炉構造物のHe含有量に基づいて、前記溶接部近傍の複数の結晶粒界上におけるHeバブル直径および密度を各溶接パス毎に計算するバブル直径密度算出工程と、
    前記バブル直径密度算出工程で計算された前記Heバブル直径および密度ならびに前記時刻歴算出工程で計算された前記歪みの時刻歴に基づいて、前記溶接部近傍の複数の結晶粒界上で割れが発生したか否かを判定する割れ発生判定工程と、
    前記割れ発生判定工程での判定結果に基づいて、前記溶接部近傍での溶接割れ発生分布を求める溶接割れ発生分布算出工程と、
    を有することを特徴とする溶接割れ評価方法。
  2. 前記溶接割れ発生分布を表示する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の溶接割れ評価方法。
  3. 前記粒界割れ発生分布に基づいて前記溶接部近傍での割れ指標を算出する指標算出工程と、
    前記割れ指標に基づいて前記溶接部近傍の強度を予測する強度予測工程と、
    を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶接割れ評価方法。
  4. 前記バブル直径密度算出工程は、前記溶接部近傍の複数の結晶粒界のうち前記時刻歴算出工程で計算された温度の最大値が結晶粒界にHeバブル生成および成長が生じる温度以上である結晶粒界を対象とすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の溶接割れ評価方法。
  5. 前記バブル直径密度算出工程は、前記溶接部近傍の複数の結晶粒界のうち前記時刻歴算出工程で計算された温度の最大値が融点以下である結晶粒界を対象とすることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の溶接割れ評価方法。
  6. 粒界配置算出工程は、前記溶接部近傍と同等の結晶粒度を有する材料の結晶粒界の配置を金属組織観察して、観察された結晶粒界の配置に基づいて前記溶接部近傍での結晶粒界の配置をモデル化するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の溶接割れ評価方法。
  7. 粒界配置算出工程は、前記結晶粒度に基づいたボロノイ分割によって前記溶接部近傍での結晶粒界の配置をモデル化するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の溶接割れ評価方法。
  8. 中性子照射を受けた後に複数パスで溶接された原子炉構造物の溶接部近傍の溶接割れを評価する溶接割れ評価システムにおいて、
    前記原子炉構造物の結晶粒度に基づいて前記溶接部近傍での結晶粒界の配置をモデル化する粒界配置算出手段と、
    前記原子炉構造物の形状および溶接条件に基づいてそれぞれの溶接パス毎に溶接中の溶接金属近傍の任意点における温度、応力および歪みの時刻歴を計算する時刻歴算出手段と、
    前記時刻歴算出工程で計算された各溶接パス毎の温度および応力の時刻歴ならびに原子炉構造物のHe含有量に基づいて、前記溶接部近傍の複数の結晶粒界上におけるHeバブル直径および密度を各溶接パス毎に計算するバブル直径密度算出手段と、
    前記バブル直径密度算出工程で計算された前記Heバブル直径および密度ならびに前記時刻歴算出工程で計算された前記歪みの時刻歴に基づいて、前記溶接部近傍の複数の結晶粒界上で割れが発生したか否かを判定する割れ発生判定手段と、
    前記割れ発生判定工程での判定結果に基づいて、前記溶接部近傍での溶接割れ発生分布を求める溶接割れ発生分布算出手段と、
    を有することを特徴とする溶接割れ評価システム。
  9. 中性子照射を受けた後に複数パスで溶接された原子炉構造物の溶接部近傍の溶接割れを評価する溶接割れ評価プログラムにおいて、コンピュータに、
    前記原子炉構造物の結晶粒度に基づいて前記溶接部近傍での結晶粒界の配置をモデル化する粒界配置算出機能と、
    前記原子炉構造物の形状および溶接条件に基づいてそれぞれの溶接パス毎に溶接中の溶接金属近傍の任意点における温度、応力および歪みの時刻歴を計算する時刻歴算出機能と、
    前記時刻歴算出工程で計算された各溶接パス毎の温度および応力の時刻歴ならびに原子炉構造物のHe含有量に基づいて、前記溶接部近傍の複数の結晶粒界上におけるHeバブル直径および密度を各溶接パス毎に計算するバブル直径密度算出機能と、
    前記バブル直径密度算出工程で計算された前記Heバブル直径および密度ならびに前記時刻歴算出工程で計算された前記歪みの時刻歴に基づいて、前記溶接部近傍の複数の結晶粒界上で割れが発生したか否かを判定する割れ発生判定機能と、
    前記割れ発生判定工程での判定結果に基づいて、前記溶接部近傍での溶接割れ発生分布を求める溶接割れ発生分布算出機能と、
    を実現させることを特徴とする溶接割れ評価プログラム。
JP2007192131A 2007-07-24 2007-07-24 溶接割れ評価方法、溶接割れ評価システムおよび溶接割れ評価プログラム Withdrawn JP2009030991A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20110048460A1 (en) * 2009-09-02 2011-03-03 Bsh Bosch Und Siemens Hausgerate Gmbh Dishwasher and appropriate control method
CN115861307A (zh) * 2023-02-21 2023-03-28 深圳市百昌科技有限公司 基于人工智能的筋膜枪供电驱动板焊接故障检测方法

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